特許第5715229号(P5715229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715229異なる動作をする2つの測定装置を備えている、色に関する測定を行う装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715229
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】異なる動作をする2つの測定装置を備えている、色に関する測定を行う装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20150416BHJP
   B41F 33/14 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   G01J3/50
   B41F33/14 G
   B41F33/14 K
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-253979(P2013-253979)
(22)【出願日】2013年12月9日
(62)【分割の表示】特願2007-203187(P2007-203187)の分割
【原出願日】2007年8月3日
(65)【公開番号】特開2014-81383(P2014-81383A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2013年12月9日
(31)【優先権主張番号】102006036226.8
(32)【優先日】2006年8月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ハンス エングラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー フバー
(72)【発明者】
【氏名】マンフレト シュナイター
【審査官】 ▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−038693(JP,A)
【文献】 特開2001−158083(JP,A)
【文献】 特開2002−048645(JP,A)
【文献】 特開2002−165064(JP,A)
【文献】 特開2006−041708(JP,A)
【文献】 特開2005−043174(JP,A)
【文献】 特開2004−322648(JP,A)
【文献】 特開2001−293847(JP,A)
【文献】 特開2000−147674(JP,A)
【文献】 特公平07−081913(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J3/00−3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体(3)の色に関する測定を行う装置において、
前記被印刷体(3)の表面を認識する、異なる解像度で作動する第1および第2の測定装置(9,10,11)を有し、
前記第1の測定装置は、前記第1および第2の測定装置の移動経路の方向に見て前記第2の測定装置(10)の前に配置されたプレビューセンサ(9)であり、
前記第2の測定装置(10)の測定プロセスは前記第1の測定装置(9)の信号によって開始させられ、
前記第1の測定装置(9)の出力信号によって前記第2の測定装置(10)の露光時間が制御され、
前記第1の測定装置は前記被印刷体の表面で複数のピクセルを同時に認識し、
前記第2の測定装置は前記被印刷体の表面の色彩を測定し、
前記第1の測定装置は非偏光式の測定をし、前記第2の測定装置は偏光光学系を有し、
コンピュータ(4)により前記第1の測定装置と前記第2の測定装置とを連携させることを特徴とする、被印刷体の色に関する測定を行う装置。
【請求項2】
前記第1の測定装置および前記第2の測定装置(9,10,11)が1つの測定ヘッド(8)に統合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の前記測定ヘッド(8)を備えている測定バー(1)を有している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記被印刷体(3)の表面の照明を行うための1つまたは複数の光源(12)を有している、請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記プレビューセンサ(9)は前記被印刷体(3)の表面の明るさの差を認識する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
1つまたは複数の照明装置(12)を有しており、該照明装置(12)は前記第1の測定装置(9)の出力信号によって制御される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の測定装置(9)は前記被印刷体(3)の表面にある色測定用区画の位置または輪郭を認識する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の装置を備えている印刷機(7)において、
前記装置の色測定値によって前記印刷機(7)のインキ装置を制御することを特徴とする、印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの測定装置を備えている、被印刷体の色に関する測定を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷プロセスの結果を管理するためには、規則的な間隔で、または継続的に、作製された印刷物の品質をチェックすることが必要である。このことは、一方では、印刷機の操作員自身による目視検査によって行うことができるが、そのためには、いかなる場合にも、印刷機から被印刷体を取り出すことが必要である。そのうえ、この場合には印刷工の主観的な印象が必ずある役割を果たす。被印刷体の客観的な測定をするためには、印刷画像をセンサで認識し、そして印刷画像と印刷見本とのコンピュータによる比較を可能にする、色測定装置を利用することが必要である。
【0003】
このような色測定装置が特許文献1から公知である。特許文献1は、非印刷体の印刷画像の光学濃度測定をするための走査方法を示しており、それによると、被印刷体はセンサによって走査される。この時に、被印刷体は濃度測定される。被印刷体の測定のための初期設定をするために、被印刷体には、基準目標である複数の位置決めマークが、測定する色測定用ストライプの所定の間隔で存在する。この基準目標を検出するために、色測定を実施する他の測定ヘッドよりも後に配置された、別の測定ヘッドが設けられている。この測定ヘッドは、基準マークを検出し、それによって他の測定ヘッドの測定プロセスを開始させる役目をする。このような追加の測定ヘッドの構成方法については、特許文献1には記載されていない。
【0004】
特許文献2により、色測定をする別の装置が公知である。それによると、濃度測定のための3色同時測定ヘッドが用いられ、色彩測定のために別の3色同時測定ヘッドが用いられる。あるいは、6つの光電子工学変換器を含み、その光路内に、濃度測定のための3つのカラーフィルタと、色彩測定のための3つの別のカラーフィルタとが配置されている、共通の同時測定ヘッドを使用することもできる。第1の態様では、一方の測定ヘッドは色濃度測定用として構成されており、他方の測定ヘッドは色彩測定用として構成されている。しかしながら、特許文献2に記載されたこれらの測定ヘッドは、その構造に関してはほぼ同一である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開明細書第1154260A2号
【特許文献2】欧州特許出願公開明細書第357986A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術は、色測定で使用される測定ヘッドが、色彩または濃度に関して非常に正確に測定するものの、色測定が各点ごとにしか行われず、非常に多数の点を測定しなくてはならないため、こうした測定プロセスに比較的長い時間を要するという欠点を有している。
【0007】
本発明の目的は、被印刷体の色測定値の迅速な検出を可能にし、測定プロセスを迅速にする、色に関する測定を行う装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、この目的は請求項1によって達成される。本発明の有利な実施態様は、従属請求項および図面から読み取ることができる。本発明によれば、被印刷体の色に関する測定を行う装置が、2つの異なる測定装置を有している。本発明のこの測定装置は、従来技術とは異なり、異なる幾何学的解像度および/または異なる光学的解像度で、すなわち色に関する異なる解像度で作動し、これにより、第1の測定装置によってまず大まかな測定を行い、場合によっては被印刷体内で目立つ個所をより迅速に認識でき、一方、第2の測定装置によって非常に正確に色に関する測定を行うことができる。異なる動作をする2つの測定装置によって、まず被印刷体の比較的広い範囲を認識し、次いで、正確に測定できる第2の測定装置によって、問題のある個所の色に関して測定することが可能である。このことは、本発明による色に関する測定を行う装置の作業速度を速くし、より迅速な色測定プロセスにつながる。このことは、特に、巻き取り紙輪転印刷機の場合や、枚葉紙印刷機の場合にも組み入れることが増えているインラインの色測定装置に使用する際に必要である。この色に関する測定を行う装置によると、被印刷体がまだ印刷機の中にあるときに測定され、それに相応して頻繁に測定プロセスが行われるが、その場合、印刷速度が速いために、測定プロセスには短い時間しかかけることができない。しかし当然ながら、本発明による装置は、印刷プロセスの後に被印刷体が上に載せられる別の測定テーブルに組み入れることができる。手動式の測定装置の場合であっても組み入れることが可能である。
【0009】
本発明の第1の実施態様では、異なる複数の測定装置が1つの測定ヘッドに統合されている。このような構成は、僅かな設置スペースしか必要とせず、インラインの色測定装置またはテーブル型測定装置において、たとえば1つの測定バーに複数の測定ヘッドを組み入れることを可能にする。そうすれば、これら両方の測定装置に、複数の測定ヘッドを備えた測定バーが存在し、この測定バーがその複数の測定ヘッドによって、被印刷体の表面を同時に走査することができる。このことは、測定速度をより速くすることにつながる。
【0010】
測定装置が被印刷体の表面で複数のピクセルを同時に認識するのが、特に好ましいことが判っている。被印刷体の表面で複数のピクセルを同時に認識することで、複数の測定点を同時に認識することができ、それにより測定プロセスが迅速になる。このためには、幾何学的解像度が約200dpi(約2.54cmあたり200ドット)以上であるスキャン装置の形態の光学測定装置が、特に適している。このように、複数のピクセルを同時に認識できるように、スキャン装置は複数の照明源と複数の検出器を有している。それに加えて、被印刷体の所定の画像領域を低速で測定し、他の領域を高速で測定することができる。被印刷体の複数のピクセルで並行して測定すれば、被印刷体の複数の分光領域を同時に認識することもできる。その場合、スキャン式測定装置は、特に非偏光測定を行うべきである。
【0011】
さらに、第2の測定装置が被印刷体の表面の色彩を測定するようになっているのが好ましい。本発明によると、第2の測定装置は、比較的低い幾何学的解像度を有するが、その代わりに高い分光色解像度(spektrale Farbauflosung)を有する分光測定ヘッドとして構成されている。この分光測定ヘッドによって、特に、被印刷体の色測定用ストライプなどの検査部材を、高い分光解像度で正確に測定することができる。この場合、約15dpi(約2.54cmあたり約15ドット)の範囲の比較的粗い幾何学的解像度であるので、測定時間をさほど長引かせることなく、偏光光学系を使うことができる。
【0012】
本発明の、コンピュータによって第1の測定装置の測定値と第2の測定装置の測定値の調整が行われる実施態様が特に好ましいことが判っている。第1の測定装置の色測定値はそれほど正確ではないので、コンピュータで、測定装置による測定値を調整する(例えば均す)ことにより、色彩に関してきわめて正確に測定できる第2の色測定装置を用いて、スキャン式の第1の測定装置の精度を向上させることができる。このような調整は、たとえば、被印刷体の同一の色測定用部材または被印刷体の同一のピクセルを、両方の測定装置で認識することによって行われる。このようなやり方で、異なる動作をする両方の測定装置を較正することもできる。さらに、被印刷体は第1の測定装置によって非偏光式に認識されるとともに、第2の測定装置によって偏光式に認識されるので、第2の測定装置に偏光光学系が組み入れられていれば第1の測定装置の非偏光式の測定値を換算することが可能である。測定速度を落とさないようにするために、この調整は、両方の測定装置によって順次測定される小さな所定の基準区画のみで行われる。それにより、両方の測定装置が調整されるにもかかわらず、被印刷体の迅速な認識が可能である。このことは、特に、被印刷体で発見された、印刷見本との誤差を補正するために、検出された色測定値が、印刷機のインキ装置の制御のための制御装置へただちに転送される場合に重要である。この場合、色測定装置を介して閉じられた制御系があり、それにより、色測定値に対して適確に対応することができる。
【0013】
さらに、この装置が、被印刷体の表面の照明を行うための1つまたは複数の光源を有しているのが好ましい。被印刷体の色に関する正確な測定を行うためには、一定のスペクトルを有する所定の光源の下で被印刷体を測定しなくてはならない。複数の光源を使用することで、被印刷体の複数のピクセルの同時測定を実現することができる。この場合、第1および第2の測定装置の領域をくまなく照らす半導体光源を用いるのが好ましい。半導体光源は、従来のランプに比べて耐用寿命が非常に長いという大きな利点を有している。
【0014】
本発明の1つの構成は、第1の測定装置は、測定装置の移動経路の方向に見て第2の測定装置の前に配置されたプレビューセンサであるのを示している。本発明のこの実施態様は、前記した実施態様に代わる、または前記した実施態様に追加される態様を実現できるものである。追加の態様の場合、プレビューセンサが、スキャン式測定装置と分光測定する第2の測定装置とに追加される第3の測定装置である。プレビューセンサは、分光測定する色測定装置の前に被印刷体の表面を走査するように配置されている。このプレビューセンサはスペクトル動作せず、明るさの差を検出するために微細な幾何学的解像度を有するように構成されている。異なる構造形態によると、プレビューセンサは、色測定用ストライプの測定用区画の始まりと終わりを検知するのに特に適している。それによって、1つの測定用区画全体にわたって分光測定する色測定装置が存在するときに、色測定値の検出が行える。色測定用区画同士の間の中間スペースおよび境界を迅速に通過することができ、それによって、測定プロセスの迅速化が行われる。
【0015】
第2の測定装置の測定プロセスは第1の測定装置の信号によって開始させられるのが好ましい。プレビューセンサの信号は、第2の測定ヘッドを制御し、有意義な測定が可能である場合に限って測定のための走査を行うようにする役目をする。それにより、分光測定ヘッドの露光時間を制御するために、プレビューセンサによって第2の分光測定装置に出力信号が送信されるという利点がある。さらに、分光測定ヘッドの露光時間は、プレビューセンサによる色測定用ストライプの区画の認識と同期させられる。なぜならば、本発明のプレビューセンサによって、測定する各々の色測定用区画の始まりと終わりの境界および位置を判定することができ、それに応じて分光測定ヘッドの露光時間を最適化できるからである。さらに、露光時間を算出するために、色測定システムと被印刷体の間の相対速度が検出され、さらに、分光測定ヘッドとプレビューセンサとの間の距離が、測定システムに知られていなければならない。このことは、従来技術では測定用区画がいつ終わるのか、またはいつ始まるのかが既知でないために必要である多数回の短い測定を、分光測定ヘッドが絶えず行うことがないという大きな利点をもたらす。その代わりに本発明では、プレビューセンサによって制御される長い露光段階が、測定する色測定用区画の上でのみ行われる。このような長い露光段階は、複数回の短い測定の平均をとる場合に比べて、測定結果の向上につながる。
【0016】
さらに、この装置は1つまたは複数の照明装置を有しており、照明装置は第1の測定装置の出力信号によって制御されるのが好ましい。この場合、プレビューセンサは、露光時間に加えて照明装置の照明強度も制御し、それにより、第2の分光測定装置による測定のときに、適切な照明強度に設定することができる。このようにして、照明装置が常に一定の出力または最大出力で作動しなくてもよくなる。プレビューセンサは、認識する測定用区画の明るさを確実に検出するので、照明源の適切な設定が問題なく行える。プレビューセンサとしては特にラインセンサが適しており、それにより、分光測定する第2の色測定装置の測定用回廊状部を認識することができる。それに対して、分光測定する第2の色測定装置は、被印刷体の色測定用ストライプの色を点状に正確に測定する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】異なる動作をする測定装置を備えている複数の測定ヘッドを有するテーブル型色測定装置を示す図である。
図2】異なる動作をする測定装置を備えている測定ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1には、移動可能な測定バー1を有する測定テーブル2が図示されている。測定バー1は電気駆動装置を有しており、それにより、測定バー1は左から右へ、またはそれと逆向きに、測定テーブル2の上にある被印刷体の上方でX方向へ移動することができる。測定バー1が被印刷体3の上で移動している間に、被印刷体3は、測定バー1の測定ヘッド8によって色に関して測定される。被印刷体3には、本来の印刷画像に並べて、下側の縁部に色測定用ストライプの形態の色測定用区画13が塗布されているのがわかる。この色測定用区画13は色の管理に利用されるものであり、所定の標準化された特性、たとえば所定の色調を有している。測定バー1の検出された色測定値はコンピュータ4へ転送され、コンピュータはこの測定値をモニタ5で操作員に対して表示する。測定プロセスを制御するために、操作員はキーボード6を通じて入力を行うことができる。さらに、コンピュータ4は印刷機7の機械内コンピュータと接続されており、それにより、コンピュータ4の色測定結果を印刷機7のインキ装置の色制御のためにそのまま利用することができる。印刷見本と、測定された被印刷体3との間に誤差が発見されたときは、その誤差を印刷機7のインキ装置においてしかるべく補正することができる。図1の測定装置は、側方の色測定用区画13だけでなく、被印刷体3の印刷画像全体も認識することができ、そのために測定バー1の測定ヘッド8は、別の電気駆動装置によって側方へY方向に移動することができる状態である。
【0020】
図2には、図1の測定バー1の測定ヘッド8の一例が詳しく図示されている。これにより、測定ヘッド8が複数の測定装置9,10,11から構成されているのがわかる。測定プロセス中の図1の測定バー1の移動方向が左から右へ進む場合、右側には、他の測定装置10,11の前に配置されたプレビューセンサ9がある。このプレビューセンサ9は、明暗差を検出するための高い幾何学的解像度を有するラインセンサとして構成されている。このプレビューセンサ9によって、被印刷体3の色測定用区画13の位置、すなわちその始まりと終わりなどを正確に認識することが可能である。それにより、測定する色測定用区画13の上方で、引き続いて分光測定装置10を迅速に位置決めすることが可能である。分光測定装置10は、特別に高い幾何学的解像度を有している必要はなく、その代わりに、正確な色測定値を検出できるようにするために、色に関する高い分光解像度で測定を行う。色測定用区画13の正確な位置が検知されることで、分光測定装置10は短い測定を絶えず行う必要はなく、しかるべく長い露光時間で、測定すべき色測定用区画13を正確に測定することができる。プレビューセンサ9が次の色測定用区画13の位置を迅速かつ正確に予め認識するので、測定と測定の間に測定ヘッド8全体を迅速に動かすことができる。被印刷体3の測定しない領域を飛ばすことによって、測定バー1はいっそう迅速に左から右へ移動することができ、このことは、測定プロセス全体の時間を短縮する。さらに、図2のプレビューセンサ9は、被印刷体の測定すべき色測定用区画13に所定の照明を行うのに役立つ照明装置12を制御する。プレビューセンサ9の明暗測定により、検知された色測定用区画13の明るさに応じて、照明装置12の照明強度を制御することができる。
【0021】
さらに、図2の測定ヘッド8は、同様に、比較的高い200dpi(1インチ(約2.54cm)当たり200ドット)の幾何学的解像度で作動する、スキャン式測定装置11を有している。このスキャン式測定装置11は、特に、測定バー1内にあり、色測定用区画13がある側方領域では測定をせず、スキャナのように被印刷体3の印刷画像全体を認識する複数の測定ヘッド8を有している。このスキャン式測定装置11は、被印刷体の多数のピクセル(画素)を同時に認識し、それにより、同様に、いっそう迅速な測定プロセスを可能にすることができる。ただし、このスキャン式測定装置11の色測定精度は、プレビューセンサ9の色測定精度と同様に、分光測定装置10の色測定精度よりも低い。それにもかかわらず、色に関する高い測定精度を実現するために、スキャン式測定装置11またはプレビューセンサ9の測定結果は、コンピュータ4で、分光測定装置10の測定値と調整される(例えば均される)。スキャナ11およびプレビューセンサ9は、後で説明するように、分光色測定装置10によって色に関して較正(キャリブレーション)される。センサ9および11は幾何学的解像度が高いので、個々の色分解の間の見当のずれや表面と裏面の間の見当のずれを検出するために、被印刷体3のレジスタマーク、すなわち見当標(トンボ)を認識するのに利用することもできる。ただしそのためには、センサは少なくとも1000dpi(1インチ(約2.54cm)当たり1000ドット)の解像度を有していなくてはならず、このことは、センサを精密測定モードに切り換えることによって行うことができる。それによって測定速度は遅くなるものの、このモードで被印刷体3全体を測定する必要はなく、非常に限られた空間である、レジスタマークや見当標がある領域を認識するには十分である。コンピュータ4を通じて印刷機7の制御に介入して、後続の被印刷体3のために誤差を修正することができる。さらに、センサ9,11は、被印刷体3のバーコードを認識するのに利用することができる。誤差が発見されると、コンピュータ4はそれを不良品として記録し、枚葉紙3が取り出される。そのためには200dpiの解像度があれば十分である。このような解像度によって、センサ9,11はコンピュータ4とともに枚葉紙3のテキストが正しいかどうかチェックし、そのようにして、たとえば医薬品包装の誤記を検知し、前記したのと同様にそれを取り出すことができる。
【0022】
すでに説明したとおり、分光測定装置10は特に色に関して標準化された色測定用区画13を認識する。分光測定装置10は色に関してきわめて正確に作動する。被印刷体3上にある基準区画、たとえば標準化された色測定用区画13が、分光測定装置10だけでなく、スキャン式測定装置11によっても認識されると、両方の装置10,11の測定値を相互に調整する(例えば均す)ことができる。スキャン式測定装置11によって分光測定装置10を検定することも可能である。このようにして、スキャン式測定装置11の迅速さと、分光測定装置10の高い色精度とを互いに結びつけ、そのようにして、正確かつ迅
速な色測定装置を提供することができる。図1の測定バー1の測定ヘッド8はすべて図2の測定ヘッド8と同じように構成することができ、また、測定ヘッド8がそれぞれプレビューセンサ9と分光測定装置10だけを有することも可能であり、あるいは、測定ヘッド8が分光測定装置10とスキャン式測定装置11を有することも可能である。当然ながら、いくつかの測定ヘッド8がそれぞれ2つのセンサ9,10もしくは10,11を有しており、他の測定ヘッド8が3つすべての測定装置9,10,11を有することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 測定バー
2 測定テーブル
3 被印刷体
4 コンピュータ
5 モニタ
6 キーボード
7 印刷機
8 測定ヘッド
9 プレビューセンサ
10 分光測定装置
11 スキャン式測定装置
12 照明装置
13 色測定用区画
図1
図2