特許第5714660号(P5714660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社アドマテックスの特許一覧

特許5714660ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法
<>
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000003
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000004
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000005
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000006
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000007
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000008
  • 特許5714660-ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714660
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/34 20060101AFI20150416BHJP
   H01L 35/16 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 35/26 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20150416BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20150416BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20150416BHJP
   C01G 30/00 20060101ALI20150416BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20150416BHJP
【FI】
   H01L35/34
   H01L35/16
   H01L35/26
   H01L29/06 601N
   B82Y40/00
   B22F9/24 Z
   C01G30/00
   B82Y30/00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-145503(P2013-145503)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-18954(P2015-18954A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501402730
【氏名又は名称】株式会社アドマテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100113918
【弁理士】
【氏名又は名称】亀松 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】村井 盾哉
(72)【発明者】
【氏名】小暮 智也
(72)【発明者】
【氏名】河合 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】大川内 義徳
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−163996(JP,A)
【文献】 特表2003−533363(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0152294(US,A1)
【文献】 特開2011−003741(JP,A)
【文献】 特開2013−074051(JP,A)
【文献】 Yoshio Kobayashi et al.,Silica coating of silver nanoparticles using a modified Stoeber method,Journal of Colloid and Interface Science,2005年,Vol.283,pp.392-396
【文献】 Renjis T. Tom et al.,Freely Dispersible Au@TiO2, Au@ZiO2, Ag@TiO2, and Ag@ZrO2 Core-Shell Nanoparticles: One-Step Synthesis, Characterization, Spectroscopy, and Optical Limiting Properties,Langmuir,2003年,Vol.19,pp.3439-3445
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/34
H01L 35/12−26
H01L 29/06
B22F 9/24
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電変換材料のマトリクス中に多重円弧状のフォノン散乱粒子として酸化物が分散したナノコンポジット熱電変換材料の製造方法であって、
溶液中で、熱電変換材料を構成する元素を塩の還元により、フォノン散乱粒子を構成する酸化物を前駆体の重合により、同一の還元剤を用いてそれぞれナノ粒子として析出および成長させ、これらナノ粒子の混合物を回収する第1段階、および
上記混合物を水熱処理により合金化して複合ナノ粒子とした後に焼結する第2段階を含み、
上記第1段階において、熱電変換材料を構成する第1群元素のナノ粒子の析出または成長を、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物のナノ粒子の析出または成長よりも先行させることを特徴とするナノコンポジット熱電変換材料の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1段階は、下記<A><B><C>のいずれかの処理:
<A>下記の工程(1)(2)を順次行う:
(1)下記条件《1》を満たすように、熱電変換材料を構成する第1群元素の塩と、
フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物の前駆体との溶液を形成する。
《1》上記溶液中において、同一の還元剤の存在下で、塩が還元されて第1群元
素のナノ粒子が析出する速度が、前駆体が重合して第2群元素酸化物のナノ粒子
が析出する速度より大きくなるように、塩および前駆体を選択する。
(2)上記溶液に還元剤を混合して塩から第1群元素のナノ粒子を析出させるのと同
時に、前駆体の重合により第2群元素酸化物のナノ粒子を析出させ、これらナノ粒子
の混合物を回収する。
または、
<B>下記の工程(1)(2)を順次行う:
(1)下記条件《1》を満たすように、熱電変換材料を構成する第1群元素の塩の第
1溶液およびフォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物の前駆体の第2溶液をそ
れぞれ形成する。
《1》同一の還元剤の存在下で、塩が還元されて第1群元素のナノ粒子が析出す
る速度が、前駆体が重合して第2群元素酸化物のナノ粒子が析出する速度より大
きくなるように、塩および前駆体を選択する。
(2)第1溶液に還元剤を混合して第1群元素のナノ粒子を析出させた後、第2溶液
を投入し第2群元素酸化物のナノ粒子を析出させ、これらナノ粒子の混合物を回収す
る。
または、
<C>下記の工程(1)(2)を順次行う:
(1)下記条件《1》を満たすように、熱電変換材料を構成する第1群元素の塩の第
1溶液およびフォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物の前駆体の第2溶液をそ
れぞれ形成する。
《1》同一の還元剤の存在下で、塩が還元されて第1群元素のナノ粒子が析出す
る速度が、前駆体が重合して第2群元素酸化物のナノ粒子が析出する速度より大
きくなるように、塩および前駆体を選択する。
(2)第1溶液に還元剤を混合して第1群元素のナノ粒子を析出させ、静置して凝集
させた後、第2溶液を投入し第2群元素酸化物のナノ粒子を析出させ、これらナノ粒
子の混合物を回収する。
を行い、
次いで、上記第2段階は、下記の工程(3)(4):
(3)上記混合物を水熱処理して第1群元素のナノ粒子と第2群元素酸化物のナノ粒子とを合金化して複合ナノ粒子とする。
(4)上記複合ナノ粒子を焼結してバルク体とする。
を順次行うことを特徴とするナノコンポジット熱電変換材料の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
第1群元素を、Si、Bi、Sb、Te、Seから選択することを特徴とするナノコンポジット熱電変換材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
第2群元素を、Si、Bi、Sb、Te、Se、Ti、Alから選択することを特徴とするナノコンポジット熱電変換材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の形状を有するフォノン散乱粒子が熱電変換材料マトリクス中に分散したナノコンポジット熱電変換材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノコンポジット熱電変換材料は、熱電変換材料をマトリクスとし、このマトリクス中にナノサイズのフォノン散乱粒子をナノオーダーの間隔で分散させたナノコンポジット構造を有する熱電変換材料である。
【0003】
熱電変換材料の変換効率は下記の無次元性能指数ZTによって表される。また、α×σ=PFは、出力因子あるいは電気特性と呼ばれる。
ZT=α×σ×T/κ………変換効率(無次元性能指数)
α×σ=PF…………………出力因子(電気特性)
α:ゼーベック係数
σ:電気伝導率
κ:熱伝導率
T:絶対温度
【0004】
最上式に示したように変換効率は熱伝導率κの逆数に比例するため、熱伝導率が小さいほど変換効率は高まる。ナノコンポジット熱電変換材料は、ナノサイズのフォノン散乱粒子をナノオーダーの間隔で配置してフォノン散乱を増強し、熱伝導率κのうちフォノン伝導分を低下させて熱伝導率κを低下させる。
【0005】
より高い熱電変換性能を達成するには、フォノン散乱粒子によるフォノン散乱効果を高める必要がある。例えば、特許文献1には、熱電変換材料マトリクスとフォノン散乱粒子との界面が0.1nm以上の界面粗さを付与することで、フォノン散乱効果を高めている。これにより、それ以前に比べると熱伝導率が低下し熱電変換性能が向上する。
【0006】
しかし、フォノン散乱粒子と熱電変換材料マトリクスとの界面の粗さによる効果には限界があった。すなわち界面の粗さに留まらず、フォノン散乱粒子の形状全体をフォノン散乱に有利な形状にすれば、更に熱伝導率が低下して熱電変換性能の向上が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4715953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定の形状のフォノン散乱粒子を分散させて熱伝導率を低減し熱電変換性能を高めたナノコンポジット熱電変換材料を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の製造方法は、熱電変換材料のマトリクス中にフォノン散乱粒子として酸化物が分散したナノコンポジット熱電変換材料の製造方法であって、
溶液中で、熱電変換材料を構成する元素を塩の還元により、フォノン散乱粒子を構成する酸化物を前駆体の重合により、それぞれナノ粒子として析出および成長させ、これらナノ粒子の混合物を回収する第1段階、および
上記混合物を水熱処理により合金化して複合ナノ粒子とした後に焼結する第2段階を含み、
上記第1段階において、熱電変換材料を構成する第1群元素のナノ粒子の析出または成長を、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物のナノ粒子の析出または成長よりも先行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱電変換材料を構成する第1群元素のナノ粒子の析出または成長を、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物のナノ粒子の析出または成長に対して先行させることにより、先行して析出・成長し凝集した熱電変換材料ナノ粒子間の間隙または谷間を充填する状態でフォノン散乱ナノ粒子が析出・成長するので、フォノン散乱ナノ粒子の外形は2つ以上の円弧から成る多重円弧形となり、従来得られた概略球形に比べて下記(1),(2),(3)の効果が得られる。
【0011】
(1)同量の球形フォノン散乱粒子に比べて、フォノン散乱界面積が著しく増加し、熱伝導率が大幅に低減できる。
(2)従来の球形フォノン散乱粒子に比べて、少ない量のフォノン散乱粒子で等しい熱伝導率低減効果を達成できるので、電気絶縁性のフォノン散乱粒子を用いた場合に導電性の低下を軽減できる。
(3)伝導キャリアの入射方向によっては、キャリアのトンネル効果が起き、電気伝導率の低下を更に低減できる。
上記(1)(2)(3)の効果により、熱電変換効率ZTが大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、先行して析出・成長する熱電変換材料構成元素(第1群元素)のナノ粒子の表面に後から析出・成長するフォノン散乱粒子構成元素(第2群元素)が第1群元素のナノ粒子の表面形状を反映して2つ以上の円弧形状から成ることを示し、(1)は複合ナノ粒子の状態、(2)は焼結後のバルク体の状態を示す。
図2図2は、本発明の二重円弧形状のフォノン散乱ナノ粒子が、熱電変換材料構成元素ナノ粒子の表面に形成される際の、接触角θを示す。
図3図3は、本発明の二重円弧形状のフォノン散乱粒子と、従来の球形フォノン散乱粒子とについて、熱電変換材料マトリクスとの界面の密度を、ナノ粒子体積に対して示す。
図4図4は、本発明による多重円弧形状から成る(1)接触角θ大および(2)接触角θ小のナノ粒子と、(3)従来の球形のナノ粒子について、キャリア散乱およびトンネル効果を比較して模式的に示す。
図5図5は、反応速度を説明するためのグラフである。
図6図6は、ナノコンポジット熱電変換材料のフォノン散乱粒子の体積分率に対する格子熱伝導率を実施例と比較例について比較して示す。
図7図7は、ナノコンポジット熱電変換材料のフォノン散乱粒子の体積分率に対する電気伝導率を実施例と比較例について比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、熱電変換材料のマトリクス中にフォノン散乱粒子として酸化物が分散したナノコンポジット熱電変換材料の製造方法であって、
溶液中で、熱電変換材料を構成する元素を塩の還元により、フォノン散乱粒子を構成する酸化物を前駆体の重合により、それぞれナノ粒子として析出および成長させ、これらナノ粒子の混合物を回収する第1段階、および
上記混合物を水熱処理により合金化して複合ナノ粒子とした後に焼結する第2段階を含み、
上記第1段階において、熱電変換材料を構成する第1群元素のナノ粒子の析出または成長を、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物のナノ粒子の析出または成長よりも先行させることを特徴とする。
【0014】
本発明において、上記第1段階において、熱電変換材料構成元素のナノ粒子の析出または成長を、フォノン散乱粒子構成酸化物のナノ粒子の析出または成長よりも先行させる方法は、下記<A><B><C>のいずれかの形態による。
【0015】
形態<A>
下記の工程(1)(2)を順次行う:
(1)下記条件《1》を満たすように、熱電変換材料を構成する第1群元素の塩と、
フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物の前駆体との溶液を形成する。
《1》上記溶液中において、同一の還元剤の存在下で、塩が還元されて第1群元
素のナノ粒子が析出する速度が、前駆体が重合して第2群元素酸化物のナノ粒子
が析出する速度より大きくなるように、塩および前駆体を選択する。
(2)上記溶液に還元剤を混合して塩から第1群元素のナノ粒子を析出させるのと同
時に、前駆体の重合により第2群元素酸化物のナノ粒子を析出させ、これらナノ粒子
の混合物を回収する。
【0016】
形態<B>
下記の工程(1)(2)を順次行う:
(1)下記条件《1》を満たすように、熱電変換材料を構成する第1群元素の塩の第
1溶液およびフォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物の前駆体の第2溶液をそ
れぞれ形成する。
《1》同一の還元剤の存在下で、塩が還元されて第1群元素のナノ粒子が析出す
る速度が、前駆体が重合して第2群元素酸化物のナノ粒子が析出する速度より大
きくなるように、塩および前駆体を選択する。
(2)第1溶液に還元剤を混合して第1群元素のナノ粒子を析出させた後、第2溶液
を投入し第2群元素酸化物のナノ粒子を析出させ、これらナノ粒子の混合物を回収す
る。望ましくは、上記投入後、1〜48hr撹拌熟成させる。アルコキシドの場合は
、ゾルゲル反応を促進させるために水を白濁しない程度に投入する。
【0017】
<C>下記の工程(1)(2)を順次行う:
(1)下記条件《1》を満たすように、熱電変換材料を構成する第1群元素の塩の第
1溶液およびフォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物の前駆体の第2溶液をそ
れぞれ形成する。
《1》同一の還元剤の存在下で、塩が還元されて第1群元素のナノ粒子が析出す
る速度が、前駆体が重合して第2群元素酸化物のナノ粒子が析出する速度より大
きくなるように、塩および前駆体を選択する。
(2)第1溶液に還元剤を混合して第1群元素のナノ粒子を析出させ、静置して凝集
させた後、第2溶液を投入し第2群元素酸化物のナノ粒子を析出させ、これらナノ粒
子の混合物を回収する。望ましくは、上記静置は1〜48hr行い、十分に凝集させ
る。望ましくは、第2溶液の投入後は、超音波で十分に拡散促進させた後、1〜48
hr撹拌熟成させる。アルコキシドの場合は、ゾルゲル反応を促進させるために水を
白濁しない程度に投入する。
【0018】
本発明の方法における上記第2段階は、具体的には下記の工程(3)(4)を順次行う。
【0019】
(3)上記混合物を水熱処理して第1群元素のナノ粒子と第2群元素酸化物のナノ粒子とを合金化して複合ナノ粒子とする。水熱処理の温度は、一般に175〜550℃、望ましくは240〜350℃、より望ましくは240〜300℃である。
通常、水熱処理に供するナノ粒子の混合物は、洗浄により不純物成分を除去する。
水熱処理後には、乾燥により溶媒を除去して、複合ナノ粒子の粉末として回収する。
【0020】
(4)上記複合ナノ粒子を焼結してバルク体とする。焼結の温度は、一般に250〜550℃、望ましくは300〜500℃、より望ましくは300〜450℃である。
【0021】
図1を参照して、本発明の(1)複合ナノ粒子の析出・成長状況および(2)焼結体中のフォノン散乱粒子の分散状況を説明する。
まず図1(1)に示すように、本発明の第1段階において、熱電変換材料の球形のナノ粒子M’が先行して析出・成長し、次いで、(A)単独の熱電変換材料ナノ粒子M’の表面にフォノン散乱ナノ粒子Pが析出し、断面が2個の円弧から成る2重円弧(三日月)状に成長する、または(B)2個の熱電変換材料ナノ粒子M’の接触した谷間にフォノン散乱ナノ粒子Pが析出し、断面が3個の円弧から成る3重円弧状に成長する、または(C)3個の熱電変換材料ナノ粒子M’の2個の接触した谷間にまたは3個の接触した穴に、フォノン散乱粒子Pが析出し、断面が3個の円弧から成る3重円弧状に成長する。
このようにして、熱電変換材料ナノ粒子M’とフォノン散乱ナノ粒子Pとの混合物が得られる。
【0022】
本発明の第2段階において、この複合ナノ粒子Cを水熱反応により合金化した後に焼結すると、図1(2)に示すように、熱電変換材料のマトリクスM中に2重または3重円弧状のフォノン散乱粒子Pが分散したナノコンポジット熱電変換材料10が得られる。
【0023】
図2を参照して、熱電変換材料ナノ粒子M’の表面に析出・成長したフォノン散乱ナノ粒子Pの2重円弧形状(三日月状)の断面の両端部と熱電変換材料ナノ粒子M’の表面との接触角θについて説明する。
【0024】
望ましくは、接触角θは1°<θ<90°であり、ナノ粒子の直径aは1nm<a<50nmであり、より望ましくはθ<60°、a<15nmである。
【0025】
θが90°未満になることで、同じ体積でもフォノン散乱界面積が大幅に増加する。ナノ粒子直径aが小さくなると同様に界面積が増加する。
【0026】
図3に、本発明の多重円弧形状のナノ粒子の直径bの値を種々に変えた場合について、熱交換器熱電変換材料中のフォノン散乱粒子の体積率(vol%)と界面密度との関係を計算値で示す。従来の球形状のナノ粒子に比較して、本発明の多重円弧形状によりナノ粒子界面積が大幅に増大することが分かる。図中、aはフォノン散乱粒子の直径である。
【0027】
更に、上記θ、aの範囲内であれば、キャリアの入射方向によっては、トンネル効果が発生するサイズ(数原子層〜数nm)を含むことが可能になる。
これについて、図4に、(1)(2)本発明により形成した多重円弧形状のフォノン散乱粒子と(3)従来の球形のフォノン散乱粒子について、キャリア散乱およびトンネル効果の様子を模式的に示す。本発明によれば、(1)接触角θが大きい場合には三日月状断面の両端部で、(2)接触角θが小さい場合には三日月状断面の全体について、トンネル効果が発生するサイズ(フォノン散乱粒子の断面厚さ)になり得る。従来の球形(3)では、トンネル効果が発生するサイズは得難い。
【0028】
なお、図5を参照して、本発明の形態<A><B>における「析出する速度」を説明する。図5に示されるように、一般に合成反応において、時間と反応体濃度の低下率(反応率)の関係を表すグラフの傾きを反応速度と呼ぶ。例えば、図5の一次反応の場合は、ln(C/C0)=−kt、C:濃度(時刻t)、C0:初期濃度(時刻t=0)、t:反応開始からの経過時間、k:反応速度定数である。アレニウスの式により、k=Aexp(−E/RT)である。
【0029】
本発明の実施形態A、B、Cを比較すると相対的に下記の特徴がある。
実施形態A…長所:フォノン散乱粒子の直径aが小さい。
短所:接触角θが大きい。
実施形態B…長所:接触角θが小さい。したがって、界面密度が大きい。
短所:フォノン散乱粒子の直径aが中程度。
実施形態C…長所:弧の数が多い。
したがって、同一のフォノン散乱粒子直径での界面積が大きい。
短所:フォノン散乱粒子の直径aが大きい。
【実施例】
【0030】
本発明の実施形態A、B、Cにより、表1に示す条件でBiTeSb合金の熱電変換材料マトリクス中に断面が多重円弧状のフォノン散乱粒子が0.5〜11vol%分散したナノコンポジット熱電変換材料を作製し、接触角θ、ナノ粒子直径a、格子熱伝導率κ、電気伝導率を測定した。測定結果も表1に示した。
【0031】
《本発明例のサンプル作製》
〔マトリクス熱電変換材料用原料〕
ナノコンポジット熱電変換材料のマトリクス熱電変換材料として、各形態共通のBiTeSb熱電変換材料を構成する第1群元素(Bi、Sb、Te)の塩として、下記原料を用いた。
[第1群元素の塩]
Bi源:BiCl 0.24g
Sb源:SbCl 0.68g
Te源:TeCl 1.51g
以下、実施形態A、B、C毎に説明する。
【0032】
実施形態<A>:実施例1〜7
〔フォノン散乱粒子用原料〕
表1の実施例1〜7に示すように、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物(SiO)の前駆体として、TEOS(テトラエトキシシラン:Si(OC)を用いた。
【0033】
[第2群元素酸化物の前駆体]
SiO源:TEOS 0.14g
溶媒として、表1の実施例1〜7に示したように、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2プロパノールのいずれかを用いた。
【0034】
まず、第1段階として、下記の工程(1)(2)を順次行った。
(1)溶液の形成
上記の第1群元素の塩と第2群元素酸化物の前駆体とを上記各溶媒100mlに溶解して表1に示した実施例1〜7の各溶液を作製した。
上記の溶液に、還元剤としてNaBH(1.59g)、N・HO(2.10g)、アスコルビン酸(7.40g)のいずれかを上記溶媒100mlに溶解した溶液を表1に示したように用いた。
【0035】
実施形態<A>に必要な条件《1》は下記のとおり満たされている。
条件《1》:実施例1〜7の各溶液中において、各還元剤に対して、第1塩(BiCl、SbCl、TeCl)が還元されて第1群元素(Bi、Sb、Te)が析出する速度は、前駆体(TEOS)が重合して第2群元素酸化物(SiO)が析出する速度より大きい。
【0036】
(2)ナノ粒子の析出・成長
実施例1〜7の各溶液に表1に示した各還元剤溶液を滴下し、第1群元素(Bi、Sb、Te)を析出させつつ、第2群元素酸化物(SiO)を析出させた。その際、図1(1)に示すように、析出速度が大きい第1群元素(Bi、Sb、Te)が先に成長して球状のナノ粒子となり、そのナノ粒子の表面あるいはナノ粒子間の間隙または谷間に第2群元素酸化物(SiO)のナノ粒子が多重円弧状に成長した。
【0037】
得られた実施例1〜7の各溶媒のスラリーを水500mlでろ過洗浄し、その後更に、同じ溶媒300mlでろ過洗浄した。これによりナノ粒子の混合物が得られた。
【0038】
次に、第2段階として、下記の工程(3)(4)を順次行った。
(3)水熱処理:複合ナノ粒子の形成
上記の混合物を密閉のオートクレーブに入れ、240℃、48hrの水熱処理を行い、合金化させた。その後、窒素ガスフロー雰囲気中で乾燥させた。これにより、BiTeSb合金ナノ粒子とSiOナノ粒子との複合ナノ粒子の粉末が回収された。
【0039】
(4)焼結:ナノコンポジット熱電変換材料の完成
複合ナノ粒子粉末を360℃でSPS焼結した。これにより、BiTeSb熱電変換材料マトリクス中にフォノン散乱粒子としてのSiOナノ粒子が分散したナノコンポジット熱電変換材料のバルク体が得られた。
【0040】
TEM観察により、実施例1〜7のSiOの接触角θおよび直径aを測定し、各々表1に示す。
得られた焼結体の格子熱伝導率および電気伝導率を測定し、結果を表1に示す。
【0041】
実施形態<B>:実施例8〜14
〔フォノン散乱粒子用原料〕
〔フォノン散乱粒子用原料〕
表1の実施例8〜14に示すように、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物(SiO、Bi、Sb、TeO、TiO)の前駆体として、それぞれ珪酸ソーダ3号、TEOS、Biエトキシド、Sbエトキシド、Teエトキシド、Tiアルコキシドを用いた。
【0042】
[第2群元素酸化物の前駆体]
SiO源 :TEOS 0.14g
:珪酸ソーダ 0.08g
Bi源:Biエトキシド 0.23g
Sb源:Sbエトキシド 0.17g
TeO源 :Teエトキシド 0.21g
TiO源 :Tiアルコキシド 0.15g
溶媒として、表1の実施例8〜14に示したように、2−プロパノールを用いた。
【0043】
まず、第1段階として、下記の工程(1)(2)を順次行った。
(1)溶液の形成
上記の第1群元素の塩を溶媒2−プロパノール100mlに溶解して第1溶液とし、上記の第2群元素酸化物の前駆体を溶媒2−プロパノール100mlに溶解して第2溶液とした。
上記の溶液に、還元剤としてNaBH(1.59g)、N・HO(2.10g)のいずれかを溶媒2−プロパノール100mlに溶解した溶液を表1に示したように用いた。
【0044】
実施形態<B>に必要な条件《1》は下記のとおり満たされている。
条件《1》:実施例8〜14の各溶液中において、各還元剤に対して、塩(BiCl、SbCl、TeCl)が還元されて第1群元素(Bi、Sb、Te)が析出する速度は、前駆体(珪酸ソーダ3号、TEOS、Biエトキシド、Sbエトキシド、Teエトキシド、Tiアルコキシド)が重合して第2群元素酸化物(SiO、Bi、Sb、TeO、TiO)が析出する速度より大きい。
【0045】
(2)ナノ粒子の析出・成長
実施例8〜14の各第1溶液に表1に示した各還元剤溶液を滴下し、第1群元素(Bi、Sb、Te)を析出させた後、第2溶液を投入し第2群元素酸化物(SiO、Bi、Sb、TeO、TiO)を析出させた。その際、図1(1)に示すように、析出速度が大きい第1群元素(Bi、Sb、Te)が先に析出・成長して球状のナノ粒子となり、そのナノ粒子の表面あるいはナノ粒子間の間隙または谷間に第2群元素酸化物(SiO、Bi、Sb、TeO、TiO)のナノ粒子が多重円弧状に成長した。
【0046】
得られた実施例8〜14の2−プロパノールのスラリーを水500mlでろ過洗浄し、その後更に、2−プロパノール300mlでろ過洗浄した。これによりナノ粒子の混合物が得られた。
【0047】
次に、第2段階として、下記の工程(3)(4)を順次行った。
(3)水熱処理:複合ナノ粒子の形成
上記の混合物を密閉のオートクレーブに入れ、240℃、48hrの水熱処理を行い、合金化させた。その後、窒素ガスフロー雰囲気中で乾燥させた。これにより、BiTeSb合金ナノ粒子とSiO、Bi、Sb、TeOまたはTiOのナノ粒子との複合ナノ粒子の粉末が回収された。
【0048】
(4)焼結:ナノコンポジット熱電変換材料の完成
複合ナノ粒子粉末を360℃でSPS焼結した。これにより、BiTeSb熱電変換材料マトリクス中にフォノン散乱粒子としてのSiOナノ粒子、Biナノ粒子、Sbナノ粒子、TeOナノ粒子またはTiOナノ粒子が分散したナノコンポジット熱電変換材料のバルク体が得られた。
【0049】
TEM観察により、実施例8〜14のSiO、Bi、Sb、TeOまたはTiOの接触角θおよび直径aを測定し、各々表1に示す。
得られた焼結体の格子熱伝導率および電気伝導率を測定し、結果を表1に示す。
【0050】
実施形態<C>:実施例15〜16
〔フォノン散乱粒子用原料〕
〔フォノン散乱粒子用原料〕
表1の実施例15〜16に示すように、フォノン散乱粒子を構成する第2群元素酸化物(SiO、Sb)の前駆体として、それぞれTEOS、Sbエトキシドを用いた。
【0051】
[第2群元素酸化物の前駆体]
SiO源 :TEOS 0.14g
Sb源:Sbエトキシド 0.17g
溶媒として、表1の実施例15〜16に示したように、エタノールを用いた。
【0052】
まず、第1段階として、下記の工程(1)(2)を順次行った。
(1)溶液の形成
上記の第1群元素の塩を溶媒エタノール100mlに溶解して第1溶液とし、上記の第2群元素酸化物の前駆体を溶媒エタノール100mlに溶解して第2溶液とした。
上記の溶液に、還元剤としてN・HO(2.10g)を溶媒エタノール100mlに溶解した還元剤溶液を表1に示したように用いた。
【0053】
(2)ナノ粒子の析出・成長
実施例15〜16の各第1溶液に表1に示した各還元剤溶液を滴下し、第1群元素(Bi、Sb、Te)を析出させた。48時間静置して、ナノ粒子を凝集させた。その後、第2溶液を投入し第2群元素酸化物(SiO、Sb)を析出させた。その際、図1(1)に示すように、第1群元素(Bi、Sb、Te)が既に析出・成長して球状のナノ粒子となった状態であり、そのナノ粒子の表面あるいはナノ粒子間の間隙または谷間に第2群元素酸化物(SiO、Sb)のナノ粒子が多重円弧状に成長した。
【0054】
得られた実施例15〜16のエタノールスラリーを水500mlでろ過洗浄し、その後更に、エタノール300mlでろ過洗浄した。これによりナノ粒子の混合物が得られた。
【0055】
次に、第2段階として、下記の工程(3)(4)を順次行った。
(3)水熱処理:複合ナノ粒子の形成
上記の混合物を密閉のオートクレーブに入れ、240℃、48hrの水熱処理を行い、合金化させた。その後、窒素ガスフロー雰囲気中で乾燥させた。これにより、BiTeSb合金ナノ粒子とSiOまたはSbのナノ粒子との複合ナノ粒子の粉末が回収された。
【0056】
(4)焼結:ナノコンポジット熱電変換材料の完成
複合ナノ粒子粉末を360℃でSPS焼結した。これにより、BiTeSb熱電変換材料マトリクス中にフォノン散乱粒子としてのSiOナノ粒子またはSbナノ粒子が分散したナノコンポジット熱電変換材料のバルク体が得られた。
【0057】
TEM観察により、実施例15〜16のSiO、Sbの接触角θおよび直径aを測定し、各々表1に示す。
得られた焼結体の格子熱伝導率および電気伝導率を測定し、結果を表1に示す。
【0058】
〔比較例〕
比較のため、上記合金マトリクス中にフォノン散乱粒子として従来の球状のSiOナノ粒子(市販品:粒径5nmまたは15nm)が10〜15vol%分散したナノコンポジット熱電変換材料を作製した。
【0059】
《比較例の作製条件》
〔マトリクス熱電変換材料用原料〕
実施例1〜16と共通の原料を用いた。
[第1群元素の塩]
Bi源:BiCl 0.24g
Sb源:SbCl 0.68g
Te源:TeCl 1.51g
〔フォノン散乱粒子〕
市販品SiO(粒径5nmまたは15nm)を0.034〜0.054g(15vol%の場合)用いた。
【0060】
100mlのエタノール中に上記第1群元素の第1塩およびフォノン散乱粒子を投入し、得られた溶液に還元剤としてNaBH1.59gの100ml溶液の還元剤溶液を滴下して、第1群元素(Bi、Sb、Te)のナノ粒子とSiOナノ粒子との混合物を得た。この混合物を密閉のオートクレーブに入れ、240℃、48hrの水熱処理を行い、合金化させた。その後、窒素ガスフロー雰囲気中で乾燥させた。これにより、BiTeSb合金ナノ粒子とSiOナノ粒子との複合ナノ粒子の粉末が回収された。
【0061】
この複合ナノ粒子粉末を360℃でSPS焼結した。その際、SiOナノ粒子はそのまま維持され、BiTeSb熱電変換材料マトリクス中に分散したナノコンポジット熱電変換材料のバルク体が得られた。
【0062】
【表1】
表1に示したように、本発明例は、比較例に比べて、格子熱伝導率が大幅に低下し、かつ、高い電気伝導率が確保されている。
実施形態A、B、Cを比較する。
【0063】
接触角θは、実施形態A>B>Cの順に小さくなっている。
【0064】
粒子直径aは、実施形態A<B<Cの順に大きくなっている。
【0065】
これはいずれも、熱電変換材料ナノ粒子の比表面積がA<B<Cの順に大きくなるためである。それにより格子熱伝導率および電気伝導率が全般的に高くなる。
【0066】
図6、7に、本発明例と比較例について、ナノコンポジット熱電変換材料のフォノン散乱粒子の体積分率と各特性との関係を示す。
【0067】
まず図6にフォノン散乱粒子の体積率に対して格子熱伝導率をプロットした。体積率は、本発明例0.5〜11vol%、比較例5〜20vol%(粒径5nm)および10〜30vol%(粒径15nm)である。本発明例の代表として実施形態Bの結果を示した(図6、7、8について共通)。
【0068】
図中上部の水平破線(「BiSbTe」と付記)は、フォノン散乱粒子を含まないBiSbTe熱電変換材料(本発明のマトリクス材料)のみの場合の格子熱伝導率κphであり、0.90W/m/Kである。
【0069】
これに対して、球状のフォノン散乱粒子(SiO)が分散している比較例は、フォノン散乱粒子の粒径15nm(体積率10〜30vol%)の場合に格子熱伝導率κphが0.57〜0.52W/m/Kであり、粒径5nm(体積率5〜20vol%)の場合に格子熱伝導率κphが0.34〜0.12W/m/Kであり、フォノン散乱粒子の分散により、大幅に低下している。
【0070】
更に、多重円弧状のフォノン散乱粒子(体積率0.5〜11vol%)が分散している本発明例は、フォノン散乱粒子体積率の増加に伴い0.5〜0.02W/m/Kと低下の度合いが大きくなっており、少ない体積率で極めて大幅に格子熱伝導率κphが低下している。
【0071】
このように本発明によれば、多重円弧形状のフォノン散乱粒子により、フォノン散乱界面が大幅に増大(図3参照)したことにより、格子熱伝導率κphが大幅に低下する。
【0072】
次に図7に、フォノン散乱粒子の体積率に対して電気伝導率をプロットした。
図中上部の水平破線(「BiSbTe」と付記)は、フォノン散乱粒子を含まないBiSbTe熱電変換材料(本発明のマトリクス材料)のみの場合の電気伝導率σであり、900S/cmである。
【0073】
これに対して、球状のフォノン散乱粒子(SiO、粒径5nm、体積率10〜30vol%)が分散している比較例は、電気伝導率σが、270〜390S/cmであり、多重円弧状のフォノン散乱粒子(体積率0.5〜11vol%)が分散している本発明例は、比較例より高い体積率でフォノン散乱粒子が分散しているにもかかわらず320〜700S/cmと比較例より高い値を示している。
【0074】
この結果は、本発明によれば多重円弧状のフォノン散乱粒子は界面密度が高いにも関わらず、比較例の球状フォノン散乱粒子の場合と同一曲線上の変化となっていると観ることができる。これは、本発明の多重円弧状のフォノン散乱粒子は、トンネル効果(図4(1)(2)参照)により、界面増加によるキャリア散乱の増加(=電気伝導率の低下)が抑制されているためである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、多重円弧状のフォノン散乱粒子を分散させて熱伝導率を低減し熱電変換性能を高めたナノコンポジット熱電変換材料を製造する方法が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7