(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715232
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】固定シャフトまたは回転シャフトを受容するように構成された横方向ベアリングを備える複合材料でアームを製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/16 20060101AFI20150416BHJP
B64C 25/00 20060101ALI20150416BHJP
B64F 5/00 20060101ALI20150416BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20150416BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20150416BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20150416BHJP
【FI】
B29C67/14 A
B64C25/00
B64F5/00 D
B29C67/14 J
B29C39/10
B29K105:08
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-500395(P2013-500395)
(86)(22)【出願日】2011年3月24日
(65)【公表番号】特表2013-523480(P2013-523480A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011001478
(87)【国際公開番号】WO2011116966
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2012年10月18日
(31)【優先権主張番号】1052232
(32)【優先日】2010年3月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511154180
【氏名又は名称】メシエ−ブガッティ−ドウティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】リシャール マソン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック デュンレビー
【審査官】
深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−161240(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/153220(WO,A1)
【文献】
特開2001−038814(JP,A)
【文献】
特開平07−080947(JP,A)
【文献】
米国特許第04857124(US,A)
【文献】
実開昭60−087307(JP,U)
【文献】
米国特許第04841801(US,A)
【文献】
特開2007−045393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00−70/88
B29C 39/00−39/44
B29B 11/16、15/08−15/14
C08J 5/04− 5/10, 5/24
B64B 1/00− 1/70
B64C 1/00−99/00
B64D 1/00−47/08
B64F 1/00− 5/00
B64G 1/00−99/00
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム(16)を横断方向に貫通する固定シャフトまたは回転シャフトを受容するように構成されている少なくとも1つのベアリング(22)を備える複合材料で前記アーム(16)を製造する方法であって、
− 補強ファイバを全体的に管状の支持体(12)の周りに巻き付けることにより、少なくとも1つのハブ(11)を製造するステップと、
− 少なくとも1つのスリーブ(14)を製造するステップと、
− 各ハブ(11)が各スリーブ(14)に対して横断方向に延びるように、各ハブ(11)を少なくとも1つのスリーブの端部に取り付けることにより、マンドレル(15)を製造するステップと、
− 1または複数の編み組まれた補強ファイバ(21)を、補強ファイバ(19)を編み組むための機械(17)を用いて、このマンドレル(15)の周りにその全長にわたって適用するステップと、
− 少なくとも編み組まれたファイバ(21)の層を、このファイバが取り囲む前記ハブ(11)と固く結びつける結合を確立するために、前記編み組まれたファイバ(21)の1または複数の層、および選択任意には前記ハブ(11)に巻き付けられた1または複数のファイバに、樹脂を注入して重合させるステップと、
− 前記編み組まれた補強ファイバ(21)の層を、前記全体的に管状の支持体(12)の各端部を明らかにするために、この支持体(12)の各端部において機械加工するステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
各スリーブ(14)は、予め樹脂を含浸させた補強ファイバの布帛片から製造され、
前記全体的に管状の支持体(12)の周りに巻き付けられている前記補強ファイバ(13)もまた、予め樹脂を含浸させてあり、
前記マンドレル(15)は、前記編み組まれた補強ファイバ(21)の層の適用前に半重合される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補強ファイバは、前記全体的に管状の支持体(12)の周りに巻き付けられて、全体的に球状の外形を有するハブを形成する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記全体的に管状の支持体(12)は、その中央部分において、その端部よりも大きな断面を有している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
各スリーブ端部(14)は、接着することにより前記ハブ(11)に取り付けられる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
各スリーブは端部を有しており、前記端部は、この端部が取り付けられる前記ハブ(11)の外形に密接に追従するために、裾広がりの形状を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハブ(11)は、前記マンドレル(15)の1つの端部に位置している、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記マンドレルは、前記ハブ(11)の両側において延びる2つのスリーブを前記ハブ(11)に組み付けることにより製造される、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカアームのような、航空機の着陸装置の構造要素を形成、つまり、本体部であって、この本体部の主方向に対して横断方向を向いている軸体を形成している回転シャフトまたは固定シャフトを受容するように構成されたベアリングを組み込んでいる本体部を備えるアームに関する。
【背景技術】
【0002】
参照番号1で示された
図1に模式的に示されている、知られている着陸装置のロッカアームは、APで示された主方向に延びている管状部またはアームの形状をしている。
【0003】
このアームは、2つの端部3、4同士の間に延びている主要部分2を備え、端部3、4は、その中央領域においてほぼ一定の円形断面を有している。
【0004】
図1において見ることができるように、このアームの前端部3は、この例においては方向APに直交する方向ATにおいて横方向を向いているシャフトを受容するように構成されている。従って、この端部は、本体部2の外部面から横方向に突出している2つの隆起部において形成されているインタフェース(境界面)またはベアリングを形成している部分を形成する。
【0005】
それぞれの隆起部は、方向ATに貫通するように孔が空けられ、それによりベアリングの2つのベアリング表面を形成し、アームの本体部を横断方向に貫通する機械シャフトと係合する。
【0006】
同様に、後端部もまた、示されていない他の横方向シャフトを受容するように構成されている、全体的に類似のベアリングを形成しているインタフェースを備えている。更に、このロッカアームはまた、その2つの端部同士の間に位置し、本体部の外部面から半径方向に突出している中間割れ目(une chape intermediaire)8を備えている。
【0007】
図1において見ることができる、そのようなロッカアームのベアリングの複雑な形状のために、そしてロッカアームに期待される相当な機械的強度のために、ロッカアーム全体は、通常は、機械加工により高強度のスチールから製造されている。
【0008】
ベアリングが形成されている隆起部6、7は、それらが材料の局所的なさらなる厚さを構成しているという点において決定的であり、その厚さは、機械シャフトによりロッカアーム本体に加えられる力が、ロッカアームにおいて大きすぎる応力の集中を引き起こさないことを確実にするために不可欠である。
【0009】
従って、一般的に、ロッカアームまたは類似のタイプの構造要素に対しては、初期クラックを引き起こす可能性のある応力集中の現象を制限するために、他の部品とのインタフェースにおいて、材料のさらなる厚さを製造することが必要である。
【0010】
図1のような着陸装置ロッカアームの場合は、各ベアリングは、実際にロッカアームに対して取り付けられ、例えば、このロッカアームのそれぞれの側に位置する2つの車輪を担持している車軸を形成しているシャフトを受容する。
【0011】
回転シャフトを受容するベアリングを備えているアームの場合に起こる問題も同様であり、それは、ベアリングにおける応力の集中の問題は、そのようなアームの寸法決めに対して依然として決定的であるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、複合材料でアームを製造するための解決策を提案することであり、アームは、このアームを横方向に貫通する機械シャフトを受容するように構成されているベアリングを備える。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の主題は、
アームを横断方向に貫通する固定シャフトまたは回転シャフトを受容するように構成されている少なくとも1つのベアリングを備える複合材料で前記アームを製造する方法であって、
− 補強ファイバを全体的に管状の支持体の周りに巻き付けることにより、少なくとも1つのハブを製造するステップと、
− 少なくとも1つのスリーブを製造するステップと、
− 各ハブが各スリーブに対して横断方向に延びるように、各ハブを少なくとも1つのスリーブの端部に取り付けることにより、マンドレルを製造するステップと、
− 1または複数の編み組まれた補強ファイバを、補強ファイバを編み組むための機械を用いて、このマンドレルの周りにその全長にわたって適用するステップと、
− 少なくとも編み組まれたファイバの層を、このファイバが取り囲む前記ハブと固く結びつける結合を確立するために、前記編み組まれたファイバの1または複数の層、および選択任意には前記ハブに巻き付けられた1または複数のファイバに、樹脂を注入して重合させるステップと、
− 前記編み組まれた補強ファイバの層を、前記全体的に管状の支持体の各端部を明らかにするために、この支持体の各端部において機械加工するステップと、
を含む、
方法にある。
【0014】
この解決策では、巻き付けられたハブは、吸収力のゾーンにおける応力の集中を制限するために十分である、材料のさらなる厚さを製造することを可能にし、かつこれらの層により形成されたアームの本体とハブとの間の最適な結合を得ることを可能にする。
【0015】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
各スリーブは、予め樹脂を含浸させた補強ファイバの布帛片から製造され、
前記全体的に管状の支持体の周りに巻き付けられている前記補強ファイバもまた、予め樹脂を含浸させてあり、
前記マンドレルは、前記編み組まれた補強ファイバの層の適用前に半重合される、
方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
前記補強ファイバは、前記全体的に管状の支持体の周りに巻き付けられて、全体的に球状の外形を有するハブを形成する、
方法に関する。
【0017】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
前記全体的に管状の支持体は、その中央部分において、その端部よりも大きな断面を有している、
方法に関する。
【0018】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
各スリーブ端部は、接着することにより前記ハブに取り付けられる、
方法に関する。
【0019】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
各スリーブは端部を有しており、前記端部は、この端部が取り付けられる前記ハブの外形に密接に追従するために、裾広がりの形状を有している、
方法に関する。
【0020】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
前記ハブは、前記マンドレルの1つの端部に位置している、
方法に関する。
【0021】
本発明はさらに、上で画定された方法であって、
前記マンドレルは、前記ハブの両側において延びる2つのスリーブを前記ハブに組み付けることにより製造される、
方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】高強度スチールで製造された、既知のロッカアームの全体斜視図である。
【
図2】本発明に係る、巻き付けられたハブを示す斜視図であって、ハブ自体が示されている図である。
【
図3】本発明に係る、巻き付けられたハブの断面図であって、ハブ自体が示されている図である。
【
図4】本発明に従って製造されたマンドレルの端部を示している斜視図である。
【
図5】編組機を模式的に例示している斜視図である。
【
図6】本発明に従って製造中の、ベアリングを組み込んでいるロッカアームの1つの端部を示している斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の基本的な思想は、将来の部品のインタフェースに複合材料のさらなる厚さを形成するように巻き付けることによりハブを製造し、各ハブをスリーブ(軸などを嵌め込む金具)に組み付けて、編み組まれたファイバの層がその後に適用されるマンドレルを形成することである。補強ファイバの層は、これらの層と、これらの層とのハブの接合部とにおける樹脂の注入および重合の後に、ハブに強固に固定される。
【0024】
参照番号11で示された、
図2に単独で示されているハブは、全体的に管状の支持体12から製造され、支持体12は、この例ではATの印を付けられた軸に沿って延び、その周りに補強ファイバが巻き付けられている。
【0025】
ファイバは撚り糸の形状であっても、織られたファイバのストリップの形状であっても、または他の形状であってもよく、ファイバには、樹脂が含浸されていてもいなくてもよい。ファイバは、支持体12の外部面の周りに巻き付けられて、ハブの中間部において全体的に球状の外形を有するハブが形成される。
【0026】
このハブは、一定の断面積の管の部分により形成されている支持体12と共に、この管の中央領域に端部よりも、より大量のファイバを巻き付けることにより得られる。
【0027】
しかし、全体的に管状の支持体12はまた、
図3に例示されているように、その中央領域において、端部よりも大きいように変わる断面を有してもよく、
図3においては、支持体12はその中央領域においては、ほぼ球状の外形を有している。
【0028】
従って、ファイバ13の巻き付けは、管の端部が使用中にもっとも大きな応力に晒されるので、端部においてより厚い厚さを有するように、そして機械的観点から、より小さな応力が印加される中央領域において、より薄い厚さを有するように最適化できる。
【0029】
図3に模式的に示されているように、巻き付け操作の間に、ファイバ13の巻き付け角度を変えることにより、管の軸ATに沿って、領域によって異なるファイバの厚さを得ることができる。このため、
図3の例においては、相当な厚さを形成するために端部において巻き付け角度が小さく、より薄いファイバの厚さを形成するために中央領域において巻き付け角度が大きい。
【0030】
このような厚さを、ファイバが直接巻き付けられた撚り糸の形状のときに、そしてこれらのファイバが、織られたリボンまたはストリップの、その後に支持体12の周りに巻き付けられる形状を取るときに、得ることができる。
【0031】
このため、
図2において見ることができるように、管と、ハブ11を取り囲んでいる、ここでは参照番号13で示されている補強ファイバとによって形成されているハブ11は、管12の内部面により境界を区切られている孔が通り抜けている球状に近い全体形状を有している。
【0032】
このハブは、ベアリング本体またはアームに組み込まれている分散要素に相当し、材料のさらなる厚さを形成して、このベアリングを貫通する機械シャフトによりアームに加えられる力により引き起こされる応力集中の効果を制限することが可能になる。
【0033】
管12は、例えば、管の形状を形成するように円筒部に適用される、樹脂を予め含浸させた繊維の形を取る補強ファイバと共に製造される。このため、このように形成された管は、半重合されて、補強ファイバ13を操作して巻き付けるために十分な剛性が与えられる。
【0034】
図4に示されているように、その後に、ハブ11はスリーブ14の1つの端部に取り付けられ、それにより、ハブ11の管12は、このスリーブ14に対して横断方向に延び、このアセンブリは、樹脂により接着することによって製造される。
【0035】
この作用は、例えば、2つの部分において耐圧釜により実行でき、マンドレルの外形に対応する内部形状の境界を定める。その後、この作用は、耐圧釜の半円筒形領域において、スリーブを形成するために、予め含浸された補強ファイバの繊維の層を適用することから構成される。
【0036】
次いで、ハブ11は耐圧釜の対応する凹部に設置され、各半体スリーブの端部におけるハブ11の接着を確実にするために、接合のゾーンに接着材を置くことができる。その後、このスリーブ14の壁を、耐圧釜の対応する面に対して平坦にするために真空にする前に、フィルムがスリーブの内部面に適用される。
【0037】
次いで、ハブを形成している層13とスリーブ14を形成している層とに含浸された樹脂を半重合するために加熱サイクルが開始される。この加熱サイクルは、ハブ11およびスリーブ14により形成されているマンドレル15に、特に、このマンドレルの外部面に、編み組まれた補強ファイバのいくつかの層を適用するために、取り扱われるのに十分な機械的強度を与えるのに十分な樹脂の重合を確実にするために調整される。
【0038】
図4で理解できるように、スリーブ14は全体的に管状の形状を有しているが、その端部は、有利には、ハブ11がスリーブ14の端部に固定される領域において、ハブ11のほぼ球状の外形に密接に追従するように裾広がりするように構成されている。
【0039】
他の解決策を、マンドレルを形成するために適用できる。例えば、スリーブ14の端部をハブ11に単に接着することにより固定する前に、スリーブ14およびハブ11を別々に製造して半重合することもできる。
【0040】
マンドレルの全体が製造されると、有利には、シーリング試験(密封性試験)が行われ、下記に記載する後続の作用の間に、このマンドレルの周りに注入された樹脂により、横方向に動けないことを確実にする。
【0041】
マンドレル15の全体が形成されて十分な剛性を有するようになると、編組機により、このマンドレルの周り全体をその全長にわたって連続するように、編み組まれた補強ファイバのいくつかの層が適用される。
【0042】
その後、
図5に示されているように、マンドレル15は編組機17に設置される。編組機17は本質的に、その後部面において、カーボンファイバのような、リングに対して回転可能な可動支持体により支持されている一連のファイバ巻きを支持しているリング18を備えている。これらのファイバ19は、支持リング18の面に対して、軸APに沿ってオフセットした状態で、実質的にこの軸上に位置している編み組み箇所と呼ばれる領域において互いに接合する。
【0043】
図5の例においては、支持リング18は、その中心が軸AP上に置かれ、この軸に垂直な面に沿って延びている。編み組みサイクルが開始されると、マンドレル15はこの支持リング18に対して、軸APに沿って移動され、それにより、マンドレル14の外部面上へのファイバの長靴状体の編み組みが引き起こされる。
【0044】
このようにしてマンドレルを何回か通過させて、マンドレル15の全長にわたって、つまり、スリーブ14とハブの周りに、各層が実質的に一定の厚さを有して、マンドレル15を取り囲む、編み組まれたファイバのいくつかの層を形成する。
【0045】
編み組まれたファイバの種々の層が装着されると、種々のファイバ層により取り囲まれたマンドレルを備えるこのように形成された部分は、分割線に対して互いに対称な2つの部分をなす金型のような金型に置かれる。従って、各部分はスリーブの1つの半体に対応する半円筒形の部分を備え、ハブ11の1つの半体が格納されている凹部において終端している。
【0046】
次いで、樹脂が注入されて、編み組まれたファイバの種々の層を、そして選択任意にはハブに巻き付けられたファイバに、支持体12とスリーブ14の外部面に届くまで完全に樹脂を含浸させて、それにより、特にハブにおいて、マンドレルとこれらの層との間のできうる限りにおいて最良の結合を確実にする。これにより、ハブ11に加えられる力の、アームの本体を形成する編み組まれたファイバの周辺の層への最適な伝達が可能になる。
【0047】
上述したマンドレルのシーリングは、注入された樹脂が、アセンブリの重量を最適化するために中空形状で提供されるスリーブの内部に侵入できないことを確実にする。このシールは管状の支持体12とスリーブ14により提供され、スリーブの端部は、有利には、ハブ11に組み付けられる前に封鎖されている。
【0048】
樹脂の注入後、金型が制御されて、硬化サイクルが行われ、それにより一方では、マンドレルを取り囲んでいる編み組まれた複合材料21の層の完全な硬化を確実にし、更に、硬化サイクルはマンドレルを形成している要素、つまりスリーブとハブの硬化で終了する。
【0049】
硬化が完了すると、ハブと、アセンブリを結合している樹脂を含む編み組まれた補強ファイバの層とは、アームまたはロッカアームの主要構造を形成する。このようにして得られた未加工の部品は機械加工されて、
図6に例示されているように、ベアリングの最終形状となる。
【0050】
これらの機械加工は本質的に、ハブにおける横断方向の軸ATに直交する面に沿う2回の切削作用から構成されている。従って、これらの切削作用は、管12の各端部に面して位置している領域において補強ファイバを除去し、それによりこれらの端部を閉鎖されていない状態にすることから構成されている。追加的に、コネクティングロッドの端部もまた機械加工される。
【0051】
管12の内部はまた、既定の許容寸法に対応する正確な内径を与えるために穿孔することもできる。管11の内径の穿孔が行われると、この管の内部に1または複数の金属リングを設置でき、それにより、このベアリングを通過する機械シャフトを受容できる。
【0052】
図の例においては、ベアリングはアームの1つの端部に位置しているが、本発明は、類似の方法で、例えば、中央領域に位置しているベアリングを有するアームまたは構造要素を製造することも可能にできる。
【0053】
この場合、例えば、ハブの両側に嵌合する一方でハブに堅く固定されている2つのスリーブを設けて、マンドレルを形成する。2つのスリーブは、互いに対して角度を形成するように位置決めすることができ、それにより、アームは屈曲形状を有し、ベアリングは、各スリーブに対して横断方向に延びつつ屈曲ゾーンに位置する。
【0054】
必要であれば、これらの2つのスリーブの自由端に、1または複数の他のハブを追加的に取り付けて、2つまたは3つのベアリングを備えることができる構造要素を形成することもできる。