(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜請求項3の何れかに記載の直流モータの巻線巻装方法を用いて前記巻線が巻装された前記アーマチュアコアと、前記コンミテータとを備えたことを特徴とする直流モータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の従来技術にあっては、アーマチュアコアに巻線を巻装する工程と、同電位のセグメントに接続線を接続する工程とを別々に行う必要がる。このため、アーマチュアへのコイルの巻装時間、及びセグメントへの接続線の接続時間の総時間が長くなり、この結果、製造コストが高くなるという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、アーマチュアへのコイルの巻装時間、及びセグメントへの接続線の接続時間の総時間を短縮し、製造コストを低減できる直流モータの巻線巻装方法、及び直流モータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、4極の磁極を有するヨークと、前記ヨークに回転自在に支持される回転軸と、前記回転軸に設けられたアーマチュアコアと、前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して設けられたコンミテータとを備え、
前記コンミテータは、各相に対応する同電位の2つのセグメントが前記回転軸を中心にして対向配置されるように、総計10個の前記セグメントが周方向に沿って配置され、前記アーマチュアコアは、径方向に向かって放射状に延びる10個のティースと、これらティース間に形成される10個のスロットとを有し、各ティースには、それぞれ隣接する2つのティースに跨るように分布巻き方式で巻線が巻装され
、同電位の2つの前記セグメントには前記巻線と一連の接続線が短絡され、周方向にU1相、U2相、V1相、V2相、W1相、W2相、X1相、X2相、Y1相、Y2相の5相構造の
アーマチュアコイルが形成され
ている4極10スロット10セグメントの直流モータの巻線巻装方法であって、
Nを自然数としたとき、前記U
1相の
アーマチュアコイルに対応する
前記コンミテータの前記セグメントに前記
巻線の巻始め端を接続した後、
前記U1相のアーマチュアコイルの前記巻線の巻始め端と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記U1相のアーマチュアコイルに対応する
隣接する2つの
前記ティースに前記巻線を
N回巻装し、この後、
前記V1相のアーマチュアコイルに対応する
前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、
前記V1相のアーマチュアコイルの前記巻線と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記V1相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、
前記W1相のアーマチュアコイルに対応する
前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、
前記W1相のアーマチュアコイルと同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記W1相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、
前記X1相のアーマチュアコイルに対応する
前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、
前記X1相のアーマチュアコイルと同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記X1相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、
前記Y1相のアーマチュアコイルに対応する
前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、
前記Y1相のアーマチュアコイルと同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記Y1相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、前記巻線の巻終り端を、前記U1相のアーマチュアコイルの前記巻線の巻始め端と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに接続して前記第1のアーマチュアコイル群を形成し、さらに、これらU1相、V1相、W1相、X1相、Y1相のアーマチュアコイルを形成するのと同時に、前記U2相のアーマチュアコイルに対応する前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線の巻始め端を接続した後、前記U2相のアーマチュアコイルの前記巻線の巻始め端と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記U2相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、前記V2相のアーマチュアコイルに対応する前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、前記V2相のアーマチュアコイルの前記巻線と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記V2相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、前記W2相のアーマチュアコイルに対応する前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、前記W2相のアーマチュアコイルの前記巻線と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記W2相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、前記X2相のアーマチュアコイルに対応する前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、前記X2相のアーマチュアコイルの前記巻線と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記X2相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、この後、前記Y2相のアーマチュアコイルに対応する前記コンミテータの前記セグメントに前記巻線を接続した後、前記Y2相のアーマチュアコイルの前記巻線と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに前記接続線を接続し、前記Y2相のアーマチュアコイルに対応する隣接する2つの前記ティースに前記巻線をN回巻装し、前記巻線の巻終り端を、前記U2相のアーマチュアコイルの前記巻線の巻始め端と同電位となる前記コンミテータの前記セグメントに接続して前記第2のアーマチュアコイル群を形成し、且つ、前記巻線が掛け渡される所定のセグメントと所定のティースとの位置関係は、前記回転軸を中心にして対向する位置関係になっていることを特徴とする。
【0008】
このような巻線巻装方法とすることで、アーマチュアコアへの巻線の巻装作業、及びセグメントへの巻線の接続作業を一連で行うことができる。換言すれば、アーマチュアコアへの巻線の巻装作業、及びセグメントへの巻線の接続作業を一筆書きの要領で連続で行うことができる。
また、巻線が掛け渡される所定のセグメントと所定のティースとの位置関係は、回転軸を中心にして対向する位置関係になっているので、コンミテータの首下の巻線が回転軸に掛かるように配索することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、
前記第1のアーマチュアコイル群及び前記第2のアーマチュアコイル群は、ダブルフライヤ方式によって巻装されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、
前記U1相、U2相、V1相、V2相、W1相、W2相、X1相、X2相、Y1相、Y2相のアーマチュアコイルは、それぞれN/2回巻回された2つの小コイルにより構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の直流モータの巻装方法を用いて前記巻線が巻装された前記アーマチュアコアと、前記コンミテータとを備えたことを特徴とする直流モータとした。
【0014】
このような構成とすることで、アーマチュアへのコイルの巻装時間、及びセグメントへの接続線の接続時間の総時間を短縮し、製造コストが低減された直流モータを提供できる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載した発明によれば、アーマチュアコアへの巻線の巻装作業、及びセグメントへの巻線の接続作業を一連で行うことができる。換言すれば、アーマチュアコアへの巻線の巻装作業、及びセグメントへの巻線の接続作業を一筆書きの要領で連続で行うことができる。このため、アーマチュアへのコイルの巻装時間、及びセグメントへの接続線の接続時間の総時間を短縮し、製造コストを低減できる。
また、巻線が掛け渡される所定のセグメントと所定のティースとの位置関係は、回転軸を中心にして対向する位置関係になっているので、コンミテータの首下の巻線が回転軸に掛かるように配索することができる。このため、コンミテータの首下の巻線が径方向外側に向かって弛んでしまうのを防止でき、巻線による巻太りを低減することができる。
【0016】
請求項2に記載した発明によれば、アーマチュアコアへの巻線の巻装方法として、分布巻きを回転軸を中心にして点対称となる関係で2箇所同時に行う所謂ダブルフライヤ方式を採用することができる。このため、さらに、アーマチュアへのコイルの巻装時間、及びセグメントへの接続線の接続時間の総時間を短縮し、製造コストを低減できる。
【0017】
請求項3に記載した発明によれば、アーマチュアコアに巻装される巻線の磁気バランスを向上させることができ、循環電流を抑制することができる。このため、セグメントに摺接し、アーマチュアコイルに電流を供給するブラシの耐久性が向上する。
【0018】
請求項4に記載した発明によれば、アーマチュアへのコイルの巻装時間、及びセグメントへの接続線の接続時間の総時間を短縮し、製造コストが低減された直流モータを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
(直流モータ)
次に、この発明の第1実施形態を
図1、
図2に基づいて説明する。
図1は、直流モータの縦断面図である。
同図に示すように、直流モータ1は、車両に搭載する電装品の駆動源となるものであって、有底円筒形状のヨーク2内にアーマチュア3を回転自在に配置した構成となっている。ヨーク2の内周面には周方向に4つの永久磁石4が磁極が順番となるように配設されている。これによって、直流モータ1は、ヨーク2内に4極の磁極が形成された状態になっている。
【0021】
アーマチュア3は、回転軸5に外嵌固定されたアーマチュアコア6と、アーマチュアコア6に巻装されたアーマチュアコイル7と、アーマチュアコア6の一端側に配置されたコンミテータ(整流子)13とから構成されている。アーマチュアコア6は、リング状の金属板8を軸方向に複数枚積層したものである。金属板8の外周部には軸方向平面視T字型のティース9が周方向に沿って等間隔で、かつ放射状に10個形成されている。
【0022】
複数枚の金属板8を回転軸5に外嵌することにより、アーマチュアコア6の外周には隣接するティース9間に蟻溝状のスロット11が形成されている。スロット11は軸方向に沿って延びており、周方向に沿って等間隔に10個形成されている。
このスロット11間にはエナメル被覆の巻線12が巻装され、これによりアーマチュアコア6の外周に複数のアーマチュアコイル7が形成される。
【0023】
コンミテータ13は回転軸5の一端に外嵌固定されている。コンミテータ13の外周面には、導電材で形成されたセグメント14が10枚取り付けられている。セグメント14は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。各セグメント14のアーマチュアコア6側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ15が一体形成されている。ライザ15には、アーマチュアコイル7や後述の接続線(均圧線)25を形成する巻線12の巻き始め端31、及び巻き終わり端32(
図2参照)とが掛け回わされ、ヒュージングによりライザ15に固定されている。これにより、セグメント14とこれに対応するアーマチュアコイル7、及び接続線25とが電気的に接続される。
【0024】
回転軸5の他端側は、ヨーク2に突出形成されたボス内の軸受16によって回転自在に支持されている。ヨーク2の開口端にはカバー17が設けられており、このカバー17の内側にはホルダステー18が取り付けられている。ホルダステー18には、周方向に所定の角度(本実施形態では90度)間隔をあけて2つのブラシホルダ19が設けられている。
【0025】
各ブラシホルダ19には、それぞれブラシ21がスプリングSを介して付勢された状態で出没自在に内装されている。これらブラシ21の先端部は、スプリングSによって付勢されているためコンミテータ13に摺接しており、外部からの電源がブラシ21を介してコンミテータ13に供給されるようになっている。
【0026】
(巻線の巻装方法)
図2は、アーマチュア3のセグメント14(ライザ15)とティース9、そして、ヨーク2側に配設されている永久磁石4とを展開した図面であり、隣接するティース9の空隙がスロット11に相当している(以下の図面についても同様)。なお、以下の図面においては、各セグメント14、及び各ティース9に回転方向に沿って順に番号を付けると共に、巻装された巻線12にそれぞれ符号を付して説明する。また、
図2において、アーマチュア3の回転方向(以下、単に回転方向という)は、右方向とする。
【0027】
ここで、アーマチュアコア6の外周に形成されるアーマチュアコイル7は、隣接する2つのティース9,9に跨るように分布巻き方式で巻線12が巻装されることにより形成され、U相、V相、W相、X相、Y相の5相構造になっている。そして、各相のアーマチュアコイル7は、それぞれ回転軸5を中心にして対向するように2箇所に形成される。すなわち、アーマチュアコイル7は、第1U相コイル71U、第2U相コイル72U、第1V相コイル71V、第2V相コイル72V、第1W相コイル71W、第2W相コイル72W、第1X相コイル71X、第2X相コイル72X、第1Y相コイル71Y、第2Y相コイル72Yにより構成されている。
【0028】
また、同電位となるセグメント14同士、つまり、回転軸5を中心にして対向する2つのセグメント14同士は、接続線25によって短絡されている。
このような構成のアーマチュアコイル7、及び接続線25は、互いに一連に巻線12を引き回すことにより形成される。以下、より具体的に説明する。
【0029】
図2に示すように、まず、例えば、巻線12の巻き始め端31が6番セグメント14のライザ15に掛け回された場合、続いて6番セグメント14と同電位となる1番セグメント14のライザ15に巻線12が掛け回される。そして、6番セグメント14と1番セグメント14とを短絡する接続線25を形成する。
【0030】
次に、1番セグメント14とは回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在している7番−8番ティース9,9間のスロット11に、巻線12を引き込む。そして、7番−8番ティース9,9間のスロット11と、ここから回転方向とは逆側のスロット11を1つ飛ばして存在する5番−6番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN回(Nは自然数)巻回され、第1U相コイル71Uが形成される。
【0031】
第1U相コイル71Uを形成した巻線12は、5番−6番ティース9,9間のスロット11から引き出され、回転方向に向かって配索された後、2番−3番ティース9,9間のスロット11に引き込まれる。そして、2番−3番ティース9,9間のスロット11と、ここから回転方向とは逆側のスロット11を1つ飛ばして存在する10番−1番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN回巻回され、第2U相コイル72Uが形成される。
【0032】
続いて、巻線12は、10番−1番ティース9,9間のスロット11から引き出され、このスロット11とは回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在し、且つ6番セグメント14に隣り合う7番セグメント14のライザ15に掛け回される。さらに、巻線12は、7番セグメント14と同電位となる2番セグメント14のライザ15に掛け回される。これにより、7番セグメント14と2番セグメント14とを短絡する接続線25が形成される。
【0033】
次に、2番セグメント14とは回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在している8番−9番ティース9,9間のスロット11に巻線12を引き込み、8番−9番ティース9,9間のスロット11と、ここから回転方向とは逆側のスロット11を1つ飛ばして存在する6番−7番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN回巻回され、第1V相コイル71Vが形成される。
【0034】
第1V相コイル71Vを形成した巻線12は、6番−7番ティース9,9間のスロット11から引き出され、回転方向に向かって配索された後、3番−4番ティース9,9間のスロット11に引き込まれる。そして、3番−4番ティース9,9間のスロット11と、ここから回転方向とは逆側のスロット11を1つ飛ばして存在する1番−2番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN回巻回され、第2V相コイル72Vが形成される。
【0035】
続いて、巻線12は、1番−2番ティース9,9間のスロット11から引き出され、このスロット11とは回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在し、且つ7番セグメント14に隣り合う8番セグメント14のライザ15に掛け回される。さらに、巻線12は、8番セグメント14と同電位となる3番セグメント14のライザ15に掛け回される。これにより、8番セグメント14と3番セグメント14とを短絡する接続線25が形成される。
【0036】
この後、第1U相コイル71U〜第2V相コイル72Vを形成したときと同様の手順で、9番−10番ティース9,9間のスロット11と、7番−8番ティース9,9間のスロット11との間で第1W相コイル71Wが形成され、4番−5番ティース9,9間のスロット11と、2番−3番ティース9,9間のスロット11との間で第2W相コイル72Wが形成される。
【0037】
さらに、再び対応するセグメント14のライザ15に巻線12が掛け回され、続いて同電位となるセグメント14に巻線12が掛け回される。そして、同電位となるセグメント14間を短絡する接続線25が形成される。この後、再び巻線12がアーマチュアコア6側に引き出され、所定のスロット11間に第1X相コイル71X、及び第2X相コイル72Xが形成される。
【0038】
続いて、再び対応するセグメント14のライザ15に巻線12が掛け回され、さらに同電位となるセグメント14に巻線12が掛け回されて接続線25が形成される。そして、再び巻線12がアーマチュアコア6側に引き出され、所定のスロット11間に第1Y相コイル71Y、及び第2Y相コイル72Yが形成される。第2Y相コイル72を形成した後、巻線12の巻き終わり端32が1番セグメント14のライザ15に掛け回されて接続される。これにより、アーマチュアコア6に巻装されるアーマチュアコイル7の形成が完了する。
【0039】
このように、巻線12は、セグメント14とアーマチュアコア6との間を一筆書きの要領で繰り返し移動するように配索されることにより、アーマチュアコイル7、及び接続線25を一連に形成する。
【0040】
また、セグメント14からアーマチュアコア6に向かって巻線12を配索する際、巻線12が引き出されるセグメント14のライザ15と、巻線12が引き込まれるスロット11とが回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在している。同様に、アーマチュアコア6からセグメント14に向かって巻線12を配索する際、巻線12が引き出されるスロット11と、巻線12を掛け回すセグメント14のライザ15とが回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在している。このため、コンミテータ13とアーマチュアコア6との間に配索される巻線12、つまり、コンミテータ13の首下に配索される巻線12が回転軸5に若干掛かった状態になる。
【0041】
このような構成のもと、ブラシ21を介して各コイル71U〜72Yに順次電流が供給されると、アーマチュアコア6の所定の位置に順次磁界が発生する。すると、ヨーク2に設けられている永久磁石4との間に反発力や吸引力が発生し、アーマチュア3が回転する。
【0042】
(効果)
したがって、上述の第1実施形態によれば、アーマチュアコイル7、及び接続線25を形成するにあたって、巻線12を一筆書きの要領で繰り返し移動するように配索することにより、アーマチュアコイル7、及び接続線25を一連に形成することができるので、アーマチュアコア6への巻線12の巻装時間、及びセグメント14間に渡る接続線25の形成時間の総時間を短縮することができる。この結果、直流モータ1の製造コストを低減できる。
【0043】
また、コンミテータ13の首下に配索される巻線12が回転軸5に若干掛かった状態になるので、コンミテータ13の首下の巻線12が径方向外側に向かって弛んでしまうのを防止できる。このため、コンミテータ13の首下における巻線12の巻太りを低減することができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を
図1を援用し、
図3に基づいて説明する。
図3は、この第2実施形態におけるアーマチュア3のセグメント14(ライザ15)とティース9、そして、ヨーク2側に配設されている永久磁石4とを展開した図である。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の実施形態でも同様)。
この第2実施形態において、直流モータ1は、永久磁石4を4つ、スロット11を10個、セグメント14を10個有したモータである点、アーマチュアコア6の外周に形成されるアーマチュアコイル7は、隣接する2つのティース9,9に跨るように分布巻き方式で巻線12が巻装されることにより形成され、U相、V相、W相、X相、Y相の5相構造になっている点、そして、各相のアーマチュアコイル7は、それぞれ回転軸5を中心にして対向するように2箇所に形成される点、同電位となるセグメント14同士、つまり、回転軸5を中心にして対向する2つのセグメント14同士は、接続線25によって短絡されている点等の基本的構成は、前述の第1実施形態と同様である(以下の実施形態でも同様)。
【0045】
ここで、第2実施形態のアーマチュアコア6に巻装されるアーマチュアコイル7、及び同電位のセグメント14間に接続される接続線25は、所謂ダブルフライヤ方式によって巻線12を巻装することにより形成される。なお、ダブルフライヤ方式とは、回転軸5を中心にして点対称となる関係で2箇所同時に巻線12を巻装する方式をいう。以下、より具体的に説明する。
【0046】
(巻線の巻装方法)
図3に示すように、巻線12の巻き始め端31は2つ存在しており、それぞれ同電位となる6番セグメント14のライザ15と、1番セグメント14のライザ15とに掛け回されている。そして、6番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている巻線12は、第1U相コイル71U、第1V相コイル71V、第1W相コイル71W、第1X相コイル71X、及び第1Y相コイル71Yと、これらのコイル71U〜71Yに対応するセグメント14に接続される接続線25を一連に形成する。
【0047】
また、1番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている巻線12は、第2U相コイル72U、第2V相コイル72V、第2W相コイル72W、第2X相コイル72X、及び第2Y相コイル72Yと、これらのコイル72U〜72Yに対応するセグメント14に接続される接続線25を一連に形成する。そして、第1U相コイル71U、第1V相コイル71V、第1W相コイル71W、第1X相コイル71X、第1Y相コイル71Y、及びこれらのコイル71U〜71Yに対応するセグメント14に接続される接続線25と、第2U相コイル72U、第2V相コイル72V、第2W相コイル72W、第2X相コイル72X、第2Y相コイル72Y、及びこれらのコイル72U〜72Yに対応するセグメント14に接続される接続線25とが同時に形成される。
【0048】
ここで、6番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている巻線12の巻装方法を、さらに詳述する。
まず、巻線12の巻き始め端31が6番セグメント14のライザ15に掛け回された後、6番セグメント14と同電位となる1番セグメント14のライザ15に巻線12が掛け回される。そして、6番セグメント14と1番セグメント14とを短絡する接続線25を形成する。
【0049】
次に、1番セグメント14とは回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在している7番−8番ティース9,9間のスロット11に、巻線12を引き込む。そして、7番−8番ティース9,9間のスロット11と、ここから回転方向とは逆側のスロット11を1つ飛ばして存在する5番−6番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN回巻回され、第1U相コイル71Uが形成される。
【0050】
第1U相コイル71Uを形成した巻線12は、5番−6番ティース9,9間のスロット11から引き出され、回転方向に向かって配索された後、6番セグメント14に隣り合う7番セグメント14のライザ15に掛け回される。さらに、巻線12は、7番セグメント14と同電位となる2番セグメント14のライザ15に掛け回される。これにより、7番セグメント14と2番セグメント14とを短絡する接続線25が形成される。
【0051】
次に、2番セグメント14とは回転軸5を中心にしてほぼ対向する位置に存在している8番−9番ティース9,9間のスロット11に巻線12を引き込み、8番−9番ティース9,9間のスロット11と、ここから回転方向とは逆側のスロット11を1つ飛ばして存在する6番−7番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN回巻回され、第1V相コイル71Vが形成される。
【0052】
第1V相コイル71Vを形成した巻線12は、6番−7番ティース9,9間のスロット11から引き出され、回転方向に向かって配索された後、7番セグメント14に隣り合う8番セグメント14のライザ15に掛け回される。さらに、巻線12は、8番セグメント14と同電位となる3番セグメント14のライザ15に掛け回される。これにより、8番セグメント14と3番セグメント14とを短絡する接続線25が形成される。
【0053】
この後、第1U相コイル71U、及び第1V相コイル71Vを形成したときと同様の手順で、9番−10番ティース9,9間のスロット11と、7番−8番ティース9,9間のスロット11との間で第1W相コイル71Wが形成される。さらに、再び対応するセグメント14のライザ15に巻線12が掛け回され、続いて同電位となるセグメント14に巻線12が掛け回される。そして、同電位となるセグメント14間を短絡する接続線25が形成される。この後、再び巻線12がアーマチュアコア6側に引き出され、所定のスロット11間に第1X相コイル71Xが形成される。
【0054】
続いて、再び対応するセグメント14のライザ15に巻線12が掛け回され、さらに同電位となるセグメント14に巻線12が掛け回されて接続線25が形成される。そして、再び巻線12がアーマチュアコア6側に引き出され、所定のスロット11間に第1Y相コイル71Yを形成した後、巻線12の巻き終わり端32が1番セグメント14のライザ15に掛け回されて接続される。
このように、アーマチュアコア6に巻装されるアーマチュアコイル7のうち、第1U相コイル71U、第1V相コイル71V、第1W相コイル71W、第1X相コイル71X、第1Y相コイル71Yと、これらのコイル71U〜71Yに対応するセグメント14に接続される接続線25が形成される。
【0055】
一方、1番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている巻線12は、6番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている巻線12の巻装方法と点対称となるように配索されながら、アーマチュアコイル7のうち、第2U相コイル72U、第2V相コイル72V、第2W相コイル72W、第2X相コイル72X、第2Y相コイル72Yと、これらのコイル72U〜72Yに対応するセグメント14に接続される接続線25を形成する。これにより、アーマチュアコア6に巻装されるアーマチュアコイル7全体の形成が完了する。
【0056】
(効果)
したがって、上述の第2実施形態によれば、アーマチュアコア6への巻線12の分布巻き方式での巻装方法として、回転軸5を中心にして点対称となる関係で2箇所同時に行う所謂ダブルフライヤ方式を採用することができる。このため、さらにアーマチュアコア6への巻線12の巻装時間、及びセグメント14間に渡る接続線25の形成時間の総時間を短縮することができる。この結果、直流モータ1の製造コストをさらに低減できる。
【0057】
(第3実施形態)
(巻線の巻装方法)
次に、この発明の第3実施形態を
図4に基づいて説明する。
図4は、この第3実施形態におけるアーマチュア3のセグメント14(ライザ15)とティース9、そして、ヨーク2側に配設されている永久磁石4とを展開した図である。
同図に示すように、第1実施形態の巻線12の巻装方法と、第3実施形態の巻線12の巻装方法との相違点は、第1実施形態の各相コイル71U〜72Yは、それぞれ巻線12を一度にN回巻回することにより形成されているのに対し、第3実施形態の各相コイル71U〜72Yは、それぞれN/2回巻回された2つの小コイル171U〜272Yにより構成されている。
【0058】
より詳しく説明する。
ここで、
図4に示すように、巻線12の巻き始め端31は、前述した第2実施形態と同様、2つ存在している。2つの巻き始め端31,31のうち、一方の巻き始め端31が、例えば、6番セグメント14のライザ15に掛け回された場合、続いて6番セグメント14と同電位となる1番セグメント14のライザ15に巻線12が掛け回される。そして、6番セグメント14と1番セグメント14とを短絡する接続線25を形成する。
【0059】
次に、7番−8番ティース9,9間のスロット11に巻線12を引き込み、7番−8番ティース9,9間のスロット11と、5番−6番ティース9,9間のスロット11との間に、巻線12がN/2回巻回され、第1U相小コイル171Uが形成される。
第1U相小コイル171Uを形成した巻線12は、5番−6番ティース9,9間のスロット11から引き出され、回転方向に向かって配索された後、2番−3番ティース9,9間のスロット11に引き込まれる。そして、2番−3番ティース9,9間のスロット11と、10番−1番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN/2回巻回され、第2U相小コイル172Uが形成される。
【0060】
続いて、巻線12は、10番−1番ティース9,9間のスロット11から引き出され、6番セグメント14に隣り合う7番セグメント14のライザ15に掛け回される。さらに、巻線12は、7番セグメント14と同電位となる2番セグメント14のライザ15に掛け回される。これにより、7番セグメント14と2番セグメント14とを短絡する接続線25が形成される。
【0061】
続いて、巻線12により、第1V相小コイル171V〜第2Y相小コイル172Yと、接続線25とを順次形成していく。このとき、第1V相小コイル171V〜第2Y相小コイル172Yの巻装手順は、前述の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。ただし、各スロット11,11間に巻装される巻線12の巻回数は、前述の第1実施形態の半分であるN/2回となる。
【0062】
一方、6番セグメント14と同電位となる1番セグメント14のライザ15に、他方の巻き始め端31が掛け回された巻線12は、6番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている場合の巻装手順と回転軸5を中心にして点対称となるように配索されながら第1U相小コイル271V〜第2Y相小コイル272Yと、接続線25とを順次形成していく。
【0063】
すなわち、1番セグメント14のライザ15に掛け回された場合、続いて6番セグメント14のライザ15に巻線12が掛け回される。そして、1番セグメント14と6番セグメント14とを短絡する接続線25を形成する。
次に、2番−3番ティース9,9間のスロット11に巻線12を引き込み、2番−3番ティース9,9間のスロット11と、10番−1番ティース9,9間のスロット11との間に、巻線12がN/2回巻回され、第2U相小コイル272Uが形成される。第2U相小コイル272Uを形成した巻線12は、10番−1番ティース9,9間のスロット11から引き出され、回転方向に向かって配索された後、7番−8番ティース9,9間のスロット11に引き込まれる。そして、7番−8番ティース9,9間のスロット11と、5番−6番ティース9,9間のスロット11との間に巻線12がN/2回巻回され、第1U相小コイル271Uが形成される。
【0064】
続いて、巻線12は、5番−6番ティース9,9間のスロット11から引き出され、1番セグメント14に隣り合う2番セグメント14のライザ15に掛け回される。さらに、巻線12は、2番セグメント14と同電位となる7番セグメント14のライザ15に掛け回される。これにより、2番セグメント14と7番セグメント14とを短絡する接続線25が形成される。
【0065】
続いて、巻線12により、第1V相小コイル271V〜第2Y相小コイル272Yと、接続線25とを順次形成していく。このとき、第1V相小コイル271V〜第2Y相小コイル272Yの巻装手順は、6番セグメント14のライザ15に巻き始め端31が掛け回されている場合の巻装手順と回転軸5を中心にして点対称であるので、説明を省略する。
このように、各相コイル71U〜72Yは、それぞれN/2回巻回された2つの小コイル171U〜272Yにより構成され、全体としてN回巻回されたコイル71U〜72Yを形成する。
【0066】
(効果)
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第2実施形態と同様に、所謂ダブルフライヤ方式を用いて巻線12を巻装することができるので、前述の第2実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、ダブルフライヤ方式を採用しつつ、同相同士の小コイル171U〜172Y、及び小コイル271U〜272Yを直列に接続することができる。つまり、例えば、第1U相小コイル171Uと第2U相小コイル172Uとが直列接続されている。
【0067】
このため、第1各相コイル71U〜71Yと、第2各相コイル72U〜72Yとで、同相同士のコイルには、同様の電流が安定して供給される。
ここで、例えば、前述の第2実施形態のように、第1各相コイル71U〜71Yと、第2各相コイル72U〜72Yとが異なる巻線12により形成されている場合、多少の巻装誤差等により、導線長さが変化し、同相同士のコイルでも異なる電流が供給されるおそれがある。しかしながら、この第3実施形態では、同相同士の小コイル171U〜172Y、及び小コイル271U〜272Yを直列に接続されているので、同相同士のコイルには、同様の電流が安定して供給される。よって、各相のコイル71U〜72Yで形成される磁界を安定させることができ、磁気バランスの優れた直流モータ1を提供することが可能になる。この結果、ブラシ21の耐久性を向上させることができる。
【0068】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ホルダステー18に、2つのブラシホルダ19が設けられ、2つのブラシ21,21がセグメント14に摺接している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、極数と同じ数である4つまでブラシ21を増加させることが可能である。