特許第5714797号(P5714797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルペックス・ファルマ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特許5714797口腔内への吸着の改善された麻酔薬の固形投与製剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714797
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】口腔内への吸着の改善された麻酔薬の固形投与製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20150416BHJP
   A61K 31/4468 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20150416BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61K9/20
   A61K31/4468
   A61K47/18
   A61P23/00
【請求項の数】6
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2008-521904(P2008-521904)
(86)(22)【出願日】2006年7月21日
(65)【公表番号】特表2009-502761(P2009-502761A)
(43)【公表日】2009年1月29日
(86)【国際出願番号】EP2006007189
(87)【国際公開番号】WO2007009806
(87)【国際公開日】20070125
【審査請求日】2009年6月2日
【審判番号】不服2013-9637(P2013-9637/J1)
【審判請求日】2013年5月24日
(31)【優先権主張番号】11/186,925
(32)【優先日】2005年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508006584
【氏名又は名称】アルペックス・ファルマ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ストロッポロ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】アルダラン,シャーバズ
【合議体】
【審判長】 松浦 新司
【審判官】 関 美祝
【審判官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/065319(WO,A2)
【文献】 特表2007−517054(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/089336(WO,A2)
【文献】 特表2006−521292(JP,A)
【文献】 特開2000−281589(JP,A)
【文献】 特開平10−95738(JP,A)
【文献】 特開平6−9424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72, 31/00-31/80, 47/00-47/48
A61P1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッカル錠形態の医薬組成物であって、該組成物が
i)フェンタニル又はその薬剤的に許容できる塩である、有効量の麻酔活性成分、及び
ii)アルギニン
を含み、
アルギニン:活性成分のモル比が少なくとも5:1である、上記の医薬組成物。
【請求項2】
アルギニン:活性成分のモル比が5:1から1000:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アルギニン:活性成分のモル比が10:1から500:1の範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アルギニン:活性成分のモル比が20:1から250:1の範囲である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
該錠剤のインビボでの崩壊時間が2分から50分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
該錠剤のインビボでの崩壊時間が5分から25分である、請求項5に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内への吸着作用の改善された麻酔薬の固形投与製剤に関する。
【0002】
本発明の製剤は、第一、第二又は第三アミン基を持ち、かつ約8以上のpKを有する、薬剤的に許容できる可溶性有機化合物をバッカル剤に導入することを特徴とする。好ましくは、インビボで錠剤が崩壊する時間は、約5分から約25分である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
バッカル剤は薬剤を投与するためにますます一般的となっている。実際、バッカル剤は他の固体の投薬形態と比べて、いくつかの長所を持つ。特に、口腔製剤は経口摂取のために水を必要とすることなく口腔内で溶解し、溶解した形態で口腔粘膜に接触する薬剤の口腔内への吸着を可能とする。時によると、不都合にも、薬剤が皮膚の障壁である粘膜を越え血流に入る事が困難な結果、口腔内投与により必ずしも薬剤の効果の速い発現を得られるわけではない。
【発明の開示】
【0004】
発明の説明
驚くべきことに、無毒又は薬剤的に許容できるアミンをバッカル剤に加えると、薬剤の浸透能力が有意に改善し、本明細書に記載のように、アミンなしの製剤と比較して、より高い、またより早く活性成分の血中濃度に到達する。
【0005】
本発明に従う、約8以上のpKを持ち無毒の、バイオアベイラビリティーを改善するアミンは、以下の分類に属する:
―塩基性アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン及びオルニチン;
―第三アミン、例えば、トリエタノールアミン及びトロメタミン;
―アミノスルフォン酸、例えば、タウリン;
―メルカプタミン、例えば、システアミン;
―第四アンモニウム塩、例えば、ベタイン;
―複素環式アミン、例えば、ピロリジン;及び
―グアニジン。
【0006】
アルジニンは好ましい無毒なアミンである。本発明の前記製剤は前記アミンの2つ以上の混合物を含んでよい。好ましくは、前記アミンはポリビニルピロリドンではない。
【0007】
本発明の固体投与剤形に有利に製剤することの出来る活性成分の例として、以下を挙げることができる:
アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、 コデイン、ジフェノキシラート、フェンタニール、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボファノール(Levophanol)、レバロルファン、ロペラミド、メペリジン(Meperidine)、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン(Nalmefene)、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン(Naltrexone)、レミフェンタニル(Remifentanyl)、スフェンタニル、及びその誘導体、塩及び類似体。フェンタニルが好ましい。本発明は更に、塩、水和物等(例えばクエン酸フェンタニル)のような薬剤的に許容できる形態の活性成分の使用を含む。
【0008】
好ましくは、該活性成分に対するアミンの量(モル比(活性成分:アミン))は、約5:1から約1000:1の範囲、好ましくは、約10:1から約500:1の範囲及び最も好ましくは約20:1から約250:1の範囲である。
【0009】
好ましくは、インビボでの崩壊時間は約2から50分の間、より好ましくは約5から25分の間の範囲である。
【0010】
本発明の製剤は追加的に、典型的には1以上の希釈剤、結合剤、滑剤、流動促進剤(glidant)、崩壊剤、着色剤、着香料等のような、口腔内投与のための錠剤に見出される成分を含んでよい。該錠剤は、湿式、乾式及び流動層による造粒法又は直接打錠法を含む従来の技術により作製することができる。好ましくは、該錠剤は凍結乾燥されない。
【0011】
本発明は以下の限定されない実施例によって説明される:
【実施例】
【0012】
実施例1
【0013】
実施例1A
アミン(アルギニン)を含む、口腔内で分散できる錠剤の調製
200 mcgのフェンタニルを含む、口腔内で分散できる錠剤が以下のように得られた:
A)1.05 gのクエン酸フェンタニル及び50 gのPEG 6000を90 gの精製水に溶かした。
B)335.62 gのソルビトール、516.67 gのマンニトール、26.67 gのアスパルテーム及び10 gのクエン酸をPEG及びクエン酸フェンタニルを含む水溶液と共に粒状化した。
C)粒状化及び乾燥の終期に、43.33 gのアルギニン遊離塩基及び16.67 gのステアリン酸マグネシウムを加えた。
D)生成物を均一になるまで混合し、直径10 mm及びそれぞれ重量が300 mgで約70ニュートンの硬度を持つ環状錠剤に圧縮した。
【0014】
比較例1B
アミンを含まない、口腔内で分散できる錠剤の調製
400 mcgのフェンタニルを含む、口腔内で分散できる錠剤が以下のように得られた:
E)2.1 gのクエン酸フェンタニルおよび50 gのPEG 6000を90 gの精製水に溶かした。
F)455.62 gのソルビトール、455.62 gのマンニトール、26.67 gのアスパルテーム及び10 gのクエン酸、をPEG及びクエン酸フェンタニルを含む水溶液と共に粒状化した。
G)生成物を均一になるまで混合し、直径10 mm及びそれぞれ重量が300 mgで約30ニュートンの硬度を持つ環状錠剤に圧縮した。
【0015】
実施例2
薬物動態学的な試験を、実施例1Aに従って調製した200 mcgのフェンタニルを含む口腔製剤で処置した、6人の絶食した健康なボランティアにより行なった。その結果を、実施例1Bに従って調製した400 mcgのフェンタニルを含むバッカル剤で処置した、6人の健康なボランティアにより行なった薬物動態学的な試験と比較した。
【0016】
その結果を以下の表1に表す。
【表1】
【0017】
実施例1Aに記載の錠剤で投与されたフェンタニルの服用量(200 mcg)が実施例1Bに記載の服用量(400 mcg)の50 %であるにもかかわらず、薬物動態学的なパラメータは似かよっており、本発明の製剤に関するフェンタニルのバイオアベイラビリティーの劇的な改善を示した。
【0018】
実施例3
薬物動態学的な試験を、実施例1Aに従って調製した200 mcgのフェンタニルを含むバッカル剤で処置した6人の絶食した健康なボランティアにより行なった。その結果を、200 mcgのフェンタニルを含む市販のバッカル製剤(米国ユタ州、ソルトレークシティー、のセファロン社[Cephalon, Inc.]により商品化されたアクチック[Actiq])で処置した、6人の健康なボランティアにより行なった薬物動態学的な試験と比較した。
【0019】
その結果を以下の表2に表す。
【表2】
【0020】
実施例1Aに記載の錠剤で投与されたフェンタニルの服用量(200 mcg)がアクチック[Actiq]の服用量(200 mcg)と等しいのにもかかわらず、薬物動態学的なパラメータはずっと高く、本発明の製剤に関するフェンタニルのバイオアベイラビリティーの劇的な改善を示した。