特許第5715119号(P5715119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エボニック デグサ ゲーエムベーハーの特許一覧

特許5715119化粧品組成物または医薬組成物を製造するためのシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンの使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715119
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】化粧品組成物または医薬組成物を製造するためのシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/894 20060101AFI20150416BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 3/00 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150416BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20150416BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61K8/894
   A61Q19/00
   A61Q17/04
   A61Q1/02
   A61Q15/00
   A61Q3/00
   A61Q11/00
   A61Q19/10
   A61Q5/02
   A61Q9/02
   A61Q5/06
   A61Q5/12
   A61K9/06
   A61K47/34
   A61P17/16
   C11D7/22
【請求項の数】13
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2012-505105(P2012-505105)
(86)(22)【出願日】2010年3月17日
(65)【公表番号】特表2012-524039(P2012-524039A)
(43)【公表日】2012年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2010053422
(87)【国際公開番号】WO2010118926
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2013年1月16日
(31)【優先権主張番号】102009002417.4
(32)【優先日】2009年4月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング,フラウケ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ハルトゥング,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フェレンツ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ノット,ウィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ヘルワース,サシャ
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−179797(JP,A)
【文献】 特開2005−113138(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0155090(US,A1)
【文献】 特開2008−115358(JP,A)
【文献】 特開2009−256616(JP,A)
【文献】 特表2011−504195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサン部分が分枝状の有機変性シロキサンの、化粧品製剤、皮膚用製剤および/または医薬製剤における、官能特性を改善するための、かつ添加剤、乳化剤、分散助剤および/またはケア有効成分としての使用であって、
式I
【化1】

{式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
a=0〜14であり、
b=1〜14であり、
但し、
a+b>3であり、
c=20〜400であり、
d=0であり、
e=2〜15であり、
f=0〜15であり、
但し、
e+f≧3であり、
=メチルであり、
=一般式IIaのポリエーテル基であり、
【化2】

{式中、
EO=(CO)であり、
PO=(CO)であり、
XO=(CO)であり、
n=1であり、
x=5〜30であり、
y=2〜20であり、
z=0であり、
=Hであり、
=Rであり、
=互いに独立して、エーテル官能基で中断されていてもよい炭素数2〜16のアルキル基、炭素数7〜18のアルカリール基および炭素数6〜16のアリール基を含む群から選択される同一のまたは異なる基である
のシロキサンを使用することを特徴とする、使用
【請求項2】
シリコーン部分が分枝状であり、25℃の温度および101325Paの圧力で液体であるSiH官能性シロキサンブロック共重合体を用いてα−オレフィン、不飽和ポリエーテル誘導体またはグリセロール誘導体をヒドロシリル化することによって前記シロキサンが調製され、前記SiH官能性シロキサンブロック共重合体が、
a)1種類以上のSiH−官能性シロキサン、
b)1種類以上のSiH−官能基非含有シロキサン、および
c)1種類以上のテトラアルコキシシラ
含む混合物を、水を添加して、酸性イオン交換体から選択される少なくとも1種類の固体ブレンステッド酸触媒の存在下にて、一工程段階で反応させることによって調製されたものであることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項3】
前記混合物が、さらに、d)1種類以上のトリアルコキシシランを含む、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記シロキサンが、水中油(O/W)型エマルジョンおよび/または油中水(W/O)型エマルジョンの乳化剤として使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記製剤が、無機もしくは有機顔料および/または無機もしくは有機粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記シロキサンが、皮膚および/または毛髪のコンディショニングのために、化粧品製剤および/または医薬製剤用の添加剤として使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
顔面、身体および手用のケアクリームおよびローションに、日焼け止めエマルジョンに、メーキャップに、エアゾール、ロールオン、ポンプスプレー、スティックに、制汗/防臭分野に、ベビーケア製品に、インティメイトケア製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品、または口腔ケア製品に、および/または皮膚用軟膏における乳化剤としての、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
シャワー浴剤および/またはシャワージェル、浴用製剤、液体石鹸およびシャンプー、皮膚パック剤、シェービングフォーム、ヘアリンス、リーブインコンディショナーおよび/または毛髪用スタイリング製品用の水性ケア製剤または界面活性製剤、化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤における、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
シロキサン部分が分枝状の有機変性シロキサンを含む製剤であって、シロキサン部分が分枝状の有機変性シロキサンが、式I
【化3】

{式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
a=0〜14であり、
b=1〜14であり、
但し、
a+b>3であり、
c=20〜400であり、
d=0であり、
e=2〜15であり、
f=0〜15であり、
但し、
e+f≧3であり、
=メチルであり、
=一般式IIaのポリエーテル基であり、
【化4】

{式中、
EO=(CO)であり、
PO=(CO)であり、
XO=(CO)であり、
n=1であり、
x=5〜30であり、
y=2〜20であり、
z=0であり、
=Hであり、
=Rであり、
=互いに独立して、エーテル官能基で中断されていてもよい炭素数2〜16のアルキル基、炭素数7〜18のアルカリール基および炭素数6〜16のアリール基を含む群から選択される同一のまたは異なる基である}
のシロキサンであることを特徴とする、製剤。
【請求項10】
エマルジョンの形態の請求項に記載の製剤の少なくとも1つを含む、化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤。
【請求項11】
エマルジョンの形態の請求項に記載の製剤の少なくとも1つを含む、家庭用、硬質表面、皮革またはテキスタイル用のケアおよび/または清浄用組成物。
【請求項12】
追加の成分として粒子または顔料を含む、請求項10に記載の化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤、あるいは請求項11に記載のケアおよび/または清浄用組成物。
【請求項13】
追加の成分として化粧品有効成分を含む、請求項10に記載の化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、化粧品組成物、皮膚用組成物または医薬組成物を製造するためのシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンの使用に関する。特に、シロキサンは、W/O型およびO/W型のエマルジョン用の乳化剤として、ならびにヒトまたは動物の身体部分のケア用の親水性および親油性ケア有効成分として使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術
有機変性(organomodified)シロキサンは、非常に様々な用途に使用される。それらの特性は、とりわけ変性基(modification)の種類により、および変性基の密度により調節することができる。
【0003】
従って、例えば、アリルポリエーテルを使用して親有機性基または非イオン性親水性基をシロキサン骨格に結合させることが可能である。この種の化合物は、例えば、ポリウレタンフォーム安定剤として、燃料中の脱泡剤として、または塗料およびコーティング剤中の添加剤として使用される。
【0004】
一般に、例えば、α−オレフィンとの反応によりシロキサンを親油性基と結合させることもできる。このようにして得られるシリコーンワックスは、例えば、パーソナルケア用途における添加剤の役割をする。
【0005】
多くの使用分野において、シロキサンの効果は当該製剤との相溶性に決定的に依存することが分かった。
【0006】
好適な化粧品乳化剤としては、例えば、α−オレフィンをベースにする親油性脂肪族基の他に親水性ポリエーテルも有するシロキサンがある。ここで典型例として、市販品のABIL(登録商標)EM90(Evonik Goldschmidt GmbH(ドイツ)製)を挙げることができ、これは特に油中水(W/O)型エマルジョンの優れた安定化を特徴とする。
【0007】
水中油(O/W)用のシロキサンベースの乳化剤は親水性が比較的高くなければならず、そのため、これらの製品は一般に純粋なポリエーテルシロキサンである。
【0008】
欧州特許第1125574号は、ポリエーテル基がシロキサン骨格のα,ω位または末端位にある比較的疎水性のポリエーテルシロキサンをO/W型乳化剤として使用することを記載している。これらの構造は、長くて妨げられていない(undisturbed)シリコーン鎖、従って、特に、滑らかで柔らかい絹のような皮膚感触を特徴とし、このためそれらを化粧品エマルジョンに配合することができる。
これらの構造の使用の欠点は、乳化性が不十分なことが多いことである。この種の直鎖構造では、2つ変性基しかシロキサン鎖に結合できないために置換度が低く、そのため乳化性がこのように不十分である可能性がある。
分子のシリコーン特性を維持しつつ、シロキサン鎖当たりの変性度を増加させるため、従来技術(例えば、欧州特許第0298402号)では、架橋技術を用いて分枝状構造が生成されている。合成時に、多量の架橋剤を使用するとゲル化が起こらない生成物が得られるため、ここでは可能な分枝単位の数は限られている。そのため、合成により、高い分枝度を標的として調節することは可能ではない。
【0009】
シロキサン構造に分枝を導入する別の方法が、欧州特許第1416016号に記載されている。ジビニルシロキサンまたはジオレフィンなどの通常の架橋剤の代わりに、ここでは一ビニル官能性シロキサンを使用して分枝状シリコーン構造を生成する。しかし、このプロセスには、一ビニル官能性シロキサンは製造コストが高く、従って利用しづらいという欠点がある。この方法では、シリコーン部分が分枝状の末端官能化されたシロキサンが得られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的の1つは、化粧品製剤および医薬製剤用の高性能添加剤として使用できる、シリコーン部分が分枝状の新規な種類の有機変性シロキサンを開発することであった。これは、例えば、O/W型エマルジョンとW/O型エマルジョンの両方に使用することができ、さらにビロードや絹のような(velvety-silky)皮膚感触と非常に高い乳化性とを兼ね備えることができる乳化剤に関する。
【0011】
米国特許第5474712号は、動物用のコンディショニングシャンプーにおける従来技術によるポリエーテルシロキサンの使用を記載している。
【0012】
国際公開第02/053111号パンフレットは、身体清浄用の水性界面活性組成物における、(AB)構造を有するシリコーンポリエーテルブロック共重合体の使用を記載しており、それは、特に、毛髪のボリューム、櫛通り(combability)、および艶(shine)に関して良好な化粧品特性を有する。
【0013】
米国特許第5879671号は、アミノ官能性シロキサンと従来技術によるポリエーテルシロキサンの混合物をケア有効成分として含む、水性界面活性身体清浄用組成物の使用を記載している。これらの混合物により、乾燥時および湿潤時の毛髪の櫛通りが長時間にわたって改善される。
【0014】
独国特許第19603357号は、ポリエーテル変性MQ樹脂(ポリエーテルジメチルシロキシシリケート)を化粧品製剤にケア有効成分として使用することを記載している。これによって、艶とカールの保持性が向上する。
【0015】
論文"Les Copolymeres Polysiloxanes polyethers comme additifs dans les formulations cosmetiques" (Dr. Kollmeier; Parfums, cosmetiques, aromes; 51; 1983; 67-72)にペンダントのおよび/または末端のポリエーテル基を有するシロキサンが毛髪および皮膚用のケア有効成分として記載されている。
シロキサンをベースにする市販のケア有効成分としては、例えば、ABIL(登録商標)B 8842、ABIL(登録商標)B 88183およびABIL(登録商標)B 8832(Evonik Goldschmidt GmbH)、Belsil(登録商標)DMC 6031、Belsil(登録商標)DMC 6032およびBelsil(登録商標)DMC 6033(Wacker-Chemie)がある。市販品のABIL(登録商標)B 8832(Evonik Goldschmidt GmbH)は、末端がポリエーテル基で変性されたシロキサンであり、界面活性溶液およびケア化粧品製剤に毛髪および皮膚のケア有効成分として使用される。末端がポリエーテル基で変性されたシロキサンは高性能級のケア有効成分であり、これによって化粧品製剤から皮膚および毛髪に著しいコンディショニング効果がもたらされる。さらに、これらの末端シロキサンは、泡改善特性を有する。しかし、既に前述したように、これらの従来の構造中に、(良好な皮膚感触のための)妨げられていない非常に長いシロキサン骨格および(製剤中における相溶性のための)3つ以上の有機変性基を有するシロキサンを得ることはできない。
【0016】
従って、他の目的は、親水性または親油性ケア有効成分として化粧品製剤および医薬製剤の官能特性を改善できる化合物を開発することであった。
さらに、これらのシロキサンは好ましくは製剤との相溶性が良好であり、配合が容易で(室温で液体)あり、製剤中で従来のシロキサンと混合することができなければならない。
【0017】
明記されていない他の目的は、以下の本明細書の文脈、実施例および特許請求の範囲から明らかになる。
【0018】
驚くべきことに、未公開の独国特許出願第102008041601.0号および独国特許出願第102007055485.2号に記載の方法により調製可能なシロキサン部分が分枝状の有機変性シロキサンは、化粧品製剤、皮膚用製剤および医薬製剤中の添加剤として好適であることが分かった。特に、それらは、高性能添加剤、乳化剤および/または分散助剤として好適である。さらに、それらは、化粧品製剤、皮膚用製剤および医薬製剤の官能特性を改善するためのケア有効成分として好適である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、化粧品製剤、皮膚用製剤および医薬製剤における、式Iのシロキサン部分が分枝状の有機変性シロキサンの使用を提供する。
【0020】
他の対象は、式Iのシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンを含む製剤自体、およびその使用であり、
【化1】

{式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
a=0〜32、好ましくは0〜18、特に0〜14であり、
b=0〜32、好ましくは0〜18、特に1〜14であり、
[但し、
a+b>2、好ましくは>3である]
c=1〜600、好ましくは10〜500、特に20〜400であり、
d=0〜80、好ましくは0〜60、特に3〜40であり、
e=0〜30、好ましくは1〜20、特に2〜15であり、
f=0〜15、好ましくは1〜12、特に2〜10であり、
[但し、
e+f≧1、好ましくは≧2、特に≧3である]
=互いに独立して、同一のまたは異なる、炭素数1〜16の直鎖または分枝状の、任意選択により芳香族の炭化水素基、好ましくはメチルまたはフェニル、特にメチルであり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、炭素数8以上の直鎖または分枝状のアルキル基、SiC結合したもしくはSiOC結合したポリエーテル基、または、SiC結合したもしくはSiOC結合した多ヒドロキシ官能基、好ましくは一般式IIa、IIbもしくはIIcのポリエーテル基、または式IIIaもしくはIIIbの多ヒドロキシ官能基であり、
【化2】

[式中、
EO=(CO)であり、
PO=(CO)であり、
XO=(CO)であり、
n=0〜9、特に1であり、
x=0〜50、特に5〜30であり、
y=0〜50、特に2〜20であり、
z=0〜10、特に0である]
=互いに独立して、H、炭素数1〜16のアルキル基、またはアシル基を含む群から選択される同一のまたは異なる基であり、
=互いに独立して、任意選択によりエーテル官能基で中断されていてもよい炭素数2〜16のアルキル基、炭素数7〜18のアルカリール基、炭素数6〜16のアリール基を含む群から選択される同一のまたは異なる基、好ましくはエチルまたはフェニルであり、
【化3】

[式中、
=直鎖または分枝状のアルキレン基、好ましくは−CH−CH−(CH−、特に−CH−CH−CHであり、
=直鎖または分枝状の不飽和アルケニレン基、好ましくはCH=CH−(CH−、特にCH=CH−CH−であり、
【化4】

g=0〜20、好ましくは0〜5、特に0〜3であり、
h=0〜20、好ましくは0〜5、特に0〜3であり、
i=0〜20、好ましくは0〜5、特に0〜3であり、
j=1〜21、好ましくは1〜6、特に1〜4である]
=互いに独立して、同一のまたは異なるR基またはR基、好ましくはR基、特にメチル、ドデシルまたはヘキサデシルである。}
【0021】
本発明の文脈では、多ヒドロキシ官能性とは、式IIIaの基自体が少なくとも2個のヒドロキシ基を有すること、即ち、C基が2個以上存在する場合、C基当たり少なくとも2個のヒドロキシル基が構造中に導入され、したがって、平均して多数のヒドロキシル基が生成物混合物中に存在することを意味する。
【0022】
本発明の別の対象は、シリコーン部分が分枝状であり、かつ、25℃の温度および101325Paの圧力で液体であるSiH官能性シロキサンブロック共重合体を用いてα−オレフィン、不飽和ポリエーテル誘導体またはグリセロール誘導体をヒドロシリル化することによってシロキサンが調製され、前記シロキサンブロック共重合体が、
a)1種類以上のSiH−官能性シロキサン、
b)1種類以上のSiH−官能基非含有シロキサン、および
c)1種類以上のテトラアルコキシシラン、
および、任意選択により
d)1種類以上のトリアルコキシシラン
を含む混合物を、水を添加して、酸性イオン交換体から選択される少なくとも1種類の固体ブレンステッド酸触媒の存在下にて一工程段階で反応させることにより調製されることを特徴とする、化粧品製剤、皮膚用製剤および医薬製剤中におけるシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンの使用である。
【0023】
このSiH官能性シロキサンブロック共重合体の調製法は、独国特許出願第102008041601.0号および独国特許出願第102007055485.2号に記載されている。
未公開の独国特許出願第102008041601.0号および独国特許出願第102007055485.2号は、その内容全体が本出願の開示の一部を形成するものと見なされる。
【0024】
例えば、水の量または反応温度などの反応条件を制御した場合、シリコーン部分が分枝状のシロキサンは、アルコキシ基の残部を有することもできる。
【0025】
本発明による構造は、分枝度が高く、また、分子量が高いことがあるにもかかわらず、比較的粘度が低い、即ち、加工が容易である。これらの化合物の粘度は25000mPas未満である。
【0026】
本発明によるシロキサン製剤(preparation)または組成物は、とりわけ乳化剤として好適であり、それらは優れた乳化性とエマルジョン安定性を有する。乳化剤として好適であるには、有機変性により、疎水性と親水性とのある一定のバランスを確立しなければならない。従って、別の対象は、前述のシロキサンを乳化剤として、特に水中油(O/W)型エマルジョンおよび/または油中水(W/O)型エマルジョンに使用することである。
【0027】
これらのシロキサンは、その親水性変性が式IIIaまたはIIIbの多ヒドロキシ官能基である場合、乳化剤として顔料含有製剤に特に好適であることが分かった。従って、対象の1つは、また、顔料含有製剤を安定化させるための、式IIIaの多ヒドロキシ官能性変性を有する本発明による化合物の使用である。特に、無機もしくは有機顔料および/または無機もしくは有機粒子が存在してもよい。
【0028】
さらに、本発明による製剤または組成物中のシロキサンは、官能特性を改善するための、化粧品製剤および医薬製剤用の添加剤として好適である。乳化剤として使用される系は、また、ビロードや絹のような皮膚感触を化粧品製剤に付与することを可能にする。化粧品製剤が容易に延展でき、皮膚に十分吸収されるだけでなく、吸収後に、滑らかで、柔らかで、ビロードのような印象が残ることに消費者はますます重点を置いているため、それは重要である。従って、官能特性を改善するための化粧品製剤および医薬製剤用の添加剤として本発明によるシロキサンを使用することは、本発明の別の対象である。
【0029】
本発明による使用の利点は、シロキサンを高性能乳化剤として、および高性能ケア有効成分として使用できることである。これに関して、それらは皮膚および毛髪に著しいコンディショニング効果をもたらす。例えば、皮膚に対するこのコンディショニング効果のため、製剤の適用後、皮膚の乾燥した、ざらざらした、または粗い状態を防止することができ、心地よいビロードや絹のような皮膚感触が得られる。
【0030】
別の利点は、本発明によるケア有効成分としての使用が、発泡特性の改善、泡の量の増加、および製剤の泡のクリーミーさの向上に寄与することである。
【0031】
別の利点は、使用されるシロキサンは液体であるか、または室温で容易に液化させることができ、化粧品製剤および医薬製剤の従来の構成成分と混合できるため、容易に加工できることである。
【0032】
最終製品の品質および貯蔵安定性に関して、独国特許出願第102008041601.0号および独国特許出願第102007055485.2号に記載の調製方法には、発明に従って製造される分枝状水素シロキサンおよびそれから製造される二次製品はゲル化する傾向が全くまたはほとんどなく、従って、製品の粘度があまり変化することなく長期間にわたって貯蔵できるという利点がある。特に、高分子量生成物の場合、この利点が際立つ。従って、本発明による生成物は、主に、シリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサン、従って、高分枝状で、比較的高分子量(平均モル質量>3000g/mol)でありながらも、ゲル化が起こらず、従って粘度が比較的低い(動的粘度<25000mPas)構造をベースにする。
【0033】
本発明によるシロキサンの別の利点は、側鎖が変性されたシロキサンの利点とα,ω−変性されたシロキサンの利点を併せ持ち、純粋な直鎖構造と比較して、より多く置換できるという意味で変性度が比較的高いことである。そのため、妨げられていない長いシロキサン骨格を有する構造を得ることができ、これは化粧品製剤、皮膚用製剤、および医薬製剤に特に良い皮膚感触を付与することができる。製剤は、ビロードや絹のような、あまり油性感のない皮膚感触を特徴とする。
【0034】
シロキサンの有機変性に用いられる1分子当たり少なくとも1個の二重結合を有する不飽和有機化合物は、例えば、α−オレフィン、ビニルポリオキシアルキレン、アリルポリオキシアルキレン、グリセロールモノアリルエーテルおよび/またはポリグリセロールモノアリルエーテルであってもよい。ビニルポリオキシアルキレンおよび/またはアリルポリオキシアルキレンを使用することが好ましい。特に好ましいビニルポリオキシアルキレンは、例えば、分子量が100g/mol〜5000g/molの範囲のビニルポリオキシアルキレンであり、これらはプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよび/またはスチレンオキサイドなどのモノマーでブロック状のまたはランダムな配列に構成されていてもよく、ヒドロキシ官能基でエンドキャップされていてもよいし、あるいはメチルエーテル官能基またはアセトキシ官能基でエンドキャップされていてもよい。特に好ましいアリルポリオキシアルキレンは、例えば、分子量が100g/mol〜5000g/molの範囲のアリルポリオキシアルキレンであり、これらはプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよび/またはスチレンオキサイドなどのモノマーでブロック状のまたはランダムな配列に構成されていてもよく、ヒドロキシ官能基でエンドキャップされていてもよいし、あるいはメチルエーテル官能基またはアセトキシ官能基でエンドキャップされていてもよい。さらに、グリセロールモノアリルエーテルおよびポリグリセロールモノアリルエーテルを使用することが特に好ましい。
【0035】
これらの不飽和有機化合物を用いた分枝状水素シロキサンの貴金属触媒によるヒドロシリル化は、例えば、従来技術に、例えば、欧州特許第1520870号に記載のように実施することができる。欧州特許第1520870号明細書は、参照により本明細書に援用され、本発明の開示の一部を形成する。白金触媒によるヒドロシリル化は、所望のSiC結合の形成時に高い選択性を有する。しかし、反応条件に応じて、例えば、SiH基とヒドロキシ基との脱水素SiOC結合、または加水分解および縮合反応などの副反応により、副生成物が形成する可能性があり、これは式IIb、IIcおよびIIIbで、より詳細に記載される。
【0036】
有機変性された、特にポリエーテルで変性された分枝状シロキサンを非分枝状シロキサンと混合することにより、有用な界面活性成分であるが、混合比に応じて1分子当たりの分枝単位が全体で1未満である混合物を得ることができることが明らかである。
【0037】
使用:
本発明による製剤の使用を以下に例として説明するが、本発明はこれらの例示的実施形態に何ら限定されるものではない。以下に範囲、一般式、または化合物の種類を記載する場合、これらは明記された当該範囲または化合物の群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除去することによって得ることができる全ての部分範囲および化合物の部分群も含むものとする。本明細書の文脈で文献を引用する場合、それらの内容全体が本発明の開示の一部を形成するものとする。
特に明記されない限り、以下の説明または実施例におけるパーセンテージデータは全て重量に基づくものと理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
乳化剤としての使用:
本発明による乳化剤製剤は、好ましくは水中油型、油中水型またはシリコーン中水型の乳化剤または分散助剤として使用される。従って、本発明は、無機または有機の顔料または粒子を含み、本発明による乳化剤の少なくとも1つを含む分散体またはエマルジョンも提供する。
【0039】
乳化剤は、好ましくはテキスタイル用のO/W型含浸エマルジョンの製造にも使用される。テキスタイルは、好ましくはウェットワイプ、特に好ましくは化粧用ウェットワイプである。
【0040】
本発明によるエマルジョンおよび分散体は、全質量に基づいて、乳化剤、界面活性剤および任意選択により共乳化剤(coemulsifier)の質量パーセンテージの合計よりも高い質量パーセントの油成分を含む。
【0041】
そのため、本発明による乳化剤製剤を用いて得られる水中油型、油中水型、およびシリコーン中水型のエマルジョンおよび分散体、ならびにテキスタイル用のO/W型含浸エマルジョンも同様に本発明の対象である。本発明によるO/W型含浸エマルジョンを含浸させたテキスタイルも同様に本発明の対象である。これらは清浄性能が良好で、心地よいビロードや絹のような皮膚感触を特徴とする。
【0042】
本発明の別の対象は、化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤を製造するための本発明による乳化剤製剤の使用である。化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤を製造するための本発明によるエマルジョンおよび分散体の使用も同様に本発明の対象である。
【0043】
そのため、少なくとも1種類の本発明による乳化剤製剤、または少なくとも1種類の本発明によるエマルジョンもしくは分散体を含む化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤も同様に本発明の対象である。
【0044】
本発明の別の対象は、家庭用または産業用の、特に硬質表面、皮革またはテキスタイル用のケアおよび清浄用組成物(任意選択により分散固体を含む)を製造するための乳化剤製剤または本発明によるエマルジョンもしくは分散体の使用である。そのため、家庭用または産業用のケアおよび清浄用組成物、ならびに硬質表面、皮革またはテキスタイル用のケアおよび清浄用組成物も同様に本発明の対象である。
【0045】
本発明による化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤、ならびにケアおよび清浄用組成物は、例えば、皮膚軟化剤、乳化剤および界面活性剤、増粘剤/粘度調整剤/安定剤、紫外線防護フィルタ、酸化防止剤、ヒドロトロープ(またはポリオール)、固形分および充填剤、皮膜形成剤、光沢添加剤(pearlescent additives)、防臭および制汗有効成分、昆虫用防虫剤、セルフタンニング剤(self-tanning agents)、防腐剤、コンディショナー、香料、色素(dyes)、化粧品有効成分、ケア用添加剤、過脂肪剤、溶剤の群から選択される少なくとも1種類の追加の成分を含んでもよい。
【0046】
個々の群の代表例として使用され得る物質は当業者に既知であり、例えば、独国特許出願第102008001788.4号に記載されている。この特許出願は参照により本明細書に援用され、従って本開示の一部を形成する。
【0047】
1つの好ましい実施形態では、本発明による化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤、ならびにケアおよび清浄用組成物は、追加の成分として、顔料(例えば、TiO、FeO、ZnO、マイカ、および、例えば、UVフィルタ物質および固形分に列挙されるもの)または粒子(例えば、シリコーンエラストマー、ナイロン−12、PMMA、窒化ホウ素、および、例えば、UVフィルタ物質および固形分に列挙されるもの)を含む。
【0048】
同様に好ましい実施形態では、本発明による化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤、ならびにケアおよび清浄用組成物は、追加の成分として化粧品有効成分を含む。
【0049】
化粧品製剤または医薬製剤の製造に、本発明による乳化剤製剤または本発明によるエマルジョンもしくは分散体を使用することが好ましい。
【0050】
本発明による乳化剤製剤は、その親水性に応じて、W/O型乳化剤製剤の形態で使用しても、またはO/W型乳化剤製剤の形態で使用してもよい。
【0051】
従って、本発明による乳化剤製剤を含むエマルジョンおよび分散体の可能な使用形態は、スプレー、ローション、クリーム、軟膏であり、従って、水のように希薄なものから固いペースト状(極端な場合、固体)までの非常に広い稠度範囲で使用することが可能である。
【0052】
そのため、乳化剤製剤は、例えば、顔面、身体および手用のケアクリームおよびローションに、日焼け止めエマルジョンに、メーキャップに、エアゾール、ロールオン、ポンプスプレー、スティックに、例えば、制汗/防臭分野に、ベビーケア製品に、インティメイトケア製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品、または口腔ケア製品に、および皮膚用軟膏に使用することができる。
【0053】
親油性ケア有効成分としての使用:
本発明によるシリコーン生成物は、さらに好ましくは親油性皮膚軟化剤として使用される。従って、本発明の対象は、また本発明によるシリコーン生成物が官能特性を改善するための添加剤として使用される化粧品製剤である。疎水性皮膚軟化剤/ケア有効成分は、好ましくは化粧品製剤の油相に溶解される。ここでは主に、例えば、アルキル基などの親油性置換基で変性されたシリコーン生成物が使用される。
【0054】
親水性ケア有効成分としての使用:
本発明の別の構成要素は、本発明によるケア有効成分を含むケア製剤である。
【0055】
本発明によるシリコーン生成物は、とりわけ、好ましくは親水性皮膚軟化剤としても使用される。従って、本発明は、本発明によるシリコーン生成物が官能特性を改善するための添加剤として使用される化粧品製剤も提供する。この用途では、シリコーン生成物の水に対する十分な溶解性または水中における十分な乳化性が必要である、即ち、ここでは特にポリエーテル基で変性された生成物が使用される。
【0056】
好ましくは、ケア製剤は、ケア製剤の全質量に基づいて、0.01質量パーセント〜20質量パーセント、好ましくは0.05質量パーセント〜10質量パーセント、特に好ましくは0.1質量パーセント〜3質量パーセントのケア有効成分を含む。
【0057】
同様に、水性、特に好ましくは、水性界面活性ケア製剤が好ましい。
【0058】
好ましくは、これらのケア製剤は、化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤である。
これらは、例えば、シャワー浴剤およびシャワージェル、浴用製剤、液体石鹸およびシャンプー、皮膚パック剤、シェービングフォーム、ヘアリンス、リーブインコンディショナー、および毛髪用スタイリング製品であってもよく、ここで、毛髪(ヘア)の用語は、毛皮および皮膚も意味するものと理解すべきである。
本発明によるケア製剤は、前述のように、例えば、独国特許出願第102008001788.4号におけるような少なくとも1種類の追加の成分を含んでもよい。
【0059】
本発明によるケア製剤は、スキンケア製品、フェースケア製品、頭部ケア製品、ボディケア製品、インティメイトケア製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品または口腔ケア製品として使用することができる。
【0060】
本発明によるケア製剤は、エマルジョン、懸濁液、溶液、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、エアゾール、スプレー、清浄用製品、メーキャップまたは日焼け止め製剤、または化粧水の形態で使用することができる。
【0061】
本発明に該当するケア製剤は、皮膚および毛髪に対するコンディショニング効果を有し、ここで、毛髪(ヘア)の用語は、毛皮または皮膚も含むものと理解すべきである。
【0062】
従って、本発明は、皮膚および/または毛髪のコンディショニングのための、本発明による化合物およびその製剤の使用を提供し;本発明の別の対象は、心地よいビロードや絹のような皮膚感触を付与するための、および皮膚が乾燥したまたはざらざらした状態にならないようにするための本発明による製剤の使用であり;本発明のさらに別の対象は、櫛通り、柔軟性、形成化能(ability to be shaped)、扱い易さ、解け易さ、ボリューム、艶の群から選択される少なくとも1つの毛髪特性を改善するための本発明による製剤の使用である。
【0063】
本発明によるケア製剤は、ストレスを受けた皮膚の粗さを低減する。従って、本発明は、さらに、皮膚の粗さを低減するための本発明による製剤の使用を提供する。
【0064】
本発明は、さらに、式Iのシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンを含む製剤を提供する。
【0065】
本発明の別の対象は、式I(式中、bは1以上であり、dは0である)のシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンを含む製剤、および、有機変性が一般式IIaのポリエーテル基または一般式IIIaのグリセロール誘導体である製剤である。
【0066】
本発明は、さらに、エマルジョンの形態の製剤の少なくとも1つを含む化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤を提供する。
【0067】
本発明は、さらに、エマルジョンの形態の前述の製剤の少なくとも1つを含む、家庭用、硬質表面、皮革またはテキスタイル用のケアおよび/または清浄用組成物を提供する。
【0068】
本発明は、さらに、追加の成分として粒子または顔料を含むケアおよび清浄用組成物の形態の化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤を提供する。
本発明は、さらに、追加の成分として化粧品有効成分を含むケアおよび/または清浄用組成物の形態の化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤を提供する。
【0069】
本発明の別の対象は特許請求の範囲から明らかになり、その開示内容全体が本明細書の一部となる。
【実施例】
【0070】
以下に記載する実施例において本発明を例として説明するが、本発明は実施例に明記される実施形態に何ら限定されるものではなく、その適用範囲は明細書全体および特許請求の範囲から明らかとなる。以下に範囲、一般式、または化合物の種類を記載する場合、これらは明記された当該範囲または化合物の群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除去することによって得ることができる全ての部分範囲および化合物の部分群も含むものとする。本明細書の文脈で文献を引用する場合、それらの内容全体が本発明の開示の一部を形成するものとする。本発明の文脈で、例えば、異なるモノマー単位を複数有し得る有機変性ポリシロキサンまたはポリオキシアルキレンなどの化合物を記載する場合、それらは、これらの化合物中にランダムな配列で(ランダムオリゴマー)存在してもまたはある一定の配列(ブロックオリゴマー)で存在してもよい。このような化合物中の単位の数に関するデータは、当該化合物全部について平均した統計学的平均値であるものと理解すべきである。本発明の文脈では、乳化剤製剤は、一般式(I)の少なくとも1種類の物質、および任意選択により少なくとも1種類の共乳化剤を含む乳化剤を意味するものと理解すべきである。
【0071】
式Iのポリエーテル変性、アルキル変性および/またはグリセロール変性シロキサンを製造するための一般的作業手順I(GWI I):
【化5】

{式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
式中、
=メチルであり、
、R:表1参照}
精密研削ガラス撹拌機、滴下漏斗、内部温度計、および還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、α−オレフィンおよび/またはアリルポリエーテルおよび/またはグリセロールモノアリルエーテル1.3・(b+d)モル、およびカールシュテット(Karstedt)触媒10ppmを最初の充填物として入れ、窒素雰囲気下で90℃に加熱した。一般式IV
【化6】

のSiH−シロキサン(独国特許出願102008041601.0号および独国特許出願102007055485.2号の手順に従って調製)1モルを滴下し、混合物を90℃で2時間撹拌した。SiH値の測定によれば、SiH−シロキサンの完全な変換が得られた。それぞれ、粘稠で透明乃至僅かに濁った、実質的に無色の生成物が得られた。
【0072】
表1に、これらの一般的手順GWI Iに従って調製したシロキサンを記載する。
【0073】
【表1】
【0074】
式Iのアルキルおよびポリエーテル混合変性シロキサン、またはアルキルおよびグリセロール混合変性シロキサンを製造するための一般的作業手順II(GWI II):
【化7】

{式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
式中、
=R=メチルであり、
:表2参照}
精密研削ガラス撹拌機、滴下漏斗、内部温度計、および還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、α−オレフィン1.3・(b+d)・oモルおよびアリルポリエーテルおよび/またはグリセロールモノアリルエーテル1.3・(b+d)・pモル(ここで、o+p=1)、および、約30%(全初期重量に基づく)トルエン中のカールシュテット(Karstedt)触媒10ppm(溶媒を含まない原料に基づく)を最初の充填物として入れ、窒素雰囲気下で90℃に加熱した。一般式V
【化8】

の分枝状のSiH−シロキサン(独国特許出願102008041601.0号および独国特許出願102007055485.2号の手順に従って調製)1モルを滴下し、混合物を90℃で2時間撹拌した。SiH値の測定によれば、SiH−シロキサンの完全な変換が得られた。次いで、揮発性留分を約1mbarおよび110℃の減圧下にて留去した。それぞれ、粘稠で透明乃至僅かに濁った、実質的に無色の生成物が得られた。
【0075】
表2に、これらの一般的手順GWI IIにより製造したシロキサンを記載する。
【0076】
【表2】
【0077】
使用例:
使用例における濃度は全て、重量パーセントで記載する。エマルジョンの調製には、当業者に既知の通常の均質化プロセスを使用した。
【0078】
製剤の構成成分は、一般に認識されているINCI命名法の形態で、その組成に名前を記載する。
【0079】
エマルジョンの実施例:
これらの実施例は、本発明による乳化剤を多数の化粧品製剤に使用できることを示すことを意図したものである。本発明による乳化剤の親水性に応じて、O/W型またはW/O型のエマルジョンを製造することが可能である。さらに、本発明による乳化剤を用いて、エマルジョン製剤に顔料または固形分を安定に配合することが可能である。さらに、実施例は、通常の共乳化剤、油、増粘剤および安定剤と良好な相溶性を示す。
【0080】
O/W型エマルジョンの実施例:
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
W/O型エマルジョンの実施例:
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
疎水性皮膚軟化剤としての使用例:
下記の2つの実施例は、本発明による生成物を、場合によっては化粧品製剤に疎水性または親油性皮膚軟化剤として使用することもでき、これに良好な官能特性がもたらされることを示すことを意図したものである。
【0092】
【表12】
【0093】
【表13】
【0094】
リンスオフ(rinse-off)用途の実施例:
手洗い試験による皮膚のコンディショニング(スキンケア性能)および泡特性の試験:
本発明によるシリコーン部分が分枝状の有機変性シロキサンである生成物番号5の水性界面活性製剤中における皮膚のコンディショニング(スキンケア性能)および泡特性を評価するため、従来技術による比較例である生成物番号12と比較した手洗い官能試験を行った。
【0095】
比較生成物12は、業界でケア有効成分として一般に普及しており、水性界面活性製剤における効果の高いケア有効成分と見なされている。
10人の訓練された被験者からなるグループは、規定された方法で手を洗い、泡特性および皮膚感触を、1(不良)〜5(非常に良好)の評価段階を使用して評価した。
使用した生成物は、それぞれ、標準化された界面活性剤製剤(表14)中で試験した。
ポリエーテルシロキサンを添加しない製剤を対照製剤19として使用する。
【0096】
【表14】
【0097】
官能試験の結果を表15に要約する。
【0098】
【表15】
【0099】
手洗い試験の結果を表15に示す。測定結果から、本発明による生成物番号5を使用した本発明による製剤20の方が、従来技術による比較製剤C21と比較して全ての使用特性において優れていることが明らかである。
このような背景から、本発明による製剤20の結果は非常に良好であると見なされる。
測定値を参照すると、製剤20における本発明による生成物番号5の方が、製剤C21における生成物番号12と比較して、皮膚特性および泡特性を向上させることが明らかである。
さらに、測定値から、ポリエーテルシロキサン化合物を含まない対照製剤19は製剤20およびC21より測定値が不良であることが分かる。
【0100】
官能試験による毛髪のコンディショニングの試験:
実用に関する毛髪のコンディショニングの評価を行うため、本発明による生成物番号5および比較生成物番号12を単一の化粧品製剤(シャンプーおよびヘアリンス)に使用した。
【0101】
シャンプーに使用した場合の使用特性を次の製剤中で調べた:
【0102】
【表16】
【0103】
シャンプー製剤の特性を評価するため、試験中、リンスによる後処理を行わなかった。
【0104】
ヘアリンスに使用する場合の使用特性を次の製剤中で試験した:
【0105】
【表17】
【0106】
ヘアリンスの特性試験を行う場合、コンディショナーを含有しないシャンプーを使用して毛髪を前処理する。
【0107】
実用に関する評価を行うため、官能試験に使用する毛髪束に、パーマネントウェーブ処理および漂白処理による標準化した方法で予めダメージを与える。このために、通常のスタイリング製品を使用する。試験手順、使用するベース材料および評価基準の詳細は、独国特許第10327871号に記載されている。
【0108】
予めダメージを与えた毛髪束のコンディショニングサンプルによる標準化された処理:
前述のように予めダメージを与えた毛髪束を、前述のシャンプーまたは前述のコンディショニングリンスで次のように処理する:
毛髪束を温かい流水で濡らす。余分な水を手でやさしく絞り出した後、シャンプーを付け、毛髪にやさしくなじませる(1ml/毛髪束(2g))。1分間滞留させた後、毛髪を1分間すすぐ。
必要に応じて、直後に、リンスを付け、毛髪にやさしくなじませる(1ml/毛髪束(2g))。1分間滞留させた後、毛髪を1分間すすぐ。
【0109】
官能評価の前に、大気湿度50%および25℃の空気中で少なくとも12時間、毛髪を乾燥させる。
【0110】
評価基準:
1〜5の段階(1は最も悪い評価であり、5は最も良い評価である)で与えられる評点を使用して官能評価を行う。個々の試験基準に対して、それぞれ評価が与えられる。
試験基準は、湿潤時の櫛通り、湿潤時の感触、乾燥時の櫛通り、乾燥時の感触、外観/艶である。
下記の表18は、本発明による製剤23、比較製剤C24および対照製剤22(試験物質を含まないプラセボ)を用いて前述のように実施した毛髪束の処理の官能評価の結果を比較する。
【0111】
【表18】
【0112】
意外なことに、結果から、本発明による生成物番号5を含む本発明による製剤23は従来技術による生成物番号12を含む比較製剤C24よりはるかに良い評価を得ることが分かる。本発明による製剤が全て艶特性について良い評価を得たことが、特に明らかに際立っている。
【0113】
【表19】
【0114】
ヘアリンスの用途においても、本発明による生成物5を含む本発明による製剤26は、官能評価において非常に良い化粧品評価を示す。これに関して、比較生成物番号12を含む比較製剤C27は特性が非常に優れていたが、本発明による化合物番号5を含む本発明による製剤26はそれよりさらに優れていた。
艶に関しても、本発明による製剤26の使用により評価の著しい向上が達成される。
【0115】
他の製剤の実施例:
これらの実施例は、本発明によるシロキサンを多数の化粧品製剤に使用できることを示すことを意図したものである。
【0116】
【表20】
【0117】
【表21】
【0118】
【表22】
【0119】
【表23】
【0120】
【表24】
【0121】
【表25】
【0122】
【表26】
【0123】
【表27】