(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3構造部と前記支持部材との接合部は、前記第1構造部から前記第2構造部までの高さの中央部よりも上側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の層間変形角測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置は、施工が大掛かりでコストがかかるとともに、照射光を光照射手段から光検出手段へ照射可能なスペースを確保しなければならず、構造物に対して容易に設置できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、構造物に容易に設置することができる層間変形角測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る層間変形角測定装置は、構造物の層間変形角を測定する層間変形角測定装置において、前記構造物の層間変形角の測定対象となる階の下側に配置された第1構造部の上面に設置され、該第1構造部との水平方向の相対変位量を測定可能な変位測定部と、前記第1構造部および前記階の上側に配置された第2構造部にそれぞれ接合された第3構造部に接合され、前記変位測定部を前記第1構造部の上面に沿って移動可能に支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、変位測定部が支持部材を介して第3構造物に支持されていることにより、変位測定部が測定した第1構造部との相対変位量は、第3構造部と支持部材との接合部と第1構造部との水平方向の相対変位量に相当することになる。
このため、第1構造部と第2構造部との間の階の層間変形角は、以下の式(1)から算出することができる。
層間変形角θ(rad)=変位測定部が測定した第1構造部との相対変位量σ/第1構造部の上面から第3構造部と支持部材との接合部までの高さh1・・・式(1)
【0008】
そして、層間変形角測定装置は、第1構造部の上面に設置された変位測定部と、変位測定部を第3構造部に支持させる支持部材と、を備える簡便な構成であるため、従来と比べて、構造物に対して施工が容易であるとともに、設置スペースを小さくすることができる。これにより、層間変形角測定装置を構造物に容易に設置することができる。
【0009】
また、本発明に係る層間変形角測定装置では、前記第3構造部と前記支持部材との接合部は、前記第1構造部から前記第2構造部までの高さの中央部よりも上側に位置していることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1構造部と第2構造部との間の階の層間変形角をより正確に算出することができる。
【0010】
また、本発明に係る層間変形角測定装置では、前記支持部材は、前記第3構造部にピン接合されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、支持部材が第3構造部との接合部を中心にその向きを変えることができる。このため、第1構造部と第3構造部とが相対変位した場合も、変位測定部が第1構造部の上面に沿って移動可能な状態に維持されるように、支持部材の向きが変わるため、変位測定部は、第一構造部と離間することがなく、第一構造部との水平方向の相対変位を確実に測定することができる。
【0011】
また、本発明に係る層間変形角測定装置では、前記変位測定部を前記第1構造部側に押さえる押さえ部を備えることが好ましい。
このような構成とすることにより、変位測定部は、地震の震動などによって第一構造部と離間することがなく、第一構造部との水平方向の相対変位を確実に測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、層間変形角測定装置は、第1構造部の上面に設置された変位測定部と、変位測定部を第3構造部に支持させる支持部材と、を備える簡便な構成であるため、従来と比べて、構造物に対して施工が容易であるとともに、設置スペースを小さくすることができる。これにより、層間変形角測定装置を構造物に容易に設置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態による層間変形角測定装置について、
図1および
図2に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態による層間変形角測定装置1Aは、構造物11の層間変形角の測定対象となる階の第1床スラブ(第1構造部)12とその上階の第2床スラブ(第2構造部)13との間に配置されている。
ここで、第1床スラブ12の上部に形成される床部(床下地材や床仕上げ材など)は、第1床スラブ12に固定されているものとし、室内の床面(第1構造部の上面)12aは、第1床スラブ12とともに挙動するものとする。なお、
図1および
図2では、第1床スラブ12の上面を床面12aとして示している。
また、第1床スラブと第2床スラブとの間の柱部(第3構造物)14は、第1床スラブ12および第2床スラブ13にそれぞれ接合されているものとする。
【0015】
第1実施形態による層間変形角測定装置1Aは、床面12aに沿って移動可能な支持体2と、構造物11の柱部14に接合された支持部材6と、支持体2と支持部材6との間に配置され支持体2を床面12aに向かって付勢する付勢部3と、支持体2に設置されて支持体2と床面12aとの水平方向の相対変位量をそれぞれ測定可能な3つの変位測定部4,4,4と、3つの変位測定部4,4,4の駆動を行うスイッチ部5と、3つの変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した支持体2と床面12aとの相対変位量のデータの処理を行う処理部(不図示)と、処理部が処理した支持体2と床面12aとの相対変位量のデータから構造物11の層間変形角を算出する層間変形角算出部(不図示)と、3つの変位測定部4,4,4に電源を供給可能な電池(不図示)と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、支持体2は、板面が上下方向を向き平面視において略正三角形状に形成された第1板部21と、第1板部21の上部に間隔をあけて第1板部21と平行に配置され外形が第1板部と同じ形状に形成された第2板部と、第1板部21と第2板部22との間に配置され第1板部21と第2板部22とを連結する連結部23と、連結された第1板部21および第2板部22を床面12aに沿って移動可能に支持する3つの移動部24,24,24と、を有している。
【0017】
第1板部21には、中央部に上下方向に貫通する平面視略円形状の孔部21aが形成されている。また、第1板部21の下部には、3つの変位測定部4,4,4および3つの移動部24,24,24が配置され、第1板部21の下面と床面12aとの間には間隔が設けられている。
第2板部22は、平面視における略正三角形の3つの角部22b,22b,22bが、第1板部21の平面視における略正三角形の3つの角部21b,21b,21bとそれぞれ重なるように配置されている。なお、第2板部22には、第1板部21のような孔部21aは形成されていない。
【0018】
連結部23は、軸方向を上下方向とし内径が第1板部21の孔部21aの径よりも大きい円筒状に形成されていて、下端部が第1板部21の上面に固定され、上端部が第2板部22の下面に固定されている。連結部23は、中心軸が第1板部21および第2板部22の中心21cと上下方向に重なるように配置されている。
【0019】
移動部24は、軸方向を上下方向とし上端部が第1板部21の下面に固定された筒状部24aと、筒状部24a内に挿入された状態で床面12aと当接し床面12aに沿って転がって移動可能な移動用球体24bと、を有している。筒状部24aは、下端部が床面12aと当接しないように配置されている。
また、本実施形態では、3つの移動部24,24,24は、第1板部21に対して第1板部21の中心21cの周りに周方向に等しく間隔をあけて配置されている。そして、3つの移動部24,24,24は、第1板部21の平面視における略正三角形の3つの角部21b,21b,21b近傍にそれぞれ配置され、角部21b,21b,21bと第1板部21の中心21cとを結ぶ線上に配置されている。
【0020】
図1に戻り、支持部材6は、正面視において略L字形状の棒状の部材に形成されている。支持部材6は、一方の端部6aが構造物11の柱部14に接合され、他方の端部6bが付勢部3の連結部31に連結されている。支持部材6と柱部14との接合部61は、床面12aから第2床スラブ13までの高さHの1/2の高さ(中央部の高さ)1/2Hよりも上側に位置している。
【0021】
支持部材6は、略L字形状の折り曲げ部6cよりも一方の端部6a側が水平方向に延びていて、折り曲げ部6cより他方の端部6b側が折り曲げ部6cから下方に延びている。
また、支持部材6は、一方の端部6aが柱部14に対してピン接合されていて、柱部14との接合部61を中心として向きを変えられるように構成されている。
なお、支持部材6の折り曲げ部6cよりも一方の端部6a側と、折り曲げ部6cより他方の端部6b側とは、折り曲げ部6cにおいて剛接合されている。
【0022】
付勢部3は、上端部が支持部材6の他方の端部6bに連結される連結部31と、連結部31の下側に配置され支持体2の第2板部22に上方から当接する押さえ板部32と、連結部31と押さえ板部32との間に配置された上下方向に伸縮可能なバネ33と、を備えている。
バネ33は、上端部が連結部31に当接するとともに、下端部が押さえ板部32と当接していて、押さえ板部32を介して支持体2を下側(床面12a側)へ付勢するように構成されている。
これにより、地震の震動などによって支持体2が床面12aから離間することが防止されている。
【0023】
3つの変位測定部4,4,4は、床面12aに沿った面内(略水平面内)における支持体2と床面12aとの相対変位量を測定可能な変位センサで構成されている。例えば、3つの変位測定部4,4,4は、バーコードリーダーや、光学式マウスなどを利用した光学式の変位センサや、アノトペンを利用した変位センサ、差動トランス式の変位センサなどで構成されている。
また、本実施形態では、3つの変位測定部4,4,4は、第1板部21に対して第1板部21の中心21cの周りに周方向に等しく間隔をあけて配置されている。そして、3つの変位測定部4,4,4は、3つの移動部24,24,24と第1板部21の中心21cとの間にそれぞれ配置されている。なお、3つの変位測定部4,4,4は、隣り合う移動部24,24間の中央部にそれぞれ配置されていてもよい。
【0024】
そして、本実施形態では、3つの変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した支持体2と床面12aとの相対変位量のデータが処理部(不図示)へ通信され、処理部がこれらのデータをもとにより正確な支持体2と床面12aとの相対変位量を算出するように構成されている。なお、層間変形角測定装置1Aには、これらのデータを3つの変位測定部4,4,4から処理部へ通信するための通信装置や、3つの変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した支持体2と床面12aとの相対変位量のデータや処理部が算出した支持体2と床面12aとの相対変位量などを記憶するための記憶部などが適宜設置されている。
【0025】
スイッチ部5は、支持体2の第1板部21の孔部21aに挿入された状態で床面12aに沿って回転しながら移動可能なスイッチ用球体51と、スイッチ用球体51が当接すると3つの変位測定部4,4,4を駆動させる4つの機械式スイッチ52,52,…と、を有している。
スイッチ用球体51は、その径が第1板部21の孔部21aの内径よりもやや小さい径に形成されていて、第1板部21の孔部21aに挿入されると、第1板部21の孔部21aの内部で移動可能に構成されている。また、スイッチ用球体51は、第1板部21の孔部21aに挿入されると、第1板部21よりも上部側が連結部23の内側に挿入されるように構成されている。
【0026】
このようなスイッチ用球体51は、構造物11と比べて質量が非常に小さく、構造物11が変位(変形)しないような微振動でも変位可能に構成されている。このため、スイッチ用球体51は、構造物11に支持された支持体2が変位しないような微振動でも変位可能となり、微振動によって支持体2とスイッチ用球体51とが異なる挙動をするように構成されている。
なお、スイッチ用球体51は、床面12aとの間の摩擦係数が、移動部24の移動用球体24bと床面12aとの間の摩擦係数よりも小さく、地震などの震動が生じてもほとんど震動せずに略一点に留まるように構成されていてもよい。そして、床面12aと支持体2とが相対変位すると、支持体2とスイッチ用球体51とが異なる挙動をするように構成されていてもよい。
【0027】
機械式スイッチ52,52,…は、第1板部21の孔部21aの縁部に沿って等間隔に配置されている。
このようなスイッチ部5は、地震の震動などが生じていない通常時には、支持体2および支持体2の第1板部21の孔部21aに挿入されたスイッチ用球体51が静止して、スイッチ用球体51と第1板部21の孔部21aの縁部に設けられた機械式スイッチ52,52,…とが離間している。そして、スイッチ部5は、地震の震動などが生じると、スイッチ用球体51が支持体2と異なる挙動をして、4つの機械式スイッチ52,52,…のうちのいずれか1つ以上と当接する。
【0028】
そして、本実施形態では、スイッチ用球体51が4つの機械式スイッチ52,52,…のうちのいずれか1つ以上と当接すると、電池から3つの変位測定部4,4,4に電源が供給されて、3つの変位測定部4,4,4が駆動するように構成されている。このとき、スイッチ用球体51が微振動によって変位可能に構成されていると、微振動によってスイッチ用球体51が4つの機械式スイッチ52,52,…のうちのいずれか1つ以上と当接可能なため、微振動の状態から支持体2と床面12aとの相対変位量を測定することができる。
そして、駆動している3つの変位測定部4,4,4は、所定の値以上の支持体2と床面12aとの相対変位量を測定しない状態が設定された一定期間経過すると、電池からの電源の供給が停止されて測定が停止されるように構成されている。
【0029】
本実施形態では、駆動している3つの変位測定部4,4,4は、測定している支持体2と床面12aとの相対変位量が0mmである状態が連続して10秒経過すると、電池からの電源の供給が停止されて測定が停止されるように構成されている。
なお、本実施形態には、スイッチ部5からの信号や3つの変位測定部4,4,4が測定している測定量の値によって電池から3つの変位測定部4,4,4への電源の供給を制御し、3つの変位測定部4,4,4の駆動および停止を制御する制御部(不図示)が設けられている。
【0030】
また、本実施形態では、変位測定部4,4,4が支持体および支持部材6を介して柱部14に支持されていることにより、変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した支持体2(変位測定部4)と床面12aとの相対変位量は、床面12aに対する柱部14と支持部材6との接合部61の水平方向の相対変位量に相当することになる。
そして、層間変形角算出部は、処理部によって処理された支持体2と床面12aとの相対変位量(後述する)を基に以下の式から構造物の層間変形角を算出するように構成されている。
層間変形角θ(rad)=支持体2と床面12aとの相対変位量σ/床面から柱部14と支持部材6との接合部61までの高さh1・・・式(2)
【0031】
電池は、例えば、支持体2の第1板部21と第2板部22との間や、第2板部22の上部などに配置されている。なお、電池が第2板部22の上部に配置されていると、電池の交換などが行いやすい。
【0032】
次に、3つの変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した支持体2と床面12aとの相対変位量のデータ(以下データとする)の処理部による処理方法について
図3に示すフローチャートを基に説明する。
(測定ステップ)
上述した変位測定装置1の3つの変位測定部4,4,4によって、支持体2と床面12との相対変位量をそれぞれ測定する(S−1)。
【0033】
(補正ステップ)
測定ステップ(S−1)において3つの変位測定部4,4,4が測定した支持体2と床面12との相対変位量のデータ(以下データとする)を軸補正し、基準となる1つのデータ以外の2つのデータの時刻歴を基準となる1つのデータに合せる(S−2)。
【0034】
(選出ステップ)
補正ステップ(S−2)において軸補正された3つのデータのうち、後の平均値算出ステップを行うデータを選出する(S−3)。
まず、3つのデータに欠落がないかどうかを判定する(S−4)。
この判断(S−3)においてデータの欠落がないと判断された場合は、3つのデータから標準偏差を算出する(S−5)。
そして、データの中にこの標準偏差の範囲外の異常値がないかどうかを判定する(S−6)。
この判断(S−6)においてデータに標準偏差の範囲外の異常値がないと判断された場合は、3つのデータを選出する(S−7)。
【0035】
また、この判断(S−6)においてデータに標準偏差の範囲外の異常値があると判断された場合は、測定ステップ(S−1)において標準偏差の範囲外のデータを測定した変位測定部4によって標準偏差の範囲外のデータが測定される直前に測定されたデータを基準とし、標準偏差の範囲内のデータを測定した変位測定部4によって測定されたデータの変化を適用させて補正データを算出する(S−8)。
そして、この補正データおよび標準偏差の範囲内のデータを選出する(S−9)。
【0036】
また、3つのデータに欠落がないかどうかの判定(S−4)において、データの欠落がある場合は、欠落していないデータを選出する(S−10)。
【0037】
(平均値算出ステップ)
選出ステップ(S−3)の選出処理(S7,S9,S10)選出されたデータの平均値を算出し、この平均値を支持体2と床面12との相対変位量(代表値)とする(S−11)。
【0038】
次に、上述した層間変形角測定装置1Aの作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態による層間変形角測定装置1Aでは、変位測定部4,4,4と、変位測定部4,4,4を床面12aに沿って移動可能に支持する支持体2と、支持体2を柱部14に支持させる支持部材6と、を備える簡便な構成であるため、従来と比べて、構造物11に対して施工が容易であるとともに、設置スペースを小さくすることができる。これにより、層間変形角測定装置1Aを構造物11に容易に設置することができる。
【0039】
また、支持部材6と柱部14との接合部61は、床面12aから第2床スラブ13までの高さHの1/2の高さ(中央部の高さ)1/2Hよりも上側に位置していることにより、層間変形角をより正確に算出することができる。
また、支持部材6は、柱部14にピン接合されていることにより、支持部材6が柱部14との接合部61を中心にその向きを変えることができる。このため、床面12aと柱部14とが相対変位した場合も、変位測定部4(支持体2)が床面12aに沿って移動可能な状態に維持されるように、支持部材6の向きが変わるため、変位測定部4は、床面12aと離間することがなく、床面12aとの水平方向の相対変位を確実に測定することができる。
【0040】
また、層間変形角測定装置1Aでは、3つの変位測定部4,4,4は、それぞれ異なる位置において床面12aと支持体2との相対変位量を測定可能に構成されていることにより、床面12aに沿って移動している支持体2が傾いて一部が床面12aから離間した場合も、支持体2の床面12aと当接している側に設けられている他の変位測定部4が、床面12aと支持体2の相対変位量を確実に測定することができる。
また、3つの変位測定部4,4,4は、それぞれ異なる位置において床面12aと支持体2との相対変位量を測定可能に構成されていることにより、3つの変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した複数の変位測定量の平均値を採用したり、3つの変位測定部4,4,4がそれぞれ測定した複数の変位測定量の中に異常値があった場合は、異常値以外の相対変位量を採用したり、異常値を異常値以外の相対変位量を基に補正したりすることで、確実に相対変位量を算出することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
図4に示すように、第2実施形態による層間変形角測定装置1Bは、地震の震動などが生じた際に、支持体2が床面12aから浮き上がることを防止するための押さえ部7が設けられている。なお、
図4(b)では、1つの柱部14に対して2つの層間変形角測定装置1Bがそれぞれ支持部材6を介して取り付けられている形態を示している。
押さえ部7は、支持部材6を介した両側に一対の押さえ部本体71,71を有している。押さえ部本体71は、支持体2の第2板部22の上部に配置され第2板部22の面に沿って延びる棒状の第1棒材72と、第1棒材72の両端部からそれぞれ床面12aに向かって延びて先端部が床面と当接する一対の第2棒材73,73と、を有している。
【0042】
第1棒材72は、一対の第2棒材73,73を介して床面12aに支持されている。そして、第1棒材72は、第2板部22と相対移動可能な状態で当接している、または、第1棒材72は、第2板部22との間にわずかな隙間が設けられている。
このような押さえ部7は、床面12aに沿った支持体2の移動は許容し、床面12aから離間する方向(上下方向)の支持体2の移動を拘束するように構成されている。
【0043】
第2実施形態による層間変形角測定装置1Bによれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、押さえ部7が設けられていることによって、地震の震動などによって支持体2が床面12aから離間することが防止され、変位測定部4が床面12aとの水平方向の相対変位を確実に測定することができる。
【0044】
以上、本発明による変形角測定装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、層間変形角測定装置1A,1Bは、支持体2が床面12a上を移動可能に構成されているが、床面12aに配置された設備の上面、梁の上面、第1床スラブ12の上面などに沿って水平方向に移動可能に構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、支持部材6は、柱部14に接合されているが、柱部14に代わって、第1床スラブ12および第2床スラブ13に接合された構造物11の壁部などに接合されていてもよい。また、支持部材6が接合される柱部14や壁部などは、構造物の第1床スラブ12および第2床スラブ13に代わって、層間変形角を測定する階の下側に配置された梁材および上側に配置された梁材などに接合されていてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、支持部材6と柱部14との接合部61は、床面12aから第2床スラブ13までの高さHの1/2の高さ(中央部の高さ)1/2Hよりも上側に位置しているが、床面12aから第2床スラブ13までの高さHの1/2の高さ(中央部の高さ)1/2H以下に位置していてもよい。
また、上記の実施形態では、支持部材6は柱部14にピン接合されているが、ピン接合されていなくてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、層間変形角測定装置1A,1Bに変位測定部4が3つ設けられているが、1つや2つ、4つ以上設けられていてもよい。変位測定部4が1つだけ設けられている場合は、処理部を設けずに、1つの変位測定部4が測定した変位量を基に層間変形角を測定するように構成されていてもよい。また、変位測定部4が1つだけ設けられている場合は、支持体2を設けずに、変位測定部4自体が床面12aに沿って移動可能に構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、変位測定部4の設置数と移動部の設置数とが同じであるが、異なっていてもよい。
また、複数の変位測定部4が配置される位置は、適宜設定されてよい。
また、複数の変位測定部4によって測定された変位量のデータの処理方法は適宜設定されてよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、スイッチ部5が設けられているが、スイッチ部5が設けられておらず、複数の変位測定部4が常に変位量を測定するように構成されていてもよい。また、スイッチ部5の形態は、上記の形態以外のものでもよい。また、上記の実施形態において、機械式スイッチ52の配置される位置や数、形態は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、層間変形角測定装置1A,1Bに複数の変位測定部4へ電源を供給可能な電池が設けられているが、このような電池が設けられておらず、例えば、構造物に設けられた電源装置から複数の変位測定部4に電源が供給されるように構成されていてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、付勢部3が設けられているが、設けられていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、移動部24は、筒状部24aおよび移動用球体24bを有しているが、筒状部24aおよび移動用球体24bに代わって、例えば、床面12a上を全方向に移動可能な車輪などを有する形態としてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、支持体2は、平面視において略正三角形状や略十字形状に形成された第1板部21および第2板部22を有しているが、第1板部21および第2板部22の形状は上記以外の形状でもよい。また、支持体2は、支持部材6に支持されるとともに床面12a上を移動可能で、複数の変位測定部4を支持可能に構成されていれば、第1板部21および第2板部22に代わる部材が設けられていてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、スイッチ用球体51が床面12aと当接して床面12a上を転がって移動するように構成されているが、板面が上下方向を向く板材が設けられて、この板材の上をスイッチ用球体51が移動するように構成されていてもよい。なお、この板材は、構造物11に支持されていてもよいし、支持体2に支持されていてもよい。
また、上記の実施形態では、変位測定部4に光学センサを用いている場合などに、変位測定部4が設置されている空間の明るさを均一に維持するために変位測定部4を囲繞するようなカバー体が設けられていてもよい。また、変位測定部4と床面12aとの間に埃などが混入することを防ぐためにカバー部材が設けられていてもよい。
【解決手段】構造物11の層間変形角を測定する層間変形角測定装置1Aにおいて、構造物11の層間変形角の測定対象となる階の下側に配置された第1床スラブ(第1構造部)12の上の床面(上面)12aに設置され、床面12aとの水平方向の相対変位量を測定可能な変位測定部4と、第1床スラブ12および階の上側に配置された第2床スラブ(第2構造部)13にそれぞれ接合された柱部(第3構造部)14に接合され、変位測定部4を床面12aに沿って移動可能に支持する支持部材6と、を備える。