特許第5715168号(P5715168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715168
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150416BHJP
   B41J 29/26 20060101ALI20150416BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   G03G21/00 574
   B41J29/26 B
   B41J29/38 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-2585(P2013-2585)
(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-134668(P2014-134668A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2013年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有馬 保治
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−049634(JP,A)
【文献】 特開2010−186133(JP,A)
【文献】 特開2010−130372(JP,A)
【文献】 特開2010−049030(JP,A)
【文献】 特開2012−118526(JP,A)
【文献】 特開2011−205636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/26
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部と同じ筐体内に在って、印字済み記録媒体の印字画像を消去する消去部と、
前記印字画像が熱により消去する純正インクからなる場合には前記消去部を第1の消去温度で制御し、前記印字画像が熱により消去する非純正インクからなる場合には前記消去部を前記第1の消去温度とは異なる第2の消去温度で制御する制御部とを具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記印字画像が前記熱により消去する純正インクからなるか或いは前記印字画像が前記熱により消去する非純正インクからなるかを判断する判断部を更に備える請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記画像形成部に装着されるインク容器が純正で有るか或いは非純正で有るかを判断する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記消去部による前記印字画像の消去結果に応じてユーザが前記消去部の操作を指示するための指示部を更に備える請求項1乃至請求項のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の消去温度は前記第1の消去温度よりも高い請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、シートをリユースするためにプリント画像を消去する機能を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートをリユースするために、消去可能なインクを用いて形成されるプリント画像を消去する画像消去装置を組み込んだ画像形成装置がある。しかしながら、例えばプリント画像に用いる消去可能なインクが非純正インクであると、画像消去装置で純正インクを消去するための仕様で制御しても、プリント画像を消去できない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−221222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、形成したプリント画像が、非純正インクを用いている場合であっても、プリント画像を良好に消去出来、リユースによるシートの有効活用を得る画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、実施形態の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部と同じ筐体内に在って、印字済み記録媒体の印字画像を消去する消去部と、前記印字画像が熱により消去する純正インクからなる場合には前記消去部を第1の消去温度で制御し、前記印字画像が熱により消去する非純正インクからなる場合には前記消去部を前記第1の消去温度とは異なる第2の消去温度で制御する制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態のMFPを示す概略構成図。
図2】第1の実施形態の画像形成ステーションを示す概略構成図。
図3】第1の実施形態の加熱装置を示す概略構成図。
図4】第1の実施形態の消去温度管理を主体とする制御系を示す概略ブロック図。
図5】第1の実施形態における消去温度の設定及び消去操作を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態のMFPを示す概略構成図。
図7】第2の実施形態の消去温度管理を主体とする制御系を示す概略ブロック図。
図8】第2の実施形態における消去温度の設定及び消去操作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の画像形成装置について図1乃至図5を参照して説明する。図1は、第1の実施形態の画像形成装置の一例であるカラーのMFP(Multi-Function Peripherals)10を示す。MFP10は、全体を制御する制御部であるCPU100を備える。MFP10は、筐体1内に画像形成部であるプリンタ部11を内蔵し、中空の排紙部1aを備える。プリンタ部11は、プリントモード時には定着装置として機能し、消去モード時に消去部として機能する加熱装置32を備える。MFP10は、プリントモード時に記録媒体であるシートPにプリント画像を形成し、消去モード時に印字済み記録媒体である印字済みシートP1上のプリント画像を消去する。
【0009】
MFP10は、プリンタ部11の上方にスキャナ部12を備え、フロント側に指示部であるコントロールパネル14を備える。コントロールパネル14は、例えばユーザによる入力を受け付けるキーボード14a及び、ユーザによる入力を受け付けあるいはユーザへの表示を行う、タッチパネル式のディスプレイ14bを備える。
【0010】
MFP10は、プリンタ部11の下方に、給紙カセット部16と、手差し給紙トレイ17を備える。給紙カセット部16は、シートPを収納する第1の給紙カセット16a及び第2の給紙カセット16bを備える。給紙カセット部16は、第1の給紙カセット16a或いは第2の給紙カセット16bからシートPを取り出す第1のピックアップローラ16c或いは第2のピックアップローラ16dを備える。手差し給紙トレイ17はピックアップローラ17aを備える
第1の給紙カセット16a、第2の給紙カセット16b或いは手差し給紙トレイ17は、未使用のシート或いはリユースのシート(例えば画像を消去処理により消去したシート)を給紙可能である。第1の給紙カセット16a、第2の給紙カセット16b或いは手差し給紙トレイ17は、印字済みシートP1(インクにより画像をプリントされ、加熱装置32で画像を消去しようとするシート)を給紙可能である。
【0011】
プリンタ部11は、矢印m方向に回転する中間転写ベルト18の下側に沿って並列に配置される、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4組の画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kを備える。プリンタ部11は、各画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kの上方に、インク容器である、補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kを備える。
【0012】
補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kは、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の、補給用の消去トナーを夫々収納する。消去トナーは、例えば所定の温度で加熱することにより消去する。消去トナーは、バインダー樹脂に、着色剤、呈色性化合物及び顕色剤を含有させてなる。消去トナーを用いて形成した定着トナー画像を所定の温度で加熱すると、消去トナー中の呈色性化合物と顕色剤とが解離して、トナー画像を消去する。例えば消去トナーは、比較的低い温度でシートに定着でき、定着温度より例えば10℃程度高い温度で消去する。
【0013】
消去トナーは、バインダー樹脂、着色剤、呈色性化合物及び顕色剤等が異なることにより、消去特性が異なる。消去トナーは純正インクである純正品消去トナーと、非純正インクである非純正品消去トナーとでは消去特性が異なることから、消去に必要とする加熱温度が異なる。
【0014】
補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kは、純正品であれば、例えば容器の外部に、純正品であることを認証するためのキー25Y、25M、25C及び25Kを備える。MFP10は筐体1内に、キー25Y、25M、25C及び25Kを読取る判断部である純正センサ2Y、2M、2C及び2Kを備える。補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kが純正品であれば、収納される消去トナーは純正品であり、補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kが非純正品であれば、収納される消去トナーは非純正品であると考える。
【0015】
4組の画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kについて詳述する。4組の画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kの構成は同じであることから、図2を参照して共通の符号を用いて説明する。各画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kは、矢印n方向に回転する感光体ドラム22の周囲に、帯電チャージャ23、露光走査ヘッド24、現像装置26、及び感光体クリーナ27を備える。各画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kは、帯電チャージャ23により一様に帯電された感光体ドラム22を、露光走査ヘッド24で露光して感光体ドラム22上に静電潜像を形成する。現像装置26は、夫々Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の消去トナーと、キャリアからなる二成分の現像剤を用いて現像を行う。
【0016】
各画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kは、バックアップローラ18a、従動ローラ18b及びテンションローラ19により矢印m方向に走行する中間転写ベルト18を介して、1次転写ローラ28を備える。1次転写ローラ28は、感光体ドラム22に形成されるトナー像を中間転写ベルト18に1次転写する。各画像形成ステーション20Y、20M、20C及び20Kの1次転写ローラ28は、中間転写ベルト18上に、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー像を順次重ねてカラートナー像を形成する。感光体クリーナ27は、1次転写後に感光体ドラム22に残留する消去トナーを除去する。
【0017】
中間転写ベルト18を介してバックアップローラ18aと対向する位置に在る2次転写ローラ30は、中間転写ベルト18に従動回転する。2次転写ローラ30は、搬送路31に沿って給紙カセット部16或いは手差し給紙トレイ17から供給されるシートPに、中間転写ベルト18上のカラートナー像を一括2次転写する。搬送路31は、レジストローラ31aを備える。ベルトクリーナ18cは、2次転写後に中間転写ベルト18に残留する消去トナーを除去する。
【0018】
加熱装置32は、搬送路31に沿って、2次転写ローラ30の下流にある。加熱装置32は、図3に示すように、例えばヒートローラ41と、加圧ベルト42を備える。ヒートローラ41は例えば2本のハロゲンランプ41a、41bを備える。ハロゲンランプ43aを有するベルトヒートローラ43と出口ローラ44及びテンションローラ46は、加圧ベルト42を張架する。加圧ベルト42内のニップパッド47は、加圧ベルト42をヒートローラ41側に加圧する。ニップパッド47は、ヒートローラ41と加圧ベルト42の間にニップ48を形成する。
【0019】
加熱装置32は、矢印r方向に回転するヒートローラ41と矢印q方向に回転する加圧ベルト42のニップ48にシートPを挟んで搬送する。プリントモード時にはシートP上のトナー像をシートPに加熱加圧定着し、消去モード時には印字済みシートP1上のプリント画像を加熱消去する。
【0020】
加熱装置32の消去モード時の制御温度は、プリントモード時の制御温度よりも高い。加熱装置32は、消去トナーが純正品であるか、非純正品であるかにより、消去モード時の制御温度を変更する。加熱装置32は、消去トナーが純正品である場合は、第1の設定である第1の消去温度でプリント画像を消去する。加熱装置32は、消去トナーが非純正品である場合は、例えば第1の消去温度より高温の第2の設定である第2の消去温度でプリント画像を消去する。加熱装置はランプではなくIHヒータを用いて加熱しても良い。更に加熱装置の構造は限定されず、加圧ベルトを加圧ローラに替えてヒートローラとの間にニップを形成してもよい。尚例えば、非純正品の消去トナーが純正品消去トナーより低い温度で消去可能であれば、第2の消去温度を第1の消去温度より低く設定する。
【0021】
MFP10は加熱装置32の下流にスキャナ37、排紙ローラ対33、及び反転搬送部34を備える。スキャナ37は、加熱装置32により画像が消去されたかを確認する。反転搬送部34は、両面プリント時、或いは消去リトライ時に、分岐部35aに分岐されるシートP或いは印字済みシートP1を、レジストローラ31a方向に反転搬送する。分岐部35bは、排紙ローラ対33から排紙されるシートを、排紙トレイ10a或いはリジェクトトレイ10bに分岐する。MFP10は、リユース不能な印字済みシートP1をリジェクトレイ10bに排紙する。
【0022】
これらの構成によってMFP10はプリントモード時に、プリンタ部11で、シートPに消去可能なプリント画像を形成してシートPを排紙トレイ10aに排紙する。MFP10は消去モード時に、純正センサ2Y、2M、2C及び2Kの検知結果から加熱装置32の消去温度を制御して、プリント画像を消去後、印字済みシートP1を排紙トレイ10a或いはリジェクトトレイ10bに排紙する。
【0023】
画像形成装置はMFP10に限らない。画像形成装置は、モノクロの画像形成装置であっても良く、現像装置の数も限定されない。画像形成装置は、感光体から直接シートにトナー像を転写しても良い。また画像形成装置は複数のプリンタ部を備えていても良い。消去可能なプリント画像をインクジェット方式で形成しても良い。
【0024】
図4を参照して加熱装置32の消去温度管理を主体とする、MFP10の制御系50のブロック図について説明する。制御系50は、例えば、MFP10全体を制御するCPU100、記憶部であるROM101及びRAM102、加熱装置駆動部103、コントロールパネル14、純正センサ2Y、2M、2C及び2K及びスキャナ37を備える。
【0025】
CPU100は、ROM101或いはRAM102に記憶されるプログラムを実行することにより画像形成のための処理機能を実現する。ROM101は、画像形成処理の基本的な動作を司る制御プログラム及び制御データなどを記憶する。R0M101は、例えば純正センサ2Y、2M、2C及び2Kからの検知結果に応じた加熱装置32の温度制御プログラムを記憶する。RAM102は、制御パラメータ、プリント枚数、プリント時間等を記憶する。
【0026】
加熱装置32のプリント画像の消去温度の設定及び消去操作を図5に示すフローチャートを参照して説明する。リユースシートを得る場合、ユーザは、例えば第2の給紙カセット16bに、プリント画像を有する印字済みシートP1をセットして、コントロールパネル14から消去モードをスタートする。MFP10に装着される補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kが純正品のカートリッジであれば、純正センサ2Y、2M、2C及び2Kは、キー25Y、25M、25C及び25Kを読取り、読取り結果をCPU100に入力する。
【0027】
純正センサ2Y、2M、2C及び2Kがキー25Y、25M、25C及び25Kを読取ると、CPU100は、補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kが純正品であり、消去トナーが純正品であると判断し(ACT110でYes)、ACT111に進む。ACT111でCPU100は、加熱装置32の消去モード時の制御温度を第1の消去温度に設定しACT112に進む。
【0028】
純正センサ2Y、2M、2C及び2Kがキー25Y、25M、25C及び25Kを読取れないと、CPU100は、補給カートリッジ21Y、21M、21C及び21Kが純正品で無く、消去トナーが非純正品であると判断し(ACT110でNo.)、ACT113に進む。ACT113でCPU100は、加熱装置32の消去モード時の制御温度を第2の消去温度に設定しACT112に進む。
【0029】
ACT112で、CPU100が加熱装置駆動部103を制御すると、MFP10は、第2の給紙カセット16bから印字済みシートP1を加熱装置32方向に給紙する。MFP10は、消去トナーが純正品であるか或いは非純正品であるかにより、加熱装置32を第1の消去温度或いは第2の消去温度に設定し、印字済みシートP1のプリント画像を消去する。MFP10は、加熱装置32でプリント画像を消去した印字済みシートP1をスキャナ37で読み取る。
【0030】
スキャナ37の読み取り結果から、印字済みシートP1のプリント画像が消去していれば(ACT116でYes.)、MFP10は印字済みシートP1を排紙ローラ対33から排紙トレイ10aに排紙して(ACT117)、ACT118に進む。MFP10は排紙トレイ10a上にリユースシートS1を得る。所定枚数の印字済みシートP1の消去を終了すると(ACT118でYes.)CPU100は消去操作を終了する。次に消去する印字済みシートP1があれば(ACT118でNo.)、CPU100はACT112に戻る。MFP10は、第2の給紙カセット16bから次の印字済みシートP1を加熱装置32に給紙し、設定された消去温度でプリント画像を消去する。
【0031】
スキャナ37の読み取り結果から、印字済みシートP1のプリント画像が消去していなければ(ACT116でNo.)、CPU100は、ACT120で消去操作を2回実施したかを判断する。消去操作を2回実施していれば(ACT120でYes.)、CPU100は印字済みシートP1がリユース不能と判断する。MFP10は、排紙ローラ対33から印字済みシートP1をリジェクトトレイ10bに排紙し(ACT121)、ACT118に進む。MFP10はリユース不能な廃棄シートS2をリジェクトトレイ10b上に載置する。
【0032】
加熱装置32での消去操作が1回であれば(ACT120でNo.)、消去操作をリトライするために、CPU100はACT112に戻る。MFP10は、印字済みシートP1を反転搬送部34によりレジストローラ31aを経て加熱装置32に再搬送する。ACT112で加熱装置32は、ACT111或いはACT113で設定された消去温度で印字済みシートP1のプリント画像の消去をリトライする。
【0033】
MFP10は、印字済みシートP1の画像消去をリトライした後、スキャナ37の読み取り結果に従い、ACT117或いはACT120に進む。例えば第2の給紙カセット16bにセットした印字済みシートP1の画像消去を全て終了すると、MFP10は、リユースシートS1を排紙トレイ10aに集積し、リユースできない廃棄シートS2をリジェクトトレイ10bに集積する。
【0034】
第1の実施形態によれば、画像の消去モード時に、純正センサ2Y、2M、2C及び2Kの検知結果から、消去トナーが純正品で有るか非純正品で有るかを判断する。トナー画像が、純正品の消去トナーを使用していれば、CPU100は、加熱装置32を第1の消去温度で制御し、非純正品の消去トナーを使用していれば、CPU100は、加熱装置32を第1の消去温度より高温の第2の消去温度で制御する。画像が純正品の消去トナーからなるか或いは非純正品の消去トナーからなるかに応じて加熱装置32の消去温度を変える。純正品の消去トナー或いは非純正品の消去トナーの夫々に適した温度でトナー画像を消去する。消去トナーが純正品であっても非純正品であってもトナー画像を確実に消去する。加熱装置32をより適した消去温度で制御して、必要な場合のみ消去温度を上げることにより消費電力の節約を得る。
【0035】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の画像形成装置を、図6乃至図8を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態において、トナー画像に使用する消去トナーが純正品であるか、非純正品であるかの判断の仕方が異なるものである。第2の実施形態にあって、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
図6に示すように、MFP60は搬送路31中に、判断部であり印字済みシートP1上の追跡パターンを検知するパターンセンサ61を備える。印字済みシートP1には、プリント画像が形成されると共に追跡パターンが埋め込まれる。追跡パターンは、印字済みシートP1のプリント画像が、純正品の消去トナーによる画像か、あるいは非純正品の消去トナーによる画像かを示す。MFP60は、加熱装置32の下流に、例えばイエロ(Y)のインクジェットヘッド62を備える。インクジェットヘッド62は、プリント画像が純正品の消去トナーによる画像か、あるいは非純正品の消去トナーによる画像かの追跡パターンをシートPに印字する。
【0037】
MFP60は、プリントモード時にプリンタ部11で、シートPに消去可能なプリント画像を印字する。MFP60は、純正品の消去トナーを使用している場合は、プリント画像を有するシートPに更にインクジェットヘッド62で純正品の消去トナーを示す追跡パターンを印字し、シートPを排紙トレイ10aに排紙する。MFP60は、非純正品の消去トナーを使用している場合は、プリント画像を有するシートPに更にインクジェットヘッド62で非純正品の消去トナーを示す追跡パターンを印字し、シートPを排紙トレイ10aに排紙する。
【0038】
MFP60は消去モード時に、印字済みシートP1の追跡パターンが純正品の消去トナーを示す追跡パターンであるか、非純正品の消去トナーを示す追跡パターンであるかを、パターンセンサ61で検知する。MFP60は、パターンセンサ61の検知結果から加熱装置32の消去温度を制御してプリント画像を消去する。MFP60は、プリント画像を消去した印字済みシートP1を、排紙トレイ10a或いはリジェクトトレイ10bに排紙する。
【0039】
MFP60の加熱装置32の消去温度管理を主体とする制御系70のブロック図を図7に示す。制御系70は、MFP60全体を制御するCPU100、記憶部であるROM101及びRAM102、加熱装置駆動部103、コントロールパネル14、インクジェットヘッド62、パターンセンサ61及びスキャナ37を備える。R0M101は、例えばパターンセンサ61からの検知結果に応じた加熱装置32の温度制御プログラムを記憶する。
【0040】
MFP60における加熱装置32のプリント画像の消去温度の設定及び消去操作を図8に示すフローチャートを参照して説明する。コントロールパネル14から消去モードをスタートすると、MFP60は、第2の給紙カセット16bから印字済みシートP1を取り出し、加熱装置32方向に搬送する。搬送路31中のパターンセンサ61は、印字済みシートP1を読み取り(ACT128)、検知結果をCPU100に入力する。
【0041】
パターンセンサ61が、印字済みシートP1の追跡パターンが純正品の消去トナーを示す、と検知すると、CPU100は消去トナーが純正品であると判断し(ACT130でYes)、ACT131に進む。ACT131でCPU100は、加熱装置32の消去モード時の制御温度を第1の消去温度に設定してACT132に進む。パターンセンサ61が、印字済みシートP1の追跡パターンが非純正品の消去トナーを示す、と検知すると、CPU100は消去トナーが非純正品であると判断し(ACT130でNo.)、ACT133に進む。
【0042】
ACT133でCPU100は、加熱装置32の消去モード時の制御温度を第2の消去温度に設定してACT132に進む。ACT132でMFP60は、ACT131或いはACT133で温度設定された加熱装置32により、印字済みシートP1のプリント画像を消去する。MFP60は、加熱装置32でプリント画像を消去した印字済みシートP1をスキャナ37で読み取る。
【0043】
スキャナ37の読み取り結果から、印字済みシートP1のプリント画像が消去していれば(ACT136でYes.)、MFP60は印字済みシートP1を排紙ローラ対33から排紙トレイ10aに排紙して(ACT137)ACT138に進む。MFP60は排紙トレイ10a上にリユースシートS1を得る。
【0044】
所定枚数の印字済みシートP1の消去を終了すると(ACT138でYes.)CPU100は消去操作を終了する。次に消去する印字済みシートP1があれば(ACT138でNo.)、CPU100はACT128に戻る。MFP60は、第2の給紙カセット16bから次に消去する印字済みシートP1をパターンセンサ61で読取り、読取り結果に応じた消去温度で次の印字済みシートP1のプリント画像を消去する。
【0045】
スキャナ37の読み取り結果から、印字済みシートP1のプリント画像が消去出来ていなければ(ACT136でNo.)、CPU100は、コントロールパネル14を駆動する。コントロールパネル14は、「画像が消去出来ていない」旨を表示し、更に「消去操作をリトライする」、及び「消去温度を高くする」を表示して、ユーザに入力を促す(ACT141)。
【0046】
コントロールパネル14からユーザの入力があれば(ACT142でYes.)、CPU100は、ユーザの入力に応じて消去の条件を再設定する。例えば、ACT142でユーザが「消去操作をリトライする」のみを「Yes.」と入力する(ACT144でYes.)と、CPU100はACT132に戻る。MFP60は、印字済みシートP1を加熱装置32に再搬送し、既に設定された消去温度で印字済みシートP1のプリント画像の消去をリトライする。
【0047】
例えば、ACT142でユーザが「消去操作をリトライする」及び「消去温度を高くする」を共に「Yes.」と入力した場合(ACT144でNo.)は、CPU100はACT146で加熱装置32の消去温度を上げて、ACT132に戻る。MFP60は、印字済みシートP1を加熱装置32に再搬送し、高く設定した消去温度で印字済みシートP1のプリント画像の消去をリトライする。
【0048】
ACT141でユーザに入力を促した後、所定時間を経てもコントロールパネル14からユーザの入力が無ければ(ACT142でNo.)、CPU100は印字済みシートP1をリジェクトトレイ10bに排紙し(ACT147)、ACT138に進む。第2の給紙カセット16bにセットした印字済みシートP1の画像消去操作の完了時、MFP60は、リユースシートS1を排紙トレイ10aに集積し、リユースできない廃棄シートS2をリジェクトトレイ10bに集積する。
【0049】
第2の実施形態によれば、画像の消去モード時に、パターンセンサ61による追跡パターンの検知結果から、消去トナーが純正品で有るか非純正品で有るかを判断する。トナー画像が、純正品の消去トナーを使用していれば、CPU100は、加熱装置32を第1の消去温度で制御し、非純正品の消去トナーを使用していれば、CPU100は、加熱装置32を第2の消去温度で制御する。画像が純正品の消去トナーからなるか或いは非純正品の消去トナーからなるかに応じて加熱装置32の消去温度を変える。純正品の消去トナー或いは非純正品の消去トナーの夫々に適した温度でトナー画像を消去する。消去トナーが純正品であっても非純正品であってもトナー画像を確実に消去する。加熱装置32をより適した消去温度で制御して、消費電力の節約を得る。
【0050】
第2の実施形態によれば、消去操作によりトナー画像が消去されていない場合は、コントロールパネル14にその旨を表示し、ユーザにリトライ或いは消去温度の変更を促す。トナー画像が消去されていない場合の対応をユーザが選択可能であり、ユーザの要望にかなうリユースシートを得られる。
【0051】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、画像が純正品の消去トナーで形成されるか或いは非純正品の消去トナーで形成されるかにかかわらず、トナー特性に適した温度でトナー画像を消去する。消去トナーが純正品であっても非純正品であってもトナー画像を確実に消去し、消去部をより適した消去温度で制御して、消費電力の節約を得る。
【0052】
以上説明した少なくとも1つの実施形態の画像形成装置にて、消去トナーが純正品で有るか非純正品であるかの判断は、補給カートリッジの純正センサ或いは、追跡パターンのパターンセンサの検知結果に限定されず、例えばトナー画像に光を照射して得られる反射光から判断する等しても良い。更に画像形成装置は消去しないトナーを使用してプリント画像を形成するものであっても良い。
【0053】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
2Y、2M、2C、2K…純正センサ
10…MFP
11…プリンタ部
12…スキャナ部
21Y、21M、21C、21K…補給カートリッジ
32…加熱装置
37…スキャナ
100…CPU
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