特許第5714723号(P5714723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケー イノベーション  カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5714723-電池モジュール 図000002
  • 特許5714723-電池モジュール 図000003
  • 特許5714723-電池モジュール 図000004
  • 特許5714723-電池モジュール 図000005
  • 特許5714723-電池モジュール 図000006
  • 特許5714723-電池モジュール 図000007
  • 特許5714723-電池モジュール 図000008
  • 特許5714723-電池モジュール 図000009
  • 特許5714723-電池モジュール 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714723
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20150416BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20150416BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 E
   H01M2/30 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-547350(P2013-547350)
(86)(22)【出願日】2011年12月29日
(65)【公表番号】特表2014-504780(P2014-504780A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】KR2011010271
(87)【国際公開番号】WO2012091473
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2013年6月26日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0137981
(32)【優先日】2010年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ウヒュン
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−229788(JP,A)
【文献】 特開2010−282767(JP,A)
【文献】 特表2010−521046(JP,A)
【文献】 特開2000−243371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20 − 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の電池セルと、それぞれの電池セルから延びて互いに超音波溶接される電極タブと、を含む電池モジュールであって、
前記電池モジュールは、
上側に延びて形成された電極タブが、下側方向に折り曲げられ、さらに上側方向及び下側方向に繰り返して折り曲げられて形成される延長部と、前記延長部がさらに上側方向に折り曲げられて前記電池セルに平行な方向に溶接面を形成する溶接部と、を含んで形成されることを特徴とする、電池モジュール。
【請求項2】
隣接した負極の電極タブと正極の電極タブとが互いに溶接される直列形態を有し、互いに対向する方向に折り曲げられて前記溶接面を介して溶接されることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
隣接した同一の極性の電極タブが溶接される並列形態を有し、互いに対向する方向に折り曲げられて前記溶接面を介して溶接されることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
「W」または「N」字形状に折り曲げられて形成されるダミータブをさらに含み、前記ダミータブの一側と他側が隣接した電池モジュールの電極タブの溶接部とそれぞれ溶接されることを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関し、より詳細には、上側に延びて形成される電極タブが下側方向に折り曲げられた後、さらに上側方向に折り曲げられてジグザグ状に形成されることで、電池セルに平行に形成された溶接部を超音波振動で融着させても、ジグザグ状に形成された電極タブが振動を吸収して電池セルの損傷を最小化することができる電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンや重油を主原料として使用する内燃エンジンを用いる自動車は大気汚染などの公害発生に深刻な影響を与えている。したがって、最近は、公害発生を低減するために電気自動車またはハイブリッド(hybrid)自動車を開発する多くの取り組みが行われている。
【0003】
近年、高いエネルギー密度の非水電解液を用いた高出力二次電池が開発されている。
【0004】
電気自動車などのようにモータの駆動のための大電力を必要とする機器に用いられることができるように、複数個の高出力二次電池を直列連結して大容量の二次電池を構成する。
【0005】
上記のように1つの大容量二次電池(以下、「電池」という)は複数個のセルが直列または並列に連結される。
【0006】
この際、前記電池は複数個のセルを電気的に連結するための電極タブを備えており、前記複数個のセルは、クリップ、圧着、溶接、ボルト締結などの様々な方法で連結される。
【0007】
このうち、図1は従来の溶接方式を示した図面であって、図1に図示した従来の溶接方式は、電極タブ20の溶接部21がセル10に垂直な方向に折り曲げられて互いに重なるように位置された後、前記電極タブ20の溶接部21の面に垂直な方向に溶接が行われる。
【0008】
ところで、前記図1に図示した溶接方式は、3つ以上のタブの溶接、並列構造の連結、セルセンシングラインなどの追加溶接が困難であるという問題点がある。
【0009】
また、レーザ溶接方式の場合、レーザスポットサイズが約230μm程度にすぎず、溶接部位がそのスポットサイズ以内でなければならないため、モジュールの組み立て過程で量産性が非常に劣るという短所がある。
【0010】
したがって、溶接方法が簡単で、製造が容易であって量産性が高い電池モジュール及び電極タブの溶接方法の開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、上側に延びて形成される電極タブが下側方向に折り曲げられた後、さらに上側方向に折り曲げられてジグザグ状に形成されることで、電池セルに平行に形成された溶接部を超音波振動で融着させても、ジグザグ状に形成された電極タブが振動を吸収して電池セルの損傷を最小化することができる電池モジュールを提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、レーザ溶接に比べ量産性が高い超音波溶接で電極タブを溶接させても、電池セルが損傷することなく容易に製造することができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電池モジュール1は、2つ以上の電池セル100と、それぞれの電池セル100から延びて互いに超音波溶接される電極タブ200と、を含む電池モジュール1であって、前記電池モジュール1は、上側に延びて形成された電極タブ200が下側方向に折り曲げられ、さらに上側方向及び下側方向に繰り返して折り曲げられて形成される延長部210と、前記延長部210がさらに上側方向に折り曲げられて前記電池セル100に平行な方向に溶接面を形成する溶接部220と、を含んで形成されることを特徴とする。
【0014】
また、前記電池モジュール1は、隣接した負極の電極タブ200と正極の電極タブ200とが互いに溶接される直列形態を有し、互いに対向する方向に折り曲げられて前記溶接面を介して溶接されることを特徴とする。
【0015】
また、前記電池モジュール1は、隣接した同一の極性の電極タブ200が溶接される並列形態を有し、互いに対向する方向に折り曲げられて前記溶接面を介して溶接されることを特徴とする。
【0018】
また、前記電池モジュール1は、「W」または「N」字形状に折り曲げられて形成されるダミータブ300をさらに含み、前記ダミータブ300の一側と他側が隣接した電池モジュール1の電極タブ200の溶接部220とそれぞれ溶接されることを特徴とする。
【0019】
また、2つ以上の電池セル100と、それぞれの電池セル100から延びて互いに超音波溶接される電極タブ200と、を含む電池モジュール1の電極タブの溶接方法は、前記電池セル100に平行な方向に溶接面を形成する溶接部220、及び前記溶接部220と電池セル100とを連結するように延びる延長部210を含む電極タブ形成段階(S100)と、複数の前記電極タブ200の複数の溶接部220が互いに接するように、複数の溶接部220を固定する固定段階(S200)と、前記複数の溶接部220を超音波振動により融着させる超音波溶接段階(S300)と、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、前記固定段階(S200)で、電池セル100を固定するための治具が用いられることを特徴とする。
【0021】
また、前記超音波溶接段階(S300)は、前記複数の溶接部220の複数の溶接面が密着されるように密着部材で複数の溶接面を加圧する密着段階(S310)を含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記密着段階(S310)において、前記密着部材がローラまたはばねであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電池モジュール及び電極タブの超音波溶接方法は、上側に延びて形成される電極タブが下側方向に折り曲げられた後、さらに上側方向に折り曲げられてジグザグ状に形成されることで、電池セルに平行に形成された溶接部を超音波振動で融着させても、ジグザグ状に形成された電極タブが振動を吸収して電池セルの損傷を最小化することができるという長所がある。
【0024】
また、本発明の電池モジュール及び電極タブの超音波溶接方法は、レーザ溶接に比べ量産性が高い超音波溶接で電極タブを溶接させても、電池セルが損傷することなく容易に製造することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来の電池の溶接を示した図面である。
図2】本発明による電池モジュールの斜視図である。
図3】本発明による電池の斜視図である。
図4】本発明による電池の電極タブが折り曲げられた形状を示した断面図である。
図5】本発明による電池モジュールの断面図である。
図6】本発明による他の電池モジュールの断面図である。
図7】本発明によるさらに他の電池モジュールの断面図である。
図8】本発明によるさらに他の電池モジュールの斜視図である。
図9】本発明による電極タブの超音波溶接方法を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の電池モジュールを詳細に説明する。なお、図2〜5、7〜9は本発明の参考例について説明する図面であり、図6が本発明の実施の形態について説明する図面である。
【0027】
図1は従来の電池の溶接を示した図面であり、図2は本発明による電池モジュールの斜視図であり、図3は本発明による電池の斜視図であり、図4は本発明による電池の電極タブが折り曲げられた形状を示した断面図であり、図5は本発明による電池モジュールの断面図であり、図6は本発明による他の電池モジュールの断面図であり、図7は本発明によるさらに他の電池モジュールの断面図であり、図8は本発明によるさらに他の電池モジュールの斜視図であり、図9は本発明による電極タブの超音波溶接方法を示した概略図である。
【0028】
本発明の電池モジュール1は複数個の電池が連結されたものを意味し、前記電池モジュール1は、2つ以上の電池セル100と、それぞれの電池セル100から延びて互いに溶接される複数個の電極タブ200と、を含む。
【0029】
この際、前記電池モジュール1は、上側に延びて形成された電極タブ200が下側方向に折り曲げられる延長部210と、前記延長部210がさらに上側方向に折り曲げられて前記電池セル100に平行な方向に溶接面を形成する溶接部220と、を含んで形成される。
【0030】
図面において、溶接面は太い線で表示した。
【0031】
前記延長部210は、電池セル100に平行に上側に延びる第1延長部211と、前記第1延長部211の端部から下側方向に折り曲げられて延びる第2延長部212と、を含んで形成されることができる。
【0032】
即ち、前記第1延長部211は、前記溶接部220が前記電池セル100から離隔されるように前記電池セル100に平行に延びる部分である。また、前記第2延長部212は、前記第1延長部211から延び、端部に形成された溶接部220と隣合って位置する別の溶接部220とが互いに接するように、前記第1延長部211の端部から下側方向に折り曲げられる部分である。
【0033】
本発明の電池モジュール1は、隣接した負極の電極タブ200と正極の電極タブ200とが互いに溶接される直列形態を有し、互いに対向する方向に折り曲げられて前記溶接面を介して溶接されることができる。
【0034】
また、前記電池モジュール1は、隣接した同一の極性の電極タブ200が溶接される並列形態を有し、互いに対向する方向に折り曲げられて前記溶接面を介して溶接されることもできる。
【0035】
これにより、本発明の電池モジュール1は、直列、並列、直・並列連結が全て可能であり、前記溶接部220の形成領域が電池セル100の形成領域を妨害しないため、大容量の電池モジュール1を容易に生産することができるという長所がある。
【0036】
特に、本発明の電池モジュール1は、電極タブ200が超音波融着で溶接される。超音波溶接の場合、超音波融着による振動が前記電池セル100に伝達されて前記電池セル100が損傷される恐れがあるという問題点がある。
【0037】
したがって、本発明の電池モジュール1は、上述したように、前記延長部210を下側方向に折り曲げて前記電極タブ200をジグザグ状に形成することで、ばねのように振動を吸収するダンピング(damping)効果が発生して、超音波融着による振動で前記電池セル100が損傷されることを防止することができる。
【0038】
図6に図示されたように、前記電池モジュール1は、下側方向に折り曲げられた延長部210がさらに上側方向及び下側方向に繰り返して折り曲げられて形成されることができる。
【0039】
これにより、図6に図示された電池モジュール1は超音波融着による振動をさらに効果的に吸収することができる。
【0040】
他の実施例として、図7に図示されたように、前記電池モジュール1は、延長部210がジグザグ状に折り曲げられて形成されず、上側方向に延びて形成される延長部210の一定領域が隣接した電極タブ200と溶接される面の外側に突出して形成されることができる。
【0041】
この場合、前記電池モジュール1は、突出して形成される部分が超音波融着による振動を吸収するため、前記電池セル100が損傷されることを防止することができる。
【0042】
一方、図8に図示されたように、前記電池モジュール1は、「W」または「N」字形状に折り曲げられて形成されるダミータブ300をさらに含み、前記ダミータブ300の一側と他側が隣接した電池モジュール1の電極タブ200の溶接部とそれぞれ溶接されることができる。
【0043】
これにより、前記電池モジュール1の電極タブ200が直列に連結される場合、隣接した電池モジュール1に形成された同一の極性の電極タブ200と連結されることにより、複数個の電池モジュール1を並列連結することができる。
【0044】
また、前記電池モジュール1の電極タブ200が並列に連結される場合、隣接した電池モジュール1に形成された異なる極性の電極タブ200と連結されることにより、複数個の電池モジュール1を直列連結することもできる。
【0045】
前記電池モジュール1は、上述のような方法によって電池モジュールの容量を増加させることができるという長所がある。
【0046】
一方、図9に図示されたように、本発明の電極タブの溶接方法は、電極タブ形成段階(S100)と、固定段階(S200)と、超音波溶接段階(S300)と、を含む。
【0047】
前記電極タブ形成段階(S100)は、前記電池セル100に平行な方向に溶接面を形成する溶接部220、及び前記溶接部220と電池セル100とを連結するように延びる延長部210を含む電極タブ200を形成する段階である。
【0048】
前記固定段階(S200)は前記電極タブ200の溶接部220が互いに接するように固定する段階であって、この際、電池セル100を固定するための治具が用いられることができる。
【0049】
前記超音波溶接段階(S300)は、前記電池セル100に平行な方向に前記溶接部220の間(互いに密着されて溶接面を形成する部分)に超音波振動による融着で溶接がなされる段階である。
【0050】
この際、超音波溶接段階(S300)は、前記溶接部220の溶接面が密着されるように密着部材で加圧する密着段階(S310)を含んで溶接効率をさらに高めることができる。
【0051】
前記密着部材としては、溶接面側に力を加えることができるローラまたはばねが用いられることができる。
【0052】
これにより、本発明の電池モジュール及び電極タブの超音波溶接方法は、上側に延びて形成される電極タブが下側方向に折り曲げられた後、さらに上側方向に折り曲げられてジグザグ状に形成されることで、電池セルに平行に形成された溶接部を超音波振動で融着させても、ジグザグ状に形成された電極タブが振動を吸収して電池セルの損傷を最小化することができるという長所がある。
【0053】
また、本発明の電池モジュール及び電極タブの超音波溶接方法は、レーザ溶接に比べ量産性が高い超音波溶接で電極タブを溶接させても、電池セルが損傷することなく容易に製造することができるという長所がある。
【0054】
本発明は上記の実施例に限定されず、適用範囲が多様であるということは勿論であり、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を外れることなく様々な変形実施が可能であるということを理解するべきである。
【符号の説明】
【0055】
1 電池モジュール
100 電池セル
200 電極タブ
210 延長部
220 溶接部
211 第1延長部
212 第2延長部
S100〜S310 電極タブの溶接方法の各段階
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9