(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715067
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】検出器表面
(51)【国際特許分類】
A63F 9/02 20060101AFI20150416BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
A63F9/02 D
G06F3/042 L
G06F3/042 460
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-543949(P2011-543949)
(86)(22)【出願日】2010年1月4日
(65)【公表番号】特表2012-514478(P2012-514478A)
(43)【公表日】2012年6月28日
(86)【国際出願番号】AT2010000001
(87)【国際公開番号】WO2010078609
(87)【国際公開日】20100715
【審査請求日】2012年10月5日
(31)【優先権主張番号】A18/2009
(32)【優先日】2009年1月7日
(33)【優先権主張国】AT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511007808
【氏名又は名称】イシキリ インターフェイス テクノロジーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ISIQIRI INTERFACE TECHNOLOGIES GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ケッペ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】エブナー,リヒャルト
【審査官】
柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−504492(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/001822(WO,A1)
【文献】
米国特許第05788500(US,A)
【文献】
特開2008−181411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/02
G06F 3/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の平坦な層で構成され、本体の周囲又は上にフレキシブルなエンベロープ面として配置されており、発光器からの光が前記本体に当ったかどうか、及びどこに当ったかを検出する光信号用の検出器表面であって、一又は複数の平面型光導波路(1)で構成される検出器表面において、
前記平面型光導波路(1)の少なくとも一層が光輝性特性を具えており、
少なくとも一の光検出器(2)が光透過性の接触面を介して前記平面型光導波路(1)に接続され、
前記平面型光導波路(1)が、厚さ約20乃至500マイクロメートルの透明ポリマー製の膜であり、
前記少なくとも一の光検出器(2)が、前記光導波路(1)の全てのエッジ部分から間隔を取って前記光導波路(1)の表面に配置されていることを特徴とする検出器表面。
【請求項2】
請求項1に記載の検出器表面において、
当該検出器表面が、互いにエッジで連結する複数の光導波路(1)で構成されており、当該複数の光導波路は、光学的導波に関しては互いに別個であり、前記少なくとも一の光検出器(2)が各光導波路(1)の表面に配置されていることを特徴とする検出器表面。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出器表面において、
少なくとも一つの光導波路(1)に複数の光検出器(2)が互いに間隔を取って前記光導波路(1)の表面に配置されていることを特徴とする検出器表面。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出器表面において、
光検出器(2)が光導波路の凹部(1.3)に接着されていることを特徴とする検出器表面。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出器表面において、
光検出器(2)が光導波路(1)の開口部に挿入されており、当該開口部のエッジ部分に接着されていることを特徴とする検出器表面。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出器表面において、
前記光検出器が、印刷あるいは蒸着法によって前記導波路表面に直接作られていることを特徴とする検出器表面。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出器表面において、
前記光検出器(2)の下流側に周波数フィルター(6)が接続されていることを特徴とする検出器表面。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検出器表面において、
前記検出器表面が、人間の衣服の一部であることを特徴とする検出器表面。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検出器表面において、
前記検出器表面を、発光器を用いて遠隔操作できる機器のスイッチとして使用することを特徴とする検出器表面。
【請求項10】
請求項9に記載の検出器表面において、
前記スイッチによって切り替える前記機器が、その周囲又はその上に前記検出器表面が取り付けられる対象物自体であることを特徴とする検出器表面。
【請求項11】
請求項9に記載の検出器表面において、
前記スイッチによって切り替える前記機器が、その周囲又はその上に前記検出器表面が取り付けられた対象物に対して作用し、及び/又は、当該対象物に関する情報を生成、及び/又は、転送することを特徴とする検出器表面。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項に記載の検出器表面において、
前記検出器表面は、前記発光器を特徴付ける一時的変調信号を送信する発光器と組み合わせて使用され、前記検出器表面の下流側に接続された機器が、変調時にどの情報がコード化されるかに基づいて、前記検出器表面から機器へ届く変調信号の処理を行うことを特徴とする検出器表面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出器表面に関するものであり、対象物の本体に発光器からの光が当ったかどうか、及びどこに当ったかを検出するために、本体の周囲又は本体の上にフレキシブルなエンベロープ面として配置することができる検出器表面に関する。
【0002】
現在最も重要な適用例は、戦闘シミュレーションゲームあるいは戦闘ゲームにおける着弾の検出である。この種のゲームにおいては、染料や軟らかい発泡ゴムボールのような物体を発射する銃火器シミュレーション装置に代えて、視準を合わせた光パルスを発する発光デバイスが用いられる。
【背景技術】
【0003】
US2007/0176165A1は、光があたった地点を検出するポジション検出器のデザインを開示しており、これは平面構成の、感光性有機半導体をベースとしたポジション検出器である。この平面構成の検出器は単一の大面積センサーセルを形成している。これは複数の層で構成されており、そのうちの少なくとも一つの層が光活性層である。そのエッジ部分に、ポジション検出器が互いに間隔を取って配置された接続電極と共に設けられており、この電極を用いて電気信号を取り出すことができ、これによって光線が当った場所が推定される。個々の感光性セルを多数並べて配列した構成と比べて、この配置構成は費用対効果が良く、構成が簡単であるが、分解能は低い。
【0004】
US2007/0152985A1においては、平面光導波路として形成された光学式タッチパッドが開示されている。このタッチパッドの導波路に接触している物体は、外部光源からの光で、物体表面における散乱によってタッチパッドの導波路に取り込まれる。取り込まれる位置の検出は、詳述されていない光電式検出器によって行うことができる。
【0005】
DE4239389A1、EP354996A2、及びEP225625A2の公報は、光学式ポジション測定装置について述べている。この装置では光導波表面の上あるいはその中に蛍光性分子が配されていて、この分子が外側からの入射光を、より長い波長の拡散的な散乱光に変換する。この散乱光は光導波表面に導かれ、その表面エッジに向けて光導波が行われ、その位置でセンサーによって強度を検出されるか、あるいは、導波路を経て案内される別の位置で検出される。計測される光の強度は、光ビームが当った点からの距離に応じて減衰するので、複数のセンサーによる計測結果を組み合わせることで、光ビームが当った地点を推定することができる。当った光が導波路の中で変換されないままセンサーに送られる上述の方法と比べると、光ビームが表面に当る角度によって信号が影響を受ける度合いが小さいという利点がある。この原理をデータ処理装置の入力装置に応用することについては、これらの明細書中には言及されていない。加えて、これらの明細書においては検出器が導波路のエッジ部分に取り付けられているので、比較的大画面に用いた場合にポジション分解能が充分なものとはならない。
【0006】
DE2952608A1では、光学センサー、典型的にはフォトダイオードが互いに間隔を空けて多数の点状に配置したトレーニングスーツが提案されている。このトレーニングスーツは、戦闘シミュレーション訓練もしくは戦闘シミュレーションゲームにおいて、着用している人間が「被弾」した際にそれを表示する役割を果たす。ここでは銃火器シミュレーション装置としての機器が用いられ、ターゲットを決めて、短い指向性のレーザー光パルスを一次的に発射することができる。命中したことを記録するために、個々のセンサーはデータ処理装置に接続されている。
【0007】
この場合に、コスト面ならびに取扱上の理由から衣服の表面は、表面を覆うように光電子センサーを取付るようにはなってはおらず、比較的粗いグリッド状に配設されているだけである。命中したことが確実に検出されるように、レーザー光パルスは大きく広がらなければならず、その結果、ある状況の下では、標的となった人間の近くに照射されたにもかかわらず命中したと表示されてしまうことがある。
【0008】
DE3413372A1は、標的について、既に1985年の段階で言及しており、この標的によれば、光スポットが当たった位置が検出され、データ処理装置に読み込まれる。硬質な標的の前面に層が設けられており、この層は蛍光性分子を具えており、層中に光波を案内することができる。層のエッジ部分には光検出器が取り付けられていて、この光検出器は、蛍光の結果として生じる光を検出して、層内に案内される。層中を通る光の強度は当った地点からの距離に応じて減衰するので、光検出器で検出した光の強度から、層上の光スポットが当った地点の距離を推定することができる。光導波を行う環状内側エッジ部分にポジション検出器が配置されている場合は、測定された信号強度から、光が当った地点からポジション検出器への半径方向の距離を逆算することができる。更に有益な発展形態においては、光ガイド面が一定幅の細長いテープ状に分けられており、これは光を導くと云う点で互いに分離されている。この場合は、テープの長手方向各端部に1個づつ光検出器が設けられている。テープに設けた両光検出器で測定した光強度の等級比から、光スポットが当った点で蛍光導波路内にもたらされる光エネルギーの絶対的な大きさが分かっていない場合でも、テープの光スポットが当った地点を逆算することができる。前述のDE2952608A1に相当する構成と比較して、「領域全体に及ぶ」ように検出できるという利点がある。短所としては、従来型の硬質な検出面にのみ適用が可能であることが挙げられる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、本体の周囲にフレキシブルなエンベロープ面として配置できる検出器表面を提供することであり、また、データ処理システム用に更に処理を行うことができる態様で、DE2952608A1に該当するような点状態でのみ検出するのではなく、DE3413372A1が提示した「表面全体に及んで」 光スポットが検出器表面に当ったかどうか、及びどこに当ったかを検出することができる。
【0010】
この課題は、DE3413372A1のように、検出器面が平面型の光導波路である構成を処理することによって達成され、この光導波路の中に蛍光粒子が集積され、この光導波路の上に1個又は複数の光電センサー(以下、単に「光電センサ」という)が取り付けられており、このセンサーが導波モードから光を取り出して、電気信号を発生させ、その強さは光検出器で取り出した光の強度に応じた強さである。この信号はデータ処理装置に送られる。データ処理装置は、信号の強さ、及び、複数の光検出器が用いられる場合には、どの光検出器からその信号が発せられたかを識別することができる。
【0011】
公知の構成と異なり、平面型の光導波路は硬質ではなく、むしろフレキシブルフィルムとして作られている。このため、この平面型の光導波路は、層の厚さが20乃至500マイクロメートルの透明なポリマーでできている。(本明細書、及び特許請求の範囲で意味する「透明なポリマー」とは、「透明なポリマー混合物」にも及ぶ。)
【0012】
公知の構成と更に相違する点は、光検出器が光導波路平面のエッジには配置されていないか、もしくは、エッジのみに配置されているのではなく全てのエッジから離れた表面部分にも配置されていることである。
【0013】
とりわけ望ましい実施態様では、光検出器が光導波路の凹部に配置されており、この凹部は、元が平坦なフィルムに絞り加工あるいはエンボス加工のような形成プロセスによって形成されている。
【0014】
個々の光検出器に対する導波路平面の割り付けに関して、2つの基本的方法を使い分けることができるが、これらは組み合わせてもよい。
【0015】
第1の原理によれば、検出器表面全体はジオメトリーとして互いに隣接しているが、導波に関しては互いに分離している、多数の個別の小さい平面導波路で形成されている。それぞれの光導波路には一の光検出器が正確に取り付けられている。これはそれぞれ光導波路に光ビームが当ったか否かを検証するためだけのものであり、光ビームが当った検出器表面が光導波路のどの部分に該当するのかについての正確な情報を提供する必要はない。
【0016】
第2の原理によれば、検出器表面全体を単一の連続した光導波路として形成することができる。この光導波路は、互いにピッチをあけて配置した小型光電子センサーを多数具えている。導波路の中へ光を取り込んだそれぞれの地点に個々の光検出器がどれだけ近いかに応じて、測定したセンサーからの信号の強さは異なる。従って、導波路上の位置が分かっている複数の光検出器からの信号の振幅に基づいて、その取り込みポイントを逆算することができる。
【0017】
第1の原理は確たるものであり、より簡単な判定用電子機器とより容易なデータ処理につながる。第2の原理によれば、コスト上昇を招くことなく、より精緻な分解能が得られる。
【0018】
これらの原理の組み合わせると、検出器表面全体が多数の平面型光導波路に細分化され、これらの少なくともいくつかの光導波路には、より精緻な分解能を得るために、1以上の光検出器を具えた複数の光導波路が設けられる。このことは、例えば、より大きい機械的耐荷重性と、より容易な成型性に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、図面を参照して説明されている。
【
図1】
図1は、第2の原理に基づく基本的な要素を象徴的に示す図である。断面図において検出器表面自体は縮尺どおりに描かれておらず、光ビームは破線によって模式化されている。
【
図2】
図2は、本発明による検出器表面の一部を示す正面図である。
【
図3】
図3は、とりわけ有益な態様で作った検出器表面の一部を示す正面図である。
【
図4】
図4は、有益な態様で作った更なる検出器表面の一部を断片的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1でその構成が示されている平面型光導波路1は、例えば、PET製で厚さ約0.1ミリメートルの2枚のカバー層1.1と、ポリビニルアルコール系合成樹脂と染料ロダミン6Gとの均質な混合物でできている厚さ約0.001ミリメートルの中間層1.2がその間に積層されて構成されている。中間層1.2は発光性であり、波長532ナノメートルの光が直角に当った場合の吸収率が80%を超える、十分な厚さである(そのために必要な層の厚さは、実験によって測定するのが最もよい)。
【0021】
適切なスペクトルの光スポットが中間層1.2に当ると、この光スポットは中間層1.2の色素粒子で発光を起す。その際により長い波長の拡散的な散乱光が生じる。根底にある光導波基本原理によれば、この散乱光は透明な層1.1の中を伝わり、この層内に留まり、外部(空気)との境界域で、異なる屈折率によってカバー層1.1の材料中に反射されて戻る。
【0022】
例えば5センチメートルの周期長の正方形のグリッドの中に、2×2平方ミリメートルの断面積を占める光検出器2が、2つのPET製の層1.2のうちの一方の露出端に取り付けられており、PET層から出た光を取り込んで、Pn接合に入射する。フォトダイオード2の信号はすべて、電気回路5を経てデータ処理装置7の周波数フィルター6に送られ、そこで測定されて処理される。
【0023】
光導波路1に当った光スポット3.2を受けて発光する光3.3の強度は、光スポット3.2からの距離が増加するにつれて低下する。ジオメトリー上の理由から、その強度は距離の逆数に比例して低下する。更に、導波路内での光ガイドは損失を伴うので、強度の低下は指数関数的なものとなる。
【0024】
導波路における光3.3の強度は、ある光スポット3.2が当った地点からの間隔rに依存している、すなわち、発光が生じる地点は次の式によって表わすことができる。
I = I
0*exp(−k.r)/r
ここでkは素材が持つパラメータであり、初期強度I
0は中に取り込まれた光ビーム3.1のエネルギーに応じたものとなる。
【0025】
従って、検出された光を基に個々の光検出器で生成される電気信号の強度もまた、個々の光検出器と光スポット3.2が当った地点の間の距離に依存している。
【0026】
一の平面型光導波路に複数の光検出器が接続されている場合は、その導波モードで強度が異なる光が光検出器で計測され、計測結果は、発光を引き起こした光スポットが当った地点から光検出器がどれだけ離れているかに応じたものとなる。そこで、データ処理技術で普及している数学的手法を用いることによって、個々の光検出器で計測した信号強度の比率から、発光を引き起こす光ビームが検出器表面に当った命中地点をより正確に推定することができる。
【0027】
図2は、この目的に適したアルゴリズムを示すものであり、このアルゴリズムは、以下に大まかにアウトラインされている。
【0028】
対象となる全ての光検出器について出力強度I
0が同じであると仮定すると、個々の光検出器で測定された結果に応じて、局所化している光スポットが当った地点が、該当光検出器を取り巻く円形ラインが存在する個々の光検出器について、これを計算することができる。3個の光検出器について見ると、これに該当する円は、例えば
図2の中で破線によって描かれている。この円は全部で6個の交点A、B、C、a、b、cを具えている。
【0029】
計算のために、3個の光検出器全てに共通する初期強度I
0を、
図2による内部の3個の交点a、b、cが唯一の交点で重なり合うまで拡大しあるいは縮小すると、当った光スポットの中心は、ここで見られる「三重交点」において正確に位置している。
【0030】
個々の光検出器間の距離が数センチメートルより大きくない場合には、導波路に導かれた光の強度についての損失によって生じる指数関数的な低下は、ジオメトリーによって左右される強度の低下に比べて僅かなものである。そこで前述の方程式は、次式
I = I
0/r
で近似できる。これによって計算は簡素化され、既述のアルゴリズムはより速く稼働できる。
【0031】
しかしながら、今日の問題無くコスト的にも手頃に大量に入手できるデータ処理装置の演算速度では、上記方程式によるいっそう正確な演算も、光スポットが当った地点を特定する迅速性という点については、瞬時に行われるが如くリアルタイム感覚をいだくように更に短時間で行うことが可能である。
【0032】
面積と求められる分解能に応じて、検出器表面上に所望の数の光検出器を、好ましくは規則的なパターンで、配置することができる。
【0033】
光検出器が密に配置されるほど、同じ読取用電子機器であれば、信号の最小強度とそれに応じた構成部品の分解能が高くなる。色素を注入したプラスティック板を基材として最適化された導波路を用いた実験では、四角形パターンのセンサー間の間隔を12センチメートルとすると、±1ミリメートル以上の精度を得ることができた。
【0034】
光検出器を光導波路に取り付けるために接着剤を用いるが、この接着剤は硬化した際に導波路と光検出器との間に光学的に良好な接触面を形成する。「光学的に良好な接触面」は、導波モードで硬化した接着剤が光に対して透明であり、その屈折率が導波路1(すなわちカバー層1.1)の屈折率と、光検出器の隣接部分での屈折率との間にあるときに成立する(隣接する素材の屈折率との相違が小さいほど、光が双方の素材間の境界層を通ってより良好に導かれる)。
【0035】
図3は、典型的な光検出器2の構成と、光導波路1の特長的な配置を示す。
【0036】
光検出器2は、通常シリコンウェハ片である光電素子2.1を具えており、これは電気的な観点では、フォトダイオードあるいはフォトトランジスターを構成している。この素子2.1の一方の面は、一般的なセラミックス基板薄層2.2の一方の面に接続されており、そこに配設された導電体と電気的に接触−接続している。この電気的な接触は、更に、基板薄層2.2に同様に接続されている電気配線2.4を介してなされる。これらの配線は、通常ワイヤによって、あるいはフレキシブル回路基板の層によって形成することができる。
【0037】
光電素子2.1の感光側は、透明な「窓」2.3で覆われている。この窓は通常透明な合成樹脂製であり、光導波路1と接着によって接続されている。
【0038】
図3に示す特長的な実施態様では、光検出器を接着接合する位置において、光導波路1に凹部1.3がエンボス加工されており、この凹部の内郭線は窓2.3の外郭線と同じである。窓2.3は、この凹部1.3に挿入して接着接合する。
【0039】
光検出器2と導波路1間の接続面をこのジオメトリーで実施した結果、平坦で変形されていない導波路領域に光検出器が配置されている場合と比べて、有意な数々の利点が達成された。この接続は基本的により高い機械的な強度を持っており、光検出器は突出部分が少なく、導波路と光検出器との間の光学的接続もより良いため、ユニットは更に使い易くなる。
【0040】
通常、導波路平面における光検出器2の窓2.3の断面寸法は、約2×2平方ミリメートルであり、この場合の垂直方向の高さは約0.5ミリメートルになる。本発明によって設定されているように、導波路が層厚20乃至500マイクロメートルのポリマーでできている場合、これに適合する導波路1の凹部1.3はエンボス加工によって問題無く成型できる。
【0041】
図4によれば、光検出器2の窓2.3の断面輪郭線に一致する開口部を導波路に打ち抜き、この開口部に窓を挿入して、導波路の開口部の断面を窓2.3に接着させることによって、光検出器2を導波路1に取り付けることができる。この組み付けはとりわけ平坦なものとなる。
【0042】
印刷あるいは蒸着法によって、光検出器を導波路表面に直接作ることも可能である。
【0043】
図1に見られる発光器4は、射撃シミュレーション装置の一部分にもなり得るレーザであってもよい。周波数変調した波長532ナノメートルの緑色レーザー光3.1が検出器表面に照射される。検出器表面では、上述したように、発光が開始し、これによって生じた波長の長い光が導波路1に導かれ、光検出器2においてこの光によって電気信号が生成される。この電気信号は更に、配線5と、必要があれば、周波数フィルター及び/又はインターフェイス用電気回路を装備し得る、中間スイッチング装置6を経由して、データ処理装置7に伝送される。
【0044】
本発明による検出器表面は、人間の衣服の上にフレキシブル層として取り付けることもできる。レーザー照射器4が光パルスをこの検出器表面に発すると、レーザー照射器4からの光パルス3.1が表示面上に当った、検出器表面上の地点の座標を、例えば、概略を上述したアルゴリズムを用いることで、複数の光検出器の信号から演算することでデータ処理装置7によって認識し、ディスプレイ表面上に表示する。
【0045】
ここに記載されている検出器表面は、面積の大きい面に適用する場合にあっても良い費用対効果で製造できる。これは全体として大きな透明素材から作ることができる。このためには、可視光スペクトルの境界域あるいは可視光スペクトル域外でのみ光を吸収する染料が必要である。
【0046】
例えば中間層1.2に用いられる発光性粒子を選択することで、入射光の特定の狭いスペクトルのみが実際に発光するように設定することができるため、正確にこのスペクトル領域で強く発光する発光器4を使うことによって、この装置自体を周辺光に対して極めて感度を低くすることができる。
【0047】
一時的な周波数変調強度を有する光を発光器4で放射することも可能である。すなわち、光ビーム3.1の強度が特定の周波数で一次的に変動する。この周波数は、通信技術に付随する手段を用いて、光検出器2が発した信号から除去される。様々な周波数でエンコードされたレーザー光を用いることで、周波数フィルタの適用により同時に当る複数のレーザー光を判別し、検出器表面上でそれぞれのレーザ光が当った位置を認識することができる。
【0048】
周辺光は、検出器表面上に取り付けた特定のスペクトル領域の光のみを透過させる層によって、選択的に除去することも可能である。
【0049】
有利な一つの発展形態では、検出器表面に取り付けた光検出器を用いて電気エネルギーを発生させ、例えば読取用電子機器やワイヤレスデータ送信に利用することができる。
【0050】
補足すると、光ビーム3.1は必ずしもレーザー光でなくともよいと云う点も強調しておく。光ビームの特性を非常に正確に決めることができ、光源から非常に遠い距離にあっても検出が容易であるため、光ビーム3.1がレーザー光であれば、とりわけ有利な状態になる。
【0051】
銃火器シミュレーションへの適用は、聴覚的及び/又は視覚的信号によって命中判定を行い表示する検出器表面の移動通信装置とのリンクと好適に組み合わされる。更にこの移動通信装置は、データ処理装置と無線接続を行って、事象の評価をディスプレイ装置に又はインターネット経由で再生することができる。
【0052】
その他の有利な適用例は、検出器表面を建築物内外の表面に取り付けて、これを例えば照明器具、日除け装置、自動開閉式門扉、ドアあるいはその他の様々な電気製品など各種装置のスイッチとして使用することである。これらは発光器を用いることで、離れた地点から起動できる。その場合の利点は、単一の発光器を多数のアプリケーション用に万能リモートコントロールとして使用できることである。検出器表面を特定の機器あるいは機器の特定の表面又は部位に配置することによって、どのアプリケーションをどのように切り替えるか、あるいはこの切り替えによって又はどの手段の情報によってどのアプリケーションを作用させるのかに関して、シンプルかつ明瞭な分かりやすい割り当てを作ることができる。
【0053】
各発光器に対する特定の一時的変調によって、発光器のシリアル番号をデジタルコードで伝送することができる。従って、検出器表面から発せられる信号は、光スポットが当る地点に関する情報だけでなく、関連する光スポットがいずれの発光器から出たものであるかを認識できる英数字情報も含む。検出器表面の下流に接続されており、検出器の信号を処理する電子機器は、これらの数字を読み取ることができ、その特定のシリアル番号によって認識できる一又はそれ以上の非常に特定された発光器からの信号を更に処理するように、プログラムすることができる。付属機器のスイッチング動作は、これらの特定の発光器によってのみなされる。この結果、発光器が鍵としての役割と遠隔操作の役割を同時に果たすようになる。
【0054】
これまでは、この種の機能は通常無線通信手段、あるいは無指向性赤外線通信手段によって行われており、その結果、各機器ごと及び各機能ごとに入力機器上に操作キーが配備されていなければならず、そして、暗号を復号し、許可なくその機器を使用できるようにするためには、信号を傍受しなければならない。
【0055】
この場合の直接的な光通信は、信号が一方向にのみ送られるので、信号の不要な傍受が実質的に不可能である。
【0056】
これに加えて、制御する機器がユーザーによって絞られるので、全ての機器と機能について、リモートコントローラー上に操作キーを設定しておく必要がなくなる。
【0057】
もちろん、表示機器に複数の操作キーを設けておくことは可能であり、それによって、発光器がお互いに異なるようにコード化されるよう起動することができる。表示機器のどのキーが表面領域に当たっている発光器を起動しているかによって、切り替えを行う様々な機能を検出器表面を個々の表面領域に割り当てることができる。