(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の全ての実施形態では、特に記述のない限り、全ての百分率は、組成物全体の重量によるものである。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。全ての範囲は、包含的であり、かつ組み合わせ可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。用語「分子量」又は「M.Wt.」は、本明細書で使用するとき、特に記述のない限り、数平均分子量を指す。
【0013】
全ての数値的な量は、特に記述のない限り、用語「約」によって修飾されることが理解されよう。特に記述のない限り、全ての測定は、25℃で周囲条件下で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧の圧力下で約50%の相対湿度での条件を意味する。列挙される成分に関する場合、特に指定のない限り、全てのこのような重量は活性レベルに基づくものであり、市販の材料中に含まれ得るキャリア又は副生成物を含むものではない。
【0014】
本明細書では、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない、他の工程及び他の成分を追加し得ることを意味する。この用語は、用語「〜からなる」及び用語「本質的に〜からなる」を包含する。本発明の組成物、方法、使用法、キット、及びプロセスは、本明細書で説明される、本発明の必須要素及び制約、並びに本明細書で説明される、追加成分若しくは任意成分、構成要素、工程、又は制約のいずれをも含み、それらからなり、本質的にそれらからなることができる。
【0015】
用語「実質的に含まない」とは、本明細書で使用するとき、組成物全体の、約1重量%未満、好ましくは約0.8重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、更により好ましくは約0.3重量%未満、最も好ましくは約0重量%を意味する。
【0016】
「毛髪」とは、本明細書で使用するとき、頭皮の毛、顔面の毛、及び身体の毛を含めた、哺乳類の毛を意味し、より好ましくは、ヒトの頭部及び頭皮上の毛を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「末端近傍分岐型アルコール」は、炭素主鎖の非官能化末端の40%以内の場所に存在する炭素原子上に、1、2、又は3の(C
1〜C
3)アルキル分枝を含む。この末端近傍分岐型アルコールの官能化末端は、ヒドロキシル末端である。炭素主鎖の末端の非官能化炭素は、「ω」位置と称される。例えば、鎖中に炭素原子を10個含む末端近傍分岐型アルコールはω−3の位置までの分枝を有し得るが、鎖中に炭素原子を30個含む末端近傍分岐型アルコールは、ω−11の位置までの分枝を有し得る。本発明の末端近傍分岐型アルコールは、典型的には、その化合物の長さに応じて、化合物のω−1、ω−2、ω−3、ω−4、ω−5、及び/又はω−6の位置(下記の化学構造に示す)で、好ましくはω−1、ω−2、及び/又はω−3の位置で、より好ましくはω−1及び/又はω−2の位置で、分枝を有する。
【0019】
ω−1の位置で分枝を有する末端近傍分岐型アルコールは、「イソ」と称される。ω−2の位置で分枝を有する末端近傍分岐型アルコールは、「アンテイソ」と称される。例えば、その炭素主鎖中に10個の炭素原子を有し、ω−1の位置にメチル分枝を有するアルコールでは、分枝は、炭素鎖の非官能化末端の40%以内の場所に存在し(例えば、2/10×100%=20%)、末端近傍分岐型と称される。末端近傍分岐型アルコールの別の例としては、その炭素主鎖中に炭素原子を10個有し、ω−3の位置にメチル置換基を有するアルコールが挙げられ、この場合メチル置換基は、炭素鎖の非官能化末端の40%以内にある(例えば、4/10×100%=40%)。対照的に、その炭素主鎖中に10個の炭素原子を有し、ω−4の位置にメチル分枝を有するアルコールでは、分枝は炭素鎖の非官能化末端から40%以内の場所には存在せず(例えば、5/10×100%=50%)、「末端近傍分岐型状」とは称されない。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」とは、直鎖状及び分枝状の、飽和炭化水素基を指し、その非限定的な例としては、メチル、エチル、並びに、表示数の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状の、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びオクチル基が挙げられる。用語C
nとは、「n」個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。例えば、(C
1〜C
7)アルキルとは、その全範囲(すなわち、1〜7個の炭素原子)、並びに全ての部分群(例えば、1〜6個、2〜7個、1〜5個、3〜6個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、及び7個の炭素原子)を包含する、炭素原子の数を有するアルキル基を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「アルケニル」は、「アルキル」と同様に定義されるが、ただし、炭素−炭素二重結合を含み、例えば、エテニル、プロペニル、及びブテニルである。
【0022】
本明細書で使用するとき、「直鎖状化合物」、例えば「直鎖アルコール」は、その炭素主鎖上に分枝を含まない。
【0023】
本明細書で使用するとき、「中鎖」分枝状アルコールは、最長の炭素主鎖の非官能化末端から約40%〜約60%の場所に存在する炭素原子上に、アルキル分枝を含む。例えば、炭素原子が12個の炭素鎖である中鎖分枝状アルコールは、ω−5及び/又はω−6の位置上に、分枝を有し得る。鎖中に炭素原子を30個含む中鎖分枝状化合物は、ω−12〜ω−17の位置に分枝を有し得る。
【0024】
「炭素主鎖」とは、本明細書で使用するとき、その化合物中の最長の炭素鎖を意味する。
【0025】
「美容的に許容可能な」とは、本明細書で使用するとき、説明される組成物、処方、又は成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、及びアレルギー反応性などを伴わず、ヒトのケラチン組織と接触させて使用するために好適であることを意味する。本明細書で説明され、ケラチン組織に直接適用するという用途を有する全ての組成物は、美容的に許容可能である様制限される。
【0026】
「誘導体」としては、本明細書で使用するとき、所定の化合物のアミド誘導体、エーテル誘導体、エステル誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、アセチル誘導体、及び/又はアルコール誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明に従うリンスオフ型コンディショニング組成物が、乾燥した毛髪の静摩擦及び動摩擦の低減をもたらすことを見出した。更には、すすぎ特性の改善、及び湿潤コーミング効果もまた、本明細書で説明される組成物で処置された毛髪によって呈される。更には、毛髪のより清浄な感触がもたらされる。更には、本組成物は、低温で安定であり、硬水条件に耐容性がある。
【0028】
図によって示されるように、本発明によりシリコーンの付着性が増大する。末端アミノシリコーンの付着性の増大が、特に重要である。18−メチルエイコサン酸(18−MEA)は、毛小皮の外側上で天然に存在する脂質であり、毛髪を潤滑にする。18−MEAは、20個の炭素原子を含むカルボン酸であり、2−ω、すなわちアンテイソの位置である、第18位にメチル基を有する。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、末端近傍分岐型アルコールが、18−MEAの模倣物としての役割を果たすことにより、毛髪の天然の潤滑剤を「補充する」ことができると考える。結果として、本発明を使用して毛髪を処置する場合、摩擦の低減の効果がもたらされる。本発明者らは、この効果は表面エネルギーの低減(線維間の摩擦の低減)によるものと考える。
【0029】
第1の態様は、式Iの末端近傍分岐型アルコールを含む、リンスオフ型コンディショニング組成物に関し、
【0030】
【化2】
(式中、R
1は、メチル、エチル、又はプロピルであり、R
2はメチルであり、mは、炭素原子が5〜19個の炭素鎖を含むアルキル又はアルケニルであり、Yは存在しないか又はW
pであり、Wはエチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、及びこれらの混合物からなる群から選択され、pは1〜30であり、Zはヒドロキシルである)。
【0031】
この末端近傍分岐型アルコールは、ラメラゲルマトリックス中に含まれる。換言すれば、本組成物は、ラメラゲルマトリックスを含み、このラメラゲルマトリックスが末端近傍分岐型アルコールを含む。ゲルネットワーク又はゲルマトリックスの存在は、SAXS及びDSC(示差走査熱量測定)による分析試験方法を含む、様々な試験方法によって測定することができる。
【0032】
本組成物は、本組成物全体の約0.05重量%〜約5.0重量%の、又は約0.075重量%〜約4.5重量%の、又は約0.1重量%〜約4.0重量%の末端近傍分岐型アルコールを含み得る。
【0033】
一実施形態では、mは7〜19個の、好ましくは9〜19個の、より好ましくは11〜18個の、最も好ましくは12〜17個の炭素の、炭素鎖を含み、Yは存在しない。別の実施形態では、mは飽和炭素鎖を含む。別の実施形態では、mの炭素鎖は1〜3の分枝を含み、各分枝は、メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択される。末端近傍分岐型アルコールは、4,8,12−トリメチル−1−トリデカノール、3−エチル−7,11−ジメチル−1−ドデカノール、11−メチルドデカノール、10−メチルドデカノール、15−メチルヘキサデカノール、14−メチルヘキサデカノール、及び16−メチルヘプタデカノール、15−メチルヘプタデカノール、17−メチルオクタデカノール、16−メチルオクタデカノール、21−メチルドコサノール、20−メチルドコサノール、12−メチルテトラデカン−1−オール、12−メチルトリデカン−1−オール、及び11−メチルテトラデカン−1−オール、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0034】
本組成物は、本明細書で定義されるような、少なくとも2つの末端近傍分岐型アルコールを含み得る。一実施形態では、本組成物は、4,8,12−トリメチル−1−トリデカノール、3−エチル−7,11−ジメチル−1−ドデカノール、11−メチルドデカノール、10−メチルドデカノール、15−メチルヘキサデカノール、14−メチルヘキサデカノール、及び16−メチルヘプタデカノール、15−メチルヘプタデカノール、17−メチルオクタデカノール、16−メチルオクタデカノール、21−メチルドコサノール、20−メチルドコサノール、12−メチルテトラデカン−1−オール、12−メチルトリデカン−1−オール、11−メチルテトラデカン−1−オール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも2つの末端近傍分岐型アルコールを含む。
【0035】
一実施形態では、本組成物は、2つのイソアルコール、2つのアンテイソアルコール、並びに1つのイソアルコール及び1つのアンテイソアルコールからなる群から選択される、末端近傍分岐型アルコールを含む。
【0036】
一実施形態では、末端近傍分岐型アルコールは、メタセシス反応によって合成される。下記の合成機序を参照されたい。一実施形態では、この末端近傍分岐型アルコールの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも85%が、天然の原材料から誘導される。一実施形態では、この末端近傍分岐型アルコールの少なくとも50%は、石油から誘導されたものではない。
【0037】
一実施形態では、本組成物は、末端近傍分岐型アルコール、中鎖分枝アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、追加的な分枝アルコールを含む。一実施形態では、この追加的な分枝アルコールは、末端近傍分岐型状化合物である。一実施形態では、追加的な分枝アルコールは、ω−1、ω−2、ω−3、ω−4、ω−5、及びω−6、あるいはω−1、ω−2、及びω−3、あるいはω−1及びω−2からなる群から選択される位置に配置される、少なくとも1つの分枝を含む。一実施形態では、追加的な分枝アルコールは、1つのみの分枝を含み、その分枝は、ω−1、ω−2、及びω−3、あるいはω−1及びω−2からなる群から選択される位置に配置される。本組成物は、末端近傍分岐型アルコール又は中鎖分枝アルコールのいずれでもない分枝状化合物は実質的に含み得ない。一実施形態では、本組成物は、中鎖分枝状化合物を実質的に含まない。
【0038】
本組成物は、カチオン性界面活性剤を含む。本組成物は、本組成物全体の約0.05重量%〜約3.0重量%の、又は約0.075重量%〜約2.0重量%の、又は約0.1重量%〜約1.0重量%のカチオン性界面活性剤を含み得る。このカチオン性界面活性剤は、ラメラゲルマトリックス中に含まれる。換言すれば、本組成物は、ラメラゲルマトリックスを含み、このラメラゲルマトリックスが、カチオン性界面活性剤を含む。
【0039】
一実施形態では、カチオン性界面活性剤は次の式IIによるものである
【0040】
【化3】
(式中、R
71、R
72、R
73、及びR
74のうちの少なくとも1つは、炭素原子8〜30個の脂肪族基;芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール;又は炭素原子を最大22個有するアルキルアリール基;から選択され、
R
71、R
72、R
73、及びR
74のうちの残部は、独立して、炭素原子1〜22個からなる脂肪族基;及び芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール、若しくは炭素原子を最大22個有するアルキルアリール基;からなる群から選択され、
Xは、ハロゲン、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルホネート、サルフェート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネートのラジカル、及びこれらの混合物からなる群から選択される)。
【0041】
カチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、若しくはベヘニルトリメチルアンモニウムエチルスルファート、及びステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、若しくはステアリルトリメチルアンモニウムエチルスルファートからなる群から選択することができる。より長鎖のアルキル基は、より短鎖のアルキル基を有するカチオン性界面活性剤と比較して、湿った毛髪及び乾燥した毛髪に対して、滑らかさ及び柔軟な感触の改善を提供すると考えられる。そのようなカチオン性界面活性剤は、より短鎖のアルキル基を有するカチオン性界面活性剤と比較して、刺激の低減を提供することができるとも考えられる。
【0042】
カチオン性界面活性剤は、ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、ジ−長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とすることができる。
【0043】
一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、約12〜約22個の炭素のアルキル基を有する、三級アミドアミンである。この三級アミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチル−、ステアラミドプロピルジエチル−、ステアラミドエチルジエチル−、ステアラミドエチルジメチル−、パルミトアミドプロピルジメチル−、パルミトアミドプロピルジエチル−、パルミトアミドエチルジエチル−、パルミトアミドエチルジメチル−、ベヘンアミドプロピルジメチル−、ベヘンアミドプロピルジエチル−、ベヘンアミドエチルジエチル−、ベヘンアミドエチルジメチル−、アラキドアミドプロピルジメチル−、アラキドアミドプロピルジエチル−、アラキドアミドエチルジエチル−、及びアラキドアミドエチルジメチル−アミン、ジエチルアミノエチルステアラミド、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0044】
三級アミドアミンは、酸と組み合わせて使用することができる。この酸は、典型的には、塩生成アニオンとして使用される。一実施形態では、この酸は、乳酸、リンゴ酸、塩化水素酸、L−グルタミン酸、酢酸、クエン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、セチルトリモニウムクロリド(CTAC)、ステアリルトリモニウムクロリド(STAC)、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ステアロイルアミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0046】
本組成物は、末端アミノシリコーンを含む。「末端アミノシリコーン」とは、本明細書で定義されるとき、そのシリコーン主鎖の、一方又は双方の末端に、1つ以上のアミノ基を含むシリコーンを意味する。一実施形態では、本組成物は、ペンダントアミノ基を含むいずれのシリコーン化合物も実質的に含まない。一実施形態では、本組成物は、末端アミノシリコーン以外のいずれのシリコーン化合物も実質的に含まない。一実施形態では、末端アミノシリコーンのシリコーン主鎖の、少なくとも一方の末端のアミノ基は、一級アミン、二級アミン、及び三級アミンからなる群から選択される。この末端アミノシリコーンは、次の式IIIに一致し得る。
(R
1)
aG
3-a−Si−(−OSiG
2)
n−O−SiG
3-a(R
1)
a III
式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC
1〜C
8のアルキル、好ましくはメチルであり、aは1〜3の値を有する整数、好ましくは1であり、bは、0、1、又は2、好ましくは1であり、nは、0〜1,999の数であり、R
1は、一般式CqH
2qLに一致する一価のラジカルであって、式中、qは、2〜8の値を有する整数であり、Lは、基:−N(R
2)CH
2−CH
2−N(R
2)
2、−N(R
2)
2、−N(R
2)
3A
-、−N(R
2)CH
2−CH
2−NR
2H
2A
-から選択され、式中、R2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C
1〜約C
20のアルキルラジカルであり、A
-は、ハロゲン化物イオンである。
【0047】
式IIIに相当する好適な末端アミノシリコーンは、a=1、q=3、G=メチルを有し、nは、約1000〜約2500、あるいは約1500〜約1700であり、Lは、−N(CH
3)
2である。式IIIに相当する好適な末端アミノシリコーンは、a=0、G=メチルを有し、nは、約100〜約1500、又は約200〜約であり、Lは、基:−N(R
2)CH
2−CH
2−N(R
2)
2、−N(R
2)
2、−N(R
2)
3A
-、−N(R
2)CH
2−CH
2−NR
2H
2A
-から選択され、(式中、R
2は水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C
1〜約C
20のアルキルラジカルであり、A−はハロゲン化物イオンであり、あるいは、Lは−NH
2である。一実施形態では、末端アミノシリコーンは、ビス−アミノメチルジメチコン、ビス−アミノエチルジメチコン、ビス−アミノプロピルジメチコン、ビス−アミノブチルジメチコン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、末端アミノシリコーンの粘度は、25℃で測定した場合に、約1,000〜約30,000cPs、又は約5,000〜約20,000cPsである。
【0048】
本組成物は、本組成物全体の約0.1重量%〜約20重量%の、又は約0.5重量%〜約10重量%の、又は約1重量%〜約6重量%の末端アミノシリコーンを含み得る。一実施形態では、末端近傍分岐型アルコール全体と、末端アミノシリコーンとの重量比は、約0.5:1〜約6:1、又は約1:1〜約4:1である。一実施形態では、ラメラゲルマトリックスは、末端アミノシリコーンを含まない。
【0049】
実施形態では、ラメラゲルマトリックスは、カチオン性界面活性剤、末端近傍分岐型アルコール、及び高融点脂肪族化合物を含む。上記のラメラゲルマトリックスを提供する観点から、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、カチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物との重量比が、約1:1〜約1:10、又は約1:1〜約1:6の範囲内にあるような濃度で含有される。
【0050】
本明細書で有用な高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有し、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。本組成物は、湿らせた毛髪へ適用する際の滑るような感触、乾燥した毛髪に対する柔軟性及び湿気を含んだ感触などの、コンディショニング利益の改善を提供する観点から、本組成物全体の約0.1重量%〜約40重量%、又は約1重量%〜約30重量%、又は約1.5重量%〜約16重量%、又は約1.5重量%〜約8重量%の高融点脂肪族化合物を含み得る。
【0051】
一実施形態では、脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、本組成物は、直鎖脂肪族アルコールを含み、この直鎖脂肪族アルコールもまた、ラメラゲルマトリックス中に含まれる。ラメラゲルマトリックスは、湿潤した毛髪へ適用する際の滑るような感触、及び乾燥した毛髪に対する柔軟性及び湿気を含んだ感触などの、様々なコンディショニング効果を提供するのに好適である。直鎖脂肪族アルコールは、8〜24個の炭素原子を含み得る。一実施形態では、直鎖脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、直鎖脂肪族アルコール全体と末端アミノシリコーンとの重量比は、約0.5:1〜約10:1、又は約1:1〜約5:1、又は約2.4:1〜約2.7:1である。
【0052】
本組成物は、注ぐことが可能な液体(周囲条件下で注ぐことが可能)の形態とすることができる。一実施形態では、本組成物は、美容的に許容可能な水性キャリアを含み、注ぐことが可能な液体の形態である。本組成物は、約20%〜約95%、又は約60%〜約85%の濃度で存在する、美容的に許容可能な水性キャリアを含み得る。美容的に許容可能な水性キャリアは、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液からなる群から選択することができる。低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコールとすることができる。一実施形態では、低級アルキルアルコールは、エタノール及びイソプロパノールである。多価アルコールは、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールとすることができる。
【0053】
本組成物は、水溶性ビタミン及びその誘導体、水溶性アミノ酸並びにその塩及び/又は誘導体、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び非水溶性)、真珠光沢助剤、増粘剤、起泡増進剤、追加的な界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、殺シラミ剤、pH調整剤、香料、防腐剤、キレート剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、ナイアシンアミド、カフェイン、及びミノキシジルを更に含み得る。本組成物は、本組成物全体の約0重量%〜約5重量%の、ビタミン及びアミノ酸を含み得る。本組成物はまた、CI名を有するものなどの水溶性成分を含む、無機、ニトロソ、モノアゾ、ジスアゾ、カロチノイド、トリフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、キノリン、オキサジン、アジン、アントラキノン、インジゴイド、チオンインジゴイド、キナクリドン、フタロシアニン、植物色素、天然色素などの、顔料材料も含み得る。本組成物は、約0%〜約5%の顔料材料を含み得る。本組成物は、約0%〜約5%の抗菌剤を含み得る。本組成物は、約6〜約10、又は約7〜約10、又は約7〜約9のpHを有し得る。
【0054】
一実施形態では、本組成物は、毛髪上に末端アミノシリコーンを付着させるためのものであるか、又は毛髪上への末端アミノシリコーンの付着性の改善を提供するためのものである。
【0055】
第2の態様は、毛髪上に末端アミノシリコーンを付着させるための、又は毛髪上への末端アミノシリコーンの付着性の改善を提供するための、第1の態様による組成物の使用に関する。この末端アミノシリコーンが、本明細書で説明される。
【0056】
第3の態様は、第1の態様に従う組成物を毛髪上に適用することを含む、毛髪のコンディショニング方法に関する。
【0057】
合成機序
分枝アルコールは、メタセシス反応によって合成することができる。有用な機序はまた、Suguro及びMori(1979),Agric.Biol.Chem.,43(4),869、Yuasa及びTsuruta(2004),Flavour Fragr.J.,19,199でも論じられている。更には、遺伝子組み換えバクテリアを介した製造が、米国特許第2010/0105955号、同第2010/0105963号、国際公開第2007/136752号、同第2008/119082号、同第2009/111672号、及び米国特許第61/289039号で説明されている。
【0058】
末端付近分枝アルコールを調製するための、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンを使用する、トリオレイン酸グリセリルのメタセシス:
反応物質、及びその後続の生成物は、油から誘導することができる:トリオレエート(スキーム1に示す)、ダイズ(水素添加)、ナタネ、キャノーラ、パーム、パーム核、ココナツ、ジャトロファ、高エルカ酸ナタネ、綿実、タロー、イエローグリース、トウモロコシ、ヒマワリ、ババス、及びこれらの混合物。メタセシス反応で使用されるオレフィンは、単一の分枝オレフィン、分枝オレフィンの混合物、あるいは分枝オレフィンと、芳香族アルキル、パラフィン、分枝パラフィン、及びシクロアルカンなどの他の非反応性不純物との混合物とすることができる。
【0060】
I.A.末端付近分枝アルコールの混合物の合成:約8.854g(0.010モル)のトリオレイン酸グリセリル(Sigmaカタログ#T7140)及び25mLのヘキサンを、316ステンレス鋼攪拌圧力槽内に定置する。溶媒及びトリオレイン酸グリセリルは、槽への導入の前に、4Aモレキュラーシーブの上で予備乾燥させる。約0.0006モルの六塩化タングステン、及び0.0006モルのテトラメチルスズを、槽に添加する。この反応器を密封して、攪拌し、N
2で数回パージする。約0.030モルの、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンのブレンドを、N
2下でこの槽に添加する。攪拌混合物を、0.69MPa(100psig)のN
2下で220℃まで加熱し、この温度で数時間維持する。反応器を冷却して、生成物を取り出す。この反応混合物を、2〜3mLの濃水酸化アンモニウムで急冷し、追加の10mLヘキサンで抽出する。このヘキサン、及び残留している揮発性オレフィンを、ロータリーエバポレーター上で取り除く。残渣生成物に、分留を施して、残存した不揮発性オレフィン混合物を取り出す。11−メチル−9−テトラデセン、12−メチル−9−トリデセン、及び12−メチル−9−テトラデセンの混合物を主として含有するこの分枝オレフィン混合物に、標準的反応条件下で水素添加して、分枝を有する高品質の準バイオディーゼル燃料を生成する。蒸留後のフラスコの底の画分には、新たに分枝トリグリセリド混合物が主として含まれる。この新たなトリグリセリド混合物に、メタノール、及びメタノール中の触媒量の水酸化ナトリウム若しくはナトリウムメトキシドの存在下で、標準的なエステル交換条件を施す。混合相は、グリセリン(下相)と、12−メチル−9−テトラデセン酸メチルエステル、12−メチル−9−トリデセン酸メチルエステル、及び11−メチル−9−テトラデカン酸メチルエステルから主としてなる、メチルエステルの混合物(上相)とに分離する。この特異な分枝メチルエステル混合物を、水素の存在下で、銅クロマイト触媒を使用して、標準的な手順を用いて還元し、本質的に、12−メチルテトラデカン−1−オール、12−メチルトリデカン−1−オール、及び11−メチルテトラデカン−1−オールの混合物を得る。この混合物を真空蒸留して、精製混合物を提供する。
【0061】
I.B.末端近傍分岐型アルコールエトキシレート:223.7グラム(1.0モル)の、上記の実施例I.A.の末端近傍分岐型アルコール混合物に加えて、好適な期間内かつ制御可能な方式で、このアルコールとエチレンオキシドとの反応を促進するために十分な触媒を、冷却コイルを有する600mLステンレス鋼攪拌圧力槽に投入する。好適な触媒は、水酸化カリウムの50%水溶液からなる1.1グラムの溶液である。他の種類及び他の量の触媒を、使用することができる。触媒と共に導入される恐れがある、水などの副生成物をもたらし得る材料を除去するために、真空を適用しながら、この反応器を、実施例I.A.の末端付近分岐アルコール混合物を損失させない温度(水流吸引器を真空源として使用する場合、通常は、40℃〜90℃であるが、好ましくは、60℃〜80℃)で加熱する。水の除去は、通常は約50rpmの低速の攪拌を使用しながら、底部ドレンバルブ、又はステンレス鋼ガス分散フリット、若しくは任意の不活性浸漬管、若しくは焼結金属フリット材料のいずれかを通じた、低レベル(細流)の不活性ガス流を使用して、混合物をスパージすることによって、あるいは混合物の上方領域を不活性ガスで掃引することによって、促進させる。試料を反応器から採取し、Karl−Fischer滴定法などの、適切な分析方法を使用して、含水量に関して分析することができる。水除去工程の完了後、反応器システムが、無制御の反応速度を防止するように適切に設計されている場合には、エチレンオキシドを一度に全て添加することができる。しかしながら、最良の反応制御は、最初に反応器を静的な真空下で(又は、任意選択的に、N
2などの不活性ガスからの追加の圧力を使用して)、このアルコール−触媒の混合物とエチレンオキシドとを反応させた場合に生じる副生成物及び色発生が最小限になるような好適な温度(通常は、85℃〜150℃であるが、好ましくは、約110℃〜130℃)まで加熱することによって得られる。反応器が、所望の温度に到達した後、308グラム(7.0モル)のエチレンオキシドを、冷却システムによって制御可能である速度で、通常は30〜60分の期間にわたって、添加する。エチレンオキシドの添加が完了した後、そのエチレンオキシドが反応によって消費されるまで、攪拌及び加熱を継続する。次いで、生成物を脱気し、反応槽から取り出して、そのまま保管することができ、又は触媒を、クエン酸、HCl、又は硫酸から選択される1等量の酸で中和して長期間保管することもできる。中和された生成物を濾過して、あらゆる固体残留物を除去することができる。
【実施例】
【0062】
【表1】
手引き:
*=エルカ酸系トリグリセリド及び3−メチル−1−ペンテンのメタセシス反応から誘導可能;
#=末端アミノシリコーン;適量=100%とするために十分な量;
1=プロピレングリコール及び水中の、ジセチルジモニウムクロリド(〜68%活性);
2=メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンとのブレンド;単位を有さない数字は、重量%の単位である。
【0063】
比較データ
実験1:ヘアピースに対するコンディショナー材料の付着性:
清潔な、湿潤しているヘアピースを、毛髪1グラム当り0.1gのコンディショナー1試料を用い、処置する。このgヘアピースを温水ですすぎ、シリコーンの付着性に関して分析する。シリコーンの付着性は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)によって測定することができる。50:50のトルエン:メチルイソブチルケトンを使用して、毛髪試料からシリコーンを抽出し、抽出した試料を、既知のシリコーン濃度のICP較正標準と比較した。
【0064】
【表2】
手引き:上記の実施例表に関するものと同じ。
【0065】
実験1から得られたデータを、
図1に示す。結論:4,8,12−トリメチル−1−トリデカノール及び0.5%のアモジメチコンを含むコンディショナー1(II)の、アモジメチコンの付着性は、0.5%のアモジメチコンを含む対照の約2倍である。1%のアモジメチコンを有するコンディショナー1(III)から得えられるアモジメチコンの付着性は、相対的に言えば極めて高い。
【0066】
実験2:ヘアピースに対するコンディショナー材料の付着性:
清潔な、湿潤しているヘアピースを、毛髪1グラム当り0.1gのコンディショナー2の試料を用い処置する。ヘアピースを温水ですすぎ、シリコーンの付着性に関して分析する。
【0067】
【表3】
手引き:上記の実施例表に関するものと同じ。
【0068】
実験2から得られたデータを、
図2に示す。結論:4,8,12−トリメチル−1−トリデカノール及び0.5%のアモジメチコンを有するコンディショナー2(II)の、アモジメチコンの付着性は、アモジメチコンを50%多く含有する(0.75%)対照よりも、有意に大きい。アモジメチコン(0.5%)濃度が低い割りに、コンディショナー2(II)は、高い/効率的なアモジメチコンの付着性を示している。
【0069】
実験3:インストロン動摩擦測定
清潔な、湿潤したヘアピースを、下記の表に記載の通りのコンディショナーで処置する。次いで、ヘアピースからこのコンディショナー試料を洗い流し、乾燥させる。次いで、インストロン装置で動摩擦を測定する。この動摩擦測定システムは、スレッドがヘアピースの表面を横断して移動する間の、動的張力を測定し、スレッド移動の15mmの進展後の、張力の平均を計算する。平坦で水平な表面上にヘアピースを定置し、はヘアピース上から200gのスレッド(黒色パッド形態を有する)を引っ張りながら、そのスレッドを一定の速度で移動させるために必要な力を測定する。各実験を、3つ組みで実施する。必要とされる力が低いほど、コンディショニングがより良好であることを意味する。
【0070】
【表4】
手引き:上記の実施例表に関するものと同じ。
【0071】
実験3から得られたデータを、
図3に示す。結論:試料Iは、対照と比べてより低い摩擦を有する。実験3及びコンディショナー3の表で説明されるものと同じ試料もまた、シリコーン付着性測定に関して使用した。この測定から得られたデータを、
図4に示す。
【0072】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解するべきではない。むしろ、特に指定のない限り、そのような各寸法は、記載される値、及びその値周辺の機能的に等価な範囲の双方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。