(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、例えば
図1に示すように構成される。この眼位ずれ計測装置は、眼位計測部11、眼位ずれ算出部12、視界遮蔽部2、及び、眼球撮影部3を含む。眼位計測部11及び眼位ずれ算出部12は、マイクロコンピュータ等からなるコントローラ1に含まれる。
【0029】
この眼位ずれ計測装置は、
図2(a)に示すように、被験者の両眼の視界が開放されている時の眼位と、
図2(b)に示すように、被験者の片眼の視界が遮蔽された時の眼位を計測し、眼球の移動量を眼位ずれ量Dとして算出する。また、この眼位ずれ計測装置は、
図2(b)に示すように、被験者の片眼の視界が遮蔽された時の眼位と、
図2(c)に示すように、被験者の両眼の視界が開放された時の眼位を計測し、眼球の移動量を眼位ずれ量Dとして算出する。なお、眼位ずれ計測装置は、被験者の視界を開放した状態から遮蔽した時の眼位ずれ量、被験者の視界を遮蔽した状態から開放した時の眼位ずれ量の何れかを検出するのみであっても良い。
【0030】
視界遮蔽部2は、被験者の右眼又は左眼の少なくとも一方において、視界を開放又は遮蔽する。
【0031】
眼球撮影部3は、視界遮蔽部2により視界を開放又は遮蔽した時の眼球を撮影する。眼球撮影部3により撮影された眼球画像はコントローラ1に供給される。
【0032】
眼位計測部11は、眼球撮影部3により撮影された眼球画像に基づいて眼位を計測する。眼位計測部11は、眼球撮影部3により撮影された眼球画像を二値化処理する。眼位計測部11は、二値化処理された眼球画像から、瞳孔領域を抽出する。ここで、眼球画像において瞳孔部分が最も暗いため、眼位計測部11は、眼球画像を白黒に分離(二値化)することにより瞳孔領域を抽出することができる。
【0033】
眼位計測部11は、二値化の閾値を適切に変更することによって、高精度に瞳孔領域を抽出する。すなわち、個人差によって色が異なる瞳孔の黒色画像領域を抽出するために、当該黒色画像領域のみを抽出できるように二値化閾値を設定する。しかしながら、より黒い画像のみを抽出するように二値化閾値を設定した場合には、抽出された瞳孔領域の瞳孔径が小さくなる。逆に、正確な瞳孔径を抽出するよう、白寄りの画像領域も抽出できるように二値化閾値を設定すると、黒とみなすカラー値や濃淡の幅が広がるために、瞳孔の周辺にある虹彩を含めた画像領域を黒い瞳孔領域として認識してしまう。この虹彩の色や濃さには個人差があるため、二値化閾値を変更することで瞳孔と虹彩の境界をより正確に出力することができる。つまり、個人によって虹彩の色味が異なっていても、当該虹彩と瞳孔との境界を正しく抽出できる二値化閾値に設定する。
【0034】
また、眼位計測部11は、瞳孔領域以外の領域を抽出した場合は、一般的な瞳孔の大きさに基づいて推測される眼球画像内における瞳孔領域幅を予め設定しておく。眼位計測部11は、予め設定した瞳孔領域以外において瞳孔と判断された領域を除去する。眼球撮影部3の撮影画像の中に瞳孔と同じくらい黒い物体が存在した場合、当該撮影画像に対して二値化をしたときに、その部分も黒い瞳孔領域として出力してしまう。これに対し、この眼位計測部11は、眼球撮影部3の撮影画像に映ってしまう瞳孔と同じくらい黒いまつげ、眼の切れ目、影、濃い色の血管に対応する画像領域を、瞳孔領域から除去できる。
【0035】
更に、眼位計測部11は、瞳孔領域がほぼ円形又は楕円形であることから、眼球画像から抽出された瞳孔領域を円形近似又は楕円近似したりする等の処理も行っても良い。これにより、眼位計測部11は、眼球画像から瞳孔領域を抽出する精度を上げることができる。
【0036】
眼位計測部11は、眼球画像から抽出された瞳孔領域において、極大長を瞳孔径とし、その瞳孔径の中心位置を瞳孔中心位置として取得する。そして、眼位計測部11は、当該眼球画像における瞳孔中心位置のピクセル座標を、眼位として計測する。
【0037】
眼位ずれ算出部12は、眼位計測部11により視界を遮断した時に計測された第1眼位と視界を開放した時に計測された第2眼位との差分量である眼位ずれ量を算出する。眼位ずれ算出部12は、眼位計測部11で計測された視界を開放した時の眼位(ピクセル座標)と、視界を遮蔽した時の眼位(ピクセル座標)の差分を取ることにより、眼位ずれ量(ピクセル値)を算出する。
【0038】
この眼位ずれ計測装置において、
図3におけるカメラ23とハーフミラー22と眼球との間の光軸の長さ(カメラ23と眼球表面との距離)と、カメラ23の撮影画角とから、カメラ23の撮影画像全体の実寸(mm)が算出できる。そして、カメラ23の撮影画像全体の実寸(mm)を撮影画像の解像度で除して、1ピクセルが占める実寸(mm)が算出できる。眼位ずれ算出部12は、眼位ずれ量のピクセル数を実寸(mm)に単位変換することで、眼位ずれ量を実寸(mm)で取得することができる。
【0039】
眼位ずれ量は視界の開放時の眼位と遮蔽時の眼位との差分で算出するため、視界開放時と視界遮蔽時の両方でカメラ23と眼球との位置関係が保持される必要がある。そこで、眼位ずれ計測装置には、眼球位置を保持しやすいような固定構造や、眼球位置が動いた場合の補正機能が実装されていることが望ましい。眼球位置の補正機能の一例としては、眼球の周辺に反射板などのマーカーを取り付けたり、眼球表面にプルキニエ点を投影したりする。これにより、マーカーやプルキニエ点を基準点として用い、基準点が移動した場合にその移動量を打ち消す方向に撮影画像を補正することで、カメラ23と眼球の位置関係を保持することができる。
【0040】
このような眼位ずれ計測装置は、具体的な構成を
図3に示すように、被験者の目前に配置されたハーフミラー22と、カメラ23と筐体21によって内蔵して構成される。この眼位ずれ計測装置は、例えばメガネ型に筐体21が成形され、被験者に装着されるように構成されている。これにより眼位ずれ計測装置は、眼球位置とカメラ23との相対関係を一定に保持している。また、筐体21には、上下方向に駆動する遮蔽板24が備えられている。
【0041】
ハーフミラー22は、被験者が眼位ずれ計測装置を装着したときに、被験者の眼球Eの視線上に設けられている。被験者は、ハーフミラー22を介して外界を見ることができるようになる。
【0042】
カメラ23は、ハーフミラー22を撮像範囲として含み、眼球撮影部3として機能する。カメラ23は、ハーフミラー22を介して被験者の眼球Eを撮影する。カメラ23は、撮影した眼球画像をコントローラ1に供給する。カメラ23は、被験者の視界を遮らないように、被験者の視界の外側に配置することが望ましいが、カメラ23を視界の外側に配置すると、眼球を正面から撮影することができず、眼球全体を撮影することが難しい。そこで、筐体21の内部にハーフミラー22、ハーフミラー22に映った眼球をカメラ23により撮影する。これにより、カメラ23を視界の外側に配置しながら、あたかも眼球の正面位置から撮影したかのような眼球画像が取得できる。
【0043】
遮蔽板24は、筐体21に対して上下方向に移動され、視界遮蔽部2として機能する。遮蔽板24の開閉動作は、ユーザの手動構造でもよく、アクチュエータの駆動装置による機械構造でもよい。機械構造の場合は、遮蔽板24はユーザの開閉操作で作動させてもよく、予め設定された時間間隔で開閉する仕組みを備えていても良い。
【0044】
被験者によってハーフミラー22を介して注視点を見させる場合には、ハーフミラー22及び筐体21の開口部を介して視界を開放するよう、遮蔽板24は下方向に移動される。このとき、カメラ23は、被験者の視界を開放した時の眼球を撮影できる。コントローラ1の眼位計測部11は、カメラ23によって撮影された眼球画像に基づいて、視界開放時の眼位(第2眼位)を計測する。
【0045】
被験者の視界を遮蔽する場合には、
図4に示すように、筐体21の開口部を塞ぐよう、遮蔽板24は上方向に移動される。このとき、カメラ23は、被験者の視界を遮蔽した時の眼球を撮影できる。コントローラ1の眼位計測部11は、カメラ23によって撮影された眼球画像に基づいて、視界遮蔽時の眼位(第1眼位)を計測する。
【0046】
これによって、眼位ずれ算出部12は、眼位計測部11により視界遮断時に計測された第1眼位と視界開放時に計測された第2眼位との差分量である眼位ずれ量を算出できる。
【0047】
このような眼位ずれ計測装置は、実際に被験者の眼位ずれ量を計測するときには、
図5に示す手順に従って動作する。
【0048】
先ずステップS1において、眼位ずれ計測装置は被験者の目前に設置され、視界遮蔽部2(遮蔽板24)によって被験者の視界を開放する。この状態において、被験者は、筐体21及びハーフミラー22の開口を介して、正面に配置された注視点を固視させる。これにより、被験者の眼位位置を所定の初期位置にさせる。
【0049】
次のステップS2において、眼位ずれ計測装置は、視界遮蔽部2によって被験者の視界を遮蔽する。具体的には、視界遮蔽部2としての遮蔽板24をスライドさせて、筐体21の開口を塞ぐ。これにより、被験者の眼位は、当該被験者に斜位がある場合、ステップS1にて規制した初期位置から次第に変化することとなる。
【0050】
次のステップS3において、眼位ずれ計測装置は、眼球撮影部3により被験者の眼球を撮影する。
【0051】
次のステップS4において、眼位ずれ計測装置は、眼位を取得する操作がされたか否かを判定する。このとき、眼位ずれ計測装置は、被験者に注視点を固視させて状態で視界を遮蔽した任意の時間後に眼位(第1眼位)を計測させる。この任意の時間は、斜位がある場合には眼球が動いてから眼球の運動が停止する時間である。したがって、ステップS4の眼球取得の操作は、任意の時間が経過して眼球運動が停止した後に行われる。この眼球運動が停止したか否かの判断は、視界を遮蔽した後の任意の時間後であっても良いが、ステップS3以降で撮影している眼球画像を参照して眼球運動が停止したことを判定しても良い。眼位取得の操作がされていない場合にはステップS3に処理を戻して、眼球の撮影を継続する。一方、眼位取得の操作がされた場合にはステップS5に処理を進める。
【0052】
次のステップS5において、眼位計測部11により、ステップS3にて撮影している眼球画像に基づいて、第1眼位を取得する。
【0053】
次のステップS6において、眼位ずれ計測装置は、視界遮蔽部2(遮蔽板24)によって被験者の視界を開放する。この状態において、被験者は、筐体21及びハーフミラー22の開口を介して、正面に配置された注視点を固視させる。これにより被験者の眼位は、当該被験者に斜位がある場合、視界遮蔽時にずれた眼位から、注視点を見るための眼位の初期位置に戻りはじめることとなる。
【0054】
次のステップS7において、眼位ずれ計測装置は、視界遮蔽部2によって被験者の視界を遮蔽する。具体的には、視界遮蔽部2としての遮蔽板24をスライドさせて、筐体21の開口を塞ぐ。
【0055】
次のステップS8において、眼位ずれ計測装置は、眼球撮影部3により被験者の眼球を撮影する。
【0056】
次のステップS9において、眼位ずれ計測装置は、眼位を取得する操作がされたか否かを判定する。このとき、眼位ずれ計測装置は、被験者に注視点を固視させて状態で視界を開放した任意の時間後に眼位(第2眼位)を計測させる。この任意の時間は、斜位がある場合には眼球が動くために、眼球の運動が停止する時間である。したがって、ステップS9の眼球取得の操作は、任意の時間が経過して眼球運動が停止した後に行われる。この眼球運動が停止したか否かの判断は、視界を開放した後の任意の時間後であっても良いが、ステップS7以降で撮影している眼球画像を参照して眼球運動が停止したことを判定しても良い。
【0057】
次のステップS10において、眼位ずれ算出部12は、ステップS5にて取得した第1眼位と、ステップS9にて取得した第2眼位との差分から眼位ずれ量を算出する。
【0058】
次のステップS11において、眼位ずれ計測装置は、ステップS10にて算出した眼位ずれ量を出力する。眼位ずれ計測装置は、例えば、図示しないディスプレイによって眼位ずれ量を表示させても良く、図示しないプリンタによって眼位ずれ量を印刷しても良く、図示しないスピーカによって音声で眼位ずれ量を出力しても良い。
【0059】
なお、第1眼位を計測した後に第2眼位を計測しているが、この計測順番は、現行の眼位検査であるカバーアンカバーテストに従ったものである。したがって、眼位ずれ計測装置は、視界を開放した時の第2眼位を計測した後に、視界を遮断した時の第1眼位を計測して、眼位ずれ量を算出しても良い。
【0060】
以上説明したように、この眼位ずれ計測装置によれば、視界を遮断した時に眼球を撮影して計測された第1眼位と視界を開放した時に眼球を撮影して計測された第2眼位との差分量である眼位ずれ量を算出する。これにより、被験者が外界の景色を見ているような環境下において眼位ずれを計測することができる。すなわち、眼位ずれ計測装置において、視界を開放する状態では、日常生活と同様に外界の景色を両眼視で注視することができる。このため、眼位ずれ計測装置によれば、仕事や運転、家事など日常生活の作業時における眼位や、周囲環境の明るさの変化による眼位など、より日常生活に近い状態で第2眼位を計測することができる。また、眼位ずれ計測装置によれば、大型弱視鏡のように両眼を計測する構造に比べ、片眼の計測で実現するため、装置を小型化できる。
【0061】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0062】
この眼位ずれ計測装置は、第1実施形態における眼位ずれ計測装置であって、眼位ずれ算出部12によって、第1眼位と第2眼位との差分に基づいて、眼位ずれ方向を検出するものである。この眼位ずれ計測装置は、第1眼位及び第2眼位を、眼球画像における縦方向及び横方向(ピクセル座標)において認識する。そして、眼位ずれ計測装置は、第1眼位の縦方向位置及び横方向位置と、第2眼位の縦方向位置及び横方向位置との差分を求めることによって、眼位ずれ方向も求めることができる。
【0063】
眼位ずれ算出部12は、眼位計測部11により計測された眼位の移動方向を算出して、眼位ずれ方向を算出する。例えば
図2(b)のように視界を遮蔽したときの第1眼位から、
図2(c)のように視界を開放した第2眼位のように眼位ずれ量がDとなったことを算出すると共に、第1眼位から左方向に第2眼位が移動したことを算出する。これにより、眼位ずれ算出部12は、視界を開放した状態から視界を遮蔽した状態となることによって眼位が眼の外側にずれる外斜位であることを算出できる。
【0064】
また、眼位ずれ算出部12は、視界を開放した状態から視界を遮蔽した状態となることによって眼位が眼の内側にずれる場合には、内斜位であることを算出できる。更に、眼位ずれ算出部12は、視界を開放した状態から視界を遮蔽した状態となることによって眼位が眼の上側にずれる場合には、上斜位であることを算出できる。更に、眼位ずれ算出部12は、外斜位又は内斜位と、上斜位との混合した方向に斜位があることも算出できる。
【0065】
以上のように、この眼位ずれ計測装置によれば、視界を開放した状態から視界を遮蔽した状態となることによって眼位の移動方向を計測することにより、眼位ずれ量のみならず、眼位ずれ方向を出力することができる。これにより、眼位ずれ計測装置は、検査者の目視で斜位を判定することなく、斜位がある場合に内斜視か外斜視を客観的に診断することができる。
【0066】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0067】
この眼位ずれ計測装置は、第1実施形態又は第2実施形態における眼位ずれ計測装置であって、眼位ずれ算出部12により、眼位ずれの算出結果を任意の時間間隔で更新し、当該時間間隔における眼位ずれの増減幅を算出するものである。
【0068】
この眼位ずれ計測装置は、
図6に示すような手順に従って、任意の時間間隔における眼位ずれ量の増減幅を算出する。
【0069】
先ずステップS21において、ステップS1と同様に、視界遮蔽部2(遮蔽板24)によって被験者の視界を開放する。この状態において、被験者は、筐体21及びハーフミラー22の開口を介して、被験者の正面に配置された注視点を固視させる。
【0070】
次のステップS22において、ステップS2と同様に、眼位ずれ計測装置は、視界遮蔽部2によって被験者の視界を遮蔽する。具体的には、視界遮蔽部2としての遮蔽板24をスライドさせて、筐体21の開口を塞ぐ。
【0071】
次のステップS23において、ステップS3と同様に、眼位ずれ計測装置は、眼球撮影部3により被験者の眼球を撮影する。
【0072】
次のステップS24において、眼位計測部11により、ステップS23にて撮影している眼球画像に基づいて、第1眼位を取得する。
【0073】
次のステップS25において、ステップS4と同様に、眼位ずれ計測装置は、眼位を取得する操作がされたか否かを判定する。視界を開放する操作がされた場合にはステップS26に処理を進め、視界を開放する操作がされていない場合にはステップS23に処理を戻して、眼球の撮影及び第1眼位の取得を繰り返す。眼位ずれ計測装置は、所定時間ごとに、ステップS23〜ステップS25の処理を繰り返すことによって、所定時間ごとの第1眼位を取得することができる。
【0074】
また、このステップS25は、被験者に注視点を固視させて状態で視界を遮蔽した任意の時間後に、ステップS26に処理を進めることが望ましい。この任意の時間は、斜位がある場合には眼球が動くために、眼球の運動が停止する時間である。したがって、ステップS25の眼球取得の操作は、任意の時間が経過して眼球運動が停止した後に行われる。この眼球運動が停止したか否かの判断は、視界を遮蔽した後の任意の時間後であっても良いが、ステップS23以降で撮影している眼球画像を参照して眼球運動が停止したことを判定しても良い。
【0075】
次のステップS26において、眼位ずれ計測装置は、視界遮蔽部2(遮蔽板24)によって被験者の視界を開放する。この状態において、被験者は、筐体21及びハーフミラー22の開口を介して、正面に配置された注視点を固視させる。
【0076】
次のステップS27において、眼位ずれ計測装置は、眼球撮影部3により被験者の眼球を撮影する。
【0077】
次のステップS28において、眼位計測部11により、ステップS27にて撮影している眼球画像に基づいて、第2眼位を取得する。
【0078】
次のステップS29において、眼位ずれ算出部12は、ステップS24にて取得した第1眼位と、ステップS29にて取得した第2眼位との差分から眼位ずれ量を算出する。
【0079】
次のステップS30において、眼位ずれ計測装置は、ステップS29にて算出した眼位ずれ量を出力する。これにより眼位ずれ量は、リアルタイムで更新されて出力される。眼位ずれ計測装置は、例えば、図示しないディスプレイによって眼位ずれ量を表示させても良く、図示しないプリンタによって眼位ずれ量を印刷しても良く、図示しないスピーカによって音声で眼位ずれ量を出力しても良い。
【0080】
また、眼位ずれ計測装置は、眼位ずれ量、眼位ずれ方向、視界の開放と遮蔽の状態も併せて出力しても良い。これにより、眼位ずれ計測装置は、視界開放時の眼位ずれの変化と、遮蔽時の眼位ずれの変化を区別することができる。
【0081】
次のステップS31において、眼位ずれ計測装置は、眼位ずれ計測を終了する操作がされたか否かを判定する。このとき、眼位ずれ計測装置は、被験者に注視点を固視させて状態で視界を開放した任意の時間後に眼位ずれ計測を終了させる。この任意の時間は、斜位がある場合には眼球が動くために、眼球の運動が停止する時間である。したがって、ステップS31の眼位ずれ計測の終了操作は、任意の時間が経過して眼球運動が停止した後に行われる。この眼球運動が停止したか否かの判断は、視界を開放した後の任意の時間後であっても良いが、ステップS27以降で撮影している眼球画像を参照して眼球運動が停止したことを判定しても良い。
【0082】
眼位ずれ計測の終了操作がされた場合には処理を終了し、眼位ずれ計測の終了操作がされていない場合には、ステップS27に処理を戻す。これにより、眼位ずれ計測装置は、所定時間ごとに、ステップS27〜ステップS30の処理を繰り返すことによって、所定時間ごとの第2眼位を取得して、眼位ずれ量を算出することができる。これにより、眼位ずれ計測装置は、ステップS24にて最後に取得された第1眼位と、ステップS28にて取得した第2眼位との差分である眼位ずれ量を演算する。これによって、眼位ずれの算出結果を任意の時間間隔で更新し、当該時間間隔における眼位ずれの増減幅を算出することができる。
【0083】
以上のように、第3実施形態として示した眼位ずれ計測装置によれば、眼位ずれ量の変化をリアルタイムに計測することができる。この眼位ずれ量の増減幅の計測結果から、視界の開放及び遮蔽の変化による眼位ずれが発生した場合に、眼位が安定する位置を自動検出することができる。
【0084】
したがって、第1実施形態、第2実施形態における眼位ずれ計測装置では、眼位が安定したかどうかを検査者が判断して、眼位計測を実行していたが、第3実施形態に係る眼位ずれ計測装置によれば、眼位が安定した(動きが止まった)ことを自動で認識する。これにより、その安定した眼位を用いて眼位ずれを計測することができる。このため、第3実施形態に係る眼位ずれ計測装置によれば、眼位ずれ量の計測結果の精度を向上させることができる。
【0085】
また、この眼位ずれ計測装置によれば、ステップS27〜ステップS30における時間間隔と眼位ずれ量とを比較することにより、眼位ずれが発生した場合の眼位の移動速度を算出でき、眼位の時間変化を観察することができる。
【0086】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0087】
第4実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、
図7に示すように構成される。特に、眼位ずれ計測装置は、カメラとして赤外線カメラ23’を備え、遮蔽板として赤外線光のみを通過させる赤外線フィルタ24’を備える点で上述した実施形態に対して異なる。また、この眼位ずれ計測装置は、筐体21の眼球側に、上下方向に移動可能に赤外線フィルタ24’を配置している。また、この眼位ずれ計測装置において、ハーフミラー22は、赤外線反射フィルタ22aが設けられている。
【0088】
被験者によってハーフミラー22を介して注視点を見させる場合には、
図7に示すように、ハーフミラー22及び筐体21の開口部を介して視界を開放するよう、赤外線フィルタ24’は下方向に移動される。このとき、赤外線カメラ23’は、被験者の視界を開放した時の眼球を撮影できる。コントローラ1の眼位計測部11は、赤外線カメラ23’によって撮影された眼球画像に基づいて、視界開放時の眼位(第2眼位)を計測する。
【0089】
被験者の視界を遮蔽する場合には、
図8に示すように、筐体21の開口部を塞ぐよう、赤外線フィルタ24’は上方向に移動される。このとき、赤外線カメラ23’は、被験者の視界を遮蔽した時の眼球を撮影できる。コントローラ1の眼位計測部11は、赤外線カメラ23’によって撮影された眼球画像に基づいて、視界遮蔽時の眼位(第1眼位)を計測する。
【0090】
更に、この眼位ずれ計測装置は、
図9に示すように、眼球E付近に赤外線LED25a,25bを配置しても良い。この眼位ずれ計測装置は、眼位ずれ計測時に、赤外線LED25a,25bから発光する。これにより、赤外線光が眼球Eに照射され、瞳孔部分に照射された赤外線光は通過し、虹彩部分に照射された赤外線光は反射して、赤外線フィルタ24’、ハーフミラー22を介して赤外線カメラ23’に入射する。これにより、眼位ずれ計測装置は、鮮明な瞳孔部分を含む赤外線画像を取得できる。
【0091】
異常のように、この眼位ずれ計測装置によれば、眼位計測部11により視界遮断時に計測された第1眼位と視界開放時に計測された第2眼位との差分量である眼位ずれ量を高い精度で算出できる。
【0092】
[第5実施形態]
つぎに、第5実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0093】
第5実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、第1乃至第4実施形態の何れかの眼位ずれ計測装置であって、
図10に示すように、被験者の注視点位置を、当該被験者の視線方向において変更する注視点変更部30(第1注視点変更手段)を備える。また、第5実施形態に係る眼位ずれ計測装置は、注視点変更部30によって注視点位置を変更したときに、当該変更された注視点位置ごとに、眼位ずれ算出部12によって眼位ずれ量を算出する。
【0094】
注視点変更部30は、例えば
図11に示すように、注視物41を支柱42によって支え、当該注視物41及び支柱42を可動機構43によって、被験者の視線軸方向に沿って移動させるものである。可動機構43は、床に置かれ、検査者の手動操作でもよく、モータ等の駆動装置を用いた機械操作によって注視物41を移動しても良い。
【0095】
このような眼位ずれ計測装置は、可動機構43により移動した注視物41と眼球との距離、眼位ずれ量及び眼位ずれ方向、眼位の時間変化を同時に出力することができる。これにより、眼位ずれ計測装置は、被験者からの注視点までの距離に応じた眼位ずれを計測することができる。なお、注視点距離は、検査者の目視で確認してもよく、距離センサ等の計測手段を別途追加してもよい。
【0096】
このような眼位ずれ計測装置は、
図12に示すように、先ずステップS40において、可動機構43を移動させることによって被験者の視線方向、つまり、被験者から遠ざかる又は被験者に近づく方向における注視物における注視物41の位置を設定する。
【0097】
ステップS40において、例えば眼球位置から注視点距離を33cmとする。そして、眼位ずれ計測装置は、第1実施形態と同様にステップS1〜ステップS11の動作を行って、近視状態での眼位ずれ量を計測する。その後、再度ステップS40にて、例えば眼球位置から注視点距離を5mに変更とする。そして、眼位ずれ計測装置は、第1実施形態と同様にステップS1〜ステップS11の動作を行って、遠視状態での眼位ずれ量を計測する。これによって、眼位ずれ計測装置は、近視状態での眼位ずれ量と遠視状態での眼位ずれ量との双方を出力することができる。
【0098】
以上のように、第5実施形態として示した眼位ずれ計測装置によれば、注視物41を被験者の視線方向に移動させることによって注視点と眼球との距離を変化させて、眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化を取得することができる。例えば、注視点距離を33cmとする近視状況や、注視点距離を5mとする遠視状況を設定して、近視状態と遠視状態の眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化をそれぞれ取得することができる。
【0099】
[第6実施形態]
つぎに、第6実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0100】
第6実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、第1実施形態乃至第5実施形態の何れかの眼位ずれ計測装置であって、例えば
図13に示すように、第2注視点変更手段としてのディスプレイ51を備える。このディスプレイ51は、被験者の注視点位置を、当該被験者の視界における上方向、下方向、左方向、又は、右方向、又は各方向の組み合わせ方向(斜め右上方向、斜め右下方向、斜め左上方向、斜め左下方向)において変更する。そして、眼位ずれ算出部12は、ディスプレイ51により変更された注視点位置ごとに眼位ずれ量を算出する。ここで、この眼位ずれ計測装置は、機能的な構成図としては、
図10に示す注視点変更部30が、ディスプレイ51に相当する。
【0101】
この眼位ずれ計測装置において、ディスプレイ51は、ディスプレイ51の中央部が被験者に正対するよう設置される。これにより、被験者の視線方向は、ディスプレイ51の略中央部と直角に交差する。
【0102】
ディスプレイ51には、
図14に示すように、当該ディスプレイ51の中央部に、被験者の視線方向と交差する注視点51a、上方向に変更された注視点A、下方向に変更された注視点B、左方向に変更された注視点C、又は右方向に変更された注視点Dを表示する。これにより、眼位ずれ計測装置は、注視点を上下左右方向に移動させるようディスプレイ51の表示内容を変更することにより、被験者の視線方向を変化させることができる。これら注視点A,B,C,Dの位置は、ディスプレイ51の中心位置(51a)を原点に設定し、当該原点からの距離と方向(上下左右)を定義して決定してもよく、被験者の眼球からの視角を定義して決定しても良い。
【0103】
このような眼位ずれ計測装置は、
図12に示したステップS40において、ディスプレイ51の表示内容を制御することによって、注視点を上下左右方向に移動させる。例えば、1回目の眼位ずれ計測時には被験者に正対する注視点51aを表示させる。2回目の眼位ずれ計測時には被験者から上方向の変更した注視点Aを表示させる。3回目の眼位ずれ計測時には被験者から下方向の変更した注視点Bを表示させる。4回目の眼位ずれ計測時には被験者から左方向の変更した注視点Cを表示させる。5回目の眼位ずれ計測時には被験者から右方向の変更した注視点Dを表示させる。これにより、眼位ずれ計測装置は、
図12のステップS11において、注視点を上方向、下方向、左方向、又は、右方向にそれぞれ変更した時の眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化を出力することができる。
【0104】
また、ディスプレイ51は、注視点を上方向、下方向、左方向、又は、右方向に変更すると共に、視線方向における設置位置を変更できる。例えば、注視物41に代えてディスプレイ51を取り付けて、可動機構43によって視線方向において注視点を移動させる。これによって、眼位ずれ計測装置は、第5実施形態と同様に、注視点を上方向、下方向、左方向、又は、右方向に移動させ、且つ近視状態と遠視状態の双方で眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化を取得することができる。
【0105】
[第7実施形態]
つぎに、第7実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0106】
第7実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、第1乃至第6実施形態の何れかの眼位ずれ計測装置であって、
図13に示したように、被験者の注視点の大きさ、輝度、色の何れかを含む表示形態を変更する第3注視点変更手段としてのディスプレイ51を備える。そして、眼位ずれ算出部12は、ディスプレイ51により変更された注視点の表示形態ごとに眼位ずれ量を算出する。ここで、この眼位ずれ計測装置は、機能的な構成図としては、
図10に示す注視点変更部30が、ディスプレイ51に相当する。
【0107】
この眼位ずれ計測装置において、ディスプレイ51は、当該ディスプレイ51の中央部が被験者に正対するよう設置される。これにより、被験者の視線方向は、ディスプレイ51の略中央部と直角に交差する。
【0108】
ディスプレイ51には、当該ディスプレイ51の画面に任意の大きさ、輝度、色の注視点を表示する。このような眼位ずれ計測装置は、
図12に示したステップS40において、ディスプレイ51の表示内容を制御することによって、注視点の表示形態としての大きさ、輝度、色を変更させる。
【0109】
また、ディスプレイ51は、注視点の表示形態を変更すると共に、注視点を上方向、下方向、左方向、又は、右方向に変更し、更に、視線方向における設置位置を変更できる。例えば、注視物41に代えてディスプレイ51を取り付けて、注視点を上下左右方向に移動させ、且つ、可動機構43によって視線方向において注視点を移動させる。これによって、眼位ずれ計測装置は、第5,第6実施形態と同様に、注視点の表示形態を変更し、注視点を上下左右方向に移動させ、且つ近視状態と遠視状態の双方で眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化を取得することができる。
【0110】
このような眼位ずれ計測装置によれば、注視点の大きさ、輝度、色の表示形態によって、瞳孔径の縮瞳や散瞳、また輻輳や開散など、眼の調節機能が働くことにより、調節機能が働いた状態における眼位ずれを計測することができる。そして、この眼位ずれ計測装置によれば、注視点の表示形態と、当該表示形態に対する調整機能が働いたときの眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化を同時に出力することができる。したがって、この眼位ずれ計測装置によれば、注視点の表示形態に応じて働いた調節機能に対応した眼位ずれを計測することができる。
【0111】
[第8実施形態]
つぎに、第8実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0112】
第8実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、第1実施形態乃至第7実施形態の何れかの眼位ずれ計測装置であって、
図15に示すように、被験者周辺の空間照度を計測する照度計測部60を備える。この眼位ずれ計測装置において、眼位ずれ算出部12は、照度計測部60により計測された空間照度ごとに眼位ずれ量を算出する。
【0113】
このような眼位ずれ計測装置は、
図16に示すように、眼位ずれ計測をする前のステップS50において、照度計測部60によって筐体21周辺の照度を計測する。この照度は、コントローラ1に供給される。その後、眼位ずれ計測装置は、ステップS1〜ステップS11の動作を行う。この動作において、ステップS11では、眼位ずれ量と共に、照度計測部60によって計測した照度を出力することができる。また、眼位ずれ計測装置は、被験者周囲の照度を変えて、ステップS1〜ステップS11の動作を行うことにより、眼位ずれ量と共に、照度計測部60によって計測した照度を出力することができる。
【0114】
更に、眼位ずれ計測装置は、上述したように実施形態と同様に、注視点位置を変更し又は注視点の表示形態を変更し、且つ近視状態と遠視状態の双方で眼位ずれ量、眼位ずれ方向、眼位の時間変化を取得することもできる。
【0115】
以上のように、この眼位ずれ計測装置によれば、照度計測部60によって周囲の照度を計測して眼位ずれ計測を行うことができ、周囲の照度が眼位ずれに与える影響を計測することができる。
【0116】
[第9実施形態]
つぎに、第9実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0117】
第9実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、第1実施形態乃至第8実施形態の何れかの眼位ずれ計測装置であって、
図17に示すように、瞳孔検出部11aを備える。この瞳孔検出部13は、眼位計測部11に含まれる一機能である。
【0118】
瞳孔検出部11aは、眼球撮影部3により撮影された眼球画像に基づいて、視界遮蔽部2で視界を遮断又は開放した時の瞳孔径を検出する。この瞳孔検出部11aは、眼位を求めるときに、眼球画像から抽出された瞳孔領域における極大長を瞳孔径として求める。そして、眼位ずれ計測装置は、眼位ずれと共に、瞳孔径を出力することができる。
【0119】
また、この眼位ずれ計測装置は、第1実施形態にて説明した視界の遮断又は開放したときの眼位ずれのみならず、変化した瞳孔径の大きさも計測できる。また、第5実施形態にて説明した注視点位置及び距離のみならず、変化した瞳孔径の大きさも計測できる。また、第6実施形態にて説明した注視点の表示位置のみならず、変化した瞳孔径の大きさも計測できる。また、第7実施形態にて説明した注視点の表示形態の変化に応じた眼位ずれのみならず、変化した瞳孔径の大きさも計測できる。これにより、眼位ずれ計測装置は、異なる外部視認状況における眼の状態変化を確認することができる。
【0120】
更に、この眼位ずれ計測装置によれば、筒を覗き込んで外界を観察する構造ではなく、視界が狭くなって日常生活に近い状態での瞳孔径計測ができないという不都合を解消することもできる。
【0121】
[第10実施形態]
つぎに、第10実施形態に係る眼位ずれ計測装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0122】
第10実施形態として示す眼位ずれ計測装置は、第1実施形態乃至第9実施形態の何れかの眼位ずれ計測装置であって、
図18に示すように、上述したコントローラ1、視界遮蔽部2及び眼球撮影部3を、2つ備える。
図18では、右眼用眼位ずれ計測装置100Aと、左眼用眼位ずれ計測装置100Bとを備える。また、この眼位ずれ計測装置は、右眼用眼位ずれ計測装置100Aと左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方に接続された操作部101及び同期部102とを備える。
【0123】
操作部101は、視界遮蔽部2による被験者の右眼及び左眼それぞれの視界を開放又は遮蔽する操作、眼球撮影部3により被験者の右眼及び左眼の双方を同期して撮影開始する操作が行われる。この操作部101は、例えば、右眼用眼位ずれ計測装置100A及び左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方の視界遮蔽部2を別個に制御するための、2つの開閉ボタンを備える。また、操作部101は、同期部102によって同期して右眼用眼位ずれ計測装置100A及び左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方のコントローラ1を制御するためのシャッタボタンを備える。
【0124】
この眼位ずれ計測装置は、眼位ずれを計測する時には、操作部101によって右眼用眼位ずれ計測装置100A及び左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方の視界遮蔽部2を開状態にしておく。この時点から、眼位ずれを監視する場合、眼位ずれ計測装置は、操作部101によって同期部102を作動させて、右眼用眼位ずれ計測装置100A及び左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方のコントローラ1を同期して作動させ、両眼の眼位を監視させる。
【0125】
その後、眼位ずれ計測装置は、右眼の眼位ずれを計測する時には、操作部101によって右眼用眼位ずれ計測装置100Aの視界遮蔽部2のみを開状態から閉状態に切り替える。その後、眼位ずれ計測装置は、左眼の眼位ずれを計測する時には、操作部101によって左眼用眼位ずれ計測装置100Bの視界遮蔽部2のみを開状態から閉状態に切り替え、右眼用眼位ずれ計測装置100Aの視界遮蔽部2を開状態に切り替える。
【0126】
これにより、右眼用眼位ずれ計測装置100A及び左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方の眼位計測部11は、双方の眼球撮影部3により撮影された被験者の右眼及び左眼それぞれの眼位を計測する。また、右眼用眼位ずれ計測装置100A及び左眼用眼位ずれ計測装置100Bの双方の眼位ずれ算出部12は、被験者の右眼及び左眼それぞれの眼位ずれ量を算出することができる。
【0127】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。