(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学強化層を研磨する工程においては、前記被クランプ領域が覆われた状態で、研磨粒子を含む流体と前記磁気記録層形成領域に形成された前記化学強化層とを相対移動させることによって、前記磁気記録層形成領域における前記化学強化層が研磨される、
請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態1におけるガラス基板を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1におけるガラス基板のクランプ領域付近を示す拡大断面図である。
【
図4】実施の形態1におけるガラス基板を含む情報記録媒体を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1におけるガラス基板が情報記録媒体として内蔵された情報記録装置を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1の変形例におけるガラス基板のクランプ領域付近を示す拡大断面図である。
【
図8】実施の形態1の変形例におけるガラス基板が情報記録媒体として内蔵された情報記録装置を示す断面図である。
【
図9】実施の形態2におけるガラス基板のクランプ領域付近を示す拡大断面図である。
【
図10】実施の形態2の変形例におけるガラス基板のクランプ領域付近を示す拡大断面図である。
【
図11】実施の形態3におけるガラス基板が情報記録媒体として内蔵された情報記録装置を示す断面図である。
【
図12】実施の形態4におけるガラス基板(情報記録媒体)の製造方法の各工程を示す図である。
【
図13】実施の形態4におけるガラス溶融工程およびプレス成形工程を経て準備されたガラス基板を示す断面図である。
【
図14】実施の形態4におけるコアリング工程、粗研磨工程、および第1精密研磨工程を経たガラス基板を示す断面図である。
【
図15】実施の形態4における化学強化層形成工程を経たガラス基板を示す断面図である。
【
図16】実施の形態4における化学強化層研磨工程を示す斜視図である。
【
図17】実施の形態4における化学強化層研磨工程が行なわれている様子を示す第1断面図である。
【
図18】実施の形態4における化学強化層研磨工程が行なわれている様子を示す第2断面図である。
【
図19】実施の形態4における第2精密研磨工程、洗浄工程、磁気記録層形成工程、および冷却工程を経て得られた情報記録媒体を示す断面図である。
【
図20】実施の形態4の変形例におけるガラス基板(情報記録媒体)の製造方法によって製造されたガラス基板および情報記録媒体を示す断面図である。
【
図21】実施の形態5におけるガラス溶融工程およびプレス成形工程を経て準備されたガラス基板を示す断面図である。
【
図22】実施の形態5におけるコアリング工程、粗研磨工程、および第1精密研磨工程を経たガラス基板を示す断面図である。
【
図23】実施の形態5における化学強化層形成工程を経たガラス基板を示す断面図である。
【
図24】実施の形態5における化学強化層研磨工程を経たガラス基板を示す断面図である。
【
図25】実施の形態5における第2精密研磨工程、洗浄工程、磁気記録層形成工程、および冷却工程を経て得られた情報記録媒体を示す断面図である。
【
図26】実施の形態5の第1変形例におけるコアリング工程、粗研磨工程、および第1精密研磨工程を経たガラス基板を示す断面図である。
【
図27】実施の形態5の第1変形例におけるガラス基板(情報記録媒体)の製造方法によって製造されたガラス基板および情報記録媒体を示す断面図である。
【
図28】実施の形態5の第2変形例におけるガラス基板の製造方法によって製造されたガラス基板を示す断面図である。
【
図29】実施の形態5の第2変形例におけるガラス基板情報記録媒体)の製造方法によって製造されたガラス基板および情報記録媒体を示す断面図である。
【
図30】実施の形態5の第3変形例におけるガラス溶融工程を示す断面図である。
【
図31】実施の形態5の第3変形例におけるプレス成形工程を示す断面図である。
【
図33】他の一般的なガラス基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0026】
[実施の形態1]
(ガラス基板1)
図1は、本実施の形態におけるガラス基板1を示す平面図である。
図2は、
図1中のII−II線矢視断面図である。
図3は、ガラス基板1の被クランプ領域1R(詳細は後述する)の付近を示す拡大断面図である。
図1〜
図3を参照して、ガラス基板1について説明する。ガラス基板1の製造方法については、実施の形態4において後述する。ガラス基板1の大きさは、たとえば0.8インチ、1.0インチ、1.8インチ、2.5インチ、または3.5インチである。
【0027】
図1および
図2に示すように、円環板状のガラス基板1は、表主表面1F(第1主表面)、裏主表面2F(第2主表面)、内周端面3、外周端面4、孔5、および化学強化層6を備える。孔5は、ガラス基板1の中心に形成される。ガラス基板1における化学強化層6は、表主表面1F、裏主表面2F、内周端面3、および外周端面4のそれぞれに形成される(
図2参照)。
【0028】
表主表面1Fは、被クランプ領域1R(第1被クランプ領域)および磁気記録層形成領域1S(第1磁気記録層形成領域)を含む。平面視円環状の被クランプ領域1Rは、孔5の外側に、ガラス基板1と同心状に設けられる。
図4〜
図6を参照して後述されるが、被クランプ領域1Rは、ガラス基板1が情報記録媒体10として情報記録装置100に内蔵された状態において、情報記録媒体10を固定するために上部クランプ部材24(
図6参照)によって押圧される領域である。
【0029】
平面視円環状の磁気記録層形成領域1Sは、被クランプ領域1Rよりも表主表面1Fの外周側に、ガラス基板1と同心状に設けられる。
図4を参照して後述されるが、磁気記録層形成領域1Sは、ガラス基板1が情報記録媒体10を構成するために、磁気記録層1K(
図4参照)が形成される領域である。
【0030】
同様に、裏主表面2Fは、被クランプ領域2R(第2被クランプ領域)および磁気記録層形成領域2S(第2磁気記録層形成領域)を含む。平面視円環状の被クランプ領域2Rは、孔5の外側に、ガラス基板1と同心状に設けられる。被クランプ領域2Rは、ガラス基板1が情報記録媒体10として情報記録装置100に内蔵された状態において、情報記録媒体10を固定するために下部クランプ部材22(
図6参照)によって押圧される領域である。
【0031】
平面視円環状の磁気記録層形成領域2Sは、被クランプ領域2Rよりも裏主表面2Fの外周側に、ガラス基板1と同心状に設けられる。磁気記録層形成領域2Sは、ガラス基板1が情報記録媒体10を構成するために、磁気記録層2K(
図4参照)が形成される領域である。
【0032】
図3を参照して、表主表面1Fにおいては、被クランプ領域1Rに形成される化学強化層6の厚さT1Rに比べて、磁気記録層形成領域1Sに形成される化学強化層6の厚さT1Sの方が薄い(厚さT1S<厚さT1R)。裏主表面2Fにおいては、被クランプ領域2Rに形成される化学強化層6の厚さT2Rに比べて、磁気記録層形成領域2Sに形成される化学強化層6の厚さT2Sの方が薄い(厚さT2S<厚さT2R)。磁気記録層形成領域1S,2Sを含む部分は厚さT1を有し、被クランプ領域1R,2Rを含む部分は厚さT2を有する(厚さT1<厚さT2)。厚さT1(ガラス基板の厚さ)は、破損防止および損傷(破損)防止、さらには情報記録装置に組み込まれて回転する時のフラッタリング振動抑制等の観点から0.8mm以上であるとよい。被クランプ領域1R,2Rにおける化学強化層6の厚さは特に制限はないが、圧縮応力により効果的な耐破壊性能を備えるためには数ミクロン以上が望ましく、特に10ミクロンを超えることがより望ましい。
【0033】
(情報記録媒体10)
図4は、ガラス基板1を含む情報記録媒体10を示す断面図である。情報記録媒体10においては、磁気記録層形成領域1S上に、磁気記録層1K(第1磁気記録層)が形成される。磁気記録層形成領域2S上に、磁気記録層2K(第2磁気記録層)が形成される。
【0034】
磁気記録層1K,2Kは、所望の記録再生特性を得るために設計された複数の層をスパッタリングすることによって形成される。磁気記録層1K,2Kは、スピンコート法、または無電解めっき法等によって各主表面1F,2F上に形成されてもよい。ここではクランプによる摩擦で基板へ形成した磁気記録層の構成部材の一部がパーティクルとして飛散することを防止するために、磁気記録層形成領域1S,2S上のみに磁気記録層1K,2Kをそれぞれ構成しているが、特にそれに限るものではなく、近年はスパッタリング法が磁気記録層構成方法の主流となっていることを鑑みれば、低コストで磁気記録層を形成するために磁気記録層1K、2Kを磁気記録層形成領域1S、2S上に加えて被クランプ領域1R、2Rまで構成しても構わない。
【0035】
(情報記録装置100)
図5は、本実施の形態における情報記録装置100を示す斜視図である。
図6は、
図5中のVI−VI線矢視断面図である。
図5および
図6に示すように、情報記録装置100は、ガラス基板1に磁気記録層1Kおよび磁気記録層2K(
図6参照)が形成された情報記録媒体10、筐体20、スピンドルモータ21(
図6参照)、下部クランプ部材22(
図6参照)、ハブ23(
図6参照)、上部クランプ部材24、固定ネジ25、ヘッドスライダ26(
図3参照)、サスペンション27、アーム28、垂直軸29、ボイスコイル30、およびボイスコイルモータ31を備える。
【0036】
筐体20の上面に、スピンドルモータ21が設置される。スピンドルモータ21の上面に、円板上の下部クランプ部材22(クランプ台)が設置される。円柱状のハブ23は、スピンドルモータ21上に立設され、下部クランプ部材22を貫通している(
図6参照)。情報記録媒体10は、孔5がハブ23に挿通されるように、下部クランプ部材22の表面22N上に配置される。ハブ23の上端に、上部クランプ部材24を貫通する固定ネジ25が螺合される。
【0037】
上部クランプ部材24は、固定ネジ25によってハブ23の上端に固定される。上部クランプ部材24は、固定ネジ25に押圧固定される内周側の円板状部分24Bと、円板状部分24Bの外周にスカート状に設けられた環状部分24Mとを有する。
【0038】
固定ネジ25によって上部クランプ部材24の円板状部分24Bが下方に押圧される。円板状部分24Bが板バネとして作用することによって、環状部分24Mの表面24Nは、情報記録媒体10を押圧固定する。下部クランプ部材22の表面22Nおよび上部クランプ部材24の環状部分24Mの表面24Nによって、情報記録媒体10が挟持される。
【0039】
上部クランプ部材24の環状部分24Mの表面24Nからの押圧力は、ガラス基板1における被クランプ領域1Rに作用する。換言すると、被クランプ領域1Rは、ガラス基板1が情報記録媒体10として情報記録装置100に内蔵された状態において、情報記録媒体10を固定するために上部クランプ部材24によって押圧される。
【0040】
下部クランプ部材22の表面22Nからの押圧力は、ガラス基板1における被クランプ領域2Rに作用する。換言すると、被クランプ領域2Rは、ガラス基板1が情報記録媒体10として情報記録装置100に内蔵された状態において、情報記録媒体10を固定するために下部クランプ部材22(
図6参照)によって押圧される。
【0041】
上記構成により、情報記録媒体10は、下部クランプ部材22および上部クランプ部材24によって挟持固定された状態で、スピンドルモータ21からの回転動力を受けて回転することができる。情報記録媒体10は、たとえば数千rpmの回転数で回転駆動される。
【0042】
図5に示すように、アーム28は、垂直軸29回りに揺動可能に取り付けられる。アーム28の先端に、板バネ(片持ち梁)状のサスペンション27が取り付けられる。サスペンション27の先端に、ヘッドスライダ26が情報記録媒体10を挟み込むように取り付けられる。
【0043】
アーム28のヘッドスライダ26とは反対側に、ボイスコイル30が取り付けられる。ボイスコイル30は、筐体20上に設けられたマグネット(図示せず)によって挟持される。ボイスコイル30およびこのマグネットにより、ボイスコイルモータ31が構成される。
【0044】
ボイスコイル30に、所定の電流が供給される。アーム28は、ボイスコイル30に流れる電流と上記マグネットの磁場とによって発生する力に基づいて、垂直軸29回りに揺動する。アーム28の揺動によって、サスペンション27およびヘッドスライダ26も矢印AR1方向に揺動する。ヘッドスライダ26は、情報記録媒体10の半径方向に往復移動する。ヘッドスライダ26に設けられた磁気ヘッド(図示せず)は、ボイスコイル30に対してシーク動作を行なう。
【0045】
当該シーク動作が行なわれる一方で、ヘッドスライダ26は、情報記録媒体10の回転に伴って発生する空気流により浮揚力を受ける。当該浮揚力とサスペンション27の弾性力(押圧力)とのバランスによって、ヘッドスライダ26は情報記録媒体10の表面に対して一定の浮上量で走行する。当該走行によって、情報記録媒体10の所定のトラックに対して、情報(データ)の記録および再生が行なわれることが可能となる。
【0046】
(作用・効果)
図6を参照して、ガラス基板1においては、化学強化層6が、表主表面1F、裏主表面2F、内周端面3、および外周端面4のそれぞれに形成される。ここで、ガラス基板1を情報記録媒体10として情報記録装置100に組み込んだ状態で、この情報記録装置100を所定の高さから落下させたとする。所定の高さとは、たとえば情報記録装置100への落下衝撃が1100Gとなるような値である。
【0047】
ガラス基板1を単体で落下させた場合とは異なり、落下によるガラス基板1への応力は、被クランプ領域1Rまたは被クランプ領域2Rに集中的に作用する。ガラス基板1においては、被クランプ領域1R,2Rには、磁気記録層形成領域1S,2Sよりも厚い化学強化層6が形成されている。ガラス基板1によれば、各主表面1F,2Fに化学強化層6が形成されていないガラス基板1Y(
図32参照)に比べて、耐衝撃性を向上させることができる。
【0048】
ここで、情報記録媒体10への情報の書き込みおよび読み取りの早さを向上させようとした場合、情報記録媒体10をより高い回転数で駆動させる必要がる。情報記録媒体10をより高い回転数で駆動させると、ガラス基板1および上部クランプ部材24の間と、ガラス基板1および下部クランプ部材22の間とにおいて、すべりが発生しやすくなる。
【0049】
すべりの発生を抑制するためには、ガラス基板1の被クランプ領域1R,2Rがより強い押圧力で固定される。これに伴って、情報記録装置100が落下した際におけるガラス基板1の被クランプ領域1R,2Rに作用する応力も増大する。これに対して、ガラス基板1によれば、被クランプ領域1R,2Rに、磁気記録層形成領域1S,2Sよりも厚い化学強化層6が形成されている。ガラス基板1によれば、ガラス基板1Y(
図32参照)に比べて、高回転(たとえば7000rpm以上)で駆動される場合に、特にその効果(耐衝撃性)が発揮されることが可能となる。
【0050】
一方、ガラス基板1においては、磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6が、被クランプ領域1R,2Rに形成された化学強化層6よりも薄い。化学強化層6の厚さが薄いため、ガラス基板1においては、被クランプ領域1R,2Rに比べて、磁気記録層形成領域1S,2Sには化学強化処理に起因するナノメーターオーダーの局所的な形状うねり(ムラ)が発生しにくい。被クランプ領域1R,2Rに比べて、磁気記録層形成領域1S,2Sの平坦度および平滑度が高い。
【0051】
したがって、ガラス基板1によれば、全面にわたって化学強化層6が一様な厚さで形成されているガラス基板1Z(
図33参照)に比べて、磁気記録層形成領域1S,2Sにおける平坦度および平滑度を向上させることができる。ガラス基板1によれば、情報を高い密度で記録可能な磁気記録層1K,2Kが、磁気記録層形成領域1S,2Sにそれぞれ形成されることができる。
【0052】
磁気記録層形成領域1Sにおける化学強化層6と、磁気記録層形成領域2Sにおける化学強化層6とは、同一の厚さであるとよい。化学強化層6によってガラス基板1に作用する圧縮応力が、磁気記録層形成領域1Sと磁気記録層形成領域2Sとにおいて互いに相殺される。ガラス基板1は、化学強化層6の圧縮応力によって撓むことがなく、平坦度をさらに向上させることが可能となる。
【0053】
以上説明したように、ガラス基板1によれば、各主表面1F,2Fにおける磁気記録層形成領域1S,2Sの平坦度および平滑度を向上させることによって、情報を高い密度で記録可能な磁気記録層1K,2Kがそれぞれ形成されることができ、さらに、ガラス基板1が情報記録媒体10として情報記録装置100に組み込まれた状態において、そのガラス基板1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0054】
[実施の形態1の変形例]
(ガラス基板1A)
図7を参照して、本変形例におけるガラス基板1Aについて説明する。ここでは、上述の実施の形態1におけるガラス基板1との相違点について説明する。ガラス基板1Aの製造方法については、実施の形態4の変形例として後述する。ガラス基板1Aにおいては、被クランプ領域1R,2Rおよび内周端面3に化学強化層6が形成され、磁気記録層形成領域1S,2Sに化学強化層6が存在していない(形成されていない)。
【0055】
図8を参照して、情報記録装置100Aは、ガラス基板1Aに磁気記録層1K,2Kが形成された情報記録媒体10Aを備える。情報記録装置100に備えられるガラス基板1Aによっても、各主表面1F,2Fに化学強化層6が形成されていないガラス基板1Y(
図32参照)に比べて、耐衝撃性を向上させることができる。
【0056】
化学強化層6が磁気記録層形成領域1S,2Sに存在していないため、磁気記録層形成領域1S,2Sには化学強化処理に起因するうねり(ムラ)がほとんど発生しない。磁気記録層形成領域1S,2Sの平坦度および平滑度は、上述の実施の形態1におけるガラス基板1に比べて、ガラス基板1Aの方が高い。ガラス基板1Aによれば、磁気記録層形成領域1S,2Sのそれぞれに、情報を高い密度で記録可能な磁気記録層1K,2Kがより良好に形成されることができる。
【0057】
[実施の形態2]
(ガラス基板1B)
図9を参照して、本実施の形態におけるガラス基板1Bについて説明する。ここでは、上述の実施の形態1におけるガラス基板1との相違点について説明する。ガラス基板1Bの製造方法については、実施の形態5として後述する。ガラス基板1Bにおいては、磁気記録層形成領域1S,2Sにおける化学強化層6に比べて、被クランプ領域1R,2Rにおける化学強化層6の方が、ガラス基板1Bの(厚さ方向における)内部深くに入り込むように形成されている。ガラス基板1Bは、表主表面1Fおよび裏主表面2Fが平坦に形成され、一様な厚さT1を有する。
【0058】
被クランプ領域1Rにおける化学強化層6の厚さT1Rに比べて、磁気記録層形成領域1Sにおける化学強化層6の厚さT1Sの方が薄いという点は、上述の実施の形態1におけるガラス基板1と同様である。また、被クランプ領域2Rに形成される化学強化層6の厚さT2Rに比べて、磁気記録層形成領域2Sに形成される化学強化層6の厚さT2Sの方が薄いという点も、上述の実施の形態1におけるガラス基板1と同様である。
【0059】
ガラス基板1Bによれば、上述の実施の形態1におけるガラス基板1と同様の作用および効果に加えて、ガラス基板1Bが配置される空間をより小さくすることができる。ガラス基板1Bが情報記録媒体として情報記録装置に組み込まれた場合において、情報記録装置としての小型化を図ることが可能となる。
【0060】
[実施の形態2の変形例]
(ガラス基板1C)
図10を参照して、本変形例におけるガラス基板1Cについて説明する。ここでは、上述の実施の形態2におけるガラス基板1Bとの相違点について説明する。ガラス基板1Cにおいては、上述の実施の形態1の変形例におけるガラス基板1A(
図7参照)と同様に、磁気記録層形成領域1S,2Sに化学強化層6が存在していない(形成されていない)。
【0061】
ガラス基板1Cによれば、上述の実施の形態2におけるガラス基板1Bと同様の作用および効果に加えて、上述の実施の形態1の変形例におけるガラス基板1A(
図7参照)と同様に、磁気記録層形成領域1S,2Sのそれぞれに、情報を高い密度で記録可能な磁気記録層1K,2Kがより良好に形成されることができる。
【0062】
[実施の形態3]
(ガラス基板1D)
図11を参照して、本実施の形態におけるガラス基板1Dを情報記録媒体10Dとして内蔵する情報記録装置100Dについて説明する。ここでは、上述の実施の形態1,2(各変形例を含む)との相違点について説明する。上述のガラス基板1,1A〜1Cにおいては、化学強化層6が被クランプ領域1Rおよび被クランプ領域2Rの双方に形成される。
【0063】
ガラス基板1Dにおいては、被クランプ領域1Rに化学強化層6が形成され、被クランプ領域2Rには化学強化層6が存在していない。ガラス基板1Dによっても、上部クランプ部材24によって押圧される部分に化学強化層6が形成されているため、当該部分を起点とする割れの発生を抑制することができる。ガラス基板1Dによっても、各主表面1F,2Fに化学強化層6が形成されていないガラス基板1Y(
図32参照)に比べて、情報記録装置100Dの落下時における耐衝撃性を向上させることができる。
【0064】
上述のガラス基板1,1A〜1Cにおいては、磁気記録層形成領域1Sに磁気記録層1Kが形成され、磁気記録層形成領域2Sに磁気記録層2Kが形成される(換言すると、ガラス基板の両面に磁気記録層が形成される)。
【0065】
一方、ガラス基板1Dにおいては、磁気記録層2Kが形成されず、磁気記録層1Kのみが磁気記録層形成領域1Sに形成される(換言すると、ガラス基板の片面にのみ磁気記録層が形成される)。ガラス基板1Dにおいては、片面にのみ磁気記録層が形成されるため、ヘッドスライダ26(
図5参照)に取り付けられる磁気ヘッドの数を減らすことができる。一般的に、磁気ヘッドはいわゆるレアアースを含む。ガラス基板1Dによれば、情報記録媒体10Dおよび情報記録装置100Dをより安価に構成することが可能となる。
【0066】
[実施の形態4]
(ガラス基板1の製造方法)
図12〜
図19を参照して、本実施の形態について説明する。ここでは、上述の実施の形態1におけるガラス基板1(
図1〜
図3)の製造方法、および上述の実施の形態1における情報記録媒体10(
図4参照)の製造方法について説明する。
【0067】
図12を参照して、ガラス溶融工程(S10)において、アルミノシリケートガラス等のガラス素材が溶融される。プレス成形工程(S11)において、溶融したガラス素材が下型上に流し込まれた後、上型および下型によってプレス成形される。
【0068】
図12および
図13を参照して、プレス成形工程(S11)を経ることによって、表主表面1F、裏主表面2F、および外周端面4を有する円板状のガラス基板1が準備される。表主表面1Fと外周端面4との間および裏主表面2Fと外周端面4との間には面取り加工が施されてもよい。ガラス基板1は、プレス成形によらずに、カッターなどを使用して所定の厚さを有するガラス板から切り出される、あるいは削り出されることによって準備されてもよい。
【0069】
図12および
図14を参照して、コアリング工程(S12)において、円筒状のダイヤモンドドリルなどを用いて、ガラス基板1の中央に孔5が形成される。孔5に対して、所定の面取り加工が施されてもよい。
【0070】
粗研磨工程(S13)において、遊星歯車機構を有する両面ラッピング装置などのラップ定盤を使用して、ガラス基板1の各主表面1F,2Fが大まかに研磨される。ガラス基板1のおおよその平行度、平坦度、反り、および厚みなどが予備調整される。粗研磨工程(S13)においてガラス基板1の各主表面1F,2Fに形成された微細なキズまたは突起物なども除去される。研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒などの遊離砥粒が用いられるが、それに限るものではなく、たとえばダイヤモンド砥粒が研磨パッドに埋め込まれた固定砥粒を用いることで研磨することもできる。また、効率よく所望のガラス基板形状を得るためには粗研磨工程を2段階あるいはそれ以上にわけて段階的に行うことも有効である。
【0071】
第1精密研磨工程(S14)において、ガラス基板1の表面が精密に研磨される。ガラス基板1の各主表面1F,2Fに残留したキズを除去しつつ、ガラス基板1の反りが矯正される。第1精密研磨工程(S14)においても、遊星歯車機構を利用した両面研磨装置などが使用される。研磨剤としては、コロイダルシリカなどが使用される。ガラス基板1の研磨後に、ガラス基板1は洗浄される。
【0072】
化学強化層形成工程(S15)において、ガラス基板1は、約300℃に加熱された化学強化処理液に約30分間浸漬される。化学強化処理液としては、たとえば、硝酸カリウム(含有率70%)と硝酸ナトリウム(含有率30%)との混合溶液が使用される。ガラス基板1に含まれるナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンは、これらのイオンに比べてイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンによって置換される(イオン交換法)。
【0073】
図15に示すように、表主表面1F、裏主表面2F、内周端面3、および外周端面4に化学強化層6がそれぞれ形成される。イオン半径の違いによって生じる歪みより、化学強化層6(イオン交換された領域)には圧縮応力が発生する。圧縮応力の発生によって、表主表面1F、裏主表面2F、内周端面3、および外周端面4が強化される。
【0074】
図12および
図16を参照して、化学強化層研磨工程(S16)において、回転駆動装置51、鉛直方向に延びる回転軸52、容器53、および流体54が準備される。ガラス基板1は、回転軸52に保持された状態で、容器53に貯留された流体54内に浸漬される。
【0075】
図17に示すように、流体54は、研磨粒子55を含む。研磨粒子としては酸化セリウム、酸化ジルコニウムなど一般にガラス研磨に用いるものであればよいが、特に酸化セリウムを用いれば化学作用による研磨と物理作用による研磨との相乗効果により、高い研磨効果を得ることができる。ガラス基板1が流体54内に浸漬された状態において、被クランプ領域1R,2Rは回転軸52によって覆われている。被クランプ領域1R,2Rに形成された化学強化層6と流体54とは相互に接触していない。磁気記録層形成領域1S,2Sおよび外周端面4に形成された化学強化層6と流体54とは相互に接触している。この状態で、回転駆動装置51は、矢印AR2方向に沿って回転軸52およびガラス基板1を回転させる。
【0076】
流体54内でガラス基板1が回転することによって、磁気記録層形成領域1S,2Sおよび外周端面4に形成された化学強化層6と流体54(研磨粒子55)とは矢印AR2方向に相対移動する。ガラス基板1を高速で回転させ、矢印AR2方向に沿って化学強化層6と研磨粒子55とを高速で相対移動させることにより、化学強化層6と研磨粒子55とが相互に接触し衝突して研磨作用が発生する。
【0077】
図18に示すように、磁気記録層形成領域1S,2Sおよび外周端面4に形成された化学強化層6が徐々に削り取られる。磁気記録層形成領域1S,2Sにおける化学強化層6が所定の厚さに到達するまで研磨されたあと、ガラス基板1は容器53から取り出される。
【0078】
図12を再び参照して、第2精密研磨工程(S17)において、容器53から取り出されたガラス基板1の表面が精密に研磨される。第2精密研磨工程(S17)は、上述の第1精密研磨工程(S14)と同様に行なわれる。洗浄工程(S18)において、ガラス基板1が洗浄される。以上のようにして、情報記録媒体10用の基板として適用可能なガラス基板1が得られる。第2精密研磨工程(S17)によって、被クランプ領域1R,2Rの微小クラック除去と磁気記録層形成領域1S,2Sの微小クラック除去とが行われるが、特に磁気記録層形成領域1S,2Sの平滑性を得るためには、
図18で示した工程を完了した段階における被クランプ領域1Rと磁気記録層形成領域1Sとの残存化学強化層6の厚さの差異、および同様に被クランプ領域2Rと磁気記録層形成領域2Sとの残存化学強化層6の厚さの差異は、ともに5ミクロン以下であることが望ましい。
【0079】
図12および
図19を参照して、磁気記録層形成工程(S19)において、磁気記録層形成領域1S,2Sに磁気記録層1K,2Kがそれぞれ形成される。磁気記録層1K,2Kは、Cr合金からなる密着層、CoFeZr合金からなる軟磁性層、Ruからなる配向制御下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、C系からなる保護層、およびF系からなる潤滑層が順次成膜されることによって形成される。
【0080】
図12を参照して、冷却工程(S20)において、磁気記録層1K,2Kが形成されたガラス基板1が冷却される。以上のようにして、
図19に示す情報記録媒体10を得ることができる。情報記録媒体10は、情報記録装置100(
図5参照)に組み込まれることができる。
【0081】
[実施の形態4の変形例]
(ガラス基板1Aの製造方法)
上述の実施の形態4においては、磁気記録層形成領域1S,2Sにおける化学強化層6が所定の厚さに到達するまで研磨されたあと、ガラス基板1は容器53から取り出される。
【0082】
図20を参照して、磁気記録層形成領域1S,2Sにおける化学強化層6が完全に除去されるまで研磨されたあと、ガラス基板1Aが容器53から取り出されてもよい。当該方法によって、上述の実施の形態1の変形例におけるガラス基板1A(
図7参照)、情報記録媒体10A(
図8参照)、および情報記録装置100A(
図8参照)を得ることができる。
【0083】
[実施の形態5]
(ガラス基板1Bの製造方法)
図21〜
図25を参照して、本実施の形態について説明する。ここでは、上述の実施の形態2におけるガラス基板1B(
図9参照)の製造方法、および情報記録媒体10Bの製造方法について説明する。
【0084】
図21を参照して、上述の実施の形態4と同様に、ガラス溶融工程(S10A)およびプレス成形工程(S11A)を経て、表主表面1F、裏主表面2F、および外周端面4を有する円板状のガラス基板1Bが準備される。ガラス基板1Bは、所定の厚さを有するガラス板から削り出されることによって準備されてもよい。
【0085】
図22を参照して、コアリング工程(S12A)において、ガラス基板1Bの中央に孔5が形成される。本実施の形態においては、孔5の周りに、平面視円環状の凹部5Gも併せて形成される。本実施の形態における凹部5Gは、孔5に繋がっている(連通している)。
【0086】
凹部5Gは、被クランプ領域1R,2R内に含まれるように形成される。当該形成によって、磁気記録層形成領域1S,2Sに対して、被クランプ領域1R,2Rは凹設されることとなる。その後、上述の実施の形態4と同様に、ガラス基板1Bに対して、粗研磨工程(S13A)および第1精密研磨工程(S14A)を行なう。
【0087】
図23を参照して、上述の実施の形態4と同様に、ガラス基板1Bに対して化学強化層形成工程(S15A)を行なう。ガラス基板1Bの表主表面1F(凹部5Gを含む)、裏主表面2F(凹部5Gを含む)、内周端面3、および外周端面4に、均一な厚さを有する化学強化層6がそれぞれ形成される。
【0088】
図24を参照して、化学強化層研磨工程(S16A)において、磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6の厚さが徐々に薄くなるように、磁気記録層形成領域1S,2Sに対して平行な方向に沿って化学強化層6が研磨される。化学強化層6は、たとえば遊星歯車機構を備えた両面研磨装置を用いて所定の厚さに到達するまで研磨される。
【0089】
磁気記録層形成領域1S,2Sに対して平行な方向に沿って化学強化層6が研磨されるため、しばらくの間は、磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6のみが優先的に削り取られる。磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6に比べて、被クランプ領域1R,2Rに形成された化学強化層6はガラス基板1Bの厚さ方向の内側に位置する。したがって、しばらくの間は、被クランプ領域1R,2Rに形成された化学強化層6は削り取られない。
【0090】
図25を参照して、磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6の厚さが所定の値となった後、上述の実施の形態4と同様に、ガラス基板1Bに対して、第2精密研磨工程(S17A)、および洗浄工程(S18A)が行なわれる。その後、磁気記録層形成工程(S19A)において、上述の実施の形態4と同様に、磁気記録層形成領域1S,2Sに磁気記録層1K,2Kがそれぞれ形成される。
【0091】
冷却工程(S20A)において、磁気記録層1K,2Kが形成されたガラス基板1Bは、上述の実施の形態4と同様に冷却される。以上のようにして、
図25に示す情報記録媒体10Bを得ることができる。情報記録媒体10Bは、上述の実施の形態4と同様にして、情報記録装置に組み込まれることができる。
【0092】
[実施の形態5の第1変形例]
(ガラス基板1B1の製造方法)
上述の実施の形態5におけるコアリング工程(S12A)では、凹部5Gが、孔5に繋がるように形成される(
図22参照)。
図26を参照して、凹部5Gは、孔5の周りに孔5と間隔を空けて平面視円環状に形成されてもよい。
【0093】
当該構成によっても、均一な厚さを有する化学強化層6が磁気記録層形成領域1S,2Sに対して平行な方向に沿って研磨されることで、しばらくの間は、磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6のみが削り取られる。磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6に比べて、被クランプ領域1R,2Rに形成された化学強化層6はガラス基板1B1の厚さ方向の内側に位置する。しばらくの間は、被クランプ領域1R,2Rに形成された化学強化層6は削り取られない。
【0094】
図27を参照して、磁気記録層形成領域1S,2Sに形成された化学強化層6の厚さが所定の値となった後、磁気記録層形成領域1S,2Sに磁気記録層1K,2Kがそれぞれ形成される。冷却工程等を経ることによって、情報記録媒体10B1が得られる。ガラス基板1B1の製造方法および情報記録媒体10B1の製造方法においては、上述の実施の形態5に比べて凹部5Gを削り取る量が少ないため、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0095】
[実施の形態5の第2変形例]
(ガラス基板1Cの製造方法)
上述の実施の形態5においては、磁気記録層形成領域1S,2Sにおける化学強化層6が所定の厚さに到達するまで研磨される。
【0096】
図28に示すように、磁気記録層形成領域1S,2Sにおける化学強化層6は完全に除去されるまで研磨されてもよい。当該方法によって、上述の実施の形態2の変形例におけるガラス基板1C(
図10参照)、情報記録媒体10C(
図29参照)、およびこれらを備えた情報記録装置(図示せず)を得ることができる。
【0097】
[実施の形態5の第3変形例]
上述の実施の形態5においては、コアリング工程(S12A)において、孔5の周りに、平面視円環状の凹部5Gが形成される(
図22参照)。
【0098】
図30を参照して、上型61および下型62を用いて溶融ガラス65をプレス成形する際に、凹部5G(
図22参照)が予め形成されてもよい。上型61は、凹部5Gに対応する位置に凸部63を有する。下型62は、凹部5Gに対応する位置に凸部64を有する。
【0099】
図31を参照して、下型62上に形成された溶融ガラス65は、上型61および下型62によってプレス成形される。溶融ガラス65が固化してガラス基板となった際には、凸部63,64によって凹部5Gが形成される。
【0100】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。