(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ISO16152に従って25℃で決定されるキシレン可溶性成分量(XCS)が20.0wt%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレンコポリマー組成物(P)。
プロピレンコポリマー(A)及び/又はプロピレンコポリマー(B)がコモノマーとして1−ヘキセンを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロピレンコポリマー組成物(P)。
直列につながれた少なくとも2つの反応器を含む連続重合プロセスである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロピレンコポリマー組成物(P)の製造プロセスであって、
前記プロセスが、
(A)スラリー反応器(SR)である第一の反応器(R−1)中で、プロピレン及び少なくとも1種のC5〜C12α−オレフィンを重合させて、請求項1、9及び10のいずれか1項に定義するプロピレンコポリマー(A)を得る工程、
(B)第一の反応器の前記プロピレンコポリマー(A)及び未反応のコモノマーを、気相反応器(GPR−1)である第二の反応器(R−2)中に移す工程、
(C)前記第二の反応器(R−2)にプロピレン及び少なくとも1種のC5〜C12α−オレフィンを供給する工程、
(D)前記第二の反応器(R−2)中にて、前記第一のプロピレンコポリマー(A)の存在下で、プロピレン及び少なくとも1種のC5〜C12α−オレフィンを重合させ、請求項1、9及び10のいずれか1項に定義するプロピレンコポリマー(B)を得、前記プロピレンコポリマー(A)及び前記プロピレンコポリマー(B)が請求項1〜8のいずれか1項に定義するプロピレンコポリマー組成物(P)を形成する工程
を含み、さらに
第一の反応器(R−1)及び第二の反応器(R−2)中で、固体触媒系(SCS)の存在下で重合が起こり、前記固体触媒系(SCS)が、
(i)式(I)の遷移金属化合物
Rn(Cp’)2MX2 (I)
(式中
「M」は、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、
「X」は、各々独立して一価アニオン性σリガンドであり、
「Cp’」は各々、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル、置換テトラヒドロインデニル及び置換フルオレニルからなる群より独立して選択されるシクロペンタジエニル型の有機リガンドであって、前記有機リガンドは遷移金属(M)に配位し、
「R」は、前記有機リガンド(Cp’)を連結する二価の架橋基であり、
「n」は、1又は2である。)、並びに
(ii)周期表(IUPAC)第13族の元素(E)を含む共触媒(Co)、
を含む、上記のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるプロピレンコポリマー組成物(P)は、コモノマー含量がむしろ高いことを特徴とする。むしろ高いコモノマー含量は、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)が本明細書に規定される2つのプロピレンコポリマー画分を含むという事実によって達成される。本発明による「コモノマー」は、プロピレンと異なる重合可能単位である。したがって、本発明によるプロピレンコポリマー組成物(P)は、コモノマー含量が3.5wt%以上、より好ましくは4.0wt%以上であり、より好ましくは3.5wt%以上から7.0wt%以下の範囲、なおより好ましくは3.5wt%以上から6.0wt%以下の範囲、いっそうより好ましくは4.0wt%以上から5.5wt%以下の範囲、例えば4.0wt%以上から5.0wt%以下の範囲であるものとする。
【0011】
プロピレンコポリマー組成物(P)のコモノマーはC
5〜C
12α−オレフィン、例えば1−ヘキセン及び/又は1−オクテンである。本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、1より多いタイプのコモノマーを含有することができる。よって、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、1、2又は3種の異なるコモノマーを含有することができ、このコモノマーは、C
5α−オレフィン、C
6α−オレフィン、C
7α−オレフィン、C
8α−オレフィン、C
9α−オレフィン、C
10α−オレフィン、C
11α−オレフィン及びC
12α−オレフィンの群から選択される。しかしながら、プロピレンコポリマー組成物(P)はただ1つのタイプのコモノマーを含有することが好ましい。好ましくは、プロピレンコポリマー組成物(P)は、プロピレンとは別に、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンのみを含む。特に好ましい実施形態において、プロピレンコポリマー組成物(P)のコモノマーは1−ヘキセンのみである。
【0012】
本発明によるプロピレンコポリマー組成物(P)、並びにプロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)は、好ましくはランダムプロピレンコポリマーである。用語「ランダムコポリマー」は、好ましくは、IUPAC(Pure Appl.Chem.,Vol.No.68,8,pp.1591−1595,1996)に従って理解されるべきである。好ましくは、例えば1−ヘキセンのダイアドといったコモノマーダイアドのモル濃度は
[HH]<[H]
2
の関係に従い、ここで
[HH]は、ポリマー中の、例えば隣接1−ヘキセン単位といった隣接コモノマー単位のモル分率であり、及び
[H]は、ポリマー中の、例えば総1−ヘキセン単位といった総コモノマー単位のモル分率である。
【0013】
好ましくは、以下に詳細に規定されるプロピレンコポリマー組成物(P)、並びにプロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)は、アイソタクチックである。したがって、プロピレンコポリマー組成物(P)、プロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)はアイソタクチックなトライアドの濃度がむしろ高いことが好ましく、すなわち90%より高く、より好ましくは92%より高く、なおより好ましくは93%より高く、いっそうより好ましくは95%より高く、例えば97%より高い。
【0014】
分子量分布(MWD)は、ポリマー中の分子数と個々の分子鎖長との間の関係である。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として表される。数平均分子量(Mn)は、分子量に対して各分子量域における分子数をプロットしたものの一次モーメントとして表される、ポリマーの平均分子量である。実際には、全分子の分子量の合計を分子数で除したものである。一方、重量平均分子量(Mw)は、分子量に対して各分子量域のポリマー重量をプロットしたものの一次モーメントである。
【0015】
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)、並びに分子量分布(MWD)は、オンライン粘度計を備えたWaters AllianceのGPCV2000装置を用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定される。オーブン温度は140℃である。溶媒としてトリクロロベンゼンが用いられる(ISO16014)。
【0016】
したがって、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、重量平均分子量(Mw)が100から700kg/molであることが好ましく、より好ましくは150から400kg/molである。
【0017】
ポリプロピレンの数平均分子量(Mn)は、好ましくは25から200kg/molの範囲であり、より好ましくは30から150kg/molである。
【0018】
さらに、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、メルトフローレート(MFR)がある特定の範囲であることが好ましい。230℃、2.16kgの荷重下で測定されるメルトフローレート(ISO1133)をMFR
2(230℃)と表す。したがって、本発明においてプロピレンコポリマー組成物(P)は、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR
2(230℃)が2.0から35.0g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは3.0から20.0g/10分の範囲、なおより好ましくは4.0から15.0g/10分の範囲である。
【0019】
上記したように、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は包装産業において特に適したものとなる。したがって、低い粘着性と相まったむしろ低いヒートシール開始温度(SIT)及び広いシールウィンドウといった、良好なシール性が望まれる。
【0020】
したがって、プロピレンコポリマー組成物(P)はヒートシール開始温度(SIT)が115℃以下であることが好ましく、より好ましくは110℃以下、なおより好ましくは93から110℃以下の範囲、いっそうより好ましくは93から105℃以下の範囲である。
【0021】
さらに、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、ヒートシール範囲が広いことが好ましい。したがって、プロピレンコポリマー組成物(P)はヒートシール範囲が少なくとも13℃であることが好ましく、より好ましくは少なくとも15℃、いっそうより好ましくは少なくとも18℃であり、なおより好ましくは13から35℃の範囲、なおいっそうより好ましくは18から30℃の範囲である。ヒートシール範囲は、ヒートシール終了温度(SET)[℃]とヒートシール開始温度(SIT)[℃]との差、[(SET)−(SIT)]として規定される。
【0022】
しかし、ヒートシール開始温度(SIT)がむしろ低いものとなるだけでなく、溶融温度(T
m)もむしろ高いものとなる。したがって、溶融温度(T
m)とヒートシール開始温度(SIT)との間の差はむしろ高いものとなる。よって、プロピレンコポリマー組成物(P)は式(I)を満たすことが好ましく、より好ましくは式(Ia)、いっそうより好ましくは式(Ib)を満たす。
Tm−SIT≧25℃ (I)
Tm−SIT≧30℃ (Ia)
Tm−SIT≧35℃ (Ib)
ここで
Tmは摂氏温度[℃]で表されるプロピレンコポリマー組成物(P)の溶融温度であり、
SITは摂氏温度[℃]で表されるプロピレンコポリマー組成物(P)のヒートシール開始温度(SIT)である。
【0023】
ISO11357−3に従って測定されるプロピレンコポリマー組成物(P)の溶融温度(T
m)は、好ましくは少なくとも130.0℃であり、より好ましくは少なくとも135℃である。よって、ISO11357−3に従って測定されるプロピレンコポリマー組成物(P)の溶融温度(T
m)は132から148℃の範囲にあることが特に好ましく、より好ましくは135から145℃の範囲である。
【0024】
加えて、プロピレンコポリマーは、ISO16152(25℃)に従って測定される低温キシレン可溶性成分量(XCS)により規定することが可能である。したがって、プロピレンコポリマー組成物(P)は、好ましくは低温キシレン可溶性成分量(XCS)が20.0wt%未満、より好ましくは15.0wt%未満、いっそうより好ましくは10.0wt%以下、なおより好ましくは5.0wt%未満、例えば4.0wt%未満であることを特徴とする。よって、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は低温キシレン可溶性成分量(XCS)が0.3から15.0wt%の範囲であることが特に好ましく、より好ましくは1.0から10.0wt%の範囲、いっそうより好ましくは1.5から8.0wt%の範囲である。
【0025】
加えて、低温キシレン可溶性成分(XCS)の量は、プロピレンコポリマー組成物(P)が例えばエチレンプロピレンゴムといった何らかの弾性ポリマー成分を好ましくは含まないことを示す。言い換えれば、プロピレンコポリマー組成物(P)は、異相ポリプロピレン、すなわち弾性相が分散したポリプロピレンマトリクスからなる系ではないものとする。かかる系は、低温キシレン可溶性成分量がむしろ高いことを特徴とする。したがって、好ましい実施形態において、プロピレンコポリマー組成物(P)は、ポリプロピレン(A)及びプロピレンコポリマー(B)を唯一のポリマー成分として含む。
【0026】
低温キシレン可溶性成分(XCS)と同様、熱ヘキサン可溶性成分(HHS)は、イソタクティシティ及び結晶度が低く、50℃でヘキサンに可溶であるポリマーの一部を示す。
【0027】
したがって、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、FDA177.1520に従って測定される熱ヘキサン可溶性成分(HHS)が2.5wt%より多くないことが好ましく、より好ましくは2.0wt%より多くない、すなわち0.5から2.0wt%の範囲であり、例えば1.5wt%より多くない、例えば0.5から1.5wt%の範囲である。
【0028】
本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、その中に存在するポリマー画分によりさらに規定される。したがって、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、少なくとも2つの画分を含み、好ましくは2つの画分からなるものであり、これらの画分はすなわちプロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)である。
【0029】
さらに、プロピレンコポリマー(A)はコモノマーが乏しい画分である一方、プロピレンコポリマー(B)はコモノマーが豊富な画分である。
【0030】
よって、プロピレンコポリマー(A)はコモノマー含量が0.5wt%以上であることが好ましく、より好ましくはコモノマー含量が0.5wt%以上から1.5wt%以下の範囲、いっそうより好ましくは0.8wt%以上から1.4wt%以下の範囲、なおより好ましくは1.0wt%以上から1.3wt%以下の範囲である。
【0031】
プロピレンコポリマー(A)のコモノマーはC
5〜C
12α−オレフィンであり、より好ましくはプロピレンコポリマー(A)のコモノマーはC
5α−オレフィン、C
6α−オレフィン、C
7α−オレフィン、C
8α−オレフィン、C
9α−オレフィン、C
10α−オレフィン、C
11α−オレフィン及びC
12α−オレフィンの群から選択され、なおより好ましくはプロピレンコポリマー(A)のコモノマーは1−ヘキセン及び/又は1−オクテンである。プロピレンコポリマー(A)は1より多いタイプのコモノマーを含有することができる。よって、本発明のプロピレンコポリマー(A)は、1、2又は3種の異なるコモノマーを含有することができる。しかしながら、プロピレンコポリマー(A)はただ1つのタイプのコモノマーを含有することが好ましい。好ましくは、プロピレンコポリマー(A)は、プロピレンとは別に、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンのみを含む。特に好ましい実施形態において、プロピレンコポリマー(A)のコモノマーは1−ヘキセンのみである。
【0032】
よって、プロピレンコポリマー(A)は、1つの好ましい実施形態において、プロピレン及び1−ヘキセンのみのプロピレンコポリマーであり、ここで1−ヘキセン含量は0.5wt%以上から1.5wt%以下の範囲、いっそうより好ましくは0.8wt%以上から1.4wt%以下の範囲、なおより好ましくは1.0wt%以上から1.3wt%以下の範囲である。
【0033】
上述のように、プロピレンコポリマー(B)は、プロピレンコポリマー(A)よりコモノマー含量が高い。したがって、プロピレンコポリマー(B)は、コモノマー含量が4.0wt%以上から10.0wt%以下の範囲であり、好ましくは5.0wt%以上から9.0wt%以下の範囲、より好ましくは5.5wt%以上から8.0wt%以下の範囲である。
【0034】
プロピレンコポリマー(B)のコモノマーは、C
5〜C
12α−オレフィンであり、より好ましくはプロピレンコポリマー(B)のコモノマーはC
5α−オレフィン、C
6α−オレフィン、C
7α−オレフィン、C
8α−オレフィン、C
9α−オレフィン、C
10α−オレフィン、C
11α−オレフィン及びC
12α−オレフィンの群から選択され、なおより好ましくはプロピレンコポリマー(B)のコモノマーは、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンである。プロピレンコポリマー(B)は1より多いタイプのコモノマーを含有することができる。よって、本発明のプロピレンコポリマー(B)は、1、2又は3種の異なるコモノマーを含有することができる。しかしながら、プロピレンコポリマー(B)はただ1つのタイプのコモノマーを含有することが好ましい。好ましくは、プロピレンコポリマー(B)は、プロピレンとは別に、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンのみを含む。特に好ましい実施形態において、プロピレンコポリマー(B)のコモノマーは1−ヘキセンのみである。
【0035】
よって、プロピレンコポリマー(B)は、好ましい実施形態において、プロピレン及び1−ヘキセンのみのプロピレンコポリマーであり、ここで1−ヘキセン含量は4.0wt%以上から10.0wt%以下の範囲であり、好ましくは5.0wt%以上から9.0wt%以下の範囲、より好ましくは5.5wt%以上から8.0wt%以下の範囲である。
【0036】
プロピレンコポリマー(A)のコモノマー及びプロピレンコポリマー(B)のコモノマーは同じであることが特に好ましい。したがって、1つの好ましい実施形態において、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、プロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)を含み、好ましくはこれらのみを含み、両ポリマー中のコモノマーは1−ヘキセン又は1−オクテンのみである。プロピレンコポリマー組成物(P)は、プロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)を含むことが特に好ましく、好ましくはこれらのみを含み、両ポリマー中のコモノマーは1−ヘキセンのみである。
【0037】
本発明の1つの重要な側面は、プロピレンコポリマー(A)とプロピレンコポリマー組成物(P)とでコモノマー含量が異なることである。加えて、プロピレンコポリマー(A)とプロピレンコポリマー組成物(P)とはメルトフローレートも異なり得る。したがって、
MFR(A)/MFR(B)の比は、好ましくは0.01から1.0未満の範囲、より好ましくは0.1から1.0未満の範囲、いっそうより好ましくは0.2から0.9未満の範囲であって、
ここで
MFR(A)は、ISO1133に従って測定されるプロピレンコポリマー(A)のメルトフローレートMFR
2(230℃)[g/10分]であり、
MFR(B)は、ISO1133に従って測定されるプロピレンコポリマー(B)のメルトフローレートMFR
2(230℃)[g/10分]であり、
及び/又は
MFR(A)/MFR(P)の比は、好ましくは0.02から1.0未満の範囲、より好ましくは0.05から1.0未満の範囲、いっそうより好ましくは0.1から0.9未満の範囲であって、
ここで
MFR(A)は、ISO1133に従って測定されるプロピレンコポリマー(A)のメルトフローレートMFR
2(230℃)[g/10分]であり、
MFR(P)は、ISO1133に従って測定されるプロピレンコポリマー組成物(P)のメルトフローレートMFR
2(230℃)[g/10分]である。
【0038】
さらに、プロピレンコポリマー(A)は、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR
2(230℃)が少なくとも1.0g/10分であることが好ましく、より好ましくは1.0から8.0g/10分の範囲、なおより好ましくは1.5から7.0g/10分の範囲、いっそうより好ましくは2.0から5.0g/10分の範囲、例えば2.5から5.0g/10分の範囲である。
【0039】
高いメルトフローレートは分子量が低いことを示すため、プロピレンコポリマー(A)は重量平均分子量(Mw)が450kg/mol未満であることが好ましく、なおより好ましくは400kg/mol未満、いっそうより好ましくは150から450kg/mol未満の範囲、例えば180から400kg/molの範囲である。
【0040】
さらに、プロピレンコポリマー(A)は、好ましくは低温キシレン可溶性成分量(XCS)が2.0wt%未満であり、より好ましくは1.5wt%未満であり、なおより好ましくは0.3から2.0wt%の範囲、いっそうより好ましくは0.5から1.5wt%の範囲である。プロピレンコポリマー(A)は、低温キシレン可溶性成分量(XCS)含量がプロピレンコポリマー(B)より低いことがとりわけ好ましい。
【0041】
プロピレンコポリマー(B)は、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR
2(230℃)が4.0g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは4.0g/10分以上から50.0g/10分の範囲、なおより好ましくは5.0g/10分以上から50.0g/10分の範囲、いっそうより好ましくは5.0g/10分以上から30.0g/10分の範囲、例えば5.5g/10分以上から20.0g/10分の範囲である。
【0042】
プロピレンコポリマー組成物(P)は、例えば、抗酸化剤、核化剤、スリップ剤及び静電防止剤といった、当該技術分野で公知の添加剤を含有することができる。ポリマー画分、好ましくはプロピレンコポリマー(A)画分とプロピレンコポリマー(B)画分との合計は、少なくとも90wt%、より好ましくは少なくとも95wt%、なおより好ましくは少なくとも98wt%、例えば少なくとも99wt%である。
【0043】
プロピレンコポリマー組成物(P)は、特に、以下に詳細に規定される方法により入手し得るものであり、好ましくは当該方法により得られるものである。
【0044】
さらに、本発明は、例えばキャストフィルム、押出ブローフィルム又は二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムといったフィルムとしての本プロピレンコポリマー組成物(P)の使用を対象とする。本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、押出塗装基板のコーティングとして用いることも可能である。
【0045】
したがって、本発明はまた、キャストフィルム、押出ブローフィルム又は二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムのフィルム層、好ましくはシール層を対象とし、前記フィルム層(シール層)は本発明によるプロピレンコポリマー組成物(P)を少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも80wt%、例えば少なくとも90wt%含む。特に好ましい実施形態において、フィルム層(シール層)は、本明細書に規定されるプロピレンコポリマー組成物(P)からなる。
【0046】
さらに、本発明は、コーティングを含む押出塗装基板を対象とし、前記コーティングは本発明によるプロピレンコポリマー組成物(P)を少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも90wt%、例えば少なくとも95wt%含む。特に好ましい実施形態において、押出塗装基板のコーティングは、本明細書に規定されるプロピレンコポリマー組成物(P)からなる。基板は例えば紙、ボール紙、織物及び金属箔であり得る。
【0047】
加えて、本発明は、本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)の製造を対象とする。したがって、上で規定されたプロピレンコポリマー組成物(P)の製造プロセスは、直列につながれた少なくとも2つの反応器を含む連続重合プロセスであって、前記プロセスは
(A)スラリー反応器(SR)、好ましくはループ型反応器(LR)である第一の反応器(R−1)中で、プロピレン及び少なくとも1種のC
5〜C
12α−オレフィン、好ましくは1−ヘキセンを重合させて、本発明において規定される、好ましくは請求項1、9及び10のいずれか一項に規定されるプロピレンコポリマー(A)を得る工程、
(B)第一の反応器の前記プロピレンコポリマー(A)及び未反応のコモノマーを、気相反応器(GPR−1)である第二の反応器(R−2)中に移す工程、
(C)前記第二の反応器(R−2)にプロピレン及び少なくとも1種のC
5〜C
12α−オレフィン、好ましくは1−ヘキセンを供給する工程、
(D)前記第二の反応器(R−2)中で、前記第一のプロピレンコポリマー(A)の存在下で、プロピレン及び少なくとも1種のC
5〜C
12α−オレフィン、好ましくは1−ヘキセンを重合させ、本発明において規定される、好ましくは請求項1、9及び10のいずれか一項に規定されるプロピレンコポリマー(B)を得て、前記プロピレンコポリマー(A)及び前記プロピレンコポリマー(B)が本発明において規定される、好ましくは請求項1から8のいずれか一項に規定されるプロピレンコポリマー組成物(P)を形成する工程
を含み、さらに
第一の反応器(R−1)及び第二の反応器(R−2)中では、固体触媒系(SCS)の存在下で重合が起こり、前記固体触媒系(SCS)は
(i)式(I)の遷移金属化合物
R
n(Cp’)
2MX
2 (I)
であって、式中
Mはジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、
Xは各々独立して一価アニオン性σリガンドであり、
Cp’は各々、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル、置換テトラヒドロインデニル及び置換フルオレニルからなる群より独立して選択されるシクロペンタジエニル型の有機リガンドであって、前記有機リガンドは遷移金属(M)に配位しており、
Rは前記有機リガンド(Cp’)を連結する二価の架橋基であり、
nは1又は2、好ましくは1、
である化合物、並びに
(ii)任意に、周期表(IUPAC)第13族の元素(E)を含む共触媒(Co)、好ましくはAl化合物を含む共触媒(Co)、
を含む。
【0048】
プロピレンコポリマー組成物(P)、プロピレンコポリマー(A)及びプロピレンコポリマー(B)の定義に関しては、前記の定義が参照される。
【0049】
連続重合プロセス中で触媒系(SCS)を使用することによって、前記部分で規定されたプロピレンコポリマー組成物(P)の製造が可能である。とりわけ第一の反応器(R−1)中でのプロピレンコポリマー、すなわちプロピレンコポリマー(A)の製造、並びに第二の反応器(R−2)中への前記プロピレンコポリマーの搬送及び特に未反応のコモノマーの搬送によって、コモノマー含量が高いプロピレンコポリマー組成物(P)を連続重合プロセス中で生産することが可能である。通常、連続重合プロセス中でのコモノマー含量が高いプロピレンコポリマーの製造はファウリングを引き起こし、又は深刻な場合には、通常未反応のコモノマーが搬送ラインで凝集することから搬送ラインの閉塞を引き起こす。しかしながら、新たな方法を使用すると、コモノマーの変換が増強され、それと共にポリマー鎖への取り込みが良くなって、より高いコモノマー含量及び粘着性問題の低減をもたらす。
【0050】
用語「連続重合プロセス」は、プロピレンコポリマー組成物(P)が直列につながれた少なくとも2つの反応器中で生産されることを示す。より正確には、用語「連続重合プロセス」は、本出願において、第一の反応器(R−1)のポリマーが未反応のコモノマーと共に第二の反応器(R−2)へと直接的に搬送されることを示す。したがって、本プロセスの決定的な側面は、2つの異なる反応器中でのプロピレンコポリマー組成物(P)の製造であって、ここで第一の反応器(R−1)の反応材料は第二の反応器(R−2)へと直接的に搬送される。よって、本プロセスは、第一の反応器(R−1)及び第二の反応器(R−2)を少なくとも含む。1つの特定の実施形態において、本プロセスは、重合反応器(R−1)及び(R−2)の2つからなる。用語「重合反応器」は、主重合が起こる場所を示すものとする。よって、2つの重合反応器からなるプロセスの場合、この定義は、全体的なプロセスが例えば前重合反応器中での前重合工程を含むという選択肢を排除するものではない。用語「からなる」は、単に、主重合反応器に関連した限定的な記述である。
【0051】
第一の反応器(R−1)は、好ましくはスラリー反応器(SR)であって、バルク又はスラリー状態で操作する、任意の連続的又は単純撹拌型のバッチタンク反応器又はループ型反応器であり得る。バルクとは、少なくとも60%(wt/wt)、好ましくは100%のモノマーを含む反応媒体中での重合を意味する。本発明によると、スラリー反応器(SR)は好ましくは(バルク)ループ型反応器(LR)である。
【0052】
第二の反応器(R−2)及び任意の後続の反応器は、好ましくは気相反応器(GPR)である。かかる気相反応器(GPR)は何らかの機械的に混合される反応器又は流動層反応器であり得る。好ましくは、気相反応器(GPR)は、ガス速度が少なくとも少なくとも0.2m/秒である、機械的にかき混ぜられる流動層反応器を含む。よって、気相反応器は、好ましくは機械的スターラーを備えた、流動層型の反応器であることが好ましい。
【0053】
各反応器の条件(温度、圧力、反応時間、モノマー供給)は、当業者の知識中の所望の生成物に依存する。既に上記したように、第一の反応器(R−1)は好ましくはスラリー反応器(SR)、例えばループ型反応器(LR)である一方、第二の反応器(R−2)は好ましくは気相反応器(GPR−1)である。後続の反応器が存在する場合、これもまた好ましくは気相反応器(GPR)である。
【0054】
好ましい多段階プロセスは「ループ−気相」プロセスであり、例えばEP0887379又はWO92/12182などの特許文献に記載された、デンマークのBorealis A/Sにより開発されたプロセス(BORSTAR(登録商標)テクノロジーとして知られるもの)などである。
【0055】
マルチモーダルポリマーは、例えばWO92/12182、EP0887379及びWO98/58976に記載されたいくつかのプロセスに従って生産可能である。これら資料の内容は、参照により本明細書に包含される。
【0056】
好ましくは、前記部分で規定されたプロピレンコポリマー組成物(P)を生産する本プロセスにおいて、工程(A)の第一の反応器(R−1)、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ型反応器(LR)の条件は、以下であることができる。
−温度は40℃から110℃の範囲内、好ましくは60℃と100℃の間、70から90℃であり、
−圧力は20barから80barの範囲内、好ましくは40barから70barの間であり、
−それ自体公知の方法でモル質量を制御するために、水素を加えることができる。
【0057】
続いて、工程(A)からの反応混合物は第二の反応器(R−2)、すなわち気相反応器(GPR−1)、すなわち工程(D)に移されるが、ここで工程(D)における条件は好ましくは以下である。
−温度は50℃から130℃の範囲内、好ましくは60℃と100℃の間であり、
−圧力は5barから50barの範囲内、好ましくは15barから40barの間であり、
−それ自体公知の方法でモル質量を制御するために、水素を加えることができる。
【0058】
滞留時間は両反応器ゾーンで変えることができる。
【0059】
プロピレンコポリマー組成物(P)を生産するプロセスの1つの実施形態において、バルク反応器、例えばループにおける滞留時間は0.2から4時間の範囲、例えば0.3から1.5時間であり、気相反応器における滞留時間は一般に0.2から6.0時間、例えば0.5から4.0時間となる。
【0060】
所望の場合、第一の反応器(R−1)、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ型反応器(LR)において超臨界条件下の公知の方法で、及び/又は気相反応器(GPR−1)中で凝縮モードとして、重合を行ってもよい。
【0061】
他の気相反応器(GPR)が存在する場合、その条件は第二の反応器(R−2)と同様である。
【0062】
本プロセスはまた、第一の反応器(R−1)中での重合の前に、前重合を包含してもよい。前重合は第一の反応器(R−1)中で行うことができるが、しかしながら別々の反応器、いわゆる前重合反応器の中で起こることが好ましい。
【0063】
1つの特定の実施形態において、固体触媒系(SCS)は、ASTM4641に従って測定される空隙率が1.40ml/g未満であり、かつ/又はASTM D3663に従って測定される表面積が25m
2/gより小さい。
【0064】
好ましくは、固体触媒系(SCS)は、表面積が15m
2/gより小さく、10m
2/gよりなお小さく、最も好ましくは5m
2/gより小さいが、この値は測定下限である。本発明における表面積は、ASTM D3663(N
2)に従って測定される。
【0065】
代わりに又は加えて、固体触媒系(SCS)は空隙率が1.30ml/g未満であることが好ましく、より好ましくは1.00ml/gである。空隙率はASTM4641(N
2)に従って測定されている。別の好ましい実施形態において、空隙率は、ASTM4641(N
2)に従って適用される方法を使用して測定する場合、検出不能である。
【0066】
さらに、固体触媒系(SCS)の平均粒子サイズは、典型的に500μmを超えず、すなわち好ましくは2から500μmの範囲、より好ましくは5から200μmの範囲である。平均粒子サイズは80μm未満であることが特に好ましく、なおより好ましくは70μm未満である。平均粒子サイズの好ましい範囲は、5から70μm、さらには10から60μmである。
【0067】
上述のように、遷移金属(M)は、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、好ましくはジルコニウム(Zr)である。
【0068】
用語「σ−リガンド」は、本明細書の全記載に渡って、公知のように理解されるものとし、すなわちシグマ結合を介して金属に結合する基である。よって、アニオン性リガンド「X」は、独立に、ハロゲンであるか又はR’、OR’、SiR’
3、OSiR’
3、OSO
2CF
3、OCOR’、SR’、NR’
2若しくはPR’
2基(式中、R’は、独立に、水素、直鎖又は分岐鎖の、環式又は非環式のC
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、C
2〜C
20アルキニル、C
3〜C
12シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アリールアルキル、C
7〜C
20アルキルアリール、C
8〜C
20アリールアルケニルであり、R’基は、任意に、第14族から第16族に属する1又は2個以上のヘテロ原子を含む。)からなる群より選択され得る。好ましい実施形態において、アニオン性リガンド「X」は同一であり、Clといったハロゲン又はメチル又はベンジルのいずれかである。
【0069】
好ましい一価のアニオン性リガンドはハロゲンであり、特に塩素(Cl)である。
【0070】
置換シクロペンタジエニル型のリガンドは、ハロゲン、ヒドロカルビル(例えばC
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、C
2〜C
20アルキニル、例えばC
1〜C
20アルキル置換C
5〜C
20シクロアルキルといったC
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、シクロアルキル残基がC
1〜C
20アルキルにより置換されたC
5〜C
20シクロアルキル置換C
1〜C
20アルキル、C
7〜C
20アリールアルキル、環部分に1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むC
3〜C
12シクロアルキル、C
6〜C
20ヘテロアリール、C
1〜C
20−ハロアルキル)、−SiR”
3、−SR”、−PR”
2又は−NR”
2(式中、各R”は、独立に、水素又はヒドロカルビル(例えば、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルケニル、C
2〜C
20アルキニル、C
3〜C
12シクロアルキル又はC
6〜C
20アリール)であるか又は、例えば、−NR”
2の場合には、2つの置換基R”は、それらが結合する窒素原子と共に、環、例えば5員又は6員の環を形成してもよい。)からなる群より選択される1又は2個以上の置換基を有してもよい。
【0071】
さらに、式(I)の「R」は、好ましくは1〜4個の原子の架橋であり、かかる原子は、独立に、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)又は酸素(O)原子であり、各架橋原子は、独立に、例えばC
1〜C
20−ヒドロカルビル、トリ(C
1〜C
20−アルキル)シリル、トリ(C
1〜C
20−アルキル)シロキシ等の置換基を有することができる。より好ましくは、「R」は、例えば、−SiR’’’
2−(式中、各R’’’は、独立に、C
1〜C
20−アルキル、C
2〜C
20−アルケニル、C
2〜C
20−アルキニル、C
3〜C
12シクロアルキル、C
6〜C
20−アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル、又はトリメチルシリル−といったトリ(C
1〜C
20アルキル)シリル残基であるか、又は2つのR’’’は、Si架橋原子を包含する環系の一部であり得る。)等の一原子架橋である。
【0072】
好ましい実施形態において、遷移金属化合物は式(II)を有する:
【化1】
(式中、
Mは、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)、好ましくはジルコニウム(Zr)であり、
Xは、金属「M」とのσ−結合を有するリガンド、好ましくは前記式(I)で定義したものであり、
好ましくは塩素(Cl)又はメチル(CH
3)であり、前者がとりわけ好ましく、
R
1は、互いに同じであるか又は異なり、好ましくは互いに同じであり、直鎖飽和C
1〜C
20アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アルキルアリール及びC
7〜C
20アリールアルキルからなる群より選択され、任意に、周期表(IUPAC)の第14族から第16族の1又は2個以上のヘテロ原子を含み、
好ましくは、互いに同じであるか又は異なり、好ましくは互いに同じであり、C
1〜C
10直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビルであり、より好ましくは互いに同じであるか又は異なり、好ましくは互いに同じであり、C
1〜C
6直鎖又は分岐鎖アルキルであり、
R
2〜R
6は、同じであるか又は異なり、水素、直鎖飽和C
1〜C
20アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アルキルアリール及びC
7〜C
20アリールアルキルからなる群より選択され、任意に、周期表(IUPAC)の第14族から第16族の1又は2個以上のヘテロ原子を含み、
好ましくは、同じであるか又は異なり、C
1〜C
10直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビルであり、より好ましくは、同じであるか又は異なり、C
1〜C
6直鎖又は分岐鎖アルキルであり、
R
7及びR
8は、互いに同じであるか又は異なり、水素、直鎖飽和C
1〜C
20アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アルキルアリール及びC
7〜C
20アリールアルキルであって、任意に、周期表(IUPAC)の第14族から第16族の1又は2個以上のヘテロ原子を含む上記の基、SiR
103、GeR
103、OR
10、SR
10及びNR
102からなる群より選択され、
式中、R
10は、直鎖飽和C
1−C
20アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アルキルアリール及びC
7〜C
20アリールアルキルからなる群より選択され、任意に、周期表(IUPAC)の第14族から第16族の1又は2個以上のヘテロ原子を含み、
及び/又は
R
7及びR
8は、任意に、それらが結合するインデニル炭素と共にC
4〜C
20炭素環系の一部、好ましくはC
5環の一部であり、任意に、1個の炭素原子が、窒素、硫黄又は酸素原子により置換されることができ、
R
9は、互いに同じであるか又は異なり、水素、直鎖飽和C
1〜C
20アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アルキルアリール、C
7〜C
20アリールアルキル、OR
10及びSR
10からなる群より選択され、
好ましくは、R
9は、互いに同じであるか又は異なり、H又はCH
3であり、
式中、
R
10は先に規定した通りであり、
Lは、2個のインデニルリガンドを架橋する二価基であり、好ましくは、C
2R
114単位又はSiR
112若しくはGeR
112であり、式中、
R
11は、H、直鎖飽和C
1〜C
20アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
20アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
6〜C
20アリール、C
7〜C
20アルキルアリール又はC
7〜C
20アリールアルキルからなる群より選択され、任意に、周期表(IUPAC)の第14族から第16族の1又は2個以上のヘテロ原子を含み、
好ましくは、Si(CH
3)
2、SiCH
3C
6H
11又はSiPh
2であり、式中、C
6H
11はシクロヘキシルである。
【0073】
好ましくは、式(II)の遷移金属化合物は、C
2対称性又は擬C
2対称性である。対称の定義に関しては、Resconiら、Chemical Reviews,2000,Vol.100,No.4 1263及び本明細書で引用する参照文献を引用する。
【0074】
好ましくは、残基R
1は、互いに同じであるか又は異なり、より好ましくは、互いに同じであり、直鎖飽和C
1〜C
10アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
10アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
10アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
10アルキル及びC
7〜C
12アリールアルキルからなる群より選択される。さらに好ましくは、残基R
1は、互いに同じであるか又は異なり、より好ましくは、互いに同じであり、直鎖飽和C
1〜C
6アルキル、直鎖不飽和C
1〜C
6アルキル、分岐鎖飽和C
1〜C
6アルキル、分岐鎖不飽和C
1〜C
6アルキル及びC
7〜C
10アリールアルキルからなる群より選択される。いっそうより好ましくは、残基R
1は、互いに同じであるか又は異なり、より好ましくは、互いに同じであり、例えばメチル又はエチル等の直鎖又は分岐鎖C
1〜C
4ヒドロカルビルからなる群より選択される。
【0075】
好ましくは、残基R
2〜R
6は、互いに同じであるか又は異なり、直鎖飽和C
1〜C
4アルキル又は分岐鎖飽和C
1〜C
4アルキルである。さらに好ましくは、残基R
2〜R
6は、互いに同じであるか又は異なり、より好ましくは、互いに同じであり、メチル、エチル、イソプロピル及びtert−ブチルからなる群より選択される。
【0076】
好ましくは、R
7及びR
8は、互いに同じであるか又は異なり、水素及びメチルから選択されるか、又はR
7及びR
8はそれらが結合する2個のインデニル環炭素を含む5−メチレン環の一部である。別の好ましい実施形態において、R
7は、OCH
3及びOC
2H
5から選択され、R
8はtert−ブチルである。
【0077】
好ましい実施形態において、遷移金属化合物は、rac−メチル(シクロヘキシル)シランジイル ビス(2−メチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0078】
第二の好ましい実施形態において、遷移金属化合物は、rac−ジメチルシランジイル ビス(2−メチル−4−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)ジルコニウムジクロリドである。
【0079】
第三の好ましい実施形態において、遷移金属化合物は、rac−ジメチルシランジイル ビス(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0080】
さらなる要件として、本発明による固体触媒系(SCS)は、周期表(IUPAC)第13族の元素(E)を含む共触媒(Co)、例えばAl化合物を含む共触媒(Co)を含まなければならない。
【0081】
かかる共触媒(Co)の例は有機アルミニウム化合物、例えばアルミノキサン化合物などである。
【0082】
かかるAl化合物、好ましくはアルミノキサンは、共触媒(Co)中の唯一の化合物として、又は他の共触媒化合物と共に用いることができる。よって、Al化合物、すなわちアルミノキサン以外に又はこれに加えて、他のカチオン錯体形成性の共触媒化合物、例えばホウ素化合物といったものを用いることができる。前記共触媒は市販されているか、又は従来技術文献に従って製造することができる。しかしながら、好ましくは、固体触媒系の製造において、Al化合物のみが共触媒(Co)として利用される。
【0083】
特に好ましい共触媒(Co)はアルミノキサンであり、特にC1〜C10−アルキルアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン(MAO)である。
【0084】
好ましくは、式(I)の有機ジルコニウム化合物及び固体触媒系(SCS)の共触媒(Co)は、固体触媒系の少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも80wt%、さらに好ましくは少なくとも90wt%、さらになお好ましくは少なくとも95wt%である。よって固体触媒系は、自己支持性である事、すなわち触媒的に不活性な支持材料、例えばシリカ、アルミナ若しくはMgCl
2又は多孔質ポリマー性材料といった、他の不均一系触媒系において一般に用いられる支持材料を何ら含まない事、すなわち触媒は外部支持又は担体材料で支持されない事を特徴とすることが好ましい。その結果として、固体触媒系(SCS)は自己支持性であり、表面積がむしろ小さい。
【0085】
1つの実施形態において、固体メタロセン触媒系(SCS)はエマルジョン凝固技術により得られるものであり、この技術の基本原理はWO03/051934に記載されている。この資料は参照によりその全体が本明細書に包含される。
【0086】
従って、固体触媒系(SCS)は、好ましくは固体触媒粒子の形態であり、下記の工程を含むプロセスにより得ることができる:
a)1又は2以上の触媒成分の溶液を調製する工程;
b)前記溶液を第二の溶媒中に分散させて、前記1又は2以上の触媒成分が分散相の液滴中に存在するエマルジョンを形成する工程;
c)前記分散相を凝固させて前記液滴を固体粒子に変え、任意に、前記粒子を回収して前記触媒を得る工程。
【0087】
好ましくは第一の溶媒、より好ましくは第一の有機溶媒が、前記溶液を形成するのに用いられる。なおより好ましくは、有機溶媒は、直鎖アルカン、環式アルカン、芳香族炭化水素及びハロゲン含有炭化水素からなる群より選択される。
【0088】
さらに、連続相を形成する第二の溶媒は、触媒成分に対して不活性な溶媒である。第二の溶媒は、少なくとも分散ステップ中の(温度等の)条件の下で、触媒成分の溶液に対して非混和性であってもよい。用語「触媒溶液と非混和性」とは、第二の溶媒(連続相)が分散相溶液と完全に非混和性であるか、又は部分的に非混和性である、すなわち完全に混和性ではないことを意味する。
【0089】
好ましくは、非混和性溶媒はフッ素化有機溶媒及び/又はその官能化誘導体を含み、なおより好ましくは、非混和性溶媒は部分的フッ素化、高度フッ素化若しくは過フッ素化炭化水素及び/又はその官能化誘導体を含む。前記非混和性溶媒はパーフルオロ炭化水素又はその官能化誘導体を含むことが特に好ましく、好ましくはC
3〜C
30のパーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン又はパーフルオロシクロアルカン、より好ましくはC
4〜C
10パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン又はパーフルオロシクロアルカン、特に好ましくはパーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン又はパーフルオロ(メチルシクロヘキサン)又はパーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)又はそれらの混合物を含む。
【0090】
さらに、前記連続相及び前記分散相を含むエマルジョンは、当該技術分野で公知の二相系又は多相系であることが好ましい。乳化剤はエマルジョンを形成し、安定化するのに用いることができる。エマルジョン系の形成後、前記触媒は前記溶液中の触媒成分からin situで形成される。
【0091】
原則的に、乳化剤は、エマルジョンの形成及び/又は安定化に寄与し、触媒の触媒活性に対する有害作用を何ら持たないいかなる適切な薬剤であってもよい。乳化剤は例えば、任意に、ヘテロ原子が割り込んだ炭化水素系の、好ましくは、官能基を任意に持つハロゲン化炭化水素系の、好ましくは当該技術分野で公知の部分的フッ素化、高度フッ素化又は過フッ素化炭化水素系の界面活性剤であってもよい。あるいは、乳化剤はエマルジョン調製中に、例えば界面活性剤前駆体を触媒溶液の化合物と反応させることにより、調製してもよい。前記界面活性剤前駆体は、少なくとも1個の官能基を有するハロゲン化炭化水素、例えば高度フッ素化C1−n(適切にはC4−30又はC5−15)アルコール(例えば高度フッ素化ヘプタノール、オクタノール又はノナノール)、オキシド(例えばプロペンオキシド)又はアクリレートエステルであって、例えば共触媒成分、例えばアルミノキサンなどと反応して「実際の」界面活性剤を形成するものであってもよい。
【0092】
原則的に、分散液滴から固体粒子を形成するため、任意の凝固方法を用いることが可能である。1つの好ましい実施形態によれば、凝固は温度変化処理により達成される。それ故にエマルジョンは、10℃/分までの、好ましくは0.5から6℃/分及びより好ましくは1から5℃/分の漸進的な温度変化に付される。さらに好ましくは、エマルジョンは、40℃より大きい、好ましくは50℃より大きい温度変化に、10秒未満、好ましくは6秒未満の間に付される。
【0093】
連続及び分散相系、エマルジョン形成方法、乳化剤並びに凝固方法のさらなる詳細、実施形態及び例については、例えば先に引用した国際特許出願WO03/051934が参照される。
【0094】
調製工程の全て又は一部は、連続的な様式で行うことが可能である。エマルジョン/凝固方法を介して調製される固体触媒型の、かかる連続的又は部分連続的な調製方法の原理を記載するWO2006/069733を参照されたい。
【0095】
上記の触媒成分は、WO01/48034に記載された方法に従って調製される。
【0096】
さらに、本発明は、本明細書で定義するプロピレンコポリマー組成物(P)を従来の押出コーティングすることによる、押出塗装基板の製造に関する。
【0097】
本発明によるフィルムは、従来の方法、例えばキャストフィルム技術又は押出ブローフィルム技術により得ることが可能である。フィルムが延伸されるものである場合、すなわち二軸配向ポリプロピレンフィルムの場合、好ましくは次のように生産する:最初に、ペレット状のプロピレンコポリマー組成物(P)を押出することにより、キャストフィルムを製造する。製造されたキャストフィルムは、典型的には厚さが50〜100μmであり、さらなるフィルム延伸のために用いられる。続いて、キャストフィルムのスタックを多数のキャストフィルムシートから製造することが可能であり、これにより特定のスタック厚、例えば700〜1000μmに達する。延伸温度を典型的には溶融点よりわずかに低い温度、例えば溶融点より2から4℃低い温度に設定して、フィルムを機械方向及び横方向に特定の延伸比で延伸する。
【0098】
押出コーティングプロセスは、従来の押出コーディング技術を用いて行うことができる。それ故、先に定義した重合プロセスから得られるプロピレンコポリマー組成物(P)は、典型的にペレット状で、任意に添加剤を含有させて、押出機器に供給される。押出機から、ポリマー溶融物は好ましくはフラットダイを通じてコーティングされる基板に運ばれる。ダイリップとニップとの間の距離のため、溶融プラスチックは短時間のうちに空気中で酸化されて、通常、コーティングと基板との間の接着改良につながる。コーティングされた基板は、冷却ロール上で冷却された後、エッジトリマーに渡され、巻き取られる。ライン幅は、例えば、500〜1500mm、例として800〜1100mmの間で変えることができ、ライン速度は1000m/分まで、例えば300〜800m/分である。ポリマー溶融物の温度は、典型的に275と330℃の間である。本発明のプロピレンコポリマー組成物(P)は、単層コーティングとして、又は共押出物中の1つの層として、基板上に押出することが可能である。いずれの場合においても、プロピレンコポリマー組成物(P)をそれ自体として、又はプロピレンコポリマー組成物(P)を他のポリマーとブレンドして用いることができる。ブレンドは、反応器後の処理において、又はコーティングプロセスで押出の直前に行うことが可能である。しかしながら、本発明で定義するプロピレンコポリマー組成物(P)のみを押出コーティングすることが好ましい。多層押出コーティングにおいて、他の層は、所望の性質及び加工性を持つ任意のポリマー樹脂を含むことができる。かかるポリマーの例としては、バリア層PA(ポリアミド)及びEVA;極性エチレンコポリマー、例えばエチレンとビニルアルコールのコポリマー又はエチレンとアクリレートモノマーのコポリマーなど;接着剤層、例えばアイオノマー、エチレンとエチルアクリレートのコポリマーなど;剛性のためのHDPE;高圧プロセス中で生産されるLDPE樹脂;エチレン及びα−オレフィンコモノマーをチーグラー、クロム又はメタロセン触媒の存在下で重合させることにより生産されるLLDPE樹脂;並びにMDPE樹脂が挙げられる。
【0099】
よって、本発明は好ましくは、基板及び前記基板上に押出コーティングされた、本発明に規定されるプロピレンコポリマー組成物(P)の少なくとも1つの層を含む押出塗装基板に関する。
【0100】
さらに、本発明はまた、包装材料としての、特に食品及び/又は医薬製品の包装材料としての本発明の物品の使用も対象とする。
【0101】
以下に、本発明を実施例を用いて記載する。
【実施例】
【0102】
A.測定方法
以下の用語の定義及び測定法は、別段の記載がある場合を除き、以下の実施例に加えて、上記の本発明の一般的な記載にも適用される。
【0103】
NMRスペクトル法による微細構造の定量化
定量的核磁気共鳴(NMR)スペクトル法をポリマーのイソタクティシティ、レギオ規則性及びコモノマー含量の定量化に用いた。
定量的
13C{
1H}NMRスペクトルは、
1H及び
13Cについてそれぞれ500.13及び125.76MHzで動作するBruker Advance III 500 NMRスペクトロメーターを用いて、溶融状態で記録した。全てのスペクトルは、全気体として窒素ガスを用い、180℃で、
13Cに最適化した7mmのマジックアングルスピニング(magic−angle spinning、(MAS))プローブヘッドを用いて記録した。約200mgの試料を7mm外径のジルコニアMASローター中に詰め、4kHzで回転させた。短いリサイクル遅延時間でのNOE(Pollard,M.,Klimke,K.,Graf,R.,Spiess,H.W.,Wilhelm,M.,Sperber,O.,Piel,C.,Kaminsky,W.,Macromolecules 2004,37,813及びKlimke,K.,Parkinson,M.,Piel,C.,Kaminsky,W.,Spiess,H.W.,Wilhelm,M.,Macromol.Chem.Phys.2006,207,382に記載されている)及びRS−HEPTデカップリング方式(Filip,X.,Tripon,C.,Filip,C.,J.Mag.Resn.2005,176,239並びにGriffin,J.M.,Tripon,C.,Samoson,A.,Filip,C.及びBrown,S.P.,Mag.Res. in Chem.2007,45,S1,S198に記載されている)を使用することで、標準的なシングルパルス励起を利用した。スペクトルあたり合計1024(1k)のtransientが得られた。
定量的
13C{
1H}NMRスペクトルを処理、積分して、関連する定量的性質を積分値から決定した。全ての化学シフトは、21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を内部参照とした。
タクティシティ分布は、
13C{
1H}スペクトル中のメチル領域の積分によって定量し、一次(1,2)挿入されたプロペンの立体シーケンスに無関係なあらゆるシグナルについて補正したが、この方法はBusico,V.,Cipullo,R.,Prog.Polym.Sci.2001,26,443及びBusico,V.,Cipullo,R.,Monaco,G.,Vacatello,M.,Segre,A.L.,Macromolecules 1997,30,6251に記載されている。
レギオ欠陥に対応する特徴的なシグナルが観察された(Resconi,L.,Cavallo,L.,Fait,A.,Piemontesi,F.,Chem.Rev.2000,100,1253)。タクティシティ分布の定量化に対するレギオ欠陥の影響は、代表的なレギオ欠陥の積分値を立体シーケンスに特異的な積分値から減算することで補正した。
イソタクティシティをトライアドレベルで決定し、全てのトライアドシーケンスに対するアイソタクチックなトライアドmmの百分率として得た。
%mm=(mm/(mm+mr+rr))×100
1−ヘキセンの取り込みに対応する特徴的なシグナルが観察され、1−ヘキセン含量をポリマー中の1−ヘキセンのモル百分率、H(mol%)として、以下の式に従って計算した。
[H]=H
tot/(P
tot+H
tot)
式中、
H
tot=I(αB
4)/2+I(ααB
4)×2
であり、I(αB
4)は44.1ppmのαB
4部位の積分値であって、PPHPPシーケンスに取り込まれた孤立1−ヘキセンを同定するものであり、I(ααB
4)は41.6ppmのααB
4部位の積分値であって、PPHHPPシーケンスに連続的に取り込まれた1−ヘキセンを同定するものである。
P
tot=メチル領域上の全CH3面積の積分値であって、この領域に帰属されない他のプロペン単位の過小評価及びこの領域で見出される他の部位に起因する過大評価に対して補正を適用したものである。
そして
H(mol%)=100×[H]
であって、次いで以下の相関を用いてwt%に変換する。
H(wt%)=(100×Hmol%×84.16)/(Hmol%×84.16+(100−Hmol%)×42.08)
統計分布は、孤立(PPHPP)及び連続(PPHHPP)取り込みのコモノマーシーケンス中に存在するヘキサン含量の間の関係から示唆される。
[HH]<[H]
2
【0104】
プロピレンコポリマー(B)のコモノマー含量の計算:
【数1】
式中、
w(A)はプロピレンコポリマー(A)の重量分率であり、
w(B)はプロピレンコポリマー(B)の重量分率であり、
C(A)はプロピレンコポリマー画分(A)、すなわち第一の反応器(R1)の産物についての
13C NMRスペクトル法により測定された[wt%で表した]コモノマー含量であり、
C(CPP)は第二の反応器(R2)中で得られる産物、すなわち[プロピレンコポリマー(C−PP)の]プロピレンコポリマー画分(A)及びプロピレンコポリマー画分(B)の混合物についての
13C NMRスペクトル法により測定された[wt%で表した]コモノマー含量であり、
C(B)はプロピレンコポリマー画分(B)の算出された[wt%で表した]コモノマー含量である。
【0105】
Mw、Mn、MWD
Mw/Mn/MWDは、以下の方法に従って、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定する:
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(MWD=Mw/Mn)は、ISO16014−1:2003及びISO16014−4:2003に基づく方法により測定する。屈折率検出器及びオンライン粘度計を備えたWaters AllianceのGPCV2000装置を、TosoHaasの3×TSKゲルカラム(GMHXL−HT)及び溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB、200mg/Lの2,6−ジtertブチル−4−メチル−フェノールで安定化)を使用して、145℃、1mL/minの一定流速で用いる。分析ごとに216.5μLの試料溶液を注入する。カラムセットは、0.5kg/mol〜11500kg/molの範囲の19種の狭MWDのポリスチレン(PS)標品及び特性が明らかな広分布のポリプロピレン標品のセットを使用して、相対的キャリブレーションを用いて較正する。全ての試料は、10mL(160℃)の安定化したTCB(移動相と同じ)に5〜10mgのポリマーを溶解し、GPC装置へのサンプリング前に連続振とうしながら3時間維持することにより調製する。
【0106】
メルトフローレート(MFR)
メルトフローレートは、230℃、2.16kgの荷重(MFR
2)を使用して測定する。メルトフローレートとは、ISO1133に準じた試験機が、温度230℃、2.16kgの荷重下で10分間のうちに押し出すポリマー量をグラムで表したものである。
プロピレンコポリマー(B)のメルトフローレートMFR
2(230℃)の計算:
【数2】
式中、
w(A)は、ポリプロピレン(A)の重量分率であり、
w(B)は、プロピレンコポリマー(B)の重量分率であり、
MFR(A)は、ISO1133に従って測定されるポリプロピレン(A)の[g/10分で表した]メルトフローレートMFR
2(230℃)であり、
MFR(P)は、ISO1133に従って測定されるプロピレンコポリマー組成物(P)の[g/10分で表した]メルトフローレートMFR
2(230℃)であり、
MFR(B)は、プロピレンコポリマー(B)の算出された[g/10分で表した]メルトフローレートMFR
2(230℃)である。
【0107】
キシレン可溶性成分(XCS,wt%):低温キシレン可溶性成分量(XCS)は、25℃で、ISO16152(初版、2005−07−01)に従って測定する。
【0108】
ヘキサン可溶性成分(wt%)
FDAセクション177.1520
1gの100μm厚ポリマーフィルムを、還流冷却器を使用して撹拌しながら、2時間かけて50℃の400mlヘキサンに加える。
2時間後、混合物をろ紙41番で直ちにろ過する。
沈殿をアルミニウム容器に集め、残ったヘキサンをN
2流下、蒸気浴上で蒸発させる。
ヘキサン可溶性成分量を以下の式により決定する。
((試料重量+るつぼ重量)−(るつぼ重量))/(試料重量)・100
【0109】
溶融温度T
m、結晶化温度T
cは、5〜10mgの試料について、Mettler TA820示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定する。結晶化曲線及び溶融曲線は共に、30℃と225℃の間の10℃/分の冷却及び加熱走査により求めた。吸熱及び発熱のピークを溶融温度及び結晶化温度とした。
溶融エンタルピー及び結晶化エンタルピー(Hm及びHc)もまた、ISO11357−3に従ってDSC法により測定した。
【0110】
ヘイズ及び透明性は、60×60×2mm
2の射出成形プラークについて、ASTM D1003に従って決定した。
【0111】
空隙率:N
2ガス、ASTM4641、Micromeritics Tristar3000機を使用したBET。試料の調製:温度50℃、真空中で6時間。
【0112】
表面積:N
2ガス、ASTM D3663、Micromeritics Tristar3000機を使用したBET。試料の調製:温度50℃、真空中で6時間。
【0113】
シール開始温度(SIT)、シール終了温度(SET)、シール範囲:
この方法は、ポリプロピレンフィルム、特にブローフィルム又はキャストフィルムのシール温度範囲(シール範囲)を決定する。シール温度範囲は、下記の条件に従ってフィルムをシールすることができる温度範囲である。
下限(ヒートシール開始温度(SIT))は、シール強度>3Nが達成されるシール温度である。上限(シール終了温度(SET))には、フィルムがシール機器に貼り付くときに到達する。
シール範囲は、下記のさらなるパラメーターを使用して、100μm厚のフィルムを用いて、J&B Universal Sealing Machine Type3000上で決定する。
試料幅: 25.4mm
シール圧: 0.1N/mm
2
シール時間: 0.1秒
冷却時間: 99秒
剥離速度: 10mm/秒
開始温度: 80℃
終了温度: 150℃
増分: 10℃
試料を各シールバーでAからAに密封し、温度及びシール強度(力)を各ステップで決定する。
温度は、シール強度が3Nに達したときに決定する。
【0114】
ホットタック力:
ホットタック力は、以下のさらなるパラメーターを使用して、100μm厚のフィルムを用いて、J&B Hot Tack Tester上で決定する。
試料幅: 25.4mm
シール圧: 0.3N/mm
2
シール時間: 0.5秒
冷却時間: 99秒
剥離速度: 200mm/秒
開始温度: 90℃
終了温度: 140℃
増分: 10℃
最大ホットタック力、すなわち力/温度ダイアグラムの最大値を決定し、出力する。
【0115】
B.実施例
表1のポリマーは、バルク相ループ型反応器で開始し、次いで気相反応器で重合させる2工程重合プロセスで、Borstar PPパイロットプラントにおいて生産されたものであり、このプロセスは適切な水素及びコモノマーの供給により分子量と同様にヘキセン含量が変わるものである。重合プロセス中で用いた触媒は、WO2010052263A1の実施例10に記載されたメタロセン触媒であった。
【0116】
【表1】
h/rは、プロピレンホモポリマー/ランダムプロピレンコポリマーであり、
r/rは、ランダムプロピレンコポリマー/ランダムプロピレンコポリマーであり、
ループはポリプロピレン(A)を規定し、
GPRはプロピレンコポリマー(B)を規定し、
C6は1−ヘキセン含量である。
【0117】
【表2】
最終生成物はプロピレンコポリマー組成物(P)を規定し、
C6は1−ヘキセン含量であり、
SITはヒートシール開始温度であり、
SETはヒートシール終了温度であり、
SET−SITはSETとSITとの差であり、
STはシール温度であり、
HTFはホットタック力であり、
n.a.は未分析であることを表す。