特許第5714979号(P5714979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714979
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】広帯域バラン
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/10 20060101AFI20150416BHJP
   H03H 7/42 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H01P5/10 C
   H03H7/42
   H01P5/10 E
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-113388(P2011-113388)
(22)【出願日】2011年5月20日
(65)【公開番号】特開2012-29280(P2012-29280A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】12/839438
(32)【優先日】2010年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ホワイト
【審査官】 米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0220760(US,A1)
【文献】 特開昭52−050141(JP,A)
【文献】 特開平07−122913(JP,A)
【文献】 特開昭63−157503(JP,A)
【文献】 B. Jokanovic, V. Trifunovic, B. Reljic,Balance measurements in double-Y baluns,Microwaves, Antennas and Propagation, IEE Proceedings ,米国,2002年,Volume:149, Issue:56,page:257-260
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/10
H01P 3/00
H03H 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランであって、
接地トレース及び信号トレースを含む不平衡ラインと、
第1及び第2の各信号トレースを含む平衡ラインと、
第1スロットトレース及び第2スロットトレースを含む二重Y型移行セクションと、
を含み、
前記第1スロットトレースが前記不平衡ラインの接地トレースを前記平衡ラインの第1信号トレースに連結し、
前記第2スロットトレースが前記不平衡ラインの信号トレースを前記平衡ラインの第2信号トレースに連結し、
前記二重Y型移行セクションの第1スロットトレースが第1連結セクションにより前記平衡ラインの第1信号トレースに連結され、
前記二重Y型移行セクションの第2スロットトレースが第2連結セクションにより前記平衡ラインの第2信号トレースに連結され
前記不平衡ラインが、不平衡のT字型のコプレーナ導波(CPW)ラインを含み、前記平衡ラインが、平衡のT字型のコプレーナ導波(CPW)ラインを含むバラン。
【請求項2】
前記二重Y型移行セクションが、連結されたスロットラインを含む請求項1のバラン。
【請求項3】
前記連結されたスロットラインが、基材上にマウントした第1及び第2の各導体を含む請求項のバラン。
【請求項4】
前記第1信号トレースが、前記平衡ラインの中央導体である請求項1のバラン。
【請求項5】
前記第1連結セクションが第1の金属製相互連結部を含み、前記第2連結セクションが第2の金属製相互連結部を含む請求項1のバラン。
【請求項6】
前記第1連結セクションが第1マイクロストリップを含み、前記第2連結セクションが第2マイクロストリップを含む請求項1のバラン。
【請求項7】
前記不平衡ラインへの電力入力及び前記平衡ラインからの電力出力が実質的に同じである請求項1のバラン。
【請求項8】
バラン回路であって、
第1中央導体及び第1及び第2の各コプレーナ導体を含む不平衡ラインと、
第2中央導体及び第3及び第4の各コプレーナ導体を含む平衡ラインと、
第1導体及び第2導体を含む二重Y型移行セクションと、
を含み、
前記第1導体が、前記第1中央導体を前記第3及び第4の各コプレーナ導体に連結し、
前記第2導体が、前記第1及び第2の各コプレーナ導体を前記第2中央導体に連結し、
前記第1導体が、第1連結ラインにより前記第3及び第4の各コプレーナ導体に連結され、
前記第1及び第2の各コプレーナ導体が、第2の連結ラインにより前記第2中央導体に連結され
前記不平衡ラインが、不平衡のT字型のコプレーナ導波(CPW)ラインを含み、前記平衡ラインが、平衡のT字型のコプレーナ導波(CPW)ラインを含むバラン回路。
【請求項9】
前記二重Y型移行セクションが、連結されたスロットラインを含む請求項のバラン回路。
【請求項10】
前記第1連結ラインが第1の金属製相互連結部を含み、前記第2連結ラインが第2の金属製相互連結部を含む請求項のバラン回路。
【請求項11】
前記第1連結ラインが第1マイクロストリップを含み、前記第2連結ラインが第2マイクロストリップを含む請求項のバラン回路。
【請求項12】
前記不平衡ラインへの電力入力及び前記平衡ラインからの電力出力が実質的に同じである請求項のバラン回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広帯域バランに関する。
【背景技術】
【0002】
米国政府は本発明に関し、(秘)の認定する契約条件第(秘)号に定めるところの所定の権利を有し得るものである。
バランは、2つの逆位相信号を1つに纏めて共通ポートに送る、あるいは共通信号を2つの逆位相信号に分離させる回路変圧器である。バランはアンテナ給電、高効率増幅器技術、広帯域の二次オーダーキャンセレーションで利用される。従来のバランにおける帯域幅は一般に、代表的には3:1と限られたものであった。印刷回路形式の用途では帯域幅3:1を実証済みのマーチャンドバランが広範に用いられる。しかしながら、マーチャンドバランを含む現在の高周波数型バランは挿入損失が大きく、しかも高周波数では有効動作しない。
従って、本明細書で説明する特徴を有する広帯域バランに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の問題を解決する広帯域バランを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
広帯域バランへのアプローチの1つには、不平衡ライン、平衡ライン、二重Y型移行セクション、第1接続セクション、第2接続セクション、が含まれる。不平衡ラインには、接地トレース、信号トレースが含まれる。平衡ラインには第1及び第2の各信号トレースが含まれる。二重Y型移行セクションには、第1及び第2の各スロットトレースが含まれる。第1スロットトレースは不平衡ラインの接地トレースを平衡ラインの第1信号トレースに連結する。第2スロットトレースは不平衡ラインの信号トレースを平衡ラインの第2信号トレースに連結する。第1接続セクションは二重Y型移行セクションの第1スロットトレースを平衡ラインの第1信号トレースに連結する。第2連結セクションは二重Y型移行セクションの第2スロットトレースを平衡ラインの第2信号トレースに連結する。
【0005】
広帯域バランへの他のアプローチはバラン回路である。バラン回路には、不平衡ライン、平衡ライン、二重Y型移行セクションスロットライン、第1接続セクション、第2接続セクション、が含まれる。不平衡ラインには、第1中央導体と、第1及び第2の各コプレーナ導体とが含まれる。平衡ラインには、第2中央導体と、第3及び第4の各コプレーナ導体とが含まれる。二重Y型移行セクションスロットラインには、第1導体及び第2導体が含まれる。第1導体は第1中央導体を第3及び第4の各コプレーナ導体に連結する。第2導体は第1及び第2の各コプレーナ導体を第2中央導体に連結する。第1接続ラインは第1導体を第3及び第4の各コプレーナ導体に接続する。第2接続ラインは第1及び第2の各コプレーナ導体を第2中央導体に接続する。
【0006】
他の実施例では上述した任意のアプローチに以下の特徴の1つ以上が含まれ得る。
ある実施例では不平衡ラインが、不平衡コプレーナ導波(CPW)ラインを含む。
他の実施例では平衡ラインが、平衡コプレーナ導波(CPW)ラインを含む。
他の実施例では二重Y型移行セクションが、連結したスロットナインを含む。
他の実施例では連結したスロットラインが、基材上にマウントした第1及び第2の各導体を含む。
他の実施例では第1信号トレースが平衡ラインの中央導体である。
ある実施例では第1連結セクションが第1の金属製相互連結部を含み、第2連結セクションが第2の金属製相互連結部を含む。
他の実施例では第1連結セクションが第1マイクロストリップを含み、第2連結セクションが第2マイクロストリップを含む。
他の実施例では不平衡ラインへの電力入力及び平衡ラインからの電力出力が実質的に同一である。
他の実施例では第1連結ラインが第1の金属製相互連結部を含み、第2連結ラインが第2の金属製相互連結部を含む。
ある実施例では第1連結ラインが第1マイクロストリップを含み、第2連結ラインが第2マイクロストリップを含む。
ここで説明するテクノロジーによれば以下に示す1つ以上の利益が提供され得る。当該テクノロジーは有益には、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)において少なくとも72:1の帯域幅を有し、それにより標準的なモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)製造プロセスでの集積化を容易化し、かくして広帯域バランの製造コストを低下させ、また信号の変換効率を増長させる。本テクノロジーは、低挿入損失性であり、代替ソリューションと比較してコンパクトであり、代替ソリューションよりも製造費用が少ない点で有益性がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は広帯域バランの1例における回路ダイヤグラム図である。
図2図2は広帯域バランの他の例における回路ダイヤグラム図である。
図3図3は広帯域バラン用の試験用構成の回路ダイヤグラム図である。
図4図4は広帯域バランの1例における性能の例示チャート図である。
図5】広帯域バラン用の試験構成例の性能の例示チャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本テクノロジーを略述するに、広帯域バランはスタンドアロン型の180度電力分配器である。広帯域バランは、ここで説明する如く広帯域周波数範囲で動作する。広帯域バランは、例えば、72:1の帯域幅を有し、低損失性で、標準のモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)プロセステクノロジーを利用して開始される。本テクノロジーによれば、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)または広帯域バラン利用基盤プロセスにおいて容易に集積化される、広帯域の、低損失性の、コンパクトな構造が提供される。
【0009】
本テクノロジーには、二重Y型移行部と、コプレーナ導波(CPW)路とが含まれる。二重Y型移行部は広帯域性能を実現し、コプレーナ導波(CPW)路をスロットラインに(及びその逆に)変換する。本テクノロジーには、二重Y型移行部からのスロットライン(例えば、コプレーナストリップライン(CPS)フィールド)を変換し、ここで説明する如き低損失性の広帯域バランを提供するT字型のコプレーナ導波(CPW)路を更に含み得る。
二重Y型移行部は、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の微細リトグラフ製造テクノロジーにより低損失下に高周波数動作が可能であり、かくして当該テクノロジーの効率を増長させる点において有益性がある。T字型のコプレーナ導波(CPW)路は、広帯域バランを小型化し、かくして当該広帯域バランの、物理的大型サイズ無しでの高周波数動作を可能とする点において有益性がある。広帯域バランのモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)製造テクノロジーは、広帯域バランのその他のコンポーネンツに接近しての接地プレーンの位置決めを可能とし、かくして、電気的信号の変換に要する時間を短縮する一方、電気的信号間のインターフェースを減少させることで高周波数用途での効率的利用を可能とする点において有益性がある。
【0010】
図1には1実施例における広帯域バラン100の回路ダイヤグラム図が示される。広帯域バラン100は、不平衡ライン110(例えば、同軸ケーブル、リボンケーブル、2心極細同軸ケーブル等)、二重Y型移行セクションスロットライン120、平衡ライン130(例えば、より線対、ラダー型ケーブル等)を含む。不平衡ライン110は、中央導体112と、等電位の2つのコプレーナ導体114及び116とを含む。二重Y型移行セクションスロットライン120は2つの導体122及び124を含む。平衡ライン130は、中央導体131及び132と、コプレーナ導体133、134、135、136を含む。広帯域バラン100は、例えば、不平衡ライン110からの電気的信号(即ち、不平衡電気信号)の平衡ライン130(即ち、平衡電気信号)への(及びその逆への)変換に利用し得る。
【0011】
二重Y型移行セクションスロットライン120の導体122は、不平衡ライン110の中央導体112に電磁的に連結した導体122位置の信号電位を、平衡ライン130のコプレーナ導体133及び134及び中央導体132に連結する。二重Y型移行セクションスロットライン120の導体124は、不平衡ライン110の2つのコプレーナ導体111及び116に電磁的に連結した導体124位置の信号電位を、平衡ライン130のコプレーナ導体135及び136及び中央導体131に連結する。
【0012】
平衡ライン130は2つの連結ライン142及び144を更に含む。連結ライン142(第1連結ラインとも称する)は、二重Y型移行セクションスロットライン120の導体122を、平衡ライン130のコプレーナ導体133及び134及び中央導体132に連結する。連結ライン144(第2連結ラインとも称する)は、二重Y型移行セクションスロットライン120の導体124を平衡ラインのコプレーナ導体135及び136及び中央導体131に連結する。
幾つかの実施例において、不平衡ライン110は不平衡コプレーナ導波(CPW)ライン及びまたは、任意のその他形式の誘電性導波路(例えば、マイクロストリップ、ストリップライン等)を含む。
【0013】
他の実施例において、二重Y型移行セクションスロットライン120は連結スロットライン及びまたは任意のその他形式の誘電性導波路を含む。
ある実施例では平衡ライン130は平衡コプレーナ導波(CPW)ライン及びまたは任意のその他形式の誘電性導波路を含む。
また別の実施例では第1連結ライン142が第1の金属製相互連結部を含み、第2連結ライン144が第2の金属製相互連結部を含む。ある実施例では第1連結ライン142が第1マイクロストリップを含み、第2連結ライン144が第2マイクロストリップを含む。
ある実施例では、不平衡ライン110への電力入力と、平衡ライン130からの電力出力が同じ(例えば、+5%以内、−10%以内での正確な同一性、等)である。
【0014】
図1には、不平衡ライン110、二重Y型移行セクションスロットライン120、平衡ライン130の例示目的上の特定構成が示されるが、これら不平衡ライン110、二重Y型移行セクションスロットライン120、平衡ライン130の各構造は幾つかの実施例では実質的に正確であり、他の実施例では実質的に位置が異なり得る。
図2には、他の実施例における広帯域バラン200の回路ダイヤグラム図が示される。広帯域バラン200は、不平衡ライン210(例えば、シングルエンドの、接地周囲非平衡の、等)二重Y型移行セクションスロットライン220、平衡ライン230(例えば、ダブルエンドの、接地周囲平衡の、差動ライン、等)を含む。広帯域バラン200は、電磁カップリングを利用して不平衡ライン210を平衡ライン230に(及びその逆に)変換する。言い換えると、不平衡ライン210及び二重Y型移行セクションスロットライン220は、当該二重Y型移行セクションスロットライン220内の二重Y型移行部を介して電磁的に連結される。
【0015】
二重Y型移行セクションスロットライン220は、例えば、不平衡ライン210(例えば、50オームCPWライン、100オームCPWライン、等)をスロットラインに変換し得る。二重Y型移行セクションスロットライン220のスロットラインは、例えば、平衡ライン230のT字型のコプレーナ導波(CPW)路構造(たとえば、二重Y型移行セクションスロットライン220のスロットラインから“T”字型に分岐する2つのCPWライン、2本の95オームCPWライン、2本の125オームCPWライン、T字型ジャンクション、等)にフィードし得る。当該実施例では、T字型のコプレーナ導波(CPW)路構造の中央導体と、対向するコプレーナ導体の各セットは、相互連結部(例えば、金属製相互連結部、マイクロストリップ相互連結部、等)を介し、二重Y型移行セクションスロットライン220の一方側に連結される。
【0016】
広帯域バラン200は、例えば、インピーダンスが同一または異なるライン(例えば、同一インピーダンスの不平衡ライン210及び平衡ライン230、相違インピーダンスの不平衡ライン210と平衡ライン230、等)同士を連結するために使用できる。例えば、不平衡ライン210のインピーダンスは50オームであり、平衡ライン230のそれは95オームである。他の実施襟では不平衡ライン210のインピーダンスは115オーム、平衡ライン230のそれは45オームである。広帯域バラン200は不平衡ライン及び平衡ライン間に高周波数及び低損失下に変換を有益下に提供し、かくして異なるライン形式間での信号移行の効率性を増長させ得る。
【0017】
不平衡ライン210は、例えば、接地トレース及び信号トレースを含み得る。平衡ライン230は、例えば、第1及び第2の各信号トレースを含み得る。第1の信号トレースは、例えば、不平衡ライン210の中央導体であり得る。
二重Y型移行セクション220は、例えば、第1及び第2の各スロットトレースを含み得る。第1スロットトレースは、不平衡ライン210の接地トレースを平衡ライン230の第1信号トレースに連結し得る。第2スロットトレースは不平衡ライン210の信号トレースを平衡ライン230の第2信号トレースに連結し得る。
幾つかの実施例において、広帯域バラン200は第1及び第2の各連結セクションを含む。第1連結セクションは二重Y型移行セクション220の第1スロットトレースを不平衡ライン210の第1信号トレースに連結(例えば、直結、電磁的連結、等)し得る。第2連結セクションは、二重Y型移行セクション220の第2スロットトレースを平衡ライン230の第2信号トレースに連結し得る。
【0018】
他の実施例では第1接続セクションが第1の金属製相互連結部を含み、及びまたは第2接続セクションが第2の金属製相互連結部第2の金属製相互連結部を含む。
ある実施例では第1接続セクションは第1マイクロストリップを含み及びまたは第2接続セクションが第2マイクロストリップを含む。
ある実施例では不平衡ライン210が不平衡のコプレーナ導波(CPW)ライン及びまたは任意のその他形式の誘電性導波管を含む。
その他の実施例では二重Y型移行セクションスロットライン220が、連結したスロットライン及びまたは任意のその他形式の誘電性導波管を含む。連結したスロットラインは、例えば、基材上にマウントした第1及び第2の各導体を含み得る。
ある実施例では平衡ライン230が、平衡のコプレーナ導波(CPW)ライン及びまたは任意のその他形式の誘電性導波管を含む。
【0019】
ある実施例では、不平衡ライン210への電力入力と平衡ライン230からの電力出力が実質的に同じ(例えば、±10%、±100ワット、の範囲内での正確な同一性、等)であり、かくして広帯域バラン200の低損失化及び高効率化が可能とされる。
図2には平衡ライン230をT字型のコプレーナ導波(CPW)路構造として例示したが、広帯域バラン200は例えば任意形式の構造であり得る。例えば、平衡ライン230はF字型のコプレーナ導波(CPW)路構造(即ち、2つのCPWラインを二重Y型移行セクション220のスロットラインから“F”字型構造状に分岐させた)及びまたは、広帯域バラン200の設計仕様に基づく任意のその他形態を有する。
図2には不平衡ライン210、二重Y型移行セクション220、平衡ライン230の例示目的上の各構造を示すが、これら不平衡ライン210、二重Y型移行セクション220、平衡ライン230の各構造部分はある実施例では実質的に正確であり、他の実施例では実質的に異なる位置に配置され得る。
【0020】
図3には広帯域バラン300の試験構成例の回路ダイヤグラム図が示される。広帯域バラン300は、第1不平衡ライン310、第1二重Y型移行セクションスロットライン320、平衡ライン330、第2二重Y型移行セクションスロットライン340、第2不平衡ライン350、を含む。広帯域バラン300用の試験構成は、第1不平衡ライン310の入力と、第2不平衡ライン350の出力との間の挿入損失を測定するために利用される。
図3には、第1不平衡ライン310、第1二重Y型移行セクションスロットライン320、平衡ライン330、第2二重Y型移行セクションスロットライン340、第2不平衡ライン350の例示目的上の特定構造を例示したが、これら第1不平衡ライン310、第1二重Y型移行セクションスロットライン320、平衡ライン330、第2二重Y型移行セクションスロットライン340、第2不平衡ライン350の各構造は幾つかの実施例では実質的には正確であり、他の実施例では実質的に異なる位置に配置され得る。
【0021】
図4には図3に広帯域バラン300として例示した如き広帯域バラン例の性能が例示される。図4に示す如く、広帯域バランが0〜20GHzの周波数範囲に渡りシミュレートされた。例示される如く、挿入損失(IL)は周波数範囲に渡り0.4〜1.4dBであった。当該試験では広帯域バランを直列接続するため、挿入損失測定値の半分が広帯域バランの1つの挿入損失値である。本試験での各広帯域バランの予測挿入損は0.3〜0.9dBであった、例示した如く、周波数範囲にわたる、平衡ラインを通しての不平衡信号フィード試験であるコモンモード除去比(CMRR)は32.4〜19.8dBであった。図3には例示されない爾後の試験として、250MHz〜18GHzの周波数範囲にわたり20dBのコモンモード除去比が達成された。広帯域バランには、基板互換テクノロジー(例えば、MMIC)における高周波下の性能が低損失性であり、かくして広帯域バランの目標達成能力が増長される一方、製造コストを低下させると言う別の利益がある。
【0022】
図5には図1及び図2に夫々例示する広帯域バラン100及び200の如き広帯域バランの試験構成例における性能を例示するチャート500が示される。図5に示す如く、広帯域バランが0〜20GHzの周波数範囲にわたりシミュレートされた。例示した如く、平衡ラインの各共通ポートが測定された(本実施例ではバランH2が上端部、バランH2bが下端部)。広帯域バランの各入出力信号の振幅のバランスの性能は、チャート500に例示した如く、位相差が180度に近いことを表す。広帯域バランには、その位相差が180度に近いことから、結合効率及び直線性が最大化(例えば、この位相差により、倍音キャンセリングシステムの所望されざる倍音成分が20dB低減され得る)されるという別の利益がある。
【0023】
各ライン及びまたは導体の連結には、例えば、物理的な直接連結、物理的な間接連結、電磁的連結、及びまたは任意のその他形式の直接または間接的連結が含まれ得る。
“含む”及びまたは複数の構成の各々は限定を意味せず、提示した各パーツを含み且つ非提示の追加的パーツを含み得る。“及びまたは”とは限定を意味せず、提示した各パーツ及びそれらの組み合わせを含むものとする。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0024】
44 連結ライン
100 広帯域バラン
110 不平衡ライン
111 コプレーナ導体
112 中央導体
114 コプレーナ導体
120 二重Y型移行セクションスロットライン
122 導体
124 導体
130 平衡ライン
131 中央導体
132 中央導体
133 コプレーナ導体
135 コプレーナ導体
142 第1連結ライン
144 第2連結ライン
200 広帯域バラン
210 不平衡ライン
220 二重Y型移行セクションスロットライン
230 平衡ライン
300 広帯域バラン
310 第1不平衡ライン
320 第1二重Y型移行セクションスロットライン
330 平衡ライン
340 第2二重Y型移行セクションスロットライン
350 第2不平衡ライン
500 チャート
H2 バラン
H2b バラン
図1
図2
図3
図4
図5