特許第5714735号(P5714735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイゾウ ダジアン インダストリー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5714735-蒸気動力発生システム及び方法 図000002
  • 特許5714735-蒸気動力発生システム及び方法 図000003
  • 特許5714735-蒸気動力発生システム及び方法 図000004
  • 特許5714735-蒸気動力発生システム及び方法 図000005
  • 特許5714735-蒸気動力発生システム及び方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5714735
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】蒸気動力発生システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 27/16 20060101AFI20150416BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20150416BHJP
   F22B 3/08 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   F22B27/16
   F22B1/28 Z
   F22B3/08
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-11593(P2014-11593)
(22)【出願日】2014年1月24日
【審査請求日】2014年1月24日
(31)【優先権主張番号】201410013320.0
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514022419
【氏名又は名称】タイゾウ ダジアン インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TAIZHOU DAJIANG INDUSTRY. CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ グゥィウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ミンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジンクァン
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04393653(US,A)
【文献】 特開2009−150251(JP,A)
【文献】 特開2007−333287(JP,A)
【文献】 特開2013−127358(JP,A)
【文献】 米国特許第02445115(US,A)
【文献】 特表2005−509774(JP,A)
【文献】 特開2010−180869(JP,A)
【文献】 特開2002−213304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/00
F22B 1/28
F22B 3/08
F01K 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にチェンバーが設けられている受熱器と、
前記チェンバーに連通している液体入口及び蒸気出口と、
熱源とを備え、
前記熱源が前記チェンバーを加熱するためのものであり、
前記チェンバーに、飽和水発生装置及び飽和水爆発装置が設置されており、前記液体入口、前記飽和水発生装置、前記飽和水爆発装置及び前記蒸気出口が順次に連通しており、
前記飽和水発生装置内に微細通路が設けられており、液体が前記微細通路内で加熱されて飽和水になり、
前記飽和水発生装置は柱体を含み、
前記微細通路は、前記柱体の外表面と前記受熱器の内表面との間の隙間、及び/又は、前記柱体の外表面上にある少なくとも一つのスリットを含み、
前記柱体における前記液体入口に近い端部に位置し、飽和水の受熱を強化すると共に受熱のバランスを維持する機能を有する熱伝導体をさらに備えたことを特徴とする蒸気動力発生システム。
【請求項2】
前記隙間の幅が1mm未満であることを特徴とする請求項に記載の蒸気動力発生システム。
【請求項3】
前記スリットは、幅が1mm未満で、深さが1mm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気動力発生システム。
【請求項4】
前記飽和水発生装置は、前記柱体と前記液体入口との間に設置されているスプリッタ手段をさらに含み、
前記スプリッタ手段に前記隙間及び/又は前記スリットと前記液体入口とを連通させる通路が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸気動力発生システム。
【請求項5】
前記飽和水爆発装置は、多孔質材料体であり、飽和水の受熱面積を増加させる機能を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸気動力発生システム。
【請求項6】
前記多孔質材料体が綱状構成体であることを特徴とする請求項に記載の蒸気動力発生システム。
【請求項7】
1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の蒸気動力発生システムを用いて高圧力の液体を高温飽和水に転化させるステップと、
2)前記高温飽和水を瞬間に加熱して爆発させることにより、高温かつ高圧力の蒸気ストリームを生成するステップと
を備えたことを特徴とする蒸気動力発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気動力分野に関し、特に蒸気動力発生システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発動機において、従来のガソリン発動機とディーゼル発動機では、有害なガスが発生し、さらには、燃焼の過程中に約50%の燃料が発動機の過熱を起こす熱量に転換してしまうことがある。このような発動機をクランク軸、カム軸及びバルブに応用する場合、技術的要求も高いため、コストが大幅に増加し、磨損や重量の増加などの問題も伴う。従って、現実的に水蒸気の熱を機械動力に転換させるための動力源装置を発動機に取り付けることで、ピストン式の蒸気発動機及び蒸気タービン式発動機を生産することに移行する傾向にある。なお、ピストン式の蒸気発動機は、熱の転換効率が低く、環境への汚染が深刻なので、次第に淘汰されていく状況になった。また、蒸気タービン式発動機は、火力発電所に大いに利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、水を利用し、特に高温の飽和水を利用し、受熱する瞬間に爆発して膨張することにより動力を発生させることができるシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明に係る蒸気動力発生システムは、内部にチェンバーが設けられている受熱器と、前記チェンバーに連通している液体入口及び蒸気出口と、熱源とを備え、前記熱源が前記チェンバーを加熱するためのものであり、前記チェンバーに、飽和水発生装置及び飽和水爆発装置が設置されており、前記液体入口、前記飽和水発生装置、前記飽和水爆発装置及び前記蒸気出口が順次に連通している。
【0005】
前記飽和水発生装置内に微細通路が設けられており、液体が前記微細通路内で加熱されて飽和水になる。
【0006】
前記飽和水発生装置は柱体を含み、前記微細通路は、前記柱体の外表面と前記受熱器の内表面との間の隙間、及び/又は、前記柱体の外表面上にある少なくとも一つのスリットを含む。
また、本発明に係る蒸気動力発生システムは、前記柱体における前記液体入口に近い端部に位置し、飽和水の受熱を強化すると共に受熱のバランスを維持する機能を有する熱伝導体をさらに備えている。
【0007】
前記隙間の幅が1mm未満であることが好ましい
【0008】
前記スリットは、幅が1mm未満で、深さが1mm未満であることが好ましい
【0009】
前記飽和水発生装置は、前記柱体と前記液体入口との間に設置されているスプリッタ手段をさらに含み、前記スプリッタ手段に前記隙間及び/又は前記スリットと前記液体入口とを連通させる通路が設けられていることが好ましい
【0011】
前記飽和水爆発装置は、多孔質材料体であり、飽和水の受熱面積を増加させる機能を有することが好ましい
【0012】
前記多孔質材料体が綱状構成体であることが好ましい
【0013】
前記高圧力液体入口の前に、過冷却装置が設置されていることが好ましい
【0014】
本発明に係る蒸気動力発生方法は、
1)上記の本発明に係る蒸気動力発生システムを用いて高圧力の液体を高温飽和水に転化させるステップと、
2)前記高温飽和水を瞬間に加熱して爆発させることにより、高温かつ高圧力の蒸気ストリームを生成するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る蒸気動力発生システム及び方法は、従来の燃料油による内燃発動機と比較して、幾つかの利点がある。
【0016】
1、本発明に係る蒸気動力発生システム及び方法は、燃料の種類と品質に、あまり厳しい要求がない。熱源温度は400℃程度であればよく、熱の転換効率も高い。実験データによると、熱の転換効率は、25%〜35%以上に達し、従来の内燃発動機に比べ約20%高い。
【0017】
2、本発明に係る蒸気動力発生システム及び方法は、適用できる発動機の範囲が広い。当該システム及び方法によれば、燃料油による内燃発動機に比べ排気騒音が大幅に低減し、トルク特性が良い。そのため、交通手段の動力出力の際でも、トランスミッションなしで自動車の無段変速を実現することができ、排出される廃棄排気の有害成分も少ない。
【0018】
3、本発明に係る蒸気動力発生システムは、構成が簡単で、軽量化及び小型化を実現できるため、移動が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る蒸気動力発生システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明に係る蒸気動力発生システムにおけるスプリッタの構成を示す概略図である。
図3】本発明に係る蒸気動力発生システムにおけるバッフルズの構成を示す概略図である。
図4】本発明に係る蒸気動力発生システムにおける柱体の構成を示す概略図である。
図5】本発明に係る蒸気動力発生システムにおける柱体と受熱器の設置構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本技術分野の技術者が本発明の技術的方案を容易に理解できるように、以下、図面を参照しながら本発明の実施例についてさらに詳しく説明する。
【0021】
本発明に公開されている蒸気動力発生システムは、飽和水発生装置及び飽和水爆発装置を備えている。図1に示されるように、当該システムは、給水チューブ2、ねじ込みプラグ3、スプリッタ4、バッフルズ5、受熱器6、柱体7、台座8、熱源10及び熱伝導体11を含む。
【0022】
給水チューブ2は、ねじ込みプラグ3に嵌入されている。ねじ込みプラグ3は、ネジ山により受熱器6に接続されていると共に、スプリッタ4及びバッフルズ5にプリプレスを与えている。バッフルズ5のもう一方の端面は、柱体7及び熱伝導体11に接続されている。
【0023】
熱伝導体11は、柱体7の内部に嵌め込まれてもよいし、柱体7の外部に密着してもよい。
【0024】
柱体7のもう一方の端面は、台座8に接続されている。台座8は、受熱器6の内壁上にある棚と接触することにより、柱体7を支持する作用を行う。
【0025】
受熱器6の外側に、熱源10が設置されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、スプリッタ4に複数の液体流通スリット41が設けられており、高圧力の液体は給水チューブ2の中から液体流通スリット41に流入される。
【0027】
バッフルズ5はスプリッタ4と接触し、その周辺には外側に向かう複数の凸起51及び凹部52が設けられている。
【0028】
凸起51の外縁が受熱器6の内壁に当接し、液体流通スリット41内の液体が凹部52を経由して柱体7の一方側に入ることができる。
【0029】
柱体7と受熱器6との間に、微細通路が設けられている。当該微細通路内で、高圧力の液体が加熱され、高温の飽和水を生成することができる。
【0030】
上記微細通路は、柱体7の外表面と受熱器6の内表面との間の隙間71を含む。隙間71の幅は1mm未満である。
【0031】
或いは、上記微細通路は、柱体7の外表面に設けられた微小なスリット72を含む。スリット72は、幅が1mm未満で、深さが1mm未満である。
【0032】
上記微細通路は、隙間71とスリット72との両方を含んでもよい。なお、複数回の実験を繰り返した結果、微細通路が隙間71とスリット72との両方を含む場合は、隙間71の幅が1mm未満であれば、このシステムによる蒸気発生効果が最適であることが分かった。
【0033】
高圧力の液体は、液体ポンプ1を経由して給水チューブ2に流入し、スプリッタ4による分流作用及びバッフルズ5によるバッフル作用を受けた後、上記微細通路に入り、微細通路の狭い空間の中で加熱され、高温かつ高圧力の飽和水を生成する。高温かつ高圧力の飽和水が生成されると、微細通路内において高圧力での噴出が生じることにより、微細な飽和水粒子が高温状態の飽和水爆発装置に衝突して水爆発が発生し、急速に気化して高温かつ高圧力の蒸気が生成される。
【0034】
飽和水爆発装置は、多孔質材料体9を含む。多孔質材料体9は、受熱体6のチェンバー内において、蒸気出口13に近い端部に位置している。
【0035】
多孔質材料体9が綱状構成であってもよい。
【0036】
蒸気出口13の外側に動力転換装置14が接続されており、シリンダーや蒸気タービンにより外側にパワーを出して動力出力を発生させてもよい。
【0037】
受熱器6の外面に、熱源10が設けられている。熱源10は、燃料燃焼による熱、好適な温度の余熱、相変化ヒーターによる熱等を利用するものであってよい。熱源10の外側に、断熱層15を被覆設置してもよい。ねじ込みプラグ3は、ネジ山により受熱器6に接続されていると共に、スプリッタ4及びバッフルズ5にプリプレスを与えており、その端面が受熱器6との間にシールしてネジ締めされている。スプリッタ4は、放射状分流及びプリ加熱する作用を行う。
【0038】
バッフルズ5に、柱体7及び熱伝導体11が隣接している。柱体7を構成する材料は、中実または多孔質の焼結材料であり、耐高温かつ耐腐食の耐熱鋼材料である。図4に示されるように、柱体7の外表面には、径方向または軸方向に分布している複数(数十条)のスリットが設けられている。
【0039】
熱伝導体11は、柱体7の中に嵌合されてもよいし、柱体7の外に設置されてもよい。熱伝導体11は、熱伝導性能及び耐高温腐食性能に優れた材料で製造されることが好ましい。柱体7のバッフルズ5に近い一端が最初に高圧力の液体に接触するため、柱体7の熱量が急速に高圧力の液体に吸収され、柱体7の温度が低下する。熱伝導体11は、熱量の伝導を向上させる機能を有する。柱体7の温度が低下してからすぐに熱量を補充できるように熱伝導体11を設置することで、パルスごとにムラなく安定した蒸気動力を発生させることができる。台座8は、受熱器6の内壁における棚と接触して支持作用を行う。多孔質材料体9は、品質良好な耐熱耐高温酸化性の材料により製造される。
【0040】
高圧力液体入口の前に、過冷却装置12が設置されている。過冷却装置12が動力転換装置14に接続されていることにより、液体の循環利用が可能となっている。
【0041】
本発明に係る蒸気動力発生方法は、
1)高圧力の液体を高温飽和水に転化させるステップと、
2)上記高温飽和水を瞬間に加熱して爆発させることにより、高温かつ高圧力の蒸気ストリームを生成するステップとを含む。
【0042】
水の気化プロセスについては、周知のように、例えば、0℃の水1kgをピストン付きの容器に装入し、容器内の圧力をpに維持したまま、外界から容器を加熱し続ける。すると、水は、最初に温度が次第に上昇し、比体積も少し増加する。温度がpに対応する飽和温度tまで上昇すると、飽和水になり、その後、加熱を続けると、飽和水が徐々に飽和水蒸気になっていき、いわゆる気化が生じ、加熱は気化が完了するまで続けられる。全体の気化プロセス中、温度は終始変動なく飽和温度tに保持されている。気化プロセス中、飽和水蒸気の体積が絶えず増加するため、一般的に比体積も大幅に増加する。さらに加熱を続けると、温度が再び上昇し、比体積も増大し続け、飽和水蒸気が過熱水蒸気となる。
【0043】
水が高温物質に衝突して水爆発が発生する時、飽和水は、高温飽和状態(臨界圧力Pcが22.064Mpaで、臨界温度tcが373.99℃)となっているため、不飽和水よりも強い気化能力を持ち、受熱が少なく、気化も比較的早く、瞬間に爆発することで高温かつ高圧力の蒸気ストリームを生成することができる。また、蒸気に関しては、高温物質に衝突して爆発することはなく、受熱膨張するだけである。
【要約】
【課題】高温の飽和水が受熱する瞬間に爆発して膨張することにより動力を発生させる。
【解決手段】本発明に係る蒸気動力発生システムは、内部にチェンバーが設けられている受熱器と、チェンバーに連通している液体入口及び蒸気出口と、熱源とを備え、熱源がチェンバーを加熱するためのものであり、チェンバーに、飽和水発生装置及び飽和水爆発装置が設置されており、液体入口、飽和水発生装置、飽和水爆発装置及び蒸気出口が順次に連通している。本発明に係る蒸気動力発生方法は、1)高圧力の液体を高温飽和水に転化させるステップと、2)高温飽和水を瞬間に加熱して爆発させることにより、高温かつ高圧力の蒸気ストリームを生成するステップとを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5