(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714713
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】圧電信号発生器
(51)【国際特許分類】
H03K 17/96 20060101AFI20150416BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20150416BHJP
H01L 41/04 20060101ALI20150416BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
H03K17/96 V
H01L41/113
H01L41/04
H01L41/053
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-536971(P2013-536971)
(86)(22)【出願日】2011年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-502440(P2014-502440A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】CH2011000218
(87)【国際公開番号】WO2012058777
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年6月25日
(31)【優先権主張番号】1847/10
(32)【優先日】2010年11月4日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513110001
【氏名又は名称】アルグラ・ホールディング・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・マッター
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・マーセル・メリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシュ・シヴァスブラマニアム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ガルトマン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・フツラー
(72)【発明者】
【氏名】アブヒラシュ・キツァケナス
【審査官】
柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06630894(US,B1)
【文献】
欧州特許出願公開第00576400(EP,A1)
【文献】
特開2007−208226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/96
H01L 41/04
H01L 41/053
H01L 41/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッタ(14;35)に動作可能に接続された少なくとも1つの圧電素子(12;20;31)を含む圧電信号発生器(10;30)であって、前記エミッタが、前記少なくとも1つの圧電素子の作動によって発生する電流(C)から、前記信号発生器(10;30)から離れた位置の受信器(16;36)によって無線で受信されることが可能な電磁信号(S)を発生させることが可能であり;前記少なくとも1つの圧電素子(12;20;31)が、導電性キャリア基底層(242)に接着する圧電セラミック層(241)を含み、前記導電性キャリア基底層が、厚さ(TP)を有する位置決定層(23)によって周辺部上に前記接着した圧電セラミック層(241)と共に保持され;前記接着した圧電セラミック層(241)と共に前記導電性キャリア基底層(242)が可逆変形可能であり;前記圧電素子(12;20;31)が、TG≦TPであるような厚さ(TG)を有するギャップ(29)によって前記可逆変形を制限するための、前記圧電セラミック層(241)または前記導電性キャリア基底層(242)に続いて位置するギャップ層(26)を含む、圧電信号発生器。
【請求項2】
前記導電性キャリア基底層(242)が、前記ギャップ層(26)によって周辺部を支持された金属の円盤(242)である、請求項1に記載の信号発生器(10)。
【請求項3】
前記圧電セラミック層(241)及び前記キャリア基底層(242)が、前記位置決定層(23)の厚さ(TP)とほぼ等しい厚さを有する密着したユニット(24)を形成する、請求項2に記載の信号発生器(10)。
【請求項4】
前記位置決定層の厚さ(TP)が、0.1mmから1mmの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の信号発生器(10)。
【請求項5】
前記ギャップ(29)の厚さ(TG)が、0.05mmから0.5mmの範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の信号発生器(10)。
【請求項6】
前記導電性キャリア基底層(242)が、約1から約20Paの範囲のマニュアル圧力に応じて予め定められ制限された前記変形が可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の信号発生器(10)。
【請求項7】
前記圧電素子(20)が、統合的に積層された構造であり、順に、最上層(21);前記位置決定層(23)に隣接し、前記圧電セラミック層(241)と接触する第1の接触層(22);前記導電キャリア基底層(242)に接触する第2の接触層(25);前記第2の接触層(25)と少なくとも1つのベース層(27)との間に位置する前記ギャップ層(26)を含む、請求項1に記載の信号発生器(10)。
【請求項8】
前記導電性キャリア基底層(242)が、ほぼ円形であり、約10mmから約50mmの範囲の直径を有し、前記圧電セラミック層(241)と共に、約0.1mmから約1.0mmの範囲の厚さを有する圧電ユニット(24)を形成する、請求項2から7のいずれか一項に記載の信号発生器(10)。
【請求項9】
前記位置決定層の厚さ(TP)が、前記圧電ユニット(24)の厚さとほぼ同一であり、前記ギャップ(29)が、ほぼ円形であり、前記円盤と同心円であり、前記ギャップ(29)の直径が、前記導電性キャリア基底層(242)の直径以下である、請求項8に記載の信号発生器(10)。
【請求項10】
圧電信号発生器(10;30)及び受信器(16;36)を含む信号発生システムであって、前記圧電信号発生器(10;30)が、エミッタ(14;35)に動作可能に接続された少なくとも1つの圧電素子(12;20;31)を含み、前記エミッタが、前記少なくとも1つの圧電素子の作動によって発生した電流(C)から、前記受信器(16;36)によって無線で受信されることが可能な電磁信号(S)を発生させることが可能であり;前記少なくとも1つの圧電素子(12;20;31)が、導電性キャリア基底層(242)に取り付けられた圧電セラミック層(241)を含み、厚さ(TP)を有する位置決定層(23)によって周辺部上に接着した前記圧電セラミック層(241)と共に保持され;接着した前記圧電セラミック層(241)と共に前記導電キャリア基底層(242)が、可逆変形することが可能であり;前記圧電素子(12;20;31)が、TG≦TPであるような厚さ(TG)を有するギャップ(29)によって前記可逆変形を緩衝するための、前記圧電セラミック層(241)または前記導電性キャリア基底層(242)に続いて位置するギャップ層(26)を含む、信号発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に通信技術に関し、具体的には、圧電信号発生器、すなわち圧電素子を用いてエミッタを活性化させ、電磁信号を発生させるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなさまざまなデバイスが当該技術分野において提案されており、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に提案されている。
【0003】
そのようなデバイスは、エミッタに接続されるすくなくとも1つの圧電素子を含み、圧電素子によって発生する電流がエミッタを活性化させ、電磁信号を発生させ、エミッタから離れた受信器に送信される。具体的な必要性に応じて、電磁信号の波長は可視光の範囲または高周波の範囲、例えば極超短波の範囲であってもよく、エミッタと受信器との間の距離は、数センチメートルから何メートルまで、または何キロメートルにわたる様々なものであってもよい。
【0004】
しかしながら、そのような製品は、もしあったとしても、商業的に可能なものとなるものはほとんどなく、ほとんどの先行技術の開示は、エミッタを活性化することが可能であることを前提とする圧電素子の本質を特定するものではない。特許文献5の場合のように圧電素子の特定がなされる場合、商業的に利用可能な屈曲した帯状の形態のバイモルフ素子が、十分な電気的エネルギー、典型的には数mJ(ミリジュール、mV・secに等しい)の範囲を提供することが提案されている。そのような圧電素子の実体的な変形は、エミッタの活性化に必要であり、もちろん、そのように構成されたデバイスの使用可能な寿命に対して弊害をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4612472号明細書
【特許文献2】米国特許第6630894号明細書
【特許文献3】独国特許第2314420号明細書
【特許文献4】独国特許第2939440号明細書
【特許文献5】欧州特許第1217742号明細書
【特許文献6】欧州特許第0210386号明細書
【特許文献7】欧州特許第0576400号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の主たる目的は、圧電素子の変形が制限される一方でエミッタを活性化させる十分な電気的エネルギーを発生させる、上述した種類の圧電信号発生器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的と共に後述する明細書から明らかになるさらなる利点は、請求項1に規定された圧電信号発生器によって達成されるであろう。本発明の好適な実施形態は、請求項2から9に規定される。本発明はさらに、請求項10において特定される信号発生システムに関する。
【0008】
驚くべきことに、適切な圧電素子の、制御され制限された変形によって発生する電気的エネルギーは、エネルギー感受性のエミッタの活性化に十分な電気的エネルギーを発生させることができることが分かっている。
【0009】
一般的に、本発明に関する信号発生器は、エミッタに動作可能に接続された少なくとも1つの圧電素子を含み、この場合、エミッタは、圧電素子の活性化によって発生する電流から、発生器から離れた受信器によって無線で受信されることが可能な電磁信号を発生することができる。
【0010】
本発明に関する圧電信号発生器は、エミッタに動作可能に接続された、すなわち、圧電素子によって発生した電気的エネルギーによってエミッタが電磁信号を発生させ送信するように接続された、少なくとも1つの圧電素子を含む。そのようなエミッタは、例えば、特許文献2で説明されているように、当該技術分野で知られており、詳細に説明する必要はない。明らかに、圧電素子、すなわち動作に必要なマニュアルの圧力は、本発明に関する信号発生器におけるエミッタの唯一のエネルギー源である。
【0011】
受信器の仕様は、エミッタから受け取る電磁放射に依存する。また、そのような受信器は、当該技術分野で周知であり、ここでは具体的な議論を行う必要性はない。
【0012】
本発明に関する使用に適した種類の圧電素子は、例えば特許文献6及び特許文献7から知られているが、以下にさらに詳細に説明されるいくつかの具体的な特徴を必要とする。一般にそのような素子は、鋼鉄を含む鉄、ニッケル、銀、または合金のような導電性材料からなる、または導電性材料によって覆われるキャリア基底層に接着した圧電セラミック層を含む。
【0013】
キャリア基底層及び接着した圧電セラミック層は、典型的には約1から約20パスカルの範囲のマニュアル圧力によってエミッタを活性させるのに必要とされる電気的エネルギーを発生させるのに必要な、繰り返し可逆変形を可能とするものでなければならず、そのような繰り返しの変形は、圧電セラミック層及びそのエネルギー発生能力に損傷を引き起こすものであってはならない。適切な製品は商業的に利用可能であり、典型的には、例えば、鋼鉄からなる約0.05から0.5mm、好適には約0.1から0.3mmの範囲の厚さを有する円形の金属円盤を、典型的には金属円盤と同じ範囲の厚さを有する圧電セラミック層の接着層とともに含み、金属円盤は圧電セラミック層のキャリア基底層として働く。典型的には、セラミック層の厚さは、そのキャリア基底層の厚さとほぼ同じである。構造的に簡略であるという理由により、円形が好適である一方で、これはそれほど重要ではなく、位置決定層及びギャップ層が適切に形状形成されてキャリア基底層の周辺部の支持を提供するのであれば、その他の円形または多角形構造が適切なものとなるであろう。円盤の直径、または非円形の形状の最大径は、例えば約5から約50mmまでの間で様々なものであってもよい。
【0014】
本発明の目的に関して、圧電セラミック層の変形が、注意深く選択された制限の範囲内に保たれることは不可欠である。最小の変形は、素子の動作寿命に関する限りにおいて重要であるようには見えないが、そのような最小値はエミッタを活性化させるのに必要な最小圧電出力に依存することになることは明らかである。反対に、最大の変形は有害であると考えられており、注意深い制限を必要とする。本発明に関して、そのような制限は、信号発生器の活性化で発生する変形量に関してストッパーとして働くギャップの厚さを制限することにより達成することが可能であることが分かっている。明らかに、圧電セラミック層のキャリア基底層は、圧電セラミック層が十分に変形してエミッタを活性化するのに必要な電気的エネルギーを発生されるように選択されなければならない。一般に、本発明に関するギャップの厚さは、約0.05から約0.50mmの範囲であり、好適には約0.1から約0.25mmの範囲であろう。
【0015】
キャリア基底層に関して適切な金属の好適な例は、ステンレススチール(例えばSUS304)、FeNi合金の組み合わせ、真鍮合金及びその他の類似の物理的及び化学的特性を有する金属である。
【0016】
(定義)
本明細書で用いられる「合成ポリマー」との用語は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアルカンまたは典型的には電気的に絶縁性でありプリント回路基板のような積層構造を製造する従来技術に用いられる類似の材料のような、高分子物質を含むことが意図されている。
【0017】
「導電性」という用語は、金属またはグラファイトのような本質的に導電性である材料または塗布によって導電性とされた材料を指す。典型的な金属は、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、マグネシウム、銅、銀、金及びそのような金属の合金を含む。
【0018】
「可逆変形」という用語は、キャリア基底層の形状を接着した圧電セラミック材料と共に可逆変化させることを指し、本明細書では、最大変形の部分で測定された長さの単位、すなわち、停止時及び変形時において最大変形が発生するキャリア基底層の部分の位置の間の距離で表現される。
【0019】
「圧電セラミック材料」という用語は、圧電特性を示し、例えばセラミックの製造において用いられる方法によってキャリアに接着されて作ることが可能な結晶性材料を指す。そのような材料は、様々な商標及び商品名で様々な製造業者から市販されており、これ以上の議論を必要としない。
【0020】
「接着剤」という用語は本明細書では、電気技術及び電子技術において使用される多層構造を製造する積層技術において用いられる材料を指す。溶剤を有するまたは有しない熱可塑性ポリマー及びその混合物は、典型的な例である。
【0021】
数値の記載で用いられる「約」という用語は、本明細書では±30%の誤差範囲を含むことを意図される。
【0022】
本発明は、以下の添付した図を参照して、本発明の好適ではあるが限定的でない実施形態を参照してより詳細に説明され、例示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に関する信号発生システムのブロック図である。
【
図2】圧電素子の主な構成要素の概略的な分解断面図である。
【
図2A】マニュアル圧力によって活性化される際の動作可能に接続された
図2の素子の概略断面図である。
【
図3】本発明に関する圧電信号発生器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示されるように、本発明に関するシステムは、エミッタ14を活性化して、送信し受信器16によって受信される電磁信号Sを発生させる電流Cを発生させる1つまたは複数の圧電素子12を含む圧電信号発生器10を含む。受信器16の特性は、もちろん、送信器14によって発生する電磁放射の種類、すなわち、電波の範囲であるか、IR及びUV部を含む可視光範囲であるかに依存する。
【0025】
本発明に関して用いられる
図1の圧電素子12の構成要素の一例が、
図2において分解図として概略的に示され、本発明に関する好適な圧電素子20の本質的な構成層を示している。これは、導電層22と接着して接続するための上部層または最上層21を含む。これは、全てが導電性材料からなる層であってもよいが、埋め込まれた導電部を有する誘電体材料からなるものであってもよく、導電部は、キャリア基底層242に接着接続される圧電セラミック層23の隣接部に接触する。圧電セラミック層241は、キャリア基底層242と共に、様々な製造業者から市販されるような圧電ユニット構造24を形成する。
【0026】
圧電ユニット構造24は、円盤の形状を有しており、構造24を受け入れ密接に保持する開口を有する位置決定層23によって取り囲まれている。位置決定層23の上面及び下面は、本質的には圧電ユニット構造24の上面及び下面と同一平面である。換言すれば、位置決定層23の厚さT
Pは、圧電ユニット24の厚さと本質的に同一である。
【0027】
素子20の隣の層は、キャリア基底層242と接触する別の導電層25である。また、上部導電層22と共に、下部導電層は接触支持部242に関する領域のみ導電性であってもよく、エミッタとの電気的接続のための導線を形成する。
【0028】
層26はギャップ層であり、典型的には誘電体材料からなる。明らかなように(
図3を参照)、ギャップ層26の内縁部261は、対応する位置決定層23の内縁部231よりもギャップ29の中心に近い方により突出している。結果として、キャリア基底層242は、ギャップ層26によって周辺部で支持され、ギャップ層26は、誘電体または金属のいずれかでありうるベース層27と接着して接触している。ギャップ29の厚さT
Gは、層26の厚さによって実質的に決定され、層26の厚さに等しい。
【0029】
図2Aは、上方から作用するマニュアル圧力Pによって、例えば典型的には約2から約20Paの範囲のマニュアル圧力によって作動されるときの複数の積層層の多層統合積層体としての動作時の関係における
図2の全ての層を示している(素子20の下部支持部は
図2Aにおいては省略されている)。結果として、ギャップ層26の上部の全ての層は変形するが、一般的に圧縮されることはなく、電流は圧電セラミック層241によって発生することとなる。
【0030】
図2及び
図2Aにおける層の厚さは、例示の目的のために大きく拡大されている。実際には、
図2及び2Aの積層体全体は、一般に約1mmよりも実質的に大きくはない厚さを有する薄い積層膜である。また、
図2及び2Aに示される比率は実際のものではなく、例示及び理解のために供するものである。典型的には、層25は、隣接する層23及び26のどちらよりも実質的に薄い。従って、実際の場合には、圧電セラミック層241の屈曲変形は、実際にはギャップ29の厚さによって、すなわちギャップ層26の厚さT
Gによって制限されることとなる。
【0031】
図2、2A及び3から明らかなように、ユニット24を保持する位置決定層23の開口部は円形であり、縁231によって画定される。ギャップ29は、円形であり、圧電ユニット24を保持する層23の円形の開口部と同心円である。
【0032】
明らかに、
図2におけるギャップ29はギャップ層を全貫通して形成される一方で、より厚いがギャップがその凹部で、
図2を参照する場合にはギャップ層の「上部」表面に形成される層によって、同一の変形制限機能を達成することが可能である。そのような場合、凹部はギャップとして働き、適切な深さT
Gを有することとなる。
【0033】
好適には、ギャップ29は、位置決定層23の厚さT
Pの約半分よりも大きくない厚さT
Gを有し、典型的には約0.1から約0.3mmの範囲である。その意味では、ギャップ層26の内面または縁261によるキャリア基底層242の周辺部の支持は必須であることに注意すべきである。この理由により、ギャップ29の直径は、キャリア基底層242の直径を超えてはならない。これらの直径が等しい場合、中間層25が周辺支持部について十分なだけの最小の差を提供するものであってもよい。しかしながら、一般的に、ギャップ29の直径は、キャリア基底層242の直径よりも典型的には約0.5から約2mm、好適には約1mmだけやや小さくなり、空間的な変位が上述のようにギャップ29によって制限されていたとしても、平面のほとんどに渡ってマニュアル圧力Pの衝撃において基底層242の実質的な屈曲を提供する。
【0034】
同様に、ギャップ層26の機械的な特性は、動作圧力Pの衝撃において圧縮されないようなものでなければならず、すなわち、動作条件、典型的には室温において、ギャップ層26の厚さT
Gのどのような変化も、動作圧力Pの衝撃にさらされていないときの厚さの1%未満、好適には0.1%未満でなくてはならない。好適には、この条件は、圧電素子の全ての構成要素によって適合されるべきである。
【0035】
図3は、圧電信号発生器30の概略図である。圧電素子31は、上面視で示されており、対応する位置決定層23及びギャップ層26の内縁部231及び261(
図2を参照)のみが破線で示され、ギャップ層26によるキャリア基底層242の周辺支持部を示している。実際には、直径の差は典型的には小さい。
【0036】
図3に示される概略的な回路から明らかなように、圧電素子31によって発生した電気的出力は、エミッタの好適な形態の構成要素、すなわち信号発生器30から離れた受信器36に信号を送信するための整流器32、電圧レギュレータ33、電圧検出ユニット34及びマイクロコントローラユニット35に導かれる。
【0037】
制限され予め決定された圧電セラミック層の最大変形を有する本発明に関する信号発生器に用いられる上で開示された圧電素子は、1回のマニュアル圧力Pの動作において典型的には約1から約1000μJ(マイクロジュール)の範囲、好適には少なくとも約10μJである電気的エネルギーを発生することが可能であり、上限は圧電によって発生することができ、エミッタによって技術的に顕著な距離に渡って送信可能である信号を発生することができる電気の量によって規定される。
【0038】
上述した説明は例示的であり、本発明を制限する意図がないことは、圧電スイッチの技術分野の当業者であれば明らかであろう。例えば、上に好適に示された多層構造は、積層法によって予め形成された層からなるものであってもよく、いくつかまたはすべての層が成形または印刷のようなシート形成法によって適用されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 圧電信号発生器
14 エミッタ
16 受信器
20 圧電素子
21 最上層
22 導電層
23 位置決定層
231 内縁部
24 圧電ユニット構造
241 圧電セラミック層
242 キャリア基底層
25 導電層
26 ギャップ層
261 内縁部
27 ベース層
29 ギャップ
30 圧電信号発生器
31 圧電素子
32 整流器
33 電圧レギュレータ
34 電圧検出ユニット
35 マイクロコントローラユニット
36 受信器