特許第5715338号(P5715338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715338
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ホスホナート化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/38 20060101AFI20150416BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20150416BHJP
   C05B 15/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   C07F9/38 ECSP
   C11D3/36
   C05B15/00
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-540750(P2009-540750)
(86)(22)【出願日】2007年12月11日
(65)【公表番号】特表2010-512372(P2010-512372A)
(43)【公表日】2010年4月22日
(86)【国際出願番号】EP2007063687
(87)【国際公開番号】WO2008071692
(87)【国際公開日】20080619
【審査請求日】2010年11月15日
(31)【優先権主張番号】06025516.3
(32)【優先日】2006年12月11日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508177138
【氏名又は名称】イタルマッチ ケミカルズ ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ペ・ノテ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・アッシュ・ジ・ヴァンブレー
(72)【発明者】
【氏名】アルベール・ドゥヴォー
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第1373858(GB,A)
【文献】 特開昭50−018422(JP,A)
【文献】 特開平09−120130(JP,A)
【文献】 特表2009−526755(JP,A)
【文献】 Tinctoria,Vol.84, No.3,p.57-64 (1987).
【文献】 RUSS. CHEM. BUL.,1999年,Vol.48,No.5,p.979-983
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式が
T−BまたはT−B2
であるホスホナート化合物。
式中、Bは、式:
−(CH2)3−N−(CH2PO(OH)2)2または−(CH2)2−N−(CH2PO(OH)2)2を有する部分を含むホスホナートであり;
かつここで、式T−BにおけるTは以下
ii) HOOC−CH2−N−;
(iii) HOOC−CH(CH3)−N−;
(IVi) HOOC−(CH2)2(COOH)CH−NH−
(Vi) HOOC−CH2−(HOOC)CH−N−;
(VIi) (HOOC)(CH2OH)(CH)−N−;
(VIIi) H56−O−;
(VIIIi) H3C−(CH211−S−;
(IXi) HOOC−CH2−S−;
(Xi) (HOOC)(NH2)(CH)−CH2−S−;および
(XIi) (HO)(H42)−N−;
からなる群から選択される部分であり、
式T−B2におけるTは以下:
【化1】
からなる群から選択される部分である
【請求項2】
以下の式:
Y−(CH2)3−N−(CH2PO(OH)2)2またはY−(CH2)2−N−(CH2PO(OH)2)2を有するホスホナートを、0℃から200℃の範囲の温度にて7またはそれよりも高いpHを有する水性媒体中において、請求項1において定義されるような反応パートナーTと反応させることによって請求項1に記載のホスホナート化合物を製造するための方法であって、
Yは、pKaが4と等しいかまたは4より小さい共役酸である置換基である、方法。
【請求項3】
温度が50℃から140℃の範囲内であり、pHが8から14の範囲内であり、pKaが1と等しいかまたは1より小さい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Yが、Cl、Br、I、HSO4、NO3、CH3SO3、p−トルエンスルホナートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
反応が、ヨウジドに対するT反応物のモル比が5000:1から1:1のアルカリ金属ヨウジドの存在下で行われる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載のホスホナート化合物を含む、分散剤、水処理剤またはスケール防止剤。
【請求項7】
請求項1に記載のホスホナート化合物を含む、医薬品または医薬品中間体。
【請求項8】
請求項1に記載のホスホナート化合物を含む洗剤。
【請求項9】
請求項1に記載のホスホナート化合物を含む二次石油採収剤。
【請求項10】
請求項1に記載のホスホナート化合物を含む肥料。
【請求項11】
請求項1に記載のホスホナート化合物を含む微量栄養素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定義された種類の新規ホスホナート化合物およびそのようなホスホナート化合物の可能な用途に関する。本発明化合物は、実際には、2つの部分(すなわち、反応性ホスホナート部分と、以下でより詳細に定義されるようなある種類の特定の反応パートナーの部分)を結合させる。この新規化合物は、多数の工業用途(例えば、分散、水処理、スケール防止、腐骨形成、金属イオン封鎖、医薬品および医薬品中間体、繊維品、洗剤、二次石油採収、繊維工業、製糖業およびビール工業、肥料および微量栄養素、ならびに金属処理)における使用が有益であると考えられる。
【背景技術】
【0002】
ホスホナート化合物は、一般に、以前から知られており、多数の商業的用途に使用されている/使用される。従って、予測され得るように、先行技術が十分に確立されており、かなり込み入っている。
【0003】
特許文献1には、鉱物粒子または水硬性バインダーペーストの水性懸濁液を流動化するための、少なくとも1つのホスホン酸アミノアルキレン基および少なくとも1つのポリアルコキシル化鎖を含む化合物の使用が記載されている。特許文献2には、同等の技術が公開されている。
【0004】
特許文献3には、一般的には1未満のpHでのマンニッヒ反応に従い、α,ω−アルキレンジアミンを水性媒体中でホルムアルデヒドおよび亜リン酸と反応させることによってN,N’−二置換メチレンホスホン酸を製造する方法が記載されている。非特許文献1には、シリカ表面上に共有結合したアミノホスホン酸を含有する改質シリカが公開されている。
【0005】
特許文献4には、アミノホスホン酸基(すなわち陽イオン性窒素に結合する1つまたは2ついずれかの陰イオン性メチレンホスホン酸基)を含有するデンプンエーテル誘導体が記載されている。このデンプン誘導体は、アミノホスホン酸試薬と一緒に選択された基を導入することによって増加され得る陽イオン特性または陰イオン特性を示すと言われている。このデンプン誘導体は、製紙工程において顔料の歩留り改良剤として有利に使用することができる。特許文献5は、製紙工程における使用に際して所望の顔料保持特性を示す、新規なN−(アルキル)−N−(2−ハロエチル)−アミノメチレンホスホン酸に関する。特許文献6には、ポリアミノモノコハク酸の金属錯体を含む漂白定着液が記載されている(ここで、ポリアミノモノコハク酸は、N−ホスホノメチル−N’−モノコハク酸であり得る)。
【0006】
しかしながら、公知のホスホナートは、所望の適用利益とはかかわりなく、媒体相溶性(compatibility)およびわずかに最適化された応用適性(suitability)を含む最小の、あるいはその適用に関連する二次的な、否定的側面(negatives)に影響を受ける可能性がある。従って、特に、性能の乱れ(distractions)および望ましくない干渉を同時に最小化しつつ増強された適用利益をもたらすような、適用テイラードの(application tailored)ホスホナート化合物を提供することの必要性が引き続き存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,879,445号
【特許文献2】WO94/08913
【特許文献3】米国特許第4,330,487号
【特許文献4】米国特許第4,260,738号
【特許文献5】米国特許第4,297,299号
【特許文献6】欧州特許第0772084号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zaitsev V.N.ら、Russian Chemical Bulletin(1999)、48(12)、2315−2320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主目的は、広範囲の選択された用途に適した新規ホスホナート化合物を提供することである。本発明の別の目的は、選択された反応パートナーから出発して容易でかつ効率的に合成され得る新規ホスホナート化合物を作り出すことである。本発明のさらに別の目的は、選択された適用利益の提供にテイラードのホスホナート化合物を与えるために、選択されたホスホナート部分を選択された反応パートナーと結合させることによって新規ホスホナート化合物を提供することをねらいとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述および他の利点は、選択される反応性ホスホナート部分および選択される反応パートナーを具現化し、かつそれらから出発して製造された新規なホスホナート化合物を用いて、今や達成することができる。
【0011】
用語「パーセント」または「%」は、本出願をとおして使用される場合、異なって定義されない限り「質量パーセント」または「質量%」を表す。また、用語「ホスホン酸」と「ホスホナート」とは、もちろん媒体で優勢なアルカリ性/酸性条件に依存するが交換可能に使用される。用語「反応性」ホスホナートは、単に、ホスホナート出発部分Bを用いると特許請求の範囲に記載されるホスホナート化合物を合成するのに使用できる容易性を強調するための意味を有するだけである。
【0012】
今や、多数の個々の種から選択される反応性ホスホナート部分および反応パートナーを含むホスホナート化合物が発見された。より詳細には、ここで本発明は、以下の一般式:
T−B
[式中、Bは、以下の式:
−X−N(W)(ZPO32
を有する部分を含むホスホナートであり、ここで、Xは場合によりC1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族基によって置換されるC2−C50の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖(該鎖および/または該基は、場合によりOH、COOH、F、OR’、およびSR’(ここで、R’は、C1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖である)部分によって置換される);および[A−O]x−A(ここで、Aは、C2−C9の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖であり、xは、1〜200の整数である)から選択され;
Zは、C1−C6のアルキレン鎖であり;
Mは、HおよびC1−C20の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖から選択され;
Wは、H、ZPO32および[V−N(K)]nKから選択され、ここで、Vは場合によりC1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族基によって置換されるC2−C50の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖(該鎖および/または該基は、場合によりOH、COOH、F、OR’またはSR’(ここで、R’は、C1−C12の直鎖、分枝鎖、環
状または芳香族の炭化水素鎖である)部分によって置換される);および[A−O]x−A(ここで、Aは、C2−C9の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖であり、xは、1〜200の整数である)から選択され;そして
Kは、ZPO32またはHであり、nは、0〜200の整数であり;
かつここで、Tは以下:
(i) MOOC−X−N(U)−;
(ii) MOOC−C(X22−N(U)−;
(iii) MOOC−X−S−;
(IVi) [X(HO)n'(N−U)n'n''−;
(Vi) U−N(U)−[X−N(U)]n'''−;
(VIi) D−S−;
(VIIIi) CN−;
(VIIIi) MOOC−X−O−;
(IXi) MOOC−C(X22−O−;
(Xi) NHR’’−;および
(XIi) (DCO)2−N−;
からなる群から選択される部分であり、ここで、M、Z、WおよびXは上に定義されるとおりであり;Uは、直鎖、分枝鎖、環状または芳香族のC1−C12炭化水素鎖、HおよびX−N(W)(ZPO32)から選択され;X2は、独立してH、場合によりC1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族基によって置換される直鎖、分枝鎖、環状または芳香族のC1−C20の炭化水素鎖(場合によりOH、COOH、R’O、R’Sおよび/またはNH2部分によって置換される)から選択され;n’、n’’およびn’’’は独立して1〜100の整数から選択され;DおよびR’’は独立して場合によりC1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族基によって置換されるC1−C50の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖(該鎖および/または該基は、場合によりOH、COOH、F、OR’およびSR’(ここで、R’は、C1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖である)部分によって置換される)から選択され;およびA’O−[A−O]x−A(ここで、Aは、C2−C9の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖であり、xは、1〜200の整数であり、そしてA’は場合によりC1−C12の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族基によって置換されるC1−C50の直鎖、分枝鎖、環状または芳香族の炭化水素鎖(該鎖および/または該基は、場合によりOH、COOH、F、OR’およびSR’(ここで、R’は、上記の意味を有する)部分によって置換されてもよい)から選択され;そしてDもまたHと表わされることができるが;
以下の化合物は除外される:
エチレンジアミン−N−ホスホノメチル−N’−モノコハク酸、1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−ホスホノメチル−N’−モノコハク酸、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジアミノ−N−ホスホノメチル−N’−モノコハク酸、1,2−プロピレンジアミン−N−ホスホノメチル−N’−モノコハク酸、1,3−プロピレンジアミン−N−ホスホノメチル−N’モノコハク酸、およびエチレン−ビス(オキシエチレンニトリロ)−N−ホスホノメチル−N’−モノコハク酸]
の新規なホスホナート化合物に関する。
【0013】
本発明の新規ホスホナート化合物は、実際に具現化され、1つの実施において、以下の一般式:
Y−X−N(W)(ZPO32
に対応するホスホナートを、(i)〜(XIi)で番号付けされた部分よりなる群から選択される反応パートナーと反応させることによって製造され得る。ホスホナート化合物におけるYは、pKaが4.0と等しいかまたは4.0より小さい、好ましくは1.0と等しいかまたは1.0より小さい共役酸である置換基を表す。
【0014】
pKa値は、以下の式:
pKa=−log10Ka
として表され得るよく知られた変数であって、ここで、Kaは、熱力学的酸解離定数を示す。
【0015】
全ての酸物質のpKa値は、文献によって知られているかまたは必要に応じて簡単に測定することができる。
【0016】
Yは、好ましくは、Cl、Br、I、HSO4、NO3、CH3SO3、およびp−トルエンスルホン酸ならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0017】
X、R’、AおよびVの定義において、Cx−Cyの直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖は、好ましくはそれぞれの鎖長を有する直鎖または分枝鎖のアルカン−ジイルである。環状の炭化水素鎖は、好ましくはC3−C10−シクロアルカン−ジイルである。芳香族の炭化水素鎖は、好ましくはC6−C12−アレーン−ジイルである。前述の炭化水素鎖が置換される場合、好ましくはそれぞれの鎖長の直鎖または分枝鎖のアルキルを有するC3−C10−シクロアルキル、またはC6−C12−アリールである。これら全ての基は、それぞれの記号を用いて掲記されている基でさらに置換され得る。
【0018】
さらに特に好ましいアルカン部分の鎖長が、特定の記号を用いて掲記されている。環状部分、シクロヘキサン−ジイルの場合にはシクロヘキサン部分、特にシクロヘキサン−1,4−ジイル部分がより好ましい。芳香族部分は、好ましくは、フェニレンまたはフェニルであり、場合に応じて、フェニレンについては、1,4−フェニレンが特に好ましい。
【0019】
ホスホナートBの反応パートナーの個々の部分は、以下のような種から有利に選択され得る:
部分 好ましい 最も好ましい
X C2−C302−C12
[A−O]x−A [A−O]x−A
V C2−C302−C12
[A−O]x−A [A−O]x−A
ここで、XおよびVの両方は独立して、
A C2−C62−C4
x 1−100 1−100
Z C1−C3
M H、C1−C6 H、C1−C4
n 1−100 1−25
【0020】
反応パートナーTの個々の種の特定の例は、通常、以下のラジカルとして列挙される:(i) 式MOOC−X−N(U)−のアミノ酸;
(ii) 式MOOC−C(X22−N(U)−のα−アミノ酸;
(iii) 式MOOC−X−S−のチオ酸;
(IVi) 式[X(HO)n'(N−U)n'n''−のアミノアルコール(化合したポリ種および/またはモノ種を含む);
(Vi) 式U−N(U)−[X−N(U)]n'''−に対応するジアミンおよびポリアミン;
(VIi) 式D−S−のチオール;
(VIIi) 式CN−のシアン化物;
(VIIIi) 式MOOC−X−O−のヒドロキシ酸;
(IXi) 式MOOC−C(X22−O−のα−ヒドロキシ酸;
(Xi) 式NHR’’−のアミン;および
(XIi) 式(DCO)2−N−のイミド。
【0021】
(ii)の好ましい種において、X2は、以下の部分;SR’、OR’、COOH、NH2およびOHのいずれか1つまたはそれ以上によって置換され得る。同様の好ましいα−アミノ酸の例は、グルタミン酸、メチオニン、リジンおよびトレオニンである。(XIi)におけるDは、独立して選択され得る。
【0022】
反応パートナーTにおける個々の部分は、ホスホナートBの反応パートナーに関して列挙されている、好ましい種およびもっとも好ましい種を含めて、同様に与えられた部分から有利に選択され得る。これは、特に、パートナーTの式(e)におけるすべての構成要素に対して適用される、さらなる(Bに対する)パートナーTの要素は、以下の意味を有する。
【0023】
部分 好ましい 最も好ましい
2 H、C1−C12 H、C1−C10
n’、n’’ 1−50 1−25
n’’’ 1−100 1−50
R’’ C1−C301−C16
A’O−[A−O]x−A A’O−[A−O]x−A
D C1−C30、H C1−C16、H
A’O−[A−O]x−A A’O−[A−O]x−A
ここで、R’’およびDの両方は独立して、
A C2−C62−C4
x 1−100 1−100
A’ C1−C30
W ZPO32
U H、C1−C8、 好ましいものと同様
−X−N(ZPO32)(ここで、XはC2−C12であり、ZはC1−C3である)
【0024】
その結果、反応パートナーTおよび前駆体の適切な種の例は、以下に掲記される:
A 種 前駆体
(i) 6−アミノヘキサン酸 H(*)
(ii) アスパラギン酸;リジン H
(iii) チオグリコール酸 H、アルカリ金属
(IVi) ポリ(アミノアルコール) H
ジプロパノールアミン H
2−(2−アミノエトキシ)エタノール H
(Vi) ポリ(エチレンイミン) H
ポリアリルアミン H
(VIi) チオール、チオール酸 H、アルカリ金属
(VIIi) シアン化物 H、アルカリ金属
(VIIIi) ヒドロキシ酸 H
(IXi) α−ヒドロキシ酸 H
(Xi) アミン H
(XIi) イミド H、アルカリ金属

(*) 対応するラクタムが使用される場合を除く。
【0025】
(Vi)におけるアミン部分は、直鎖ポリエチレンイミンのように炭化水素鎖中に組み込まれていてもよく、またはポリアリルアミンにおけるようにアルキル鎖に単結合を介して結合されていてもよく、または分枝ポリエチレンイミンのように両方の構造の混合であってもよい。同様のことが、(IVi)における窒素および酸素に当てはまる。特に、OHとして確認される酸素は、炭化水素鎖の一部であり得るか、単結合を介してその鎖に結合され得るか、または両方の構造の混合であり得る。
【0026】
反応パートナーTの炭化水素部分は、ノルマル種および分枝種を含んでいてもよく、それらによって表されてもよい。例として、用語「ブチル」は、公知の異性体のいずれか一つを表し得、例えば、n−ブチル;イソ−ブチル;sec−ブチル;およびt−ブチルを表し得る。同じように、光学炭素原子を含むパートナーTの定義は、異性体のいずれか一つ(すなわち、D種、L種、D,L種およびそれらの組み合わせ)をいう。
【0027】
本発明の一つの側面において、反応パートナーTの好ましい種は、(i);(ii);(IVi);(Vi);(Xi)および(XIi)の群から選択され得る。同様の好ましい種の例は、以下によって表される:
(i)カプロラクタムまたは6−アミノヘキサン酸;2−ピロリドンまたは4−アミノブタン酸;およびラウリルラクタムまたは12−アミノドデカン酸;
(ii)グルタミン酸;メチオニン;リジン;アスパラギン酸;フェニルアラニン;グリシン;およびスレオニン;
(IVi)2−エタノールアミン;6−アミノヘキサノール;4−アミノブタノール;ジ−(2−エタノールアミン);ジプロパノールアミン;2−(2−アミノエトキシ)エタノール;および3−プロパノールアミン;
(Vi)ジアミノトルエン;1,6−ヘキサメチレンジアミン;1,4−ブタンジアミン;1,2−エチレンジアミン;直鎖または分枝鎖のポリエチレンイミン;およびポリアリルアミン;
(Xi)メチルアミン;エチルアミン;プロピルアミン;ブチルアミン;ヘキシルアミン;ヘプチルアミン;オクチルアミン;ノニルアミン;デシルアミン;ドデシルアミン;アニリン;および直鎖種または分枝鎖種を含むC12−C22脂肪性アミン;および
(XIi)フタルイミド;スクシンイミド;およびマレイミド。
【0028】
本発明の別の側面において、反応性パートナーTの好ましい種は、(iii);(VIi);(VIIIi);および(IXi)の群から選択され得る。同様の好ましい種の例は、以下によって表される:
(iii)チオグリコール酸;およびシステイン;
(VIi)メチルチオール;エチルチオール;プロピルチオール;ペンチルチオール;ヘキシルチオール;オクチルチオール;チオフェノール;チオナフトール;デシルチオール;およびドデシルチオール;
(VIIIi)3−ヒドロキシプロパン酸;4−ヒドロキシブタン酸;5−ヒドロキシペンタン酸;および2−ヒドロキシ酢酸;ならびに、
(IXi)酒石酸;ヒドロキシコハク酸;およびα−ヒドロキシイソ酪酸。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、化合物において、
(i)基TにおけるXは、CH(COOH)−CH2ではなく、
かつ、化合物において、
(ii)CX22は、−CH(CH2−COOH)−ではない。
【0030】
本発明の特に好ましい実施形態において、基(i)は、以下の基:
MOOC−X’−N(U)− (i')
であり、ここで、
X’は、CH2−CH2−、−CH(CH3)−CH2−、−(CH23−、−(CH25−または−(CH211−であり、
MおよびUは、上記で与えられる意味を有し;
そして/または、
基(ii)は、以下の基:
MOOC−C(X2’)2−N(U)− (ii')
であり、ここで、
−C(CX2'2−は、−CH2−、−CH(CH3)−、−CH(CH(CH32)−、−CH(CH2−CH(CH32)−、−CH(CH(CH3)(C25))−、−CH(CH2−CH2−S−CH3)−、−CH(CH2OH)−、−CH(CH(OH)−CH3)−、−CH(CH2−SH)−、−CH(CH2−CH2−COOH)−または−CH(CH2−CH2−CH2−CH2−NH2)−であり、そして
MおよびUは、上記で与えられる意味を有する。
【0031】
本発明のホスホナート化合物は、関連する分野において型どおりに利用可能な従来の手段を用いて製造され得る。一つのアプローチにおいて、反応性ホスホナートおよび反応パートナーは、水性媒体中で、両種の化学量論的割合を、それによって必要な置換度を考慮して、加えることによって結合させる。本発明のホスホナート化合物の製造方法は、以下の一般式:Y−X−N(W)(ZPO32)を有するホスホナート化合物(ここで、Yは、pKaが4と等しいかまたは4より小さい、好ましくはpKaが1と等しいかまたは1より小さい共役酸である置換基である)を、一般には0℃よりも高い温度にて、通常10℃から200℃、好ましくは50℃から140℃の範囲の温度にて、7またはそれよりも高いpH、しばしば8〜14の範囲のpHを有する水性媒体中において、(i)〜(XIi)の群から選択される反応物と反応させることを含む。適切な圧力抑制に供することを条件に、例えば標準圧力容器を用いてより高い反応温度を使用することが可能である。pH値は、その反応温度にて反応媒体中で測定される。好ましい実施において、製造方法は、アルカリ金属ヨウジド(例えば、ヨウ化物に対するT部分のモル比は、5000:1から1:1の範囲内であるように)の存在下で行われる。ヨウ素イオンは触媒として作用し、それによってB部分と反応パートナーTとの反応を促進する。最小レベルのヨウ素イオンの存在によって、(例えば、対応する塩素構造と比較して)より反応性の誘導体のその場での形成がもたらされる。
【0032】
ホスホナートの回収は、好ましくは、当業者によって自体公知の方法によって行われる。例えば、遊離ホスホン酸は、例えば濃塩酸を用いた反応混合物の酸性化によって沈澱し、濾過され、洗浄され、そして乾燥され得る。さらなる精製は、例えば再結晶化またはクロマトグラフィー法によって行われる。
【0033】
本発明のホスホナートT−Bは、好ましくは、化学工業および製薬工業、繊維工業、石油工業、製紙工業、製糖業、ビール工業、農薬工業および農業において使用される。
好ましい使用は、分散剤、水処理剤、スケール防止剤、医薬品および医薬品中間体、洗剤、二次石油採収剤、肥料ならびに微量栄養素(植物用)としての使用である。
本発明のホスホナート化合物は、実施例IからXXを用いて説明される。その趣旨で、ホスホナート部分B前駆体を、反応パートナーT前駆体と以下のように反応させる。
【実施例】
【0034】
(ポリアミン)
(実施例I)
96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)146.65g(0.50モル)を、100分間にわたる攪拌下で35℃と40℃との間の温度を維持しながら、50%水酸化ナトリウム160.8g(2.01モル)と水100gとともに、直鎖ポリエチレンイミン(Mw=423、−CH2−CH2−NH2単位を基準に0.66モル)29.25gの混合物に加えた。添加が完了したとき、この混合物を7時間加熱還流した。この粗生成物の31P NMR分析は、7%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)(HOPIBMPA)とともに、92%のポリマー結合プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0035】
(実施例II)
96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)146.65g(0.50モル)を、100分間にわたる攪拌下で35℃と40℃との間の温度を維持しながら、50%水酸化ナトリウム160.8g(2.01モル)と水100gとともに、直鎖ポリエチレンイミン(Mw=423、−CH2−CH2−NH2単位を基準に0.44モル)19.5gの混合物に加えた。添加が完了したとき、この混合物を7時間加熱還流した。この粗生成物の31P NMR分析は、5%のヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)(HOPIBMPA)とともに、93%のポリマー結合プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0036】
(アミノ酸)
(実施例III)
グリシン7.51g(0.1モル)を、ヨウ化カリウム1.9g(0.011モル)と50%水酸化ナトリウム8g(0.1モル)と水30mlとともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)58.65g(0.2モル)を50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)および水100mlと冷却下で混合することによって、第2溶液を調製した。これら2種類の溶液を、10℃の温度に制御しながら、攪拌下で一緒に混合した。別の50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)をこの混合物に加え、攪拌下で5時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、60%のグリシンN,N−ビス(プロピルイミノビス[メチレンホスホン酸])および12.3%の対応するモノ付加物を示した。
【0037】
(実施例IV)
グリシン15.02g(0.2モル)を、ヨウ化カリウム2.05g(0.012モル)と50%水酸化ナトリウム16g(0.2モル)と水30mlとともに混合した(溶液1)。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)58.65g(0.2モル)を50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)および水100mlと冷却下で混合することによって、第2溶液を調製した。これら2種類の溶液を、10℃の温度に制御しながら、攪拌下で混合した。別の50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)をこの混合物に加え、攪拌下で5時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、43.5%のグリシンN,N−ビス(プロピルイミノビス[メチレンホスホン酸])および44.5%の対応するモノ付加物を示した。
【0038】
(実施例V)
D,L−アラニン35.6g(0.4モル)を、50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)と水40mlとともに、10℃の冷却下で混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)117.3g(0.4モル)を、水150mlおよび100ml容量に水で希釈した50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに10℃で混合した(溶液1)。水300ml中に50%水酸化ナトリウム120g(1.50モル)を希釈することによって、別の溶液を調製した(溶液2)。溶液1および溶液2を、10℃にて温度を制御しながら、D,L−アラニン溶液に攪拌下で同時に添加した。反応混合物を、80℃と100℃との間で6時間さらに加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、72.6%のD,L−アラニンN−[プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)];16.2%の対応するジ付加物および9.2%w/wの3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0039】
(実施例VI)
β−アラニン44.5g(0.5モル)を、水50mlと50%水酸化ナトリウム40g(0.5モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)146.61g(0.5モル)を、水150mlと50%水酸化ナトリウム80g(1モル)とともに、10℃の冷却下で混合した。このβ−アラニン溶液を、攪拌下でかつ10℃の冷却下で、3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)に加えた。別の50%水酸化ナトリウム80g(1モル)およびヨウ化カリウム2g(0.012モル)をこの混合物に加え、攪拌下で4時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、54.8%w/wのβ−アラニンN,N−ビス[プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)];43.1%の対応するモノ付加物および2.1%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0040】
(実施例VII)
β−アラニン26.7g(0.3モル)を、水35mlと50%水酸化ナトリウム24g(0.3モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)175.98g(0.6モル)を、水250mlと50%水酸化ナトリウム96g(1.2モル)とともに、10℃の冷却下で混合した。このβ−アラニン溶液を、攪拌下でかつ10℃の冷却下で3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)に加えた。別の50%水酸化ナトリウム96g(1.2モル)をこの混合物に加え、攪拌下で6時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、80.6%w/wのβ−アラニンN,N−ビス[プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)];6.7%の対応するモノ付加物および3.7%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0041】
(実施例VIII)
グルタミン酸58.85g(0.4モル)を、水40mlと50%水酸化ナトリウム64g(0.8モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)117.3g(0.4モルを、水150mlと50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに、10℃の冷却下で混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム120g(1.5モル)を水で希釈して300ml溶液を調製した(溶液2)。溶液1および溶液2を、10℃の攪拌下でグルタミン酸溶液に同時に添加した。この混合物を、攪拌下で6時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、8.7%w/wのグルタミン酸N,N−ビス[プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)];72.8%の対応するモノ付加物および12.9%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0042】
(実施例IX)
アスパラギン酸53.24g(0.4モル)を、水50mlと50%水酸化ナトリウム64g(0.8モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)117.32g(0.4モル)を、水150mlと50%水酸化ナトリウム64g(0.8モル)とともに、10℃の冷却下で混合した。L−アスパラギン酸溶液を、攪拌下でかつ10℃の冷却下で、その3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)溶液に加えた。添加の最後に、別の50%水酸化ナトリウム64g(0.8モル)およびヨウ化カリウム2g(0.012モル)をこの反応混合物に加えた。次いで、この混合物を攪拌下で9時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、14.5%w/wのアスパラギン酸N,N−ビス[プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)];76.9%の対応するモノ付加物および4.6%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0043】
(実施例X)
アスパラギン酸39.93g(0.3モル)を、水40mlと50%水酸化ナトリウム48g(0.6モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)175.9g(0.6モル)を、水230mlと50%水酸化ナトリウム96g(1.2モル)とともに、10℃の冷却下で混合した。L−アスパラギン酸溶液を、攪拌下でかつ10℃の冷却下で、その3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)溶液に加えた。ヨウ化カリウム2g(0.012モル)とともに別の50%水酸化ナトリウム96g(1.2モル)をこの反応混合物に加え、次いで攪拌下で5時間、100℃に加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、51.5%w/wのアスパラギン酸N,N−ビス[プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)];25.3%の対応するモノ付加物および7.2%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0044】
(実施例XI)
グリシン7.51g(0.1モル)を、水30mlと50%水酸化ナトリウム8g(0.1モル)とともに混合した。96%純度の2−クロロエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)55.7g(0.2モル)を、水150mlと50%水酸化ナトリウム15g(0.1875モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム53g(0.6625モル)を、110ml容量に水で希釈した(溶液2)。溶液1および溶液2を、攪拌下10℃にてグリシン溶液に加えた。反応混合物を、90℃と100℃との間で4時間さらに加熱した。この粗反応混合物の31P NMR分析は、74%のグリシンN,N−ビス[エチルイミノビス(メチレンホスホン酸)];7.1%の対応するモノ付加物および4.8%の2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0045】
(実施例XII)
D,L−アラニン17.8g(0.2モル)を、水20mlと混合した。96%純度の2−クロロエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)55.7g(0.2モル)を、水200mlと混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム96g(1.2モル)を、水250mlと混合した(溶液2)。溶液1および溶液2を、10℃にてアラニン懸濁液に加えた。この反応混合物を、55℃で2時間加熱した。この粗反応混合物の31P NMR分析は、79.3%のD,L−アラニンN−エチルイミノビス(メチレンホスホン酸);9.8%の対応するジ付加物および4.2%の2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0046】
(実施例XIII)
L−セリン21.02g(0.2モル)を、水50gと混合した。2−クロロエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)55.7g(0.2モル)を、水150mlと50%水酸化ナトリウム15g(0.1875モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム69g(0.8625モル)を、水に100mlに希釈した(溶液2)。溶液1および溶液2を、攪拌下10℃にてL−セリン懸濁液に加えた。この反応混合物を、95℃で4時間さらに加熱した。この粗反応混合物の31P NMR分析は、81.1%のセリンN−エチルイミノビス(メチレンホスホン酸)および7.9%の対応するジ付加物を示した。
【0047】
(アルコール)
(実施例XIV)
フェノール18.8g(0.2モル)を、水100mlと50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレ
ンホスホン酸)58.65g(0.2モル)を、水100mlと50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに10℃で冷却下で混合した。このフェノール溶液を、3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)溶液に、攪拌下10℃にて徐々に加えた。さらなる50%水酸化ナトリウム24g(0.3モル)をこの反応混合物に加えて、100℃にて6時間加熱した。冷却時、濃塩化水素酸80mlの添加によって、誘導した3−フェノキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を沈殿させた。濾過し、洗浄し、乾燥した後、31P NMR分析により、生成物が同定確認され、98%w/wの純度を示した。単離生成物の収率は、65%であった。
【0048】
(チオール)
(実施例XV)
ドデシルチオール40.48g(0.2モル)を、エタノール150ml、水50mlおよび50%水酸化ナトリウム16g(0.2モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)58.65g(0.2モル)を、水100mlと50%水酸化ナトリウム16g(0.2モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム48g(0.6モル)を水と混合して、70mlの溶液を得た(溶液2)。溶液1および溶液2を、攪拌下65℃と75℃との間でチオール溶液に同時に加えた。反応混合物を、80℃で2時間さらに加熱した。冷却時、濃塩酸66mlの添加によって、誘導した3−ドデシルチオプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を沈殿させた。濾過し、洗浄し、乾燥した後、31P NMR分析により、生成物が同定確認され、15%のドデシルチオールとともに85%w/wの純度を示した。
【0049】
(実施例XVI)
ドデシルチオール40.48g(0.2モル)をエタノール150ml、水50mlおよび50%水酸化ナトリウム16g(0.2モル)とともに混合した。96%純度の2−クロロエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)55.7g(0.2モル)を、水75mlと50%水酸化ナトリウム15g(0.1875モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム49g(0.6125モル)を水と混合して、75mlの溶液を得た(溶液2)。溶液1および溶液2を、攪拌下60℃と70℃との間でチオール溶液に同時に加えた。反応混合物を、80℃で1時間さらに加熱した。冷却時、濃塩化水素酸を使用して酸性化することによって、誘導した2−ドデシルチオエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)を沈殿させた。濾過し、洗浄し、乾燥した後、31P NMR分析により、生成物が同定確認されし、94%w/wの純度を示した。
【0050】
(チオ酸)
(実施例XVII)
チオグリコール酸18.42g(0.2モル)を、水20mlと50%水酸化ナトリウム16g(0.2モル)とともに混合した。96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)58.65g(0.2モル)を、水100mlと50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した。このチオグリコール酸溶液を、攪拌下10℃にて3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)溶液に加えた。さらなる50%水酸化ナトリウム52g(0.65モル)をこの反応混合物に加えて、95℃に5時間加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、96%のチオグリコール酸S−プロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)および4%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0051】
(実施例XVIII)
チオグリコール酸36.85g(0.4モル)を、水40mlと50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに混合した。96%純度の2−クロロエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)114.4g(0.4モル)を、水150mlと50%水酸化ナトリウ
ム30g(0.375モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム146g(1.825モル)を、250ml容量に水で希釈した(溶液2)。溶液1および溶液2を、攪拌下10℃にてチオグリコール酸溶液に同時に加えた。この反応混合物を、65℃に4時間加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、93%のチオグリコール酸S−エチルイミノビス(メチレンホスホン酸)および5%の2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0052】
(実施例XIX)
L−システイン24.23g(0.2モル)を、水25mlと50%水酸化ナトリウム32g(0.4モル)とともに混合した。96%純度の2−クロロエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)55.7g(0.2モル)を、水75mlと50%水酸化ナトリウム15g(0.1875モル)とともに、攪拌下10℃にて混合した(溶液1)。50%水酸化ナトリウム65g(0.8125モル)を、全容量200mlに水で希釈した(溶液2)。溶液1および溶液2を、10℃にて十分に攪拌しながらL−システイン溶液に加えた。次いでこの反応混合物を、55℃にて2時間加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、95%のシステインS−エチルイミノビス(メチレンホスホン酸)および5%の2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0053】
(アルカノールアミン)
(実施例XX)
エタノールアミン15.27g(0.25モル)を、水10mlと混合した。10℃にて、96%純度の3−クロロプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)146.65g(0.5モル)を、50%水酸化ナトリウム80g(1モル)とともにエタノールアミン溶液に加えた。別の50%水酸化ナトリウム80g(1モル)を、10℃にてヨウ化カリウム2g(0.012モル)とともに加えた。次いでこの反応混合物を、75℃にて6時間加熱した。この粗生成物の31P NMR分析は、8.8%の2−(3−イミノビス[メチレンホスホン酸]アミノプロピル)ヒドロキシエタン;71.7%の2−ビス(3−イミノビス[メチレンホスホン酸]アミノプロピル)ヒドロキシエタンおよび4.1%の3−ヒドロキシプロピルイミノビス(メチレンホスホン酸)を示した。
【0054】
これらの実施例は本発明の範囲を例証するものであって、新規なホスホナート化合物を非常に良好な収率および純度で容易に製造できることもまた示している。