(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数本の主鉄筋を具備する鉄筋コンクリート造の荷重支持体と、コンクリート成形柱及び、前記コンクリート成形柱の内部に埋設され、軸線方向へ延在するように配筋された複数本の鉄筋材からなる柱主鉄筋群を具備する鉄筋コンクリート造の支柱体と、を含んで建造される建造物に適用され、前記荷重支持体を前記支柱体に接合する接合構造であって、
前記柱主鉄筋群の一部を前記軸線方向に沿って前記コンクリート成形柱から突出させて設けられ、前記荷重支持体の内部に埋設される連結鉄筋群と、
前記荷重支持体の前記連結鉄筋群の外周側から中心側へ向かって延出する複数本の主鉄筋の先端部にそれぞれ設けられた鉤状の連結フック部と、
前記連結鉄筋群の外周側に配置されると共に、該連結鉄筋群と共に前記荷重支持体の内部に埋設され、前記荷重支持体の主鉄筋における前記連結フック部を含む先端側を挟み込む一対の環状部材と、
一対の前記環状部材の間に挟み込まれた前記連結フック部の内側であって、一対の前記環状部材の内周側を挿通するように配置された荷重伝達部材と、
有することを特徴とする荷重支持体と支柱体との接合構造。
複数本の主鉄筋を具備する鉄筋コンクリート造の荷重支持体と、コンクリート成形柱及び、前記コンクリート成形柱の内部に埋設され、軸線方向へ延在するように配筋された複数本の鉄筋材からなる柱主鉄筋群を具備する鉄筋コンクリート造の支柱体と、を含んで建造される建造物に適用され、前記荷重支持体を前記支柱体に接合する接合構造であって、
前記柱主鉄筋群の一部を前記軸線方向に沿って前記コンクリート成形柱から突出させて設けられ、前記荷重支持体の内部に埋設される連結鉄筋群と、
前記荷重支持体の前記連結鉄筋群の外周側から中心側へ向かって延出する複数本の主鉄筋の先端部にそれぞれ設けられた鍔状のヘッド部と、
前記連結鉄筋群の外周側に配置されると共に、該連結鉄筋群と共に前記荷重支持体の内部に埋設され、前記主鉄筋の先端側を挟み込む一対の環状部材と、
一対の前記環状部材の間に挟み込まれた前記荷重支持体の主鉄筋の先端側に連結されて、前記ヘッド部と一対の前記環状部材との間に介装される荷重伝達部材と、
を有することを特徴とする荷重支持体と支柱体との接合構造。
複数本の主鉄筋を具備する鉄筋コンクリート造の荷重支持体と、コンクリート成形柱及び、前記コンクリート成形柱の内部に埋設され、軸線方向へ延在するように配筋された複数本の鉄筋材からなる柱主鉄筋群を具備する鉄筋コンクリート造の支柱体と、を含んで建造される建造物に適用され、前記荷重支持体を前記支柱体に接合する接合構造であって、
前記柱主鉄筋群の一部を前記軸線方向に沿って前記コンクリート成形柱から突出させて設けられ、前記荷重支持体の内部に埋設される連結鉄筋群と、
前記連結鉄筋群の外周側に配置されると共に、前記荷重支持体の内部に埋設される環状部材と、
前記荷重支持体の前記連結鉄筋群の外周側から中心側へ向かって延出する複数本の主鉄筋の先端部にそれぞれ設けられ、少なくとも一部が前記環状部材の内周側へ挿入される鉤状の連結フック部と、
前記連結フック部の内側であって、前記環状部材の内周側を挿通するように配置された荷重伝達部材と、
を有することを特徴とする荷重支持体と支柱体との接合構造。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係るラーメン高架橋及び、このラーメン高架橋に適用される荷重支持体と支柱体との接合構造について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(ラーメン高架橋及び接合構造の構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係るラーメン高架橋及び、このラーメン高架橋に適用される荷重支持体と支柱体との接合構造について図面を参照して説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る接合構造が適用されたラーメン高架橋の構成が示されている。なお、
図1にて、矢印WBは高架橋の橋幅方向、矢印HBは高架橋の高さ方向をそれぞれ示している。
【0029】
ラーメン高架橋10は、地表面Gに対して上方に支持された荷重支持体である高架梁12、地表面Gに対して下方(地中)に埋設された荷重支持体である地中梁14及び、高架梁12と地中梁14とを連結した支柱体である複数本のRC(Reinfoced-Concrete)柱16をそれぞれ備えている。
高架梁12は、肉厚プレート状乃至角柱状に形成されたコンクリート成形物18、このコンクリート成形物18の内部における下面側に埋設された複数本の下側主鉄筋21及び、コンクリート成形物18内部における上面側に埋設された複数本の上側主鉄筋22を備えている。コンクリート成形物18は、平面視にて橋軸方向(
図2(A)の矢印SB方向)に沿って細長い略長方形又は略正方形に形成されており、橋軸直角方向に沿った断面が幅方向に沿って細長い矩形状に形成されている。
【0030】
高架梁12内の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22には、橋幅方向に沿って延在するもの(
図1参照)及び、これに直交する橋軸方向に沿って延在するもの(図示省略)があり、これらが2次元又は3次元(本実施形態では2次元)の格子状に組み合わされて下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22がそれぞれ構成されている。
また地中梁14も、肉厚板状に形成されたコンクリート成形物18を備えると共に、このコンクリート成形物18に埋設された複数本の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22を備えている。地中梁14内の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22も、高架梁12内の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22と同様に、橋幅方向及び橋軸方向に沿って延在するものが、2次元又は3次元(本実施形態では2次元)の格子状に組み合わされて構成されている。
【0031】
RC柱16は、円柱状又は角柱状に形成されたコンクリート成形柱26及び、このコンクリート成形柱26の内部に埋設され軸線方向へ延在するように配筋された複数本の柱主鉄筋24からなる柱主鉄筋群25を備えている。柱主鉄筋24は、全体として細長い丸棒状に形成された鉄筋材により形成されており、その外周面にはリブ、節等の凹凸状の突起部が形成されている。なお、以下の説明にて参照する図面に示される柱主鉄筋24の本数及び配置は一例を示したものにすぎず、このような柱主鉄筋24は、RC柱16に要求される曲げ剛性等に応じて、コンクリート成形柱26内における埋設数が適宜増減されると共に、配置も変更されるものである。
【0032】
RC柱16は、その中心軸CPがラーメン高架橋10の高さ方向と実質的に一致している。
図1に示されるように、RC柱16におけるコンクリート成形柱26は、その上端面及び下端面が高架梁12(コンクリート成形物18)の下端面
及び地中梁14の上端面にそれぞれ接合されている。但し、コンクリート成形柱26は、コンクリート成形物18との接合面では、このコンクリート成形物18と実質的に一体化されており、物理的な境界(接合界面)が無いと見做すことができる。
【0033】
またRC柱16における複数本の柱主鉄筋24(柱主鉄筋群25)は、コンクリート成形柱26の全長よりも長くなっており、その上端側及び下端側がコンクリート成形柱26の上端面及び下端面からそれぞれ突出している。これにより、各柱主鉄筋24には、その上端側及び下端側にそれぞれ高架梁12及び地中梁14内に埋設される連結部57が一体的に形成される。上側の連結部57は、高架梁12の下端面から上側主鉄筋22の直下まで突出している。また下側の連結部57は、その下端が地中梁14の下端面まで達している。
なお、以下の説明では、複数本の柱主鉄筋24における上側及び下側にそれぞれ形成される複数本の連結部57の集まりを「連結鉄筋群58」という。
【0034】
地中梁14内の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22には、連結鉄筋群58の外周側から、RC柱16の外周面を延長した仮想境界BL(
図2参照)側へ向かって延出し、その延長線が仮想境界BLと交差するものと、延長線が仮想境界BLとは交差しないものとが存在する。なお、
図1には、延長線が仮想境界BLと交差する地中梁14内の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22のみが示されている。
【0035】
高架梁12内の下側主鉄筋21にも、連結鉄筋群58の外周側から、仮想境界BL側へ向って延出し、その延長線が仮想境界BLと交差するものと、延長線が仮想境界BLとは交差しないものとが存在する。なお、
図1には、延長線が仮想境界BLと交差する高架梁12内の下側主鉄筋21のみが示されている。ここで、仮想境界BLは、コンクリート成形物18における連結鉄筋群58(柱主鉄筋群25)により補強された領域と下側主鉄筋21又は上側主鉄筋22により補強された領域との境界と見做すことができる。
【0036】
上述したように、仮想境界BLと交差する下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22(以下、これらを包括して「交差主鉄筋20」と言う。)には、
図2(A)に示されるように、その先端部にU字状に湾曲して連結鉄筋群58の外周側へ折り返された連結フック部28が形成されている。
交差主鉄筋20のうち、連結鉄筋群58を挟んで橋幅方向の一方の側にある複数本(本実施形態では、2本)の交差主鉄筋20は、それぞれの連結フック部28の先端が橋幅方向に沿って互いに同一位置にあり、また連結鉄筋群58を挟んで橋幅方向の他方の側にある複数本(本実施形態では、2本)の交差主鉄筋20も、連結フック部28の先端が橋幅方向に沿って互いに同一位置にある。
【0037】
同様に、交差主鉄筋20のうち、連結鉄筋群58を挟んで橋軸方向の一方の側にある複数本(本実施形態では、2本)の交差主鉄筋20は、連結フック部28の先端が橋軸方向に沿って互いに同一位置にあり、連結鉄筋群58を挟んで橋軸方向他方の側にある複数本(本実施形態では、2本)の交差主鉄筋20も、連結フック部28の先端が橋軸方向に沿って互いに同一位置にある。これらの交差主鉄筋20は、連結フック部28の先端を仮想境界BLから外周側へ離間させており、RC柱16の中心軸CPからの各連結フック部28の先端までの距離は略一定のものになっている。
【0038】
本実施形態に係るラーメン高架橋10では、
図1に示されるように、交差主鉄筋20の先端側が接合構造30により上側の連結鉄筋群58に接合される。従って、交差主鉄筋20は、上側の連結鉄筋群58を介して下側の連結鉄筋群58を含むRC柱16全体に接合されることになる。ここで、接合とは、ラーメン高架橋10に外力又は内部応力が作用し、任意の交差主鉄筋20に荷重が伝達された場合に、この交差主鉄筋20に伝達された荷重が交差主鉄筋20からRC柱16へ伝達可能になり、かつRC柱16を介して他の交差主鉄筋20にも伝達可能となるように、交差主鉄筋20とRC柱16とを機械的に連結することを言うものとする。
【0039】
図1に示されるように、接合構造30は、高さ方向に沿って交差主鉄筋20の上側及び下側にそれぞれ配置される一対のジョイントリング32、34を備えている。ジョイントリング32とジョイントリング34とは基本的に同一形状とされており、
図3(A)及び(B)に示されるように、平面視にて略正方形のリング状に形成されている。ジョイントリング32、34には、その外周側に鋼棒が環状に成形されたベースリング部36が設けられると共に、このベースリング部36の内周面に全周に亘って溶接等により接合されたリブ状のダイヤフラム部38が設けられている。ベースリング部36には、橋軸方向及び橋幅方向に沿ってそれぞれ直線状に延在する4個の辺部36A〜36Dが形成されている。
【0040】
ここで、ベースリング部36は、内周面へのダイヤフラム部38の接合作業が容易であることから、断面が矩形状の鋼棒により形成されているが、円形等の他の断面形状としても良い。またベースリング部36を内部が中空の鋼管により形成しても良く、その場合の断面形状も矩形を含む任意の形状とすることができる。
ダイヤフラム部38は厚さ一定の鋼板を素材として成形されており、その外周端部がベースリング部36の内周面における厚さ方向の中央部に接合されている。ダイヤフラム部38には、
図3(A)に示されるように中央側に円形開口40が穿設されており、この円形開口40の内径は、仮想境界BL(RC柱16)の外径よりも若干大きくなっている。ここで、円形開口40の中心は、ベースリング部36の橋幅方向及び橋軸方向に沿った断面(水平断面)内における幾何学的な中心点(重心)と一致している。
【0041】
図1に示されるように、一対のジョイントリング32、34は連結鉄筋群58の外周側に嵌挿されると共に、コンクリート成形物18の内部に連結鉄筋群58と共に埋設される。具体的には、地中梁14の内部には、ひとつの連結鉄筋群58に対して一対のジョイントリング32、34が2組配置され、高架梁12の内部には、ひとつの連結鉄筋群58に対して一対のジョイントリング32、34が1組のみ配置される。
【0042】
地中梁14内に配置される2組のジョイントリング32、34のうち、1組のジョイントリング32、34は、高さ方向に沿って下側主鉄筋21に対応する位置に配置され、残りの1組のジョイントリング32、34は、高さ方向に沿って上側主鉄筋22に対応する位置に配置される。このとき、
図4(B)に示されるように、地中梁14内の下面側に配置された一対のジョイントリング32、34は、それらのベースリング部36間に下側主鉄筋21(交差主鉄筋20)の先端側を挟持する。また地中梁14内の上面側に配置された一対のジョイントリング32、34は、それらのベースリング部36間に上側主鉄筋22(交差主鉄筋20)の先端側を挟持する。
【0043】
一方、高架梁12内に配置される一対のジョイントリング32、34は、高さ方向に沿って下側主鉄筋21に対応する位置に配置され、それらのベースリング部36間に下側主鉄筋21(交差主鉄筋20)の先端側を挟持する。一対のジョイントリング32、34は、連結鉄筋群58の外周側へ嵌挿されると共に、ベースリング部36間に交差主鉄筋20の挟持するように配置されることにより、連結鉄筋群58及び交差主鉄筋20に対する装填が完了する。
【0044】
地中梁14及び高架梁12内に埋設され一対のジョイントリング32、34には、一対のベースリング部36間に交差主鉄筋20の外径に対応する幅の隙間が形成され、また一対のジョイントリング32、34は、ベースリング部36間に交差主鉄筋20を直接又は薄いコンクリート層を介して挟持することにより、高さ方向(RC柱16の軸線方向)に対して傾きが生じないように支持される。このとき、各ジョイントリング32、34は、円形開口40の中心がRC柱16の中心軸CPと略一致するように位置決めされる。これにより、ダイヤフラム部38の内周端と仮想境界BLとの間には幅が略一定となった隙間が全周に亘って形成される。
【0045】
なお、
図4に示されるように、本実施形態に係る一対のジョイントリング32、34は、その各辺部36A〜36D間にそれぞれ2本ずつの交差主鉄筋20を挟持する。但し、各辺部36A〜36D間に挟持する交差主鉄筋20の本数は2本に限定されるものではなく、この本数はRC柱16の直径、コンクリート成形物18内に埋設された下側主鉄筋21又は上側主鉄筋22の密度(ピッチ)等に応じて増減する。
【0046】
図5(A)及び(B)には、ラーメン高架橋10における橋幅方向に沿った側端部付近の内部構造が示されている。
図5(A)に示されるように、ラーメン高架橋10における橋幅方向に沿った端部付近では、上側主鉄筋22に下方へ向って湾曲した曲げ部42が形成されると共に、この曲げ部42に対して先端側の部分がコンクリート成形物18の側端面に沿って下側主鉄筋21の下側まで延出している。これにより、コンクリート成形物18内での上側主鉄筋22に対する拘束力が増大し、外部荷重等により上側主鉄筋22が長手方向に沿って滑り移動することが阻止される。
【0047】
図4に示されるように、接合構造30は各交差主鉄筋20にそれぞれ装填される複数本の荷重伝達ロッド44を備えている。ここで、荷重伝達ロッド44は、直棒状の鉄鋼材料により形成されており、例えば、表面にリブ、節等の突起が形成された鉄筋材を所定の長さに切り揃えることにより形成される。また荷重伝達ロッド44の長さは、交差主鉄筋20を挟持したジョイントリング32の下端面とジョイントリング34の上端面との間隔よりも長くなっている。
【0048】
図2(A)に示されるように、接合構造30では、1本の交差主鉄筋20に対して2本で1組とされた荷重伝達ロッド44が装填される。1組の荷重伝達ロッド44は、一対のジョイントリング32、34の間に挟み込まれた交差主鉄筋20の連結フック部28の内側であって、一対のベースリング部36の内周側に位置するように配置される。このとき、荷重伝達ロッド44は、その長手方向がRC柱16の軸線方向と略一致するような直立状態とされる。また1組のうち1本の荷重伝達ロッド44は、交差主鉄筋20の幅方向(矢印WR方向)に沿って連結フック部28内における一端側に位置し、また残りの1本の荷重伝達ロッド44は、交差主鉄筋20の幅方向に沿って連結フック部28内における他端側に位置する。また2本の荷重伝達ロッド44は、交差主鉄筋20の長手方向と一致する鉄筋軸方向(
図2(A)の矢印LR方向)に沿って連結フック部28内で略同一位置に位置する。
【0049】
一対のダイヤフラム部38には、それぞれ各連結フック部28の内側に面するように挿通穴46が穿設されている。この挿通穴46は、1本の連結フック部28について2個(1組)ずつ設けられており、これら1組2個の挿通穴46の幅方向WR及び長手方向LRに沿った位置は、連結フック部28内における1組2本の荷重伝達ロッド44が配置される位置と実質的に一致している。
【0050】
交差主鉄筋20に装填される荷重伝達ロッド44は、上側のダイヤフラム部38に穿設された挿通穴46、連結フック部28の内側及び、下側のダイヤフラム部38に穿設された挿通穴46をそれぞれRC柱16の軸線方向に沿って挿通した状態とされる。このとき、荷重伝達ロッド44が一対のダイヤフラム部38にそれぞれ穿設された挿通穴46を挿通することにより、荷重伝達ロッド44を連結フック部28に対する所定の装填位置に確実に位置決めできると共に、荷重伝達ロッド44が軸線方向に対して傾くことも制限できる。
【0051】
接合構造30では、一対のジョイントリング32、34、これら一対のジョイントリング32、34間に挟持された交差主鉄筋20及び荷重伝達ロッド44がそれぞれ連結鉄筋群58の外周側に配置され、連結鉄筋群58と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。これにより、交差主鉄筋20が接合構造30により連結鉄筋群58に接合されるので、任意の交差主鉄筋20に外部から荷重が伝達され、又は内部応力が作用した場合に、この交差主鉄筋20に伝達された荷重(圧縮荷重又は引張荷重)の一部が荷重伝達ロッド44、一対のジョイントリング32、34及び、これらの間に介在するコンクリート層48を介して連結鉄筋群58に伝達され、この連結鉄筋群58を介してRC柱16に伝達される。
このとき、交差主鉄筋20から伝達される荷重の伝達方向に沿った2本の荷重伝達ロッド44の一対のジョイントリング32、34に対する投影面積の和は、1本の交差主鉄筋20の一対のジョイントリング32、34に対する投影面積よりも大きくなっている。
【0052】
また、連結鉄筋群58へ荷重を伝達した交差主鉄筋20が高架梁12に配置されている場合には、交差主鉄筋20から連結鉄筋群58に伝達される荷重は、RC柱16を介して地中梁14における連結鉄筋群58周辺の複数本の交差主鉄筋20に伝達される。これとは逆に、連結鉄筋群58へ荷重を伝達した交差主鉄筋20が地中梁14に配置されている場合には、交差主鉄筋20から連結鉄筋群58に伝達される荷重は、RC柱16を介して高架梁12における連結鉄筋群58周辺の複数本の交差主鉄筋20に伝達される。また交差主鉄筋20から一対のジョイントリング32、34に伝達された荷重の一部は、ジョイントリング32、34を介して反対側に位置する複数本の交差主鉄筋20にも伝達される。
【0053】
次に、
図5及び
図6を参照しつつ、高架梁12に水平荷重(この場合には、橋幅方向に沿った荷重)Fが作用した場合に、ラーメン高架橋10に生じる内部荷重及び曲げモーメントについて説明する。
図6には、高架梁12に橋幅方向に沿った水平荷重Fが作用した場合に、ラーメン高架橋10に作用するモーメント分布が示されている。ラーメン高架橋10に
図6に示されるようなモーメントが作用すると、高架梁12には橋幅方向に沿った曲げ変形が発生する。この曲げ変形に伴って、高架梁12には、中立面NFを介して下側の領域には橋幅方向に沿った引張力が発生し、中立面NFを介して上側の領域には橋幅方向に沿った圧縮力が発生する。
【0054】
この結果、
図5に示されるように、下側主鉄筋21には、コンクリート成形物18を介して鉄筋軸方向(橋幅方向)に沿った引張力R1が伝達され、上側主鉄筋22には、コンクリート成形物18を介して鉄筋軸方向(橋幅方向)に沿った圧縮力R2が伝達される。このとき、上側主鉄筋22の圧縮力R2はコンクリート成形物18の圧縮抵抗により支持され、コンクリート成形物18を介して連結鉄筋群58にコンクリート支圧力CUとして伝達される。このコンクリート支圧力CUは、その大きさがRC柱16の軸線方向に沿って上側主鉄筋22から中立面NFへ向って徐々に減少するものになる。
【0055】
一方、下側主鉄筋21の引張力R1は、荷重伝達ロッド44を介し、支圧力C1として上下一対のジョイントリング32、34に略均等に分散されて伝達される。この支圧力C1は、下側主鉄筋21の反対側で一対のジョイントリング32、34により支圧力C2に変換され、コンクリート層48を介してコンクリート支圧力CLとして連結鉄筋群58に伝達される。このコンクリート支圧力CLは、その大きさが中立面NFから高架梁12の下端面へ向って徐々に増大するものになる。
【0056】
(ラーメン高架橋の建造方法)
次に、
図7〜
図10を参照しつつ、本実施形態に係る接合構造30が適用されるラーメン高架橋10の建造方法及び、交差主鉄筋20と連結鉄筋群58(RC柱16)との接合方法について説明する。
ここでは、ラーメン高架橋10における地中梁14が建造完了した後に、引き続き、高架梁12を建造する場合について説明する。この場合、RC柱16における複数本の柱主鉄筋24(柱主鉄筋群25)は、下側の連結鉄筋群58が地中梁14に埋設された状態になっており、
図7に示されるように、その鉄筋軸方向がRC柱16の中心軸CPと実質的に平行となっている。また柱主鉄筋群25は、コンクリート成形柱26となる部分の断面内に配置され、この断面の外周部に沿って密集状態で配置(配筋)されている。
【0057】
本実施形態に係る接合構造30により交差主鉄筋20を連結鉄筋群58に接合する際には、先ず、
図7(B)に示されるように、連結鉄筋群58の外周側であって、ラーメン高架橋10の高さ方向に沿って交差主鉄筋20(
図7(B)では、下側主鉄筋21)に対応する部位に下側のジョイントリング34を嵌挿し、ジョイントリング34の中心がRC柱16の中心軸CPと一致するように位置決めする。この後、このジョイントリング34を連結鉄筋群58に対して仮止めする。このとき。ジョイントリング34は、例えば、ブラケット等を介して連結鉄筋群58の周囲に組立てられた作業用の足場により連結されることにより、連結鉄筋群58に対して固定される。
【0058】
次いで、
図8に示されるように、地表面Gから所定の高さとなる水平面に沿って複数本の鉄筋材を橋幅方向及び橋軸方向に沿って配筋し、これらの鉄筋材により下側主鉄筋21を二次元の格子状に組立てる。これらの下側主鉄筋21のうち、連結鉄筋群58の外周側から仮想境界BL付近まで延出する交差主鉄筋20については、
図8(B)に示されるように、先端部にU字状の連結フック部28が形成されたものが用いられる。これらの交差主鉄筋20の先端側は、ジョイントリング34上に載置されることにより、下方へ撓まないようにジョイントリング34により支持される。
【0059】
下側主鉄筋21の組立完了後には、
図9に示されるように、連結鉄筋群58の外周側に上側のジョイントリング32を嵌挿し、このジョイントリング32を交差主鉄筋20上に載置すると共に、ジョイントリング32の中心が中心軸CPと一致するように橋幅方向及び橋軸方向に沿って位置決めする。この状態で、
図10に示されるように、荷重伝達ロッド44を上方からジョイントリング34の挿通穴46、連結フック部28の内側及び、ジョイントリング32の挿通穴46にそれぞれ挿通させ、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20の連結フック部28に装填する。
【0060】
荷重伝達ロッド44は、ジョイントリング32、34及び連結フック部28から脱落しないように、例えば、仮止め用のクリップ等によりジョイントリング32のダイヤフラム部38に仮止めされる。なお、荷重伝達ロッド44に外周面に鍔状部材を溶接、圧延等により予め固定しておき、この鍔状部材をジョイントリング32のダイヤフラム部38へ当接させることにより、荷重伝達ロッド44の脱落を防止するようにしても良い。
荷重伝達ロッド44を全ての交差主鉄筋20へそれぞれ装填した後、
図10に示されるように、地表面Gから所定の高さとなる水平面に沿って複数本の鉄筋材を橋幅方向及び橋軸方向に沿って配筋し、これらの鉄筋材により上側主鉄筋22を二次元の格子状に組立てる。
【0061】
最後に、柱主鉄筋群25における地中梁14と高架梁12との間を囲むように筒状のコンクリート枠(図示省略)を設置すると共に、連結鉄筋群58、下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22を囲むように、上面側が開口した筐体状のコンクリート枠(図示省略)を設置する。ここで、コンクリート成形柱26を成形するためのコンクリート枠の上端(開口端)は、高架梁12のコンクリート成形物18を成形するためのコンクリート枠の底面部に開口している。
【0062】
従って、コンクリート成形柱26を成形するためのコンクリート枠内に未硬化のコンクリート材料を流し込んだ後、コンクリート成形物18を成形するためのコンクリート枠に未硬化のコンクリート材料を流し込み、これらのコンクリート枠内でコンクリートを硬化させる。これにより、コンクリート成形柱26及びコンクリート成形物18がそれぞれコンクリートにより成形され、RC柱16及び高架梁12の建造が完了する。
【0063】
なお、コンクリート成形柱26については、その下端側を地中梁14のコンクリート成形物18と一体的に成形した後、上端側を高架梁12のコンクリート成形物18と一体的に成形しても良く、また下端側の一部及び上端側の一部をそれぞれ除く中間部を予めコンクリートにより成形(プレキャスト)しておき、下端側の一部を地中梁14のコンクリート成形物18と一体的に成形した後、上端側の一部を高架梁12のコンクリート成形物18と一体的に成形しても良い。
【0064】
(接合構造の作用)
次に、本実施形態に係る接合構造30の作用について説明する。本実施形態に係る接合構造30では、棒状の荷重伝達ロッド44が一対のジョイントリング32、34間に挟み込まれた交差主鉄筋20の連結フック部28の内側であって、一対のベースリング部36の内周側を挿通するように配置されることにより、交差主鉄筋20からの荷重(圧縮荷重又は引張荷重)を、コンクリート層48及び荷重伝達ロッド44を介して一対のジョイントリング32に略均等に分散して伝達できると共に、一対のジョイントリング32、34を介して連結鉄筋群58(RC柱16)に伝達できる。
【0065】
このとき、交差主鉄筋20から伝達される荷重の伝達方向(鉄筋軸方向)に沿った荷重伝達ロッド44の一対のジョイントリング32、34に対する投影面積の和が、1本の交差主鉄筋20の一対のジョイントリング32、34に対する投影面積よりも大きいことから、このような荷重伝達ロッド44を用いないで、交差主鉄筋20をジョイントリングに直接接合した場合と比較し、交差主鉄筋20からの荷重をコンクリート層48及び荷重伝達ロッド44を介して一対のジョイントリング32、34の広い領域に均等に分散して伝達できるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング32、34が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0066】
従って、本実施形態に係る接合構造30によれば、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング32、34が局部的に変形することを効果的に防止できるので、ジョイントリング32、34の変形に伴って交差主鉄筋20から連結鉄筋群58(RC柱16)に伝達される荷重の伝達効率が低下することも効果的に防止できる。
また接合構造30では、コンクリートの打設前に、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20の連結フック部28の内側であって、一対のベースリング部36の内周側を挿通するように配置するだけで、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20の連結フック部28に装填できるので、交差主鉄筋20と一対のジョイントリング32、34との間で荷重を伝達する荷重伝達ロッド44の装填作業を極めて簡単なものにできる。
【0067】
また本実施形態に係る接合構造30では、ジョイントリング32、34が、鋼材により環状に形成されたベースリング部36の内周面に全周に亘ってリブ状のダイヤフラム部38が接合されて構成されていることにより、ベースリング部36のみで構成されている場合と比較し、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング32、34の曲げ剛性を大幅に高めることができるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング32、34が局部的に変形することを更に効果的に防止できるようになる。
【0068】
(荷重伝達ロッドの変形例)
次に、本発明の第1の実施形態に係る接合構造30に用いられる荷重伝達ロッド44の変形例について説明する。
図11には、荷重伝達ロッドの変形例を本実施形態に係る接合構造30に用いた場合の構成が示されている。この荷重伝達ロッド50は、
図11(B)に示されるように、鉄筋材等の鋼棒がU字状に湾曲されて形成されている。荷重伝達ロッド50には、その長手方向に沿った一端側に直線状の直棒部52が形成されると共に、他端側にも直線状の直棒部54が形成され、これらの直棒部52、54の間に円弧状に湾曲した湾曲部56が形成されている。
【0069】
接合構造30では、荷重伝達ロッド50が一対のジョイントリング32、34におけるベースリング部36を上方から跨ぐように配置されている。このとき、一端側の直棒部52はジョイントリング32の挿通穴46、連結フック部28の内側及び、ジョイントリング34の挿通穴46をそれぞれ挿通するように配置され、他端側の直棒部54は一対のジョイントリング32、34の外周側に配置される。また一端側の直棒部52が上下一対のジョイントリング34の挿通穴46をそれぞれ挿通することにより、直棒部52、54は、その長手方向がRC柱16の軸線方向と略一致するように、一対のジョイントリング32、34により支持される。
【0070】
以上説明した荷重伝達ロッド50が用いられた接合構造30では、荷重伝達ロッド50の直棒部52をジョイントリング32の挿通穴46、連結フック部28の内側及び、ジョイントリング34の挿通穴46にそれぞれ挿通させると共に、直棒部54を一対のジョイントリング32、34の外周側に差し込むだけで、荷重伝達ロッド50が一対のジョイントリング32、34により下方から支持された状態になることから、仮止め用のクリップを用いたり、又は荷重伝達ロッド50に鍔状部材を固定しなくても、荷重伝達ロッド50が交差主鉄筋20及び一対のジョイントリング32、34から脱落することを確実に防止できるので、荷重伝達ロッド50の交差主鉄筋20に対する装填作業を簡略化できる。
【0071】
(ジョイントリングの変形例)
次に、本発明の第1の実施形態に係る接合構造30に用いられるジョイントリングの変形例について説明する。なお、以下の説明にて、ジョイントリング32、34と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
図12には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第1の変形例が示されている。ジョイントリング60は平面視にて円環状に形成されており、略矩形状の断面を有する鋼材により形成されたベースリング部62及び、このベースリング部62の内周側に配置される複数本の補剛ロッド(補強部材)64を備えている。補剛ロッド64は直棒状の鉄筋材を所定の長さに切断することにより形成されている。複数本の補剛ロッド64は、平面視にてベースリング部62の弦方向にそれぞれ延在しており、その両端部をそれぞれベースリング部62の内周面に当接させている。この補剛ロッド64の両端部は、必要に応じて溶接等によりベースリング部36の内周面に固着される。
【0072】
図12(B)に示されるように、補剛ロッド64は、ベースリング部62の内周側における上端側及び下端側にそれぞれ配置されており、このベースリング部62の上端側及び下端側に配置される一対の補剛ロッド64は平面視にて同一位置に配置されている。本実施形態では、ベースリング部62の内周側に一対の補剛ロッド64が4組配置されている。この一対の補剛ロッド64の両端部は、ベースリング部62を周方向に沿って4等分した円弧部62A〜62Dの両端部にそれぞれ当接している。
【0073】
図12に示されるジョイントリング60も、ジョイントリング32、34と同様に、一対で1組とされて連結鉄筋群58の外周側に嵌挿され、一対のベースリング部62の間に交差主鉄筋20を挟持する。このとき、交差主鉄筋20における連結フック部28の先端は、補剛ロッド64の内周側まで挿入される。この状態で、荷重伝達ロッド44又は荷重伝達ロッド50の直棒部52が連結フック部28の内側であって、補剛ロッド64の内周側に挿入される。これにより、交差主鉄筋20からの伝達荷重の一部がコンクリート層及び補剛ロッド64を介してジョイントリング60に伝達されると共に、残りの一部が直接的に一対のジョイントリング60に伝達される。
【0074】
図12に示されるジョイントリング60では、ベースリング部62の内周側に複数本(本実施形態では、8本)の補剛ロッド64が配置され、これらの補剛ロッド64が両端部を各円弧部62A〜62Dの両端部にそれぞれ当接させることにより、交差主鉄筋20から荷重が伝達された場合に、伝達荷重が補剛ロッド64によりベースリング部62の広い範囲に分散して伝達されると共に、伝達荷重の一部がベースリング部62の内周側の補剛ロッド64によっても支持されるので、ジョイントリング60がベースリング部62のみで構成されている場合と比較し、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング60の曲げ剛性を大幅に高めることができる。この結果、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング60が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0075】
図13には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第2の変形例が示されている。このジョイントリング70が
図12に示されるジョイントリング60と異なる点は、ベースリング部62の上端側及び下端側にそれぞれ配置された一対の補剛ロッド64の間にリブ状のダイヤフラム部72が配置されている点であり、他の部分は基本的にジョイントリング60と同一の構成を備えている。このダイヤフラム部72は、
図3に示されるジョイントリング32、34のダイヤフラム部38と同様に、その外周側の端部が全周に亘ってベースリング部62の内周面に溶接等により接合されている。
【0076】
但し、このジョイントリング70を用いた接合構造30では、
図3に示されるジョイントリング32、34を用いた場合と同様に、ダイヤフラム部72に挿通穴46を穿設し、この挿通穴46に荷重伝達ロッド44又は荷重伝達ロッド50の直棒部52を挿通させて良く、また挿通穴46を穿設することなく、
図12に示されるジョイントリング60を用いた場合と同様に、一対の補剛ロッド64(ダイヤフラム部72)の内周側に荷重伝達ロッド44又は荷重伝達ロッド50の直棒部52を挿通させても良い。
【0077】
図13に示されるジョイントリング70では、ベースリング部62の内周側に複数本(本実施形態では、8本)の補剛ロッド64が配置されると共に、ダイヤフラム部72をベースリング部62の内周面に溶接等により接合したことにより、
図3に示されるジョイントリング32、34及び
図12に示されるジョイントリング60と比較し、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング70の曲げ剛性を更に高めることができるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング70が局部的に変形することを更に効果的に防止できる。
【0078】
図14には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第3の変形例が示されている。このジョイントリング80は、略矩形状の断面を有する鋼材により形成されたベースリング部36及び、このベースリング部36の外周側に配置される複数のダイヤフラム部82を備えている。ダイヤフラム部82は厚さが一定の鋼板により形成されており、ベースリング部36における各辺部36A〜36Dの外周面にそれぞれ溶接等により接合されている。
ここで、ダイヤフラム部82は、平面視にて、外周端が曲率半径が一定の円弧状に形成されると共に、内周端が前記円弧状の外周端に対する弦方向に沿って延在する直線状に形成されている。ダイヤフラム部82は、内周端面の全体が辺部36A〜36Dの外周面に接合されている。
【0079】
図14に示されるジョイントリング80も、ジョイントリング32、34と同様に、一対で1組とされて連結鉄筋群58の外周側に嵌挿され、一対のベースリング部36の間に交差主鉄筋20を挟持する。この状態で、荷重伝達ロッド44又は荷重伝達ロッド50の直棒部52が連結フック部28の内側であって、一対のベースリング部36の内周側に挿入される。これにより、交差主鉄筋20からの伝達荷重の一部がコンクリート層を介してジョイントリング80に伝達される。
【0080】
図14に示されるジョイントリング80では、ベースリング部36における各辺部36A〜36Dの外周面にそれぞれダイヤフラム部82を接合したことにより、ジョイントリング80がベースリング部62のみで構成されている場合と比較し、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング80の曲げ剛性を大幅に高めることができるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング80が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0081】
またジョイントリング80では、各ダイヤフラム部82が辺部36A〜36Dの両端部から中央側へ向かって幅が徐々に増大する形状(略三日月状)とされている。一方、交差主鉄筋20からの荷重伝達時には、辺部36A〜36Dにおける曲げ応力の分布が両端部から中央側へ向かって幅が徐々に増大する。従って、各ダイヤフラム部82を略三日月状に形成することにより、ジョイントリング80の曲げ剛性を各辺部36A〜36Dの両端部から中央側へ向かって徐々に増大できるので、少量の補強材料(ダイヤフラム部82)を用いて効率的にジョイントリング80の曲げ剛性を増大できる。
【0082】
図15には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第4の変形例が示されている。このジョイントリング90は、略矩形状の断面を有する鋼材により形成されたベースリング部36及び、このベースリング部36の内周面から突出する複数のアンカロッド92を備えている。ここで、アンカロッド92は、丸棒状のロッド部94及び、このロッド部94の先端部に一体的に形成された拡径部96を備えている。拡径部96は肉厚の円板状に形成されており、その外径がロッド部94の外径よりも大きくなっている。
【0083】
アンカロッド92のロッド部94は、その基端部がベースリング部36における辺部36A〜36Dの内周面に溶接等により固着されている。このとき、4本のロッド部94は、4個の辺部36A〜36Dの内周面における長手方向中央部にそれぞれ配置され、辺部36A〜36Dの内周面からベースリング部36の水平断面における中心(重心)側へ突出する。このジョイントリング90も、ジョイントリング32、34と同様に、一対で1組とされて連結鉄筋群58の外周側に嵌挿される。
【0084】
図15(A)に示されるように、ジョイントリング90を連結鉄筋群58の外周側に嵌挿することにより、4本のアンカロッド92の先端側がそれぞれ仮想境界BLの内周側まで突出し、拡径部96が複数本の連結部57の間に挿入される。この状態で、コンクリート成形物18をコンクリートにより成形することにより、ジョイントリング90が連結鉄筋群58と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。
【0085】
図15に示されるジョイントリング80では、ベースリング部36における各辺部36A〜36Dからアンカロッド92を突出させ、これらのアンカロッド92の先端側をそれぞれ複数本の連結部57の間に挿入したことにより、ベースリング部36が複数本(本例では、4本)のアンカロッド92及びコンクリート層を介して高い剛性を有する連結鉄筋群58に接合できるので、ベースリング部36にアンカロッド92が存在しない場合と比較し、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング80の曲げ剛性を大幅に高めることができ、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング80が局部的に変形することを効果的に防止できる。
なお、ジョイントリング90では、ベースリング部36における各辺部36A〜36Dにそれぞれ1本のアンカロッド92を固着したが、交差主鉄筋20から伝達される荷重の大きさ等に応じて、2本以上のアンカロッド92を各辺部36A〜36Dにそれぞれ固着しても良い。
【0086】
図16には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第5の変形例が示されている。このジョイントリング100が
図15に示されるジョイントリング90と異なる点は、ジョイントリング90ではベースリング部36が矩形状に形成されているのに対し、このジョイントリング100ではベースリング部62が平面視にて円環状に形成されている点であり、他の部分についてはジョイントリング90と同一の構成を有している。またジョイントリング100では、複数本(本例では、4本)のアンカロッド92がベースリング部62の内周面に周方向に沿って等ピッチ(90°ピッチ)で配置されている。
【0087】
図15に示されるジョイントリング90と
図16に示されるジョイントリング100とを比較すると、ジョイントリング90は、交差主鉄筋20を矩形状の水平断面を有するRC柱16の鉄筋連結部57に接合する場合に適しているのに対し、ジョイントリング100は、交差主鉄筋20を略円形の水平断面を有するRC柱16の鉄筋連結部57に接合する場合に適したものになっている。
【0088】
図17には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第6の変形例が示されている。このジョイントリング110は、略矩形状の断面を有する鋼材により形成されたベースリング部36及び、このベースリング部36の内周側に配置された複数本(本例では、2本)の補剛ロッド112を備えている。ここで、補剛ロッド112は、鋼等の金属製の棒状材料により形成されており、それぞれ長手方向両端部をそれぞれベースリング部36の内周面に当接させている。
2本の補剛ロッド112のうち、1本の補剛ロッド112は、その長手方向両端部がそれぞれ互いに対向する辺部36A及び辺部36Bの長手方向中央部に溶接等により固着されている。また残り1本の補剛ロッド112は、その長手方向両端部がそれぞれ互いに対向する辺部36C及び辺部36Dの長手方向中央部にそれぞれ溶接等により固着されている。
【0089】
図17に示されるジョイントリング110も、ジョイントリング32、34と同様に、一対で1組とされて連結鉄筋群58の外周側に嵌挿される。但し、コンクリート成形物18がコンクリートにより成形される前に、一対のジョイントリング110を連結鉄筋群58の外周側に嵌挿しておく必要がある。さらに荷重伝達ロッド44又は荷重伝達ロッド50についても、コンクリート成形柱26の成形前に、一対のベースリング部36の間に挿入された交差主鉄筋20の連結フック部28に装填しておく必要がある。
【0090】
図17に示されるように、ジョイントリング110を連結鉄筋群58の外周側に嵌挿することにより、2本の補剛ロッド112がそれぞれ複数本の連結部57の間を通って連結鉄筋群58を横断する。この状態で、コンクリート成形物18をコンクリートにより成形することにより、ジョイントリング110が2本の補剛ロッド112及びコンクリート層を介して連結鉄筋群58に接合される。
【0091】
ジョイントリング110では、補剛ロッド112の両端部がそれぞれ辺部36A〜36Dの内周面に固着されると共に、この補剛ロッド112が連結鉄筋群58を横断することにより、ベースリング部36を複数本(本例では、2本)の補剛ロッド112を介して高い剛性を有する連結鉄筋群58に接合できると共に、補剛ロッド112により交差主鉄筋20からジョイントリング110に伝達される荷重の一部を支持できるので、このような補剛ロッド112が存在しない場合と比較し、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング110の曲げ剛性を大幅に高めることができ、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング110が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0092】
なお、ジョイントリング110では、ベースリング部36における辺部36A、36Bの間及び辺部36C、36Dの間にそれぞれ1本の補剛ロッド112を架け渡したが、交差主鉄筋20から伝達される荷重の大きさ等に応じて、2本以上の補剛ロッド112を辺部36A、36Bの間及び辺部36C、36Dの間にそれぞれ架け渡し、これらの補剛ロッド112の両端部を辺部36A〜36Dの内周面に固着するようにしても良い。
【0093】
図18には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第7の変形例が示されている。このジョイントリング120が
図17に示されるジョイントリング110と異なる点は、ジョイントリング110ではベースリング部36が矩形状に形成されているのに対し、ジョイントリング120ではベースリング部62が平面視にて円環状に形成されている点であり、他の部分については、基本的にジョイントリング110と同一の構成を有している。またジョイントリング120では、複数本(本例では、2本)の補剛ロッド112がベースリング部62の中心で直交した状態でベースリング部62の内周側に配置され、補剛ロッド112の両端部がそれぞれベースリング部62の内周面に固着されている。
【0094】
図17に示されるジョイントリング110と
図18に示されるジョイントリング120とを比較すると、ジョイントリング110は、交差主鉄筋20を矩形状の水平断面を有するRC柱16の連結鉄筋群58に接合する場合に適しているのに対し、ジョイントリング120は、交差主鉄筋20を略円形の水平断面を有するRC柱16の連結鉄筋群58に接合する場合に適したものになっている。
【0095】
図19には、本実施形態に係る接合構造30におけるジョイントリングの第8の変形例が示されている。このジョイントリング130が
図17に示されるジョイントリング110と異なる点は、ジョイントリング110では、補剛ロッド112が互いに対向する辺部36A、36Bの間及び辺部36C、36Dの間に架け渡されているのに対し、ジョイントリング130では、補剛ロッド112が互いに隣接する辺部36A、36Cの間及び辺部36B、36Dの間にそれぞれ架け渡され、補剛ロッド112の両端部がそれぞれ辺部36A、36Cの長手方向中央部及び辺部36B、36Dの長手方向中央部にそれぞれ溶接等により固着されている点である。
【0096】
図19に示されるジョイントリング130でも、
図17に示されるジョイントリング110と同様に、ベースリング部36が複数本(本例では、4本)の補剛ロッド112及びコンクリート層を介して高い剛性を有する連結鉄筋群58に接合できると共に、補剛ロッド112により交差主鉄筋20からの荷重の一部を支持できるので、交差主鉄筋20から伝達される荷重に対するジョイントリング130の曲げ剛性を大幅に高めることができ、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング130が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0097】
[第2の実施形態]
(接合構造の構成)
図20には、本発明の第2の実施形態に係る接合構造の構成が示されている。この接合構造140は、
図1に示される第1の実施形態に係る接合構造30に代えてラーメン高架橋10に適用可能なものである。なお、本実施形態に係る接合構造140では、第1の実施形態に係る接合構造30と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
すなわち、本実施形態に係る接合構造140は、第1の実施形態に係る接合構造30と同様に、ラーメン高架橋10における高架梁12及び地中梁14内に配筋された交差主鉄筋20を連結鉄筋群58(RC柱16)に接合するものである。
但し、
図1に示されるラーメン高架橋10では、交差主鉄筋20の先端部にU字状に湾曲した連結フック部28が形成されていたが、本実施形態に係る接合構造140が適用される場合には、
図20(C)に示されるように、交差主鉄筋20の先端部には、連結フック部28に代えて鍔状のヘッド部142が形成されている。
【0099】
ヘッド部142は、交差主鉄筋20の鉄筋部144の外径に対して3倍程度の外径を有する円板状に形成されており、鉄筋部144と同軸的に配置されている。このようなヘッド部142は、交差主鉄筋20と一体的に成形することも可能であり、また交差主鉄筋20の先端部に溶接等により固着することも可能である。
図20(B)に示されるように、接合構造140は、第1の実施形態に係る接合構造30と同様に、高さ方向に沿って交差主鉄筋20の上側及び下側にそれぞれ配置される一対のジョイントリング146、148を備えている。ジョイントリング146とジョイントリング148とは基本的に同一形状とされており、それぞれ平面視にて矩形状に形成されたベースリング部36(
図3参照)のみにより構成されている。
【0100】
一対のジョイントリング146、148は、それぞれ連結鉄筋群58の外周側に嵌挿され、コンクリート成形物18の内部に連結鉄筋群58と共に埋設される。このとき、地中梁14内の下面側に配置された一対のジョイントリング146、148は、下側主鉄筋21(交差主鉄筋20)の先端側を挟持する。また地中梁14内の上面側に配置された一対のジョイントリング146、148は、上側主鉄筋22(交差主鉄筋20)の先端側を挟持する。
【0101】
一方、高架梁12内に配置される一対のジョイントリング146、148は、下側主鉄筋21(交差主鉄筋20)の先端側を挟持する。一対のジョイントリング146、148は、連結鉄筋群58の外周側へ嵌挿されると共に、交差主鉄筋20を挟持することにより、交差主鉄筋20及び連結鉄筋群58に対する装填が完了する。このとき、ジョイントリング146、148は、ベースリング部36の水平断面における中心(重心)がRC柱16の中心軸CPと略一致するように位置決めされる。
【0102】
図20(C)に示されるように、接合構造140は交差主鉄筋20に装填される荷重伝達スペーサ150を備えている。ここで、荷重伝達スペーサ150は、略円形の鉄板材により形成されている。荷重伝達スペーサ150には、その径方向に沿って外周面の一端部から他端側へ延在する嵌挿溝152が形成されている。この嵌挿溝152には、開口端とは反対側の先端部に半円状にR加工された湾曲面154が形成されており、この湾曲面154を除く部分の開口幅が鉄筋部144の外径よりも僅かに大きくなっている。
【0103】
ここで、
図20(B)に示されるように、交差主鉄筋20を挟持した一対のジョイントリング146、148の上端面から下端面までの間隔Dとすると、荷重伝達スペーサ150の外径は(D×1/2)以上になっている。また荷重伝達スペーサ150は、その嵌挿溝152が鉄筋部144の外周側に差し込まれることにより、交差主鉄筋20の先端側に装填される。このとき、鉄筋部144は嵌挿溝152の湾曲面154に当接し、この状態では、荷重伝達スペーサ150の中心が交差主鉄筋20の鉄筋軸SR(
図20(C)参照)と実質的に一致する。
なお、荷重伝達スペーサ150の厚さは、交差主鉄筋20から伝達される荷重の大きさに応じて適宜設定されるが、1枚の荷重伝達スペーサ150のみでは伝達荷重に耐えられない場合には、2枚以上の荷重伝達スペーサ150を1本の交差主鉄筋20に装填するようにしても良い。
【0104】
図20(A)及び(B)に示されるように、荷重伝達スペーサ150は、一対のジョイントリング146、148の間に挟持された交差主鉄筋20の先端側に装填される。具体的には、荷重伝達スペーサ150は、鉄筋部144におけるヘッド部142に対して基端側の部分であって、一対のジョイントリング146、148の内周側の部分に連結される。
【0105】
このとき、荷重伝達スペーサ150は、鉄筋軸方向に沿ってヘッド部142から離間させ、かつジョイントリング146、148の内周面からも離間させることが好ましい。このように配置することにより、荷重伝達スペーサ150をヘッド部142に当接させる場合と比較し、ヘッド部142からの荷重を、コンクリート(コンクリート層)を介して荷重伝達スペーサ150の広い範囲に伝達でき、荷重伝達スペーサ150の変形を抑制できる。但し、鉄筋軸方向に沿ってヘッド部142とジョイントリング146.148の内周面との間に十分な間隔を確保できない場合には、コンクリート層の圧壊を防止するため、荷重伝達スペーサ150をヘッド部142に当接させても良い。
【0106】
接合構造140では、一対のジョイントリング146、148、交差主鉄筋20のヘッド部142を含む先端側及び荷重伝達スペーサ150がそれぞれ連結鉄筋群58の外周側に配置され、この連結鉄筋群58と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。これにより、交差主鉄筋20が接合構造140により連結鉄筋群58(RC柱16)に接合されるので、任意の交差主鉄筋20に外部から荷重が伝達され、又は内部応力が作用した場合に、この交差主鉄筋20に伝達された荷重(圧縮荷重又は引張荷重)の一部が荷重伝達スペーサ150、一対のジョイントリング146、148及び、これらの間に介在するコンクリート層を介してRC柱16に伝達される。このとき、鉄筋軸方向に沿った荷重伝達スペーサ150の一対のジョイントリング146、148に対する投影面積は、交差主鉄筋20におけるヘッド部142のジョイントリング146、148に対する投影面積よりも大きくなっている。
【0107】
また、荷重伝達スペーサ150を交差主鉄筋20に装填するタイミングについては、一対のジョイントリング146、148により交差主鉄筋20を挟持した後、コンクリートの打設前の時点が好ましいが、下側のジョイントリング148を連結鉄筋群58の外周側に嵌挿し、下側主鉄筋21又は上側主鉄筋22(交差主鉄筋20)の組立てが完了した直後に、荷重伝達スペーサ150を交差主鉄筋20に装填しても良い。
【0108】
(接合構造の作用)
次に、本実施形態に係る接合構造140の作用について説明する。本実施形態に係る接合構造140では、荷重伝達スペーサ150が交差主鉄筋20におけるヘッド部142と一対のジョイントリング146、148との間の部分(鉄筋部144)に連結されることにより、交差主鉄筋20からの荷重(圧縮荷重又は引張荷重)を、コンクリート層及び荷重伝達スペーサ150を介して一対のジョイントリング146、148に略均等に分散して伝達できると共に、一対のジョイントリング146、148を介してRC柱16に伝達できる。
【0109】
このとき、鉄筋軸方向に沿った荷重伝達スペーサ150の一対のジョイントリング146、148に対する投影面積が、交差主鉄筋20のヘッド部142のジョイントリング146、148に対する投影面積よりも大きくなっていることから、交差主鉄筋20からの荷重をコンクリート層及び荷重伝達スペーサ150を介して一対のジョイントリング146、148に均等に分散して伝達できると共に、各ジョイントリング146、148の周方向に沿って広い領域に分散して伝達できるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング146、148が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0110】
この結果、本実施形態に係る接合構造140によれば、交差主鉄筋20からの伝達荷重により一対のジョイントリング146、148が局部的に変形することを効果的に防止できるので、ジョイントリング146、148の変形に伴って交差主鉄筋20からRC柱16に伝達される荷重の伝達効率が低下することも効果的に防止できる。
また接合構造140では、コンクリートの打設前に、荷重伝達スペーサ150を交差主鉄筋20の鉄筋部144に上方から嵌挿するだけで、荷重伝達スペーサ150を交差主鉄筋20に装填でき、この状態で荷重伝達スペーサ150が脱落することもないので、交差主鉄筋20と一対のジョイントリング146、148との間で荷重を伝達する荷重伝達スペーサ150の装填作業を極めて簡単なものにできる。
【0111】
(ジョイントリングの変形例)
次に、本実施形態に係る接合構造140に用いられる環状部材(ジョイントリング)の変形例について説明する。本実施形態に係る接合構造140では、
図20に示されるジョイントリング146、148以外にも、第1の実子形態に係る接合構造30にて既に説明したジョイントリング80、90、100、110、120、130(
図14〜
図19参照)の何れかを環状部材として用いることができる。この場合にも、一対で1組とされたジョイントリング80、90、100、110、120、130が連結鉄筋群58の外周側に嵌挿されると共に、一対のジョイントリング80、90、100、110、120、130の間に交差主鉄筋20が挟持される。このとき、交差主鉄筋20におけるヘッド部142がジョイントリング80、90、100、110、120、130の内周側まで挿入される。この状態で、荷重伝達スペーサ150が交差主鉄筋20におけるジョイントリング80、90、100、110、120、130との間の部分(鉄筋部144)に上方から差し込まれ、連結される。これにより、交差主鉄筋20からの伝達荷重がコンクリート層及び荷重伝達スペーサ150を介して一対のジョイントリング80、90、100、110、120、130に伝達可能になる。
【0112】
従って、本実施形態に係る接合構造140では、環状部材としてジョイントリング80、90、100、110、120、130を用いた場合にも、交差主鉄筋20からの荷重を一対のジョイントリング80、90、100、110、120、130に均等に分散して伝達できると共に、各ジョイントリング80、90、100、110、120、130の周方向へも分散して伝達できるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重によりジョイントリング80、90、100、110、120、130が局部的に変形することを効果的に防止できる。
【0113】
このとき、ジョイントリング80、90、100、110、120、130については、ジョイントリング146、148と比較して、周方向に沿った曲げ剛性が高いものになっていることから、更に効果的にジョイントリング80、90、100、110、120、130が局部変形を防止できることになる。
なお、本実施形態に係る接合構造140では、荷重伝達スペーサ150として略円板状のものを用いていたが、このような荷重伝達スペーサとしては、例えば、矩形状のものを用いても良く、また鉄筋材等の棒状材料をU字状に湾曲したものを用いて良い。要は、交差主鉄筋20の鉄筋部144に確実に連結でき、かつ一対のジョイントリングに対する投影面積をヘッド部142の投影面積よりも大きくできるものならば、任意の形状とすることができる。
【0114】
また、ベースリング部が一定の曲率半径で湾曲しているジョイントリングを用いる場合には、ジョイントリングに伝達される荷重の大きさを平準化するために、荷重伝達スペーサとしてベースリング部の曲率半径に対応する曲率半径で湾曲したものを用いても良い。
またジョイントリング90、100、110、120、130については、ベースリング部36、62の内周面及び外周面の一方にリブ状のダイヤフラム部を溶接等により接合し、曲げ剛性を高めることが可能であるが、連結鉄筋群58との干渉を避けるためには、ベースリング部36、62の外周面にダイヤフラム部を接合することが好ましい。またダイヤフラム部の形状については、略正方形のベースリング部36については、
図14に示される三日月状のものが適しており、また円形のベースリング部62については、薄肉円板状等の円環状のものが適している。
【0115】
[第3の実施形態]
(接合構造の構成)
図21には、本発明の第3の実施形態に係る接合構造の構成が示されている。これらの接合構造160は、第1の実施形態に係る接合構造30に代えてラーメン高架橋10に適用可能なものである。なお、本実施形態に係る接合構造160では、第1の実施形態に係る接合構造30と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
本実施形態に係る接合構造160は、第1の実施形態に係る接合構造30と同様に、ラーメン高架橋10における高架梁12及び地中梁14内に配筋された交差主鉄筋20を連結鉄筋群58(RC柱16)に接合するものである。
但し、第1の実施形態に係る接合構造30では、複数本の交差主鉄筋20を連結鉄筋群58に接合するために一対(2個)のジョイントリング32、34を用いていたが、本実施形態に係る接合構造160では、複数本の交差主鉄筋20を連結鉄筋群58に接合するために1個のジョイントリング162のみを用いる点で、第1の実施形態に係る接合構造30とは異なっている。
【0117】
図21(A)に示される接合構造160は、交差主鉄筋20の上側又は下側(本実施形態では、下側)に配置されるジョイントリング162を備えている。ジョイントリング162は、平面視にて矩形状に形成されたベースリング部36(
図3参照)のみにより構成されている。このジョイントリング162は、連結鉄筋群58の外周側に嵌挿され、この連結鉄筋群58と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。このとき、ジョイントリング162は交差主鉄筋20の先端側に下方から当接し、交差主鉄筋20の先端側を下方から支持する。またジョイントリング162は、ベースリング部36の水平断面における中心(重心)がRC柱16の中心軸CPと略一致するように位置決めされる。
【0118】
交差主鉄筋20の先端部にはU字状に湾曲した連結フック部28が形成されている。この連結フック部28はジョイントリング162を掛止する状態(掛止状態)になっている。ここで、掛止状態とは、連結フック部28を形成した鉄筋材がジョイントリング162(ベースリング部36)を形成した鋼棒の内周側に半周以上巻き付けられた状態となることを言う。これにより、連結フック部28の外周側及び上下方向への移動が拘束されることから、過大な引張り荷重が交差主鉄筋20に作用した場合でも、連結フック部28がジョイントリング162から脱落することを効果的に防止できる。
【0119】
連結フック部28の先端は、ジョイントリング162の内周側まで挿入されている。これにより、ジョイントリング162の内周面と連結フック部28の内周端との間には隙間が形成される。また連結フック部28は、
図21(B)に示されるように、鉄筋軸SRに沿った鉄筋軸方向外側から見て、中心軸CPに対して傾斜するように配置されている。
接合構造160は、交差主鉄筋20の連結フック部28に装填される直棒状の荷重伝達ロッド44を備えている。荷重伝達ロッド44は、U字状の連結フック部28の内側であって、ジョイントリング162の内周側を挿通するように配置されている。このとき、荷重伝達ロッド44は、
図21(B)に示されるように、鉄筋軸方向外側から見て、ジョイントリング162の辺部36A〜36D(
図21では、辺部36A)を斜めに横断する。ここで、荷重伝達ロッド44のRC柱16の中心軸CPに対する傾き角をθとすると、この傾き角θは90°に近い角度に設定することが好ましい。
【0120】
接合構造160では、荷重伝達ロッド44と連結フック部28との間及び、連結フック部28とジョイントリング162との間が最終的には、これらの間に介在するコンクリート層により互いに接合される。しかしコンクリートの打設前に、荷重伝達ロッド44の位置ずれや脱落を確実に防止するため、例えば、ワイヤを荷重伝達ロッド44及び連結フック部28の先端部付近に巻き付けて、荷重伝達ロッド44を連結フック部28に仮止めしても良く、また金属クリップにより荷重伝達ロッド44及び連結フック部28の先端部付近を挟み付けることにより、仮止めしても良い。
【0121】
接合構造160では、ジョイントリング162、交差主鉄筋20の先端側及び荷重伝達ロッド44がそれぞれ連結鉄筋群58の外周側に配置され、この連結鉄筋群58と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。これにより、交差主鉄筋20が接合構造160により連結鉄筋群58(RC柱16)に接合されるので、任意の交差主鉄筋20に外部から荷重が伝達され、又は内部応力が作用した場合に、この交差主鉄筋20に伝達された荷重(圧縮荷重又は引張荷重)の一部が荷重伝達ロッド44、ジョイントリング162及び、これらの間に介在するコンクリート層を介してRC柱16に伝達される。このとき、鉄筋軸方向に沿った連結フック部28及び荷重伝達ロッド44のジョイントリング162に対する投影面積は、交差主鉄筋20における連結フック部28のジョイントリング162に対する投影面積よりも当然に大きくなる。
【0122】
(接合構造の作用)
次に、本実施形態に係る接合構造160の作用について説明する。本実施形態に係る接合構造160では、鉄筋軸方向に沿った連結フック部28及び荷重伝達ロッド44のジョイントリング162に対する投影面積が、交差主鉄筋20における連結フック部28のジョイントリング162に対する投影面積よりも大きくなっていることから、連結フック部28によりジョイントリング162を掛止することのみにより交差主鉄筋20をジョイントリング162に連結した場合と比較し、交差主鉄筋20からの荷重をジョイントリング162の周方向に沿って広い領域に分散して伝達できるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重によりジョイントリング162が局部的に変形することを効果的に防止できる。
この結果、本実施形態に係る接合構造160によれば、交差主鉄筋20からの伝達荷重により1個のジョイントリング162が局部的に変形することを効果的に防止できるので、ジョイントリング162の変形に伴って交差主鉄筋20からRC柱16に伝達される荷重の伝達効率が低下することも効果的に防止できる。
【0123】
また接合構造160では、コンクリートの打設前に、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20の連結フック部28の内側に挿入し、この荷重伝達ロッド44を必要に応じて連結フック部28に仮止めするだけで、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20に装填できるので、交差主鉄筋20とジョイントリング162との間で荷重を伝達する荷重伝達ロッド44の装填作業を極めて簡単なものにできる。
【0124】
また、本実施形態に係る接合構造160では、環状部材として
図21に示されるジョイントリング162以外にも、
図14〜
図19にそれぞれ示されるジョイントリング80、90、100、110、120、130の何れかを用いることもでき、ジョイントリング80、90、100、110、120、130の何れかを用いることにより、交差主鉄筋20からの伝達荷重により1個のジョイントリング80、90、100、110、120、130が局部的に変形することを更に効果的に防止できる。
【0125】
なお、本実施形態に係る接合構造160では、1本の荷重伝達ロッド44のみを1個の連結フック部28に装填したが、2本以上の荷重伝達ロッド44を1個の連結フック部28に装填しても良い。このとき、2本以上の荷重伝達ロッド44を互いに平行なるように配置することも可能であり、また2本の荷重伝達ロッド44をX字状に交差させて連結フック部28に装填するようにしても良い。また荷重伝達部材としては、鉄筋材により成形された荷重伝達ロッド44以外にも細長い鉄板材を所定の長さに切断したもの(荷重伝達板)や、円形以外の異形断面の鋼棒を所定の長さに切断したものも用いることができる。
【0126】
また接合構造160では、U字状に湾曲した荷重伝達ロッド50(
図11参照)を用いても良い。この場合には、荷重伝達ロッド50がジョイントリング162を上方から跨ぐよう配置されると共に、荷重伝達ロッド50の直棒部52が連結フック部28の内側であって、ジョイントリング162の内周側に差し込まれる。これにより、荷重伝達ロッド44を連結フック部28に仮止めする作業を不要にできるので、連結フック部28に対する荷重伝達ロッド50の装填作業を極めて容易なものにすることができる。
【0127】
またジョイントリング90、100、110、120、130については、ベースリング部36、62の内周面及び外周面の一方にリブ状のダイヤフラム部を溶接等により接合し、曲げ剛性を高めることが可能であるが、連結フック部28、荷重伝達ロッド44及び連結鉄筋群58との干渉を避けるためには、ベースリング部36、62の外周面にダイヤフラム部を接合することが好ましい。またダイヤフラム部の形状については、略正方形のベースリング部36については、
図14に示される三日月状のものが適しており、また円形のベースリング部62については、薄肉円板状等の円環状のものが適している。
【0128】
[第4の実施形態]
(接合構造の構成)
図22には、本発明の第4の実施形態に係る接合構造の構成が示されている。これらの接合構造170は、第1の実施形態に係る接合構造30に代えてラーメン高架橋10に適用可能なものである。なお、本実施形態に係る接合構造170では、第1の実施形態に係る接合構造30と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0129】
本実施形態に係る接合構造170は、第1の実施形態に係る接合構造30と同様に、ラーメン高架橋10における高架梁12及び地中梁14をRC柱16に接合するものである。すなわち、本実施形態に係る接合構造170は、第1の実施形態に係る接合構造30と同様に、ラーメン高架橋10における高架梁12及び地中梁14内に配筋された交差主鉄筋20を連結鉄筋群58(RC柱16)に接合するものである。
【0130】
但し、
図1に示されるラーメン高架橋10では、高架梁12内に配筋された下側主鉄筋21、地中梁14内に配筋された下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22がそれぞれ2次元の格子状に構成されていたが、本実施形態の接合構造170が適用されるラーメン高架橋10では、高架梁12の下側主鉄筋21、地中梁14の下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22の少なくとも1個が3次元の格子状に構成されるか、あるいは2次元の格子状に組み合わされた鉄筋群が複数層、重ねられて構成されているものとする。
【0131】
また第1の実施形態に係る接合構造30では、複数本の交差主鉄筋20を連結鉄筋群58に接合するために一対(2個)のジョイントリング32、34を用いていたが、本実施形態に係る接合構造170では、複数本の交差主鉄筋20を連結鉄筋群58に接合する環状部材として1個のジョイント筒172のみを用いる点で、第1の実施形態に係る接合構造30とは異なっている。
【0132】
本実施形態に係る接合構造170は、高架橋の高さ方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置された交差主鉄筋20の間に介装されるジョイント筒172を備えている。ジョイント筒172は円筒状に形成されており、例えば、肉厚鋼管を交差主鉄筋20の高さ方向ピッチに対応する長さに切断することにより、作製される。このジョイント筒172は、連結鉄筋群58の外周側に嵌挿され、この連結鉄筋群58と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。このとき、ジョイント筒172は、その上端面を高さ方向に沿って上側に位置する交差主鉄筋20の先端側に当接させると共に、下端面を下側に位置する交差主鉄筋20の先端側に当接させる。またジョイント筒172は、その水平断面における中心(重心)がRC柱16の中心軸CPと略一致するように位置決めされる。
【0133】
連結フック部28の先端は、ジョイント筒172の内周側まで挿入されている。これにより、ジョイント筒172の内周面と連結フック部28の内周端との間には隙間が形成される。接合構造170は、上下一対の交差主鉄筋20の連結フック部28に装填される直棒状の荷重伝達ロッド44を備えている。この荷重伝達ロッド44は、U字状の連結フック部28の内側であって、ジョイント筒172の内周側を挿通するように配置されている。このとき、荷重伝達ロッド44は、その中心軸がRC柱16の中心軸CPと略平行になる。また荷重伝達ロッド44の全長は、ジョイント筒172の長さよりも長くなっており、その両端部をジョイント筒172の両端面からそれぞれ突出させている。
【0134】
接合構造170では、荷重伝達ロッド44と連結フック部28との間及び、連結フック部28とジョイント筒172との間が最終的には、これらの間に介在するコンクリート層により互いに接合される。しかしコンクリートの打設前に、荷重伝達ロッド44の位置ずれや脱落を防止するため、例えば、ワイヤを荷重伝達ロッド44及び連結フック部28の先端部付近に巻き付けて、荷重伝達ロッド44を連結フック部28に仮止めしても良く、また金属クリップにより荷重伝達ロッド44及び連結フック部28の先端部付近を挟み付けることにより、仮止めしても良い。また荷重伝達ロッド44の上端部に、連結フック部28の幅よりも広い幅を有する鍔部を設け、この鍔部を上側の連結フック部に突き当てることにより、荷重伝達ロッド44の位置ずれ及び脱落を防止するようにしても良い。
【0135】
接合構造170では、ジョイント筒172、交差主鉄筋20の先端側及び荷重伝達ロッド44がそれぞれ鉄筋連結部57の外周側に配置され、この鉄筋連結部57と共にコンクリート成形物18の内部に埋設される。これにより、交差主鉄筋20が接合構造170により鉄筋連結部57(RC柱16)に接合されるので、任意の交差主鉄筋20に外部から荷重が伝達され、又は内部応力が作用した場合に、この交差主鉄筋20に伝達された荷重(圧縮荷重又は引張荷重)の一部が荷重伝達ロッド44、ジョイント筒172及び、これらの間に介在するコンクリート層を介してRC柱16に伝達される。
【0136】
(接合構造の作用)
次に、本実施形態に係る接合構造170の作用について説明する。本実施形態に係る接合構造170では、上下一対の交差主鉄筋20からの荷重が荷重伝達ロッド44及びコンクリート層を介してジョイント筒172に伝達されことから、交差主鉄筋20からの荷重をジョイント筒172における高さ方向に沿って延在する広い領域に分散して伝達できるので、交差主鉄筋20からの伝達荷重によりジョイント筒172が局部的に変形することを効果的に防止できる。
この結果、本実施形態に係る接合構造170によれば、交差主鉄筋20からの伝達荷重によりジョイント筒172が局部的に変形することを効果的に防止できるので、ジョイント筒172の変形に伴って交差主鉄筋20からRC柱16に伝達される荷重の伝達効率が低下することも効果的に防止できる。
【0137】
また接合構造170では、コンクリートの打設前に、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20の連結フック部28の内側に挿入し、この荷重伝達ロッド44を必要に応じて連結フック部28に仮止めするだけで、荷重伝達ロッド44を交差主鉄筋20に装填できるので、交差主鉄筋20とジョイント筒172との間で荷重を伝達する荷重伝達ロッド44の装填作業を極めて簡単なものにできる。
【0138】
なお、本実施形態に係る接合構造170では、円筒状のジョイント筒172以外にも、例えば、略角筒状のジョイント筒を環状部材として用いることができる。また本実施形態に係る接合構造170では、1本の荷重伝達ロッド44のみを上下一対の交差主鉄筋20の連結フック部28にそれぞれ装填したが、2本以上の荷重伝達ロッド44を上下一対の交差主鉄筋20の連結フック部28にそれぞれ装填しても良い。これにより、ジョイント筒172における交差主鉄筋20から荷重が伝達される領域を周方向へ拡張することが可能になるので、ジョイント筒172の局部変形を更に効果的に防止できる。また荷重伝達部材としては、鉄筋材により成形された荷重伝達ロッド44以外にも細長い鉄板材を所定の長さに切断したもの(荷重伝達板)や、円形以外の異形断面の鋼棒を所定の長さに切断したもの(荷重伝達板)も用いることができる。
【0139】
また接合構造170では、U字状に湾曲した荷重伝達ロッド50(
図11参照)を用いても良い。この場合には、荷重伝達ロッド50がジョイント筒172を上方から跨ぐよう配置されると共に、荷重伝達ロッド50の直棒部52が連結フック部28の内側であって、ジョイント筒172の内周側に差し込まれる。これにより、荷重伝達ロッド44を連結フック部28に仮止めする作業を不要にできるので、連結フック部28に対する荷重伝達ロッド50の装填作業を極めて容易なものにすることができる。
【実施例】
【0140】
次に、本発明の第1の実施形態に係る接合構造30を用いてラーメン高架橋10を実際に施工した場合に、接合構造30に用いられる構成部品の諸元を実施例として説明する。但し、接合構造30で用いられる構成部品については、適用対象となる建造物の規模、予想される負荷荷重の大きさ等に応じて、寸法、強度等の諸元が変化するものであり、本実施例に示される諸元に限定されるものではない。
【0141】
本実施例に係る接合構造30では、RC柱16としてコンクリート成形柱26の外径が800mmのものを用い、このコンクリート成形柱26の内部にD32の柱主鉄筋群25を30〜40本配筋した。高架梁12及び地中梁14としては、それぞれ橋幅方向の寸法が1200mmで、高さ方向の寸法が1200mmの略正方形の断面を有しており、橋軸方向に沿った長さが10mのものを建造した。
【0142】
高架梁12及び地中梁14には、橋軸方向に沿って12本の主鉄筋(下側主鉄筋21及び上側主鉄筋22)がコンクリート成形物18の内部に埋設されており、それらのうち8本が交差主鉄筋20として鋼管柱16の外周面付近まで延出している。ここで、主鉄筋としてはD32の寸法のものが用いられており、交差主鉄筋20については、その先端部にU字状の連結フック部28が形成されている。
【0143】
ジョイントリング32、34としては、橋幅方向に沿った外径寸法が1000mm、橋軸方向に沿った外径寸法が1000mmの略矩形状のものを用い、ジョイントリング32、34におけるベースリング部36は、90mm×90mmの矩形状断面を有する鋼棒により形成した。このベースリング部36の内周面に接合されるダイヤフラム部38は板厚16mmの鋼板により成形し、その中央部に円形開口40を形成した。またダイヤフラム部38には、1本の交差主鉄筋20に対して2個の挿通穴46が穿設されている。
またダイヤフラム部38の挿通穴46を挿通させる荷重伝達ロッド44、50としては、D32の鉄筋材を所定の長さに切断したもの、又はD32の鉄筋材を所定の長さに切断してU字状に湾曲したものを用いた。