【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1に従って構成されたロールスタンドに係る発明によって達成される。このタイプのロールスタンドの有効な実施形態が請求項1の従属項に提示される。
【0016】
上記目的は、請求項14に記載の方法に係る発明によって構成されるロール又は
圧延シリンダによって同様に達成される。この解決方法の有効な実施形態が請求項14の従属項に提示される。
【0017】
本発明は、組み立ての際、その端部ジャーナル部でそれぞれが回転軸受に組み付けられる、少なくとも1つのロール又は圧延シリンダを備え、潤滑油
を含むガス流の分配用の少なくともひとつの分配装置を備える金属ストリップ圧延用のロールスタンドのために、それぞれのロール又は圧延シリンダの中に潤滑油
を含むガス流の供給用の連結流路を形成することを提案する。この方法により本発明のロールスタンドにおいては、ロール本体又は圧延シリンダ本体それ自体が、潤滑油を供給すべき各潤滑ポイントへ潤滑油を移送するのに適したものとなる。
【0018】
ロールスタンド用のロール又は
圧延シリンダに係る本発明の構成の基本的な効果は、各ロールスタンドの潤滑すべき軸受への潤滑油の供給のために追加の配管を一切用意する必要がない点にある。追加の配管は、実際上ロールスタンドやその個々の要素に接近する妨げとなり、議論しているタイプのロールスタンドの粗い運転条件により損傷する可能性もある。これに対し、本発明によるロールスタンドでは、配管の費用は最小限であり、潤滑の必要な軸受に供給するために必要な供給配管は、ひとつの場所、すなわち、外力によって引き起こされる損傷や他の機能故障が実際上除外されている各ロール又は
圧延シリンダの本体を通って走っている。
【0019】
本発明は、本発明によるロールスタンドが、従来から知られた先行技術に従って、そこからロールスタンドが組立作業及び/又はメンテナンスのために接近容易である運転側、及び駆動源がロールスタンドの駆動のために配置されており、事故の危険性が大きく接近しにくいため運転要員ができるだけ立ち入らないようにする
駆動側を有する場合、特に有効であることを証明している。供給流路が各ロール又は
圧延シリンダ内に
形成されており、このロール又は
圧延シリンダは、運転側でロールスタンドからの引き出し及びロールスタンドへの押し入れができるため、結合用流路やそれに連結する供給装置のメンテナンスは極めて容易である。結合用の流路が、ロール又は
圧延シリンダの運転側に取り付けられた端面から駆動側に取り付けられた端面まで伸びている場合、極めて容易に接近することができ、流路の結合についても比較的単純に結合することができる。
【0020】
したがって、ロールスタンドに係る本発明の実施形態は、ロールスタンドに独立した配管経路を追加設置し潤滑ポイントへ供給する場合と比較して著しい効果を提供する。このように本発明により、潤滑油をガスの流れによりロールスタンドへ移送し、各軸受の適切な運転のために必要とされる量を潤滑ポイントに供給するという、建設的で極めて容易な解決法を提供することができる。
【0021】
連絡経路の中を通過する潤滑油
を含むガス流は、その経路や連絡経路の配置や傾斜に実質的に影響されないため、連絡経路を各ロール又は圧延シリンダの中にどのように形成するかという方法は、本発明により達成される効果にとってそれほど重要な意味を持たない。しかしながら、本発明によって提供される連絡経路は、ロール又は圧延シリンダの回転軸と少なくとも実質的に同軸上に伸びていれば、ロール又は圧延シリンダの中にきわめて容易な方法で形成することができる。製造の観点からすると、この種の連絡経路を中心に配置することは、例えばドリルによって極めて容易な方法で実現することができるため有利である。
【0022】
この点において、
連絡経路は実際の方法としては、お互いに繋がっており、ロール又は
圧延シリンダの長手方向に延びている2つの穴によって製造できる。1つの穴は、例えば運転側に設けられた一方の端面から始まり、他方の穴は、例えば駆動側に設けられた他方の端面から始まっていて、共に
圧延シリンダ又はロール内に
形成されている。特に、お互いに繋がっている2つの穴の精度に関して特別な必要性が課されないため、上記製造方法は、実際上、比較的低コストで実現することができる。たとえ2つの穴がお互いに交差する領域に亀裂が生じたとしても、各流路内を通過する十分な量の潤滑油とガスの流れが穴の合流領域に確保される限り、潤滑の成果の一様性に悪影響を及ぼすことはない。
【0023】
本発明は400℃を超える温度で金属ストリップを熱間圧延するためのスタンドに極めて適している。これは、熱間圧延鋼帯用に独立して使用され、又はスタンド群の一部として使用されるロールスタンドについて最もよく当てはまる。各回転軸受を最小の潤滑油量で正確に潤滑することが本発明により容易に可能となったが、その効果が明らかになるのは正にこの種の熱間圧延スタンドについてである。
【0024】
各ケースにおいて、中央の
連絡経路から供給されるべき潤滑ポイントへと半径方向に
流出路を伸ばすことができる。これらの
流出路はロール又は
圧延シリンダの中に取付けられる分配器の出口に配置することができる。
【0025】
しかしながら、
流出路を各ロール又は
圧延シリンダの一端から他端へ通して、そこで適切な結合要素を介してロール又は
圧延シリンダの外側に取付けられた各分配器に結合するという方法も、同様に目的にかなった方法となりうる。分配器はその後、供給されるべき潤滑ポイントまで潤滑油を分割して届ける。
【0026】
各ケースにおいて、運転の際、
連絡経路と供給されるべき周辺装置との結合が信頼できるものとなるように、上記
連絡経路は、該
連絡経路に挿入された回転継手式の結合要素を経由して該
連絡経路と繋がる供給配管を経由して中央供給装置に結合することができる。
【0027】
各分配装置受入れ部からロール又は圧延シリンダを通って各ジャーナルに設置された回転軸受の取付け部に通じる少なくとも1本の流出路に、潤滑油
を含むガス流を分配するために分配装置が取り付けられる取付け部を、ロール又は圧延シリンダの端部ジャーナルの少なくとも1つに形成することにより、本発明の潤滑油
を含むガス流用の分配器が取付けられたロールスタンドのメンテナンスをさらに容易にすることができる。
【0028】
上記
分配装置受入れ部は、各ロール又は
圧延シリンダの端部ジャーナルの内、その端部ジャーナルが潤滑するべき軸受の中に組みつけられる端部ジャーナルの1つに
形成されることが好ましい。上記
分配装置受入れ部と同様に各ロール又は
圧延シリンダ内に
形成された
流出路は、上記
分配装置受入れ部から各回転軸受けに伸びている。これらの
流出路の入口開口部は、潤滑油が最適な位置から出て潤滑するべき回転軸受に流入するように、それぞれ容易に配置することができる。
【0029】
したがって、ロール又は圧延シリンダの各ジャーナルに供給される潤滑油
を含むガス流のための分配器を本発明のように配置することにより、極めて容易な方法でロールスタンドの回転軸受に潤滑油
を含むガス流を供給することができる。ロールスタンドに取り付けなければならない、あるいはロールスタンドの枠組みに形成しなければならない複雑な配管工事は必要とされない。その代わりに本発明は、各回転軸受を潤滑するために必要とされる要素を、ロールスタンドから離れた場所で作製済みのロール又は圧延シリンダに導入することを可能にする。
【0030】
もし必要であれば、各分配装置の少なくとも1つの
受入れ部が、各ロール又は
圧延シリンダの端部ジャーナルのそれぞれに
形成されていれば好ましい。この場合は、端部ジャーナルに形成された
分配装置受入れ部が、各ロール又は
圧延シリンダを通って通じる
連絡経路により相互に連結されれば、極めて容易な実施形態が提供される。
【0031】
各ロール又は圧延シリンダを貫通するこの種の連絡経路は、各ロール又は圧延シリンダの両端部のジャーナルの分配装置が、1つの端部ジャーナルに設置された中央供給結合を経由して必要な潤滑油
を含むガス流を供給されうるという基本的な利点を有する。この点において、本発明は、第1の分配装置を、その分配装置に直接繋がっている潤滑ポイントに潤滑油の流れを分割するためだけではなく、潤滑油の流れを第2の分配装置にも割り当てるために使用する、という公知の分配装置の使用法についての単純な可能性を提案するものである。この第2の分配装置は、この点で補助的な分配装置として運転され、自身に割り当てられた潤滑油の流れを指定された潤滑ポイントに分配する。
【0032】
本発明のロール又は圧延シリンダ及びこのタイプのロール又は圧延シリンダが取り付けられたロールスタンドによれば、連絡経路を通して潤滑油
を含むガス流を分配するために、ロールスタンドの駆動側及び運転側のそれぞれに配置された分配装置は、供給配管に直接結合される方の分配装置が、必要な潤滑油流れを供給配管に直接結合されていない方の分配装置に割り当てることで、双方の分配装置が単独の供給配管により集中的に供給されるように相互に連結することができる。
【0033】
本発明のロールスタンドの各ロール又は圧延シリンダの各端部ジャーナルに潤滑油
を含むガス流の分配装置が配設され、これらの分配装置が連絡経路により相互に連結される上記の場合では、潤滑油
を含むガス流を極めて容易な方法で供給できるこのタイプのロールスタンドが意図されてロールスタンドまたはロール又は圧延シリンダが提供される。
【0034】
後者は特に、分配装置がスタンドの運転側から供給される場合によく当てはまる。この場合は、ロールスタンドの駆動側に配置された回転軸受への潤滑油
を含むガス流の供給に付随するアセンブリに伴う出費や、従来技術におけるこれらの軸受けの日常のメンテナンスに伴う不都合は生じない。
【0035】
運転側に配置された分配装置は、供給配管がそれぞれの運転側の分配装置受入れ部に挿入される回転継ぎ手による結合要素を介して各分配装置受入れ部に取り付けられる際に、極めて実際的な方法で中央の潤滑油
を含むガス流の供給配管に結合される。
【0036】
ロールスタンドの駆動側に配置された分配装置受入れ部の開口部がストッパで塞がれているとき、同じ分配装置が運転側及び駆動側のそれぞれに必要とされる潤滑油
を含むガス流の分割に使用できる。
【0037】
以下に、例示的実施形態を示す図面を参照しながら、本発明をより詳しく説明する。