(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5715277
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ブレーキレバー
(51)【国際特許分類】
B62L 3/02 20060101AFI20150416BHJP
B62K 23/06 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
B62L3/02 Z
B62K23/06
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-40128(P2014-40128)
(22)【出願日】2014年3月3日
【審査請求日】2014年7月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304045701
【氏名又は名称】井手 遊生
(72)【発明者】
【氏名】井手 遊生
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5330615(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00− 7/10
B62L 3/02
B62K 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のブレーキレバー装置において、ブレーキレバーの回転軸に直交する方向から見て、ブレーキレバーの先端部形状を回転軸の中心を跨ぐように両側に広げた形状とすることで、ブレーキレバーの先端方向からハンドルグリップを握った状態において複数本の指でブレーキレバー回転軸の中心を挟んだ両側に掛けて引けるようにしたブレーキレバー。
【請求項2】
請求項1において、回転軸に軸支された付け根部分と回転軸の中心を跨ぐように両側に広げた先端部を分割した構成としたもの、およびその先端部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキレバーの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車のブレーキレバーは、1本の棒状のもので形成し、指にフィットし滑り抜けないように若干の湾曲をもたせ、ハンドルバーを握った状態で指でブレーキレバーをハンドルバー側に引き寄せてブレーキ作動するようになっている。以下にブレーキレバーの文献の一例を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3518999
【特許文献2】実開平5−26782
【特許文献3】実開平5−32282
【特許文献4】特公平7−55672
【特許文献5】特許第5330615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1〜4は、従来の自転車のハンドルとブレーキレバーの事例である。
文献5は、ハンドルパイプ端が上向きで、その先端に玉状のグリップを配し、上方から手のひらを乗せてグリップを掴むようになっており、このような構成の場合、従来の1本の棒状のブレーキレバーではブレーキレバーと指が平行な向きとなるためブレーキレバーにしっかりと指を掛けて引くことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解消するために本願発明では、ブレーキレバーの先端部分の形状を、ブレーキレバーの回転軸と直交する方向から見て、回転軸と略平行で且つ回転軸中心を跨いで両側に振り分けて伸びた形状とし、ハンドルパイプの先端方向からグリップを掴んだ状態でブレーキレバーに交差させて指を掛けられるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本案発明によれば、ハンドルパイプの先端方向からグリップを掴む場合でも、ブレーキレバーに交差させて指を掛け、しっかりと引くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ハンドルパイプの先端に玉状のグリップを配したハンドルに、従来の1本の棒状のブレーキレバーを用いた事例である。
【
図2】
図1のブレーキレバーに指を掛けた状態の図である。
【
図5】本発明の第3の実施例であり、従来のブレーキレバーに、回転軸と略平行かつ回転軸中心に対して両側に振り分けて回転軸中心を跨ぐように付加する、後付レバーである。
【
図6】
図5の後付レバーを従来のブレーキレバーに取り付けた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図を参照して説明する。
図1はハンドルパイプ(4)の先端に玉状のグリップ(2)を配したハンドルに、従来の1本の棒状のブレーキレバー(1)を用いた事例である。
図2は
図1のブレーキレバー(1)に指(A)を掛けた状態の図である。
ハンドルパイプ(4)には先端に玉状のグリップ(2)が挿入され、またブレーキレバー(1)が係合されている。回転軸(3)を支点として、ブレーキレバー(1)をグリップ(2)側に引くことでブレーキが作動する。しかしながら、手の平をグリップ(2)の上側からのせた状態でブレーキレバー(1)を引く場合、指(A)がブレーキレバー(1)と平行となり、指(A)は1本しかブレーキレバー(1)に掛けることができないため力を入れづらく、また滑って外れ易いという問題もある。
【0009】
図3は本発明の第1の実施例である。
ブレーキレバー(1)を先端側に広がったリング状とし、そのリング部に指を掛けられるようにしてある。ブレーキレバー(1)の先端部(C)は回転軸(3)と略平行となっており、且つブレーキレバー(1)の回転軸(3)に直交する方向から見て、回転軸(3)の中心(B)を跨ぐように両側に振り分けて伸びている。これはグリップ(2)を掴んだ状態でブレーキレバー(1)に対して交差する向きから指(A)を掛けられるようにする為であり、またブレーキレバー(1)を引いたときの力を回転軸(3)の中心に作用させることで回転軸(3)へのこじり力の発生を防止し、ブレーキ操作の効率を悪化させないためでもある。
【0010】
図4は本発明の第2の実施例である。
ブレーキレバー(1)の形状を、T字型としたものである。この実施例も第1の実施例同様、先端部(C)は回転軸(3)と略平行となっており、回転軸(3)の中心(B)を跨ぐように両側に振り分けて伸びている。T字型の場合、T字の縦棒部分を挟むように2本の指が掛かればよいのでT字の幅はそれほど広くする必要はなく比較的コンパクトにすることができる。
尚、上述は一部の実施例であり、本願の狙いとする機能を達するには先端部(C)の形状は回転軸(3)と完全に平行である必要はなく、また棒のような線状である必要もない。指(A)がしっかりと掛けられるものであれば、傾斜しあるいは湾曲したもの、あるいは面の構成であっても何ら支障はない。
【0011】
図5と
図6は本発明の第3実施例である。
従来のブレーキレバー(1)に後付けで取り付けるタイプのものである。
図5は後付レバー(5)単体であり、
図6は後付レバー(5)を従来のブレーキレバー(1)に取付けた状態である。後付レバー(5)の握り部(E)は固い素材でありブレーキレバー(1)への取付部(D)は弾性素材でできており、ブレーキレバー(1)の先端から弾性素材の取付部(D)を挿入して取り付けている。取り付け状態においては、その機能は第2の実施例と同様である。
尚、取り付け方法は本実施例の挿入式に限らず、金属等で構成しビスで取り付ける等、従来の1本の棒状のブレーキレバーに後付けで取り付けて上述の機能を達するものであればどのような構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、両側にハンドルグリップを有する自転車など、ハンドルパイプにブレーキ作動装置を有する乗り物に適用される。
【符号の説明】
【0013】
1 ブレーキレバー
2 グリップ
3 回転軸
4 ハンドルパイプ
5 後付レバー
A 指
B 回転軸中心
C 先端部
D 取付部
E 握り部
【要約】
【課題】 ハンドルパイプ端が上向きで、その先端に玉状のグリップを配し、上方から手のひらを乗せてグリップを掴むような構成の自転車の場合、従来の1本の棒状のブレーキレバーでは上方からの指とブレーキレバーが平行な向きとなり指をしっかりと掛けることができないため力を入れづらく、また滑って外れ易いという問題もある。
【解決手段】 ブレーキレバーの回転軸に直交する方向から見て、ブレーキレバーの先端部形状を回転軸の中心を跨ぐように両側に広げた形状とすることで、ブレーキレバーの先端方向からハンドルグリップを握った状態において複数本の指をブレーキレバー回転軸の中心を挟んだ両側に掛けて引けるようにした。
【選択図】
図6