【実施例1】
【0019】
本発明の実施形態を図に基づき説明する。1は本発明の蒸気滅菌器である。蒸気滅菌器1は、外装ケース1Aで覆われた構成であり、外装ケース1Aの内部には、立法形または縦長直方形に骨組みされた基礎台2の水平基板2Aに、前面開口3Aの円筒状の横型チャンバー3が固定状態に取り付けられ、チャンバー3の円形状の前面開口3Aを密閉状態に保持する蓋4が、チャンバー3の一側部(図では右側)においてヒンジ部5にて開閉回動可能に支持されている。
【0020】
チャンバー3内に被滅菌物を収納し、蓋4がチャンバー3の前面開口3Aを密閉した状態において、蒸気滅菌器1を運転して、チャンバー3内を高温状態とし、被滅菌物の滅菌が行なわれる。蓋4によってチャンバー3の前面開口3Aを良好な密閉状態とするために、パッキン6がチャンバー3または蓋4に設けられる。図示のものは、蓋4の裏側周縁に環状パッキン6を備え、この環状パッキン6がチャンバー3の前面開口3Aの環状フランジ3A1に密着する構成である。
【0021】
滅菌動作を行なうためには、被滅菌物の種類に応じた滅菌コースの選択、滅菌温度や滅菌時間の設定、その他の設定等を行なうが、このような選択・設定及びこれらに係る表示のための操作パネル部PAが、外装ケース1Aの前面上部に設けられている。
【0022】
基礎台2内には、外装ケース1Aの前面下部のドア1Dを開いた部分に、チャンバー3内での滅菌のために使用する所定量の加熱用水を溜めたポリプロピレン製で内容量が約20リットル程度の注排水タンク8と、真空ポンプ7の水封及び冷却用の水を溜める内容量が約20リットル程度の冷却タンク9が、引き出し自在に収容され、その奥側にはチャンバー3内を真空引きする真空ポンプ7等を収容している。10は注排水タンク8及び冷却タンク9の出し入れ用のスロープ板であり、使用時に引き出せるように、基礎台2の下部に収容可能に設けられている。蒸気滅菌器1の移動のために、基礎台2の底部4隅部にキャスタ11が設けられている。
【0023】
本発明の蒸気滅菌器1は、蓋4を初期閉蓋状態に保持する閉蓋装置P1と、蓋4の初期閉蓋状態を検出する閉蓋検出装置S1と、蓋4を正規閉蓋状態に保持する閉蓋保持装置P2と、チャンバー3内を真空引きする真空ポンプ7と、チャンバー3内の圧力を検出する圧力スイッチ12とを備え、閉蓋装置P1は、蓋4側からチャンバー3側へ向けて突出した作動アーム31Aと、前記作動アーム31Aが係脱するよう前記チャンバー3側に設けた係止部31Bを備え、閉蓋検出装置S1は、作動アーム31Aが係止部31Bに係止した閉蓋状態を検出する第1検出スイッチSW1と、作動アーム31Aとは別個に蓋4側からチャンバー3側へ向けて突出するよう設けられた作動部32によって閉蓋状態を検出する第2検出スイッチSW2を備え、閉蓋保持装置P2は、蓋4側のロック部材33及びチャンバー3側のロック部材34の両方に係止する係止状態にて、蓋4を正規閉蓋状態に保持するロックピン35と、ロックピン35を前記係止状態と非係止状態とに作動するモータ36を備え、第1検出スイッチSW1と第2検出スイッチSW2の両方が閉蓋状態を検出した状態で真空ポンプ7が作動し、真空ポンプ7によるチャンバー3内の圧力が所定の低圧に達したことを圧力スイッチ12が検出したとき、モータ36の回転動作に伴ってロックピン35が前記係止状態となるものである。
【0024】
チャンバー3内に収容した被滅菌物の滅菌処理を行なう場合は、蓋4が確実に閉じた状態にしなければ危険である。本発明では、蓋4が閉じた状態を二重の安全手段によって保持できるロック装置は、閉蓋装置P1、閉蓋検出装置S1、及び閉蓋保持装置P2を備えている。
【0025】
蓋4の開閉は取っ手部30によって行なう。取っ手部30は、蓋4の前面に溶接等にて固定した蓋支持体30Bの左端側に設けられ、蓋支持体30Bの右端側がヒンジ部5にて開閉回動可能に支持され、それによって、蓋4が左右に開閉可能である。
【0026】
閉蓋装置P1は、蓋4側には、蓋支持体30Bの左端側からチャンバー3側へ向けて突出した作動アーム31Aが、蓋支持体30Bに溶接等にて取り付けられている。またチャンバー3側には、作動アーム31Aの先端係止部31A1が係脱する棒状のチャンバー側係止部31Bを設けている。チャンバー側係止部31Bは、通常状態では、蓋4が閉じるときの作動アーム31Aの先端が衝突する上方位置を保つように、コイルバネSPの引っ張りにて保持されている。
【0027】
この構成において、蓋4が閉じるとき、上部作動アーム31Aの先端が外装ケース1Aの前面の孔1A1から進入して、チャンバー側係止部31Bを押すことに伴って、チャンバー側係止部31BがコイルバネSPに抗して下方へ移動し、作動アーム31Aの先端がチャンバー側係止部31Bを乗り越えたとき、チャンバー側係止部31BがコイルバネSPの引っ張りにて上方へ復帰することにより、作動アーム31Aの先端係止部31A1がチャンバー側係止部31Bに係止する構成である。
【0028】
チャンバー側係止部31BとコイルバネSPは、閉蓋保持装置P2のモータ36の支持基板37に取り付けられており、チャンバー側係止部31Bは、支持基板37に軸38で回動可能に支持された回動板39に取り付けられ、コイルバネSPは、その一端が回動板39に取り付けられ他端が支持基板37に取り付けられている。
【0029】
また、チャンバー側係止部31Bを固定とし、作動アーム31Aがバネによって付勢されて、上記同様に、作動アーム31Aの先端係止部31A1がチャンバー側係止部31Bに係止する構成としたものであってもよい。いずれにしても、チャンバー側係止部31Bまたは作動アーム31Aがバネによって付勢されていて、蓋4を閉じることによって、そのバネ力に抗して作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bを乗り越えた後、そのバネ力にて作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bに係止する構成であればよい。
【0030】
なお、蓋4を開く方向へ取っ手部30を強く引っ張ることによって、コイルバネSP力に抗して作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bを乗り越えた後、作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bの係止から開放され、蓋4を開くことができる。
【0031】
閉蓋検出装置S1は、第1検出スイッチSW1と第2検出スイッチSW2を備えており、作動アーム31Aが係止部31Bに係止した状態(閉蓋状態)を検出する第1検出スイッチSW1は、支持基板37に取り付けたバネ性の補助作動板40を介して作動アーム31Aの前進及び後退によってスイッチ動作をする構成である。このため、上記のように、蓋4を閉じることによって、作動アーム31Aが前進し、チャンバー側係止部31Bを乗り越えた後、作動アーム31Aの先端係止部31A1がチャンバー側係止部31Bに係止する動作に伴って、作動アーム31Aの先端が補助作動板40の下方に延びたバネ性作動辺40Aを押すことにより、第1検出スイッチSW1の作動辺SW11が押され、第1検出スイッチSW1がONとなる。なお、第1検出スイッチSW1を押す動作安定のために設けた補助作動板40を省略して、作動アーム31Aの先端が第1検出スイッチSW1の作動辺SW11を直接押す構成でもよい。
【0032】
また、蓋4側からチャンバー3側へ向けて突出するよう設けられた作動部32によって閉蓋状態を検出する第2検出スイッチSW2は、チャンバー3の側面部に取り付けられている。チャンバー3側のロック部材34を構成する上ロック辺34Aと下ロック辺34Bが、上下位置に間隔を存して水平配置状態となるように、チャンバー3の側面部に溶接にて固定されている。第2検出スイッチSW2は、下ロック辺34Bの下面に取り付け具42によって取り付けられている。第2検出スイッチSW2は第1検出スイッチSW1と同様の構成である。この構成において、上記のように、蓋4が閉じるとき、作動部32の先端が外装ケース1Aの前面の孔1A2から進入して、第2検出スイッチSW2の作動辺が押され、第2検出スイッチSW2がONとなる。
【0033】
閉蓋保持装置P2は、蓋4側のロック部材33、チャンバー3側のロック部材34、ロックピン35及びモータ36を備えており、蓋4側のロック部材33は、蓋支持体30Bの左端側に固定されてチャンバー3側へ向けて突出した四角枠状をなし、その先端部に調整ネジ43を備えている。蓋4が閉じるとき、ロック部材33が外装ケース1Aの前面の孔1A3から進入して、チャンバー3側の上ロック辺34Aと下ロック辺34Bの間に進入する関係である。ロックピン35は、後述のようにモータ36の回転に伴って垂直方向に上下動するように、ロック作動部材44に固定されている。
【0034】
ロック部材33、上ロック辺34A、及び下ロック辺34Bには、ロックピン35が上下作動するロック孔45、46、及び47をそれぞれ形成している。ロック孔46及び47は上下対向位置であり、ロックピン35の外径よりも若干大きい直径に形成され、ロック孔45は、実施例では四角形状の孔で形成し、前後左右の長さL1、L2がロックピン35の外径よりも若干大きく、且つロック孔46及び47の直径よりも若干大きい寸法に形成している。なお、ロック孔45は円形孔でもよく、その場合も、ロックピン35の外径よりも若干大きく、且つロック孔46及び47の直径よりも若干大きい寸法に形成する。このような寸法関係は、ロックピン35が上ロック辺34A、ロック部材33及び下ロック辺34Bを挿通したロック状態となるように、上下動がスムースに行なえるためである。
【0035】
モータ36の回転によってロックピン35が上下動するロック機構の構成として、支持基板37に取り付けたモータ36と、モータ36の回転によって回転する円形状のカム板48と、カム板48の円周部に下端が回動可能に支持された第1作動部材49と、第1作動部材49の上端に回動可能に連結され、モータ36の支持基板37に取り付けた支持部51に上下動可能に支持された第2作動部材50と、第2作動部材50の上端に当接または連結したロック作動部材44を備えている。実施例では、第2作動部材50の上端にロック作動部材44が当接した構成である。支持基板37は、垂直状態になるように、その下端部は、取り付けフランジ37Aが水平基板2Aの上に、取り付けフランジ37Aに形成した孔71を貫通して、水平基板2Aの孔70に螺合するネジ41にて取り付けられ、上端部は孔74を通して上ロック辺34Aの側面に形成した孔72に螺合するネジ73にて取り付けられている。
【0036】
ロック作動部材44は、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bを上下から挟む関係となるように、上辺44Aと下辺44Bと連結辺44Cにて略コ字状をなし、上辺44Aの先端部にロックピン35が下方へ向けて垂直状態に固定されている。また、上辺44Aと下辺44Bには、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bを貫通する二本のガイドピン52A、52Bが垂直状態に固定されており、二本のガイドピン52A、52Bによって、上下動が円滑に行なえる構成である。また、第2作動部材50の上端は、ロック作動部材44の下辺44Bの下面に当接する関係であり、後述のように、モータ36の回転によって第2作動部材50が下降することによって、自重にて下降する仕組みである。
【0037】
上ロック辺34A及び下ロック辺34Bには、ガイドピン52A、52Bが貫通する孔53A、53Bを形成している。上下の孔53A及び上下の孔53Bによって、ガイドピン52A、52Bの上下動が保持されるようにするために、孔53A、53Bの直径と、ガイドピン52A、52Bの直径を同等にして、孔53A、53Bによってガイドピン52A、52Bが、殆んどガタツキが無い状態で上下動可能に保持される構成であれば、モータ36の回転によってロックピン35が安定して上下動することができる。
【0038】
しかし、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bは、蓋4がチャンバー3の前面開口3Aを密閉状態に保持するための十分な強度を保つために、チャンバー3の側面部に溶接にて固定される。この溶接作業において、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bの取り付け位置に若干の誤差が生じることがある。孔53A、53Bの直径と、ガイドピン52A、52Bの直径が同等である場合には、この誤差が生じた場合には、孔53Aと53Bの対応位置にズレが生じ、孔53A、53B内をガイドピン52A、52Bが上下動できないようになる。この溶接作業によって生じる孔53Aと53Bの対応位置のズレに対処するために、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bの孔53Aの一方または両方を大きくし、また上ロック辺34A及び下ロック辺34Bの孔53Bの一方または両方を大きくする方法がある。このようにした場合は、蒸気滅菌器1ごとに上下の孔53Aとガイドピン52Aとの対応、及び上下の53Bとガイドピン52Bとの対応が異なり、孔53A、53Bとガイドピン52A、52Bとの間にガタツキが生じて、孔53A、53B内をガイドピン52A、52Bが安定した状態で上下動できないようになることが懸念される。
【0039】
本発明では、このような点に鑑み、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bがチャンバー3の側面部に溶接にて固定される構成であっても、孔53Aとガイドピン52A、孔53Bとガイドピン52Bとの間にガタツキが生じない安定状態でもって、ガイドピン52A、52Bの上下動が達成できる構成としている。
【0040】
このため、
図8に示すように、孔53A、53Bはガイドピン52A、52Bの直径よりも十分大きい寸法とし、上ロック辺34A及び下ロック辺34Bの間に、ガイドピン52A、52Bの直径と同等の貫通孔55A、55Bのガイドパイプ54A、54Bを取り付ける。このガイドパイプ54A、54Bは、
図6に示すように、それぞれガイドピン52A、52Bが挿通された状態で、ガイドパイプ保持部材56の上辺56Aと下辺56Bに亘って取り付けられる。この取り付けは、
図3、
図7及び
図8に示すように、上ロック辺34Aと下ロック辺34Bとの間にガイドパイプ54A、54Bが配置されて、孔53Aの範囲内に貫通孔55A全体が入り、孔53Bの範囲内に貫通孔55B全体が入る状態で、保持部材56をロック部材34にネジ57によって取り付けている。実施例では、ガイドパイプ保持部材56を下ロック辺34Bにネジ57によって取り付けている。
【0041】
ガイドパイプ保持部材56をロック部材34にネジ57によって取り付ける場合、ガイドパイプ保持部材56を左右方向等に調整しつつ、ガイドパイプ54A、54B内でのガイドピン52A、52Bの上下動、及びロックピン35の上下動がスムースになる位置で、下ロック辺34Bにネジ57を締め付け固定する。また、第2作動部材50の上端にロック作動部材44が連結されず当接した構成であるため、ガイドパイプ保持部材56のこの取り付けは、モータ36の回転によって第2作動部材50が上下動する機構に影響を与えないので、調整がし易くなる。また、第2作動部材50の上端はロック作動部材44の下辺44Bの下面に当接し、両者が連結状態にない分離関係であるため、支持基板37の取り付け調整が、ロック作動部材44の上下動作には悪影響を及ぼさない構成となる。
【0042】
ロックピン35が下降したロック状態(ロック位置ともいう)を検出する第3検出スイッチSW3が支持基板37の上部に取り付けられている。モータ36の回転によってロックピン35がロック位置に下降したとき、第3検出スイッチSW3の作動辺SW31がロック作動部材44の上辺44Aによって押されて、第3検出スイッチSW3がONする。また、モータ36の回転によってロックピン35が非ロック位置へ上昇したとき、ロック作動部材44の上辺44Aによる第3検出スイッチSW3の作動辺SW31の押しが解除され、第3検出スイッチSW3がOFFする仕組みである。上記ロック位置は、蓋4側のロック部材33がロックピン35によって蓋4が閉じた状態に保持される状態であり、上記非ロック位置は、ロックピン35が蓋4側のロック部材33から外れて、取っ手部30を引っ張ることにより、蓋4を開くことができる状態である。
【0043】
チャンバー3内に収容した被滅菌物を滅菌する滅菌モードについて説明する。先ず、蒸気滅菌器1を運転可能状態とするために、電源スイッチ60をON状態にする。この状態で、
図3のように、カム板48のカム部である窪み48Aに第4検出スイッチSW4の作動辺SW41が進入して第4検出スイッチSW4がOFFしている場合は、モータ36が停止しており、第1作動部材49及び第2作動部材50を介してロック作動部材44が上昇位置に支持されており、ロックピン35が上昇した非ロック位置である。この状態は、ロックピン35の下端が、上ロック辺34Aと下ロック辺34Bとの間の空間へ突出していない状態であり、スタンバイ状態と称する。
【0044】
もし、電源スイッチ60がONしたとき、このスタンバイ状態にない場合は、第4検出スイッチSW4の作動辺SW41が窪み48Aから外れてカム板48の円周部に当節しており、第4検出スイッチSW4がONしているため、制御部の動作によってモータ36が始動し、カム板48が回転し、
図3のように、窪み48Aに第4検出スイッチSW4の作動辺SW41が進入して第4検出スイッチSW4がOFFしたとき、モータ36が停止し、蒸気滅菌器1はスタンバイ状態となる。このスタンバイ状態は、操作パネル部PAに設けた表示部65にLEDの点灯にて表示される。
【0045】
このスタンバイ状態において、被滅菌物をチャンバー3内に入れ、蓋4を閉じる。蓋4を閉じることによって、作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bに係止して第1検出スイッチSW1がONし、また、作動部32によって第2検出スイッチSW2がONとなる。この状態で表示部65のLEDがっ消灯する。更に、蓋4側のロック部材33が、上ロック辺34Aと下ロック辺34Bの間進入した状態となる。作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bに係止した状態は、環状パッキン6がチャンバー3の前面開口3Aの環状フランジ3A1に当接して若干押された閉蓋状態であり、初期閉蓋状態または仮閉蓋状態と称することができる。これは、環状パッキン6が十分圧縮されてチャンバー3の前面開口3Aが所期の完全密閉状態となる正規閉蓋状態に達する前の段階である。
【0046】
この初期閉蓋状態または仮閉蓋状態において、操作パネル部PAに設けた滅菌条件設定スイッチ61によって、滅菌条件を設定した後、操作パネル部PAに設けたスタートスイッチ62をON操作することにより、滅菌モードが指令される。設定した滅菌条件の温度及び時間は、操作パネル部PAに設けた上下の表示部63にそれぞれ表示される。
【0047】
滅菌モードは、第1検出スイッチSW1及び第2検出スイッチSW2がONになっているとき、スタートスイッチ62がONしたときにスタートし、制御部の動作によって進行する。滅菌モードのスタートによって、真空ポンプ7がON(通電にて運転)してチャンバー3内が真空引きされ、チャンバー3内が所定の低圧状態に保たれる。滅菌モードの進行状況は、操作パネル部PAに設けたプロセスモニタ64に順次表示されるので、それによって現在の進行状況を視認できる。
【0048】
上記のように、チャンバー3内が真空引きによって低圧になることに伴って、蓋4が環状パッキン6を圧縮させつつチャンバー3側へ引っ張られ、チャンバー3の密閉状態が進行する。このようにして、チャンバー3内が真空引きによってチャンバー3内が低圧となり、例えば0.07MPaのような所定の低圧に達したことを圧力スイッチ12が検出したときモータ36が始動し、その回転動作に伴ってカム板48が回転し、第1作動部材49及び第2作動部材50が下降する。これによって、ロックピン35が上昇した非ロック位置へロック作動部材44を支持していた支持が解除されるため、ロック作動部材44は自重で下降可能となる。
【0049】
この場合、まだ環状パッキン6の圧縮が十分でないため、調整ネジ43が存在しない場合は、ロックピン35が蓋4側のロック部材33の先端部分の上に当接して、ロック作動部材44の下降が阻止される。また、調整ネジ43を設けた場合は、ロックピン35がロック孔45へ入るように下降して、ロックピン35は調整ネジ43の上に当接し、ロック作動部材44の下降が阻止される。
【0050】
この状態から更に0.07MPaを超えて所定の低圧を圧力スイッチ12が検出するまで真空引きを行なうことによって、環状パッキン6の圧縮が進むことにより、ロック部材33と共に調整ネジ43がチャンバー3側へ移動するため、上記のようなロックピン35の下降阻止状態は解除され、ロック作動部材44及びロックピン35等の自重によってロック作動部材44及びロックピン35が下降する。
【0051】
この下降動作は、ガイドパイプ54A、54Bに案内されてガイドピン52A、52Bが下降し、それに伴ってロックピン35が調整ネジ43の先端側を下降し、ロック孔45、46、及び47に嵌った状態となり、ロックピン35によって蓋4側のロック部材33がロックされた状態、即ち、
図5に示すように、蓋4が開くことが阻止されたロック状態に保持される。この状態は、
図4に示すように、調整ネジ43の先端がロックピン35の側面に当接または近接した状態であり、少なくとも調整ネジ43の先端がロックピン35の側面に当接した位置で、蓋4が開くことが阻止される正規閉蓋状態である。このような正規閉蓋状態となるように、製造段階で調整ネジ43の突出長さが予め調整されている。
【0052】
このロック状態において、第3検出スイッチSW3の作動辺SW31がロック作動部材44の上辺44Aによって押されるため、第3検出スイッチSW3がONし、モータ36が停止し、真空ポンプ7がOFF(通電OFF)して真空引きが停止され、所定の低圧を圧力スイッチ12が検出した状態において、制御部の動作によって、次の工程に移行し、121℃〜134℃のように所定の高温蒸気の雰囲気のもとで、被滅菌物の滅菌工程が行われる。所定の滅菌工程の終了によって、チャンバー3内の高温蒸気が排気された後、チャンバー3内を電気ヒータで加熱する乾燥工程を経て、滅菌モードが終了する。
【0053】
滅菌モードの終了によって、チャンバー3内の圧力が蓋4を手動で開くことができる程度の所定圧力に上昇していることを圧力スイッチ12が検出したとき、制御部の動作によってモータ36が始動し、カム板48が回転し、第1作動部材49及び第2作動部材50が上昇して、ロック作動部材44を上昇させる。この上昇は、ガイドパイプ54A、54Bに案内されてガイドピン52A、52Bが下降し、それに伴ってロックピン35がロック孔47及び45から外れた状態となり、ロックピン35による蓋4側のロック部材33のロックが解除された非ロック状態となる。
【0054】
このようにして非ロック状態となったとき、
図3のように、窪み48Aに第4検出スイッチSW4の作動辺SW41が進入して第4検出スイッチSW4がOFFするため、モータ36が停止し、蒸気滅菌器1は、次の滅菌モードの開始を待つスタンバイ状態となる。このスタンバイ状態は、操作パネル部PAに設けた表示部65にLEDの点灯にて表示される。
【0055】
このため、蓋4を開く方向へ取っ手部30を強く引っ張ることによって、コイルバネSP力に抗して作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bを乗り越えた後、作動アーム31Aがチャンバー側係止部31Bの係止から開放され、蓋4がチャンバー3の前面開口3Aを開放するため、被滅菌物を取り出せる状態となる。
【0056】
上記のように、チャンバー側ロック部材34と蓋側ロック部材33とに進入して蓋を正規閉蓋状態に保持するロックピン35がロック作動部材44に取り付けられ、モータ36の回転動作によって上下動するロック作動部材44は、ロック作動部材44に取り付けた二本のガイドピン52A、52Bが、チャンバー側ロック部材34に取り付けたガイドパイプ54A、54B内を上下摺動する関係によって、チャンバー側ロック部材34の取り付け状態に誤差があっても、安定した上下動が達成できるものとなる。
【0057】
また、ロックピン35が正規閉蓋状態となったことが、第3検出スイッチSW3によって検出されることにより、滅菌動作の開始状態となるため、チャンバー3内の真空引きが不良で蓋4が確実に密閉状態になっていない状態では、滅菌動作が開始されず、安全且つ安定動作が得られるものである。