【実施例1】
【0014】
第1の実施例は、2種の錘と変位センサを用いるものである。
図1は第1の実施例を示す平面図、
図2は断面図である。
スプリング荷重検知装置1は、
図8に示したチェックバルブ75の排油路76を上側、ボール78を下側にして検査台に載置したピストン70の上に乗せて用いる。以下の説明で、軸方向とは使用状態においてピストン70の軸と平行な方向を言う。
スプリング荷重検知装置1は、第1基板3の上に第2基板10を配したベース2と、錘を擁して第2基板10上をスライド可能なスライダ20と、第1基板3および第2基板10を貫通して配置されたプッシャ15と、プッシャ15の変位を検知する変位センサ28とを有している。
【0015】
第1基板3は、平面形がピストン70の外径を上回る長さを持つ長方形である。第2基板10は、第1基板3と同幅で第1基板3と所定間隙を設けて平行に配され、その長手方向両端でスペーサ7を介して第1基板3と結合している。
第2基板10はその上面がスライダ20のスライド面となる。第2基板10は第1基板3より短かいが、ベース2をピストン70上に載置したときピストン70の中心からオフセットする位置に設定され、ピストン70のチェックバルブ75を通る直径線上の断面において中心を挟んで対向する2つの断面のうち、チェックバルブ75を有する断面と軸方向に重なって、当該断面を十分にカバーする長さを有している。
【0016】
ベース2は、第1基板3の下面に、ピストン70の外延部、ここでは押圧部71の軸方向端面に着座するように設定された脚5を有している。なお、着座の容易化と着座後の位置保持のため、第1基板3から押圧部71の内側近傍に延びる補助脚6を設けるのが好ましい。
第1基板3と第2基板10には、ベース2をピストン70の押圧部71に着座させた状態でチェックバルブ75の排油路76に対応する位置に、上下(軸方向)に整列するガイド孔4とプッシャ収容孔11が形成されている。
ベース2を構成する第1基板3、第2基板10、脚5、補助脚6、スペーサ7および後述するガイドレール12は軽量化のため例えばアルミニウム材とするのが好ましい。
【0017】
プッシャ15は、第1基板3のガイド孔4に整合する軸部18の上端に錘受け部16を備え、軸部18の下端からは排油路76の径より小径のピン部19が下方に延びている。
錘受け部16は軸部18よりも大サイズで平面形が矩形をなし、その上面には断面が弧状の溝17が形成されている。第2基板10のプッシャ収容孔11は錘受け部16と整合する矩形となっている。
プッシャ15の上面はピン部19の先端がチェックバルブ75のボール78に当接した状態において第2基板10の上面と面一となるように設定してある。なお、プッシャ15は例えば鉄製とするが、チェックスプリング79の設計上の予荷重に比較して十分軽量である。
【0018】
変位センサ28はプッシャ15の錘受け部16の裏面と第1基板3の上面の間に設置され、不図示の判定回路に接続されている。判定回路はベースまたはスライダ上に設けてもよく、あるいはベースおよびスライダとは別体に設けて配線で接続してもよい。
変位センサ28は、プッシャ15が下方に変位したときON(オン)する常開接点タイプのスイッチでもよいし、プッシャ15が下方に変位したときOFF(オフ)する常閉接点タイプのスイッチでもよく、判定回路で信号処理される。
スライダ20はアルミニウム製で、第2基板10の上面に設けられたガイドレール12に沿って第2基板10の長手方向(ピストン70に対しては径方向)に移動可能に配置されている。
【0019】
スライダ20は、第1錘25を収容する第1錘保持室23aと第2錘26を収容する第2錘保持室23bとを備える錘保持部22を有し、第1錘保持室23aと第2錘保持室23bは長手方向に所定距離離間しており、各保持室23、24はそれぞれ下に開口して第2基板10の上面に対面している。
第1錘25および第2錘26はそれぞれボール78と同レベルの径を有するローラ状である。
錘保持部22の第2錘保持室23b側からは、錘保持部22に対して段差をもったフランジ部21が長手方向に延びている。フランジ部21および錘保持部22は共に第2基板10の上面に接してスライドする。
【0020】
ここで、第2基板10の長さは、当該第2基板10の
図2中左側(ピストン70中心側)の端縁にスライダ20のフランジ部21の先端を合わせた初期位置において、第1錘保持室23aがプッシャ15の錘受け部16よりも左側に位置するとともに、スライダ20の第2錘保持室23bをプッシャ15の錘受け部16上に位置させたとき、第1錘保持室23aが依然として第2基板10上に位置しているように設定される。
図1および
図2はスライダ20の初期位置を示している。
【0021】
ガイドレール12には、第1錘保持室23aがプッシャ15の錘受け部16と対向する第1位置のときのスライダ20の先端位置を示す指標13aと、第2錘保持室23bがプッシャ15の錘受け部16と対向する第2位置のときのスライダ20の先端位置を示す指標13bとが付されている。
ピストン70にベース2を載置した状態で、フランジ部21に置いた指で錘保持部22を押してスライドさせ、スライダ20の先端をガイドレール12の指標13a、13bに合わせることにより、順次に第1錘保持室23aおよび第2錘保持室23bをプッシャ15の錘受け部16上に位置させることができる。
各錘保持室23a、23bの錘25、26は錘受け部16上で溝17に保持される。
【0022】
チェックスプリング79の予荷重設計値をFとすると、ボール78とプッシャ15の重量に錘の重量を加えた合計がFを越えるとチェックスプリング79が撓んでプッシャ15が変位する。ここでの予荷重は、ボール78に対する弁座77側への軸方向の押圧力を指す。
予荷重のばらつきの許容範囲を設計値を中心とする所定の(F−dF)〜(F+dF)とする。例えば設計値を100gとして80g〜120gとする。
ここで、第1錘25の重量は、
G1=(F−dF)−(ボール78の重量)−(プッシャ15の重量)
に設定し、第2錘26の重量は、
G2=(F+dF)−(ボール78の重量)−(プッシャ15の重量)
に設定してある。
第1錘25と第2錘26はそれぞれローラ状であるから、長さを異ならせるだけで同じ棒材から製作できる。
【0023】
チェックスプリングの予荷重の検査は次のようにして行う。
まず、前述のように、チェックバルブ75が組み付けられたピストン70を、排油路76を上側、ボール78を下側にしてライン上の検査台90(
図3参照)に載置する。
それから、プッシャ15のピン部19をチェックバルブ75の排油路76に位置合わせし、ベース2の脚5をピストン70外周の押圧部71に乗せて、スプリング荷重検知装置1をピストン70に載置する。この際、補助脚6を押圧部の内側に嵌めることにより、脚5を容易に細幅の押圧部71に乗せることができ、さらにその状態で回すことにより、排油路76との位置合わせも容易となる。
なお、スプリング荷重検知装置1のスライダ20は、初期位置としておく。
プッシャ15のピン部19は排油路76に挿し込まれてボール78に当接する。(
図2参照)
【0024】
そして、
図3の(a)に示すように、スプリング荷重検知装置1のスライダ20を初期位置からピストン70の径方向外方へ第2基板10上をスライドさせて、ガイドレール12の指標13aを参照して、第1錘保持室23aがプッシャ15の錘受け部16に対向する第1位置へ移動させる。これにより第1錘保持室23aに保持されていた第1錘25が錘受け部16に載る。
前述の判定回路は、例えばランプを備え、プッシャ15が下方に変位して変位センサ28が作動したときランプを点灯させる。
第1位置においては、ランプが点灯しないことを確認する。
すなわち、図示のように、スライダ20の第1位置において重量G1の第1錘25が錘受け部16に載ってもプッシャ15が変位せず、ランプが点灯しないのはチェックスプリング79の予荷重が(F−dF)以上であることを意味し、少なくともばらつきの許容範囲の下限を満たしている。
【0025】
ランプが点灯しない場合には、つぎに、
図3の(b)に示すように、スライダ20をさらにスライドさせて、第2錘保持室23bが錘受け部16に対向する第2位置へ移動させる。
そして、第2位置においては、ランプが点灯することを確認する。
図示のように、スライダ20の第2位置において重量G2の第2錘26が錘受け部16に載ったときプッシャ15が変位して、ランプが点灯したのはチェックスプリング79の予荷重が(F+dF)以下であることを意味する。したがって、予荷重がばらつきの許容範囲内にあるから、当該ピストン70のチェックバルブ75は合格として、摩擦締結装置組み立てラインの次工程へ送る。
【0026】
一方、スライダ20の第1位置においてランプが点灯した場合は、チェックスプリング79の予荷重が(F−dF)より小さいことになるから、許容範囲外のため不合格とし、また第2位置においてランプが点灯しない場合は、チェックスプリング79の予荷重が(F+dF)より大きいことになるから、同様に許容範囲外のため不合格として、それぞれピストン70をチェックバルブ75の再組付け工程、または修正工程へ送る。
なお、変位センサ28は微小な変位量(ストローク)で作動(ON−OFF切替)するのが好ましいが、ON−OFF切替点まで相応のストロークを要する場合には、当該ストロークに対応する分だけ第1錘25の重量G1および第1錘26の重量G2を増大側へオフセットして設定すればよい。
【0027】
本実施例では、ボール78が発明における弁体に該当し、チェックスプリング79がスプリングに該当する。
ボール78に上方から当接するプッシャ15を設け、第1錘25と第2錘26を第1錘保持室23a、第2錘保持室23bに保持してベース2上をスライドするスライダ20によって、プッシャ15上に第1錘25と第2錘26を案内載置する構造が負荷手段を構成し、とくに上記のベース2とスライダ20が案内装置を構成している。
そして、第2基板10のプッシャ収容孔11が収容孔に該当する。
【0028】
第1の実施例は以上のように構成され、ボール78をチェックスプリング79で閉方向に付勢したチェックバルブ75に対して、スプリング荷重検知装置1は、ボール78の開方向に予荷重の設定許容範囲の上限(F+dF)と下限(F−dF)をスライダ20によって選択的に負荷して、その際のボール78の変位の有無を検知するものとしたので、スライダ20を操作して負荷した荷重別にボール78の変位の有無をチェックするだけで容易にチェックスプリング79による予荷重が設定許容範囲内に入っているかどうかを確認することができる
。
【0029】
設定許容範囲の上限(F+dF)と下限(F−dF)をボール78に負荷す
るために、ボール78の開方向を下方として、ボール78に上方から当接するプッシャ15を設けて、スライダ20は上記の上限と下限に対応する重量をもつ第1錘25と第2錘26を個別の第1錘保持室23aと第2錘保持室23bに保持してベース2上をスライドさせ、順次に各錘をプッシャ15上に載置させるようにしたので、ボール78への選択的な負荷が簡単な構造で実現でき、かつ操作が容易である
。
【0030】
プッシャ15は上下方向に延びる軸部18の上端に錘受け部16を備え、ベース2は、プッシャ15を上下動可能に支持するとともに、スライダ20をスライドさせるスライド面(第2基板10の上面)に開口してプッシャ15の錘受け部16を収容するプッシャ収容孔11を有する。そして、プッシャ15は、ボール78に当接し第1錘25あるいは第2錘26が載置されていない状態において錘受け部16の上面がスライド面と面一になるように設定されているので、第1錘保持室23aあるいは第2錘保持室23bがプッシャ収容孔11に対面する位置へスライダ20をスライドさせると、第1錘25あるいは第2錘26錘は衝撃を伴うことなく滑らかに錘受け部16に乗り移ってボール78に負荷する
。
【0031】
第1錘25や第2錘26が載置されたときのボール78の変位の有無は、プッシャ15
とベース2の間に設けられた変位センサ28により、ボール78の開方向におけるプッシ
ャ15の変位を検知して行うので、コンパクトな全体構成になるとともに、例えば変位セ
ンサ28に接続したランプの点灯状態により確認が容易である
。
【0032】
チェックバルブ75は摩擦締結装置のピストン70に設けられ、ボール78はピストン70に形成された軸方向の排油路76の開口にチェックスプリング79で押圧されているものであって、排油路76を上側、ボール78を下側にしたピストン70上にベース2を載置したとき、プッシャ15が排油路76内を延びてボール78に当接するように設定されているので、スプリング荷重検知装置1は組立てラインにおいてピストン70に載せるだけで直ちにチェックスプリング79の予荷重検知が可能な状態となる
。
【0033】
なお、第1の実施例では判定回路が単一のランプを備え、単にプッシャ15(ボール78)が変位したときランプを点灯させるものとしたが、これに限定されない。例えば、判定回路は緑色ランプと赤色ランプを備えるとともに、スライダ20の現在位置と連係して、第1位置においては、プッシャ15が変位しないとき合格の緑色ランプを点灯させ、変位したとき不合格の緑色ランプを点灯させるようにし、第2位置においては、プッシャ15が変位したとき合格の緑色ランプを点灯させ、変位しない不合格の赤色ランプを点灯させるように構成すれば、判定が一層容易となる。
【実施例2】
【0034】
第2の実施例は1個の錘と光センサを用いるものである。
図4は第2の実施例を示す断面図である。
スプリング荷重検知装置1Aは、第1の実施例と同様に、ベース2A、スライダ20A、プッシャ15Aを有するが、変位センサ28の代わりに光センサ30を有している。
ベース2Aは、第1基板3の上に所定間隙を設けて第2基板10Aを平行に配している。第1基板3は、平面形がピストン70の外径を上回る長さを持つ長方形である。第2基板10Aは、第1基板3と同幅で、その長手方向両端でスペーサ7Aを介して第1基板3と結合している。
【0035】
第2基板10Aは第1基板3より短かいが、ベース2Aをピストン70上に載置したときピストン70の中心からオフセットする位置に設定され、ピストン70のチェックバルブ75を通る直径線上の断面において中心を挟んで対向する2つの断面のうち、チェックバルブ75を有する断面と軸方向に重なって、当該断面を十分にカバーする長さを有している。
ベース2Aは、第1基板3の下面に、ピストン70の押圧部71の軸方向端面に着座するように設定された脚5を有し、さらに第1基板3から押圧部71の内側近傍に延びる補助脚6を有している。
第1基板3と第2基板10Aには、ベース2Aをピストン70の押圧部71に着座させた状態でチェックバルブ75の排油路76に対応する位置に、上下(軸方向)に整列するガイド孔4とプッシャ収容孔11が形成されている。
【0036】
プッシャ15Aは、第1基板3のガイド孔4に整合する軸部18Aの上端に錘受け部16を備え、軸部18Aの下端からは排油路76の径より小径のピン部19が下方に延びている。
錘受け部16は軸部18Aよりも大サイズで平面形が矩形をなし、その上面には断面が弧状の溝17が形成されている。第2基板10Aのプッシャ収容孔11は錘受け部16と整合する矩形となっている。
錘受け部16の上面は、チェックバルブ75の弁座77に着座しているボール78にピン部19の先端が当接した状態において、第2基板10Aの上面と面一となるように設定してある。
【0037】
軸部18Aには、第1基板3と第2基板10Aの間隙内に位置する所定部位にベースの長手方向と平行に貫通する透光孔33が形成されている。
第1基板3上には、ガイド孔4を挟んで、したがってガイド孔4を通る軸部18Aを挟んで配置された発光機31と受光機32からなる光センサ30が設置され、軸部18Aの透光孔33が所定の高さ位置にあるときレーザ光を授受可能なように設定されている。光センサ30と透光孔33の関係については後述する。
【0038】
スライダ20Aは第2基板10Aの上面に設けられた第1の実施例におけるガイドレール12と同様のガイドレール(不図示)に沿って第2基板10Aの長手方向(ピストン70に対しては径方向)に移動可能に配置されている。
スライダ20Aは、錘24を収容する錘保持室23を備える錘保持部22Aを有し、錘保持室23は下に開口して第2基板10Aの上面に対面している。
錘24はローラ状である。
錘保持部22Aからは、錘保持部22Aに対して段差をもったフランジ部21が長手方向に延びている。フランジ部21および錘保持部22Aは共に第2基板10Aの上面に接してスライドする。
【0039】
ここで、第2基板10Aの長さは、当該第2基板10Aの
図4中左側(ピストン70中心側)の端縁にスライダ20Aのフランジ部21の先端を合わせた初期位置において、錘保持室23がプッシャ15Aの錘受け部16よりも左側に位置するように設定される。
図4はスライダ20Aの初期位置を示している。
ガイドレールには、錘保持室23がプッシャ15Aの錘受け部16と対向する位置のときのスライダ20Aの先端位置を示す第1の実施例における指標13と同様の指標(不図示)が付されている。
ピストン70にベース2Aを載置した状態で、フランジ部21に置いた指で錘保持部22Aを押してスライドさせ、スライダ20Aの先端をガイドレールの指標に合わせることにより、錘保持室23をプッシャ15Aの錘受け部16上に位置させることができる。
【0040】
チェックスプリング79の予荷重設計値をFとすると、ボール78とプッシャ15Aの重量に錘24の重量を加えた合計がFを越えるとチェックスプリング79が撓んでプッシャ15Aが変位することになる。
なお、ここでの予荷重は、ボール78に対する軸方向の押圧力を指す。
ここまでの構成は、スライダ20Aが1個の錘24を保持する点、プッシャ15Aが透光孔33を有する点、変位センサ28の代わりに光センサ30を有する点、およびこれらに関連してベース2Aの形状が相違する点を除き、第1の実施例と同じである。
【0041】
つぎに、プッシャ15Aの軸部18Aにおける透光孔33と光センサ30の位置関係について説明する。
図5はチェックスプリング79に加わる軸方向の荷重とプッシャ15A(ボール78)のストローク(変位量)の関係を示す。
前述のように、下向きの荷重が予荷重設計値F未満の間はボール78は弁座77から離れず、したがってプッシャ15Aは変位しないが、荷重がFを越えると、線Laのように、プッシャ15Aは変位を開始して、荷重が増大するほどに下方へのストロークが増大する。
予荷重のばらつきの許容範囲を設計値を中心とする(F−dF)〜(F+dF)とした場合、ボール78に加わる荷重が増大すると、線Lb、Lcのように、プッシャ15Aはそれぞれ(F−dF)および(F+dF)を越えてから変位を開始して、荷重に応じてストロークが増大していく。これらの変位特性は、量産前に予荷重が(F−dF)および(F+dF)になるようにチェックスプリング79を組み付けた状態で測定して求めておく。
【0042】
ここで、(F+dF)より大きい所定の検査荷重Fsをチェックスプリング79に及ぼすときの錘24の重量は、
G=Fs−(ボール78の重量)−(プッシャ15Aの重量)
となる。
そしてこの重量の錘24をプッシャ15A(錘受け部16)に載せると、予荷重が(F+dF)以下のチェックスプリング79は撓んで、プッシャ15Aが変位する。そのストロークは予荷重に応じて、予荷重が(F−dF)のときは線Lb上のSb、(F+dF)のときは線Lc上のScとなる。
図6に示すように、軸部18Aの透光孔33は上縁を上述のストロークSbに対応させ、下縁をストロークScに対応させてあり、その上下幅は(Sb−Sc)に設定してある。
なお、検査荷重Fsは、変位量Sbがチェックスプリング79の実際に可能な撓み量よりも小さくなる範囲で任意に設定可能である。
【0043】
ボール78が弁座77に着座しているとき、プッシャ15A(軸部18A)は光センサにおける発光機から受光機への破線で示す光経路を遮っており、透光孔33の下縁は光経路よりScだけ高い位置にある。
錘24をプッシャ15Aに載せたとき、予荷重が(F+dF)より大きい場合にはプッシャ15AのストロークはScに足りず、光経路を遮ったままである。
予荷重が(F+dF)以下であればプッシャ15AはSc以上ストロークして、透光孔33が光経路上に位置し、発光機からのレーザ光を受光機が受光可能となる。
また、予荷重が(F−dF)より小さい場合にはプッシャ15AのストロークがSbを越えるので、透光孔33が光経路より下方に移動して光経路を遮る。
【0044】
スプリング荷重の検査要領は第1の実施例の場合と同様である。
まず、チェックバルブ75が組み付けられたピストン70を、排油路76を上側、ボール78を下側にしてライン上の検査台90に載置する。
それから、プッシャ15Aのピン部19をチェックバルブ75の排油路76に位置合わせし、ベース2の脚5をピストン70外周の押圧部71に乗せて、スプリング荷重検知装置1Aをピストン70に載置する。この際、補助脚6を押圧部の内側に嵌めることにより、脚5を容易に細幅の押圧部71に乗せることができ、さらにその状態で回すことにより、排油路76との位置合わせも容易となる。
なお、スプリング荷重検知装置1Aのスライダ20Aは、初期位置としておく。
プッシャ15Aのピン部19は排油路76に挿し込まれてボール78に当接する。(
図4参照)
【0045】
そして、
図7に示すように、スプリング荷重検知装置1Aのスライダ20Aを初期位置からピストン70の径方向外方へ第2基板10A上をスライドさせて、ガイドレールの指標を参照して、錘保持室23がプッシャ15Aの錘受け部16に対向する位置へ移動させる。これにより錘保持室23に保持されていた錘24が錘受け部16に載る。
前述の判定回路は、例えばランプを備え、光センサの受光機から受光信号が出力されている間ランプを点灯させる。
錘24は予荷重設計値Fよりも重いので、多くの場合錘24を載せたプッシャ15Aは上下動するが、所定時間待ってランプが継続点灯することを確認する。
【0046】
すなわち、ランプが点灯すれば、プッシャ15Aの透光孔33が光センサの光経路上に位置しており、予荷重が(F−dF)以上(F+dF)以下であることを意味している。
したがって、予荷重がばらつきの許容範囲内にあるから、当該ピストン70のチェックバルブ75は合格として、摩擦締結装置組み立てラインの次工程へ送る。
一方、ランプが継続点灯しない場合は、ストロークが小さ過ぎて予荷重が(F+dF)より大きいか、あるいはストロークが大き過ぎて予荷重が(F−dF)より小さいことを意味するから、許容範囲外のため不合格とする。
【0047】
本実施例では、ボール78が発明における弁体に該当し、チェックスプリング79がスプリングに該当する。
ボール78に上方から当接するプッシャ15Aを設け、錘24を錘保持室23に保持してベース2A上をスライドするスライダ20Aによって、プッシャ15A上に錘24を案内載置する構造が発明における負荷手段を構成し、とくにベース2Aとスライダ20Aが案内装置を構成している。
第2基板10Aのプッシャ収容孔11が収容孔に該当する。
そして、プッシャ15Aに形成された透光孔33と、プッシャ15Aを挟んで配置された発光機31と受光機32からなる光センサ30とで、発明における変位量検知手段を構成している。
【0048】
第2の実施例は以上のように構成され、ボール78をチェックスプリング79で閉方向に付勢したチェックバルブ75に対して、スプリング荷重検知装置1Aは、ボール78の開方向に検査荷重Fsをスライダ20Aによって負荷して、その際のボール78のストローク(変位量)が予荷重の設定許容範囲の上限(F+dF)に対応するストロークScと下限(F−dF)に対応するストロークSb間の範囲内にあるかを検知するものとしたので、スライダ20Aを操作して1つの検査荷重Fsを負荷し、ボール78のストロークをチェックするだけで、容易にチェックスプリング79による予荷重が設定許容範囲内に入っているかどうかを確認することができる
。
【0049】
検査荷重Fsは予荷重の設定許容範囲の上限(F+dF)より大きく設定され、上記の設定許容範囲の上限に対応するストロークScは、チェックスプリング79を設定許容範囲の上限(F+dF)の予荷重を与える設定にしたときの変位特性(線Lc)に基づくボール78のストロークであり、設定許容範囲の下限に対応するストロークSbは、チェックスプリング79を設定許容範囲の下限(F−dF)の予荷重を与える設定にしたときの変位特性(線Lb)に基づくボール78のストロークであるので、予荷重の設定許容範囲が正確に区画される
。
【0050】
検査荷重Fsをボール78に負荷するために、ボール78の開方向を下方として、ボール78に上方から当接するプッシャ15Aを設け、スライダ20Aは検査荷重Fsに対応する重量をもつ錘24を錘保持室23に保持してベース2A上をスライドさせて、錘24をプッシャ15A上に載置させるようにしたので、ボール78への負荷が簡単な構造で実現でき、かつ操作が容易である
。
【0051】
プッシャ15Aは上下方向に延びる軸部18Aの上端に錘受け部16を備え、ベース2Aは、プッシャ15Aを上下動可能に支持するとともに、スライダ20Aをスライドさせるスライド面(第2基板10A上面)に開口してプッシャ15Aの錘受け部16を収容するプッシャ収容孔11を有する。そして、プッシャ15Aは、ボール78に当接し錘24が載置されていない状態において錘受け部16の上面がスライド面と面一になるように設定されているので、錘保持室23がプッシャ収容孔11に対面する位置へスライダ20Aをスライドさせると、錘24は衝撃を伴うことなく滑らかに錘受け部16に乗り移ってボール78に負荷する
。
【0052】
錘24が載置されたときのボール78のストロ−クを検知するため、プッシャ15Aを挟んで配置された発光機31と受光機32からなる光センサ30と、プッシャ15Aに形成された透光孔33と有し、透光孔33はボール78のストロークが予荷重の設定許容範囲の上限(F+dF)に対応するストロークScと下限(F−dF)に対応するストロークSb間の範囲内にあるときのみ発光機31と受光機32間の光の授受を許すように設定されているので、コンパクトな全体構成になるとともに、例えば受光機に接続した判定回路が、受光機32が受光している間ランプを点灯させることにより確認が容易である
。
【0053】
チェックバルブ75は摩擦締結装置のピストン70に設けられ、ボール78はピストン
70に形成された軸方向の排油路76の開口にチェックスプリング79で押圧されている
ものであって、排油路76を上側、ボール78を下側にしたピストン70上にベース2を
載置したとき、プッシャ15Aが排油路76内を延びてボール78に当接するように設定
されているので、スプリング荷重検知装置1Aは組立てラインにおいてピストン70に載
せるだけで直ちにチェックスプリング79の予荷重検知が可能な状態となる
。
【0054】
なお、第1、第2の実施例は摩擦締結装置のピストンに設けられたプリロードチェックバルブの予荷重検査用に適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、種々のプリロードチェックバルブ用として適用可能である。
チェックバルブ75はボール78を長板状で片持ち式のチェックスプリング79で押圧するものとしたが、スプリングは例えばコイルスプリングなど任意の形式を採用してよいし、弁体もボールに限定されない。
【0055】
また、第1、第2の実施例においては、スライダを位置決めするために、ガイドレールの指標にスライダの先端を合わせるものとしたが、合わせ部位や指標の設定位置は任意に設定すればよい。
また、スライダの位置決めを容易にするため、スライダとガイドレールあるいはベースとの間にクリック機構を設けることもできる。
錘24、25および26は棒材から製作できる点で有利なローラ状としたが、これに限定されず、球体としてもよい。