(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。以下では、二次電池はリチウムイオン二次電池であるものとして説明するが、これ以外でも充放電可能で、電気化学反応によって発熱する電池であってもよい。例えばニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム蓄電池、鉛蓄電池、金属リチウム二次電池等であってもよい。
【0012】
また、耐火断熱材板は、ケイ酸カルシウム板であるものとして説明するが、これ以外でも、適当な耐火性、適当な断熱性、適当な強度を有する材質の板であればよい。例えば、適当な材質のセラミック板を用いることができる。
【0013】
また、以下で述べる形状、材質等は、説明のための例示であり、二次電池収納システムラックの仕様に応じ適宜変更が可能である。例えば、二次電池ブロックに収納される二次電池の形状、個数、耐火断熱材板の形状、個数等は、例示である。
【0014】
また、以下では、全ての図面において、同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0015】
図1は、二次電池収納システムラック10において正面扉14を閉じているときの正面図と上面図を示す図である。
図2は、二次電池収納システムラック10において正面扉14を開いているときの正面図と上面図を示す図である。
図3は、正面扉14を開いているときの二次電池収納システムラック10の具体的な要素の配置関係を示す図である。二次電池収納システムラック10は、収納本体部12と、消火装置20とを含んで構成される。
【0016】
収納本体部12は、吸気弁94と、排気弁96と、避圧弁98と、第1煙センサ90と、第2煙センサ92と、回路ブロック40と、二次電池ブロック120とを内部に収納するラックとしての機能を有する。収納本体部12は、底面が略正方形であって重力方向Gに沿って細長く伸びた箱型で、三方が側壁部材122,124,126で囲まれて設けられ、残り一方には開閉可能な正面扉14が設けられている。なお、側壁部材122,124,126と正面扉14は、適当な強度を有する材質、例えば、ステンレス鋼材を用いて形成されている。
【0017】
収納本体部12の正面扉14において下部に設けられる吸気ファン部32は、収納本体部12の外部から内部に空気を取り込む機能を有する。また、正面扉14の上部に設けられる排気ファン部30は、収納本体部12の内部から外部に空気を排出する機能を有する。吸気ファン部32と排気ファン部30は、それぞれ正面扉14に設けられる開口部と、開口部に合わせて正面扉14に取り付けられるファンとを含んで構成される。吸気ファン部32と排気ファン部30の動作は、回路ブロック40の制御ユニット44の下で制御される。
【0018】
図4は、二次電池収納システムラック10の収納本体部12に収納される各要素の接続関係を示す図である。ここでは、二次電池収納システムラック10を構成する要素ではないが、二次電池収納システムラック10に接続されるものとして、売電会社2と、買電会社3と、AC負荷4と、第2DC/DC変換回路62と、DC負荷6と、光電変換モジュール8が示されている。なお、
図4において、二次電池ブロック120からブレーカユニット42を介して出力されるDC電圧は、DC96vとして表示しているが、この値は、もちろん例示である。二次電池ブロック120からブレーカユニット42を介して出力されるDC電圧は、二次電池140の電圧状態によって変動するため、当該DC電圧は、例えば、約78v〜約104vの範囲で変動する。
【0019】
売電会社2は、二次電池収納システムラック10に対して、当該会社の施設内等で発電された電力を売る電力会社である。買電会社3は、光電変換モジュール8によって発電され、二次電池収納システムラック10を介して供給されてきた電力を買い取る電力会社であり、ここでは売電会社2と別の会社として記載しているが、もちろん同一の電力会社であってもよい。
【0020】
AC負荷4は、二次電池収納システムラック10が設置される施設内で使用され、交流電力で作動する負荷装置である。第2DC/DC変換回路62は、入力された直流電力をDC負荷6に応じた直流電力として出力する電力変換回路である。DC負荷6は、二次電池収納システムラック10が設置される施設内で使用され、直流電力で作動する負荷装置である。AC負荷4とDC負荷6とは、二次電池収納システムラック10が設置される施設内で使用されるものとして説明したが、もちろん、二次電池収納システムラック10が設置される施設外で使用されるものであってもよい。また、ここでは第2DC/DC変換回路62は、二次電池収納システムラック10の外部に設けられるものとして説明するが、二次電池収納システムラック10の内部に設けられるものとしてもよい。
【0021】
光電変換モジュール8は、入射された太陽光を電力に変換して出力するための装置である。なお、ここでは、光電変換モジュール8は、太陽光を直流電圧約120vの電力に変換して出力する光電変換部を2つ含んでいる。
【0022】
ここで、
図1〜3に示されるように、収納本体部12の内部に配置される要素の配置関係は、質量の大きい二次電池ブロック120を回路ブロック40よりも重力方向Gの下方に配置する。換言すれば、二次電池ブロック120に比べて質量の小さい回路ブロック40を、二次電池ブロック120よりも重力方向Gの上方に配置する。このように、二次電池ブロック120を収納本体部12の内部において最も下方に配置することで、収納本体部12における重心が下部に位置するため、収納本体部12を安定して設置することができる。さらに、質量が大きい二次電池ブロック120が収納本体部12の下部に配置されることで、重力方向Gに沿って細長く伸びた箱型の収納本体部12の上部に配置される場合に比べて、低い位置で二次電池ブロック120に対して作業を行なうことができるため、メンテナンス作業を容易に行なうことができる。なお、収納本体部12の重心が下部となるように二次電池ブロック120を下方に配置すればよく、二次電池ブロック120の下方に他の装置が設けられていてもよい。
【0023】
収納本体部12の天井部の上側には、外部と電力のやり取りを行うための電力線100を収納本体部12の内部に導く電力端子部が載置されている。
図3の例では、直流電力の入力線と出力線、交流電力の入力線と出力線の4本が電力線100として示されている。なお、これは1つの例であり、これ以外の構成の電力線100としてもよい。
【0024】
また、収納本体部12の天井部の上側には、外部と信号のやり取りを行うための信号線102,104,106を収納本体部12の内部に導く信号端子部が載置されている。
図3の例では、充放電指令信号線102、外部警報信号線104、異常信号線106が示されている。
【0025】
充放電指令信号線102は、二次電池収納システムラック10の外部の制御装置等から、収納本体部12の回路ブロック40の制御ユニット44に対し、二次電池ブロック120の充放電について指令するための信号を伝送する信号線である。外部警報信号線104は、二次電池収納システムラック10の外部において火災が発生した等の場合に生成される警報信号を制御ユニット44に伝送するための信号線である。異常信号線106は、二次電池ブロック120において異常な温度上昇等が発生した場合に制御ユニット44で異常信号を生成し、それを外部の制御装置等に伝送するための信号線である。なお、これらの信号線は例示であって、勿論これら以外の信号線を設けるものとできる。
【0026】
また、回路ブロック40は、電力分配器ユニット46と、制御ユニット44と、ブレーカユニット42とを含んで構成される。これらの各要素は、二次電池収納システムラック10の二次電池ブロック120と外部との間で電力のやり取りを行う場合の電力の流れに沿うように、電力線100に接続される電力分配器ユニット46を最も上方に、電力分配器ユニット46とブレーカユニット42を制御する制御ユニット44を真ん中に、二次電池ブロック120に接続されるブレーカユニット42は最も下方に配置される。これにより、各要素を接続する配線を短くすることができるため、配線抵抗による電力損失を抑制することができる。以下では、まず制御ユニット44の2つの機能のうち、充放電制御部80の機能に関連する回路ブロック40と二次電池ブロック120の構成について詳述し、制御ユニット44の消火制御部82の機能に関連する吸気弁94と、排気弁96と、避圧弁98と、第1煙センサ90と、第2煙センサ92と、消火装置20については後述する。なお、回路ブロック40は、電力分配器ユニット46と制御ユニット44とブレーカユニット42とを含むものとして説明したが、全ての要素が設けられなくてもよい。ここで、回路ブロック40の質量とは、回路ブロック40を構成する各要素の総質量をいう。
【0027】
電力分配器ユニット46は、直列・並列切替回路50と、第1DC/AC変換回路52と、第2DC/AC変換回路54と、第1AC/DC変換回路56と、第2AC/DC変換回路58と、第1DC/DC変換回路60と、第1切替回路70と、第2切替回路72と、第3切替回路74と、第4切替回路76、第5切替回路77と、第6切替回路79とを含んで構成される。
【0028】
直列・並列切替回路50は、光電変換モジュール8と、第1DC/AC変換回路52、第1切替回路70との接続を切り替える切替回路である。
【0029】
第1DC/AC変換回路52は、直列・並列切替回路50と買電会社3とを接続し、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。
【0030】
第2DC/AC変換回路54は、第5切替回路77とAC負荷4とを接続し、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。
【0031】
第1AC/DC変換回路56は、第2切替回路72と第3切替回路74とを接続し、交流電力を直流電力に変換する電力変換回路である。
【0032】
第2AC/DC変換回路58は、第2切替回路72と第4切替回路76とを接続し、交流電力を直流電力に変換する電力変換回路である。
【0033】
第1DC/DC変換回路60は、第1切替回路70と第3切替回路74とを接続し、入力された直流電力を二次電池140の充電に適した直流電力に変換して出力する電力変換回路である。
【0034】
第1切替回路70は、直列・並列切替回路50と第1DC/DC変換回路60、第5切替回路77との接続を切り替える切替回路である。
【0035】
第2切替回路72は、売電会社2と第1AC/DC変換回路56、第2AC/DC変換回路58との接続を切り替える切替回路である。
【0036】
第3切替回路74は、第1DC/DC変換回路60、第1AC/DC変換回路56とブレーカユニット42との接続を切り替える切替回路である。
【0037】
第4切替回路76は、第6切替回路79、第2AC/DC変換回路58と第2DC/DC変換回路62との接続を切り替える切替回路である。
【0038】
第5切替回路77は、第1切替回路70、第6切替回路79と第2DC/AC変換回路54との接続を切り替える切替回路である。
【0039】
第6切替回路79は、ブレーカユニット42と第4切替回路76、第5切替回路77との接続を切り替える切替回路である。
【0040】
電力分配器ユニット46よりも下方に配置される制御ユニット44は、充放電制御部80と、消火制御部82とを含んで構成される。充放電制御部80は、充放電指令信号線102によって伝送されてくる充放電指令によって、外部と二次電池ブロック120との間で電力の充放電されるように、電力分配器ユニット46を制御する機能を有する。また、消火制御部82は、外部警報信号線104から伝送される外部警報信号等に基づいて、消火装置20から二次電池ブロック120に消火剤を供給させるように消火装置20を制御する機能を有する。制御ユニット44の充放電制御部80と消火制御部82の機能は、二次電池収納システムラック10の各動作を説明する際に詳述する。なお、制御ユニット44と電力分配器ユニット46とは信号線108で接続され、制御ユニット44とブレーカユニット42とは信号線110で接続されている。
【0041】
制御ユニット44よりも下方に配置されるブレーカユニット42は、第3切替回路74、第6切替回路79と二次電池ブロック120とを接続/遮断し、制御ユニット44の制御によって接続/遮断制御がなされる。
【0042】
ブレーカユニット42よりも下方に配置される二次電池ブロック120は、充放電を行う複数の二次電池140と、各二次電池140の間における熱伝導を抑制するための耐火断熱板材134とを含んで構成される。二次電池140として、例えば、炭素物質で構成された負極と、リチウムイオンが移動するための電解液と、リチウムイオンを可逆的に出し入れできる正極活物質とを有するリチウムイオン二次電池を用いることができる。耐火断熱板材134としては、例えば、耐火性・断熱効果・強度に優れているケイ酸カルシウム板を用いることができる。なお、二次電池ブロック120は、複数の二次電池140と耐火断熱板材134とを含むものとして説明したが、耐火断熱板材134を含まずに二次電池140のみを含むものとしてもよい。ここで、二次電池ブロック120の質量とは、二次電池140のみを含む場合は、二次電池140の総質量をいい、二次電池140と耐火断熱板材134を含む場合は、二次電池140と耐火断熱板材134の総質量をいう。
【0043】
また、各二次電池140は、ブレーカユニット42と電力線114を介して接続される電極と、内部の温度状態を検知する温度センサ142とを含んで構成される。そして、当該温度センサ142は、それぞれ信号線112によって制御ユニット44に接続され、制御ユニット44に温度信号(温度情報)を伝送している。
【0044】
続いて、二次電池収納システムラック10の制御ユニット44の充放電制御部80の動作について説明する。充放電指令信号線102によって伝送されてくる充放電指令の種類として、下記の第1モードから第6モードの6つのモードが存在する。第1モードは、光電変換モジュール8によって発電された電力を二次電池ブロック120に充電させるモードである。第2モードは、光電変換モジュール8によって発電された電力をAC負荷4に供給させるモードである。第3モードは、光電変換モジュール8によって発電された電力を買電会社3に供給させるモードである。第4モードは、売電会社2から供給された電力を二次電池ブロック120に充電させるモードである。第5モードは、二次電池ブロック120から放電された電力をAC負荷4に供給させるモードである。第6モードは、二次電池ブロック120から放電された電力をDC負荷6に供給させるモードである。
【0045】
充放電指令が第1モードである場合には、充放電制御部80は、光電変換モジュール8の2つの光電変換部からの出力を並列にして直流電圧約120vの電力が出力されるように直列・並列切替回路50を切り替える。そして、充放電制御部80は、直列・並列切替回路50により供給された直流電圧約120vの電力が第1DC/DC変換回路60に供給されるように第1切替回路70を切り替え、さらに、第1DC/DC変換回路60によって直流電圧約120vの電力が二次電池140の充電に適した電力に降圧されるように制御する。また、充放電制御部80は、第1DC/DC変換回路60によって出力された直流電圧96vの電力がブレーカユニット42に供給されるように第3切替回路74を切り替え、さらに、その電力が充電電力として二次電池ブロック120に供給されるようにブレーカユニット42を接続制御する。なお、ここでは第1DC/DC変換回路60を用いて直流電圧約120vの電力が、例えば、直流電圧96vの電力に降圧されるものとして説明したが、第1DC/DC変換回路60を設けずに直流電圧約120vの電力をそのまま充電電力としてもよい。
【0046】
充放電指令が第2モードである場合には、充放電制御部80は、光電変換モジュール8の2つの光電変換部からの出力を並列にして直流電圧約120vの電力が出力されるように直列・並列切替回路50を切り替える。そして、充放電制御部80は、直列・並列切替回路50により供給された直流電圧約120vの電力が第5切替回路77に供給されるように第1切替回路70を切り替え、さらにその電力が第2DC/AC変換回路54に供給されるように第5切替回路77を切り替える。また、充放電制御部80は、第5切替回路77から供給された直流電圧約120vの電力が交流電圧100vの電力に変換されてAC負荷4に供給されるように第2DC/AC変換回路54を制御する。
【0047】
充放電指令が第3モードである場合には、充放電制御部80は、光電変換モジュール8の2つの光電変換部からの出力を直列にして直流電圧240vの電力が出力されるように直列・並列切替回路50を切り替える。そして、充放電制御部80は、直列・並列切替回路50により供給された直流電圧240vの電力が交流電圧200vの電力に電力変換されて買電会社3に供給されるように第1DC/AC変換回路52を制御する。
【0048】
充放電指令が第4モードである場合には、充放電制御部80は、売電会社2から供給された電力が第1AC/DC変換回路56に供給されるように第2切替回路72を切り替え、さらに第1AC/DC変換回路56によって交流電圧100vの電力が二次電池140の充電に適した電力に電力変換されるように制御する。また、充放電制御部80は、第1AC/DC変換回路56によって出力された直流電圧96vの電力がブレーカユニット42に供給されるように第3切替回路74を切り替え、その電力が充電電力として二次電池ブロック120に供給されるようにブレーカユニット42を接続制御する。
【0049】
充放電指令が第5モードである場合には、充放電制御部80は、二次電池ブロック120から放電された放電電力が第6切替回路79に供給されるようにブレーカユニット42を接続制御する。そして、充放電制御部80は、第6切替回路79に供給された電力が第5切替回路77に供給されるように第6切替回路79の切り替えを行う。さらに、充放電制御部80は、第5切替回路77に供給された電力が第2DC/AC変換回路54に供給されるように第5切替回路77の切り替えを行い、第5切替回路77から供給された直流電圧96vの電力が交流電圧100vの電力に電力変換されてAC負荷4に供給されるように第2DC/AC変換回路54を制御する。
【0050】
充放電指令が第6モードである場合には、充放電制御部80は、二次電池ブロック120から放電された放電電力が第6切替回路79に供給されるようにブレーカユニット42を接続制御する。そして、充放電制御部80は、第6切替回路79に供給された電力が第4切替回路76に供給されるように第6切替回路79の切り替えを行う。さらに、充放電制御部80は、第6切替回路79から第4切替回路76に供給された電力が第2DC/DC変換回路62に供給されるように第4切替回路76を切り替える。また、このとき二次電池ブロック120からの放電電力が十分でないときに備えて、売電会社2から供給された電力が第2AC/DC変換回路58に供給されるように第2切替回路72を切り替え、第2AC/DC変換回路58によって交流電圧200vの電力が二次電池140からの放電に合わせた電力に電力変換されて第4切替回路76に出力されるように制御することもできる。なお、第4切替回路76から供給された電力は、第2DC/DC変換回路62によって電力変換されてDC負荷6に供給される。
【0051】
次に、制御ユニット44の消火制御部82の機能に関連する第1煙センサ90と、第2煙センサ92と、消火装置20と、吸気弁94と、排気弁96と、避圧弁98とについて詳述する。
【0052】
第1煙センサ90と第2煙センサ92は、万一、二次電池140が所定の許容温度を超えて異常状態となって発火したときに、それによって発生する煙を検知するための煙検知センサである。第1煙センサ90は、収納本体部12の内部で二次電池ブロック120が配置される上部領域に配置され、第2煙センサ92は、収納本体部12の内部で最上部の近傍に配置される。第1煙センサ90と第2煙センサ92の検知結果は、回路ブロック40の制御ユニット44に伝送される。
【0053】
消火装置20は、収納本体部12の上側に載置される消火設備として機能する。消火装置20は、消火剤コントロールユニット22と、消火剤タンク24と、消火剤供給弁26と、消火剤供給配管28とを含んで構成される。
【0054】
消火剤タンク24は、消火剤を貯蔵するタンクである。消火剤供給配管28は、消火剤タンク24の消火剤を二次電池ブロック120に対して供給するための配管であり、収納本体部12の上側に載置される消火装置20から、収納本体部12の下部に配置される二次電池ブロック120に向かって延びて配置される。ここで、消火剤タンク24に充填される消火剤は、単位体積あたりの質量が空気の単位体積当りの質量よりも大きく、電気的絶縁性を有するものが用いられ、例えば、噴射後に熱分解によって揮発性のトリフルオロメチル基(CF
3*)を発生するCF
3CF
2C(O)CF(CF
3)
2を用いることができる。
【0055】
消火剤タンク24を収納本体部12の上側、すなわち収納本体部12の天井部の上側に配置することで、二次電池ブロック120の近傍に消火剤タンク24を配置することに比べ、仮に二次電池ブロック120が発火したときに消火剤タンクが受けるダメージを少なくすることができ、より確実な消火動作を行うことができる。
【0056】
消火剤供給弁26は、開弁したときに、消火剤タンク24から消火剤供給配管28に消火剤を供給させることを許容し、閉弁したときに、消火剤タンク24から消火剤供給配管28に消火剤を供給させることを停止する。なお、消火剤供給弁26は、消火剤コントロールユニット22によって開閉弁制御がなされる。
【0057】
消火剤コントロールユニット22は、外部警報信号線104を介して入力される消火開始信号を示す外部警報信号、あるいは、制御ユニット44からの消火開始信号があったときに消火剤供給弁26を開弁する。また、消火剤コントロールユニット22は、制御ユニット44からの消火終了信号があったときに、消火剤供給弁26を閉弁する。
【0058】
吸気弁94と排気弁96は、収納本体部12の天井部に取り付けられ、二次電池ブロック120に異常が生じ、消火装置20が作動した後で、消火後の使用済み消火剤を図示しない外部の吸引ポンプによって吸引排気させるために用いられる開閉弁である。吸気弁94と排気弁96の動作は、回路ブロック40の制御ユニット44の下で制御される。具体的には、通常時には吸気弁94も排気弁96も閉弁とされ、消火後に、吸気弁94が開弁されて大気に対し開放され、排気弁96が開弁されて図示しない吸引ポンプに接続される。これによって、吸気弁94から収納本体部12の内部に空気が取り込まれ、空気と共に使用済み消火剤が排気弁96を介して吸引ポンプによって外部に排出される。
【0059】
避圧弁98は、収納本体部12の内部圧力が予め定められた所定の圧力値を超えたときに、開弁して収納本体部12の圧力値を正常化する弁である。
【0060】
続いて、二次電池収納システムラック10の制御ユニット44の消火制御部82の動作について説明する。消火制御部82は、二次電池ブロック120の各二次電池140の温度センサ142から温度信号が所定の閾値温度を超えるものがある場合には、ブレーカユニット42の遮断制御を行って二次電池ブロック120に対する充放電を停止させ、二次電池140が異常状態となっている可能性があることを示す異常信号を異常信号線106を介して出力する。
【0061】
消火制御部82は、第1煙センサ90、第2煙センサ92から煙を検知したことを示す煙検知信号を受け取った場合、あるいは、各二次電池140から受け取った温度信号が所定の閾値温度を超えて異常な温度であった場合に、消火装置20から二次電池ブロック120に消火剤を供給させるように、消火剤コントロールユニット22に対して消火開始信号を出力する。また、消火制御部82は外部警報信号線104を介して伝送された外部警報信号を受け取ったときにも消火開始信号を出力する。さらに、消火制御部82は、消火開始信号を出力した後に、各二次電池140からの温度信号等に基づいて、消火装置20による消火が完了しているか否かを判断し、消火が完了していると判断したときは、消火剤コントロールユニット22に対して消火終了信号を出力する。このように、二次電池ブロック120が異常状態であると判断された場合に、万一の発火に備えて二次電池ブロック120に消火剤を供給することができる。
【0062】
また、消火制御部82は、消火が完了したときに使用済みの消火剤を排出するために、吸気弁94と排気弁96を開弁し、吸気弁94が開弁して大気に対し開放され、排気弁96が開弁して図示しない吸引ポンプに接続される。これによって、吸気弁94から収納本体部12の内部に空気が取り込まれ、空気と共に使用済み消火剤が排気弁96を介して吸引ポンプによって外部に排出される。
【0063】
ここで、上述したように、回路ブロック40と二次電池ブロック120とは重力方向Gに沿って一列に配置され、二次電池ブロック120は回路ブロック40よりも下方に配置されている。したがって、空気よりも単位体積当たりの質量が大きい消火剤を貯蔵した消火装置20を収納本体部12の天井部の上側に配置して収納本体部12の上部から消火剤を供給する場合であっても、消火剤を収納本体部12の下部に設けられる二次電池ブロック120に行き渡りやすくすることができる。
【0064】
さらに、収納本体部12の内部では、上述したように、電力分配器ユニット46と、ブレーカユニット42と、制御ユニット44と、二次電池ブロック120とは重力方向Gに沿って一列に並べられており、消火装置20は収納本体部12の天井部の上側に載置されているため、収納本体部12の底面積を削減することができ、設置領域を小さくすることができる。
【0065】
次に、二次電池収納システムラック10の変形例である二次電池収納システムラック11について説明する。二次電池収納システムラック11と二次電池収納システムラック10の相違点は、回路ブロック41の電力分配器ユニット47と地絡検出回路48であり、その相違点を中心に説明する。
図5は、二次電池収納システムラック11の収納本体部12に収納される各要素の接続関係を示す図である。
【0066】
電力分配器ユニット47は、直列・並列切替回路50と、第1DC/AC変換回路52と、第2AC/DC変換回路58と、第4切替回路76とを含んで構成される。つまり、電力分配器ユニット47は、第1切替回路70と、第1DC/DC変換回路60と、第3切替回路74と、第5切替回路77と、第6切替回路79と、第1AC/DC変換回路56と、第2DC/AC変換回路54と、第2切替回路72とが存在しない点で電力分配器ユニット46と相違する。なお、
図5は、
図4において二次電池収納システムラック10に接続されるものとして記載されていたAC負荷4が存在しない点で、
図4と相違する。
【0067】
地絡検出回路48は、直列・並列切替回路50と、第1DC/AC変換回路52と、第2AC/DC変換回路58と、第4切替回路76とを含む各要素に接続される正極母線及び負極母線に関する地絡を検出する回路である。
【0068】
図6は、正面扉14を開いているときの二次電池収納システムラック11の具体的な要素の配置関係を示す図である。二次電池収納システムラック11の各要素の配置関係は、回路ブロック41と二次電池ブロック120とが重力方向Gに沿って一列に配置され、回路ブロック41が二次電池ブロック120よりも上方に配置されている。
【0069】
そして、回路ブロック41の各要素の配置関係について述べると、電力分配器ユニット47と制御ユニット44と地絡検出回路48とブレーカユニット42とが重力方向Gに沿って一列に配置される。回路ブロック41の各要素のうち、電力分配器ユニット47が最も上方に配置され、制御ユニット44が電力分配器ユニット47よりも下方に配置され、地絡検出回路48が制御ユニット44よりも下方に配置され、ブレーカユニット42が地絡検出回路48よりも下方に配置される。なお、回路ブロック41が二次電池ブロック120よりも上方に配置されているため、ブレーカユニット42は二次電池ブロック120よりも上方に配置されている。
【0070】
さらに、電力分配器ユニット47の各要素の配置関係について述べると、第1DC/AC変換回路52と直列・並列切替回路50と第2AC/DC変換回路58とが重力方向Gに沿って一列に配置される。電力分配器ユニット47の各要素のうち、第1DC/AC変換回路52が最も上方に配置され、直列・並列切替回路50が第1DC/AC変換回路52よりも下方に配置され、第2AC/DC変換回路58が直列・並列切替回路50よりも下方に配置される。なお、上述したように、電力分配器ユニット47が制御ユニット44よりも上方に配置されているため、第2AC/DC変換回路58は制御ユニット44よりも上方に配置されている。
【0071】
ここで、二次電池収納システムラック11においても二次電池収納システムラック10と同様に、回路ブロック40と二次電池ブロック120とは重力方向Gに沿って一列に配置され、二次電池ブロック120は回路ブロック40よりも下方に配置されている。したがって、空気よりも単位体積当たりの質量が大きい消火剤を貯蔵した消火装置20を収納本体部12の天井部の上側に載置して収納本体部12の上部から消火剤を供給する場合であっても、消火剤を収納本体部12の下部に設けられる二次電池ブロック120に行き渡りやすくすることができる。
【0072】
そして、二次電池収納システムラック11においても二次電池収納システムラック10と同様に、収納本体部12の内部において、電力分配器ユニット47と、ブレーカユニット42と、制御ユニット44と、地絡検出回路48と、二次電池ブロック120とは重力方向Gに沿って一列に並べられており、消火装置20は収納本体部12の天井部の上側に載置されているため、収納本体部12の底面積を削減することができ、設置領域を小さくすることができる。
【0073】
さらに、二次電池収納システムラック11では、上述したように、第1DC/AC変換回路52と、直列・並列切替回路50と、第2AC/DC変換回路58と、地絡検出回路48とを含む回路ブロック41は、二次電池ブロック120よりも上方に配置されている。これにより、例えば、第1DC/AC変換回路52、直列・並列切替回路50、第2AC/DC変換回路58、地絡検出回路48が作動する際に熱が発生したときであっても、当該熱は収納本体部12の天井部側に上昇するため、二次電池ブロック120を当該熱から保護することができる。
【0074】
なお、上記では、制御ユニット44が電力分配器ユニット46,47よりも下方に配置されているものとして説明したが、もちろん、当該配置関係に限定されない。その理由として、電力分配器ユニット46,47、地絡検出回路48、ブレーカユニット42、二次電池ブロック120は電力の流れる向きにしたがって収納本体部12内で配置されているが、制御ユニット44は、当該電力が流れる対象でないからである。