(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714851
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】剃刀のハンドル
(51)【国際特許分類】
B26B 21/52 20060101AFI20150416BHJP
B25G 1/00 20060101ALI20150416BHJP
B25G 1/10 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
B26B21/52 A
B25G1/00 C
B25G1/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-186426(P2010-186426)
(22)【出願日】2010年8月23日
(65)【公開番号】特開2012-40314(P2012-40314A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】幅 大介
【審査官】
足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−166793(JP,A)
【文献】
実開昭55−033172(JP,U)
【文献】
実公昭43−003397(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/52,21/40,21/14−21/16
B25G 1/00
B25G 1/08−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部にはその長手方向の両側のうち一方の側に頭部を設けるとともに他方の側に尻部を設け、刃体を組み込んだ剃刀ヘッドをこの把持部の頭部に設け、この把持部は、その刃体の刃先が向く腹側である腹部と、その腹側に対する反対側の背側である背部と、その刃先の延設方向の両側である側部とを頭部と尻部との間に有している剃刀のハンドルにおいて、
複数の把持部のうち特定把持部の腹部とその特定把持部以外の把持部の背部とを互いに重ねた際に相対向する重合部のうち、特定把持部の腹部の重合部には複数の仕切部を把持部の長手方向に沿って並設した指当部を延設し、特定把持部以外の把持部の背部の重合部には複数の仕切部を把持部の長手方向に沿って並設した指当部を延設し、特定把持部の腹部側の指当部は特定把持部以外の把持部の背部側の指当部よりも硬度の大きい素材により構成され、
把持部の腹部側の指当部の各仕切部のうち少なくとも一つの仕切部に第一係合部を形成して腹部側の指当部から露出させ、この腹部側の指当部には第一係合部に対し各把持部の腹部と背部とを結ぶ厚み方向で反対側になる背側へ第二係合部を一体に突設して、把持部の背部側の指当部の各仕切部のうち少なくとも一つの仕切部に隣接してその第二係合部を背部側の指当部の内側で露出させ、
特定把持部の腹部とその特定把持部以外の把持部の背部とを互いに重ねた際に、特定把持部の腹部側の指当部の各仕切部が、特定把持部以外の把持部の背部側の指当部の各仕切部間に形成した凹部に挿入されるとともに、前記第二係合部に形成した溝部に前記第一係合部が着脱可能に係入される
ことを特徴とする剃刀のハンドル。
【請求項2】
複数の把持部のうち特定把持部の腹部とその特定把持部以外の把持部の背部とを互いに重ねて相対向する各把持部の腹部の重合部と背部の重合部とを互いに着脱可能に係合した際に、特定把持部の頭部に設けられた剃刀ヘッドにおいて剃刀ヘッド本体に被せられたキャップが特定把持部以外の把持部の頭部の背側に当てがわれることを特徴とする請求項1に記載の剃刀のハンドル。
【請求項3】
前記キャップは把持部の頭部の背側に当てがわれた際にその頭部の背側に係止される係止部を有していることを特徴とする請求項2に記載の剃刀のハンドル。
【請求項4】
前記キャップの係止部は貫通孔を有していることを特徴とする請求項3に記載の剃刀のハンドル。
【請求項5】
前記剃刀ヘッド本体は把持部の頭部に対し傾動可能に支持され、キャップは剃刀ヘッド本体に被せられた際に剃刀ヘッド本体の傾動を阻止するストッパを有していることを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一つの請求項に記載の剃刀のハンドル。
【請求項6】
複数の把持部のうち特定把持部の腹部とその特定把持部以外の把持部の背部とを互いに重ねて相対向する各把持部の腹部の重合部と背部の重合部とを互いに着脱可能に係合した際に、各把持部の尻部が各把持部の腹部と背部とを結ぶ厚み方向へ互いに並んで揃うことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つの請求項に記載の剃刀のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明
は剃刀のハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1にかかるT型カミソリでは、ハンドルの把持部が硬質プラスチックにより成形され、一対のT型カミソリにおいて、一方のハンドルの背部に他方のハンドルの腹部を重ねた際に、一方のカミソリヘッド上に他方のカミソリヘッドが重なるとともに、各ハンドルの尻部が段差状に並ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭53−32789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1にかかるT型カミソリについては、下記*の問題がある。
* ハンドルの把持部が硬質プラスチックのみにより成形されているので、ハンドルとしての強度は維持し得るが、把持感触が悪くなって使い勝手が悪くなる問題があった。
【0005】
* 各ハンドルを重ねた際に、各カミソリヘッドが段差状に並ぶので、各カミソリヘッドのうち最上のものと各ハンドルの尻部のうち最下のものとの間の寸法が大きくなって、各T型カミソリを互いに重ねて収容した時に嵩張って使い勝手が悪くなる問題があった。
【0006】
* 各ハンドルを重ねた際に、各ハンドルの尻部が段差状に並ぶので、各ハンドルの尻部のうち最下のものと各カミソリヘッドのうち最上のものとの間の寸法が大きくなって、各T型カミソリを互いに重ねて収容した時に嵩張って使い勝手が悪くなる問題があった。
【0007】
この発明は、
特に、ハンドルとしての強度を維持する素材と把持感触を良くする素材とを組み合わせて剃刀の使い勝手を良くする
とともに、複数のハンドルを重ねて結合することができる剃刀においてその結合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
後記実施形態の図面(
図1〜6)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる
剃刀1のハンドル2は、下記のように構成されている。
把持部3にはその長手方向Xの両側のうち一方の側に頭部6を設けるとともに他方の側に尻部7を設け、刃体5を組み込んだ剃刀ヘッド4をこの把持部3の頭部6に設けている。この把持部3は、その刃体5の刃先5aが向く腹側である腹部8と、その腹側に対する反対側の背側である背部9と、その刃先5aの延設方向の両側である側部10とを頭部6と尻部7との間に有している。複数の把持部3のうち特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねた際に相対向する重合部のうち、特定把持部3の腹部8の重合部には複数の仕切部15を把持部3の長手方向Xに沿って並設した指当部11を延設し、特定把持部3以外の把持部3の背部9の重合部には複数の仕切部21を把持部3の長手方向Xに沿って並設した指当部12を延設している。特定把持部3の腹部8側の指当部11は特定把持部3以外の把持部3の背部9側の指当部12よりも硬度の大きい素材により構成されている。把持部3の腹部8側の指当部11の各仕切部15のうち少なくとも一つの仕切部15に第一係合部17を形成して腹部8側の指当部11から露出させている。この腹部8側の指当部11には第一係合部17に対し各把持部3の腹部8と背部9とを結ぶ厚み方向Zで反対側になる背側へ第二係合部22を一体に突設して、把持部3の背部9側の指当部12の各仕切部21のうち少なくとも一つの仕切部21に隣接してその第二係合部22を背部9側の指当部12の内側で露出させている。特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねた際に、特定把持部3の腹部8側の指当部11の各仕切部15が、特定把持部3以外の把持部3の背部9側の指当部12の各仕切部21間に形成した凹部23に挿入されるとともに、前記第二係合部22に形成した溝部22bに前記第一係合部17が着脱可能に係入される。
請求項1の発明は下記の特徴を有している。
* 複数の把持部3のうち特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねた際に相対向する重合部のうち、特定把持部3の腹部8の重合部には複数の仕切部15を把持部3の長手方向Xに沿って並設した指当部11を延設し、特定把持部3以外の把持部3の背部9の重合部には複数の仕切部21を把持部3の長手方向Xに沿って並設した指当部12を延設している。従って、腹部8側の指当部11の各仕切部15と背部9側の指当部12の各仕切部21とが把持部3の滑り止め機能を果たして、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
* 特定把持部3の腹部8側の指当部11は特定把持部3以外の把持部3の背部9側の指当部12よりも硬度の大きい素材により構成されている。従って、軟質樹脂からなる背部9側の指当部12により、把持部3の把持感触を良くして、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。また、硬質樹脂からなる腹部8側の指当部11により、ハンドル2としての強度を維持して、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
* 特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねた際に、特定把持部3の腹部8側の指当部11の各仕切部15が、特定把持部3以外の把持部3の背部9側の指当部12の各仕切部21間に形成した凹部23に挿入される。従って、特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねることができる。
* 把持部3の腹部8側の指当部11の各仕切部15のうち少なくとも一つの仕切部15に第一係合部17を形成して腹部8側の指当部11から露出させている。また、この腹部8側の指当部11には第一係合部17に対し各把持部3の腹部8と背部9とを結ぶ厚み方向Zで反対側になる背側へ第二係合部22を一体に突設して、把持部3の背部9側の指当部12の各仕切部21のうち少なくとも一つの仕切部21に隣接してその第二係合部22を背部9側の指当部12の内側で露出させている。特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねた際に、第二係合部22に形成した溝部22bに第一係合部17が着脱可能に係入される。従って、特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねて、複数の把持部3を着脱可能に結合することができる。第一係合部17と第二係合部22とは同じ硬質樹脂からなる腹部8側の指当部11に形成されているので、第一係合部17及び第二係合部22を構成し易い。背部9側の指当部12の最外表面より外側へ突出しないようにその最外表面上またはその最外表面の内側である指当部12の内側で露出させたので、把持部3を把持する際に第二係合部22に触れることがなく、把持部3の把持感触を良くして、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【0026】
請求項1の発明を前提とする
請求項2の発明においては、
複数の把持部3のうち特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ね
て相対向する
各把持部3の腹部8の重合部と背部9の重合部とを互いに着脱可能に係合
した際に、特定把持部3の頭部6に設けられた剃刀ヘッド4で剃刀ヘッド本体25に被せられたキャップ26が
特定把持部3以外の把持部3の頭部6の背側に当てがわれる。
請求項2の発明では、各剃刀1のハンドル2を互いに重ねた際に剃刀ヘッド4と尻部7との間で長手方向Xの全長が従来と比較して短くなってその収容時に嵩張りにくくなり、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【0029】
請求項2の発明を前提とする
請求項3の発明において、前記キャップ26は
把持部3の頭部6の背側に当てがわれた際にその頭部6の背側に係止される係止部34を有している。
請求項3の発明では、キャップ26の係止部34を利用して、剃刀1の頭部6側の動きを規制することができる。
【0030】
請求項3の発明を前提とする
請求項4の発明において、前記
キャップ26の係止部34は貫通孔34bを有している。
請求項4の発明では、係止部34の貫通孔34bがキャップ26の空気通路にもなる。例えば、剃刀ヘッド4に取着されたシェービング補助材がキャップ26により覆われている場合、この貫通孔34bが空気の通り道となってシェービング補助材の乾燥を早め、シェービング補助材の性能を維持することができる。
請求項2〜4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記剃刀ヘッド本体25は把持部3の頭部6に対し傾動可能に支持され、キャップ26は剃刀ヘッド本体25に被せられた際に剃刀ヘッド本体25の傾動を阻止するストッパ33を有している。請求項5の発明では、剃刀ヘッド4を把持部3の頭部6の背側に対し安定的に当てがうことができる。
請求項1〜5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項6の発明において、複数の把持部3のうち特定把持部3の腹部8とその特定把持部3以外の把持部3の背部9とを互いに重ねて相対向する各把持部3の腹部8の重合部と背部9の重合部とを互いに着脱可能に係合した際に、各把持部3の尻部7が各把持部3の腹部8と背部9とを結ぶ厚み方向Zへ互いに並んで揃う。請求項6の発明では、各剃刀1のハンドル2を互いに重ねた際に剃刀ヘッド4と尻部7との間で長手方向Xの全長が従来と比較して短くなってその収容時に嵩張りにくくなり、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、
ハンドル2としての強度を維持する素材と把持感触を良くする素材とを組み合わせて剃刀1の使い勝手を良くすることができる
とともに、複数のハンドル2を重ねて結合することができる剃刀1においてその結合構造を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(a)は本実施形態にかかるキャップ付き剃刀を背側から見た斜視図であり、(b)は同じくキャップ付き剃刀を腹側から見た斜視図である。
【
図2】(a)は上記キャップ付き剃刀のハンドルを背側から見た背面図であり、(b)は上記キャップ付き剃刀のハンドルを腹側から見た正面図である。
【
図3】(a)は上記キャップ付き剃刀のハンドルを側方から見た側面図であり、(b)は上記キャップ付き剃刀のハンドルを側方から見た断面図であり、(c)はキャップを取り外した剃刀のハンドルを側方から見た断面図である。
【
図4】(a)は
図3(b)の部分拡大断面図であり、(b)は
図3(c)の部分拡大断面図である。
【
図5】(a)は一対のキャップ付き剃刀を互いに重ねた状態を示す側面図であり、(b)はこの状態を側方から見た断面図である。
【
図6】(a)は
図5(b)の部分拡大断面図であり、(b)は
図5(b)の部分拡大断面図である。
【
図7】(a)は別例にかかる剃刀ヘッド本体を示す断面図であり、(b)はこの剃刀ヘッド本体に組み込んだスペーサの上側を示す斜視図であり、(c)はこのスペーサの下側を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に
係る剃刀のハンドルについて図面を参照して説明する。
図1〜3に示す剃刀1は、把持部3を有するハンドル2と、
図4に示すように刃体5を組み込んだ剃刀ヘッド4とを備えている。このハンドル2において、把持部3にはその長手方向Xの両側のうち一方の側に頭部6が設けられているとともに他方の側に尻部7が設けられている。前記剃刀ヘッド4はこの把持部3の頭部6側でハンドル2に対し支持されている。この把持部3は、その刃体5の刃先5aが向く腹側である腹部8と、その腹側に対する反対側の背側である背部9と、その刃先5aの延設方向の両側である側部10とをその頭部6と尻部7との間に有している。
【0034】
前記ハンドル2の把持部3は、ABS樹脂等の硬質樹脂からなる第一指当部11(特定表部)を頭部6と尻部7と腹部8と側部10とにわたり一体に有しているとともに、この第一指当部11と同系色のエラストマ樹脂等の軟質樹脂からなる第二指当部12(特定表部以外の表部)を頭部6と尻部7との間で背部9と側部10とにわたり一体に有し、この腹側の第一指当部11と背側の第二指当部12とが互いに一体成形されて接合されている。
【0035】
前記第一指当部11は、頭部6と尻部7との間で幅方向Yの両側の側部10にある側壁部13と、頭部6と尻部7との間でこの両側壁部13間に形成された底壁部14と、この両側壁部13及び底壁部14の内側で互いに間隔をあけて把持部3の長手方向Xに沿って並設された複数の仕切部15とを有している。この各仕切部15と両側壁部13と底壁部14との間には凹部16が形成されて腹側へ開放されている。この各仕切部15のうち、頭部6と尻部7との中間位置にある一つの仕切部15と、尻部7に面する一つの仕切部15とには、それぞれ、第一係合部17が露出して形成されている。この第一係合部17は、両側壁部13側に延びる部分17aと凹部16側(把持部3の長手方向X側)へ突出する部分17bとにより十字状をなす。この各仕切部15と両第一係合部17とは凹部16から外側へ若干突出している。この両側壁部13の外側には頭部6と尻部7との間で複数の突部18が互いに間隔をあけて把持部3の長手方向Xに沿って並設されている。この各仕切部15と両第一係合部17と各突部18とは滑り止め機能も果たす。
【0036】
前記第二指当部12は、頭部6と尻部7との間で幅方向Yの両側の側部10にある側壁部19と、頭部6と尻部7との間でこの両側壁部19間に形成された底壁部20と、この両側壁部19及び底壁部20の内側で互いに間隔をあけて把持部3の長手方向Xに沿って並設された複数の仕切部21とを有している。この各仕切部21のうち、頭部6と尻部7との中間位置にある両仕切部21間と、尻部7と仕切部21との間には、それぞれ、第二係合部22が露出して形成されている。この第二係合部22は、腹側へ突設された前記第一係合部17に対し厚み方向Zで反対側になる背側へ前記第一指当部11の底壁部14から一体に突設されて把持部3の長手方向Xで間隔をあけて相対向する一対の仕切部22aと、この両仕切部22aの相対向部で底壁部20側へ延びるように形成された溝部22bとを有している。この各仕切部21及び各仕切部22aと両側壁部19と底壁部20とからなる周壁部間には凹部23が形成されて背側へ開放されている。この両側壁部19の外側には頭部6と尻部7との間で滑り止め機能も果たす複数の突部24が互いに間隔をあけて把持部3の長手方向Xに沿って並設されている。この第二指当部12の底壁部20は前記第一指当部11の底壁部14の背側に対し一体成形時に接合され、この第二指当部12の両側壁部19はその底壁部20から前記第一指当部11の両側壁部13側へ延びてその両側壁部13の外側に被覆され、この両側壁部19の各突部24とこの両側壁部13の各突部18とが腹部8と背部9とを結ぶ厚み方向Zで互いに並んでいる。
【0037】
前記剃刀ヘッド4は、刃体5が組み込まれた剃刀ヘッド本体25と、その剃刀ヘッド本体25に被せられるキャップ26とからなる。前記ハンドル2の頭部6に形成された両支持腕部27は、剃刀ヘッド本体25に形成された回動支点部28に支持されている。このハンドル2の頭部6には両壁部29間で形成された凹所30内で片持梁状の弾性板部31が形成され、剃刀ヘッド本体25に形成された押圧部32にこの弾性板部31の自由端部が当接し得る。この剃刀ヘッド本体25は、ハンドル2の頭部6に対し着脱不能に支持され、弾性板部31の弾性力によりまたはその弾性力に抗して、両支持腕部27を中心に傾動して首振りし得る。キャップ26を剃刀ヘッド本体25に被せると、キャップ26の裏壁部33(ストッパ)が弾性板部31の撓みを抑制して剃刀ヘッド本体25の傾動を阻止する。キャップ26の下側には区画部34aを介して一対の貫通孔34bを有する係止部34が形成されている。
【0038】
図5(a)に示すように一対の剃刀1において一方の把持部3(特定把持部)の腹部8と他方の把持部3(特定把持部以外の把持部)の背部9とを互いに重ねると、
図5(b)及び
図6(a)に示すように、それらの重合部で第一係合部17が第二係合部22に係入されるとともに、各仕切部15が各仕切部21間の凹部23に挿入される。また、
図5(b)及び
図6(b)に示すように、キャップ26が頭部6の背側に当てがわれ、キャップ26の係止部34の区画部34aが頭部6の凹所30に係止される。従って、各把持部3の尻部7が腹部8と背部9とを結ぶ厚み方向Zへ互いに並んで揃うとともに、各剃刀ヘッド4もその厚み方向Zへ互いに並んで揃い、またその各尻部7及び各剃刀ヘッド4が長手方向Xで互いに位置ずれせずに揃う。各剃刀1のハンドル2を互いに重ねた際に剃刀ヘッド4と尻部7との間の長手方向Xの全長は、それぞれの剃刀1における長手方向Xの全長とほぼ同じになっている。なお、
図5(a)の想像線で示すように3本の剃刀1を互いに重ねたり、図示しないが、4本以上の剃刀1を互いに重ねたりしてもよい。
【0039】
なお、剃刀1において、剃刀ヘッド4と尻部7との間で長手方向Xの全長は約115mm、キャップ26を含む幅方向Yの全幅は約44mmにそれぞれ設定されている。
本実施形態は下記の効果を有する。
【0040】
(1) 把持部3で露出する第一指当部11と第二指当部12とのうち、第一指当部11を硬質樹脂により成形するとともに第二指当部12を軟質樹脂により成形したので、ハンドル2としての強度を維持する素材と把持感触を良くする素材とを組み合わせて剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【0041】
(2) 一対の剃刀1のハンドル2を互いに結合する際に、相対向する各把持部3の重合部を互いに重ね、一方の把持部3の第一指当部11に形成された第一係合部17と、他方の把持部3の第一指当部11に形成された第二係合部22とを互いに着脱可能に係合して一対の把持部3を互いに結合することができ、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【0042】
(3) 一対のハンドル2の把持部3を互いに重ねて相対向する各把持部3の重合部を互いに着脱可能に係合した際に、一方の把持部3に設けられた剃刀ヘッド4において剃刀ヘッド本体25に被せられたキャップ26が他方の把持部3の頭部6の背側に当てがわれるとともに、各把持部3の尻部7が互いに並んで揃うので、各剃刀1のハンドル2を互いに重ねた際に剃刀ヘッド4と尻部7との間で長手方向Xの全長が従来と比較して短くなってその収容時に嵩張りにくくなり、複数の剃刀1をコンパクトに整列して保管したり運搬したりすることができる。従って、剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【0043】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよ
い。
【0044】
・ 図7に示す剃刀ヘッド本体25では、刃台35と天板36との間に下刃体37とスペーサ38と上刃体39とが順次積層されて挟持され、天板36に形成された複数の支軸36aが上刃体39とスペーサ38と下刃体37を通して刃台35に挿着されている。スペーサ38においては、支軸36aが通る各支持孔40の外周で上側に各突帯部41が形成されているとともに、その各突帯部41に隣接して各突起部42が形成されている。上刃体39はこの各突帯部41及び各突起部42に載置されてスペーサ38の上側との間で隙間43を生じる。下刃体37はスペーサ38の下側に当てがわれる。ちなみに、下刃体37及び上刃体39の厚みについては、0.05〜0.25mmに設定することが好ましく、例えば0.076mmに設定している。また、従来は例えば0.5mmの厚みを有する板材に対しスペーサの外形及び孔を打ち抜いていたが、材料の節約のため、より薄い例えば0.4mmの厚みを有する板材に対しスペーサ38をプレス機で打ち抜き、さらに例えば0.1mmの高さを有する前記各突帯部41及び各突起部42をプレス機による打ち抜き時に同時に成形することによって、従来のように例えば0.5mmの厚みを有するスペーサと同様な機能を持たせている。
【0045】
・ 剃刀ヘッド4をハンドル2に対し着脱不能に支持するばかりでなく、剃刀ヘッド4を交換できるように着脱可能に支持してもよい。また、剃刀ヘッド本体25をハンドル2に対し首振り可能に支持するばかりでなく首振り不能に支持してもよい。
【0046】
・ 前記第一指当部11はABS樹脂等の硬質樹脂からなり、前記第二指当部12はエラストマ樹脂等の軟質樹脂からなるが、これらの樹脂以外の硬質材や軟質材を用いてもよい。また、硬質樹脂と軟質樹脂とを同系色でなく異系色にしてもよい。
【0047】
・ 前記第一係合部17と第二係合部22とは、把持部3の頭部6と尻部7との間の中間位置と尻部7との二箇所に形成しているが、把持部3の頭部6と尻部7との間で一箇所にまたは三箇所以上に形成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…剃刀(手動利器)、2…ハンドル、3…
ハンドルの把持部、4…剃刀ヘッド、5…刃体、5a…刃先、6…
把持部の頭部、7…
把持部の尻部、8…
把持部の腹部、9…
把持部の背部、10…
把持部の側部、11…第一指当部(特定表部)、12…第二指当部(特定表部以外の表部)、
15…腹部の仕切部、17…第一係合部、
21…背部の仕切部、22…第二係合部、
22b…第二係合部の溝部、23…背部の凹部、25…剃刀ヘッド本体、26…キャップ
、X…把持部の長手方向、Z…把持部の厚み方向。