特許第5715243号(P5715243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715243コカミドモノエタノールアミン(CMEA)組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715243
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】コカミドモノエタノールアミン(CMEA)組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20150416BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20150416BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/02
   A61K8/46
   A61K8/37
   A61K8/55
   A61Q5/02
   A61Q19/00
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-514356(P2013-514356)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-531650(P2013-531650A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】US2011039732
(87)【国際公開番号】WO2011156558
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2012年12月7日
(31)【優先権主張番号】61/352,997
(32)【優先日】2010年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】ヒルヴァート,ジェニファー エレイン
(72)【発明者】
【氏名】カッジオーニ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】スクラゲック,ベンジャミン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ロイス,ダグラス アラン
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許第01175197(EP,B1)
【文献】 国際公開第2008/118381(WO,A1)
【文献】 欧州特許第00573118(EP,B1)
【文献】 特表2010−511761(JP,A)
【文献】 特表平11−513687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コカミドモノエタノールアミン(CMEA)、洗浄性界面活性剤、及び水からなる液体ミセル相又はラメラ相液晶を含む、組成物であって、
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、5重量%〜25重量%のCMEA、10重量%〜30重量%の洗浄性界面活性剤、及び55重量%〜85重量%の水を含み、前記洗浄性界面活性剤が少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含み、並びに前記アニオン性界面活性剤のエトキシレートレベルが0〜10でありかつアニオンレベルが1〜10である、組成物
【請求項2】
前記組成物のCMEA対洗浄性界面活性剤のモル比が1:1〜1:20であり、かつCMEA対水のモル比が1:50〜1:1000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物のCMEA対洗浄性界面活性剤のモル比が1:1〜1:5であり、かつCMEA対水のモル比が1:50〜1:250である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
記洗浄性界面活性剤がサルフェート、スルホネート、スルホサクシネート、イセチオネート、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記洗浄性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム1−エトキシレート及びラウレス硫酸ナトリウム3−エトキシレートからなる群から選択される、請求項1又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、6.8重量%〜15重量%のCMEA、12重量%〜22重量%のラウリル硫酸ナトリウム、及び62.5重量%〜81.2重量%の水を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、6.8重量%〜15重量%のCMEA、12重量%〜22重量%のラウレス硫酸ナトリウム−1エトキシレート、及び62.5重量%〜81.2重量%の水を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、6.8重量%〜15重量%のCMEA、12重量%〜22重量%のラウレス硫酸ナトリウム3−エトキシレート、及び62.5重量%〜81.2重量%の水を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記洗浄性界面活性剤が、前記組成物の総重量に基づいて0.5重量%〜5.0重量%のヒドロトロープを更に含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記洗浄性界面活性剤が、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を更に含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
記組成物が六方晶相液晶を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
(a)コカミドモノエタノールアミン(CMEA)を50〜86℃の温度にて中和済保存型洗浄性界面活性剤の溶液に添加して、ミセル相又はラメラ相液晶を含む組成物を形成する工程と、
(b)前記組成物を22℃〜85℃の温度へと冷却する工程と
を含み、
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、5重量%〜25重量%のCMEA、10重量%〜30重量%の洗浄性界面活性剤、及び55重量%〜85重量%の水を含み、前記洗浄性界面活性剤が少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含み、並びに前記アニオン性界面活性剤のエトキシレートレベルが0〜10でありかつアニオンレベルが1〜10である、方法。
【請求項13】
前記冷却させた組成物を、コンディショニング剤、天然のカチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、抗ふけ剤、ゲルネットワーク、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、真珠光沢助剤、起泡剤、界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存料、キレート剤、タンパク質、皮膚活性化剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含むパーソナルケア組成物に添加して、パーソナルケア製品を形成する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
CMEAが、前記パーソナルケア製品の総重量に基づき0.025重量%〜5重量%の量でパーソナルケア製品中に存在する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、室温でCMEAと混合可能な、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)の高活性液体形態の組成物、このような新規組成物の製造方法、並びにCMEA液体組成物を使用してパーソナルケア製品を調製する使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
コカミドモノエタノールアミン(CMEA)は、ろう状固体である非イオン性の補助界面活性剤であり、多くの場合、パーソナルケア製品に、起泡増進剤、増粘剤、及び/又は乳化剤として使用される。CMEAをパーソナルケア組成物に組み込む場合、CMEAは、組成物中に存在する洗浄性界面活性剤と共に会合してミセルを形成するために可溶である。このようなCMEAの可溶化には加熱が必要であり、この加熱は、パーソナルケア製品を形成する際に使用可能な加工条件の制限になっている。例えば、一部の従来法では、CMEAをシャンプー組成物に可溶化するには、高温のシャンプー組成物に添加される高温のCMEAスラリーを調製する必要がある。
【0003】
CMEAの供給元は、これまでに、予め可溶化したCMEAの組成物を用意することにより、CMEAが添加されるパーソナルケア組成物はすべて加熱しなければならないという課題の解決を試みてきた。しかしながら、これらの組成物は高価なだけでなく、いずれも両性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタイン、ナトリウムココアンホプロピオネート(cocamphopropionate))を高濃度に含有していることから、以降の製剤の選択が極めて制限される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書には、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)、洗浄性界面活性剤、及び水からなる液体ミセル相又はラメラ相液晶を含む組成物であって、組成物が、組成物の総重量に基づいて、5重量%〜25重量%のCMEA、10重量%〜30重量%の洗浄性界面活性剤、及び55重量%〜85重量%の水を含み、洗浄性界面活性剤が少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含み、並びにアニオン性界面活性剤のエトキシレートレベルが0〜10であり、かつアニオンレベルが1〜10である、組成物が記載される。本組成物はミセル相液晶又はラメラ相液晶からなることから、最終的なパーソナルケア製品組成物への溶解経路に六方晶相液晶を実質的に含まない。一部の実施形態では、本発明の組成物は、約20℃〜約30℃の範囲の温度下で相安定である。一実施形態では、本組成物のCMEA対洗浄性界面活性剤のモル比は約1:1〜約1:20であり、他の実施形態では、約1:1〜約1:5であり、及び一実施形態では、CMEA対水のモル比は約1:50〜約1:1000、他の実施形態では、約1:50〜約1:250である
【0005】
本発明の他の態様は、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)、洗浄性界面活性剤、及び水からなる組成物の製造方法である。本方法では、約50℃〜約86℃の温度にて、CMEAを中和済保存型洗浄性界面活性剤の溶液に添加し、ラメラ相液晶からなる組成物を形成する。次いで、この組成物を任意で冷却する。一部の実施形態では、組成物を約27℃〜約40℃に冷却する。
【0006】
本発明の他の態様は、パーソナルケア製品の製造方法である。本方法では、コンディショニング剤、天然のカチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、抗ふけ剤、ゲルネットワーク、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、真珠光沢助剤、起泡剤、界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存料、キレート剤、タンパク質、皮膚活性化剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含有するパーソナルケア組成物を、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)、洗浄性界面活性剤、及び水からなるラメラ相液晶を含む組成物に添加する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1a図1aは、洗浄性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))を有しているパーソナルケア組成物にコカミドモノエタノールアミン(CMEA)を溶解させる従来法を示したものである。
図1b図1bは、高活性液体形態のCMEA及び洗浄性界面活性剤を含有している中間体組成物の調製、及び続くパーソナルケア組成物への希釈を包含する、本実施例に従う方法を示したものである。
図1c図1cは、従来法によりCMEAをパーソナルケア組成物に組み込む場合、並びに本発明の方法でCMEAをパーソナルケア組成物に組み込む場合の、CMEA、洗浄性界面活性剤(例えば、SLS)、及び水の濃度間の関係性を、異なる座標にて例示する三成分図である。
図2図2は、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及び水の三成分図である。
図3図3は、再循環冷却ループを有する装置を用い、ラメラ相CMEA液晶を調製する際のプロセスを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は、本発明とみなされる主題を特定して指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と関連させた次の説明から更によく理解されると考えられる。いくつかの図は、他の要素をより簡潔に示すため、選択された要素を省略することで簡易化されてもよい。いくつかの図中のかかる要素の省略は、対応する明細書の中で明確に述べられている場合を除き、代表的な実施形態のいずれかにおいて必ずしも特定要素の有無を暗示するものではない。いずれの図面も必ずしも縮尺どおりではない。
【0009】
図1a〜1cは、洗浄性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))を有しているパーソナルケア組成物にコカミドモノエタノールアミン(CMEA)を溶解させる従来法(図1a)と、高活性液体形態のCMEA及び洗浄性界面活性剤を含有している中間体組成物の調製、及び続くパーソナルケア組成物への希釈を包含する、本実施例に従う方法(図1b)を比較する。図1cに示す三成分図は、従来法によりCMEAをパーソナルケア組成物に組み込む場合、並びに本発明の方法でCMEAをパーソナルケア組成物に組み込む場合の、CMEA、洗浄性界面活性剤(例えば、SLS)、及び水の濃度間の関係性を、異なる座標にて例示する。座標1は100重量%のCMEAを示す。座標2は、ラメラ液晶相が得られる、CMEA、洗浄性界面活性剤(例えば、SLS)、及び水の濃度を示す。座標3は、ミセルが得られる、CMEA、洗浄性界面活性剤(例えば、SLS)、及び水の濃度を示す。
【0010】
図2は、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及び水の三成分図である。
【0011】
図3は、再循環冷却ループを有する装置を用い、ラメラ相CMEA液晶を調製する際のプロセスを例示する。
【0012】
実質上任意の加工条件を用い(例えば、バッチプロセス、連続プロセス)、CMEAを室温以下でパーソナルケア組成物に効率的に導入することのできる、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)を含有している新規組成物が発見された。従来、パーソナルケア組成物へのCMEAの導入は、高温下で、パーソナルケア組成物中に存在する洗浄性界面活性剤と共に、CMEAを、一緒にミセルの中に直接可溶化することを伴うものであった。まず、CMEAをミセル相又はラメラ相液晶を含有している中間組成物に予め可溶化させた場合、加熱の必要無く、容易にかつ効率的にこの組成物をパーソナルケア組成物に組み込み、パーソナルケア製品を形成できることが判明した。一実施形態では、本組成物は、パーソナルケア製品の総重量に基づいて、約30重量%未満、他の実施形態では、20重量%未満、及び更に他の実施形態では約12.5重量%未満の濃度でパーソナルケア製品中に存在させることができる。
【0013】
高活性の液体形態のCMEA、洗浄性界面活性剤、及び水の形成能は、それらの相対濃度によって決まる。低濃度では、CMEA及び洗浄性界面活性剤は任意の配向を形成することなく水中にランダムに分散する。わずかに濃度が高くなると、これらの成分は自発的に会合してミセルを形成するようになるが、ミセルは溶液中で無配向のままである。濃度が高くなると、会合分子は異なる液晶相に配向するようになる。六方晶相では、長円柱が形成され、六角形の格子に配列される。ラメラ相では、界面活性剤は薄い水の層により分離される長いシート状に自己調整する。典型的な界面活性剤の凝集スキームは多くの参照文献に見出すことができる。このような参照例は、Laughlin,The Aqueous Phase Behavior of Surfactants,Academic Press(San Diego,CA(1994))の116頁の図5.8である。本明細書に記載される組成物の液晶相にはラメラ相が包含され、かつ最終パーソナルケア製品組成物への希釈経路に六方晶相は実質的に存在しない。このように混合時に六方晶相が存在しないことから、本組成物のミセル相又はラメラ相液晶は、パーソナルケア組成物への組み込み時に容易にミセル中に混合することができる。対照的に、六方晶相は、パーソナルケア組成物に組み込む場合に分散又は溶解させるのがより難しく、通常、ミルなどの高エネルギーの装置が必要とされる。
【0014】
図1aは、パーソナルケア組成物にCMEAを可溶化させるための従来モデルを記載する。洗浄性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))を含有しているパーソナルケア組成物にCMEA結晶(座標1)を導入し、加熱する。この組成物は濃度が相対的に比較的薄いことから、CMEA及びSLSのミセル相は時間が経ってから生じる(座標3)。図1bは、本発明の高活性ミセル又はラメラ液晶相組成物である中間体、及びパーソナルケア組成物への中間体の組み込みを記す。洗浄性界面活性剤(例えば、SLS)にCMEA結晶(座標1)を導入し、加熱する。この組成物の濃度は比較的高いことから、CMEA及びSLSのミセル又はラメラ液晶相が密に存在する(座標2)。CMEA及びSLSの高活性ミセル相又はラメラ相液晶を含有している組成物は、任意のパーソナルケア組成物に添加することができる。添加した結果、液晶含有組成物は希釈され、加熱せずともミセルを形成するようになる(座標3)。固体CMEA(座標1)、ラメラ相液晶(座標2)及びミセル(座標3)などの異なる相での、CMEA、界面活性剤(例えば、SLS)及び水の濃度を図1cの三成分図に示す。
【0015】
CMEA及び洗浄性界面活性剤を水に溶解して含んでいる高CMEA活性のミセル中間体、又はラメラ液晶相中間体の形成能は、CMEA対洗浄性界面活性剤対水の濃度比に非常に依存するものである。図2に示された三成分図は、約23℃にて、CMEA/SLS/水組成物においてラメラ相液晶を生成する濃度比を示す。
【0016】
組成物の総重量に基づいて0重量%〜100重量%の濃度のCMEA、SLS、及び水を、三角図の各一端により表す。図中の各記号は、CMEA、SLS、及び水を特定の濃度での組成を表す。正方形は、組成物がミセル相で存在する場合のCMEA、SLS、及び水のいくつかの特定の濃度を示す。円は、組成物がラメラ液晶相で存在する場合のCMEA、SLS、及び水のいくつかの特定の濃度を示す。菱形は、組成物が六方晶液晶相で存在する場合のCMEA、SLS、及び水のいくつかの特定の濃度を示す。三角形は、組成物が2相で存在する場合のCMEA、SLS、及び水のいくつかの特定の濃度を示す。ミセル相、六方晶液晶相、ラメラ液晶相、及び2相を黒い太線により表す。図2の三成分図に示されるように、組成物をラメラ液晶相として存在させる濃度領域は極めて小さく、次の成分濃度に制限される:組成物の総重量に基づいて約5重量%〜約25重量%のCMEA、約10重量%〜約30重量%のSLS、及び約55重量%〜約85重量%の水。
【0017】
本発明の高活性のミセル相又はラメラ相液晶組成物をパーソナルケア組成物に添加した場合、液晶組成物は希釈されることになる(すなわち、水の濃度がCMEA及び洗浄性界面活性剤の濃度よりも相対的に上昇することになる)。この希釈は図2の三成分図を用い可視化することができる。本発明の組成物中のCMEA、SLS、及び水の初期濃度が最外領域(topmost circle)で表される場合、特定の組成の希釈は、円の頂端から100重量%の水に向かって(すなわち、三角形の頂点に向かって)垂線を引くことにより表すことができる。したがって、元々ラメラ相液晶領域に配置されていた組成物は、希釈時にラメラ相/ミセル相の境界を越え直接ミセル相に入ることになる。
【0018】
図2に示されるように、一部の特定の濃度では、ラメラ相とミセル相の間に、ラメラ相液晶を直接ミセルへと希釈することができることを示す単一の境界線が存在する。従来のパーソナルケア系では、ラメラ液晶相とミセル相を直接分離する境界線は単一ではなかった。その代わりに、ラメラ液晶相は六角形の液相により取り囲まれている。したがって、ラメラ相液晶組成物をミセル相へと希釈すると、組成物はミセル相を形成する前にまず六方晶相を経る必要がある場合がある。しかしながら、六方晶相液晶をミセル相へと希釈することは極めて難しく、六方晶相液晶をパーソナルケア組成物に組み込むには課題がある。本発明の組成物がパーソナルケア組成物に添加した場合に容易に最終ミセル形態に到達させることができるという事実は、その利点のうちの1つである。
【0019】
本発明の組成物は、パーソナルケア組成物の製造にも好都合である。本発明の組成物は、約22℃〜約30℃の温度にて約3年にわたって貯蔵することができ、及び任意にパーソナルケア組成物に組み込むことができる。更に、組成物はミセル又はラメラ液晶相であることから、パーソナルケア組成物への添加時に最終ミセル構造を形成させるにあたり加熱する必要がない。したがって、熱感受性プロセスに、又は熱感受性成分を有する組成物に有用である。同様に、室温で本発明の組成物をパーソナルケア組成物に組み込むことで、新しいパーソナルケア製剤を開発する際に、より迅速でより思い通りの拡張性を得ることができる。
【0020】
更にその上、室温でパーソナルケア組成物に添加可能であるという本発明の組成物の性能により、エネルギー及びコストの削減が得られる。例えば、CMEAをパーソナルケア組成物に可溶化させるための従来法では、CMEAを添加するバッチ毎にパーソナルケア組成物を加熱する必要がある。対照的に、本発明の高活性ミセル又はラメラ液晶組成物を用いる場合、パーソナルケア組成物にCMEAを導入する際に加熱工程が必要とされない。本発明の組成物を形成する際には熱が必要であるが、得られる組成物は比較的濃縮されており、室温以下で1つのバッチを使用して、CMEAを、多くの異なるバッチのパーソナルケア組成物に組み込むことができる。また、比較的高濃度の本発明の組成物は、従来の、配送目的で予め可溶化させたCMEA希釈組成物よりも有利なものである。
【0021】
更に加えて、CMEA結晶をパーソナルケア組成物に直接可溶化する従来の方法よりも非常に迅速に本発明の組成物をパーソナルケア組成物に組み込むことができる。CMEAをパーソナルケア組成物に添加した場合に、CMEA活性の高いミセル相又はラメラ相液晶は、構造的にCMEA結晶よりも最終ミセル相により近いことから、このようなCMEAのより迅速な組み込みが可能になる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「液晶」は、整列しかつ/又は可能な3通りの直交方向のうち1つ若しくは2つの方向においてのみ結晶性でありかつその他の方向では無秩序(ランダム及び/又は液体様)である相を有する物質を意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、1種類のモノマーの重合によって作られるか、又は2種類以上のモノマーによって作られる(すなわち、コポリマー)物質が含まれるものとする。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「水溶性」は、ポリマーが本組成物中の水に可溶性であることを意味する。一実施形態では、ポリマーは、水溶媒の重量に基づいて、25℃にて約0.1重量%の濃度で、他の実施形態では約1重量%未満、更に他の実施形態では約5重量%未満、及び更に他の実施形態では約15重量%未満の濃度で可溶化すべきである。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「電荷密度」は、ポリマーが構成されるモノマー単位における正の電荷数と上記モノマー単位の分子量の比を指す。ポリマー分子量に電荷密度を乗じると、所与のポリマー鎖における正に荷電した部位の数が判明する。
【0026】
用語「アルキル」は、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル及びこれに類するものなどの、炭素原子からなる飽和又は不飽和直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。C1〜8アルキルは、例えば、置換された又は未置換のアルキル基を指し、1〜8個の炭素原子を有し得る。用語「アルキル」は、「架橋アルキル」、すなわち、二環式又は多環式炭素水素基を指し、例えば、ノルボルニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、又はデカヒドロナフチルを指す。アルキル基は、所望により、例えば、ヒドロキシ(OH)、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びアミノ基で置換されてよい。「ヘテロアルキル」は、酸素、窒素、及びイオウからなる群から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することを除き、アルキルに類似するものとして定義される。
【0027】
用語「アルキレン」は、2箇所で残りの分子と結合している直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。
【0028】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有している、少なくとも2つの炭素原子からなる直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指し、限定するものではないが、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、及び同様物が挙げられる。
【0029】
用語「アルキリデン」は、2箇所で残りの分子と結合している直鎖又は分岐鎖アルキレン基を指す。
【0030】
用語「アルコキシ」は、−O−結合により親分子と共有結合している直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、及び同様物が挙げられる。
【0031】
用語「オキシアルキレン」は、2箇所で分子の残りの部分と結合しており、そのうちの1箇所では酸素原子を介して残りの分子と結合しているアルコキシ基を指す。
【0032】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基を結合している1種以上のアルコキシル基を指す。
【0033】
用語「アリール」は、単環式又は多環式芳香族基を指し、一実施形態では、単環式又は二環式芳香族基、例えば、フェニル又はナフチルを指す。別途記載のない限り、アリール基は未置換のものであり又は1箇所以上が置換されており、詳細には、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、OCF3、NO2、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、CO2H、CO2アルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1〜5つの置換基で置換されている。例示的なアリール基としては、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、クロロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ニトロフェニル、2,4−メトキシクロロフェニル及びこれに類するものなどが挙げられる。
【0034】
用語「ヘテロアリール」は、単環式又は多環式芳香族基を指し、一実施形態では、芳香環の中に少なくとも1つの窒素、酸素、又はイオウ原子を含有している単環式又は二環式芳香族基を指す。別途記載のない限り、ヘテロアリール基は未置換のものであってもよく、又は1〜5個の置換基により置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、チエニル、フリル、ピリジル、オキサゾリル、キノリル、チオフェニル、イソキノリル、インドリル、トリアジニル、トリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、及びチアジアゾリルが挙げられる。
【0035】
用語「アルキルアリール」は、アリール基を結合している1種以上のアルキル基を指す。
【0036】
用語「アルコキシアリール」は、アリール基を結合している1種以上のアルコキシ基を指す。
【0037】
用語「アリールアルキル」は、アルキル基を結合している1種以上のアリール基を指す。
【0038】
用語「アリールオキシ」は、−O−結合を介して親分子と共有結合している芳香族基を指す。
【0039】
用語「アルキルアリールオキシ」は、−O−結合を介して親分子と共有結合しているアルキルアリール基を指す。
【0040】
用語「アルカノール」は、OHを共有結合している直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。
【0041】
用語「アルカノールアミン」は、ヒドロキシ部分及びアミノ部分と共有結合している直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。アルカノールアミンの例としては、プロパノールアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、及び同様物が挙げられる。
【0042】
用語「アミド」は、C=Oラジカルに結合したNH2ラジカルを有する基を指す。
【0043】
用語「アルカノールアミド」は、ヒドロキシ部分及びアミド部分と共有結合している直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。
【0044】
用語「アルキルサルフェート」は、SO3-と共有結合している直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。
【0045】
用語「ベンジル」は、未置換のものである又は1つ以上の置換基、及び特に、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、OCF3、NO2、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、CO2H、CO2アルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1〜5個の置換基により置換されているベンゼンラジカルを指す。
【0046】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
【0047】
特に規定のない限り、百分率、部、及び比はすべて、本発明の組成物の総重量に基づく。列記された成分に関するこのような重量はすべて、活性物質の量に基づくものであり、したがって特に指定のない限り、市販材料に含まれる可能性のある溶媒又は副産物を含まない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。
【0048】
特に規定のない限り、本明細書で使用するとき、すべての分子量は、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0049】
一態様では、本発明は、CMEA活性の高い、コカミドモノエタノールアミン(CMEA)のミセル相又はラメラ相液晶、及び洗浄性界面活性剤水溶液を含有している、組成物に関する。一部の実施形態では、本発明の組成物は、約20℃〜約30℃の範囲の温度下にある。本発明の組成物は、約17℃以上で相安定であり、すなわち、CMEA及び/又はSLSはこの温度以上であれば溶液から析出しない。
【0050】
本発明の組成物は、ラメラ液晶相の形成を可能にする洗浄性界面活性剤対CMEA対水のモル比を有する。一部の実施形態では、CMEA対洗浄性界面活性剤のモル比は約1:1〜約1:20である一方、CMEA対水のモル比は約1:50〜約1:1000である。例えば、CMEA対洗浄性界面活性剤対水のモル比は約1:1:50〜約1:20:50又は約1:1:1000〜約1:20:1000であり得る。一部の実施形態では、CMEA対洗浄性界面活性剤のモル比は約1:1〜約1:5である一方、CMEA対水のモル比は約1:50〜約1:250である。例えば、CMEA対洗浄性界面活性剤対水のモル比は約1:1:50〜約1:5:50又は約1:1:250〜約1:5:250であり得る。CMEA対洗浄性界面活性剤対水のモル比は約1:2:150であり得る。他の用途では、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて約5重量%〜約25重量%のCMEA、約10重量%〜約30重量%の洗浄性界面活性剤、及び約55重量%〜約85重量%の水を含み得る。
【0051】
本発明の組成物は、洗浄性界面活性剤を含む。洗浄性界面活性剤は、本発明の組成物にクリーニング性能をもたらし、ラメラ液晶相の形成を補助する。洗浄性界面活性剤は、エトキシレートレベルが約0〜約10で、アニオンレベルが約1〜約10の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、所望により両性界面活性剤、双極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含有するものである。このような界面活性剤は、本明細書に記載される必須成分と物理的及び化学的に適合すべきであり、さもなければ過度に製品の安定性、審美性、若しくは性能を損なうべきではない。
【0052】
最適なエトキシレートレベルは、界面活性剤の構造に関し化学量論に基づいて計算されるものであり、エトキシル化モル数が既知である界面活性剤の具体的な分子量に基づく。同様に、界面活性剤の具体的な分子量、及びアニオン化反応の完了の測定により、アニオンレベルを算出することができる。界面活性剤系のエトキシル化又はアニオン化を測定するための解析技術がすでに開発されている。
【0053】
特定の界面活性剤系を表すエトキシレートレベル及びアニオンレベルは、次の方法で個々の界面活性剤のエトキシル化パーセント及びアニオンのパーセントから計算される:エトキシレートレベルは、エトキシル化パーセントに活性なエトキシル化界面活性剤のパーセント(組成物の総重量に基づく)を乗じたものに相当する。アニオンレベルは、エトキシル化界面活性剤に含まれるアニオンのパーセントに、活性なエトキシル化界面活性剤のパーセント(組成物の総重量に基づく)を乗じたものに、非エトキシル化界面活性剤に含まれるアニオンのパーセント(組成物の総重量に基づく)を加えたものに相当する。組成物がそれぞれ異なるアニオンを有する2つ以上の界面活性剤を含む場合(例えば、界面活性剤Aが硫酸基を有し、界面活性剤Bがスルホン酸基を有する)、組成物のアニオンレベルは上記のように計算した各アニオンのモルレベルの合計である。
【0054】
例えば、洗浄性界面活性剤は、組成物の総重量に基づき48.27重量%のラウレス硫酸ナトリウム3−エトキシレート(SLE3S)及び6.97重量%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含有する。エトキシル化界面活性剤(SLE3S)は、0.294321%のエトキシレートと、アニオンとして0.188307%のサルフェートを含有し、非エトキシル化界面活性剤(SLS)は、アニオンとして0.266845%のサルフェートを含有する。SLE及びSLSのいずれも約29%活性であることから、洗浄性界面活性剤は、組成物の総重量に基づき、約14重量%の活性SLE3Sと、約2重量%の活性SLSとを含有する。エトキシレートレベルは、0.294321に14(活性なエトキシル化界面活性剤の%)を乗じたものである。したがって、本例の洗浄性界面活性剤のエトキシレートレベルは4.12である。アニオンレベルは、0.188307に14(活性なエトキシル化界面活性剤の%)を乗じたものと、0.266845に2(活性な非エトキシル化界面活性剤の%)を乗じたものを合算したものである。したがって、本例の洗浄性界面活性剤のアニオンレベルは3.17である。
【0055】
一実施形態では、洗浄性界面活性剤は、サルフェート、スルホネート、スルホスクシナート、イセチオナート、カルボキシラート、ホスフェート、及びホスホナートからなる群から選択されるアニオンを含有している少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、アニオンはサルフェートである。アニオン性界面活性剤について可能性のある他のアニオンとしては、ホスホナート、ホスフェート、及びカルボキシラートが挙げられる。
【0056】
パーソナルケア組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤はアルキル硫酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩である。これらの成分はそれぞれ式ROSO3M及びRO(C24O)xSO3Mを有し、式中、Rは炭素原子数約8〜約18のアルキル又はアルケニルであり、xは約1〜約10の値を持つ整数であり、Mはアンモニウムなどのカチオン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、ナトリウム及びカリウムなどの一価の金属カチオン、又はマグネシウム及びカルシウムなどの多価の金属カチオンである。界面活性剤の溶解度は、選択された具体的なアニオン性界面活性剤及びカチオンによって異なる。
【0057】
一実施形態では、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートのどちらであったとしても、Rは約8〜約18個の炭素原子を有し、他の実施形態では、約10〜約16個の炭素原子、更に他の実施形態では約12〜約14個の炭素原子を有する。アルキルエーテルサルフェートは、典型的には、エチレンオキシドと約8〜約24個の炭素原子を有する一水酸基アルコールとの縮合生成物として製造される。アルコールは合成品又は脂肪(例えばココヤシ油、パーム核油、タロー)から誘導することができる。ラウリルアルコール、及びココヤシ油又はパーム核油から誘導される直鎖アルコールを使用できる。一実施形態では、このようなアルコールを、約0〜約10モル比、他の実施形態では約0〜約5モル比、更に他の実施形態では約0、1、又は3モル比のエチレンオキシドと反応させ、それにより得られる、例えば、アルコールのモル当たり平均0、1、又は3モルのエチレンオキシドを有する分子種の混合物を硫酸化し、中和する。
【0058】
本発明の組成物に使用することのできる具体的なアルキルエーテルサルフェートの非限定例としては、ココナツアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、タローアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、及びタローアルキルヘキサオキシエチレンサルフェートのナトリウム及びアンモニウム塩が挙げられる。好適なアルキルエーテルサルフェートは、個々の化合物を混合して含むものであり、この混合物中の化合物は炭素原子数約10〜約16個の平均アルキル鎖長を有し、約1〜約4モルのエチレンオキシドの平均エトキシル化度を有する。このような混合物はまた、アルキルエーテルサルフェートの総重量に基づいて、C12〜13の化合物を約0重量%〜約20重量%;C14〜16の化合物を約60重量%〜約100重量%;C17〜19化合物を約0重量%〜約20重量%;エトキシル化度が0の化合物を約3重量%〜約30重量%;エトキシル化度が約1〜約4の化合物を約45重量%〜約90重量%;エトキシル化度が約4〜約8の化合物を約10重量%〜約25重量%;及びエトキシル化度が約8を超える化合物を約0.1重量%〜約15重量%含む。
【0059】
好適なアニオン性洗浄性界面活性剤成分には、ヘアケア又はその他パーソナルケア用クレンジング組成物に用いるために既知のものが挙げられる。本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性洗浄性界面活性剤成分としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジノエタノールアミン、ラウレス硫酸ジノエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム(lauric monoglyceride sodium sulfate)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
一部の実施形態では、洗浄性界面活性剤は、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の追加の界面活性剤を更に含む。これらの界面活性剤は、ヘアケア組成物又は他のパーソナルケア洗浄組成物での使用が知られており、組成物のpH下でアニオン性の基を含有する。これらのパーソナルクレンジング組成物に含まれるこのような両性洗浄性界面活性剤の濃度は、クレンジング組成物の総重量に基づき約0.5重量%〜約20重量%、他の実施形態では約1重量%〜約10重量%の範囲である。好適な双極性イオン又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されている。
【0061】
本発明の組成物に使用するのに好適な両性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く記述される界面活性剤であって、その脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができ、その脂肪族置換基のうち1つが約8〜約18個の炭素原子を含有し、また1つがカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性水溶性基を含有する界面活性剤が挙げられる。パーソナルケア組成物で使用するための両性界面活性剤は、ココアンホ酢酸、ココアンホ二酢酸、ラウロアンホ酢酸、ラウロアンホ二酢酸、ラウラミンオキシド、及びこれらの混合物を含む。
【0062】
パーソナルケア組成物で用いるのに好適な双性イオン性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤などが挙げられ、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。ベタイン(すなわち、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン)などの双極イオンも本明細書で有用である。
【0063】
本発明の組成物は、本明細書に記載の洗浄性界面活性剤成分と組み合わせて使用される追加の界面活性剤を更に含んでもよい。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、式[R1−SO3−M](式中、R1は炭素原子を約8〜約24個、一実施形態では約10〜約18個含有する直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルであり、Mは本明細書に前述されたようなカチオンである)に従う、硫酸反応生成物の有機水溶性塩が挙げられる。このような界面活性剤の非限定例としては、約8〜約24個の炭素原子、一実施形態では約12〜約18個の炭素原子を有する、イソ−、ネオ−、及びn−パラフィンを包含するメタン系の炭化水素と、漂白及び加水分解を包含する既知のスルホン化法によって得られるスルホン化剤、例えば、SO3、H2SO4との、有機硫酸反応生成物の塩が挙げられる。また、本明細書に用いるのに好適な界面活性剤は、アルカリ金属及びアンモニウムスルホン化C10〜18 n−パラフィンである。
【0064】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化し、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物(例えば、脂肪酸はココヤシ油又はパーム核油から誘導されたもの)であり、脂肪酸が例えばココヤシ油又はパーム核油から誘導されたメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩である。
【0065】
本発明の組成物に用いるのに好適な他のアニオン性洗浄性界面活性剤はコハク酸塩であり、その例としては、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジアンモニウム、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0066】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、約10〜約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。この文脈では、用語「オレフィンスルホネート」は、非錯体化型三酸化イオウによってα−オレフィンをスルホン化し、続いて、反応によって生成したスルホネートをすべて加水分解させて、対応するヒドロキシ−アルカンスルホネートをもたらすような条件で、酸性反応混合物を中和させることによって製造することのできる化合物を指す。三酸化イオウは、液状であっても又はガス状であってもよく、通常は、必須ではないが、液体形態で使用する場合は不活性希釈剤、例えば、液体SO2、塩素化炭化水素などで希釈され、又はガス形態で使用する場合には空気、窒素、ガス状SO2などで希釈される。オレフィンスルホネートを誘導するα−オレフィンは、約10〜約24個の炭素原子、一実施形態では約12〜約16個の炭素原子を有するモノ−オレフィンである。一実施形態では、これらは直鎖オレフィンである。真性アルケンスルホネート、及びある割合のヒドロキシ−アルカンスルホネートに加えて、オレフィンスルホネートには、少量の他の物質、例えばアルケンジスルホネートなどを、反応条件、反応物質の比率、オレフィンストックにおける出発物質のオレフィン及び不純物の性質、並びにスルホン化プロセス中の副反応に応じて含有させることができる。このようなα−オレフィンスルホネート混合物の非限定例は、米国特許第3,332,880号に記載されている。
【0067】
本発明の組成物に用いるのに好適なアニオン性界面活性剤のもう1つの種類は、β−アルキルオキシアルカンスルホネートである。これらの界面活性剤は式Iに一致する:
【0068】
【化1】
式中、R1は、約6〜約20個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R2は、約1〜約3個の炭素原子を有する、一実施形態では1個の炭素原子を有する低級アルキル基であり、Mは本明細書に前述されるような水溶性カチオンである。本発明の組成物で使用するのに好適なアニオン性界面活性剤としては、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
アルカノールアミドなどのアミドは、脂肪酸と、一級及び二級アミン又はアルカノールアミンとの縮合生成物であり、縮合により得られる生成物は一般式IIを有する:
【0070】
【化2】
式中、RCOは脂肪酸ラジカルであり、及びRはC8〜20であり、Xはアルキル、芳香族又はアルカノール(CHR’CH2OH、式中、R’はH又はC1〜6アルキルである)であり、YはH、アルキル、アルカノール又はXである。好適なアミドとしては、限定するものではないが、コカミド、ラウラミド、オレアミド及びステアロアミドが挙げられる。好適なアルカノールアミドとしては、限定するものではないが、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、イソステアロアミドDEA、イソステアロアミドMEA、イソステアロアミドMIPA、ラノリンアミドDEA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、リノールアミドDEA、リノールアミドMEA、リノールアミドMIPA、ミリストアミドDEA、ミリストアミドMEA、ミリストアミドMIPA、オレアミドDEA、オレアミドMEA、オレアミドMIPA、パーム核脂肪酸アミドDEA、パーム核脂肪酸アミドMEA、パーム核脂肪酸アミドMIPA、パルミトアミドDEA、パルミトアミドMEA、パーム核アミドDEA、パーム核アミドMEA、パーム核アミドMIPA、ピーナッツアミドMEA、ピーナッツアミドMIPA、ダイズアミドDEA、ステアロアミドDEA、ステアロアミドMEA、ステアロアミドMIPA、タールアミド(tallamide)DEA、タローアミドDEA、タローアミドMEA、ウンデシレンアミドDEA、ウンデシレンアミドMEA、PPG−2ヒドロキシエチルコカミド、及びPPG−2−ヒドロキシエチルココ/イソステアロアミドが挙げられる。遊離脂肪酸又はあらゆる種類の脂肪酸エステル(脂肪及び油など)、及び特にメチルエステルと縮合反応させることもできる。反応条件及び原材料供給源が、最終生成物に含まれる成分のブレンドと、任意の不純物の性質とを決定する。
【0071】
好適な任意選択的な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられる。任意の追加の界面活性剤がまた、本発明の組成物の必須成分と化学的及び物理的に適合性があるか、そうでなければ、製品性能、審美性、又は安定性を過度に損なわないのであれば、ヘアケア又はパーソナルケア製品に用いるための、当該技術分野において既知のいかなるこうした界面活性剤を用いてもよい。パーソナルケア組成物における任意の追加の界面活性剤の濃度は、所望の洗浄又は起泡性能、選択された任意の界面活性剤、所望の製品濃度、組成物中の他の成分の存在、及び当該技術分野において周知の他の因子によって異なってもよい。
【0072】
パーソナルケア組成物で使用するのに好適な他の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual(M.C.Publishing Co.により出版)、及び米国特許第3,929,678号;同第2,658,072号;同第2,438,091号;同第2,528,378号に記載されている。
【0073】
本発明一部の実施形態では、洗浄性界面活性剤としてはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が挙げられる。例えば、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて約6.8重量%〜約15重量%のCMEA、約12重量%〜約22重量%のラウリル硫酸ナトリウム、及び約62.5重量%〜約81.2重量%の水を含み得る。一実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて約15重量%のCMEA、約12.5重量%のラウリル硫酸ナトリウム、及び約72.5重量%の水を含み得る。
【0074】
本発明一部の実施形態では、洗浄性界面活性剤はラウレス硫酸ナトリウム1−エトキシレート(SLE1S)を含む。例えば、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて約6.8重量%〜約15重量%のCMEA、約12重量%〜約22重量%のSLE1S、及び約62.5重量%〜約81.2重量%の水を含有し得る。本組成物は、組成物の総重量に基づいて約15重量%のCMEA、約12.5重量%のSLE1S、及び約72.5重量%の水を含み得る。
【0075】
本発明一部の実施例では、洗浄性界面活性剤はラウレス硫酸ナトリウム3−エトキシレート(SLE3S)を含む。例えば、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて約6.8重量%〜約15重量%のCMEA、約12重量%〜約22重量%のSLE3S、及び約62.5重量%〜約81.2重量%の水を含み得る。本組成物は、組成物の総重量に基づいて約15重量%のCMEA、約12.5重量%のSLE3S、及び約72.5重量%の水を含み得る。
【0076】
本発明の組成物には更にヒドロトロープを含ませてもよい。ヒドロトロープは、界面活性剤の秩序構造を乱しCMEA対洗浄性界面活性剤の有効比を増加させる。ヒドロトロープは、他の界面活性剤の可溶化を補助する短鎖界面活性剤などが挙げられる、パーソナルケア産業で使用される任意のヒドロトロープであってよい。一部の実施形態では、ヒドロトロープとしては、C1〜8アルキルカルボキシレート、C1〜8アルキルサルフェート、C1〜8アルキルベンゼンスルホネート、ハロゲンベンゾエート(例えば、安息香酸塩化物)、C1〜8アルキルナフタレンカルボキシレート(例えば、ヒドロキシルナフタレンカルボキシレート)、尿素、エトキシル化サルフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。C1〜8アルキルベンゼンスルホネートには、C1〜8アルキルクメンスルホネート、C1〜8アルキルトルエンスルホネート(例えば、パラトルエンスルホネート)、C1〜C8アルキルキシレンスルホネート、及びこれらの混合物が包含され得る。例えば、ヒドロトロープとしては、キシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸カルシウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸アンモニウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ヒドロトロープは、CMEAの溶解を補助させるのに十分な量で存在させることができる。一部の実施形態では、ヒドロトロープは、組成物の総重量に基づき約0.5重量%〜約5.0重量%、約1.0重量%〜約3.0重量%の量で存在する。
【0077】
本発明の組成物は更に電解質を含んでもよい。電解質は、界面活性剤の秩序構造を強化し、洗浄性界面活性剤対CMEAの有効比を低下させる。電解質は、無機塩又は有機塩であってよい。一般的に、重量効率がより良好であり、費用がより少なく済むことから、有機電解質よりも無機電解質が好ましい。無機塩と有機塩の混合物を使用することもできる。組成物中の電解質の濃度は、典型的には、組成物の総重量に基づき約10重量%未満である。一実施形態では、組成物中の電解質の濃度は組成物の総重量に基づき約0.5重量%〜約5重量%であり、他の実施形態では、組成物の総重量に基づき約0.75重量%〜約2.5重量%、更に他の実施形態では、組成物の総重量に基づき約1重量%〜約2重量%である。
【0078】
本発明の組成物で使用するのに好適な無機塩の非限定例としては、MgI2、MgBr2、MgCl2、Mg(NO32、Mg3(PO42、Mg227、MgSO4、ケイ酸マグネシウム、NaI、NaBr、NaCl、NaF、Na3(PO4)、NaSO3、Na2SO4、Na2SO3、NaNO3、NaIO3、Na3(PO4)、Na427、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、テトラクロロアルミン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、Na2Si37、ジルコン酸ナトリウム、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、CaSO4、Ca(NO32、Ca、KI、KBr、KCl、KF、KNO3、KIO3、K2SO4、K2SO3、K3(PO4)、K4(P27)、ピロ硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、LiI、LiBr、LiCl、LiF、LiNO3、AlF3、AlCl3、AlBr3、AlI3、Al2(SO43、Al(PO4)、A(NO33、ケイ酸アルミニウム;これらの塩の水和物、並びにこれらの塩の混合物、又は例えば、カリウムミョウバンAlK(SO42などのカチオンとの混合塩、及び例えばテトラクロロアルミン酸カリウム及びテトラフルオロアルミン酸ナトリウムなどのアニオンとの混合塩が挙げられる。上記塩の混合物も有用である。
【0079】
本発明に有用な有機塩としては、ギ酸、酢酸、プロプリオン酸(proprionate)、ペラルゴン酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、芳香族酸、例えば、安息香酸、フェノール酸、及び置換安息香酸又はフェノール酸(フェノール酸、サリチル酸、多環芳香族テレフタル酸)、及び多酸(例えば、オレイン酸、アジパン酸、コハク酸、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸)などのカルボン酸のマグネシウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びアルミニウム塩が挙げられる。他の有用な有機塩としては、pHが好適である場合には炭酸塩及び/又は炭酸水素塩(HCO3-1)、アルキル及び芳香族硫酸塩及びスルホン酸塩、例えば、メチル硫酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸及びキシレンスルホン酸などの誘導体、並びにpHが好適である場合にはアミノ酸、が挙げられる。電解質は、上記の混合塩、酒石酸カリウム/ナトリウムなどのカチオンにより中和された塩、酒石酸水素ナトリウム又はフタル酸水素カリウムなどの部分的に中和された塩、及びカチオンをアニオンと混合させることで形成される塩から構成され得る。
【0080】
本発明の組成物には更に保存料を含ませてもよい。保存料とは、バクテリア、真菌、又は原生動物などの微生物を、殺菌するか、又はこれらの微生物の増殖を阻害する抗菌性物質である。保存料の非限定的な例としては、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、ソルビン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(Na2EDTA)、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(Na4EDTA)、メチルクロロイソチアゾリノン(KATHON(登録商標))、及びこれらの混合物が挙げられる。保存料は、微生物を殺菌するのに、あるいは微生物の増殖を阻害するのに効果的な任意の量で存在することができる。保存料の量は、使用する具体的な保存料によって異なる。例えば、組成物の総重量に基づき少なくとも約0.25重量%の安息香酸ナトリウム、約5ppm〜約15ppmのメチルクロロイソチアゾリノン(KATHON(登録商標))又はこれらの混合物などを保存料として含ませることができる。本発明の組成物に有用な保存料及びその好適な量(組成物の総重量に基づく)の更なる例を表1に掲載する。
【0081】
【表1】
【0082】
本発明の組成物には更に酸を含ませてもよい。酸官能基が組成物のpHを約3〜約9に、他の実施形態では約4〜約8に中和する。酸の非限定的な例としては、塩酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、タトロン酸(tatronic acid)、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、リン酸、フタル酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、酢酸、硫酸、ホウ酸、ギ酸、及びこれらの混合物が挙げられる。酸は、所望のpHが得られるような任意の量で存在する。例えば、本発明の組成物は約0.5重量%〜約1.5重量%の6NのHClを含むことができる。
【0083】
本発明の組成物は更に添加剤を含んでもよい。添加剤の非限定例としては、コンディショニング剤、天然カチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、抗ふけ剤、ゲルネットワーク(例えば、脂肪族アルコール/界面活性剤ネットワーク)、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、真珠光沢助剤、起泡剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存料、キレート剤、タンパク質、皮膚活性化剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、及びこれらの混合物が挙げられる。1種以上の添加剤の濃度は、使用する具体的な添加剤によって異なり、典型的には、本明細書の何処かに記載されているような、従来パーソナルケア産業で添加剤に用いられてきた任意の濃度である。
【0084】
他の態様では、本発明は、ココナッツモノエタノールアミド(CMEA)及び洗浄性界面活性剤の、CMEA活性の高いミセル相又はラメラ相液晶を水中に含有している組成物の調製法に関する。本発明の組成物は、約17℃以上で相安定であり、すなわち、CMEA及び/又はSLSはこの温度以上であれば溶液から析出しない。この方法では、中和済保存型洗浄性界面活性剤を含有している溶液に、CMEAの融点以上の温度(例えば、約50℃〜約86℃、一実施形態では約60℃〜約70℃)下でコカミドモノエタノールアミン(CMEA)を添加して、ラメラ相液晶を含む組成物を形成させ、次に約22℃〜約85℃へと、一実施形態では約27℃〜約33℃へと冷却させる。
【0085】
前述したように、洗浄性界面活性剤には、エトキシレートレベルが約0〜約10でかつアニオンレベルが約1〜約10であり、本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合性があり、さもなければ製品の安定性、審美性、又は性能を著しく損なうことのないアニオン性界面活性剤が含有される。洗浄性界面活性剤の好適な例は、本明細書に前述されている。
【0086】
一部の実施形態では、洗浄性界面活性剤には、本明細書に前述されるようなアニオン性洗浄界面活性剤成分と組み合わせて使用するための両性界面活性剤、双極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物が更に含まれ得る。これらの任意の界面活性剤の好適な例は、本明細書に前述されている。
【0087】
本発明の組成物中の成分(例えば、CMEA、洗浄性界面活性剤、水)の相対濃度は、本発明の組成物を本明細書に前述されるようなラメラ相液晶の形態で存在させる任意の濃度である。
【0088】
本発明の本態様の一部の実施形態では、中和済保存型洗浄性界面活性剤は、(i)洗浄性界面活性剤を水に添加することと、(ii)保存料を洗浄性界面活性剤に添加して保存型洗浄性界面活性剤を形成することと、(iii)保存型洗浄性界面活性剤に酸を添加して中和済保存型洗浄性界面活性剤を形成すること、により調製することができる。保存料及び酸は、任意の速度、及び約20℃〜約99℃の、一実施形態では約20℃〜約75℃の任意の温度で洗浄性界面活性剤に添加することができる。
【0089】
酸は、組成物のpHを約3〜約9、一実施形態では約4〜約8へと中和させるよう機能し、所望のpHをもたらすような任意の量で存在する。酸の非限定的な例は、本明細書に前述されている。
【0090】
本明細書に前述されるように、中和済保存型洗浄性界面活性剤を含有している溶液に、CMEAの融点以上の温度(例えば、約54℃〜約86℃、一実施形態では約60℃〜約70℃)下でCMEAを添加して、ラメラ相液晶を含む組成物を形成させる。一部の実施形態では、中和済保存型洗浄性界面活性剤は室温で調製し、次にCMEAの導入時に加熱する。代替的な実施形態では、中和済保存型洗浄性界面活性剤は高温で調製し、CMEAの添加時に高温のまま維持する。他の代替的な実施形態では、中和済保存型洗浄性界面活性剤及びCMEAは、CMEAを中和済保存型洗浄性界面活性剤に導入する前にいずれも予熱する。
【0091】
一部の実施形態では、洗浄性界面活性剤は水、保存料、酸、及び/又はCMEAの添加中に撹拌する。撹拌は、空気を混入させることなく良好な均一性を確保するのに十分な速度で行われる。撹拌の正確な速度は、洗浄性界面活性剤を収容させる容器の大きさと種類によって異なる。例えば、洗浄性界面活性剤を水に添加する際の撹拌速度は、130Lのダブルインペラバッフル型槽を使用する場合には約100rpmであり得る一方、15Lのダブルインペラバッフル型槽を使用する場合には撹拌速度は約180rpmであり得る。例えば、保存料又は酸を洗浄性界面活性剤に添加する際の撹拌速度は、130Lのダブルインペラバッフル型槽を使用する場合約40〜約50rpmであり得る。CMEAを添加する際の洗浄性界面活性剤の撹拌速度は、典型的には保存料又は酸を添加する際の洗浄性界面活性剤の撹拌速度の少なくとも2倍である。CMEAを洗浄性界面活性剤に導入することで、組成物の粘度は増加することから、ひいては撹拌速度をより早くする必要がある。
【0092】
他の態様では、本発明は、パーソナルケア製品の製造方法に関する。本方法では、本発明の組成物は、次の1つ以上:コンディショニング剤、天然のカチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、抗ふけ剤、ゲルネットワーク(例えば、脂肪族アルコール/界面活性剤ネットワーク)、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、真珠光沢助剤、起泡剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存料、キレート剤、タンパク質、皮膚活性化剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、及びこれらの混合物を含むパーソナルケア組成物と組み合わせられてパーソナルケア製品を形成する。
【0093】
本発明の組成物は、パーソナルケア製品の総重量に基づき、濃度が約0.025重量%〜約5重量%、一実施形態では約0.5重量%〜約2重量%、他の実施形態では約0.75重量%〜約1.0重量%になるようCMEAをパーソナルケア組成物に添加することができる。例えば、パーソナルケア製品の総重量に基づいて約3.33重量%〜約13.2重量%、一実施形態では約5重量%〜約10重量%の本発明の組成物を、パーソナルケア組成物に添加して、パーソナルケア製品を形成することもできる。
【0094】
本発明の組成物は、パーソナルケア製品の製造に典型的に使用される任意の手段又は方法によりパーソナルケア組成物に添加することができる。
【0095】
1.コンディショニング剤
a.油性コンディショニング剤
一部の実施形態では、本発明の組成物を、油性コンディショニング剤を1種以上含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成する。油性コンディショニング剤としては、毛髪及び/又は皮膚に特定のコンディショニング効果を与えるために使用される物質が挙げられる。毛髪トリートメント組成物において、好適なコンディショニング剤は、光沢、柔軟性、櫛通りの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い、損傷、扱い易さ、ボリューム、及び脂っぽさに関連する利益を1つ以上もたらすものである。本発明の組成物に有用な油性コンディショニング剤には、典型的には、乳化液体粒子を形成する、非水溶性の水分散性不揮発性液体が含まれている。本組成物に用いるのに好適な油性コンディショニング剤は、一般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率のシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)、又はこれらの組み合わせとして特徴付けられるコンディショニング剤、あるいは本明細書の水性界面活性剤マトリックスに液体の分散粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0096】
1種以上の油性コンディショニング剤は、典型的には、パーソナルケア組成物の重量に基づき、約0.01重量%〜約10重量%、一実施形態では約0.1重量%〜約8重量%、他の実施形態では約0.2重量%〜約4重量%の濃度で存在する。
【0097】
b.シリコーンコンディショニング剤
組成物の油性コンディショニング剤は、水不溶性のシリコーンコンディショニング剤であってよい。シリコーンコンディショニング剤は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。不揮発性のシリコーンコンディショニング剤が好適である。揮発性シリコーンが存在する場合、典型的にはシリコーンゴムや樹脂のような、市販の形態の不揮発性シリコーン物質成分のための溶媒又はキャリアとしてのそれらの使用に付随する。シリコーンコンディショニング剤粒子は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでもよく、またシリコーン流体の付着効率を改善するか又は毛髪の光沢度を高めるための他の成分(シリコーン樹脂など)を更に含んでもよい。
【0098】
適したシリコーンコンディショニング剤及びシリコーンのための任意の懸濁剤の非限定例は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されている。パーソナルケア組成物に使用するためのシリコーンコンディショニング剤は、25℃にて測定した場合に、約2E−5〜約2m2/s(約20〜約2,000,000センチストークス(「csk」))、他の実施形態では、約0.001〜約1.8m2/s(約1,000〜約1,800,000csk)、他の実施形態では、約0.005〜約1.5m2/s(約5,000〜約1,500,000csk)、及び更に他の実施形態では約0.01〜約1m2/s(約10,000〜約1,000,000csk)の粘度を有する。
【0099】
本発明の不透明な組成物の実施形態では、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物を測定した場合に、約1μm〜約50μmの粒径を有する不揮発性シリコーン油を含む。毛髪に小直径粒子を適用することを目的とした本発明の一実施形態では、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物中で測定した場合に、粒径が約100nm〜約1μmの不揮発性シリコーン油を含む。本発明の実質的に透明な組成物の実施形態は、パーソナルケア組成物中で測定した場合に、約100nm未満の粒径を有する不揮発性シリコーン油を含む。
【0100】
パーソナルケア組成物に使用するのに好適な不揮発性シリコーン油は、有機変性シリコーン及びフルオロ変性シリコーンから選択することができる。本発明の一の実施形態では、不揮発性シリコーン油は、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、アミン基、四級基、カルボキシル基、脂肪酸基、エーテル基、エステル基、メルカプト基、サルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基、プロピレンオキシド基、及びエチレンオキシド基からなる群から選択される有機基を含む有機変性シリコーンである。本発明の一実施形態では、不揮発性シリコーンオイルはジメチコンである。
【0101】
シリコーン流体、ゴム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を論じる項を含むシリコーンの背景資料はEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,2d ed.,pp 204〜308,John Wiley & Sons,Inc.(1989)に見出せる。
【0102】
パーソナルケア組成物に用いるのに好適なシリコーン流体は、米国特許第2,826,551号、同第3,964,500号、同第4,364,837号、英国特許第849,433号、及びSilicon Compounds,Petrarch Systems,Inc.(1984)に開示されている。
【0103】
c.有機コンディショニングオイル
パーソナルケア組成物の油性コンディショニング剤は、更に単独で、あるいは上記のシリコーンなどの他のコンディショニング剤と組み合わせて、少なくとも1種の有機コンディショニングオイルを含み得る。
【0104】
d.炭化水素油
パーソナルケア組成物でコンディショニング剤として使用するのに好適な有機コンディショニングオイルとしては、限定するものではないが、少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)(これらのポリマー及びこれらの混合物を含む)が挙げられる。好適な直鎖炭化水素油は約C12〜約C19である。分枝鎖炭化水素油(炭化水素ポリマーを包含する)は典型的には19個より多い炭素原子を含有する。
【0105】
これらの炭化水素油の具体的な非限定例としては、パラフィン油、鉱油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物の分岐鎖異性体、並びにより長鎖の炭化水素鎖も使用してよく、このような炭化水素鎖の例としては、Permethyl Corporationから入手可能な2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナンが挙げられる。好適な炭化水素ポリマーは、Amoco Chemical CorporationからL−14ポリブテンとして市販されているイソブチレン及びブテンからなるコポリマーなどのポリブテンである。
【0106】
e.ポリオレフィン
パーソナルケア組成物に使用するための有機コンディショニング油としては、液体ポリオレフィンを、一実施形態では液体ポリ−α−オレフィンを、他の実施形態では、水素添加液体ポリ−α−オレフィンを挙げることもできる。本明細書に用いるためのポリオレフィンは、C4〜約C14オレフィン系モノマーを、一実施形態では、約C6〜約C12オレフィン系モノマーを重合させて調製する。
【0107】
本明細書のポリオレフィン液を調製するのに使用するためのオレフィンモノマーの非限定例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、4−メチル−1−ペンテンのような分岐鎖異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。また、ポリオレフィン液を調製するのに適したものはオレフィン含有の製油原液又は流出液である。
【0108】
f.脂肪酸エステル
パーソナルケア組成物でコンディショニング剤として使用するのに好適な他の有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられる。これらの脂肪族エステルとしては、脂肪酸又はアルコールから誘導される炭化水素鎖を有するエステルが挙げられる。この脂肪酸エステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えばエトキシ又はエーテル結合等)のようなその他の適合性のある官能基を包含するか又はそこへ共有結合してもよい。
【0109】
脂肪酸エステルの好適な例としては、限定するものではないが、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル及びアジピン酸オレイルが挙げられる。本発明の組成物に用いるのに適したその他の脂肪酸エステルは、多価アルコールエステルとして既知のものである。このような多価アルコールエステルとしては、アルキレングリコールエステルが挙げられる。
【0110】
パーソナルケア組成物で使用するのに好適な更に他の脂肪族エステルとしては、限定するものではないが、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、一実施形態ではジ−及びトリ−グリセリド、他の実施形態では、トリグリセリドが挙げられる。種々のこれらの種類の物質は、植物及び動物の油脂、例えばヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、とうもろこし油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカドオイル、パーム油、胡麻油、ラノリン及び大豆油から得ることができる。合成油には、トリオレイン及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
g.フッ素化コンディショニング化合物
毛髪又は皮膚にコンディショニング効果を送達させるのに好適なフッ化物としては、有機コンディショニングオイル、例えば、ペルフルオロポリエーテル、過フッ素化オレフィン、前述されるようなシリコーン流体に類似する流体又はエラストマー形態であり得るフッ素系の特定のポリマー、及び過フッ素化ジメチコンなどが挙げられる。好適なフッ素化化合物の具体的な非限定例としては、Ausimontから市販のFomblinシリーズ、例えば、HC/04、HC/25、HC01、HC/02、HC/03など;一般にBiosil Basics Fluoro Gerbet 3.5と呼ばれ、Biosil Technologiesから供給されるジオクチルドデシルフルオロエチルクエン酸塩;及び同様にBiosil Technologiesから提供されるBiosil Basics Fluorosil LFが挙げられる。
【0112】
h.脂肪族アルコール
パーソナルケア組成物で使用するのに好適な他の有機コンディショニングオイルとしては、限定するものではないが、少なくとも約10個の炭素原子を有する、一実施形態では約10〜約22個の炭素原子、及び他の実施形態では約12〜約16個の炭素原子を有する脂肪族アルコールが挙げられる。本発明のパーソナルケア組成物に使用するのに好適なアルコールは、一般式:
CH3(CH2nCH2(OCH2CH2pOH
に一致するアルコキシル化脂肪族アルコールであり、式中、nは約8〜約20、一実施形態では約10〜約14の値を有する正の整数であり、pは約1〜約30、一実施形態では約2〜約23の値を有する正の整数である。
【0113】
i.アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体
パーソナルケア組成物で使用するのに好適な有機コンディショニングオイルとしては、限定するものではないが、アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体が挙げられる。好適なアルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体の具体的な非限定例としては、Amercholから市販のGlucam E−10、Glucam E−20、Glucam P−10、及びGlucquat 125が挙げられる。
【0114】
j.第四級アンモニウム化合物
パーソナルケア組成物でコンディショニング剤として使用するのに好適な第四級アンモニウム化合物としては、限定するものではないが、アミド部分のようなカルボニル部分、又はリン酸エステル部分、又は類似の親水性部分を有する長鎖置換基を有する親水性第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0115】
有用な親水性第四級アンモニウム化合物の例としては、限定するものではないが、CTFA国際化粧品成分辞書(CTFA Cosmetic Dictionary)にリシノールアミドプロピルトリモニウムクロリド、リシノールアミドトリモニウムエチルサルフェート、ヒドロキシステアラミドプロピルトリモニウムメチルサルフェート及びヒドロキシステアラミドプロピルトリモニウムクロリドとして記載される化合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
他の有用な第四級アンモニウム界面活性剤の例としては、限定するものではないが、クオタニウム−33、クオタニウム−43、イソステアラミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、クオタニウム−22及びクオタニウム−26、又はCTFA Dictionaryに記載されるようなこれらの組み合わせが挙げられる。
【0117】
本発明の組成物に有用な他の親水性第四級アンモニウム化合物としては、限定するものではないが、クオタニウム−16、クオタニウム−27、クオタニウム−30、クオタニウム−52、クオタニウム−53、クオタニウム−56、クオタニウム−60、クオタニウム−61、クオタニウム−62、クオタニウム−63、クオタニウム−71、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
k.ポリエチレングリコール
本明細書においてコンディショニング剤として有用な追加の化合物の例としては、CTFA名称がPEG−200、PEG−400、PEG−600、PEG−1000、PEG−2M、PEG−7M、PEG−14M、PEG−45Mであるもの、及びこれらの混合物などのような、最大約2,000,000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0119】
グリセリンもパーソナルケア組成物にコンディショニング剤として使用できる。本発明の一実施形態では、グリセリンを、パーソナルケア製品の総重量に基づいて約0.01重量%〜約10重量%の範囲で存在させてもよい。本発明の更なる一実施形態では、グリセリンを、パーソナルケア製品の総重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%の範囲で存在させてもよい。本発明の尚更なる一実施形態では、グリセリンを、パーソナルケア製品の総重量に基づいて約2重量%〜約4重量%の範囲で存在させてもよい。
【0120】
2.追加の構成成分
一部の実施形態では、ヘアケア又はパーソナルケア製品への使用が知られている一種以上の成分を、本明細書に記載の必須成分に対し物理的及び化学的に適合するか、あるいは製品性能、安定性、又は美観を過度に損なわないものである場合に限り含有しているパーソナルケア組成物と、本発明の組成物とを合わせて、パーソナルケア製品を形成する。このような追加の成分の個別の濃度は、パーソナルケア製品の重量に基づき約0.001重量%〜約10重量%の範囲であり得る。
【0121】
パーソナルケア組成物に含ませることのできる成分の非限定例としては、天然のカチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、抗ふけ剤、ゲルネットワーク(例えば、脂肪族アルコール/界面活性剤ネットワーク)、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、真珠光沢助剤、起泡剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存料、キレート剤、タンパク質、皮膚活性化剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0122】
a.セルロース性又はグアーカチオン性付着ポリマー
本発明の組成物を、セルロース性又はグアーカチオン性付着ポリマーを含有しているパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。セルロース又はグラクトマンナン(glactomannan)カチオン性付着ポリマーは本明細書で使用するのに好適である。一般的に、このようなセルロース系又はグアー系カチオン性付着ポリマーは、パーソナルケア製品の総重量に基づいて約0.05重量%〜約5重量%の濃度で存在させることができる。好適なセルロース性又はグアー性カチオン付着ポリマーの分子量は約5,000超である。一実施形態では、セルロース系又はグアー系カチオン性付着ポリマーの分子量は約200,000超である。更に、こうしたセルロース性又はグアー性付着ポリマーの電荷密度は、パーソナルケア製品に意図される使用pH下で約0.15〜約4.0meq/gであり、pHは一般にpH約3〜pH約9、及び一実施形態ではpH約4〜pH約8である。組成物のpHは未希釈で測定する。
【0123】
好適なセルロース又はグアーカチオン性ポリマーとしては、次の式:
【0124】
【化3】
に従うものが挙げられ、式中、Aは、セルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基であり;Rはアルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレン基であるか、あるいはこれらの組み合わせであり、R1、R2、及びR3は独立してアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル又はアルコキシアリール基であり、各基は約18個までの炭素原子を含有し、各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R1、R2及びR3に含まれる炭素原子の和)は、約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。これらの多糖類ポリマーのカチオン置換度は、一般に、無水グルコース単位当たりのカチオン性基が約0.01〜約1である。
【0125】
本発明の一実施形態では、セルロース又はグアーカチオン性ポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクアテルニウム10と呼ばれており、Amerchol Corp.(Edison,N.J.,USA)から入手可能である。
【0126】
他の好適なカチオン性付着ポリマーとしては、例えば、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられ、このような誘導体の具体例としては、Rhone−Poulenc Incorporatedから市販のJaguarシリーズ(Jaguar C−17.RTM.など)及びこれに加えRhodiaから市販のJaguar C−500が挙げられる。
【0127】
b.合成カチオン性付着ポリマー
本発明の組成物を、合成カチオン性付着ポリマーを含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。一般的に、このような合成カチオン性付着ポリマーは、パーソナルケア製品の総重量に基づいて約0.025重量%〜約5重量%の濃度で存在させることができる。このような合成カチオン性付着ポリマーの分子量は、約1,000〜約5,000,000である。更に、このような合成カチオン性付着ポリマーの電荷密度は、約0.1meq/g〜約5.0meq/gである。
【0128】
好適な合成カチオン性付着ポリマーとしては、水溶性又は分散性のカチオン性非架橋コンディショニングコポリマーのうち、(i)1つ以上のカチオン性モノマー単位、及び(ii)1つ以上の非イオン性モノマー単位又は末端に負電荷を有するモノマー単位を有し、更に正味の正電荷、約0.5meq/g〜約10meq/gのカチオン電荷密度、及び約1,000〜約5,000,000の平均分子量を有するものが挙げられる。
【0129】
好適な合成カチオン性付着ポリマーの非限定的な例は、米国特許出願公開第2003/0223951 A1号(Geary et al)に記載されている。
【0130】
c.抗ふけ剤
本発明の組成物を、抗ふけ剤を含有しているパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。抗ふけ剤の好適な非限定例としては、ピリジンチオン塩、炭酸亜鉛、例えばケトコナゾール、エコナゾール、及びエルビオールなどのアゾール、硫化セレン、粒子状イオウ、サリチル酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。一般的な抗ふけ粒子はピリジンチオン塩である。このような抗ふけ粒子は、物理的及び化学的に組成物の構成成分と適合すべきであり、過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうべきではない。
【0131】
ピリジンチオン抗菌剤及び抗ふけ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0132】
アゾール系抗微生物剤としては、クリンバゾール及びケトコナゾールなどのイミダゾールが挙げられる。
【0133】
硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、米国特許第3,152,046号、米国特許第4,089,945号、及び米国特許第4,885,107号に記載されている。
【0134】
イオウもまた、本発明の抗菌性組成物において粒子状抗菌性/抗ふけ剤として使用することができる。
【0135】
本発明は、サリチル酸のような1つ以上の角質溶解剤を更に含んでいてもよい。
【0136】
本発明の追加の抗菌有効成分は、コバノブラッシノキ属(ティー・ツリー)及び炭の抽出物を含んでいてもよい。
【0137】
組成物中に存在する場合、抗ふけ活性剤は、パーソナルケア組成物の重量に基づき約0.01重量%〜約5重量%、一実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、及び他の実施形態では約0.3重量%〜約2重量%で含まれる。
【0138】
d.粒子
一部の実施形態では、本発明の組成物を、粒子を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成してもよい。本発明に有用な粒子は、分散された非水溶性粒子である。本発明に有用な粒子は、無機、合成又は半合成の粒子であり得る。一実施形態では、粒子は、パーソナルケア組成物の総重量の約20重量%以下、他の実施形態では、約10重量%以下及び更に他の実施形態では2重量%以下で組み込まれる。一実施形態では、粒子の有する平均粒径は約300μm未満である。
【0139】
無機粒子の例としては、限定するものではないが、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカゲル、ケイ酸マグネシウム、ガラス粒子、タルク、雲母、絹雲母、及び種々の天然及び合成粘土(ベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなど)が挙げられる。
【0140】
合成粒子の例としては、シリコーン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン(登録商標)など)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、及びアクリル粉末などが挙げられる。
【0141】
混成粒子の例としては、絹雲母及び架橋ポリスチレンの混成粉末、雲母及びシリカの混成粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
e.乳白剤
一部の実施形態では、本発明の組成物を、1種以上の乳白剤を含むパーソナルケア組成物と合わせることもできる。乳白剤は、典型的には、クレンジング組成物に使用され、組成物に色味などの所望の審美効果を付与する。一実施形態では、乳白剤は、パーソナルケア組成物の総重量に基づいて約20重量%以下、他の実施形態では、約10重量%以下及び更に他の実施形態では2重量%以下で組み込まれる。
【0143】
好適な乳白剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、ポリメチルメタクリレート、微紛化Teflon.RTM.、窒化ホウ素、硫酸バリウム、アクリル酸ポリマー、ケイ酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、白亜、トウモロコシデンプン、ケイソウ土、フラー土、グリセリルデンプン、水酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、微結晶セルロース、コメデンプン、シリカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、又はこれらの混合物が挙げられる。上述の粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーンオイル、又は単独の若しくは組み合わせによる様々な他の薬剤により表面処理されてよく、これらは粉末表面をコーティングし、粒子を性質上疎水性にする。
【0144】
乳白剤は様々な有機及び無機顔料も含み得る。有機顔料は概してアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料などの様々な芳香族種である。無機顔料としては、酸化鉄、ウルトラマリン及びクロム又は水酸化クロムカラー及びこれらの混合物が挙げられる。
【0145】
f.懸濁剤
一部の実施形態では、非水溶性の物質を組成物中に分散させて懸濁するのに有効な濃度で、あるいは組成物の粘度を調整するのに有効な濃度で懸濁剤(すなわち、安定剤)を含むパーソナルケア組成物と、本発明の組成物を合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。このような懸濁剤の濃度は、概して、パーソナルケア製品の総重量に基づき、約0.1重量%〜約10重量%であり、一実施形態では約0.3重量%〜約5.0重量%である。
【0146】
本明細書で有用な懸濁剤には、アニオン性ポリマー及び非イオン性ポリマーが挙げられる。本明細書では、架橋アクリル酸ポリマー(CTFA名:カルボマー)などのビニルポリマーが有用である。
【0147】
その他の任意の懸濁剤には、アシル誘導体、長鎖アミンオキシド、及びこれらの混合物として分類できる、結晶性懸濁剤が挙げられる。これらの懸濁剤は、米国特許第4,741,855号に記載されている。これらの懸濁剤としては、約16〜約22個の炭素原子を有する脂肪酸のエチレングリコールエステルが挙げられる。エチレングリコールステアレートのモノ及びジステアレートも同様に好適であり、特に約7%未満のモノステアリン酸を含有しているジステアリン酸は好適である。
【0148】
他の好適な懸濁剤としては、脂肪酸のアルカノールアミド、一実施形態では約16〜約22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、他の実施形態では約16〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドが挙げられ、本明細書に用いるのに好適な懸濁剤としては、限定するものではないが、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド及びステアリン酸モノエタノールアミドステアレートが挙げられる。
【0149】
他の長鎖アシル誘導体は、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチルなど);長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ステアラミドジエタノールアミドジステアレート、ステアラミドモノエタノールアミドステアレート);及びグリセリルエステル(例えば、ジステアリン酸グリセリル、トリヒドロキシステアリン、トリベヘニン)を含み、その商用例は、Rheox,Incから入手可能なThixin Rである。上記の材料に加えて、長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシド、及び長鎖カルボン酸のアルカノールアミドを、懸濁剤として使用することができる。
【0150】
g.パラフィン系炭化水素
一部の実施形態では、本発明の組成物を、1種以上のパラフィン系炭水化物を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することができる。本発明の組成物に使用するのに好適なパラフィン系炭化水素としては、約21℃(約70°F)下で蒸気圧が101.3kPa(1atm)以上である、ヘアケア又は他のパーソナルケア組成物への使用が知られている物質が挙げられる。非限定例としては、ペンタン及びイソペンタンが挙げられる。
【0151】
h.噴射剤
一部の実施形態では、本発明の組成物を、1種以上の噴射剤を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することができる。本発明の組成物で使用するのに好適な噴射剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア組成物への使用が知られている液化ガス噴射剤及び圧縮ガス噴射剤などの物質が挙げられる。好適な噴射剤の蒸気圧は、約21℃(約70°F)未満の温度下で101.3kPa(1atm)である。好適な噴射剤の非限定例は、アルカン、イソアルカン、ハロアルカン、ジメチルエーテル、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、及びこれらの混合物などである。
【0152】
i.その他の任意構成成分
一部の実施形態では、本発明の組成物を、1種以上の香料を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することができる。香料は審美目的で使用され、パーソナルケア製品の総重量に基づき約0.25重量%〜約2.5重量%の量で存在することができる。
【0153】
一部の非限定的な実施形態では、本発明の組成物を、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン及びこれらの誘導体、並びにビタミンA、D、E、及びこれらの誘導体などの水溶性及び/又は非水溶性ビタミンを含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。本発明の組成物には、アスパラギン、アラニン、インドール、グルタミン酸及びこれらの塩、並びにチロシン、トリプタミン、リジン、ヒスタジン及びこれらの塩などの水溶性及び非水溶性アミノ酸も含有させることができる。
【0154】
一部の実施形態では、本発明の組成物を、塩化ナトリウムなどの一価−又は二価の塩を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。
【0155】
一部の実施形態では、本発明の組成物を、例えばEDTAなどのキレート剤を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。キレート剤は、保存性を強化するよう機能し、パーソナルケア製品の総重量に基づき最大で約0.5重量%までの量で活性成分中に存在することができる。
【0156】
一部の実施形態では、本発明の組成物を、脱毛予防及び育毛刺激剤又は脱毛予防剤及び育毛剤に有用な成分を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。
【0157】
一部の実施形態では、本発明の組成物を、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、ゲルネットワーク(例えば、脂肪族アルコール/界面活性剤ネットワーク)、水不溶性希釈剤、真珠光沢助剤、起泡剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、保存料、タンパク質、皮膚活性化剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、又はこれらの混合物のうちの1種以上を含むパーソナルケア組成物と合わせて、パーソナルケア製品を形成することもできる。
【0158】
例示的実施形態
本例示的実施形態において、本発明の組成物は図3に記載の系を用い製造する。本実施形態では、洗浄性界面活性剤(例えば、SLS、SLE1S、SLE3S、又はこれらの混合物)及び水をディップチューブAを通して混合槽に組み込み、良好な均一性を確実に得るのに十分な速度(例えば、130Lのダブルインペラバッフル型槽で100rpm)にて、空気を混入させずに撹拌する。保存料(例えば、組成物の総重量に基づいて少なくとも約0.25重量%の安息香酸ナトリウム、又は約5ppm〜約15ppmのメチルクロロイソチアゾリノン(KATHON(登録商標))、又はこれらの混合物)及び酸(例えば、組成物の総重量に基づいて約0.5重量%〜約1.5重量%の6NのHCl)をディップチューブBにより混合槽に添加し、撹拌する(例えば、130Lのダブルインペラバッフル型槽で40rpm〜50pm)。加熱ジャケットを用い、混合槽内の内容物を約54℃〜約86℃に加熱し、一実施形態では約60℃〜約70℃に加熱し、CMEA結晶をディップチューブBにより混合槽に加える。あるいは、CMEAの添加前に中和済保存型洗浄性界面活性剤を加熱する。所望により、混合槽に添加する前にCMEAを予熱する。CMEA添加時には撹拌速度は2倍にし、次にCMEAが分散するまでそのまま維持する。冷却ジャケットを用い、混合槽内の組成物を約22℃〜約85℃に冷却し、及び一実施形態では約27℃〜約40℃に冷却し、次に、冷却した組成物を混合槽から貯蔵槽に送り込む。あるいは、組成物を貯蔵槽に送り込む間、インライン熱交換器を冷却装置として機能させることもできる。
【実施例】
【0159】
以下の実施例に示される組成物は、本発明の組成物の具体的な実施形態を説明したものであるが、これらに限定されない。その他の変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実行されることができる。
【0160】
以降の例に記載される組成物は、一般的な配合法及び混合法を用い調製され、調製例は上記されている。すべての例示量は重量%として記載され、別途記載のない限り、希釈剤、保存料、着色料、画像成分(imagery ingredients)、植物などの微量成分は除外される。
【0161】
以降の例は本発明好適な分散体組成物の代表例である。
【0162】
【表2】
A Standapol WAQ−LC(活性分29重量%)としてCognis Corp.から市販のラウリル硫酸ナトリウム
B Standapol ES−1(活性分25重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−1硫酸ナトリウム
C Standapol ES−3(活性分28重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−3硫酸ナトリウム
D Jordapon ACI 30G(活性分30重量%)としてBASF Chemicalsから市販のココイルイセチオン酸アンモニウム
E Cognis Corp.からComperlan CMEA(活性分85重量%)として市販されるコカミドMEA
F DSM Special Productsから安息香酸ナトリウム(活性分100重量%)として市販される安息香酸ナトリウム
G Rohm & HaasからKathon CG(活性分1.5重量%)(活性重量%ではなく添加重量%として記載)として市販されるメチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン
H Mallinckrodt Baker Inc.から6N塩酸として市販される6Nの塩酸溶液(活性重量%ではなく添加重量%として記載)
【0163】
【表3】
A Standapol WAQ−LC(活性分29重量%)としてCognis Corp.から市販のラウリル硫酸ナトリウム
B Standapol ES−1(活性分25重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−1硫酸ナトリウム
C Standapol ES−3(活性分28重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−3硫酸ナトリウム
D Jordapon ACI 30G(活性分30重量%)としてBASF Chemicalsから市販のココイルイセチオン酸アンモニウム
E Cognis Corp.からComperlan CMEA(活性分85重量%)として市販されるコカミドMEA
F DSM Special Productsから安息香酸ナトリウム(活性分100重量%)として市販される安息香酸ナトリウム
G Rohm & HaasからKathon CG(活性分1.5重量%)(活性重量%ではなく添加重量%として記載)として市販されるメチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン
H Mallinckrodt Baker Inc.から6N塩酸として市販される6Nの塩酸溶液(活性重量%ではなく添加重量%として記載)
【0164】
【表4】
A Standapol WAQ−LC(活性分29重量%)としてCognis Corp.から市販のラウリル硫酸ナトリウム
B Standapol ES−1(活性分25重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−1硫酸ナトリウム
C Standapol ES−3(活性分28重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−3硫酸ナトリウム
D Jordapon ACI 30G(活性分30重量%)としてBASF Chemicalsから市販のココイルイセチオン酸アンモニウム
E Cognis Corp.からComperlan CMEA(活性分85重量%)として市販されるコカミドMEA
F DSM Special Productsから安息香酸ナトリウム(活性分100重量%)として市販される安息香酸ナトリウム
G Rohm & HaasからKathon CG(活性分1.5重量%)(活性重量%ではなく添加重量%として記載)として市販されるメチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン
H Mallinckrodt Baker Inc.から6N塩酸として市販される6Nの塩酸溶液(活性重量%ではなく添加重量%として記載)
【0165】
【表5】
A Standapol WAQ−LC(活性分29重量%)としてCognis Corp.から市販のラウリル硫酸ナトリウム
B Standapol ES−1(活性分25重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−1硫酸ナトリウム
C Standapol ES−3(活性分28重量%)としてCognis Corp.から市販のラウレス−3硫酸ナトリウム
D Jordapon ACI 30G(活性分30重量%)としてBASF Chemicalsから市販のココイルイセチオン酸アンモニウム
E Cognis Corp.からComperlan CMEA(活性分85重量%)として市販されるコカミドMEA
F DSM Special Productsから安息香酸ナトリウム(活性分100重量%)として市販される安息香酸ナトリウム
G Rohm & HaasからKathon CG(活性分1.5重量%)(活性重量%ではなく添加重量%として記載)として市販されるメチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン
H Mallinckrodt Baker Inc.から6N塩酸として市販される6Nの塩酸溶液(活性重量%ではなく添加重量%として記載)
【0166】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0167】
相互参照されるか又は関連するすべての特許又は特許出願を含む、本願に引用されるすべての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求されるすべての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のすべての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0168】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1a
図1b
図1c
図2
図3