(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715425
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】光ネットワークの障害監視検出装置、方法、プログラム及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/071 20130101AFI20150416BHJP
H04L 12/44 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
H04B9/00 171
H04L12/44 200
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-11627(P2011-11627)
(22)【出願日】2011年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-156612(P2012-156612A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】511020689
【氏名又は名称】株式会社ネットステップ
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100158229
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】西出 誠
(72)【発明者】
【氏名】内藤 克浩
【審査官】
川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−221517(JP,A)
【文献】
特開2007−205967(JP,A)
【文献】
特開2008−124573(JP,A)
【文献】
特開2007−071573(JP,A)
【文献】
特開2000−321170(JP,A)
【文献】
特開2008−003068(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/101001(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0190921(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0317462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00 − 10/90
H04J 14/00 − 14/08
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集部と、
光芯線、前記光芯線を分岐するカプラ、前記光芯線を束ねるテープ、前記テープや前記光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、前記多芯光ケーブルの延長や前記カプラの格納や加入者宅へ前記光芯線を引出すクロージャ、前記光加入者終端装置、前記光加入者ネットワーク装置の光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部と、
前記状態収集部で収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知部と、
前記状態収集部で収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態と、前記伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する前記光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する前記光芯線の抽出を行う障害箇所特定部と、
を備えたことを特徴とする障害監視検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の障害監視検出装置において、
前記状態収集部は、前記光加入者終端装置から全ての前記光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集すること、
を特徴とする障害監視検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の障害監視検出装置において、
前記障害検知部は、同一の前記多芯光ケーブルを経由している前記光加入者ネットワーク装置の状態が複数台同時にオフラインとなった場合に光ネットワーク障害が発生したと判定すること、
を特徴とする障害監視検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の障害監視検出装置において、
前記障害箇所特定部は、前記光加入者終端装置から前記カプラで分岐して複数の前記光加入者ネットワーク装置を結ぶ前記光芯線の経路で、カプラ配下の全ての前記光加入者ネットワーク装置の障害が検知された場合に、前記カプラに接続されている光加入者終端装置側である上流の前記光芯線、又は、前記カプラに接続されている光加入者ネットワーク装置側である下流の全ての前記光芯線が、障害のある前記光芯線であると判定すること、
を特徴とする障害監視検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の障害監視検出装置において、
前記障害箇所特定部は、複数の前記光芯線の経路で障害のある前記光芯線が判定された場合に、それぞれの前記光芯線の経路で障害のある前記光芯線が全て重複している範囲の前記多芯光ケーブル内に障害箇所があると特定すること、
を特徴とする障害監視検出装置。
【請求項6】
請求項5記載の障害監視検出装置において、
前記障害箇所特定部は、障害箇所がある範囲が特定された場合に、末端に前記光加入者ネットワーク装置が無い未使用の前記光芯線や、障害検知以前よりオフラインだった前記光加入者ネットワーク装置しかない前記光芯線は含めずに、前記特定された範囲内の前記多芯光ケーブル毎に、障害のある前記光芯線が経由する前記テープ内の前記光芯線に障害のある割合を障害光芯線率(障害光芯線の数÷障害光芯線を含むテープ内の光芯線の数)として算出し、前記障害光芯線率が高い順に優先順位をつけて障害箇所を特定すること、
を特徴とする障害監視検出装置。
【請求項7】
請求項5記載の障害監視検出装置において、
前記障害箇所特定部は、障害箇所のある範囲が特定された場合に、その範囲を経由する障害のある前記光芯線の内、一番遠くまで前記カプラを経由せずに配線されている前記光芯線を光パルス試験機での測定用に抽出すること、
を特徴とする障害監視検出装置。
【請求項8】
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集ステップと、
光芯線、前記光芯線を分岐するカプラ、前記光芯線を束ねるテープ、前記テープや前記光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、前記多芯光ケーブルの延長や前記カプラの格納や加入者宅へ前記光芯線を引出すクロージャ、前記光加入者終端装置、前記光加入者ネットワーク装置の光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部から情報を読み出すステップと、
前記状態収集ステップで収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知ステップと、
前記状態収集ステップで収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態と、前記伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する前記光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する光芯線の抽出を行う障害箇所特定ステップと、
を備えたことを特徴とする障害監視検出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集ステップと、
光芯線、前記光芯線を分岐するカプラ、前記光芯線を束ねるテープ、前記テープや前記光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、前記多芯光ケーブルの延長や前記カプラの格納や加入者宅へ前記光芯線を引出すクロージャ、前記光加入者終端装置、前記光加入者ネットワーク装置の光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部から情報を読み出すステップと、
前記状態収集ステップで収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知ステップと、
前記状態収集ステップで収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態と、前記伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する前記光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する光芯線の抽出を行う障害箇所特定ステップと、
を実行させることを特徴とする障害監視検出プログラム。
【請求項10】
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集部と、
光芯線、前記光芯線を分岐するカプラ、前記光芯線を束ねるテープ、前記テープや前記光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、前記多芯光ケーブルの延長や前記カプラの格納や加入者宅へ前記光芯線を引出すクロージャ、前記光加入者終端装置、前記光加入者ネットワーク装置の光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部と、
前記状態収集部で収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知部と、
前記状態収集部で収集した前記光加入者ネットワーク装置の状態と、前記伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する前記光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する前期光芯線の抽出を行う障害箇所特定部と、
を備えたことを特徴とする障害監視検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用側に設置される光回線終端装置及び局側に設置される光回線終端装置等から得られる光芯線に関する障害情報を収集することにより、光ネットワーク上の障害箇所を特定する光ネットワークの障害監視検出装置、方法、プログラム及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを利用する光ネットワークは、インターネット接続だけでなく、ビデオオンデマンド、プライマリー電話など様々な場面で利用されており、今後の急速な普及が見込まれる技術である。光ネットワークのネットワーク構成としては、事業者側の局に設けた1台の光加入者終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と光加入者ネットワーク装置(ONU:Optical Network Unit)を直接1本の光ケーブルで結ぶ占有型と1本のケーブルを途中で光カプラにより複数に分岐させ複数の光加入者ネットワーク装置と結ぶ共有型があり、その中でも光芯線の敷設にかかるコストが低い共有型のPON(Passive Optical Network)方式が主流となっている。(非特許文献1等参照)。
【0003】
通信サービスを実現するためには、多数の光芯線を敷設する必要があるため、一般には多数の光芯線をテープと呼ばれる単位にグループ化し、複数のテープとケーブル敷設用のワイヤーなどを含めた多芯光ケーブルとして敷設を行っている。また、多芯光ケーブルに外的な力などが働いた場合、多芯光ケーブル内の光芯線が破損し、接続障害などが発生することが知られている。
【0004】
しかしながら、従来の監視装置は同一メーカが提供する光加入者終端装置及び光加入者ネットワーク装置のみを監視するものであり、伝送路に関しては監視対象外となっている。
【0005】
一般に通信サービスの不通は早期回復が必要となる障害であり、既存の光加入者終端装置及び光加入者ネットワーク
装置には光回線状況に関する状況を把握する機構が設けられている。一方で、既存の光加入者終端装置及び光加入者ネットワーク装置には、光芯線上の障害箇所などを特定する機能は実装されておらず、光芯線に関する障害を検出するためには、光パルス試験機(OTDR:Optical Time Domain Reflectometer)を別途用いることにより、障害箇所の特定を行っている。
【0006】
光パルス試験機は、多芯光ケーブルの断線を検出するために、多芯光ケーブル内の任意の光芯線に光パルス試験機を常時接続し、監視対象の光芯線の状態を常時監視する。多芯光ケーブルが切断された場合、観測対象の光芯線も同様の箇所で切断されることが予想されるため、この切断と切断箇所を光パルス試験機から得られる情報を用いて推定することにより、多芯光ケーブルの障害箇所の特定を実現している。
【0007】
OTDR法(パルス試験法)は,単方向からの測定で、光ファイバ中の異なる箇所から後方散乱する光パワーを、光ファイバの全長にわたり測定する方法である。この試験は、光ファイバ中を伝搬している光パルスから、光パワーの一部が入射側に戻ってくる現象を利用して光ファイバの評価を行っている。光パワーが戻ってくる要因には,光ファイバの材料に固有のレーリ散乱、接続部及び破断点からのフレネル反射などがある(特許文献1等参照)。
【0008】
光パルス試験機を用いた多芯光ケーブルの障害検出方式では、多芯光ケーブル内の特定の光芯線の状態を確認しているため、障害が発生する多芯光ケーブルの切断などを検出することが可能である。例えば、光パルス試験器から出力される強度分布のデータに基づき、光ファイバの曲げ変形等による損失増大や、光ファイバの伸び歪みや、光ファイバの断線等の劣化の有無を検出する(特許文献2等参照)。
【0009】
光パルス試験機を用いた多芯光ケーブルの障害検出方式としては、位置表示モジュールが、光ファイバーセンサ線路の光ファイバとは比屈折率が異なる内蔵光ファイバを有するため、戻り光の観察によって内蔵光ファイバの位置を正確かつ容易に特定する方法の提案もある(特許文献3等参照)。
【0010】
光ケーブル線路の監視に関しては、ハンドホール内に、水と反応して発熱もしくは吸熱する物質を詰めた吸湿性収容体を光ケーブルに密着又は接近させて設置し、その光ケーブル中に含まれる温度計測用光ファイバ線路を、その端末から光ファイバ温度レーダでモニタし、温度計測用光ファイバ線路の長手方向の温度分布及び温度分布の過渡変化を評定することにより、ハンドホール内への浸水の有無およびその位置を検出する方法があり、光パルス試験器により光線路の断線の有無を監視することができる(特許文献4等参照)。
【0011】
一方、多芯光ケーブルの監視方式について光パルス試験機を用いない提案もあり、振動センサ用光ケーブルがフェンス等の監視用構造部材に配線して布設され、侵入者がフェンスから侵入するときに生じる加振点の振動を振動センサ用光ケーブル内の光ファイバリング干渉型の振動センサで、光が振動によって位相変調された干渉光の強度変化を検出して振動特性を同定できると共に、侵入者又は飛来物などにより振動センサ用光ケーブルが切断された場合にその切断と切断位置をケーブル切断検出用光ファイバで検出する(特許文献5等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−85684号公報
【特許文献2】特開2005−195486号公報
【特許文献3】特開2009−264830号公報
【特許文献4】特開2001−66224号公報
【特許文献5】特開2007−226440号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「Gigabit Ethernet−PON(GE−PON)システムの開発」,NTT技術ジャーナル,Vol.17,No.3,pp.75−80,2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
多芯光ケーブルの障害検出方式として利用されるOTDR法は、光ファイバ内の伝搬速度および光ファイバの後方散乱作用に影響され,光ファイバ損失を正確に測定しないことがある。また、多数の光芯線が含まれる多芯光ケーブルでは、多芯光ケーブル内の一部の光芯線が障害の影響を受けるなどの部分切断も頻繁に発生することがあるが、OTDR法は、障害検出用に利用している光芯線が部分切断の影響を受けなかった場合、部分切断を検出することがでず、実質上多芯光ケーブルの完全切断を想定した障害検出方式であった。
【0015】
また、光パルス試験機による観測は、カプラを超えて光芯線の調査を行うことが不可能である。そのため、光加入者終端装置側からの光パルス試験機による調査は1段目カプラまでの障害判定しか行うことができず、カプラ以降の光芯線の調査には、障害芯線のカプラ設置場所において、再度光パルス試験機による調査を行う必要があり、障害箇所の特定には多大なる労力と時間を必要としていた。
【0016】
本発明は、光加入者ネットワーク装置から得られる光芯線の情報と光加入者ネットワーク装置が接続される芯線番号、光加入者ネットワーク装置が接続される末端カプラ情報、光芯線と多芯光ケーブルの関係情報、光芯線と多芯光ケーブル内のテープとの関係情報、カプラの位置情報、光ネットワークの伝送路図情報などを包括的に考慮することにより、光ネットワークを構成する伝送路機器であるクロージャ、カプラ、多芯光ケーブル、多芯光ケーブル内のテープ、各光芯線の障害箇所の特定を実現する光ネットワークの障害監視検出装置、方法、プログラム及びシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するため、一般の光加入者ネットワーク装置から得られる光芯線の断線などを示す障害情報を収集し、光ネットワークに関する伝送路情報と組み合わせることにより、光ネットワーク上の障害箇所の特定を可能とする障害監視検出装置、方法、プログラム及びシステムを提供する。
【0018】
本発明による光ネットワークの障害監視検出装置は、
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集部と、
光芯線、光芯線を分岐するカプラ、光芯線を束ねるテープ、テープや光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、多芯光ケーブルの延長やカプラの格納や加入者宅へ光芯線を引出すクロージャ、光加入者終端装置、光加入者ネットワーク装置の光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部と、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知部と、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態と、伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する光芯線の抽出を行う障害箇所特定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
状態収集部は、光加入者終端装置から全ての光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する。
【0020】
障害検知部は、同一の多芯光ケーブルを経由している光加入者ネットワーク装置の状態が複数台同時にオフラインとなった場合に光ネットワーク障害が発生したと
判定する。このオフラインの光加入者ネットワーク装置のことを障害光加入者ネットワーク装置と呼ぶことにする。この判定方法は、光ネットワークが銅線などのネットワークに比べ、経年劣化による障害が少なく、また、伝送路途中でのノイズの混入も皆無であり、徐々にオフラインの光加入者ネットワーク端末が増えていくような事が無く、障害が発生した場合には、その配下の光加入者ネットワーク端末が全て同時にオフラインになる傾向があることを利用している。
【0022】
障害箇所特定部
は、光加入者終端末装置からカプラで分岐して複数の光加入者ネットワーク装置を結
ぶ光芯線の経路で、カプラ配下の全ての光加入者ネットワーク装置
の障害
が検知された場合に
、カプラに接続されている光加入者終端装置側である上流の光芯線、又は、カプラに接続されている光加入者ネットワーク装置側である下流の全ての
光芯線が、障害のある光芯線(障害箇所を含む光芯線)であると
判定する。
【0023】
障害箇所特定部
は、複数の光芯線の経路で障害のある光芯線が
判定された場合に、それぞれの光芯線の経路で障害のある光芯線が全て重複している範囲
の多芯光ケーブル内に障害箇所があると
特定する。
【0024】
障害箇所特定部
は、障害箇所がある範囲が特定された場合に
、末端に光加入者ネットワーク装置が無い未使用の光芯線や、障害検知以前よりオフラインだった光加入者ネットワーク装置しかない光芯線は含めずに、
特定された範囲内の多芯光ケーブル
毎に、障害のある光芯線が経由するテープ内の光芯線に障害のある割合を障害光芯線率(障害光芯線の数÷障害光芯線を含むテープ内の光芯線の数
)として算出し、障害光芯線率が高い順に優先順位をつけて障害箇所を特定する。
【0025】
詳述すれば、以下のようになる。
【0026】
障害箇所特定部は、まず、光ネットワーク障害箇所を経由する可能性のある光芯線を判定する。この光芯線のことを障害光芯線と呼ぶことにする。また、障害箇所を複数の光芯線が経由する場合は、それらをまとめて障害光芯線グループと呼ぶことにする。具体的な特定方法は、障害検知部で判定した障害加入者ネットワーク装置の上流の光芯線を障害光芯線と判断する。また、その障害光芯線の上流でカプラにより光芯線が複数光芯線に分岐されている場合には、そのカプラを経由する加入者ネットワーク装置にオンラインのものが1台も無ければ、そのカプラ上流の光芯線を障害光芯線と判定する。また、この障害光芯線1本が障害箇所を経由している場合と、カプラ直下の全光芯線が障害箇所を経由している場合では、どちらも配下の光加入者ネットワーク装置は同様の状態となる。このことから、現段階ではどちらも障害箇所を経由する可能性があるため、このカプラ直下の全光芯線を障害光芯線グループと判断する。尚、カプラ上流にさらにカプラが存在する場合は前記と同様の処理を繰り返し、障害光芯線と障害光芯線グループを判定する。
【0027】
次に光芯線を束ねて敷設する多芯光ケーブル上の障害箇所で可能性のある箇所を特定する。具体的な特定方法は、多芯光ケーブル内で、全ての障害光芯線、又は、障害光芯線グループが重なっている箇所を多芯光ケーブル上の障害箇所と特定する。例えば、光芯線の経路が2本あり、それぞれ、障害光芯線と障害光芯線グループがそれぞれ1つずつ存在する場合、1本目の障害光芯線と2本目の障害光芯線が重なる箇所か、1本目の障害光芯線と2本目の障害光芯線グループが重なる場所か、1本目の障害光芯線グループと2本目の障害光芯線が重なる場所か、1本目の障害光芯線グループと2本目の障害光芯線グループが重なる場所の、4つのパターンを多芯光ケーブル上の障害箇所と特定する。尚、重なる箇所が無い障害光芯線、又は、障害光芯線グループは、障害箇所でなかった(障害ではなく光加入者ネットワークの電源オフなどによるオフライン)と判断する。
【0028】
次に多芯光ケーブル内のテープにより、障害箇所の可能性がある箇所の内、より可能性が高い箇所を絞り込む。光ネットワーク障害では、多芯光ケーブル内の一部の光芯線で障害が発生することが多く、この場合、隣り合った光芯線が同時に障害となることが多い。一般的にテープは4〜8本の光芯線を横に並べた形状をしているため、多芯光ケーブル内で、障害光芯線含まれる割合が高いテープが多く含まれている箇所が障害箇所である可能性が高いと言える。ここで障害光芯線含まれる割合のことを障害光芯線率と呼ぶ事にする。具体的な特定方法は、以下の計算式で障害率を算出し、前記で判定した障害箇所である可能性のある場所内で可能性の順位を付ける。
障害光芯線率 = 障害光芯線の数 ÷ 障害光芯線を含むテープ内の光芯線の数
ただし、末端に光加入者ネットワーク装置がない未使用の光芯線や、障害検知以前よりオフラインだった光加入者ネットワーク装置しかない光芯線はこの数に含めない。
【0029】
障害箇所特定部は、障害箇所のある範囲が特定された場合に、その範囲を経由する障害のある光芯線の内、一番遠くまでカプラを経由せずに配線されている光芯線を光パルス試験機での測定用に抽出する。この抽出された光芯線を光パルス試験機で測定することにより、より正確な障害原因や障害箇所の特定が可能となる
。
【0030】
本発明は、光ネットワークの障害検出方法を提供する。
本発明による光ネットワークの障害検出方法は、
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集ステップと、
光芯線、光芯線を分岐するカプラ、光芯線を束ねるテープ、テープや光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、多芯光ケーブルの延長やカプラの格納や加入者宅へ光芯線を引出すクロージャ、光加入者終端装置、光加入者ネットワーク装置などの光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部から情報を読み出すステップと、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知ステップと、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態と、伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する光芯線
の特定
と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定
をし、光パルス試験機で障害を調査するに当たり一番理想的な光芯線の抽出を行う障害箇所特定ステップと、
を備えている。
【0031】
さらに本発明は、コンピュータに実行させるプログラムを提供する。
【0032】
本発明による
光ネットワークの障害監視検出プログラムは、
コンピュータに、
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集ステップと、
光芯線、光芯線を分岐するカプラ、光芯線を束ねるテープ、テープや光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、多芯光ケーブルの延長やカプラの格納や加入者宅へ光芯線を引出すクロージャ、光加入者終端装置、光加入者ネットワーク装置などの光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部から情報を読み出すステップと、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知ステップと、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態と、伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する光芯線の抽出を行う障害箇所特定ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明は、光ネットワークの障害検出システムを提供する。
本発明による障害検出システムは、
事業者側の局に設置される光加入者終端装置から加入者側の末端に設置される光加入者ネットワーク装置の状態情報を収集する状態収集部と、
光芯線、光芯線を分岐するカプラ、光芯線を束ねるテープ、テープや光芯線を束ねて施設する多芯光ケーブル、多芯光ケーブルの延長やカプラの格納や加入者宅へ光芯線を引出すクロージャ、光加入者終端装置、光加入者ネットワーク装置の光ネットワーク機器に関する情報を格納する伝送機器情報格納部と、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態から、光ネットワーク障害の検知を行う障害検知部と、
状態収集部で収集した光加入者ネットワーク装置の状態と、伝送機器情報格納部の情報から、光ネットワーク障害の原因箇所を経由する光芯線の特定と多芯光ケーブル上の障害箇所の特定をし、光パルス試験機で障害を調査する光芯線の抽出を行う障害箇所特定部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明を利用することにより、光芯線に生じた障害箇所をいち早く特定することが可能となるため、早期の障害対応を開始することが可能となる。そのため、サービス停止時間の短縮にも非常に有効であり、特にプライマリー電話やビデオオンデマンドをはじめとした常時サービスを要求される光ネットワークで大きな効果が得られる。
【0035】
さらに、障害箇所の可能性がある箇所が複数に及ぶことが推定される場合においては、障害確率の高い順に管理者に通知するので、効率よく障害箇所を絞り込むことが出来る。
【0036】
本発明では、光ネットワークに関する情報に応じて、光芯線上の障害箇所の特定から光ネットワークを構成する障害機器の障害箇所特定まで、幅広い障害要因の特定を実現することが可能となる。また、障害箇所の特定は優先度順に特定できるため、実際の障害復旧作業を行う上で非常に有効な情報であり、サービス停止時間の短縮だけではなく、障害復旧に関する業務改善への効果も非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明が対象とする光ネットワークシステムのブロック図
【
図4】本発明による障害監視検出装置置のブロック図
【
図5】本発明による障害監視検出装置による障害検出フローチャート
【
図6】障害のある光芯線を特定する基本的な考え方を説明する図
【
図7】2段のカプラを有する光ネットワークの障害のある光芯線の特定例を説明する図
【
図8】2段のカプラを有する光ネットワークの障害のある光芯線の特定例を説明する図
【
図9】障害のある複数の光芯線の情報から、多芯光ケーブル障害箇所の範囲を特定する例を説明する図
【
図10】障害のある複数の2段のカプラを有する光芯線の情報から、多芯光ケーブル障害箇所の範囲を特定する例を説明する図
【
図11】多芯光ケーブル内のテープで障害光芯線率を算出し、障害箇所の順位付けの例を説明する図
【
図12】光パルス試験機で障害を調査するに当たり一番理想的な光芯線の抽出例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明による光ネットワークの障害監視検出装置、方法及びシステムは、占有型と共有型両方の光ネットワーク構成に適用される。なお、占有型と共有型の違いは光芯線を途中で複数の光芯線に分岐するかしないかの違いであり、ここでは共有型のPON(Passive Optical Network)方式を利用した光ネットワーク構成で説明する。なお、光ネットワークは広い概念であり、ここでは、
図1における光ネットワークシステム10から、上位ネットワーク12を除いた部分を、光ネットワークと呼ぶ。
【0039】
図1は、PON方式による光ネットワークの概要示した図である。光ネットワークシステム10は、インターネットの上位ネットワーク12等に接続され、局側に設置される光加入者終端装置14とユーザ側に設置される光加入者ネットワーク装置20−1〜7を、光芯線(光ファイバ)16および光芯線16を分岐するカプラ18−1〜4で接続している。
【0040】
光加入者終端装置14と光加入者ネットワーク装置20−1〜7の間に光信号を分波するカプラ18−1〜4が設置されることにより,1つの光加入者終端装置14に複数の光加入者ネットワーク装置20−1〜7が接続される形態となる.光加入者ネットワーク装置20−1〜7は光加入者終端装置14からの光信号を電気信号へ変換するとともに,ユーザが使用するパーソナルコンピュータ等の端末装置からの電気信号を光信号に変換して光加入者終端装置14へ転送する。
【0041】
光加入者終端装置14は光加入者ネットワーク装置20−1〜7からの光信号の上位ネットワーク12への転送、及び、上位ネットワーク12からの
光信号の光加入者ネットワーク装置20−1〜7への転送、光芯線16、複数段に設置されたカプラ18−1〜4、光加入者ネットワーク装置20−1〜7の監視をする役割を担っている。
【0042】
光芯線16は、単体で施設されることは少なく、通常多数の光芯線を束にした多芯光ケーブルとして施設を行っている。一般に、多数の光芯線16を包括する多芯光ケーブルでは、内部の光芯線16を複数本束ねた複数のテープで構成されている。
【0043】
図2は、光加入者ネットワーク装置20の機能ブロック図である。尚、ここではPON方式の光ネットワーク技術の一つでETHERNET(登録商標)プロトコルで伝送可能なEPONシステムを例に説明する。制御部22は、各機能部を制御して、光加入者ネットワーク装置20の動作を行わせる。ONU認証機能部24では、不正アクセスを防止するために、正規のユーザであることを確認してから、PONリンク確立後のユーザの通信を許可する。暗号化機能部26では、通信の暗号化を行う。下り方向の通信
は全ての光加入者ネットワーク装置20に到達する。このため,光加入者ネットワーク装置20の宛先情報を詐称することにより他の光加入者ネットワーク装置20宛のデータが傍受されてしまうことを防ぐために通信の暗号化が行われている。
【0044】
保守機能部30では、IEEE802.3ahにおいて光加入者終端装置14と光加入者ネットワーク装置20間の保守監視インターフェイスがOAM(Operations,Administration,and Maintenance)機能として規定されており、この規定に従い実際の保守監視項目を設けている。
【0045】
優先制御機能部32は、1ユーザに複数のサービスを提供する場合、特にVoIP(Voice Over IP)や映像配信等の品質保証型の通信が多重する場合のサービス品質を確保している。優先制御機能により、重要度の高いデータから優先的に送信することにより,低優先のデータ(インターネットサービス)と高優先のデータ(VoIP,映像配信等)が同時に入力されても,高優先サービスの品質を確保することが可能となる。
【0046】
PONインターフェイス機能部28は、PONシステムとの接続インターフェイスであり、NUI(Natural User Interface)ポート機能部36は、ユーザが使用するパーソナルコンピュータ等の端末機器接続ポートである。
【0047】
図3は、光加入者終端装置14の機能ブロック図である。光加入者終端装置14は、光加入者ネットワーク装置20と同様の機能も含め制御部22、ONU認証機能部24、暗号化機能部26、保守機能部30、ブリッジ機能部34、PONインターフェイス機能部28と、さらに、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)機能部
38とSNI(Server Name Indication)ポート機能部
40とから構成されている。
【0048】
DBA機能部38は、上りのトラヒック量に応じて柔軟に帯域を光加入者ネットワーク装置に割り当てる。そのため、未使用帯域を他の光加入者ネットワーク装置に割り当てることができ,帯域の効率的な利用が可能となる。またVoIPや映像配信等のデータはリアルタイム性が要求されるため、遅延を防止するための遅延制御も行っている。SNIポート機能部40は、上位のネットワークとの接続ポートである。
【0049】
図4は、本発明による障害監視検出装置と光加入者終端装置への接続状態を示している。障害監視検出装置50は、状態収集部54が、光加入者終端装置14の保守機能部30と接続され、光加入者終端装置14から、光加入者ネットワーク装置20に関する状態情報を収集する。
【0050】
伝送機器情報格納部56には、光芯線16のカプラ18に関する情報、光加入者ネットワーク装置14が接続される光芯線16が含まれるテープ、及び、多芯光ケーブルに関する情報と、光加入者ネットワーク装置20が接続される光芯線16上のカプラ18に関する情報と、光加入者ネットワーク装置20が接続される光芯線16上のカプラ18に関する位置情報とクロージャ情報など、光ネットワークに関連する情報が格納されている。
【0051】
図5は、本発明による障害監視検出装置50により、光ネットワークの障害を検知と、障害箇所
の特定と、最後にその結果を通知するまでの処理の流れを示したフローチャートである。ステップS1〜9の内、ステップS1〜3が
図4の障害検知部
58、ステップS4〜8が
図4の障害箇所特定部
60、最後のステップ9が
図4の表示部
62の処理内容である。
【0052】
以降、
図5のフローチャートを、具体的な光ネットワークを示す
図6〜12を参照して、ステップS1〜9の順に処理内容を説明する。
【0053】
障害検知部
58の処理内容について
は、まず、ステップS1で情報収集部54より、光加入者ネットワーク装置20の状態情報を取得する。ステップS2で、同一多芯光ケーブルを経由する光加入者ネットワーク装置20で複数同時にオフライン化してい
るか確認する。ステップS3で
複数同時のオフライン化を確認出来た場合は、次の障害箇所特定部に移る。
【0054】
障害箇所特定部
60の処理内容について
は、まず、ステップS4で、オフライン化した光加入者ネットワーク装置20から障害光芯線グループを推測する。ここでは
図6を使用して説明する。
【0055】
図6は、本発明による障害芯線箇所と障害芯線グループを特定するための基本的な考え方を説明するための図であり、1段目のカプラ18を有し、その後、各光加入者ネットワーク端末20−1〜8に対し、それぞれに単線光芯線15−1〜8をドロップしていることを示している。また、全ての光加入者ネットワーク装置20−1〜8が不通となり、同時にオフライン化したものとする。カプラ18が存在し、その配下の光加入者ネットワーク装置20−1〜8の中にオンラインのものは一台も存在しないため、カプラ18の上流の光芯線16が障害光芯線で、カプラ18配下の光芯線15−1〜8が障害光芯線グループと判定する。
【0056】
次の
図7の例は、2段のカプラを有する光芯線で、
図6と同じく光加入者ネットワーク装置がグループ化された末端カプラグループ201−1〜4が全て同時にオフライン化したものと想定したものである。この場合は、まず、カプラ18−2〜5配下でそれぞれの末端カプラグループ201−1〜4にオンラインのものは一台も存在しないことから、光芯線16−2〜5がそれぞれ障害光芯線となり、また、それぞれの末端カプラグループ201−1〜4接続される単線光芯線をまとめて1つの光芯線グループとして光芯線グループ17−1〜4がそれぞれ障害光芯線グループとなる。
また、カプラ18−2〜5の上流にはさらにカプラ18−1が存在し、その配下の全ての末端カプラグループ201−1〜4にはオンラインのものは一台も存在しないことから、カプラ18−1上流の光芯線16−1
も障害光芯線と判定する。
【0057】
図8は、
図7とネットワーク構成は同じであるが、末端カプラグループ201−1だけが同時にオフライン化していて、その他はオンラインであることを想定した場合の例である。この場合は、先ず、カプラ18−2配下の末端カプラグループ201−1が同時にオフライン化しているため、カプラ18−2の上流の光芯線16−2が障害光芯線で、光芯線グループ17−1が障害光芯線グループと判定する。なお、カプラ18−2の上流には、さらにカプラ18−1が存在するが、配下にはオンラインの末端カプラグループ201−2〜4が存在するため、光芯線16−1は障害光芯線ではないと判定できる。
【0058】
次に、ステップS5〜6で、多芯光ケーブル上で障害光芯線、障害光芯線グループが重なっている箇所を障害箇所の可能性のある箇所と特定する。ここでは
図9を使用して説明する。
【0059】
図9は、本発明による障害箇所である可能性のある箇所を特定するための基本的な考え方を説明するための図であり、光加入者終端装置14から出力された光芯線161〜164が、多芯光ケーブル90−1〜4とその間のクロージャ92−1〜4を貫いて、それぞれカプラ18−1〜4で分岐後、光芯線グループ17−1〜4にドロップしていることを示している。
【0060】
光芯線グループ17−1は、クロージャ92−1においてカプラ18−1でドロップし、光芯線グループ17−2は、クロージャ92−2においてカプラ18−2でドロップし、光芯線グループ17−3は、クロージャ92−3においてカプラ18−3でドロップし、光芯線グループ17−4は、クロージャ92−4においてカプラ18−4でドロップしている。また、接続される末端カプラグループ201−2〜3が同時にオフライン化し、その他はオンラインであることを想定したものである。
【0061】
障害箇所の特定の前に、まず、障害光芯線、障害光芯線グループを調べると、1系統目について、光芯線162が障害光芯線で、光芯線グループ17−2が障害光芯線グループ、さらに、2系統目について、光芯線163が障害光芯線で、光芯線グループ17−3が障害光芯線グループと判定できる。次に障害箇所の特定として、2つの系統が同じ多芯光ケーブル内で重複している所を探す。
【0062】
まず、障害光芯線グループ17−2と障害光芯線グループ17−3は、多芯光ケーブル外にドロップされているため、今回の特定処理から除外できる。
【0063】
そして、障害光芯線162と障害光芯線163が同じ多芯光ケーブル内で、光加入者終端装置14〜クロージャ92−2間で重複していることがわかる。これにより光加入者終端装置14〜クロージャ92−2の間が障害箇所の可能性の有る箇所であることが特定出来る。
【0064】
次にカプラが2段となり、より複雑となる
図10で説明する。
【0065】
図10は、光加入者終端装置14から出力された光芯線161〜164が、多芯光ケーブル90−1〜
5や各クロージャ92−1〜4を貫いて、それぞれカプラ18−11〜13、18−21〜23、18−31〜33、18−41〜43
で分岐後、光芯線グループ17−1〜8にドロップし、末端カプラグループ201−1〜8に接続していることを示している。
【0066】
クロージャ92−1では、カプラ18−11、18−12により、光芯線グループ17−1にドロップしている。クロージャ92−2では、カプラ18−13により光芯線グループ17−2に、カプラ18−21,カプラ18−22により光芯線グループ17−3にドロップしている。クロージャ92−3では、カプラ18−23により光芯線グループ17−4に、カプラ18−31,カプラ18−32により光芯線グループ17−5にドロップしている。クロージャ92−4では、カプラ18−33により光芯線グループ17−6に、カプラ18−41,カプラ18−42により光芯線グループ17−7にドロップしている。クロージャ92−5では、カプラ18−43により光芯線グループ17−8にドロップしている。
【0067】
末端カプラグループ201−2〜4が同時にオフライン化し、その他はオンラインであることを想定したものである。
【0068】
まず、障害光芯線、障害光芯線グループを調べると、1系統目について、光芯線161−3が障害光芯線で、光芯線グループ17−2が障害光芯線グループ、さらに、2系統目について、光芯線162−1が障害光芯線で、光芯線162−2〜3と光芯線グループ17−3〜4が障害光芯線グループと判定できる。次に障害箇所の特定として、2つの系統が同じ多芯光ケーブル内で重複している所を探す。すると、多芯光ケーブル90−
1〜2だけが重複していることがわかる。これにより、多芯光ケーブル
90−1又は90−2に障害箇所が存在することが特定できる。
【0069】
次に、ステップS7で、多芯光ケーブルが含むテープで障害光芯線率を算出し、障害箇所の順位付けを行う。ここでは
図11を使用して説明する。
【0070】
図11は、本発明による障害箇所である可能性のある箇所でもより可能性の高い障害箇所を順位付けするための基本的な考え方を説明するための図である。光加入者終端装置14から出力された光芯線161〜164が、多芯光ケーブル90−1〜4とその間のクロージャ92−1〜4を貫いて、それぞれカプラ18−1〜4で分岐後、光芯線グループ17−1〜4にドロップし、末端カプラグループ201−1〜4に接続していることを示している。
【0071】
多芯光ケーブル90−1では、光芯線161と光芯線162がテープ94−11により束ねられ、光芯線163と光芯線164がテープ94−12により束ねられている。多芯光ケーブル90−2では、光芯線161と164は単独でテープ94−21と94−23により、光芯線162と163はテープ94−22により束ねられている。多芯光ケーブル90−3では、光芯線161と光芯線162がテープ94−31により束ねられ、光芯線163と光芯線164がテープ94−32により束ねられている。芯光ケーブル90−4では、光芯線161は単独でテープ94−41により、光芯線162〜164はテープ94−42により束ねられている。
【0072】
また、接続される末端カプラグループ201−2〜3が同時にオフライン化し、その他はオンラインであることを想定したものである。
【0073】
この光ネットワークでは、途中に、何もカプラによる分岐やクロージャからのドロップ等が無いため、この全ての多芯光ケーブルが障害箇所の可能性のある箇所となる。障害光芯線が経由するテープでの障害光芯線率を計算し、可能性が高い箇所の順位付けを試みる。
【0074】
まず、多芯光ケーブル90−1で障害光芯線率を算出すると、障害光芯線はテープ94−11とテープ94−12の両方を経由するため、
障害光芯線率 = 障害光芯線の数 ÷ 障害光芯線を含むテープ内の光芯線の数
= 2 ÷ 4 = 0.5
となる。
【0075】
多芯光ケーブル90−2では、障害光芯線が経由するのはテープ94−22のみであるため、
障害光芯線率 = 2 ÷ 2 = 1
となる。
【0076】
多芯光ケーブル90−3では、障害光芯線はテープ94−31と94−32の両方を経由するため、
障害光芯線率 = 2 ÷ 4 = 0.5
となる。
【0077】
多芯光ケーブル90−4では、障害光芯線が経由するのはテープ94−42のみであるため、
障害光芯線率 = 2 ÷ 3 = 0.666・・・
となる。
【0078】
よってこの結果より、一番障害箇所の可能性が高い箇所は、多芯光ケーブル90−2で、次は、多芯光ケーブル90−4と順位付けできる。
【0079】
次に、ステップS8で、光パルス試験機での測定用に一番遠くまでカプラを経由せずに配線されている障害光芯線を抽出する。ここでは
図12を使用して説明する。
【0080】
図12は、
図10と同様のネットワーク構成であり、光加入者終端装置14から出力された光芯線161〜164が、多芯光ケーブル90−1〜
5や各クロージャ92−1〜4を貫いて、それぞれカプラ18−11〜13、18−21〜23、18−31〜33、18−41〜43
で分岐後、光芯線グループ17−1〜8にドロップしていることを示している。
【0081】
末端カプラグループ201−4〜6が同時にオフライン化し、その他はオンラインであることを想定したものである。
【0082】
図12のような例では、一番遠くまで配線されている障害光芯線163が対象となる。
【0083】
最後にステップS9では、ステップS7〜8で特定した内容を表示部で光ネットワーク保守担当者に通知する。
【0084】
本発明は、更に
図4の障害検出装置50で実行するプログラムを提供し、このプログラムは
図5フローチャートに示した内容を持つ。
【0085】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形
態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0086】
10:光ネットワークシステム
12:上位ネットワーク
14:光加入者終端装置
15−1〜8:単線光芯線
16,16−1〜5,161〜164,161−1〜3,162−1〜3,163−1〜3,164−1〜3:光芯線
18,18−1〜5,18−11,18−12,18−13,18−21,18−2218−23,18−31,18−32,18−33,18−41,18−42,18−43:カプラ
17−1〜8:光芯線グループ
20,20−1〜8:光加入者ネットワーク装置
22,52:制御部
24:ONU認証機能部
26:暗号化機能部
28:PONインターフェイス機能部
30:保守機能部
32:優先制御機能部
34:ブリッジ機能部
36:NUIポート機能部
38:DBA機能部
40:SNIポート機能部
50:障害監視検出装置
54:状態収集部
56:伝送機器情報格納部
58:障害検知部
60:障害箇所特定部
62:表示部
64:入力部
90−1〜4:多芯光ケーブル
92−1〜5:クロージャ
94−11,94−12,94−21,94−22,94−23,94−31,94−32,94−41,94−42:テープ
201−1〜8:末端カプラグループ