(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベルト張力計は、前記ベルト張力算出手段により算出された前記張力値と、前記計算式によって算出された前記基準値と、前記測定結果判定手段により判定された結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト張力測定システム。
【背景技術】
【0002】
音波式ベルト張力計は、ベルト機能と大きく関わっている取付張力を、ベルトから発生させた音波(自然周波数)を解析することにより、非接触で簡単かつ正確に測定する事が出来る装置である。測定の原理は、プーリ間に張られたベルトなどに衝撃を加えて振動させると、最初は高周波成分や衝撃成分を含んだ不規則な波形で振動し、やがて固有の規則的な波形で振動するようになる現象に鑑みてなされたものであり、マイクロフォンで振動波形を検出し、検出した値をマイコンがデータ処理して固有振動数に換算することによりベルト張力値を算出する。ベルト張力値の算出には、張力計にセットされた次に示す演算式を用いる。
(演算式)
T=4×M×W×S
2×f
2×10
-9
T:張力値 (N)
M:単位質量 (g/mm幅×m長)
W:ベルト幅又はリブ(ワイヤ)本数 (mm/R)
S:測定スパン長さ (mm)
f:センサにより計測されたベルト1次固有振動数 (Hz)
【0003】
ベルトやワイヤなどは剛性があり、その影響の現れる使用条件では測定結果が実張力値よりも高い値が表示されるため、キャリブレーション試験により求めた補正係数を用いる。このため、測定に際しては、テンキーにより測定対象のスパンの長さ、ベルト質量(単位質量×幅)などを、ベルトカタログを参照してベルト張力計本体に入力する必要がある。また、測定されたベルト張力値が規格値、すなわち基準値(標準張力値)に対する上下限値の間に入っているか否かの確認も、その都度表示画面に表示された値とカタログに記載された値とを比較して確認しなければならず、操作が煩雑である。
【0004】
そこで、ベルト振動を検知することによるベルト張力の測定において、カタログ等を参照することなく効率的に測定作業を行なう技術がある。この技術では、ベルト張力計の記憶部にベルトの型番に対応するベルトの単位質量を記録しておき、入力された型番に対応したベルト単位質量を得て、測定により得られた固有振動数と、測定前に入力したベルト幅、スパン長さと、記憶部から得られた単位質量とからベルトの張力値を算出し、張力値と標準張力値とを同時に表示画面に表示する(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術では、ベルト張力計自体はベルトの固有振動数を測定してその値から張力値を算出して表示する測定器としての機能しかなく、測定により得られた結果が規格値を満たしているか否かの判定を行う機能が無い。このため、表示画面に表示された測定値と基準値とから測定者が自分で計算することにより、測定結果がそのベルトの規格を満たしているか否かを判定しなければならない。また、連続して測定した測定値は表示画面に順次表示されるが、ベルト張力計に測定値を保存する機能がないため、測定済みデータは上書きされて保存されない。このため、連続して測定する場合、測定都度に別途ノート等に測定結果を記録する作業が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、測定により得られた結果が規格値を満たしているか否かの判定が容易であり、一連の測定後に測定結果をまとめて確認出来る、使い勝手が向上したベルト張力測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベルト張力測定システムは、ベルトの振動を用いてベルト張力を測定するベルト張力計と、ベルトの型番に対応する規格値を設定する設定手段と、設定された規格値をベルト張力計に転送する転送手段とを備えたパソコンと、ベルト張力計とパソコンとを接続する接続手段と、を備えるベルト張力測定システムであって、ベルト張力計は、振動を検知するための振動検知手段と、振動からベルトの固有振動数を抽出する振動解析手段と、ベルトの型番、ベルト幅、スパン長さを入力するための入力手段と、ベルトの型番に対応するベルトの単位質量と、ベルトの型番に対応する基準値を算出する計算式と、転送手段によって転送された規格値とを記憶する記憶手段と、ベルトに係る固有振動数と、ベルト幅と、スパン長さと、単位質量とからベルトの張力値を算出するベルト張力算出手段と、ベルト張力算出手段により算出された張力値と、規格値とから測定結果の判定を行う測定結果判定手段と、タイマとを備え、記憶手段は、ベルト張力算出手段により算出された張力値と、判定結果とを記憶すると共に、タイマにより設定された時刻を測定結果と関連付けて記憶し、パソコンは、接続手段によってベルト張力計とパソコンとが接続されたときに、記憶手段に記憶されているデータをパソコンに取込むデータ取込手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、測定により得られた結果が規格値を満たしているか否かの判定が容易であり、一連の測定後に測定結果をまとめて確認出来る、使い勝手が向上したベルト張力測定システムを提供することが可能となる。
【0010】
ベルト張力計は、ベルト張力算出手段により算出された張力値と、計算式によって算出された基準値と、測定結果判定手段により判定された結果を表示する表示手段を備えることが好ましい。この場合、測定結果及び判定結果が容易に確認できるようになる。また、パソコンは、データを一覧表示するデータ表示部を備えることが好ましく、データ表示部に表示されたデータにより、データをパソコン上で時系列に確認でき、検査データの管理、編集及び保存が容易となる。
【0011】
記憶手段が、ベルト張力算出手段において用いられるベルト張力計算式を記憶していることが好ましい。また、測定結果を周波数で確認できるように、固有振動数と標準周波数とが表示手段に表示されることが好ましい。
【0012】
振動検知手段が音波式センサであることが好ましい。この場合には、容易にベルトの固有振動数を抽出することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定により得られた結果が規格値を満たしているか否かの判定が容易であり、一連の測定後に測定結果をまとめて確認出来る、使い勝手が向上したベルト張力測定システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明が適用された一実施形態であるベルト張力測定システムの概略構成を説明する説明図である。本発明の実施形態に係るベルト張力測定システムは、ベルトBの振動を用いてベルト張力を測定し、その測定結果を判定する機能を有するベルト張力計10と、測定対象であるベルトBの型番に対応する規格値を設定し、更にベルト張力計10に転送する手段を有するパソコン30を備える。ベルト張力計10とパソコン30は、USBケーブル(接続手段)40によって接続されている。
【0017】
図2は、本発明が適用された一実施形態であるベルト張力計10の正面図である。本実施形態のベルト張力計10は、その正面上方にLCD等からなる表示部11を備え、その下側に複数のスイッチが配列された、例えば、シートスイッチ(入力手段)12が設けられている。また、ベルト張力計10本体の上部側面には、ベルトの振動を非接触で検知するセンサ部20を接続するためのコネクタ部13が設けられている。なお、本実施形態では、ベルトの振動を非接触に検知するセンサ部20として、音圧変動を用いる音波式のセンサが用いられる。
【0018】
センサ部20は、例えばマイクロフォンなどの音波式マイク21と、フレキアーム(可撓性を有するアーム)22と、フレキアーム22に設けられたコネクタ部23とを備える。コネクタ部23は、ベルト張力計10本体に設けられたコネクタ部13にワンタッチで着脱自在に接続される。なお、センサ部20は、目的や使用環境に対応して様々な形式が考えられ、例えばフレキアームに替えて通常の信号ケーブルを用いてもよい。また、アームやケーブルを介さず直接マイク21をコネクタ部23に接続してもよい。
【0019】
図3は、音波式のセンサ部20が接続されたベルト張力計10とパソコン30とからなるベルト張力測定システムの電気的構成を示すブロック図である。ベルト張力計10は、マイクロコンピュータ等からなるシステムコントロール回路15を中心に構成される。システムコントロール回路15には、ベルトの型番、ベルト幅、スパン長さを入力するためのシートスイッチ12と、測定結果及び判定結果を表示する表示部11と、各種のデータを格納しておくためのメモリ等からなる記憶部16と、センサ部20において検出された信号(本実施形態の場合、音圧信号)の周波数解析を行なう周波数解析部(振動解析手段)14と、時刻を設定するタイマ17とが接続される。周波数解析部14は、コネクタ部13を介してセンサ部20に接続される。タイマ17は、後述するように、パソコン30により時刻設定される。
【0020】
記憶部16には、ベルトの型番に対応するベルトの単位質量と、各ベルトの型番に対応した、標準周波数や標準張力値を算出するカタログ値の計算式と、転送手段によって転送された規格値とが記憶されており、入力されたベルトの型番やベルト幅に対応して、これらの値が計算処理後に表示部11に表示される。また、記憶部16は、システムコントロール回路(ベルト張力算出手段)15により算出された張力値と、システムコントロール回路(測定結果判定手段)15が行った判定の結果とを記憶すると共に、タイマ17により設定された時刻を測定結果と関連付けて記憶する。
【0021】
パソコン30は、マイクロコンピュータ等からなる制御部31を中心に構成される。制御部31には、ベルトの型番に対応する規格値を入力するためのキーボード32と、各種のデータを格納しておくためのメモリ33と、ベルト張力計10の記憶部16に記憶されているデータを一覧表示するモニタ(データ表示部)34とが接続される。制御部31は、キーボード32で入力した規格値等を測定条件として設定する設定手段、設定された規格値をベルト張力計10に転送する転送手段、ベルト張力計10の記憶部16に記憶されているデータをパソコン30に取込むデータ取込手段としての機能を有する。
【0022】
次に、本実施形態におけるベルト張力計を用いたベルト張力測定手順について説明する。
【0023】
ベルト張力計10による測定に先立ち、
図4、5を参照して、パソコン30を用いた各種条件設定について説明する。まず、各種条件設定と、検査データの管理、編集及び保存するためのアプリケーションを起動する。アプリケーションを起動すると、
図4(a)に示すメイン画面がパソコン30のモニタ34に表示される。次に、パソコン30とベルト張力計10とをUSBケーブル40で接続し、ベルト張力計10のシートスイッチ12の電源(POWER)ボタン12pを操作することによりベルト張力計10をオン状態にする。
【0024】
メイン画面において、4Aは「データ取得」ボタンであり、USBケーブル40で接続されているベルト張力計10の記憶部16に保持されている測定結果を取得する。4Bは「測定結果表示エリア」であり、表示内容は、RecNo.、UnitNo.、Mass、Width、Span、SelNo.、DateTime、Tension(N)、Freq(Hz)、Lower、Upper、JdgType、JdgRsltである。ここで、RecNo.はデータの記録番号(1からの連番)を、UnitNo.は、後述する「端末データ設定」で設定するベルト張力計10に記録する端末識別番号を、Massは測定時の単位質量(gf/mm)を、Widthは測定時のベルト幅(mm/R)を、Spanは測定時のスパン長(mm)を、SelNo.は測定時にベルト張力計10で選択されていたSel番号、つまり測定条件番号(0〜39)を、DateTimeは測定時の時刻(yy/mm/dd hh:MM:ss)を、Tension(N)は測定した張力値を、Freq(Hz)は測定した周波数を、Lowerは測定時に判定した下限値を、Upperは測定時に判定した上限値を、JdgTypeは測定時の判定タイプ(N:張力値 Hz:周波数 --:判定なし)を、JdgRsltは判定時の判定結果(GOOD/HIGH/LOW,----:判定なし)を夫々示す。
【0025】
図4(a)に示すメイン画面において、4Cは「CSV出力」ボタンであり、4Bに表示されている測定結果をCSV形式のファイルに保存する。4Dは「USTM」ボタンであり、押下することにより、
図4(b)に示す設定画面に切り替わり、USTMエミュレーションを起動する。
【0026】
図4(b)に示す設定画面において、4Eは「測定結果エリア」であり、測定結果を表示する。表示内容は、No.、Tension(N)、Freq(Hz)、Judgeであり、No.はデータ番号(1からの連番)を、Tension(N)は取得した張力値を、Freq(Hz)は取得した周波数を、Judgeは取得した測定値の判定結果(GOOD/HIGH/LOW,----:判定なし)を夫々示す。
【0027】
図4(b)に示す設定画面において、4Fは「START」/「STOP」ボタンであり、測定結果の取得を開始又は停止する。4Gは「Force」/「Frequency」ラジオボタンであり、測定結果の判定タイプを設定する。ここでForceは張力値で判定する場合(張力表示モード)に用い、Frequencyは周波数で判定する場合(周波数表示モード)に用いる。4Hは「High Limit」/「Low Limit」テキストボックスであり、判定用の上下限値、すなわち、ベルトの型番に対応する規格値を0.0〜9999.0の間で設定する。なお、HighとLowともに0.0であった場合、判定は行われない。また、テキストボックス内が空であった場合には0.0とみなされる。4Iは「CSV出力」ボタンであり、4Eに表示されている内容をCSV形式のファイルに出力する。4Jは「閉じる」ボタンであり、設定画面を終了し、
図4(a)に示すメイン画面に戻る。
【0028】
次に、
図4(a)に示すメイン画面の「メニュー」から「オプション」を選択し、次に「時計関連」を選択する。この操作により
図5(a)に示す時刻設定画面が表示され、この時刻設定画面より、所定の時刻を入力するか、現在時刻にチェックをいれて「時刻設定」を押すと、設定された時刻がベルト張力計10に転送される。
【0029】
次に、
図4(a)に示すメイン画面の「メニュー」から「オプション」を選択し、次に「判定設定」を選択する。この操作により
図5(b)に示す判定設定画面が表示され、この判定設定画面がより判定の種別、すなわち、張力値で判定するか、周波数で判定するかを選択する。そして、予め設定した測定条件の中から判定した測定条件を1つ選び、そのSelNo.(測定条件番号)を選択する。判定データ配信ボタンをクリックすると、判定情報がベルト張力計10に転送される。なお、SelNo.は測定時にベルト張力計10で選択されるセレクト番号であり、各Sel番号の測定条件は、
図4(b)に示す設定画面でキーボード入力により入力するか、もしくはベルト張力計10のシートスィッチ12によっても入力する。各種設定を行った後は、ベルト張力計10のシートスイッチ12の電源(POWER)ボタン12pを押すことによりベルト張力計10をオフ状態にし、USBケーブル40を抜いてパソコン30とベルト張力計10との接続を解除する。
【0030】
なお、
図5(c)は端末データ設定画面であり、
図4(a)に示すメイン画面の「メニュー」から「オプション」を選択して「データ関連」タブの「端末データクリア」を押すと、ベルト張力計10の記憶部16に蓄積されている測定データをクリアすることができる。また、「データ関連」タブの端末番号ボックスで端末番号を選択し、「端末番号設定」を押すと、ベルト張力計10の端末番号を設定できる。
【0031】
次に、
図6により、現場におけるベルト張力計10による測定の際の手順について説明する。
図6は、ベルト張力計によって測定する基本的な流れを示すフローチャートである。ベルト張力の測定に先立し、質量(MASS)ボタン12m、ベルト幅(WIDTH)ボタン12w、ベルトスパン(SPAN)ボタン12s、セレクト(SELECT)ボタン12tを各々操作するとともに、テンキーを用いて、セレクト番号SelNo.、単位質量M、ベルト幅W及びスパン長さSを入力する。
【0032】
まず、ステップS11において、音波式マイク21のフレキアーム22に設けられたコネクタ部23を、ベルト張力計10本体に設けられたコネクタ部13に接続し、ステップS12に進む。ステップS12において、シートスイッチ12のPOWERボタン12pを操作することによりベルト張力計10をオンにし、ステップS13に進む。
【0033】
ステップS13において、セレクト番号を変更するか否かを判断する。セレクト番号を変更すると判断した場合にはステップS14に進み、変更しないと判断した場合にはステップS15に進む。ステップS14では、セレクトボタン12tを押し、次にテンキーを押すことによりセレクト番号を直接入力し、ステップS15に進む。
【0034】
ステップS15において、単位質量を入力するか否かを判断する。単位質量を入力すると判断した場合にはステップS16に進み、入力しないと判断した場合にはステップS17に進む。ステップS16において、質量ボタン12mを押し、テンキーを操作することによる直接入力、又は表示部11に表示される一覧表からベルトの型番Nを選択することにより単位質量を入力し、ステップS17に進む。記憶部16には、多数のベルトの型番Nに対応したベルトの単位質量が各々記憶されており、入力された型番Nに対応するベルトのベルト単位質量が得られる。
【0035】
ここで、単位質量を入力についてより詳しく説明する。ベルトの型番Nの入力は、質量ボタン12mを所定時間以上に渡って長押し、入力モードを型番入力モードに切り替えて行う。型番入力モードでは、表示部11に型番のリストが表示され、このリストの中から所望の型番を選択する。このときにテンキーの「8(UP)」、「2(DOWN)」は各々アップキー、ダウンキーとして機能し、これらのキーを操作することにより型番の選択を行う。なお、通常に質量(MASS)ボタン12mを押した場合には、従来どおりテンキーを用いて直接ベルトの単位質量を入力する。
【0036】
ステップS17において、ベルト幅を入力するか否かを判断する。ベルト幅を入力すると判断した場合にはステップS18に進み、入力しないと判断した場合にはステップS19に進む。ステップS18において、ベルト幅ボタン12wを押し、次にテンキーを押すことによりベルト幅値を入力し、ステップS19に進む。
【0037】
ステップS19において、スパン長さを入力するか否かを判断する。スパン長さを入力すると判断した場合にはステップS20に進み、入力しないと判断した場合にはステップS21に進む。ステップS20において、ベルトスパン(SPAN)ボタン12sを押し、次にテンキーを押すことによりベルトスパン長さ値を入力し、ステップS21に進む。
【0038】
次に、ステップS21において測定(MEASURE)ボタン12Mを押すことにより測定を開始する。測定ボタン12Mを押すとベルト張力計10はオートトリガーモードになり、以後の測定は、センサ部20からの信号を検知することにより自動的に開始される。測定は、音波式マイク21をベルトBの背面のスパン中央付近に接触しない程度に近づけて、ベルトBをはじいたときに発生する音波(振動音)を測定することにより行う。検出された音波信号は、周波数解析部14に入力され、ベルトの第1固有振動数fが抽出されシステムコントロール回路15に出力される。すなわち、周波数解析部14では、衝撃成分や高周波成分を含む信号から固有振動数を抽出する。
【0039】
システムコントロール回路15では、測定により検出されたベルト第1次固有振動数fと、入力されたベルトの型番に対応するベルト単位質量Mと、直接入力されたベルト幅W、ベルトスパン長さSの値から、張力計にセットされた演算式(T=4×M×W×S
2×f
2×10
-9)の式から導かれる。なお、このベルト演算式は、記憶部16に記憶されている。
【0040】
ステップS23では測定結果が表示される。ベルトの振動音を受けてから所定時間後に、測定値と判定結果が表示部11に表示される。
図4(b)に示す設定画面において張力表示モードを設定した場合には、
図7(a)に示すように測定値は張力値で示される。そして、測定値の右横に判定結果が示され、判定用の設定上限より高い場合にはHIGH、設定範囲内の場合にはGOOD、設定下限より低い場合にはLOWで判定結果が示される。
図7(a)では、測定値が判定用の設定上限より高いと判定されたため、HIGHが表示されている。なお、
図4(b)に示す設定画面において周波数表示モードを設定した場合には、表示部11には周波数が表示される。
【0041】
また、測定結果が表示された後に周波数/張力切替ボタン12Hが操作されると、表示部11の表示は、周波数表示モードに切り替えられる。張力表示モードと周波数表示モードとの間の切り替えは、周波数/張力切替ボタン12Hを操作する度に繰り返し切り替えることができる。
【0042】
更に、周波数/張力切替ボタン12Hを長押しすると、
図7(b)に示すように、上段部(RES)に測定張力値、その下段部(CAT)にはその型番の標準張力値(推奨値)が2段表示され、更に周波数/張力切替ボタン12Hを押すと上段部(RES)に測定周波数、その下段部(CAT)にはその型番の標準周波数(推奨値)が2段表示される。更に周波数/張力切替ボタン12Hを押すと、上段部(TEN)に測定張力値、その下段部(FREQ)には測定周波数が2段表示される。このように、周波数/張力切替ボタン12Hを長押しした後は、周波数/張力切替ボタン12Hを操作する度に、表示部11の表示を3種類の2段表示に繰り返し切り替えることができる。
【0043】
なお、ここでセレクトボタン12tを押すと、その測定時におけるセレクト番号SelNo.における、単位質量M、ベルト幅W及びスパン長さSが3段表示される。また、セレクトボタン12tを長押しすると、そのセレクト番号SelNo.における測定結果の記録が時系列に表示され、テンキーの「8(UP)」、「2(DOWN)」は各々アップキー、ダウンキーとして機能し、これらのキーを操作することにより時系列で表示されたデータを確認することができる。ここで、再度セレクトボタン12tを長押しすると元のセレクト画面に切り替わり、その状態でテンキーを押すと、押下されたテンキーの番号(セレクト番号SelNo.)における、単位質量M、ベルト幅W及びスパン長さSが3段表示される。そして、セレクトボタン12tを長押しすると、そのセレクト番号における測定結果の記録が時系列に表示される。これらの測定結果は、ベルト張力計10の記憶部16に保存されており、タイマ17により設定された時刻が測定結果と関連付けて記憶されていることにより、測定結果の記録が時系列に表示される。
【0044】
次に、
図8により、ベルト張力計10の記憶部16に保存されたデータをパソコンに取込み、パソコン30のモニタ34に一覧表示する手順について説明する。
【0045】
測定後のベルト張力計10とパソコン30とをUSBケーブル(接続手段)40によって接続し、上述したアプリケーションを起動する。アプリケーションを起動すると、
図4(a)に示すメイン画面がモニタ34に表示される。次に、
図5(b)に示す判定設定画面を表示し、所望のセレクト番号を選択したのちに、メイン画面においてデータ取得ボタン4Aをクリックする。この操作により、USBケーブル40で接続されているベルト張力計10の記憶部16に保持されている、選択したセレクト番号における測定結果を取得する。取得したデータは、
図8のように時系列に表示される。
【0046】
以上のように、本実施形態のベルト張力計によれば、ベルト張力計が測定結果判定手段を備えることにより、ベルト張力計が測定器としての機能だけではなく検査器としての機能を有するようになる。このため、測定結果が規格値を満たしているか否かの判定を、測定時に即座に、また容易に知ることが可能となり、ベルトの張力調整の有無の判断がしやすくなる。このため、測定結果が満足した値にない場合であっても、ベルト張力が予め設定した範囲内になるまで繰り返し調整し、その都度測定して判定結果を確認することによりベルト張力の調整ができ、使い勝手が向上する。また、パソコンが設定手段と転送手段を備えることにより、ベルト張力計での設定が煩雑となる規格値や他のベルト情報の設定が容易になる。
【0047】
また、ベルト張力計がタイマを備え、記憶手段が、ベルト張力算出手段により算出された張力値と、判定結果とを記憶すると共に、タイマにより設定された時刻を測定結果と関連付けて記憶することにより、ベルト張力計で測定値、測定時のパラメータ及び判定結果が時系列に記憶され、更にパソコン接続によりパソコンにデータ転送することで、データをパソコン上で時系列に確認できる。このため、検査データの管理、編集及び保存が容易となり、測定毎にノート等への記載が不要となる。これにより、測定現場にノートや規格値等が記載されたカタログ等を持ち込む必要が無くなり、現場にはベルト張力計のみ持ち込めばよくなる。そして、ベルト張力計自体は、専ら現場での測定と、測定値が規格値内に入っているかの確認のみとなり、現場での作業がシンプルになる。
【0048】
更に、ベルト張力計は、ベルト張力算出手段により算出された張力値と、計算式によって算出された基準値と、測定結果判定手段により判定された結果を表示する表示手段を備えるため、測定結果及び判定結果が容易に確認できるようになる。また、パソコンは、データを一覧表示するデータ表示部を備えるため、データ表示部に表示されたデータにより、データをパソコン上で時系列に確認でき、検査データの管理、編集及び保存が容易となる。
【0049】
なお、本実施形態では、センサ部に音波式センサを用いたものを例に説明を行なったが、センサ部に電磁式センサ、光学式センサ、接触式センサなどの各種センサを用いる場合においても可能である。また、本実施形態のベルト張力計のシートスイッチには、テンキーのみが配列されているが、型番がアルファベットやカタカナ、漢字などの文字を含む場合には、例えばこれらの文字に対応するキーを設けることも可能であり、従来携帯電話等で利用されているように、これらの文字を書くテンキーに割り当てて利用することもできる。更に、測定値が規格値外であった場合に、例えば警告音により警告する警告手段を備えてもよい。
【課題】測定により得られた結果が規格値を満たしているか否かの判断が容易であり、一連の測定後に測定結果をまとめて確認出来る、使い勝手が向上したベルト張力測定システムを提供する。
【解決手段】ベルト張力計10が測定結果判定手段(システムコントロール回路)15と、タイマ17を備え、記憶手段(記憶部)16が、ベルト張力算出手段(システムコントロール回路)15により算出された張力値と、判定結果とを記憶すると共に、タイマ17により設定された時刻を測定結果と関連付けて記憶する。また、パソコン30が、ベルトBの型番に対応する規格値を設定する設定手段(制御部)31と、設定された規格値をベルト張力計10に転送する転送手段(制御部)31と、接続手段によってベルト張力計10とパソコン30とが接続されたときに、記憶手段(記憶部)16に記憶されているデータをパソコンに取込むデータ取込手段(制御部)31を備える。