(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715192
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】車両用シートスライド位置検出装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/06 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
B60N2/06
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-130340(P2013-130340)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-15202(P2014-15202A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年6月21日
(31)【優先権主張番号】13/542565
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小澤 元彦
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェイ ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジェイ ジェフリィーズ
(72)【発明者】
【氏名】西出 治宝
【審査官】
太田 良隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−025221(JP,A)
【文献】
特開2008−201299(JP,A)
【文献】
特開2006−103530(JP,A)
【文献】
特開2005−335538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フロアに取り付けられる固定レールと、
前記固定レールに対し前記固定レールの長手方向に摺動可能に支持された可動レールと、
前記固定レールの前記長手方向の所定範囲に配置された被検出部と、
前記可動レールに固持されたシートクッションフレームに取り付けられ且つ前記被検出部に対向する位置にセンサ検出部を有するポジションセンサと、を備え、
前記ポジションセンサは、先端部が前記可動レールに接触して取り付けられた突起を備えた
車両用シートスライド位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートスライド位置検出装置であって、
前記長手方向に垂直に切った断面において、前記突起が、鉛直方向に突出した前記ポジションセンサの部分に設けられる
ことを特徴とする車両用シートスライド位置検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用シートスライド位置検出装置であって、
前記ポジションセンサは、一端部が前記シートクッションフレームに固持され、他端部が前記シートクッションフレームに係止される位置決め部を形成する
ことを特徴する車両用シートスライド位置検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用シートスライド位置検出装置であって、
前記被検出部は、前記固定レールの係合部の上面に配された
ことを特徴とする車両用シートスライド位置検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用シートスライド位置検出装置であって、
前記突起は、前記可動レールの側面に線接触している
ことを特徴とする車両用シートスライド位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両用シートスライド位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の関連する車両用シートスライド位置検出装置としては、例えば、被検出部がロアレールなどの固定レールの左右方向の一方側であって前記固定レールの前記一方側の側壁部に沿って上下方向の上側に延びる縦壁部に設けられ、ポジションセンサは、アッパレールなどの可動レールの前記一方側且つ縦壁部から見て左右方向の他方側であって前記ポジションセンサのセンサ検出面より高い位置に配置されているものがある(例えば、例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−025221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような関連する技術にあっては、被検出部が設けられる縦壁部も、ポジションセンサが設けられるプレートも、前記固定レール及び可動レールそれぞれから片持ち支持されている。このため、これら縦壁部やプレートは、車両の走行に伴って発生する振動で変形する恐れがあり、シートスライド位置の検出精度が悪化する恐れがある。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、車両の走行に伴って発生する振動によっても、シートスライド位置の検出精度が安定的に定まる車両用シートスライド位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両フロア(例えば、実施形態におけるフロアパネル2)に取り付けられる固定レール(例えば、実施形態におけるロアレール3)と、前記固定レールに対し前記固定レールの長手方向に摺動可能に支持された可動レール(例えば、実施形態におけるアッパレール4)と、前記固定レールの前記長手方向の所定範囲に配置された被検出部(例えば、実施形態における被検出部5)と、前記可動レールに
固持されたシートクッションフレーム(例えば、実施形態におけるシートクッションフレーム16)に取り付けられ且つ前記被検出部に対向する位置にセンサ検出部(例えば、実施形態におけるセンサ検出部6)を有するポジションセンサ(例えば、実施形態におけるポジションセンサ7)とを備え、前記ポジションセンサは、先端部(例えば、実施形態における先端部8a)が前記可動レールに接触して取り付けられた突起(例えば、実施形態における第1突起8)を備えた車両用シートスライド位置検出装置(例えば、実施形態におけるスライド位置検出装置1)であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記ポジションセンサは、一端部が前記
シートクッションフレームに支持部(例えば、実施形態におけるボルト18)により固持され、他端部(例えば、実施形態における位置決め部12)がシートクッションフレーム(例えば、実施形態におけるシートクッションフレーム16)に係止される位置決め部(例えば、実施形態における位置決め部12)を形成してなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記長手方向に垂直に切った断面において、前記突起が、鉛直方向に突出した前記ポジションセンサの部分に設けられることを特徴とする。請求項
4に記載の発明は、前記被検出部は、前記固定レールの係合部(例えば、実施形態におけるロアレール3の係合部3a)の上面に配されてなることを特徴とする。
【0009】
請求項
5に記載の発明は、前記突起は、前記可動レールの側面に線接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ポジションセンサが、可動レールに
固持されたシートクッションフレームに取り付けられ且つ前記被検出部に対向する位置にセンサ検出部を有する。また、ポジションセンサが、先端部が可動レールに接触して取り付けられた突起を備える。
また、請求項2記載の発明によれば、前記長手方向に垂直に切った断面において、前記突起が、鉛直方向に突出した前記ポジションセンサの部分に設けられる。従って、車両の走行に伴って発生する振動によっても、シートスライド位置の検出精度が安定的に定まる、という効果を有する。
【0011】
請求項
3に記載の発明によれば、前記ポジションセンサは、一端部が前記
シートクッションフレームに支持部により固持され、前記可動レールに他端部がシートクッションフレームに係止される位置決め部を形成している。このため、前記ポジションセンサの位置がシートクッションフレームに係止される位置決め部により容易に定まる、という効果を有する。
【0012】
請求項
4に記載の発明によれば、前記被検出部は、前記固定レールの係合部の上面に配されている。このため、被検出部が長い前後関係での精度の高い固定レールの係合部に配されることで、可動レールの位置検出精度が著しく高まる、という効果を有する。
【0013】
請求項
5に記載の発明によれば、前記突起は、前記可動レールの側面に線接触している。このため、前記突起が接触する位置精度がより高まる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シート周りを後斜め側から示す斜視説明図である。
【
図2】
図1のシートを斜め前側から示す斜視説明図である。
【
図3】
図2の矢視IIIに係るシートのスライド装置及び車両用シートスライド位置検出装置を示す側面図である。
【
図4】
図3の車両用シートスライド位置検出装置を示す斜視図である。
【
図7】
図6の車両用シートスライド位置検出装置を斜め上より示す斜視図である。
【
図8】
図7の車両用シートスライド位置検出装置をひっくり返して示す斜視図である。
【
図9】
図5からポジションセンサを除いた状態の斜視図である。
【
図10】
図5のシートクッションフレームとポジションセンサとの関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
車両の走行に伴って発生する振動によっても、シートスライド位置の検出精度が安定的に定まる車両用シートスライド位置検出装置を提供する、という目的を、以下の構成により実現した。すなわち、車両用シートスライド位置検出装置が、車両フロアに取り付けられる固定レールと、前記固定レールに対し前記固定レールの長手方向に摺動可能に支持された可動レールと、前記固定レールの前記長手方向の所定範囲に配置された被検出部と、前記可動レールに取り付けられ且つ前記被検出部に対向する位置にセンサ検出部を有するポジションセンサとを備え、前記ポジションセンサは、先端部が前記可動レールに接触して取り付けられた突起を備えたことで、実現した。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1に示す符号20は運転席、同じく21は助手席、同じく22はステアリングハンドル、同じく23はインストルメントパネル、同じく24はコンソールボックスである。運転席20は、シートクッション26と、シートバック27と、ヘッドレスト28とより少なくとも構成されている。
【0017】
シートクッション26は、「車両フロア」であるフロアパネル2にブラケット29を介して取り付けられる「固定レール」であるロアレール3と、ロアレール3に対しロアレール3の長手方向である前側FR及び後側RRに摺動可能に支持されている「可動レール」であるアッパレール4と、アッパレール4を前側FR及び後側RRに摺動させる駆動部17と、ロアレール3に対しアッパレール4の前後位置、特に最も前側FRの位置にあることを検出して、表示装置25に表示させる車両用シートスライド位置検出装置1とより少なくとも構成されている。尚、前段落とこの段落で「少なくとも構成されている」と言う表現を用いたが、この意味は、この構成要件だけに限らず、リクライニング装置やシート昇降装置、或いはウオークイン装置などが組み込まれている場合もあることを示唆していることを意味する。
【0018】
車両用シートスライド位置検出装置1は、ロアレール3の係合部3aの頂上部に配され且つロアレール3の長手方向の所定範囲に配置された被検出部5と、アッパレール4の側面4aに「突起」である第1突起8の先端部8aを線接触させて取り付けられ且つ被検出部5に対向する位置に配設されたセンサ検出部6を有するポジションセンサ7とより構成されている。
図10に示すように、センサ検出部6の前後面から都合4箇所突出した第2突起13がシートクッションフレーム16の切り欠き16bの両辺に沿って収納される。
【0019】
ポジションセンサ7のセンサ検出部6を有する方形のブロック9の側面9aには、断面三角状の第1突起8、8を所定寸法離間して平行に突出形成してある。第1突起8、8の先端部8aをアッパレール4の側面4aに線接触させて取り付ける。
【0020】
ポジションセンサ7は、センサ検出部6を有する方形のブロック9と、このブロック9の前側FR及び後側RRに水平にそれぞれ延在する支持部10と、この支持部10の前側FRの端部に上側UPから下側LWRにかけて貫通形成された取付部11と、支持部10の後側RRの端部に、
図7に示すように、下側LWRに突出形成された位置決め部12とよりなり、合成樹脂より成形されている。
【0021】
取付部11は、
図7及び
図8に示すように、左側LH及び右側RHに長く、前側FR及び後側RRに短い長孔状に形成されている。位置決め部12は、
図6に示すように、方形に形成されている。接続部31は、コネクタ30に係合され、センサ検出部6が検出した検出状況を車両に搭載した表示装置25に電気的信号として伝える。
【0022】
ポジションセンサ7は、アッパレール4の側面4aに第1突起8の先端部8aを線接触させ、取付部11に挿入したボルト18(支持部)をアッパレール4及びシートクッションフレーム16の下孔18aを介してナット18bに螺合することで、支持される。このとき、
図6に示すように、ボルト18の回転中心19を基準に位置決め部12が端縁16aに対して適宜の位置調整される。第1突起8の先端部8aは、アッパレール4の側面4aに線接触した状態で支持される。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0024】
ポジションセンサ7が、シートクッションフレーム16の切り欠き16bの両辺に第2突起13が沿って収納され且つ可動レール4の側面4aに第1突起8を線接触させた状態で取り付けられると共に被検出部5に対向する位置にセンサ検出部6を有する。従って、車両の走行に伴って発生する振動によっても、アッパレール4のスライド位置の検出精度が安定的に定まる。
【0025】
また、ポジションセンサ7の他端部には、アッパレール4の頂部に支持されたシートクッションフレーム16に形成された端縁16aに挿入されて係止可能な位置決め部12を形成している。このため、ポジションセンサ7の位置決め部12が端縁16aに係止されることにより、ポジションセンサ7の位置が容易に定まる。
【0026】
更に、被検出部5は、ロアレール3の係合部3aの上面に配されているため、被検出部5が長い前後関係での精度の高いロアレール3の係合部3aに配されることで、アッパレール4の位置検出精度が著しく高まる。
【0027】
更に、第1突起8は、アッパレール4の側面4aに線接触可能に形成されてなるため、第1突起8の形状が安定的に形成されることになり、位置精度はより高まる。
【0028】
以上の実施形態では、乗り物用座席としてワンボックスタイプの自動車用の座席を例にして説明したが、これに限定されず、航空機、鉄道車両、船舶などに搭載されている座席でも良い。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用シートスライド位置検出装置
2 「車両フロア」であるフロアパネル
3 「固定レール」であるロアレール
3a 係合部
4 「可動レール」であるアッパレール
4a 側面
5 被検出部
6 センサ検出部
7 ポジションセンサ
8 「突起」である第1突起
8a 先端部
9 ブロック
10 支持部