(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1の(a)で定義される前記末端近傍分岐型化合物が、少なくとも2つの異なる末端近傍分岐型化合物であり、前記末端近傍分岐型化合物のいずれもがゲルネットワーク中に存在しない、請求項1に記載の組成物。
前記シリコーン化合物が、ポリジメチルシロキサン、ジメチコノール、アミノシリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、コンディショニングシリコーン化合物である、請求項4又は5に記載の配合物。
前記カチオン性界面活性剤が、ポリクオタニウム−10、カチオン性グアー、カチオンアクリルアミド、ポリクオタニウム−76、ポリクオタニウム−6、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3〜6のいずれか一項に記載の配合物。
CAPB(ココアミドプロピルベタイン)、ココベタイン(ココB)、ラウロアンホ酢酸ナトリウム(NaLAA)、ラウリルヒドロキシスルタイン(LHS)、ココモノエタノールアミド(CMEA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤を更に含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の配合物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の全ての実施形態では、特に記述のない限り、全ての百分率は、組成物全体の重量によるもの(重量%)である。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。全ての範囲は、包含的であり、かつ組み合わせ可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。用語「分子量」又は「M.Wt.」は、本明細書で使用するとき、特に記述のない限り、数平均分子量を指す。
【0014】
全ての数値的な量は、特に記述のない限り、用語「約」によって修飾されることが理解されよう。特に記述のない限り、全ての測定は、25℃で周囲条件下で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧の圧力下で約50%の相対湿度での条件を意味する。列挙される成分に関する場合、特に指定のない限り、全てのこのような重量は活性レベルに基づくものであり、市販の材料中に含まれ得るキャリア又は副生成物を含むものではない。
【0015】
本明細書では、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない、他の工程及び他の成分を追加し得ることを意味する。この用語は、用語「〜からなる」及び用語「本質的に〜からなる」を包含する。本発明の組成物、方法、使用法、キット、及びプロセスは、本明細書で説明される、本発明の必須要素及び制約、並びに本明細書で説明される、追加成分若しくは任意成分、構成要素、工程、又は制約のいずれをも含み、それらからなり、本質的にそれらからなることができる。
【0016】
用語「実質的に含まない」とは、本明細書で使用するとき、組成物全体の、約1重量%未満、好ましくは約0.8重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、更により好ましくは約0.3重量%未満、更により好ましくは約0.1重量%未満、最も好ましくは約0重量%を意味する。
【0017】
「毛髪」とは、本明細書で使用するとき、頭皮の毛、顔面の毛、及び身体の毛を含めた、哺乳類の毛を意味し、より好ましくは、ヒトの頭部及び頭皮上の毛を意味する。「毛幹」とは、個別の毛髪のストランド/線維を意味し、用語「毛髪」と互換的に使用することができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、「末端近傍分岐型化合物」とは、最長鎖の非官能化末端から40%以内の場所にある炭素原子上に、1つ、2つ、又は3つの(C
1〜C
3)アルキル分枝を有する化合物を意味する。この末端付近分枝状の、脂肪酸、脂肪族アルコール、並びに脂肪酸及び脂肪族アルコールの誘導体の、官能化末端は、酸、アルコール、又は誘導体部分を含むものである。炭素主鎖の末端の非官能化炭素は、「ω」位置と称される。例えば、鎖中に炭素原子を10個含む末端付近分枝状化合物はω−3の位置までの分枝を有し得るが、鎖中に炭素原子を30個含む末端付近分枝状化合物はω−11の位置までの分枝を有し得る。本発明の末端近傍分岐型化合物は、典型的には、その化合物の長さに応じて、化合物のω−1、ω−2、ω−3、ω−4、ω−5、及び/又はω−6の位置(下記の化学構造に示す)で、好ましくはω−1、ω−2、及び/又はω−3の位置で、より好ましくはω−1及び/又はω−2の位置で、分枝を有する。
【0020】
ω−1の位置で分枝を有する末端近傍分岐型化合物は、「イソ」と称される。ω−2の位置で分枝を有する末端近傍分岐型化合物は、「アンテイソ」と称される。例えば、その炭素主鎖中に炭素原子を10個含み、ω−1の位置にメチル分枝を有する化合物では、分枝は炭素鎖の非官能化末端の40%以内の場所に存在するため(例えば、2/10×100%=20%)、末端付近分枝状と称される。対照的に、炭素主鎖中に炭素原子を10個含み、ω−4の位置にメチル分枝を有する化合物では、分枝は炭素鎖の非官能化末端の40%以内の場所には存在しないため(例えば、5/10×100%=50%)、「末端付近分枝状」とは称されない。
【0021】
本明細書で使用するとき、「直鎖状化合物」は、その炭素主鎖上に分枝を含まない。
【0022】
本明細書で使用するとき、「中鎖状化合物」は、最長の炭素鎖の非官能化末端から約40%〜約60%の場所に存在する炭素原子上にアルキル分枝を含む。例えば、鎖中に炭素原子を12個含む中鎖分枝状化合物は、ω−5及び/又はω−6の位置に分枝を有し得る。鎖中に炭素原子を30個含む中鎖分枝状化合物は、ω−12〜ω−17の位置に分枝を有し得る。
【0023】
「美容的に許容可能な」とは、本明細書で使用するとき、説明される組成物、処方、又は成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、及びアレルギー反応性などを伴わず、ヒトのケラチン組織と接触させて使用するために好適であることを意味する。本明細書で説明され、ケラチン組織に直接適用するという用途を有する全ての組成物は、美容的に許容可能である様制限される。
【0024】
「炭素主鎖」とは、本明細書で使用するとき、その化合物中の最長の炭素鎖を意味する。
【0025】
「誘導体」としては、本明細書で使用するとき、所定の化合物のアミド誘導体、エーテル誘導体、エステル誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、アセチル誘導体、及び/又はアルコール誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「電荷密度」とは、本明細書で使用するとき、ポリマー上の正電荷の数と、そのポリマーの分子量との比率を指す。
【0027】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明に従うパーソナルケア組成物が、ポリジメチルシロキサン及びジメチコノールを含めた、大粒子シリコーン並びに小粒子シリコーンの双方に性能が匹敵する、乾燥コンディショニング/乾燥コーミングの効果を提供することを見出した。本パーソナルケア組成物は、例えばコンディショニングシャンプー配合物との関連においては、コアセルベートに基づく付着機構を介し、優れたコンディショニング性能を提供することで、そのコンディショニング効果を発揮することができる。本発明の更なる有利点としては、毛髪のタイプ全般に対してのコンディショニング効果(毛髪の浮き上がり/痛み、アジア人の毛髪、及び未処理の茶色の毛髪に対して有効である);末端近傍分岐型化合物が、天然由来のものであり得ること、すなわち、アルコール又は脂肪酸前駆体が、再生可能な資源由来のものであり得ること;シリコーンよりも軽く/柔軟に感じられ(「洗浄感」)、エモリエントエステルよりもべた付きが少ないという感覚特性;末端近傍分岐型化合物が、コンパクト型配合物に必要とされる要件を非常によく満たすこと;並びに末端近傍分岐型化合物がゲルネットワーク中には含まれず、ゲルネットワークを崩壊させないことにより、典型的には、コンディショニング配合物の湿潤コンディショニング効果が提供され、結果として、本発明が、いずれの湿潤コンディショニング効果も低減させることなく、優れた乾燥時コンディショニング効果を可能にすることが挙げられる。
【0028】
18−メチルエイコサン酸(18−MEA)は、毛小皮の外側上で天然に存在する脂質であり、毛髪を潤滑にする。18−MEAは、20個の炭素原子を含むカルボン酸であり、2−ω、すなわちアンテイソの位置である、第18位にメチル基を有する。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、末端近傍分岐型化合物が、18−MEAの模倣物としての役割を果たすことにより、毛髪の天然の潤滑剤を「補充する」ことができると考える。結果として、本発明を使用して毛髪を処置する場合、摩擦の低減の効果がもたらされる。本発明者らは、この効果は表面エネルギーの低減(線維間の摩擦の低減)によるものと考える。
【0029】
本発明はまた、本明細書で説明されるような末端近傍分岐型化合物と組み合わせて使用する場合、少なくともシリコーンの量を低減する機会も提供する。低濃度のシリコーンと組み合わせると、末端近傍分岐型化合物は、コンディショニングシャンプー中のシリコーンの固有の付着効率を増進する可能性があると本発明者らは考える。結果として、本発明の組成物及び配合物は、従来のシリコーン主導のコンディショニング配合物と比較して、より持続性の高い技術を示すものである。
【0030】
18−メチルエイコサン酸(18−MEA)は、毛小皮の外側上で天然に存在する脂質であり、毛髪を潤滑にする。18−MEAは、20個の炭素原子を含むカルボン酸であり、2−ω、すなわちアンテイソの位置である、第18位にメチル基を有する。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、末端近傍分岐型化合物が、18−MEAの模倣物としての役割を果たすと考えている。結果として、本発明を使用して毛髪を処置する場合、摩擦の低減の効果がもたらされる。本発明者らは、この効果は表面エネルギーの低減、及び、それに伴う線維間の摩擦の低減によるものと考えている。
【0031】
第1の態様によれば、本発明は、上述のような、式Iに従う末端近傍分岐型化合物を含む、パーソナルケア組成物に関する。一実施形態では、本組成物は、上記の式Iに従う、少なくとも2つの異なる末端近傍分岐型化合物を含み、その末端近傍分岐型化合物のいずれも、ゲルネットワーク中には含まれない。一実施形態では、Yは存在せず、置換基Zは直接mに結合する。
【0032】
この末端近傍分岐型化合物は、ゲルネットワーク中には含まれない。ゲルネットワークは、湿潤感及び湿潤コーミング効果の主要な供給源であることから、末端近傍分岐型化合物は、ゲルネットワークの規則正しいラメラ構造を崩壊させ/可溶化してはならず、コンディショナー配合物中に見出されるゲルネットワークと適合するものであるべきである。一実施形態では、本組成物は、ラメラゲルネットワークのラメラ構造中に含まれ、かつ/又はその構造を崩壊させる、上述のような末端近傍分岐型化合物を実質的に含まない。ゲルネットワーク又はゲルマトリックスの存在は、SAXS及びDSC(示差走査熱量測定)による分析試験方法を含む、様々な試験方法によって測定することができる。
【0033】
一実施形態では、本組成物は、本組成物全体の約1重量%以下の、又は約0.75重量%以下の、又は約0.5重量%以下の、又は約0.25重量%以下の、又は約0量%のシリコーン化合物を含む。これは、末端近傍分岐型化合物が、コンディショニング活性物質であり、コンディショニングを目的とするシリコーン化合物の使用と、少なくとも部分的に置き換えることができるためである。一実施形態では、シリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ジメチコノール、アミノシリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、コンディショニングシリコーン化合物である。一実施形態では、シリコーン化合物は、末端アミノシリコーンである。
【0034】
一実施形態では、末端近傍分岐型化合物は、上述のような式Iに従うものであり、式中、Zは−O(C=O)R
3、−COOR
3からなる群から選択される一価の置換基であり、R
3は、
i)炭素原子が8〜24個の炭素鎖を含む直鎖アルキル若しくはアルケニル、又は
ii)次の式IIに従う末端近傍分岐型アルキル鎖のいずれかであり、
【0035】
【化2】
R
4はメチル、エチル、又はプロピルであり、R
5はメチル、エチル、又はプロピルであり、xは、炭素原子が5〜19個の炭素鎖を含むアルキル又はアルケニルである。
【0036】
一実施形態では、m及び/又はxは、炭素原子が7〜19個の、好ましくは9〜19個の、より好ましくは11〜18個の、最も好ましくは12〜17個のの炭素鎖を含み、Yは存在しない。一実施形態では、m及び/又はxは飽和炭素鎖を含む。一実施形態では、m及び/又はxの炭素鎖は、1〜3の分枝を含み、各分枝は、メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択される。
【0037】
一実施形態では、末端近傍分岐型化合物は、メタセシスによって合成される。下記の合成機序を参照されたい。一実施形態では、この末端近傍分岐型化合物の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも85%が、天然の原材料から誘導される。一実施形態では、この末端近傍分岐型化合物の少なくとも50%は、石油から誘導されない。
【0038】
一実施形態では、末端近傍分岐型化合物は、13−メチルヘキサデシルパルミテート、15−メチルヘキサデシルステアレート、14−メチルヘキサデシルステアレート;14−メチルヘキサデシルパルミテート;16−メチルオクタデシルステアレート;16−メチルオクタデシルパルミテート;12−メチルテトラデシルステアレート;12−メチルテトラデシルパルミテート;18−メチルエイコシルステアレート;18−メチルエイコシルパルミテート;13−メチルヘキサデシルパルミテート;13−メチルヘキサデシルステアレート;15−メチルヘキサデシルステアレート;15−メチルヘキサデシルパルミテート;13−メチルテトラデシルステアレート;14−メチルヘキサデカン酸、テトラデシルエステル;14−メチルヘキサデカン酸、ヘキサデシルエステル;14−メチルヘキサデカン酸、オクタデシルエステル;16−メチルオクタデカン酸、ヘキサデシルエステル;18−メチルエイコサン酸、ヘキサデシルエステル;18−メチルエイコサン酸、テトラデシルエステル;13−メチルヘキサデシルパルミテート、13−メチルヘキサデシルステアレート;15−メチルヘキサデカン酸、テトラデシルエステル;15−メチルヘキサデカン酸、ヘキサデシルエステル;17−メチルオクタデカン酸、ヘキサデシルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、ワックスエステルである。
【0039】
一実施形態では、末端近傍分岐型化合物は、粘稠液の形態、半固体の形態、柔軟固体の形態、ワックス形態、及びこれらの混合でもある、エステルから選択される。この選択は、ゲルネットワーク中に含まれない末端近傍分岐型化合物と組み合わせた、毛髪上へのコンディショニング剤の付着を可能にするための、最適なレオロジー、融解転移、及び粘弾性プロファイルを提供する観点からなされる。
【0040】
一実施形態では、末端近傍分岐型化合物は、末端近傍分岐型ワックスエステルである。「ワックス」とは、本明細書で使用するとき、特徴として、光沢があり、水に不溶性であり、低い軟化温度を有し、高比率の脂肪酸エステルを含む、天然資源由来の粘稠材料又は半個体材料を意味する。一実施形態では、末端近傍分岐型ワックスエステルは、脂肪酸部分中に13〜22個の炭素原子を含み、アルコール/エステル部分中に14〜22個の炭素原子を含む。
【0041】
ワックスエステルは、エステル交換によって、又は脂肪酸クロリド成分と脂肪族アルコールとの反応を介して、又は当該技術分野においても周知の他の方法によって、調製することができる。ワックスエステルはまた、本発明の末端近傍分岐型不飽和ワックスエステルを生じさせる、既存の不飽和ワックスエステルのメタセシスによっても、調製することができる。従来手段による水素添加によって、末端近傍分岐型不飽和ワックスエステルが得られる。「合成機序」のセクションを参照されたい。
【0042】
本発明の一実施形態では、このワックスエステル化合物は、ワックスエステルの脂肪酸部分上、ワックスエステルの脂肪族アルコール部分上、又はワックスエステルの双方の部分上に、メチル若しくはエチル分枝を有する。分枝が双方の部分上に存在する場合、その分枝は、ω−1、ω−2、若しくはω−3、又はこれらの組み合わせで存在する。
【0043】
一実施形態では、分枝は、ワックスエステルの脂肪族アルコール部分上に存在する。一実施形態では、そのワックスエステルは、15−メチルヘキサデシルステアレート;15−メチルヘキサデシルパルミテート;13−メチルテトラデシルステアレート;14−メチルヘキサデシルステアレート;14−メチルヘキサデシルパルミテート;16−メチルオクタデシルステアレート;16−メチルオクタデシルパルミテート;12−メチルテトラデシルステアレート;12−メチルテトラデシルパルミテート;18−メチルエイコシルステアレート;18−メチルエイコシルパルミテート;13−メチルヘキサデシルパルミテート;13−メチルヘキサデシルステアレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、分枝は、ワックスエステルの脂肪酸部分上に存在する。一実施形態では、そのワックスエステルは、15−メチルヘキサデカン酸、テトラデシルエステル;15−メチルヘキサデカン酸、ヘキサデシルエステル;17−メチルオクタデカン酸、ヘキサデシルエステル;14−メチルヘキサデカン酸、テトラデシルエステル;14−メチルヘキサデカン酸、ヘキサデシルエステル;14−メチルヘキサデカン酸、オクタデシルエステル;16−メチルオクタデカン酸、ヘキサデシルエステル;18−メチルエイコサン酸、ヘキサデシルエステル;18−メチルエイコサン酸、テトラデシルエステル;13−メチルヘキサデシルパルミテート、13−メチルヘキサデシルステアレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
本パーソナルケア組成物は、美容的に許容可能な水性キャリアを含む。本組成物は、注ぐことが可能な液体(周囲条件下で注ぐことが可能)の形態とすることができる。美容的に許容可能な水性キャリアは、約20%〜約95%、より好ましくは約60%〜約85%の濃度で存在し得る。一実施形態では、本組成物は、美容的に許容可能な水性キャリアを含み、注ぐことが可能な液体の形態である。このキャリアは、水、又は水と有機溶媒との相溶性混合物を含み得るが、好ましくは、他の必須又は任意選択的な成分に含まれる微量成分として組成物中に偶然組み込まれる場合を除いて、有機溶媒を最小限に、又は有意ではない濃度で有する、水を含む。好適なキャリアは、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液からなる群から選択することができる。本明細書で有用な低級アルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコールであり、より好ましくは、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0045】
第2の態様によれば、本発明は、毛髪洗浄用のコンディショニングシャンプー配合物に関し、このコンディショニングシャンプー配合物は、
(a)第1の態様で定義されるような、末端近傍分岐型化合物と、
(b)美容的に許容可能な水性キャリアと、
(c)カチオン性ポリマーと、
(d)アニオン性界面活性剤とを含み、
この末端近傍分岐型化合物は、ゲルネットワーク中には含まれない。
【0046】
上述の末端近傍分岐型化合物に対する実施形態は、本コンディショニングシャンプー配合物に適用される。
【0047】
本コンディショニングシャンプー配合物は、アニオン性界面活性剤を含む。本配合物は、本配合物全体の約0.01重量%〜約20重量%の、又は約0.1重量%〜約5重量%のアニオン性界面活性剤を含み得る。このアニオン性界面活性剤は、12〜14個の炭素原子を含むアニオン性界面活性剤の塩とすることができる。このアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、マイレス硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0048】
本配合物は、補助界面活性剤を更に含み得る。一実施形態では、この補助界面活性剤は、本配合物全体の約0.01重量%〜約20重量%、又は約0.1重量%〜約5重量%の量で存在し得る、アニオン性補助界面活性剤である。このアニオン性補助界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態では、アニオン性補助界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである。
【0049】
一実施形態では、補助界面活性剤は、CAPB(ココアミドプロピルベタイン)、ココベタイン(ココB)、ラウロアンホ酢酸ナトリウム(NaLAA)、ラウリルヒドロキシスルタイン(LHS)、ココモノエタノールアミド(CMEA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
本コンディショニングシャンプー配合物は、カチオン性ポリマーを含む。本配合物は、本配合物全体の約0.05重量%〜約3重量%、又は約0.075重量%〜約2.0重量%、又は約0.1重量%〜約1.0重量%の、又は約0.1重量%〜約0.5重量%の、又は約0.1重量%〜約0.25重量%のカチオン性ポリマーを含み得る。このカチオン性ポリマーは、本組成物の使用目的のpHで、約0.5ミリ等量/g〜約7ミリ等量/g、又は約0.9ミリ等量/g〜約5ミリ等量/g、又は約1.2ミリ等量/g〜約4ミリ等量/gのカチオン電荷密度を有し得、そのpHは、通常は、約pH 3〜約pH 9、又は約pH 4〜約pH 8の範囲となる。本明細書では、ポリマーの「カチオン電荷密度」とは、そのポリマー上の正電荷の数と、そのポリマーの重量平均分子量との比率を指す。このカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000〜1000万、又は約50,000〜約500万、又は約100,000〜約300万とすることができる。
【0051】
好適なカチオン性ポリマーは、四級アンモニウムなどのカチオン性窒素含有部分、又はカチオン性プロトン化アミノ部分を含み得る。対イオンは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、スルファート、メチルスルファート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。カチオン性ポリマーは、多糖類ポリマー、カチオン性カッシア、カチオン性グアーガム誘導体、四級窒素含有セルロースエーテル、合成ポリマー、エーテル化セルロースのコポリマー、グアー及びデンプン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。カチオン性ポリマーは、本配合物中で可溶性であるか、又はカチオン性ポリマー、並びにアニオン性、両性、及び/又は双極性イオン性界面活性剤によって形成された組成物中の、複合コアセルベート相中に可溶性であるべきである。カチオン性ポリマーの複合コアセルベートはまた、本配合物中に含まれる他の帯電物質で形成することもできる。
【0052】
カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム−10、カチオン性グアー、カチオンアクリルアミド、ポリクオタニウム−76、ポリクオタニウム−6、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0053】
一実施形態では、本コンディショニングシャンプー配合物は、ゲルネットワークを含む。一実施形態では、本コンディショニングシャンプー配合物は、本コンディショニングシャンプー配合物全体の約3重量%までの、又は約1〜約2重量%のゲルネットワークを含む。一実施形態では、このゲルネットワークは、分散ゲルネットワーク相である。分散ゲルネットワーク相は、米国特許第2007/0110700(A1)号で論じられている。一実施形態では、本コンディショニングシャンプー配合物は、本配合物全体の、少なくとも約0.05重量%の、又は約0.05重量%〜約3重量%の、又は約0.05重量%〜約2重量%の脂肪族アルコールと、少なくとも約0.01重量%の界面活性剤とを含む、分散ゲルネットワーク相を含む。脂肪族アルコールは、本配合物全体の約5重量%よりも多く存在する場合、泡に対して悪影響を及ぼす恐れがある。分散ゲルネットワーク相は、水を含み得る。脂肪族アルコールは、約18〜約70個の炭素原子を有する脂肪族アルコールから選択することができる。分散ゲルネットワーク相の一実施形態では、界面活性剤は、脂肪族アルコールに対して、約1:5〜約5:1の重量比で存在する。一実施形態では、コンディショニングシャンプー配合物は、直鎖脂肪族アルコール及びアニオン性界面活性剤、あるいは直鎖脂肪族アルコール及びカチオン性界面活性剤のいずれかを含む、分散ゲルネットワーク相を含む。
【0054】
本シャンプー配合物は、水溶性ビタミン及びその誘導体、水溶性アミノ酸並びにその塩及び/又は誘導体、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び非水溶性)、真珠光沢助剤、増粘剤、起泡増進剤、追加的な界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、殺シラミ剤、pH調整剤、香料、防腐剤、キレート剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン、ナイアシンアミド、カフェイン、及びミノキシジルを更に含み得る。本シャンプー配合物は、本シャンプー配合物全体の約0重量%〜約5重量%の、ビタミン及びアミノ酸を含み得る。本シャンプー配合物はまた、CI名を有するものなどの水溶性構成成分を含めた、無機、ニトロソ、モノアゾ、ジスアゾ、カロチノイド、トリフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、キノリン、オキサジン、アジン、アントラキノン、インジゴイド、チオンインジゴイド、キナクリドン、フタロシアニン、植物色素、天然色素などの、顔料材料も含み得る。本シャンプー配合物は、約0%〜約5%の顔料材料を含み得る。本シャンプー配合物は、約0%〜約5%の抗菌剤を含み得る。本シャンプー配合物は、約6〜約10、又は約7〜約10、又は約7〜約9のpHを有し得る。
【0055】
本コンディショニングシャンプー配合物はまた、抗フケ活性物質も含み得る。この抗フケ活性物質は、抗菌活性物質、ピリジンチオン塩、アゾール、硫化セレン、粒子状イオウ、角質溶解酸、サリチル酸、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、コールタール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。本組成物は、ジンクピリジンチオン(ZPT)を含み得る。ピリジンチオン抗フケ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号で説明されている。抗フケ活性物質の濃度は、本コンディショニングシャンプー配合物全体の約0.01重量%〜約5重量%、又は約0.1重量%〜約3重量%、又は約0.1重量%〜約2重量%とすることができる。
【0056】
一実施形態では、本コンディショニングシャンプー配合物は、コアセルベートを含む。コアセルベートは、カチオン性ポリマー及びアニオン性界面活性剤から構成される、分離した相であり、典型的には、本コンディショニングシャンプー組成物の希釈下で生成される。この分離した相が、付着させるべきコンディショニング剤を捕捉/封入する。コアセルベート複合体はまた、カチオン性ポリマー及びアニオン性界面活性剤から予形成して、分散相として添加することもできる。末端近傍分岐型化合物は、コンディショニング剤である。一般的には、この封入、及びその後の毛髪基質に対する付着の効率は、有益剤の粒径が減少するにつれて、増大する。乳化粒子として配合する場合、その粒子の平均直径は、約5マイクロメートル未満、又は約2マイクロメートル未満、又は約1マイクロメートル未満、又は約0.1マイクロメートル〜約0.2マイクロメートルとすることができる。半透明及び/又は透明なコンディショニングシャンプー配合物に関しては、その粒子の平均直径は、約0.1マイクロメートル未満、又は約0.03マイクロメートル〜約0.05マイクロメートルとすることができる。
【0057】
本コンディショニングシャンプー配合物の更なる実施形態では、コンディショニング剤は、濾過機構によって付着される。末端近傍分岐型化合物は、コンディショニング剤である。一実施形態では、本コンディショニングシャンプー配合物は、離散粒子/液滴中に含まれる、末端近傍分岐型化合物を含む。この実施形態では、粒子/液滴の平均直径は、10マイクロメートル超、又は20マイクロメートル超、又は約30〜約50マイクロメートルとすることができる。
【0058】
第3の態様によれば、本発明は、リンスオフ型コンディショナー配合物に関し、このリンスオフ型コンディショナー配合物は、
(a)第1の態様で定義されるような、末端近傍分岐型化合物と、
(b)美容的に許容可能な水性キャリアと、
(c)ゲルネットワークとを含み、
この末端近傍分岐型化合物は、ゲルネットワーク中には含まれない。
【0059】
第3の態様の一実施形態では、ゲルネットワークは、脂肪族アルコール及びカチオン性界面活性剤を含む。第3の態様の一実施形態では、ゲルネットワークは、直鎖脂肪族アルコール及び四級アンモニウム化合物を含む。一実施形態では、本リンスオフ型コンディショナー配合物は、本配合物全体の約10重量%までの、約8重量%までの、ゲルネットワークを含む。第1及び第2の態様に対する、本明細書での詳細もまた、第3の態様に適用することができる。
【0060】
第4の態様によれば、本発明は、第1の態様に従う毛髪コンディショニング用のパーソナルケア組成物の使用に関する。一実施形態は、第2の態様に従う毛髪コンディショニング用のコンディショニングシャンプー配合物の使用に関する。一実施形態は、第3の態様に従う毛髪コンディショニング用のリンスオフ型コンディショナー配合物の使用に関する。第1、第2及び第3の態様に対する、本明細書での詳細もまた、第4の態様に適用される。
【0061】
第5の態様によれば、本発明は、第1の態様に従うパーソナルケア組成物を毛髪上に適用する工程を含む、毛髪のコンディショニング方法に関する。一実施形態は、第2の態様に従うコンディショニングシャンプー配合物を毛髪上に適用する工程を含む、毛髪のコンディショニング方法に関する。一実施形態は、第2の態様に従うリンスオフ型コンディショナー配合物を毛髪上に適用する工程を含む、毛髪のコンディショニング方法に関する。第1、第2及び第3の態様に対する、本明細書での詳細もまた、第5の態様に適用される。
【0062】
合成機序
分枝状化合物は、メタセシスによって合成することができる。有用な機序はまた、Suguro及びMori(1979),Agric.Biol.Chem.,43(4),869、Yuasa及びTsuruta(2004),Flavour Fragr.J.,19,199でも論じられている。更には、遺伝子組み換えバクテリアを介した製造が、米国特許第2010/0105955号、同第2010/0105963号、国際公開第2007/136752号、同第2008/119082号、同第2009/111672号、及び米国特許第61/289039号で説明されている。
【0063】
末端付近分枝アルコールを調製するための、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンを使用する、トリオレイン酸グリセリルのメタセシス:
【0065】
反応物質、及びその後続の生成物は、油から誘導することができる:トリオレエート(スキーム1に示す)、ダイズ(水素添加)、ナタネ、キャノーラ、パーム、パーム核、ココナツ、ジャトロファ、高エルカ酸ナタネ、綿実、タロー、イエローグリース、トウモロコシ、ヒマワリ、ババス、及びこれらの混合物。メタセシス反応で使用されるオレフィンは、単一の分枝オレフィン、分枝オレフィンの混合物、あるいは分枝オレフィンと、芳香族アルキル、パラフィン、分枝パラフィン、及びシクロアルカンなどの他の非反応性不純物との混合物とすることができる。
【0066】
I.A.近末端分枝アルコールの混合物の合成:約8.854g(0.010モル)のトリオレイン酸グリセリル(Sigmaカタログ#T7140)及び25mLのヘキサンを、316ステンレス鋼攪拌圧力槽内に定置する。溶媒及びトリオレイン酸グリセリルは、槽への導入の前に、4Aモレキュラーシーブの上で予備乾燥させる。約0.0006モルの六塩化タングステン、及び0.0006モルのテトラメチルスズを、槽に添加する。この反応器を密封して、攪拌し、N
2で数回パージする。約0.030モルの、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンのブレンドを、N
2下でこの槽に添加する。攪拌混合物を、0.69MPa(100psig)のN
2下で220℃まで加熱し、この温度で数時間維持する。反応器を冷却して、生成物を取り出す。この反応混合物を、2〜3mLの濃水酸化アンモニウムで急冷し、追加の10mLヘキサンで抽出する。このヘキサン、及び残留している揮発性オレフィンを、ロータリーエバポレーター上で取り除く。残渣生成物に、分留を施して、残存した不揮発性オレフィン混合物を取り出す。11−メチル−9−テトラデセン、12−メチル−9−トリデセン、及び12−メチル−9−テトラデセンの混合物を主として含有するこの分枝オレフィン混合物に、標準的反応条件下で水素添加して、分枝を有する高品質の準バイオディーゼル燃料を生成する。蒸留後のフラスコの底の画分には、新たに分枝トリグリセリド混合物が主として含まれる。この新たなトリグリセリド混合物に、メタノール、及びメタノール中の触媒量の水酸化ナトリウム若しくはナトリウムメトキシドの存在下で、標準的なエステル交換条件を施す。混合相は、グリセリン(下相)と、12−メチル−9−テトラデセン酸メチルエステル、12−メチル−9−トリデセン酸メチルエステル、及び11−メチル−9−テトラデカン酸メチルエステルから主としてなる、メチルエステルの混合物(上相)とに分離する。この特異な分枝メチルエステル混合物を、水素の存在下で、銅クロマイト触媒を使用して、標準的な手順を用いて還元し、本質的に、12−メチルテトラデカン−1−オール、12−メチルトリデカン−1−オール、及び11−メチルテトラデカン−1−オールの混合物を得る。この混合物を真空蒸留して、精製混合物を提供する。
【0067】
I.B.エステル化:12−メチルテトラデシルパルミテートの調製:凝縮器を装着した乾燥500mL 3口丸底フラスコに、実施例I.A.に従い調製した12−メチルテトラデカン−1−オール(10.0g、0.0438モル)、ジエチルエーテル125mL、トリエチルアミン(4.87g、0.0481モル)、及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(0.5350g、0.0044モル)を投入する。この溶液を、室温で、正のN
2雰囲気下で攪拌する。塩化パルミトイル(13.20g、0.0481モル)/13mLジエチルエーテルを、室温で、添加漏斗から反応フラスコに滴加する。濃厚な白色沈殿が形成される。この濃厚スラリーの攪拌を促進するために、追加のジエチルエーテル115mLを添加する。この混合物を、窒素雰囲気下で、室温で一晩撹拌する。18時間の反応時間の後、この混合物のアリコートを、出発物質と対比して、TLCプレート(95:5v/vのヘキサン:酢酸エチル)上にスポットし、反応完了を示す。反応混合物を真空濾過して、濾過ケーキを2×400mLのジエチルエーテルですすぐ。濾液を、2×400mLの水で逆抽出する。このエーテル相を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濾過し、ロータリーエバポレーターにより濾液を40℃で真空濃縮して、粗生成物を回収する(20.3g)。この粗生成物を、温エタノール(150mL)中に溶解し、凍結装置内に定置して、生成物を再結晶させる。沈殿生成物を真空濾過して、濾過ケーキを0℃のエタノール(3×50mL)ですすぐ。このケーキを、室温で更に真空乾燥させ、12−メチルテトラデシルパルミテートを、白色粉末状固体(17.3g)として得る。収率は84.1%である。
【0068】
I.C.近末端分枝アルコールエトキシレート:223.7グラム(1.0モル)の、上記の実施例I.A.の近末端アルコール混合物に加えて、好適な期間内かつ制御可能な方式で、このアルコールとエチレンオキシドとの反応を促進するために十分な触媒を、冷却コイルを有する600mLステンレス鋼攪拌圧力槽に投入する。好適な触媒は、水酸化カリウムの50%水溶液からなる1.1グラムの溶液である。他の種類及び他の量の触媒を、使用することができる。触媒と共に導入される恐れがある、水などの副生成物をもたらし得る材料を除去するために、真空を適用しながら、この反応器を、実施例I.A.の末端付近分岐アルコール混合物を損失させない温度(水流吸引器を真空源として使用する場合、通常は、40℃〜90℃であるが、好ましくは、60℃〜80℃)で加熱する。水の除去は、通常は約50rpmの低速の攪拌を使用しながら、底部ドレンバルブ、又はステンレス鋼ガス分散フリット、若しくは任意の不活性浸漬管、若しくは焼結金属フリット材料のいずれかを通じた、低レベル(細流)の不活性ガス流を使用して、混合物をスパージすることによって、あるいは混合物の上方領域を不活性ガスで掃引することによって、促進させる。試料を反応器から採取し、Karl−Fischer滴定法などの、適切な分析方法を使用して、含水量に関して分析することができる。水除去工程の完了後、反応器システムが、無制御の反応速度を防止するように適切に設計されている場合には、エチレンオキシドを一度に全て添加することができる。しかしながら、最良の反応制御は、最初に反応器を静的な真空下で(又は、任意選択的に、N
2などの不活性ガスからの追加の圧力を使用して)、このアルコール−触媒の混合物とエチレンオキシドとを反応させた場合に生じる副生成物及び色発生が最小限になるような好適な温度(通常は、85℃〜150℃であるが、好ましくは、約110℃〜130℃)加熱することによって得られる。反応器が、所望の温度に到達した後、308グラム(7.0モル)のエチレンオキシドを、冷却システムによって制御可能となる速度で、通常は30〜60分の期間にわたって、添加する。エチレンオキシドの添加が完了した後、そのエチレンオキシドが反応によって消費されるまで、攪拌及び加熱を継続する。次いで、生成物を脱気し、反応槽から取り出して、そのまま保管することができ、又は触媒を、クエン酸、HCl、又は硫酸から選択される1等量の酸で中和して長期間保管することもできる。中和された生成物を濾過して、あらゆる固体残留物を除去することができる。
【0069】
シャンプー実施例
数字を有さない全ての単位は、重量%の単位である;適量=100%とするために十分な量である。
【0070】
【表1】
手引き:
1=1マイクロメートルのエマルションとして配合される、上記の合成により調製されるワックスエステル;
2=Jaguar Excel(Rhodiaより);
3=ラウレス−3硫酸ナトリウム(Procter & Gamble(P&G)より);
4=ラウリル硫酸ナトリウム(P&Gより);
5=Ninol Comf(Stepanより);
6=Amphosol HCA−B(Stepanより)。
【0071】
【表2】
手引き:
1=1マイクロメートルのエマルションとして添加される、上記の合成により調製されるワックスエステル;
2=330000cStのPDMS(Momentiveより);
3=Jaguar Excel(Rhodiaより);
4=ラウレス−1硫酸ナトリウム(P&G)より);
5=ラウリル硫酸ナトリウム(P&Gより);
6=Ninol Comf(Stepanより);
7=Amphosol HCA−B(Stepanより)。
【0072】
【表3】
手引き:
1=ラウレス−1硫酸ナトリウム(P&Gより);
2=ラウリル硫酸ナトリウム(P&Gより);
3=Ninol Comf(Stepanより);
4=Amphosol HCA−B(Stepanより);
5=NHance−3205(Aqualonより);
6=ポリクオタニウム−76(Rhodiaより);
7=ゲルネットワーク活性物質(米国特許第20070110700(A1)号に開示);
8=上記の合成により調製されるワックスエステル;
9=エチレングリコールジステアレート;
*=ゲルネットワークは、分散相として添加され、本明細書では、脂肪族の両親媒性物質、又はカチオン性界面活性剤を加えた脂肪族の両親媒性物質の活性パーセントとして表される。
【0073】
コンディショナー実施例
数字を有さない全ての単位は、重量%の単位である;適量=100%とするために十分な量である。
【0074】
【表4】
手引き:
x=メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンとのブレンド。
【0075】
【表5】
手引き:
y=プロピレングリコール及び水中の、ジセチルジモニウムクロリド(〜68%活性);
x=メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンとのブレンド。
【0076】
組成物/配合物の調製
ワックスエステルエマルションは、典型的なエマルション調製手順によって調製することができ、典型的には、1マイクロメートルのエマルション滴直径を有し得る。実験試料用の小規模では、最終混合物の50%に相当する濃度で、固体試料をFlack Tekスピードミキサーのカップ内に秤量する。NEODOL(登録商標)1〜5を、最終混合物の5%に相当する濃度で添加する。この合剤を、ワックスエステル材料が液化するまで加熱する。混合物を、スピードミキサーで、0.5分間、2000rpmで混合させる。ラウリル硫酸アンモニウム溶液(28%活性)を、最終調製物の約10%に相当する濃度で添加し、この時点で、必要とされる任意の追加水を添加し、この混合物を再加熱して、確実に、ワックスエステルを再び液化させる。次いで、この調製物を、スピードミキサーで、5分間、3450rpmで混合する。得られたエマルションの粒径を、単純な光学顕微鏡法によって検査し、その粒径が正しい範囲内、例えば、約1マイクロメートルであることを確実にする。
【0077】
大規模では、必要量の脱イオン水にラウリル硫酸アンモニウムを添加して、この混合物を約80℃まで加熱することができる。ワックスエステル材料を、NEODOL(登録商標)1〜5と組み合わせて、液化するまでこの混合物を加熱する。この混合物を、制御された方式で、高速の混合、例えば、タービンを備えるDivtech Eurostarを使用して、ラウリル硫酸アンモニウム水溶液中に添加する。粒径を、光学顕微鏡法によって検証する。
【0078】
比較データ
コーミング試験を実施して、本発明に従う配合物と対照の配合物とを比較した。コーミング試験は、米国特許第2009/0246236(A1)号の段落[0199]〜[0202]で説明されるように実施した。非コンディショニング型洗浄シャンプーは、「低」対照としての役割を果たす(配合物に関しては下記を参照)。「高」対照は、同じ洗浄シャンプーを使用して処置するが、その後に、標準的なシリコーン含有リンスオフ型コンディショナー(下記の配合物)を使用する処置が続く。シリコーンを含む典型的な2−in−1シャンプーは、典型的には、未処理の茶色の毛髪に対して、中程度から高い程度のコーミング効果を発揮し、その効果は高対照の効果に迫るものではあるが、低く浮き上がった毛髪(すなわち、脱色して痛んだ毛髪)に対しては、中程度の効果に近づくのみである。したがって、非シリコーン系技術の有効性を、これらの対照に対して(また、それゆえシリコーンと対比して)主観的に査定することができる。
【0079】
このコーミング試験方法は、典型的な消費者評価を表すものである。官能試験員は専門家ではないが、このような方法で配合物を採点するという経験を数年にわたって有する。この試験は、同じ低対照及び高対照を常に使用する場合には、再現性がある。平均評点に関する誤差は、典型的には、+/−1である。平均評点に関する2の差異は、有意な差異である。
【0080】
低対照の洗浄シャンプー配合物:7.00重量%のラウレス−3硫酸ナトリウム;0.14重量%のEDTA四ナトリウム;1.11重量%のクエン酸(無水);0.50重量%のコカミドMEA;0.03重量%のカトンCG;7.00重量%のラウリル硫酸ナトリウム;0.10重量%のDMDMヒダントイン;2.00重量%のココアミドプロピルベタイン;0.70重量%のNaCl;0.46重量%の香料;適量の蒸留水。
【0081】
高対照のシリコーンコンディショナー配合物:0.64重量%のL−グルタミン酸;2.00重量%のステアラミドプロピルジメチルアミン;2.50重量%のセチルアルコール;4.50重量%のステアリルアルコール;4.20重量%のジメチコン/シクロメチコン(15/85のブレンド);0.10重量%のEDTA;0.40重量%のベンジルアルコール;0.33重量%のカトンCG;0.25重量%の香料;0.225重量%のdl−Pantyl;0.05重量%のdl−パンテノール;適量の蒸留水。適量=100%とするために十分な量である。
【0082】
本発明に従う以下の配合物、2〜6、9〜13、16〜21、及び24〜29は、上記の実施例表2で説明されるものであり、全てのエステルは、約1マイクロメートルのエマルションとしてシャンプー基剤に添加される。シリコーン及び末端近傍分岐型化合物の付着は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)によって測定することができる。50:50のトルエン:メチルイソブチルケトンを使用して、毛髪試料からシリコーンを抽出し、抽出した試料を、既知のシリコーン濃度のICP較正標準と比較した。
【0083】
【表6】
手引き:
1=1.35%、330,000cStのポリジメチルシロキサン(Momentiveより);
2=1.35%の14−メチルヘキサデシルステアレート;
3=1.35%のホホバエステル(Floratechより);D:活性物質=コンディショニング活性物質、すなわち、シリコーン又は末端近傍分岐型化合物の付着性(単位はppm)。
【0084】
この比較実験(試料1〜7)から得られる結論としては以下が挙げられる:シリコーンに匹敵する乾燥コーミング効果としては、小粒子エマルションが挙げられる。付着データにより、小粒子シリコーンに匹敵する、末端近傍/アンテイソエステルの高い付着性が裏付けられる。アンテイソエステルの性能はまた、不飽和ホホバエステルにも匹敵するが、しかしながら、不飽和エステルは、酸化安定性の問題が生じやすいのに対し、分枝状疎水性物質から誘導されるエステルは、そのような反応を起こしにくい(米国特許第2004/0076654(A1)号の段落[0003]を参照)。
【0085】
【表7】
手引き:試料1〜7に関するものと同じ。
【0086】
この比較実験(試料8〜14)からの結論としては以下が挙げられる:アンテイソエステル及びホホバエステルを使用するコーミング性能の改善−このことは、先端部が、典型的には、毛根部及び本体部よりも、化学的及び機械的損傷を多く呈し、より親水性であることを前提とすると、重要である。
【0087】
【表8】
手引き:
1=4,8,12−トリメチル−トリデカン−1−オール、ステアレート;
2=1.0%のTegosoft OER(Evonikより);
3=1%、330,000cStのポリジメチルシロキサン(Momentiveより);
4=1%のホホバエステル(Floratechより);
5=1%の14−メチルヘキサデシルステアレート;D:Si=ppmの単位のシリコーンの付着性。
【0088】
この比較実験(試料15〜22)からの結論としては以下が挙げられる:末端近傍分岐型エステルは、痛んだ毛髪(未処理の茶色の毛髪に加えて)上に効率的に付着し、小粒子シリコーンに匹敵する乾燥コーミング性能、及び大粒子シリコーンと比べて改善された性能(大粒子シリコーンは、典型的には、濾過又はコアセルベーションのいずれを介しても、化学的に痛んだ毛髪[すなわち、「浮き上がった」毛髪]上には付着しない)を提供する。
【0089】
【表9】
手引き:試料15〜22に関するものと同じ。
【0090】
この比較実験(試料23〜30)からの結論としては以下が挙げられる:毛髪先端は最も激しく損傷しているため、有効な付着は通常は最も困難である−これらのデータにより、末端近傍分岐型化合物は、消費者が注目する先端部に対する効果を提供する点で、小粒子シリコーンよりも有効であることが示されるが、これは、末端近傍分岐型化合物が毛髪に対しより高い付着性を有することによるものと考えられる。
【0091】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解するべきではない。むしろ、特に指定のない限り、そのような各寸法は、記載される値、及びその値周辺の機能的に等価な範囲の双方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。