(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示し、また接眼部を覗くと観察可能な電子ビューファインダ(Electronic View Finder:以下、「EVF」と称す)にもライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
【0016】
図1に示すブロック図を用いて、本発明の第1実施形態に係わるカメラ10の構成について説明する。カメラ10は、画像処理及び制御部1、撮像部2、記録部4、振動検知部5、操作判定部6、リング状操作部6b、ファインダ表示部(図中では「F表示部」と表記)7、接眼検知部7A、表示部8、タッチパネル8b、時計部9等から構成される。
【0017】
撮像部2は、撮影レンズ2b(
図2参照)、シャッタ等の露出制御部、撮像素子2c(
図2参照)、撮像素子2cの駆動及び読出回路等を含み、撮影レンズ2bによって形成された被写体像を撮像素子2cによって画像データに変換し、これを出力する。なお、本明細書においては、画像データは、撮像素子2cから出力される画像信号に限らず、画像処理及び制御部1によって処理された画像データ、および記録部4に記録されている画像データ等についても使用する。
【0018】
撮影レンズ2bを収納したレンズ鏡筒の周囲にはリング状操作部6b(
図3、
図4参照)が設けられている。このリング状操作部6bは、レンズ鏡筒の周囲を回動自在であり、この回動方向および回動量は、図示しないエンコーダ等の検知部材によって検知可能である。この検知された回動方向および回動量は、画像処理及び制御部1に出力される。
【0019】
画像処理及び制御部1は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)およびその周辺のハードウエア回路によって構成され、不図示の記憶部に記憶されているプログラムに従ってカメラ10の全体のシーケンスを制御する。画像処理及び制御部1は、表示制御部1a、撮影制御部1b、タッチ位置判定部1cを含む。
【0020】
表示制御部1aは、ファインダ表示部7と表示部8において被写体像をライブビュー表示すると共に、撮影パラメータ調整のための表示制御を行う。すなわち、カメラ10の背面に配置された表示部8には被写体像に重畳して撮影パラメータの種類、例えば、露出補正値、絞り値、シャッタ速度、ピント等の調整モードの選択用の画像が表示され、表示制御部1aは、この表示制御を行う。また、カメラ10内に配置され、接眼部7c(
図3、
図4参照)を通して観察するファインダ表示部7には、被写体に重畳して露出補正値等の撮影パラメータの数値の設定用の画像が表示され、表示制御部1aはこの表示制御も行う。
【0021】
撮影制御部1bは、操作判定部6によってユーザの操作を判定し、この判定結果に基づいて撮影の制御を行う。本実施形態においては、操作判定部6以外にも、タッチパネル8bやリング状操作部6bによって各種モードやパラメータ等を設定することができ、撮影制御部1bは、これら設定された各種モードやパラメータ等を反映した撮影を行う。
【0022】
タッチ位置判定部1cは、タッチパネル8bから検知信号を入力し、この検知信号に基づいて、タッチパネル8bのタッチ位置を判定する。また、画像処理及び制御部1は、撮像部2から入力した画像データの画像処理、例えば、ホワイトバランス、色補正、ライブビュー表示用画像生成、動画画像生成、画像圧縮・画像伸張等の種々の画像処理を行なう。
【0023】
記録部4は、カメラ本体に脱着自在な記録媒体、若しくは内蔵の記録媒体から構成される。記録部4には、撮像部2から出力され、画像処理及び制御部1によって画像処理された静止画や動画の画像データや、付随するデータが記録される。時計部9は、計時機能を有し、また日時情報を出力する。撮影時には、この日時情報が画像データと共に記録部4の記録媒体に記録される。
【0024】
振動検知部5は、カメラ10の内部に配置された1つ若しくは複数の加速度センサとそのドライバ等から構成され、カメラ10の姿勢やカメラ10に加えられた振動を検出する。加速度検出部5の検出結果は、画像処理及び制御部1に出力され、除振動作に用いられる。また、振動検知部5は、ユーザがカメラ10を叩く(タップ)した際に瞬間的に発生する加速度も検出可能である。このタップ操作に基づいて、カメラ10は撮影者からの指示を入力する。
【0025】
操作判定部6は、カメラ10の外装に配置されたレリーズ釦、電源釦、再生釦、メニュー釦等の各種操作部材を有し、この操作部材の操作状態を判定し、この判定結果を画像処理及び制御部1に出力する。
【0026】
表示部8は、画像処理及び制御部1に接続されており、本体の背面等に配置された液晶や有機EL等のモニタを有し、ライブビュー表示や、撮影時のレックビュー表示や、記録部4に記録されている記録画像の表示や、メニュー画面等の制御画面を表示する。タッチパネル8bは、液晶モニタや有機ELモニタ等の前面に配置または内部に一体化され、ユーザが表示部8の表示面をタッチした位置に応じた検知信号を、画像処理及び制御部1に送信する。
【0027】
ファインダ表示部7は、いわゆる電子ビューファインダ(EVF)であり、接眼部7c(
図3、
図4参照)を通して、本体内に配置された小型の表示パネル7a(
図2参照)を観察可能である。この表示パネル7aにも、撮像部2から出力される画像データに基づく被写体像が表示され、また露出補正値等の撮影パラメータ設定用の画像も表示される。接眼検知部7Aは、ファインダ表示部7の接眼部7cに撮影者20の目が当てついているか、または接近しているかを検知する。
【0028】
次に、ファインダ表示部7および接眼検知部7Aの構成について、
図2を用いて説明する。撮像部2を構成する撮影レンズ2bの光軸上に撮像素子2cが配置され、撮影レンズ2bは被写体光束を撮像素子2c上に結像し、撮像素子2cは被写体像を画像データに変換し、画像処理及び制御部1に出力する。表示部8は画像処理及び制御部1に接続されており、画像処理及び制御部1において画像処理された画像データや、調整モード等の設定用の画像データ等は、表示部8に出力され、表示される。
【0029】
また、画像処理及び制御部1は、ファインダ内表示部7を構成する表示パネル7aに接続されており、撮像素子2cからの画像データや、撮影パラメータ設定用の画像データ等が表示パネル7aに出力される。カメラ10の接眼部7c(
図3、
図4参照)の近傍に接眼レンズ7bが配置されている。撮影者20は目を接眼部7cに当てつけることにより、接眼レンズ7bを介して、表示パネル7aに表示される画像を観察することができる。なお、表示パネル7a、接眼レンズ、接眼部7cによってファインダ内表示部7が構成される。
【0030】
投光素子7dは、画像処理及び制御部1に接続されており、画像処理及び制御部1からの発光指示信号に応じて投光する。なお、投光素子7dは、投光光路上に接眼レンズ7aが位置するように配置する。また、受光レンズ7eおよび受光素子7fは、接眼部7cの近傍で撮影者20が観察している場合に、投光素子7dからの投光の反射光を受光可能な位置に配置されている。受光素子7fは反射光を光電変換し、この検知信号を画像処理及び制御部1に出力する。本実施形態における接眼検知部7Aは、上述の投光素子7d、接眼レンズ7a、受光レンズ7e、受光素子7f等によって構成される。
【0031】
このように、接眼検知部7Aが構成されているので、接眼部7cを撮影者20が覗いている等、接眼部7cの近傍に撮影者20がいる場合には、これを検知することができる。つまり、ファインダ内表示部7の表示パネル7aを観察するために、撮影者20が接眼部7cを覗くと、投光素子7dからの投光が撮影者20の頬等で反射する。受光素子7fはこの反射光を受光し、検知信号を画像処理及び制御部1に出力する。画像処理及び制御部1は、この検知信号に基づいて、撮影者20が接眼部7cを覗いていることを判定することができる。
【0032】
次に、リング状操作部6bを利用して行う撮影パラメータ選択のための調整モード設定と撮影パラメータの数値の調整について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3(a)は、撮影者20が接眼部7cを覗くことなく、表示部8を見ながら、いずれかの撮影パラメータを設定するための調整モード設定の様子を示している。すなわち、接眼検知部7Aによって、撮影者20が接眼部7cを覗いていないことを検知すると、表示制御部1aは、
図3(b)に示すように、表示部8に撮影パラメータ選択のための調整モード設定用の画像を表示させる。本実施形態においては、調整モードとしては、露出補正、ピント、絞り値、シャッタ速度が設定可能である。
【0033】
現在、選択されている調整モードは、色等を変え、他の調整モードと区別して表示される。この状態で、撮影者20が撮影レンズ2bの鏡筒の周囲に配置されたリング状操作部6bを、左手20Lによって回動させると、選択される撮影パラメータが順次、変更される。例えば、リング状操作部6bを時計回りに回すと、
図3(b)に示す例では、露出補正→シャッタ速度→絞り値→ピントの順に変更され、反時計回りに回すと、露出補正→ピント→絞り値→シャッタ速度の順に変更される。
【0034】
このように、本実施形態においては、撮影者20は、カメラ10がブレないようにしっかり右手20Rで構えたまま、リング状操作部6bを左手20Lで回動させるだけで、撮影パラメータ設定のための調整モード設定を行うことが可能となる。撮影パラメータは表示部8に表示され、リング状操作部6bの回動方向に応じて、変更されるので、調整モード設定を容易に行うことができる。なお、選択されている調整モードの表示は、色を変える以外にも、フラッシング等の他の方法によって他の調整モードと区別できるようにしてもよい。
【0035】
調整モード設定を行うと、次に、撮影パラメータの数値の設定を行う。
図4(a)は、撮影者20が接眼部7cを覗き、ファインダ内表示部7bにおける表示を見ながら、撮影パラメータの数値を設定する様子を示している。すなわち、接眼検知部7Aによって、撮影者20が接眼部7cを覗いていることを検知すると、表示制御部1aは、
図4(b)(c)に示すように、ファインダ内表示部7の表示パネル7aに撮影パラメータの数値設定のための画像を表示させる。
図4(b)(c)に示す例では、調整モードとして露出補正設定が選択された状態である。
【0036】
撮影パラメータ数値設定のための画像としては、左上に選択されている調整モードが表示され(図示の例では露出補正)、左下に撮影パラメータの数値が表示され(図示の例では、+1.0および−1.0)、画面の中央には、リング状操作部6bの使用感覚と一致させるためにリングが表示されている。
【0037】
撮影パラメータの数値が表示された状態で、撮影者20が撮影レンズ2bの鏡筒の周囲に配置されたリング状操作部6bを、左手20Lによって回動させると、撮影パラメータの数値が順次、変更される。例えば、リング状操作部6bを時計回りに回すと、図示の例では、露出補正が増加し、一方、反時計回りに回すと、露出補正が減少するように変更される。なお、調整モードとして絞り値が設定されている場合には、リング状操作部6bを回動させることにより、絞り値が増減し、シャッタ速度が設定されている場合にはシャッタ速度が増減し、ピントが設定されている場合には、被写体距離が遠距離側や近距離側に変更される。なお、ピントが設定されている場合には、従来のマニュアルピント合わせと同じであり、この場合、被写体距離を表示してもよいが、従来と同様、表示しなくてもよい。
【0038】
このように、本実施形態においては、
図4(a)に示すように、接眼部7cを通してファインダ内表示部7を注視し、被写体を確認しながら撮影パラメータの調整を行うことができる。撮影パラメータの数値を変更すると、数値変更に応じてファインダ内表示部7における表示を変更するので、撮影者20は撮影パラメータの変更に伴う画像の変化を確認することができる。カメラ10の背面等に配置された表示部8での表示は、外光の影響によって画像の微妙な変化を確認し難いが、ファインダ内表示部7での表示は、外光の影響を受けないので、撮影パラメータの変更に伴う効果を確認することが容易である。
【0039】
また、リング状操作部6bを時計回り又は反時計回りに回動させることにより、撮影パラメータの数値を、増減させることができる。
図3に示した調整モード設定の状態から、撮影パラメータの数値設定の状態に切り替えるのは、単に、撮影者20が接眼部7cを覗くだけであり、カメラ10を保持する構え方とリング状操作部6bを保持する手は、何ら変更を要しない。このため、手振れの影響を受けることなく、また迅速に調整モード設定からパラメータ設定を行うことができる。
【0040】
次に、本実施形態における動作を
図5に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、カメラ10の不図示の記憶部に記憶されているプログラムに従って画像処理及び制御部1が実行する。
【0041】
カメラ制御のフローでは、まず、電源がオンか否かの判定を行う(S11)。操作判定部6によって電源釦が操作されたか否かが判定されるので、パワーオフ状態で電源釦が操作された場合には、電源オンと判定する。この判定の結果、電源オンでなかった場合には、カメラ制御のフローを終了する。なお、カメラ制御のフローを終了しても、所定時間間隔で電源釦が操作されたかを判定し、電源釦が操作された場合には、次のステップS13に移行する。
【0042】
ステップS11における判定の結果、電源オンの場合には、次に、撮影モードか否かの判定を行う(S13)。この判定の結果、撮影モードであった場合には、次に、接眼状態か否かの判定を行う(S15)。ここでは、接眼検知部7Aによって、
図4(a)に示すように、撮影者20が接眼部7cを覗いているか否かの判定を行う。
【0043】
ステップS15における判定の結果、接眼状態でなかった場合には、次に、背面表示を行うと共に、タッチパネル8bをオンし、ファインダ内表示部7の表示をオフとする(S31)。ここでは、カメラ10の背面に設けられた表示部8の表示パネルに、
図3(b)に示すような、撮影パラメータを設定するための調整モード表示を行う。また、タッチパネル8bを動作状態とすることにより、撮影者20が表示部8の表示パネルを直接、タッチにより指示することができる。また、撮影者20がファインダ内表示部7を覗いていないことから、この表示をオフにする。
【0044】
次に、リング状操作部が回動したか否かの判定を行う(S33)。ここでは、撮影者20がカメラ10の背面に配置された表示部8を見ながら、露出調整等の調整モードを選択するために、リング状操作部6bを回動操作しているか否かを判定する。判定にあたっては、リング状操作部6bの回動に応じて信号を発生するエンコーダからの検知信号に基づいて行う。
【0045】
ステップS33における判定の結果、リング状操作部6bが回動した場合には、調整モードの変更を行う(S35)。ここで、
図3(b)において説明したように、リング状操作部6bの回動方向と、表示部8上で選択される調整モードの移動方向が一致するようにする。
【0046】
ステップS35において調整モードの変更を行うと、またはステップS33における判定の結果、リング状操作部6が回動していなかった場合には、次に、タッチパネル8bがタッチされたか否かの判定を行う(S37)。露出補正等の調整モードの選択は、リング状操作部6bの回動操作によって行う以外にも、本実施形態においては、表示部8を直接、タッチすることによっても行うことができる。すなわち、撮影者20が表示部8に表示されている露出補正等の調整モードの中で、設定を欲するモードがあれば、これを直接タッチする。
【0047】
ステップS37における判定の結果、タッチされていた場合には、調整モードの変更を行う(S39)。ここでは、タッチ位置判定部1cがタッチ位置を判定し、この判定結果に基づいて、調整モードを特定し、調整モードの変更を行う。
【0048】
ステップ15における判定の結果、接眼状態であった場合には、次に、背面タッチパネルをオフする(S17)。撮影者20は、接眼部7cを覗いて、ファインダ内表示部7の表示パネル7aに表示される画像を観察していることから、カメラ10の背面に配置されたタッチパネル8bをオフする。
【0049】
背面タッチパネル8bのオフを行うと、次に、選択した調整モードにおける数値をファインダ内に表示する(S19)。前述したステップS35またはS39において、露出補正等の調整モードを選択していることから、この選択された調整モードにおける撮影パラメータの数値を、
図4(b)(c)に示したように、ファインダ内の表示パネル7aに表示する。
【0050】
続いて、ライブビューをファインダ内に表示する(S21)。ここでは、撮像部2から出力される画像データに基づいて、被写体像をファインダ内の表示パネル7aでライブビュー表示を行う。
【0051】
ファインダ内でライブビュー表示を行うと、次に、ステップS33と同様に、リング状操作部6bが回動したか否かの判定を行う(S23)。この判定の結果、リング状操作部6bが回動した場合には、次に、回動に応じて調整量の切換えを行う(S25)。ここでは、
図4(b)(c)を用いて説明したように、リング状操作部6bの回動方向と回動量に応じて、選択された調整モードにおける撮影パラメータの増減を行う。
【0052】
また、ステップS23における判定の結果、リング状操作部6bの回動がなかった場合には、次に、タップ操作が行われたか否かの判定を行う(S27)。リング状操作部6bを操作することにより、撮影パラメータの増減を行うことができるが、元の値に戻す場合には、逆操作をしなければならず、迅速性に欠ける。そこで、本実施形態においては、タップ操作を行うことにより、元の値にリセットできるようにした。そこで、このステップS27においては、振動検知部5からの検知信号に基づいて、撮影者20がタップ操作を行ったか否かの判定を行う。ステップS27における判定の結果、タップ操作があった場合には、設定値のリセット行う(S29)。ここでは、前述したように、接眼状態に入る前の元の値にリセットする。
【0053】
前述のステップS25、S29、S39における処理を実行すると、または、ステップS27における判定の結果、タップ操作がなかった場合には、またはステップS37における判定の結果、タッチされていなかった場合には、次に、レリーズか否かの判定を行う(S41)。ここでは、操作判定部6によってレリーズ釦6cが操作されたか否かを判定する。この判定の結果、レリーズでなかった場合には、ステップS11に戻る。一方、レリーズであった場合には、撮影および記録を行う(S43)。ここでは、撮像部2から出力される画像データを画像処理した後、記録部4に記録する。画像データの記録を行うとステップS11に戻る。
【0054】
ステップS13における判定の結果、撮影モードでなかった場合には、次に、再生モードであるか否かを判定する(S51)。ここでは、操作判定部6によって再生釦が操作されたか否かの判定を行う。この判定の結果、再生モードでなかった場合には、ステップS11に戻る。
【0055】
一方、ステップS51における判定の結果、再生モードであった場合には、次に、撮影画像の再生を行う(S53)。ここでは、指定された画像の画像データを記録部4から読み出し、表示部8に再生表示する。この再生表示を行うと、ステップS11に戻る。
【0056】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態においては、撮影者20がファインダ内表示部7における表示を観察していない場合には、カメラ10の背面に配置された表示部8に、
図3に示すように、露出補正等の調整モードを選択するための表示を行っている。撮影者20はこの表示を見ながら、リング状操作部6bを操作することにより、調整モードを変更することができる。また、撮影者20がファインダ内表示部7における表示を観察している場合には、リング状操作部6bを回動操作することにより、選択された調整モードに応じた撮影パラメータの数値を調整することができる。このように、本実施形態においては、カメラの表示部の観察状態とリング状操作部の回動操作に応じて、迅速に調整モードの設定を行うことができ、かつ設定された調整モードにおいて、撮影パラメータの調整を行うことができる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態について、
図6および
図7を用いて説明する。第1実施形態においては、接眼部7cから目が離れると調整モードになり、接眼部7cに目が近付くと選択された調整モードで撮影パラメータの調整を行っていた。このため、接眼部7cに接眼したり、また離れたりしながら撮影を行う場合には、誤動作してしまうおそれがあった。そこで、本実施形態においては、接眼部7cから目が離れた状態で、カメラ10の背面に配置された表示部8の表示面に表示されたアイコン(決定)をタッチすることにより、調整モードの選択を行うことができるようにした。
【0058】
本実施形態におけるカメラ10の電気的構成は、第1実施形態に係わる
図1および
図2に示したブロック図と同様であるので、詳しい説明は省略する。本実施形態における調整モードの選択は、第1実施形態と同様、撮影者20の目が接眼部7cから離れた状態において行う。
図6(a)は、表示部8の表示パネルに調整モード設定用の画像を表示している様子を示している。
【0059】
図6(a)に示した調整モード設定用の画面において、撮影者20はリング状操作部6bを回動操作することにより、第1実施形態の同様、回動操作の方向に従って、露出補正等の調整モードが変更される。撮影者が意図する調整モードに変更された際に、撮影者20が「決定」と表記されたアイコンをタッチすると、調整モードが選択される。
【0060】
調整モードが選択されると、次に、撮影者は、第1実施形態と同様、接眼部7cに目を当て、ファインダ内表示部7を観察しながら、リング状操作部6bを回動操作することにより、撮影パラメータの調整を行う。撮影パラメータの調整中は、
図6(b)に示すように、表示部8の表示パネルに「変更」と表記されたアイコンが表示される。撮影者が撮影パラメータの調整中に、他の調整モードに係わる撮影パラメータの調整を行うことを欲する場合には、「変更」のアイコンをタッチすれば、調整モードが変更される。例えば、調整モードとして露出補正が選択され、この撮影パラメータを調整中に、撮影者が「変更」アイコンをタッチすると、調整モードとして絞り値が選択され、撮影パラメータとして絞り値の変更が行われる。
【0061】
次に、本実施形態における動作を
図7に示すカメラ制御のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートにおいて、第1実施形態に係わる
図5のフローチャートと同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0062】
カメラ制御のフローに入ると、第1実施形態と同様に、電源オンか否かを判定し(S11)、撮影モードか否かを判定し(S13)、接眼状態か否かの判定を行う(S15)。この判定の結果、接眼状態でなかった場合には、次に、第1実施形態と同様に、背面表示を行うと共に、タッチパネル8bをオンし、ファインダ内表示部7の表示をオフとする(S31)。
【0063】
続いて、リング状操作部6bが回動したか否かの判定を行い(S33)、この判定の結果、リング状操作部材6bが回動操作された場合には、調整モードの変更を行う(S35)。ここでは、第1実施形態と同様に、撮影者は接眼部7cを覗いておらず、表示部8の表示パネルに表示された調整モード選択用の画像を見ながら、リング状操作部6bを回動させて調整モードの変更を行う(
図6(a)参照)。
【0064】
ステップS35における調整モードの変更を行うと、またはステップS33における判定の結果、リング状操作部6bが回動操作されていなかった場合には、次に、「決定」のアイコンがタッチされたか否かの判定を行う(S38)。ここでは、
図6(a)に示す「決定」のアイコンがタッチされたか否かについて、タッチ位置判定部1cによって判定する。この判定の結果、「決定」のアイコンがタッチされた場合には、ステップS35において変更された調整モードに決定する。
【0065】
ステップS15における判定の結果、接眼状態であった場合には、次に、背面タッチパネルの一部のみ有効化し他の部分をオフする(S18)。ここでは、表示部8の表示パネルの画面内で、
図6(b)に示す「変更」のアイコンの領域のみに対応するタッチパネル8bの領域を有効化し、タッチパネル8bの他の領域はオフとする。また、表示部8におけるライブビュー表示もオフとする。
【0066】
続いて、第1実施形態と同様に、選択した調整モードの数値をファインダ内に表示し(S19)、ファインダ内表示部7でライブビュー表示を行う(S21)。そして、リング状操作部6bの回動状態を判定し(S23)、この判定の結果、リング状操作部6bが回動していた場合には、回動に応じて調整量の切換えを行う(S25)。
【0067】
また、ステップS23における判定の結果、リング状操作部6bが回動していなかった場合には、次に、有効領域がタッチされたか否かの判定を行う(S28)。ここでは、
図6(b)に示す「変更」のアイコンがタッチされたか否かの判定を行う。この判定の結果、「変更」のアイコンがタッチされた場合には、次に、調整モードの変更を行う(S30)。ここでは、現在、選択されている調整モードを順次変更して表示する。例えば、調整モードとして露出補正が選択されていた場合に、「変更」のアイコンがタッチされると、調整モードが絞り値に変更され、さらに「変更」のアイコンがタッチされるとピントに変更される。
【0068】
前述のステップS25、S30、S40における処理を実行すると、またはステップS28における判定の結果、有効領域をタッチしていなかった場合には、またはステップS38における判定の結果、「決定」のアイコンがタッチされなかった場合には、次に、第1実施形態と同様、レリーズか否かの判定を行う(S41)。この判定の結果、レリーズでなかった場合には、ステップS11に戻る。一方、レリーズであった場合には、次に、第1実施形態と同様、撮影および記録を行う(S43)。撮影及び記録を行うと、ステップS11に戻る。
【0069】
このように、本発明の第2実施形態においては、接眼部7cから目が離れた状態で、カメラ10の背面に配置された表示部8の表示面に表示された「決定」のアイコンをタッチすることにより、調整モードの選択を行うことができる(S38、S40参照)。また、撮影者が接眼部7cを覗いている状態で、カメラ10の背面に配置された表示部8の表示面に表示された「変更」のアイコンをタッチすることにより、調整モードの変更を行うことができる(S28、S30参照)。第1実施形態では、接眼部7cに接眼したり、目を離すことで、調整モードと撮影パラメータの調整の切換えを行っていたが、第2実施形態においては、表示部8の表示パネル上のアイコンをタッチするだけで、切換えを行うことができ、誤動作するおそれがない。また、撮影者は接眼状態のままで、右手でタッチ操作することにより、調整モードを変更でき、左手でリング状操作部6bを回動操作することにより撮影パラメータの調整ができることから、迅速に調整モードの変更と撮影パラメータの調整を行うことができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、調整モードの変更は有効領域(「変更」アイコン)のタッチで行っていたが(S28)、これに限らず、タップによって変更するようにしてもよい。この場合には、ステップS28の判定をステップS27のように「タップ?」とし、振動検知部5によってタップがなされたか否かを判定すればよい。また、例えば、
図6(c)に示すように、「決定」のアイコンの領域を拡大し、また、このアイコン内に、変更はタップで行うことを告知するための表示を行ってもよい。
【0071】
次に、本発明の第3実施形態について、
図8および
図9を用いて説明する。第1及び第2実施形態においては、撮影者の接眼状態を接眼検知部7Aによって判定していたが、第3実施形態においては、特別なセンサを設けることなく、背面表示部8の表示パネルに設けたアイコンをタッチすることによって、調整モードと撮影パラメータの調整とを切り換えるようにしている。
【0072】
本実施形態におけるカメラ10の電気的構成は、第1実施形態に係わる
図1において、接眼検知部7Aを省略したブロック図と同様であるので、詳しい説明は省略する。また、
図2においても、接眼検知部7Aに関する部材、すなわち、投光素子7d、受光レンズ7e、受光素子7fは省略される。また、本実施形態においては、調整モードが決定される前では、表示部8の表示パネルには、第2実施形態における
図6(a)と同様の調整モード設定用の画像が表示される。
【0073】
本実施形態における動作を
図8に示すカメラ制御のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートにおいて、第1実施形態に係わる
図5のフローチャート、または第2実施形態に係わる
図7のフローチャートと同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0074】
カメラ制御のフローに入ると、第1実施形態と同様に、電源オンか否かを判定し(S11)、撮影モードか否かを判定する(S13)。この判定の結果、撮影モードであった場合には、次に、モード決定操作がなされたか否かの判定を行う(S14)。第1および第2実施形態においては、接眼検知部7Aによって判定していたが、本実施形態においては、ステップS40において調整モードが決定されているか否かを判定する。
【0075】
ステップS14における判定の結果、モード決定操作がなされていなかった場合には、次に、第1実施形態と同様に、背面表示を行うと共に、タッチパネル8bをオンし、ファインダ内表示部7の表示をオフとする(S31)。このとき、表示部8の表示パネルには、
図6(a)に示すような調整モード設定用の画像が表示される。
【0076】
続いて、リング状操作部6bが回動したか否かの判定を行い(S33)、この判定の結果、リング状操作部材6bが回動操作された場合には、調整モードの変更を行う(S35)。ここでは、第1実施形態と同様に、撮影者は接眼部7cを覗いておらず、表示部8の表示パネルに表示された調整モード選択用の画像を見ながら、リング状操作部6bを回動させて調整モードの変更を行う(
図6(a)参照)。
【0077】
ステップS35における調整モードの変更を行うと、またはステップS33における判定の結果、リング状操作部6bが回動操作されていなかった場合には、次に、第2実施形態と同様に、「決定」のアイコンがタッチされたか否かの判定を行う(S38)。この判定の結果、「決定」のアイコンがタッチされた場合には、ステップS35において変更された調整モードに決定する。
【0078】
ステップS14における判定の結果、モード決定操作がなされた場合には、次に、第1実施形態と同様に、選択した調整モードの数値をファインダ内に表示し(S19)、ファインダ内表示部7でライブビュー表示を行う(S21)。そして、リング状操作部6bの回動状態を判定し(S23)、この判定の結果、リング状操作部6bが回動していた場合には、回動に応じて調整量の切換えを行う(S25)。
【0079】
また、ステップS23における判定の結果、リング状操作部6bが回動していなかった場合には、次に、タップ操作が行われたか否かの判定を行う(S27)。ここでは、振動検知部5からの検知信号に基づいて、撮影者20がタップ操作を行ったか否かの判定を行う。撮影者が接眼状態で、撮影パラメータの数値の調整を行っている際に、異なる調整モードの撮影パラメータの数値を調整したい場合に、本実施形態においては、タップ操作によって調整モードの変更を行わせるようにしている。
【0080】
ステップS27における判定の結果、タップ操作があった場合には、第2実施形態と同様に、調整モードの変更を行う(S30)。ここでは、前述したように、タップ操作に応じて、順次、調整モードを変更する。例えば、調整モードとして露出補正が選択されていた場合に、「変更」のアイコンがタッチされると、調整モードが絞り値に変更され、さらに「変更」のアイコンがタッチされるとピントに変更される。なお、ファインダ内表示部7における表示としては、
図9に示すように、現在設定されている調整モード(図示の例ではピント調節)と、次のタップ操作によって設定される調整モード(図示の例では露出補正)を表示するようにしてもよい。この場合、現在設定されている調整モードと次の操作で設定される調整モードを識別できるように、例えば、色彩等で区別するとよい。
【0081】
前述のステップS25、S30、S40における処理を実行すると、またはステップS27における判定の結果、タップ操作がなかった場合には、またはステップS38における判定の結果、「決定」のアイコンがタッチされなかった場合には、次に、第1実施形態と同様、レリーズか否かの判定を行う(S41)。この判定の結果、レリーズでなかった場合には、ステップS11に戻る。一方、レリーズであった場合には、次に、第1実施形態と同様、撮影および記録を行う(S43)。撮影及び記録を行うと、ステップS11に戻る。
【0082】
このように、本発明の第3実施形態においては、調整モード設定用の画面において、調整モードが設定されていない場合には、調整モード設定用の画面を表示し続け、一方、調整モードが決定されると、接眼状態にならなくてもファインダ内表示によって撮影パラメータの数値の調整を行うようにしている。このため、接眼検知部7Aを省略することができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0083】
なお、ステップS27においてタップ操作が有った場合に調整モードの変更をおこなっていたが、これに加えて、タッチパネルが保持されているか否かを判定し、タッチパネルが保持されていた場合には、調整モードを保持するようにしてもよい。すなわち、接眼状態にある場合には、撮影者の鼻がタッチパネルにぶつかる等、振動が加わり、調整モードが誤って変更される可能性がある。そこで、タッチパネルが保持されている場合には、調整モードの変更を禁止し、誤動作を防止する。
【0084】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、カメラ10に外装された表示部8を観察しながら行うリング状操作部6bの回動操作に従って調整モードの選択を行い、また、ファインダ内表示部7を観察しながら行うリング状操作部6bの回動操作に従って数値調節を行っている。このため、簡単な構成で誤動作なく、迅速にモードやパラメータの設定を行うことができる。
【0085】
なお、本発明の各実施形態においては、カメラ10の外装に設けた表示部8としては、カメラ10の背面に配置したが、外装されていれば、背面に限らない。また、ファインダ内表示部7としては、電子ビューファインダ(EVF)に限らず、例えば、光学ファインダ部に調整モードや撮影パラメータ設定用の画像を重畳させるようにしてもよい。
【0086】
また、本発明の各実施形態においては、撮影パラメータの数値として、露出補正、絞り値、シャッタ速度値、ピントを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、連写モードの際の駒速等、撮影パラメータを調整するものであれば、適用できる。さらに、撮影パラメータの数値を表示したが、数値に限らず、バー表示等、撮影パラメータを示すことができればよい。
【0087】
さらに、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、撮影パラメータの数値を調整可能な撮影機能を有する装置であれば、本発明を適用することができる。
【0088】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。