(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714984
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】椅子における足載せ台の取付構造
(51)【国際特許分類】
A47C 7/50 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
A47C7/50 Z
A47C7/50 A
A47C7/50
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-125583(P2011-125583)
(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公開番号】特開2012-249861(P2012-249861A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】原 永祐
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 彩子
(72)【発明者】
【氏名】森尾 紗也香
【審査官】
望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−181614(JP,A)
【文献】
特開2002−238666(JP,A)
【文献】
特開2004−159920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足載せ台の取付部に、上下方向と一側方とに開口する係合凹部を設け、この係合凹部を椅子の脚柱に嵌合し、かつ前記係合凹部内に配設した押圧部材と、それに対向する前記係合凹部の内面とにより前記脚柱を挟み、前記押圧部材を、足載せ台に設けた締付手段をもって前記係合凹部の奥部に向かって締め付けることにより、足載せ台を脚柱に取付けるようにした椅子における足載せ台の取付構造において、
前記脚柱の外周面に、水平かつ円周方向を向く円弧状の係合溝または係合突条を、上下方向と円周方向とに並べてそれぞれ複数設け、かつ前記脚柱と対向する前記押圧部材の内面と、前記係合凹部の内面とに、それぞれ前記上下複数の係合溝または係合突条と選択的に係合しうる円弧状の係合突条または係合溝を設けたことを特徴とする椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項2】
脚柱の外周面に設けた円弧状の係合溝または係合突条の長さと、押圧部材の内面と係合凹部の内面に設けた係合突条または係合溝の長さとを、ほぼ等しくしてなる請求項1記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項3】
係合突条または係合溝を、係合凹部の内面の下部に設けてなる請求項1または2記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項4】
脚柱の外周面における前後部に、上下複数の係合溝または係合突条をそれぞれ設け、前後の係合溝または係合突条に、押圧部材の内面と係合凹部の内面とに設けた係合突条または係合溝を係合させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項5】
係合凹部と押圧部材に設けた係合突条または係合溝を、少なくとも上下2個とし、それらを、脚柱における互いに隣接する上下2個の係合溝または係合突条に選択的に係合するようにしてなる請求項1〜4のいずれかに記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項6】
締付手段を、押圧部材の外側面と対向するようにして、係合凹部内に外側方に移動不能として取付けられ、かつ脚柱と直交する方向のめねじ孔が設けられたねじ受け部材と、前記めねじ孔に螺合され、先端部により押圧部材を脚柱に向かって押動させる締付ねじとを備えるものとし、前記押圧部材とねじ受け部材とを、前記係合凹部内に収容した請求項1〜5のいずれかに記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項7】
係合凹部内の互いに対向する部分に、内向突部を突設し、この両内向突部と、それに対向するようにして、ねじ受け部材の両側端に突設した外向突部との対向面のいずれか一方に係止突部を、かつ他方に、係止突部が嵌合する係合孔を、それぞれ設けてなる請求項6記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【請求項8】
押圧部材とねじ受け部材との対向部のいずれか一方に凹部を設け、この凹部に他方の対向部を嵌合させてなる請求項6または7記載の椅子における足載せ台の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子の脚柱に、足載せ台を、高さ調節可能に取付けてなる椅子における足載せ台の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭で学習用に使用する子供用の椅子の中には、着座した子供の足が床に届かない場合に備えて、足載せ台を取付けたものがあり、また、このような足載せ台を、子供の成長に合わせて高さを調節可能としたり、不要となった際には取り外したりしうるように、脚柱に取付けたものが種々提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−181614号公報
【特許文献2】実用新案登録第3097290号公報
【特許文献3】実用新案登録第3143021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3に記載されている足載せ台は、いずれも、脚柱に固定する中心部の取付部に、上下方向と後方に開口する係合凹部を設けてあるので、脚柱に足載せ台の取付部を嵌合する際には、座を脚柱に取付けた状態のまま側方より簡単に行うことができ、かつ取り外しも容易に行いうる利点がある。
しかし、上記いずれの足載せ台も、その取付部における係合凹部の開口端部に設けたねじ受け部材に、締付手段を取付け、この締付手段により、係合凹部の内面を脚柱の外周面に圧接させて、脚柱に足載せ台を固定し、締付手段を緩めることにより、足載せ台の高さを調節しうるようになっている。
そのため、子供等が不用意に締付手段を緩めたり、椅子の使用中に締付手段が多少でも緩んだりすると、すぐに足載せ台が上下方向に移動したり、脚柱回りに水平回動するなどし、脚柱に対し足載せ台の取付位置がずれてしまう恐れがある。
【0005】
また、特許文献3に記載の足載せ台においては、その係合凹部の開口端部に、ねじ受け部材(挟み持ち部品)を、開口部の後方に突出させて取付けており、それが大きく露呈しているので、足載せ台の外観的体裁が悪く、かつ椅子としてのデザイン性もよくない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、締付手段に緩みが生じたとしても、足載せ台が上下方向に移動したり、回動したりするなど、脚柱に対し位置ずれするのを防止しうるようにし、かつねじ受け部材等が、取付部の外周部より外側方に大きく露呈するのを防止して、足載せ台の体裁及び椅子のデザイン性を向上させうるようにした、椅子における足載せ台の取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)足載せ台の取付部に、上下方向と一側方とに開口する係合凹部を設け、この係合凹部を椅子の脚柱に嵌合し、かつ前記係合凹部内に配設した押圧部材と、それに対向する前記係合凹部の内面とにより前記脚柱を挟み、前記押圧部材を、足載せ台に設けた締付手段をもって前記係合凹部の奥部に向かって締め付けることにより、足載せ台を脚柱に取付けるようにした椅子における足載せ台の取付構造において、前記脚柱の外周面に、水平
かつ円周方向を向く円弧状
の係合溝または係合突条を
、上下方向
と円周方向とに並べて
それぞれ複数設け、かつ前記脚柱と対向する前記押圧部材の内面と、前記係合凹部の内面
とに、
それぞれ前記
上下複数の係合溝または係合突条と選択的に係合しうる
円弧状の係合突条または係合溝を設ける。
【0008】
このような構成とすると、脚柱の外周面に設けた
水平かつ円周方向を向く円弧状の
複数の係合溝または係合突条に、押圧部材の内面と係合凹部の内面
に設けた
円弧状の係合突条または係合溝を嵌合させた状態で、締付手段により脚柱の外周面に足載せ台を取付けることにより、締付手段に緩みが生じたとしても、足載せ台が上下方向に移動する恐れはない。
【0009】
(2)上記(1)項において、脚柱の外周面に設けた円弧状の係合溝または係合突条の長さと、押圧部材の
内面と係合凹部の内面
に設けた係合突条または係合溝の長さとを、ほぼ等しくする。
【0010】
このような構成とすると、足載せ台が脚柱回りに回動し、位置ずれするのが防止される。
【0011】
(3)上記(1)または(2)項において、係合突条または係合溝を、係合凹部の内面の下部に設ける。
【0012】
このような構成とすると、締付手段が緩んで、足載せ台の先端部が脚柱に対し下方に傾動しようとすると、係合凹部の係合突条または係合溝が、脚柱の係合溝または係合突条と深く嵌合するようになるので、足載せ台が妄りに下方に移動することがなくなる。
【0013】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、脚柱の外周面における前後部に、上下複数の係合溝または係合突条をそれぞれ設け、前後の係合溝または係合突条に、押圧部材の内面と係合凹部の内面とに設けた係合突条または係合溝を係合させる。
【0014】
このような構成とすると、
脚柱の外周面に、足載せ台を、位置ずれするのを確実に防止して安定よく取付けることができる。
【0015】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、係合凹部と押圧部材
に設けた係合突条または係合溝を、少なくとも上下2個とし、それらを、脚柱における互いに隣接する上下2個の係合溝または係合突条に選択的に係合するようにする。
【0016】
このような構成とすると、
脚柱の外周面に、足載せ台を、位置ずれを防止して、より安定よく取付けることができる。
【0017】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、締付手段を、押圧部材の外側面と対向するようにして、係合凹部内に外側方に移動不能として取付けられ、かつ脚柱と直交する方向のめねじ孔が設けられたねじ受け部材と、前記めねじ孔に螺合され、先端部により押圧部材を脚柱に向かって押動させる締付ねじとを備えるものとし、前記押圧部材とねじ受け部材とを、前記係合凹部内に収容する。
【0018】
このような構成とすると、押圧部材と締付手段の少なくともねじ受け部材は、係合凹部内に収容されているので、それらが、係合凹部の開口部より外側方に大きく突出して露呈するのが防止され、足載せ台の体裁及び椅子のデザイン性を向上させることができる。
【0019】
(7)上記(6)項において、係合凹部内の互いに対向する部分に、内向突部を突設し、この両内向突部と、それに対向するようにして、ねじ受け部材の両側端に突設した外向突部との対向面のいずれか一方に係止突部を、かつ他方に、係止突部が嵌合する係合孔を、それぞれ設ける。
【0020】
このような構成とすると、押圧部材を締め付ける際の反力がねじ受け部材に加わっても、係合凹部の開口部が外側方に拡開する恐れはない。従って、係合凹部に収容した押圧部材が側方にがたつくのが防止され、脚柱に向かって安定よく押動されるので、その先端部の係合突条または係合溝を、脚柱の係合溝または係合突条に確実に嵌合して係合させることができる。
また、押圧部材及び締付手段が、係合凹部より脱落するのが防止されるので、それらの組付け時の作業性がよくなる。
【0021】
(8)上記(6)または(7)項において、押圧部材とねじ受け部材との対向部のいずれか一方に凹部を設け、この凹部に他方の対向部を嵌合させる。
【0022】
このような構成とすると、押圧部材とねじ受け部材とを接近させうるので、それらを収容する係合凹部及び係合凹部が形成された取付部の側方への突出寸法が小さくなるので、足載せ台の体裁及び椅子のデザイン性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、締付手段に緩みが生じたとしても、足載せ台が上下方向に移動して、位置ずれするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態を備える椅子の前方斜視図である。
【
図2】同じく、足載せ台取付け時の椅子の要部の拡大斜視図である。
【
図3】同じく、足載せ台取付け前の椅子の要部の分解斜視図である。
【
図4】同じく、足載せ台取付部における締付手段締付け前の拡大中央縦断側面図である。
【
図5】同じく、締付手段締付け時の拡大中央縦断側面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿う横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を備える椅子の斜視図で、この椅子は、先端部にキャスタ1を有する放射方向を向く5本の脚杆2よりなる脚体3と、その中央に立設された脚柱4と、脚柱4の上端部に水平回転可能に取付けた支基(図示略)により支持された座体5と、支基の後端部の両側部より起立する背杆6、6の上端部に、左右1対の下方を向く背枠7、7を介して取付けられた背凭れ8とを備えている。
【0026】
図4に示すように、脚柱4は、上端に支基が取付けられた伸縮脚9と、下端部が脚体3の中央に固着され、内部に収容した伸縮脚9を伸長させるガススプリング10と、ガススプリング10を覆うようにして、脚体3の中央に下端部が固着された合成樹脂よりなる円筒形のカバー脚11とからなっている。
【0027】
図2〜
図4に示すように、カバー脚11における左右の両側面を除いた前後の外周面には、水平方向を向く円弧状の上下複数の係合溝12が、上下位置を互いに整合させて、一定間隔おきに形成されている。
また、
図6に示すように、カバー脚11の右側面には、上下方向を向くスリット13が、上端部付近から下端まで形成され、カバー脚11は、このスリット13の溝幅分だけ縮径方向に弾性変形しうるようになっている。
【0028】
カバー脚11には、足載せ台14が次のようにして取付けられている。
図2〜
図7に示すように、足載せ台14は、その中心部のカバー脚11に固定可能な取付部15と、その外周面より、椅子の前方(
図4の左方)と両側方に向かって放射状に延出する3本の連結杆16と、各連結杆16の先端に接続された、取付部15を中心とする平面視ほぼC字形の足載せ部17と、取付部15をカバー脚11の外周面に締め付ける締付手段18とを備えている。
【0029】
取付部15は、互いにほぼ平行をなして後方を向く左右1対の挟持片15a、15aを有し、内部には、後方と上下両方向に開口する平面視後向きU字状の係合凹部19が形成され、この係合凹部19の前部側の半円状の内周面は、カバー脚11の前半部の外周面と面接触しうるようになっている。
係合凹部19における前下部の内面には、カバー脚11の前側の上下複数の係合溝12に前方より選択的に係合可能な、係合溝12とほぼ同じ長さの水平かつ円弧状をなす係合突条20が突設されている。
【0030】
係合凹部19の開口端部、すなわち取付部15における両挟持片15aの後端部の対向面には、内向突部21、21が対向状に突設され、両内向突部21における脚柱4と対向する前面には、上下方向を向く係止突部22、22が、前向きに突設されている。なお、両内向突部21、21の対向面間の寸法は、脚柱4の伸縮脚9の外径よりも若干大とされ、取付部15を、伸縮脚9に、それと直交するいずれの方向からでも嵌合しうるようにしてある。
【0031】
取付部15の係合凹部19には、前面が開口された縦断及び横断面形がコ字状をなす合成樹脂製の箱状の押圧部材23が、カバー脚11の後面と対向するようにして収容されている。
【0032】
締付手段18は、係合凹部19の後方の開口端部内に、その部分を塞ぐようにして嵌合された合成樹脂製のねじ受け部材24と、その内部の後述するナット30に螺合される締付ねじ25とからなり、押圧部材23の後部は、ねじ受け部材24の前面に設けた凹部24bに相対移動可能に嵌合されている。なお、押圧部材23とねじ受け部材24の上下寸法は、それらを係合凹部19に嵌合した際に、取付部15の上下両面から突出しないように、その上下寸法よりも若干小さくしてある。
【0033】
押圧部材23におけるカバー脚11の後面と対向する内面、すなわち、押圧部材23の上下の前向片23a、23aの前端部は、カバー脚11の後面の互いに隣接する上下2個の係合溝12に後方より選択的に係合可能な、係合溝12とほぼ同じ長さの水平かつ円弧状の係合突条26、26とされている。なお、押圧部材23を取付部15の係合凹部19に収容した際、押圧部材23の下部の係合突条26と、係合凹部19の前下部の内周面に突設した係合突条20とが、同一高さに整合するようになっている。
【0034】
締付ねじ25は、回動操作用の合成樹脂製の操作ノブ27と、インサート成形により後部が操作ノブ27の中心部に固定された前方を向くボルト28とからなり、ボルト28は、ねじ受け部材24の中央部に穿設された前後方向を向く通孔29に後方より挿入され、ねじ受け部材24の内部にインサート成形により固定されたナット30に螺合されるようになっている。なお、ナット30の代わりに、ねじ受け部材24に、ボルト28が螺合されるめねじ孔を穿設してもよい。
ボルト28の先端には、小径軸28aが突設されている。
【0035】
押圧部材23の両側部後面に形成された後方に開口する上下方向の長孔31、31には、平面視コ字状の押圧金具32における左右両側の前向片32a、32aが後方より嵌合され、押圧金具32の前面は、押圧部材23の後面に当接するようになっている。なお、このような押圧金具32は省略することもある。
【0036】
押圧部材23の後面と押圧金具32との中央部に形成された通孔33、33には、上記ボルト28の小径軸28aが後方より回動可能に嵌合され、嵌合後において、小径軸28aの先端部の環状溝34にE型リング35を止着することにより、締付ねじ25は、後方に抜け止めされるようになっている。
【0037】
ねじ受け部材24の両側面の中間部に突設された外向突部24a、24aには、上記係止突部22と反対方向である後方に開口する係合孔36、36が形成され、両係合孔36を、取付部15の後端部の前方を向く係止突部22、22に嵌合することにより、ねじ受け部材24は、取付部15の係合凹部19内において、上下方向への移動と、脱落するのが阻止されている(
図6参照)。
また、左右の外向突部24a、24aの後面が、左右の内向突部21、21の前面に当接することにより、ねじ受け部材24は、係合凹部19の開口端部に、後方に抜け止めされて嵌合されている。
【0038】
足載せ台14を脚柱4に取付けるには、まず伸縮脚9に、取付部15の係合凹部19を、椅子の前方より嵌合する。
【0039】
ついで、この状態において、伸縮脚9の後方に形成される係合凹部19に、予め組み付けられた、押圧部材23、押圧金具32、ねじ受け部材24、及び締付ねじ25を、カバー脚11の後面と対向するように嵌合する。この際に、係合凹部19の開口端部の左右の係止突部22、22に、ねじ受け部材24の両側部の係合孔36、36を嵌合することにより、押圧部材23、ねじ受け部材24及び締付ねじ25全体が、係合凹部19より脱落するのが防止され、係合凹部19内に仮保持される。
【0040】
ついで、
図4及び
図6に示すように、締付ねじ25を緩めて、押圧部材23を後限付近まで後方に移動させてから、足載せ台14を下降させ、取付部15における係合凹部19の奥面と押圧部材23の前端とにより、カバー脚11の外周面を挟持する。
【0041】
ついで、係合凹部19の内面の係合突条20と、押圧部材23の前端の上下の係合突条26、26とを、それぞれ、カバー脚11における前面と後面の上下複数の係合溝12のいずれかに、前方及び後方より選択的に係合させる。
【0042】
この状態で、締付ねじ25を締め込むと、
図5及び
図7に示すように、ボルト28の先端面により、押圧金具32及び押圧部材23が前方に押動されることにより、係合凹部19に設けた係合突条20が、カバー脚11の前面の1個の係合溝12に、押圧部材23の前端部の係合突条26、26が、カバー脚11の後面における上下に隣接する2個の係合溝12、12に、それぞれ強く係合する。
これにより、足
載せ台14は、カバー脚11の任意の高さに固定される。この際、カバー脚11の外周面には、上下方向を向くスリット13が設けられ、締付ねじ25の締付時の押圧荷重がスリット13により逃がされるので、カバー脚11の締付部が局部的に楕円形等に変形するのが防止される。
【0043】
足載せ台14の高さを調節する際は、締付ねじ25を緩めて、前後の係合突条20、26を、カバー脚11の前後両面の任意の係合溝12に嵌合し、再度締付ねじ25を締め込めばよく、これにより、足載せ台14の高さを段階的に調節することができる。なお、足載せ台14の高さを確認するために、カバー脚11の左側面には、高さの目盛りを付した目盛シール37を貼着してある。
【0044】
以上説明したように、上記実施形態の足載せ台の取付構造においては、脚柱4の一部をなすカバー脚11の外周面の前後両面に、円周方向を向く円弧状の係合溝12を、上下複数設け、それらの任意の係合溝12に、足載せ台14の係合凹部19の内面に突設した、係合溝12とほぼ同じ長さの円弧状の係合突条20と、押圧部材23の前端部における係合溝12とほぼ同じ長さの円弧状の係合突条26、26とを係合させて、カバー脚11に足載せ台14を固定しているので、締付ねじ25に多少の緩みが生じたとしても、足載せ台14が上下方向に移動したり、カバー脚11回りに回動したりする恐れはない。従って、カバー脚11に対し足載せ台14が位置ずれするのを防止することができる。
【0045】
また、押圧部材23とねじ受け部材24は、足載せ台14における取付部15の係合凹部19内に収容されているので、それらが、取付部15の後方に大きく突出して露呈するのが防止され、足載せ台14の体裁及び椅子のデザイン性が向上する。
【0046】
さらに、取付部15の両挟持片15aの後端部に突設した内向突部21、21に、前方を向く係止突部22、22を設け、これらの係止突部22に、ねじ受け部材24の両側部に設けた後方に開口する係合孔36、36を係合させているので、押圧部材23を締め付ける際の反力がねじ受け部材24に加わっても、係合凹部19の開口端部が外側方に拡開する恐れはない。従って、係合凹部19に収容した押圧部材23の左右方向へのがたつきが防止され、カバー脚11に向かって安定よく押動されるので、その先端部の係合突条26を、カバー脚11の係合溝12に確実に嵌合して係合させることができる。
【0047】
また、取付部15の係止突部22に、ねじ受け部材24の係合孔36を係合させると、押圧部材23と締付手段18とが係合凹部19より脱落するのが防止されるので、それらの組付け時の作業性がよくなる。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、カバー脚11の前後両面に係合溝12を設け、それらに、足載せ台14の係合凹部19の内面と押圧部材23とに設けた係合突条20、26を係合させているが、係合溝12を前後いずれか一方のみに設け、この係合溝12に、足載せ台14の係合凹部19の係合突条20または押圧部材23の係合突条26を係合させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態とは反対に、カバー脚11の係合溝12を係合突条に、係合凹部19及び押圧部材23の係合突条20、26を係合溝にすることもできる。この際には、押圧部材23におけるカバー脚11との対向面を、円弧状の曲面とし、その前面に係合突条を突設すればよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、足載せ台14の係合凹部19の内面に、1個の係合突条20を設けてあるが、押圧部材23と同様に、係合突条20を上下2個設けて、それらを、前面の上下に隣接する2個の係合溝12に係合させるようにしてもよい。このようにすると、カバー脚11の外周面に、足載せ台14を、位置ずれするのを確実に防止して安定よく取付けることができる。なお、係合突条20、26は、2個以上設けることもある。
【0051】
上記実施形態では、係合凹部19における開口端部に突設した内向突部21、21に、前方を向く係止突部22、22を設け、両係止突部22に、ねじ受け部材24における両側部の外向突部24a、24aに設けた後方に開口する係合孔36を嵌合させているが、これとは反対に、外向突部24aの後面に後向きの係止突部22を設けるとともに、内向突部21の前面に係合孔36を設け、それらを互いに嵌合させてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 キャスタ
2 脚杆
3 脚体
4 脚柱
5 座体
6 背杆
7 背枠
8 背凭れ
9 伸縮脚
10 ガススプリング
11 カバー脚
12 係合溝
13 スリット
14 足載せ台
15 取付部
15a挟持片
16 連結杆
17 足載せ部
18 締付手段
19 係合凹部
20 係合突条
21 内向突部
22 係止突部
23 押圧部材
23a前向片
24 ねじ受け部材
24a外向突部
24b凹部
25 締付ねじ
26 係合突条
27 操作ノブ
28 ボルト
28a小径軸
29 通孔
30 ナット
31 長孔
32 押圧金具
32a前向片
33 通孔
34 環状溝
35 E型リング
36 係合孔
37 目盛シール