特許第5715047号(P5715047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715047
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ハイブリッド型作業機械
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20150416BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20150416BHJP
   B60W 20/00 20060101ALI20150416BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20150416BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20150416BHJP
   F02D 23/02 20060101ALI20150416BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20150416BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H02P9/04 L
   B60K6/20 310
   E02F9/20 Z
   F02D23/00 A
   F02D23/00 N
   F02D23/02 C
   F02D23/02 Z
   F02D29/00 B
   F02D29/06 L
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-507264(P2011-507264)
(86)(22)【出願日】2010年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2010055885
(87)【国際公開番号】WO2010114030
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2012年5月17日
【審判番号】不服2014-4246(P2014-4246/J1)
【審判請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2009-89123(P2009-89123)
(32)【優先日】2009年4月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117499
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 誠
(72)【発明者】
【氏名】川島 宏治
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 矢島 伸一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−13632(JP,A)
【文献】 特開平2−99721(JP,A)
【文献】 特開2002−180860(JP,A)
【文献】 特開2000−289494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機へ圧縮空気を供給する過給機と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機の電気的端子に接続されたインバータ回路と、
前記内燃機関発動機の回転数および前記過給機の過給圧と前記内燃機関発動機の出力上限値との相関を示す第1の情報を記憶する記憶部を含んで構成され、前記インバータ回路を駆動する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記第1の情報、前記内燃機関発動機の回転数及び前記過給機の推定又は取得した過給圧に基づいて前記内燃機関発動機の出力上限値を算出し、必要出力が前記内燃機関発動機の出力上限値を超える場合には、前記電動発電機が前記内燃機関発動機の出力上限値に基づいて演算される出力で前記内燃機関発動機の駆動力を補助するように、前記インバータ回路を制御することを特徴とする、ハイブリッド型作業機械。
【請求項2】
前記制御部は、必要出力が前記内燃機関発動機の出力上限値を下回る場合には、前記内燃機関発動機の駆動力により前記電動発電機において発電を行うように、前記インバータ回路を制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項3】
前記制御部は、前記内燃機関発動機のトルクの大きさに基づいて前記過給機の過給圧を推定する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項4】
前記過給機の過給圧を検出して、該過給圧に関する情報を前記制御部に提供する過給圧センサを更に備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項5】
前記記憶部は、前記内燃機関発動機の回転数に応じた最大出力値に関する第2の情報を更に記憶しており、
前記制御部は、前記第2の情報に基づく最大出力値が前記第1の情報に基づく出力上限値より小さい場合には、該最大出力値を出力上限値として前記インバータ回路を制御する
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項6】
前記制御部の前記記憶部は、
前記内燃機関発動機への燃料供給量および前記内燃機関発動機の回転数に応じた前記過給機の最大過給圧を示す第3の情報と、
前記出力上限値に対応する前記内燃機関発動機への燃料供給量の制限値と前記過給機の過給圧との相関を示す第4の情報と
を更に記憶しており、
前記第3の情報から求められる前記最大過給圧と前記第4の情報から求められる前記過給機の過給圧との差が所定の閾値を下回っている場合に、前記電動発電機が前記内燃機関発動機の駆動力を補助するように前記インバータ回路を制御することにより、前記内燃機関発動機の回転数を上昇させる
ことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項7】
前記所定の閾値が前記燃料供給量に応じて変化する
ことを特徴とする、請求項6に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第3の情報から求められる前記最大過給圧と前記第4の情報から求められる前記過給機の過給圧との差を算出し、この差と前記所定の閾値との大小を判定する過給圧判定部と、
前記過給圧判定部において前記差が前記所定の閾値を下回っていると判定された場合に、前記差が前記所定の閾値を上回っていると判定された場合より高い前記内燃機関発動機の目標回転数を設定する目標回転数設定部と
を有し、
前記内燃機関発動機の回転数が前記目標回転数に近づくように前記インバータ回路を制御する
ことを特徴とする、請求項6または7に記載のハイブリッド型作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動機構の一部を電動化した作業機械が提案されている。このような作業機械は、例えばブーム、アーム、及びバケットといった可動部を油圧駆動するための油圧ポンプを備えており、この油圧ポンプを駆動するための内燃機関発動機(エンジン)に交流電動機(電動発電機)を連結し、該エンジンの駆動力を補助する動作と、発電により得られる電力を蓄電池に充電する動作とを各々必要に応じて行う。例えば特許文献1には、このようなハイブリッド式作業機械が開示されている。特許文献1に記載されたハイブリッド式作業機械では、油圧ポンプの要求パワーに応じて、電動発電機がエンジンを補助するために出力すべきパワーの配分を決定し、また、エンジンの目標回転数と実際の回転数との偏差が解消されるように上記パワー配分を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド型作業機械において、エンジンへ圧縮空気を供給する過給機が設けられる場合がある。このような場合、エンジン出力は、過給圧に大きく左右される。過給圧はエンジンの回転数の増加から時間的に遅れて高くなる傾向があるため、エンジンの回転数が上昇しても、該回転数に対応する定常的な出力が得られるまでには時間遅れが生じることとなる。したがって、そのような状態において現回転数に応じた出力が得られているものとして電動発電機の補助出力を抑制(或いは、エンジン出力を利用して発電)すると、エンジンへの負荷が過剰となりエンジンが停止してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、過給機を有するハイブリッド型作業機械において、エンジンへの過負荷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明によるハイブリッド型作業機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機へ圧縮空気を供給する過給機と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機の電気的端子に接続されたインバータ回路と、内燃機関発動機の回転数および過給機の過給圧と内燃機関発動機の出力上限値(単位:kW)との相関を示す第1の情報を記憶する記憶部を含んで構成され、インバータ回路を駆動する制御部とを備える。制御部は、記憶部に記憶された第1の情報に基づいて、必要出力(単位:kW)が出力上限値を超える場合には電動発電機が内燃機関発動機の駆動力を補助するように、インバータ回路を制御する。
【0007】
制御部は、必要出力が出力上限値を下回る場合には内燃機関発動機の駆動力により電動発電機において発電を行うように、インバータ回路を制御してもよい。
【0008】
制御部は、内燃機関発動機のトルクの大きさに基づいて過給機の過給圧を推定してもよい。或いは、ハイブリッド型作業機械は、過給機の過給圧を検出して、該過給圧に関する情報を制御部に提供する過給圧センサを備えてもよい。
【0009】
記憶部は、内燃機関発動機の回転数に応じた最大出力値に関する第2の情報を更に記憶しており、制御部は、第2の情報に基づく最大出力値が第1の情報に基づく出力上限値より小さい場合には、該最大出力値を出力上限値としてインバータ回路を制御してもよい。
【0010】
制御部の記憶部は、内燃機関発動機への燃料供給量および内燃機関発動機の回転数に応じた過給機の最大過給圧を示す第3の情報と、出力上限値に対応する内燃機関発動機への燃料供給量の制限値と過給機の過給圧との相関を示す第4の情報とを更に記憶しており、第3の情報から求められる最大過給圧と第4の情報から求められる過給機の過給圧との差が所定の閾値を下回っている場合に、電動発電機が内燃機関発動機の駆動力を補助するようにインバータ回路を制御することにより、内燃機関発動機の回転数を上昇させてもよい。
【0011】
所定の閾値は、燃料供給量に応じて変化してもよい。
【0012】
制御部は、第3の情報から求められる最大過給圧と第4の情報から求められる過給機の過給圧との差を算出し、この差と所定の閾値との大小を判定する過給圧判定部と、過給圧判定部において差が所定の閾値を下回っていると判定された場合に、差が所定の閾値を上回っていると判定された場合より高い内燃機関発動機の目標回転数を設定する目標回転数設定部とを有し、内燃機関発動機の回転数が目標回転数に近づくようにインバータ回路を制御してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過給機を有するハイブリッド型作業機械において、エンジンへの過負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る作業機械の一例として、ハイブリッド型建設機械の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態のハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。
図3】蓄電部の内部構成を示す図である。
図4】コントローラの内部構成を示すブロック図である。
図5】エンジン制限テーブルの構成例を示す図である。
図6】(a)エンジン制限量推定部の内部構成の一例を示している。(b)エンジン制限量推定部の内部構成の他の一例を示している。
図7】ブースト圧推定値を算出するための構成例を示す図である。
図8】定常状態におけるエンジンの回転数とエンジン出力との関係について、当該回転数に応じた十分なブースト圧が得られている場合を示している。
図9】(a),(b)従来のハイブリッド型作業機械の動作を説明するためのグラフである。グラフG11は定格出力(すなわち、エンジンの回転数に対応する出力の定格値)を示しており、グラフG12はエンジンが現実に可能な出力を示しており、グラフG13はメインポンプの要求出力を示している。グラフG14はエンジンの実際の回転数を示しており、グラフG15は過給機の実際のブースト圧を示している。
図10】(a),(b)ハイブリッド型建設機械の動作を説明するためのグラフである。グラフG21は定格出力を示しており、グラフG22はエンジンが現実に可能な出力を示しており、グラフG23はメインポンプの要求出力を示しており、グラフG26はブースト圧を考慮したエンジンの出力の上限(すなわちエンジン制限量推定部において算出される出力の上限値)を示している。グラフG24はエンジンの実際の回転数を示しており、グラフG25は過給機の実際のブースト圧を示している。
図11】(a)第1実施形態に係るハイブリッド型作業機械の、エンジン出力、電動発電機(アシストモータ)出力、油圧出力、及びエンジン回転数それぞれの時間変化を示すグラフである。(b)第1実施形態に係るハイブリッド型作業機械のブースト圧の時間変化を示すグラフである。
図12】(a),(b)グラフG41は、エンジンへの燃料供給量およびエンジンの回転数に応じた過給機の最大ブースト圧と、エンジントルクとの相関の一例を示すグラフである。グラフG42は、エンジンの出力上限値に対応するエンジントルクの制限値と、不揮発性メモリに記憶されたエンジン制限テーブルに格納された、当該出力上限値に対応する過給機のブースト圧との相関の一例を示すグラフである。
図13】ハイブリッド型作業機械の問題点を解決するための方法を説明するためのグラフであり、図12に示したグラフG41,G42が概略的に示されている。
図14】第2実施形態の具体的な構成を示すブロック図である。
図15】(a)第2実施形態に係るハイブリッド型作業機械の、エンジン出力、電動発電機(アシストモータ)出力、油圧出力、及びエンジン回転数それぞれの時間変化を示すグラフである。(b)第2実施形態に係るハイブリッド型作業機械のブースト圧の時間変化を示すグラフである。
図16】ハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるハイブリッド型作業機械の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係るハイブリッド型作業機械の一例として、ハイブリッド型建設機械1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、ハイブリッド型建設機械1はいわゆるリフティングマグネット車両であり、無限軌道を含む走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された旋回体4とを備えている。旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたリフティングマグネット7とが取り付けられている。リフティングマグネット7は、鋼材などの吊荷Gを磁力により吸着して捕獲するための設備である。ブーム5、アーム6、及びリフティングマグネット7は、それぞれブームシリンダ8、アームシリンダ9、及びバケットシリンダ10によって油圧駆動される。また、旋回体4には、リフティングマグネット7の位置や励磁動作および釈放動作を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するためのエンジン(内燃機関発動機)11といった動力源が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
【0017】
また、ハイブリッド型建設機械1はサーボ制御ユニット60を備えている。サーボ制御ユニット60は、旋回機構3やリフティングマグネット7といった作業要素を駆動するための交流電動機や、エンジン11をアシストするための電動発電機、並びに蓄電池(バッテリー)の充放電を制御する。サーボ制御ユニット60は、直流電力を交流電力に変換して交流電動機や電動発電機を駆動するためのインバータユニット、バッテリーの充放電を制御する昇降圧コンバータユニットといった複数のドライバユニットと、該複数のドライバユニットを制御するためのコントロールユニットとを備えている。
【0018】
図2は、本実施形態のハイブリッド型建設機械1の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。なお、図2では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。また、図3は、図2における蓄電部(蓄電手段)120の内部構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、ハイブリッド型建設機械1は過給機42を備えている。過給機42は、エンジン11へ圧縮空気を供給するための装置である。過給機42は、エンジン11から排出される排気ガスの圧力を利用してタービンを高速回転させ、該タービンに直結された圧縮機を回転させて吸気を圧縮し、エンジン11へ供給する。これにより、エンジン11の吸入空気量を増加させる。なお、エンジン11には、エンジン11の動作を制御するエンジンコントロールユニット(Engine Control Unit;ECU)が備えられており、ECUは、過給機42のブースト圧等に基づいてエンジン11の出力トルクを調整する。
【0020】
また、ハイブリッド型建設機械1は電動発電機12および変速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に変速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の負荷が大きいときには、電動発電機12がこのエンジン11を作業要素として駆動することによりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が変速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が変速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切り替えは、ハイブリッド型建設機械1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
【0021】
変速機13の出力軸にはメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されており、メインポンプ14には高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。コントロールバルブ17は、ハイブリッド型建設機械1における油圧系の制御を行う装置である。コントロールバルブ17には、図1に示した走行機構2を駆動するための油圧モータ2a及び2bの他、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、及びバケットシリンダ10が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
【0022】
電動発電機12の電気的な端子には、インバータ回路18Aの出力端が接続されている。インバータ回路18Aの入力端には、蓄電部120が接続されている。蓄電部120は、図3に示すように、直流母線であるDCバス110、昇降圧コンバータ(直流電圧変換器)100及びバッテリ19を備えている。すなわち、インバータ回路18Aの入力端は、DCバス110を介して昇降圧コンバータ100の入力端に接続されることとなる。昇降圧コンバータ100の出力端には、蓄電池としてのバッテリ19が接続されている。バッテリ19は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の2次電池に限られず、電気二重層キャパシタ等のキャパシタでも良い。本実施形態のバッテリ19は、例えばキャパシタ型蓄電池によって構成される。
【0023】
インバータ回路18Aは、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。すなわち、インバータ回路18Aが電動発電機12を力行運転させる際には、必要な電力をバッテリ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を回生運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19に充電する。なお、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、バッテリ電圧値、及びバッテリ電流値に基づき、コントローラ30によって行われる。これにより、DCバス110を、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
【0024】
なお、本実施形態の昇降圧コンバータ100はスイッチング制御方式を備えており、図3に示すように、互いに直列に接続されたトランジスタ100B及び100Cと、これらの接続点とバッテリ19の正側端子との間に接続されたリアクトル101と、トランジスタ100Bに対し逆方向に並列接続されたダイオード100bと、トランジスタ100Cに対し逆方向に並列接続されたダイオード100cと、平滑用のコンデンサ110dとを有する。トランジスタ100B及び100Cは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成される。直流電力をバッテリ19からDCバス110へ供給する際には、コントローラ30からの指令によってトランジスタ100BのゲートにPWM電圧が印加される。そして、トランジスタ100Bのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がダイオード100cを介して伝達され、この電力がコンデンサ110dにより平滑化される。また、直流電力をDCバス110からバッテリ19へ供給する際には、コントローラ30からの指令によってトランジスタ100CのゲートにPWM電圧が印加されるとともに、トランジスタ100Cから出力される電流がリアクトル101により平滑化される。
【0025】
再び図2を参照すると、蓄電部120には、インバータ回路20Bを介してリフティングマグネット7が接続されている。リフティングマグネット7は、金属物を磁気的に吸着させるための磁力を発生する電磁石を含んでおり、インバータ回路20Bを介して蓄電部120から電力が供給される。インバータ回路20Bは、コントローラ30からの指令に基づき、電磁石をオンにする際には、リフティングマグネット7へ要求された電力を蓄電部120より供給する。また、電磁石をオフにする場合には、回生された電力を蓄電部120に供給する。
【0026】
更に、蓄電部120には、インバータ回路20Aが接続されている。インバータ回路20Aの一端には作業用電動機としての旋回用電動機(交流電動機)21が接続されており、インバータ回路20Aの他端は蓄電部120のDCバス110に接続されている。旋回用電動機21は、旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
【0027】
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。旋回用電動機21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ回路20Aによって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
【0028】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30からの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
【0029】
なお、DCバス110には、インバータ回路18A、20A及び20Bを介して、電動発電機12、旋回用電動機21、及びリフティングマグネット7が接続されているので、電動発電機12で発電された電力がリフティングマグネット7又は旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、リフティングマグネット7で回生された電力が電動発電機12又は旋回用電動機21に供給される場合もあり、さらに、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12又はリフティングマグネット7に供給される場合もある。
【0030】
パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。操作装置26は、旋回用電動機21、走行機構2、ブーム5、アーム6、及びリフティングマグネット7を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続され、また、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。ここでは、作業用電動機としての旋回用電動機21を挙げているが、さらに、走行機構2を作業用電動機として電気駆動させても良い。また、ハイブリッド型作業機械がフォークリフトである場合には、リフティング装置を作業用電動機として電気駆動させても良い。また、ハイブリッド型作業機械がホイルローダ若しくはブルドーザである場合には、走行機構である駆動輪を駆動する左右の走行用油圧モータを、作業用電動機と置き換えても良い。この場合、図2中のアームシリンダ9はホイルローダ若しくはブルドーザのリフティング装置へ置き換えられることができる。また、ブームシリンダ8及び油圧モータ2a,2bは省略可能である。
【0031】
圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
【0032】
コントローラ30は、本実施形態における制御部を構成する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。また、コントローラ30の電源は、バッテリ19とは別のバッテリ(例えば24V車載バッテリ)である。コントローラ30は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構3を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(アシスト運転及び発電運転の切り替え)、リフティングマグネット7の駆動制御(励磁と消磁の切り替え)、並びに、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるバッテリ19の充放電制御を行う。
【0033】
図4は、コントローラ30の内部構成を示すブロック図である。本実施形態のコントローラ30は、不揮発性メモリ31と、エンジン制限量推定部32と、補償機能演算部33と、動力分配演算部34と、信号選択部35とを有する。
【0034】
不揮発性メモリ31は、本実施形態における記憶部(記憶手段)である。不揮発性メモリ31は、エンジン11の回転数および過給機42のブースト圧(過給圧)と、エンジン11の出力の上限値との相関を示すエンジン制限テーブル(第1の情報)D1を予め記憶している。エンジン制限テーブルD1は、例えば図5に示すように、エンジン11の回転数に関する複数の値に対応する行、および過給機42のブースト圧に関する複数の値に対応する列から成る二次元配列の各要素にエンジン11の出力の上限値が格納された構成を有する。なお、本発明における記憶部としては、不揮発性メモリ31に限らず、記憶を静的に保持できるものであれば他のものを用いてもよい。
【0035】
エンジン制限量推定部32は、不揮発性メモリ31に記憶されたエンジン制限テーブルD1に基づいて、エンジン11の出力値の上限(すなわちエンジン制限値)を示す信号S1を生成する。ここで、図6は、エンジン制限量推定部32の内部構成について説明するためのブロック図である。図6(a)はエンジン制限量推定部32の内部構成の一例を示しており、図6(b)はエンジン制限量推定部32の内部構成の他の一例を示している。
【0036】
図6(a)に示した構成では、エンジン制限量推定部32は、エンジン11のECU41から提供されるエンジントルクモニタ信号S2およびエンジン回転数モニタ信号S3を取得する。エンジントルクモニタ信号S2はエンジン11の現在の出力トルクを示す信号であり、エンジン回転数モニタ信号S3はエンジン11の現在の回転数を示す信号である。そして、エンジン制限量推定部32は、エンジントルクモニタ信号S2から過給機42のブースト圧を推定し、この推定したブースト圧の大きさと、エンジン回転数モニタ信号S3に示されるエンジン11の回転数とをエンジン制限テーブルD1に当てはめ、導き出されるエンジン11の出力上限値を信号S1として出力する。
【0037】
なお、過給機42のブースト圧を推定するための構成は、図6(a)に示すように、ローパスフィルタ32aと、ゲイン及びオフセットからなる演算器32bとによって好適に得られる。具体的には、図7に示すように、エンジントルクモニタ信号S2を時定数Tのローパスフィルタ32aに入力し、このローパスフィルタ32aによってフィルタリングされた信号に定数ゲインKを乗じ、その値に定数Kを加えることで、ブースト圧推定値を算出するとよい。
【0038】
また、図6(b)に示した構成では、エンジン制限量推定部32は、上述したエンジントルクモニタ信号S2に代えてブースト圧モニタ信号S4をECU41から取得する。このブースト圧モニタ信号S4は、ECU41が過給機42のブースト圧を検出して出力される信号である。そして、エンジン制限量推定部32は、ブースト圧モニタ信号S4に示されるブースト圧の大きさと、エンジン回転数モニタ信号S3に示されるエンジン11の回転数とをエンジン制限テーブルD1に当てはめ、導き出されるエンジン11の出力上限値を信号S1として出力する。なお、ECU41から提供されるブースト圧モニタ信号S4は、多くの場合、そのサンプリング周期が例えば500ミリ秒といった極めて遅いものである。このようにブースト圧モニタ信号S4のサンプリング周期が長い場合、エンジン制限量推定部32は図6(a)に示す構成を有することが好ましい。
【0039】
再び図4を参照しつつ、コントローラ30の構成について説明する。補償機能演算部33は、ECU41から提供されるエンジン回転数モニタ信号S3、及びバッテリ19の端子電圧等に基づいて、エンジン11の出力の上限値及び下限値を示す信号S5、アシスト出力(すなわち電動発電機12の出力の上限値及び下限値)を示す信号S6、並びにバッテリ19の出力(電力)の上限値及び下限値を示す信号S7を生成する。なお、この補償機能演算部33は、エンジン11の出力の上限値として、エンジン11の回転数に対応する定格値を、例えば図8に示すような関係に基づいて出力する。図8は、定常状態におけるエンジン11の回転数と出力との関係について、当該回転数に応じた十分なブースト圧が得られている場合を示している。この図8に示したようなエンジン11の回転数に応じた最大出力値に関する情報(第2の情報)は、記憶部である不揮発性メモリ31に予め記憶されている。
【0040】
エンジン制限量推定部32から出力された信号S1、および補償機能演算部33から出力された信号S5は、信号選択部35に入力される。信号選択部35は、これらの信号S1,S5に示されるエンジン11の出力の上限値のうち小さい方を選択し、当該信号を出力する。
【0041】
なお、本実施形態では信号選択部35が信号S1,S5を受け取り取捨選択を行う構成を採用しているが、例えば補償機能演算部33から出力された信号をエンジン制限量推定部32が受け取り、エンジン制限量推定部32において算出されたエンジン11の出力の上限値と比較して小さい方をエンジン制限量推定部32から出力してもよい。或いは、エンジン制限量推定部32から出力された信号を補償機能演算部33が受け取り、補償機能演算部33において算出されたエンジン11の出力の上限値と比較して小さい方を補償機能演算部33から出力してもよい。
【0042】
動力分配演算部34は、信号選択部35から出力された信号(すなわち、エンジン11の出力の上限値)、並びに補償機能演算部33から出力された信号S6,S7を受け取り、これらの信号に基づいて、メインポンプ14における油圧負荷出力の上限値を示す信号S8、電気負荷出力(旋回用電動機21、リフティングマグネット7など)の上限値を示す信号S9、及び電動発電機12の出力指令値を示す信号S10を生成し、これらの信号S8〜S10をコントローラ30の各部へ出力する。コントローラ30では、これらの信号S8〜S10に基づき、インバータ回路18A,20A,20B並びに昇降圧コンバータ100を制御する。特に、インバータ回路18Aの制御に関しては、メインポンプ14が必要とする出力がエンジン11の出力の上限値を超える場合には、電動発電機12がエンジン11の駆動力を補助するように制御を行う。また、メインポンプ14が必要とする出力がエンジン11の出力の上限値を下回る場合には、エンジン11の駆動力により電動発電機12において発電を行うように制御を行う。
【0043】
以上の構成を備える本実施形態のハイブリッド型建設機械1の動作を説明する前に、従来のハイブリッド型作業機械の動作およびその問題点について説明する。図9は、従来のハイブリッド型作業機械の動作を説明するためのグラフである。図9(a)に示すグラフG11は定格出力(すなわち補償機能演算部33から算出されるエンジン出力上限値S5)を示しており、グラフG12はエンジン11が現実に可能な出力を示しており、グラフG13はメインポンプ14の要求出力を示している。また、図9(b)に示すグラフG14はエンジン11の実際の回転数を示しており、グラフG15は過給機42の実際のブースト圧を示している。
【0044】
いま、時刻tにおいて、例えばメインポンプ14に要求される油圧が上昇し、メインポンプ14へ供給すべき駆動力がP1kWからP2kW(例えば70kW)へ上昇したとする。このとき、グラフG14に示すように、時刻tにおいてエンジン11の回転数は十分に高いため、その回転数から算出されるエンジン11の定格出力はP2kWより高くなっている(グラフG11)。したがって、例えば時刻tにおいて、エンジン11の出力の上限値をU1(>P2)kW(例えば95kW)と認識することとなる。すなわち、エンジン11に対する電動発電機12による駆動補助(アシスト)は不要と判断され、余剰出力である(U1−P2)kW(25kW)は、電動発電機12による発電に利用することとなる。
【0045】
しかし、エンジン11に過給機42が設けられる場合、エンジン11の出力は、ブースト圧に大きく左右される。ブースト圧はエンジン11の出力の増加から時間的に遅れて高くなる傾向があるため、エンジン11の出力が上昇しても、該出力に対応する定常的な出力が得られるまでには時間遅れが生じる。したがって、グラフG15に示すように過給機42のブースト圧が未だ十分でない場合、実際のエンジン11の出力(グラフG12)は時刻tにおいてE(<P2)kW(例えば40kW)となる。これにより、メインポンプ14の要求出力P2kWと電動発電機12への出力(U1−P2)kWとの和であるU1kWに対してエンジン11の出力が(U1−E)kWだけ足りないこととなり、エンジン11が過負荷となって、エンジン11の回転数がグラフG14のように低下してしまい、エンジン11が停止するおそれも生じる。
【0046】
このような問題点に対し、本実施形態のハイブリッド型建設機械1は、次のように動作する。図10は、ハイブリッド型建設機械1の動作を説明するためのグラフである。図10(a)に示すグラフG21は定格出力(すなわち補償機能演算部33から算出されるエンジン出力上限値S5)を示しており、グラフG22はエンジン11が現実に可能な出力を示しており、グラフG23はメインポンプ14の要求出力を示しており、グラフG26はブースト圧を考慮したエンジン11の出力の上限(すなわちエンジン制限量推定部32において算出されるエンジン制限値S1)を示している。また、図10(b)に示すグラフG24はエンジン11の実際の回転数を示しており、グラフG25は過給機42の実際のブースト圧を示している。
【0047】
時刻tにおいて、メインポンプ14へ供給すべき駆動力がP1kWからP2kWへ上昇したとする。このとき、時刻tにおいてエンジン11の回転数(グラフG24)は十分に高い。しかし、過給機42のブースト圧(グラフG25)がまだ低いため、エンジン制限量推定部32において、この低ブースト圧に応じた出力上限値がエンジン制限テーブルD1から選択される(グラフG26)。したがって、例えば時刻tにおいて、エンジン11の出力の上限値がU2(≒E)kWに設定され、残りの必要出力(P2−U2)kWは電動発電機12からの補助により得ることとなる。これにより、エンジン11は過負荷とはならず、グラフG24のようにエンジン11の回転数の低下を抑えることができる。図10の実施の形態では、時刻tにおいて、メインポンプ14へ供給すべき駆動力P2をエンジン11の出力のみによって満たすことができる。
【0048】
ここで、仮に、駆動力P2が定格出力(G21)よりも大きい場合、エンジン11の出力は、ブースト圧を考慮したエンジン11の出力上限(G26)に沿って上昇し、G21とG26とが交差する時刻t以降、エンジン11の出力は定格出力(G21)に沿った値となる。この場合、時刻tまでは、電動発電機12からの補助により、不足分の駆動力を補うことができる。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態のハイブリッド型建設機械1においては、エンジン11の回転数および過給機42のブースト圧とエンジン11の出力上限値との相関(図5を参照)が不揮発性メモリ31に記憶されており、コントローラ30は、この相関に基づいて電動発電機12を制御する。これにより、エンジン11の回転数が増加してもブースト圧が低いうちはエンジン11の出力上限値が抑えられるので、コントローラ30は、適切な補助を電動発電機12に行わせることができる。したがって、本実施形態のハイブリッド型建設機械1によれば、エンジン11への過負荷を効果的に抑制することができる。なお、本実施形態の動力分配演算部34は省略されることができ、そのような場合であっても、コントローラ30の制御によりエンジン出力を低減することができる。その場合、コントローラ30は、電動発電機12の出力Wa(但し、アシスト状態を正の値とする)を、メインポンプ14の出力Wpとエンジン11の出力Weとの差に等しくなるように制御する(Wa=Wp−We)。このような制御方式であっても、本実施形態によれば、エンジン制限テーブルから選択された出力上限値(図10(a)のグラフG26)に基づいて、エンジン出力Weが抑制される。このようにエンジン出力Weが小さくなることによって、コントローラ30は、Wa=Wp−Weの関係に従い、電動発電機12の出力Waが大きくなるようにインバータ18Aを制御する。
【0050】
(第2の実施の形態)
ここで、ハイブリッド型作業機械のもう一つの課題について述べる。図11(a)は、エンジン11の出力(グラフG31)と、電動発電機(アシストモータ)の出力(グラフG32)と、メインポンプ14からの油圧出力(グラフG33)と、エンジン11の回転数(グラフG34)それぞれの時間変化を示すグラフである。図11(a)において、左側の縦軸は出力(kW)、右側の縦軸は回転数(rpm)をそれぞれ示しており、横軸は時間(秒)を示している。また、図11(b)は、ブースト圧(過給圧)の時間変化を示すグラフである。図11(b)において、縦軸はブースト圧(kPa)を示しており、横軸は時間(秒)を示している。
【0051】
図11(a)及び図11(b)では、時間がt秒経過した時点で、油圧系統に負荷がかかり、メインポンプ14へ供給すべき駆動力がPa(kW)からPb(kW)へ上昇している。これによってエンジン回転数が一時的に低下し、ブースト圧が低い状態となっている。しかし、必要出力を電動発電機12からの補助により得ることによって、或るタイミングを境にエンジン11の回転数が安定するとともに、これに伴ってブースト圧が徐々に上昇し、エンジン11の出力が上昇している。そして、エンジン11の出力の上昇に伴い、電動発電機12の出力が徐々に抑えられている。
【0052】
しかしながら、図11(a)に示されるように、エンジン11の出力が上昇しても、電動発電機12からの出力は0kWにはならず、一定値を保ったまま推移することがある。すなわち、メインポンプ14へ供給すべき駆動力の一部を電動発電機12から供給し続ける。この状態で長時間が経過すると、バッテリ19に蓄えられた電力が尽きてしまうおそれがある。
【0053】
図12は、このような現象が生じる要因について説明するためのグラフである。図12(a)及び図12(b)において、グラフG41は、エンジン11への燃料供給量およびエンジン11の回転数に応じた過給機42の最大ブースト圧(kPa)と、エンジントルクとの相関の一例を示すグラフである。また、グラフG42は、エンジン11の出力上限値に対応するエンジントルクの制限値と、不揮発性メモリ31に記憶されたエンジン制限テーブルD1(図5を参照)に格納された、当該出力上限値に対応する過給機42のブースト圧(kPa)との相関の一例を示すグラフである。図12(a)及び図12(b)において、縦軸はブースト圧(kPa)を示しており、横軸は、負荷に対して要求されるエンジントルクとエンジン定格トルクとの比率(以下、エンジントルク比率とする)を示している。ここで、エンジントルクは、単位時間当たりのエンジン11の燃料流量またはエンジン出力に換算されることができる。
【0054】
いま、図12(a)の点P1に示されるように、エンジントルク比率が50%であるとする。この場合、過給機42の最大ブースト圧は130kPaである。すなわち、エンジン11の回転数が安定しているときに、過給機42は定常状態で130kPaのブースト圧を出力する。そして、この場合、エンジン制限テーブルD1による制限下であっても、グラフG42に沿って、同じ過給圧130kPaのもとでエンジントルク比率70%まで燃料流量を高めることが可能である。エンジントルク比率70%まで燃料流量を高めると(図中の点P2)、エンジン11の出力が徐々に上昇して排気圧が高まることにより、過給圧が更に上昇する(図中の点P3)。これにより、更なるエンジントルク要求の上昇にも対応できるようになる。
【0055】
しかし、図12に示した例のように、グラフG41とグラフG42とが交差している場合、次の問題が生じる。いま、図12(b)の点P4に示されるように、エンジントルク比率が80%であるとする。この場合、過給機42の最大ブースト圧は160kPaである。すなわち、エンジン11の回転数が安定しているときに、過給機42は定常状態で160kPaのブースト圧を出力する。しかし、エンジントルク比率が80%以上になると、最大ブースト圧G41が出力上限値に対応するブースト圧G42よりも小さくなってしまう。この場合、エンジン制限テーブルD1による制限下、過給圧160kPaのもとでエンジントルク比率を80%より高めることができない。その結果、図11のグラフG32に示されたように、エンジン11の出力を補って電動発電機12からメインポンプ14の駆動力の一部を供給し続けなければならない事態に陥ることとなる。作業機械においては、エンジン11の回転数を低く抑えながら作業を行うことが一般的であるため、このような事態に陥りやすい。
【0056】
図13は、このような問題点を解決するための方法を説明するためのグラフである。図13には、図12に示したグラフG41,G42が概略的に示されている。図13において、縦軸はブースト圧を示しており、横軸はエンジントルク比率を示している。いま、エンジントルク比率x(%)、ブースト圧bであるとする(図中の点P5)。油圧負荷が加わると、エンジントルク指令と過給圧は、ここからエンジントルク比率をx(%)(ただしx>x)まで高めたい場合には、エンジン制限テーブルD1による制限下、モニタされたエンジン回転数S3と推定されたブースト圧(b)とによってエンジン制限テーブルD1から選択された出力上限値に沿い、図中の実線Aのような経路を辿ってエンジントルク比率x(%)、ブースト圧b(ただしb>b)に達する(図中の点P6)。なお、このとき、エンジン11の出力が不足する場合には、電動発電機12から駆動力の一部が補助される(図中の斜線領域)。
【0057】
しかし、エンジントルク比率x(%)、ブースト圧bである点P6はグラフG42上にあるので、ブースト圧bは現回転数における過給機42の最大ブースト圧となっており、このままではエンジントルク比率を更に高めることはできない。
【0058】
そこで、本実施形態では、電動発電機12からの駆動力を使ってエンジン11の回転数を増加させることにより、エンジン11への燃料供給量およびエンジン11の回転数に応じた過給機42の最大ブースト圧を高める。これにより、図中のグラフG41がグラフG43へ平行移動し、図中の実線Bのような経路を辿ってエンジントルク比率x(%)(ただしx>x)、ブースト圧b(b>b)に達することができる(図中の点P7)。なお、例えば、グラフG41に対応するエンジン11の回転数は1500rpmであり、グラフG43に対応するエンジン11の回転数は2000rpmである。ここで、グラフG44は、エンジン回転数がグラフG41と同一である条件下におけるエンジン定格トルク(エンジントルク比率100%)を示す。
【0059】
図14は、このような方式を実現するための具体的な構成を示すブロック図である。図14に示されるように、本実施形態のコントローラ50は、第1実施形態のコントローラ30の構成に加えて、次の構成を有する。すなわち、コントローラ50は、回転数制御部51と、リミッタ部52と、出力上限換算部53と、第1の過給圧算出部54と、第2の過給圧算出部55と、過給圧判定部56と、目標回転数設定部57と、不揮発性メモリ58と、電動発電機制御部61とを有する。
【0060】
回転数制御部51は、エンジン11の回転数を制御するための部分である。回転数制御部51には、現在の回転数を示す信号(エンジン回転数モニタ信号S3)が速度センサ11aから入力され、また、目標回転数を示すエンジン回転数指令信号S14が目標回転数設定部57から入力される。回転数制御部51は、現在の回転数と目標回転数との差がゼロに近づくようにエンジントルク指令信号S11を生成する。このエンジントルク指令信号S11は、リミッタ部52を介して開閉制御部62へ送られる。開閉制御部62は、エンジントルク指令信号S11に応じた開閉信号をエンジン11に送り、エンジン11の単位時間当たりの燃料流量を制御する。
【0061】
リミッタ部52は、回転数制御部51から開閉制御部62へ送られるエンジントルク指令信号S11を制限するための部分である。リミッタ部52は、出力上限換算部53から提供されるエンジン11の出力上限値に対応する値に、エンジントルク指令信号S11を制限する。
【0062】
出力上限換算部53は、エンジン11の回転数と、過給機42のブースト圧とに基づいて、エンジン11の出力上限値を求めるための部分である。この出力上限換算部53は、第1実施形態におけるエンジン制限量推定部32に相当する。すなわち、出力上限換算部53は、本実施形態における記憶部である不揮発性メモリ58に記憶されたエンジン制限テーブルD1(図5参照)に基づいて、エンジン11の出力値の上限(すなわちエンジン制限値)を示す信号S20を生成する。なお、このエンジン制限テーブルは、本実施形態における第1の情報であり、エンジン11の回転数および過給機42のブースト圧と、エンジン11の出力上限値との相関を示す。
【0063】
出力上限換算部53は、ブースト圧センサ11bからブースト圧モニタ信号を取得する。このブースト圧モニタ信号は、ブースト圧センサ11bが過給機42のブースト圧を検出して出力される信号である。また、出力上限換算部53は、速度センサ11aからエンジン回転数モニタ信号S3を取得する。出力上限換算部53は、ブースト圧モニタ信号に示されるブースト圧の大きさと、エンジン回転数モニタ信号S3に示されるエンジン11の回転数とをエンジン制限テーブルD1(図5参照)に当てはめ、導き出されるエンジン11の出力上限値に関する信号S20をリミッタ部52へ出力する。
【0064】
なお、本実施形態では、出力上限換算部53がブースト圧モニタ信号をブースト圧センサ11bから得ているが、第1実施形態において述べたように、出力上限換算部53は、エンジントルクモニタ信号から過給機42のブースト圧を推定してもよい。過給機42のブースト圧を推定するための好適な構成は、図6(a)に示したとおりである。
【0065】
第1の過給圧算出部54は、エンジン11への燃料供給量およびエンジン11の回転数に応じた過給機42の最大ブースト圧を求めるための部分である。この最大ブースト圧と、エンジン11への燃料供給量およびエンジン11の回転数との相関は、不揮発性メモリ58に最大ブースト圧テーブルD2として記憶されている。この最大ブースト圧テーブルD2は、本実施形態における第3の情報である。最大ブースト圧テーブルD2では、最大ブースト圧はエンジン11への燃料供給量に対して単調に増加するが、燃料供給量が同じ場合であっても最大ブースト圧はエンジン11の回転数が増すほど高くなる。なお、図13に示したグラフG41やグラフG43は、この最大ブースト圧テーブルD2をグラフ化したものと一致する。
【0066】
第1の過給圧算出部54は、エンジン11の回転数を検知するために、速度センサ11aからエンジン回転数モニタ信号S3を取得する。また、第1の過給圧算出部54は、エンジン11への燃料供給量を検知するために、リミッタ部52から出力されたエンジントルク指令信号S11を取得する。第1の過給圧算出部54は、現在のエンジン11の回転数および燃料供給量を最大ブースト圧テーブルD2に当てはめ、導き出される過給機42の最大ブースト圧に関する信号S12を出力する。
【0067】
第2の過給圧算出部55は、エンジン11の出力上限値(すなわち出力上限換算部53からの出力信号)に対応するエンジン11への燃料供給量の制限値から、過給機42のブースト圧を求めるための部分である。この燃料供給量の制限値と過給機42のブースト圧との相関は、不揮発性メモリ58にテーブルD3として記憶されている。このテーブルD3は、本実施形態における第4の情報である。なお、図13に示したグラフG42は、このテーブルD3をグラフ化したものと一致する。
【0068】
第2の過給圧算出部55は、エンジン11への燃料供給量を検知するために、リミッタ部52から出力されたエンジントルク指令信号S11を取得する。第2の過給圧算出部55は、現在のエンジン11への燃料供給量をテーブルD3に当てはめ、導き出される過給機42のブースト圧に関する信号S13を出力する。
【0069】
第1の過給圧算出部54および第2の過給圧算出部55のそれぞれから出力された信号S12及びS13は、演算部59に入力され、演算部59によってその差が演算される。過給圧判定部56は、この差、すなわち最大ブースト圧テーブルD2から求められる最大ブースト圧とテーブルD3から求められる過給機42のブースト圧との差が所定の閾値より小さいか否かを判定する。過給圧判定部56は、この差が所定の閾値より小さいか否かを示す二値信号を、目標回転数設定部57へ出力する。例えば、過給圧判定部56は、上記差が所定の閾値を下回っている場合には1、上記差が所定の閾値以上である場合には0を出力する。なお、上記差が所定の閾値を下回る場合とは、図13においてグラフG42がグラフG41に接近した場合をいい、点P6が該当する。ここで、上述の説明では第1及び第2の過給圧算出部54,55へはエンジントルク指令信号S11が入力されるが、エンジントルクの検出値が入力されてもよい。
【0070】
目標回転数設定部57は、エンジン11の回転数の目標値を算出するための部分である。目標回転数設定部57は、最大ブースト圧テーブルD2から求められる最大ブースト圧とテーブルD3から求められる過給機42のブースト圧との差が所定の閾値以上である場合には、通常の回転数目標を設定する。また、目標回転数設定部57は、この差が所定の閾値を下回っている場合には、通常の回転数目標より高い回転数目標を設定する。目標回転数設定部57は、これらの回転数目標を示すエンジン回転数指令信号S14を、回転数制御部51および電動発電機制御部61へ出力する。
【0071】
電動発電機制御部61は、速度センサ11aからエンジン11の回転速度に関する信号S3を入力するとともに、目標回転数設定部57からエンジン回転数指令信号S14を入力する。電動発電機制御部61は、これらの信号に基づいて、電動発電機12の出力指令値を示す信号S10を生成する。電動発電機制御部61は、エンジン回転数指令信号S14に示される回転数目標がエンジン11の現在の回転速度より所定値以上高い場合には、インバータ回路18A(図2を参照)を制御することにより、電動発電機12にエンジン11の駆動力を補助させる。これにより、エンジン11の回転速度が高められ、エンジン回転数指令信号S14に示される回転数目標に近づく。
【0072】
このように、電動発電機12からの駆動力を使ってエンジン11の回転数が増加することにより、エンジン11への燃料供給量およびエンジン11の回転数に応じた過給機42の最大ブースト圧が高められる。これにより、図13に示されたグラフG41がグラフG43へ平行移動し、図中の実線Bのような経路を辿ってエンジントルク比率およびブースト圧を更に高めることができる。
【0073】
図15(a)は、上述したコントローラ50を備えるハイブリッド型作業機械における、エンジン11の出力(グラフG51)、電動発電機(アシストモータ)の出力(グラフG52)、メインポンプ14からの油圧出力(グラフG53)、及びエンジン11の回転数(グラフG54)それぞれの時間変化を示すグラフである。図15(a)及び図15(b)の縦軸および横軸は、それぞれ図11(a)及び図11(b)と同様である。
【0074】
図15では、図11と同様に、時間が1秒(t経過した時点で油圧系統に負荷がかかり、メインポンプ14へ供給すべき駆動力がPa(kW)からPb(kW)へ上昇している。これによってエンジン回転数が一時的に低下し、ブースト圧が低い状態となるが、電動発電機12からの補助を受けることによって、或るタイミングを境にエンジン11の回転数が安定するとともに、これに伴ってブースト圧が徐々に上昇し、エンジン11の出力が上昇する。そして、エンジン11の出力の上昇に伴い、電動発電機12の出力が徐々に抑えられる。
【0075】
そして、時間が4秒(tを経過した時に、エンジン11の回転数(グラフG54)が上昇し始める。これは、エンジン11の回転数および燃料供給量に応じた過給機42の最大ブースト圧と、エンジン11の出力上限値に対応する燃料供給量の制限値から求められる過給機42のブースト圧との差が、所定の閾値を下回ったからである。すなわち、過給圧判定部56によってこの差が所定の閾値を下回ったと判定され、目標回転数設定部57によって目標回転数が上昇し、電動発電機制御部61によって電動発電機12がエンジン11の駆動力を補助したことによる。
【0076】
こうしてエンジン11の回転数が電動発電機12の補助によって徐々に上昇すると、これによりエンジン11の出力(グラフG51)が高まる(約5秒過ぎ)。そして、これによって過給機42のブースト圧(図15(b))も高まるので、電動発電機12がエンジン11の駆動力を補助する必要がなくなり、図15(a)に示されるように、電動発電機12の出力(グラフG52)はゼロに近づく。
【0077】
このように、本実施形態のハイブリッド型作業機械によれば、図12(b)に示されたような状態に陥った場合でも、エンジン11の出力を更に上昇させることが可能である。そして、駆動力の一部を電動発電機12から供給し続けるような事態を回避できるので、バッテリ19に蓄えられた電力を好適に維持することができる。
【0078】
なお、過給圧判定部56において使用される所定の閾値は、固定値に限られない。例えば、所定の閾値が燃料供給量(エンジントルク指令信号S11)に応じて変化するような値であっても、上述した効果を好適に得ることができる。
【0079】
(変形例)
図16は、ハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成の変形例を示すブロック図である。なお、図16では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。図16に示されるように、本変形例のハイブリッド型建設機械は、油圧モータ2a及び2b、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10を備えており、更に、旋回用油圧モータ99を備えている。旋回用油圧モータ99は、旋回用電動機21に代わって設けられ、図1に示した旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源となる。
【0080】
また、本変形例のハイブリッド型建設機械は、エンジン11、電動発電機12、変速機13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、高圧油圧ライン16、コントロールバルブ17、インバータ回路18A、パイロットライン25、操作装置26、油圧ライン27及び28、圧力センサ29、過給機42、コントローラ50、並びに蓄電部120を備えている。これらの構成および機能は、上述した各実施形態と同様である。
【0081】
上述した各実施形態のハイブリッド型建設機械は、本変形例のような旋回用油圧モータ99を備える構成であっても、その効果が十分に得られる。
【0082】
本発明によるハイブリッド型作業機械は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、リフティングマグネットを備える建設機械を示したが、リフティングマグネットに代えてバケット等の種々のアタッチメントを備える建設機械に本発明を提供することも可能である。すなわち、上記実施形態では建設機械であるリフティングマグネット車両を例示して説明したが、ハイブリッド構造を備える他の建設機械(ショベル、ホイルローダ、クレーン等)や、建設機械以外の作業機械(例えば、フォークリフト等)にも本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、特にハイブリッド型建設機械等の作業機械に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…ハイブリッド型建設機械、2…走行機構、3…旋回機構、4…旋回体、7…リフティングマグネット、8…ブームシリンダ、9…アームシリンダ、10…バケットシリンダ、11…エンジン、11a…速度センサ、11b…ブースト圧センサ、12…電動発電機、13…変速機、14…メインポンプ、18A,20A,20B…インバータ回路、19…バッテリ、21…旋回用電動機、30…コントローラ、31,58…不揮発性メモリ、32…エンジン制限量推定部、33…補償機能演算部、34…動力分配演算部、35…信号選択部、42…過給機、50…コントローラ、51…回転数制御部、52…リミッタ部、53…出力上限換算部、54…第1の過給圧算出部、55…第2の過給圧算出部、56…過給圧判定部、57…目標回転数設定部、61…電動発電機制御部、62…開閉制御部、100…昇降圧コンバータ、110…バス、120…蓄電部、D1…エンジン制限テーブル、D2…最大ブースト圧テーブル。
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
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図14
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図16