特許第5715533号(P5715533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715533動画像画質復元装置、動画像画質復元方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715533
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】動画像画質復元装置、動画像画質復元方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20150416BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20150416BHJP
   H04N 19/182 20140101ALI20150416BHJP
   H04N 19/86 20140101ALI20150416BHJP
【FI】
   H04N19/117
   H04N19/136
   H04N19/182
   H04N19/86
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-199464(P2011-199464)
(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公開番号】特開2013-62660(P2013-62660A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉野 知伸
(72)【発明者】
【氏名】内藤 整
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−245977(JP,A)
【文献】 特開2010−178301(JP,A)
【文献】 特開2009−027443(JP,A)
【文献】 特開2006−262278(JP,A)
【文献】 特開2005−151385(JP,A)
【文献】 特開平07−288719(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/079797(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/064316(WO,A1)
【文献】 A. Buades et al.,Denoising image sequences does not require motion estimation,IEEE Conference on Advanced Video and Signal Based Surveillance (AVSS 2005),IEEE,2005年 9月,pp.70 - 74
【文献】 J. Seiler et al.,Spatio-temporal prediction in video coding by non-local means refined motion compensation,Picture Coding Symposium (PCS),IEEE,2010年12月,pp.318 - 321
【文献】 A. Buades et al.,A non-local algorithm for image denoising,IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR 2005) ,IEEE,2005年 6月,Vol.2,pp.60 - 65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
H04N 5/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元装置であって、
処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、
前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求める参照領域決定手段と、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出するフィルタ係数算出手段と、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記フィルタ係数算出手段により算出されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うフィルタ処理適用手段と、を備え
前記フィルタ係数算出手段は、前記フィルタ係数について、前記処理フレームにおける量子化ステップ幅と、前記近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行うことを特徴とする動画像画質復元装置。
【請求項2】
前記処理フレームの特定フレーム前までの各フレームとは、当該処理フレームのmフレーム前(mは、0≦m≦15を満たす任意の整数)までの各フレームのことであり、
前記処理フレームの所定フレーム後までの各フレームとは、当該処理フレームのnフレーム後(nは、m=0の場合には1≦n≦15を満たす任意の整数であり、0<m≦15を満たす場合には0≦n≦15を満たす任意の整数)までの各フレームのことであることを特徴とする請求項1に記載の動画像画質復元装置。
【請求項3】
前記参照領域決定手段は、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リストおよび動きベクトルに基づいて、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して当該動きベクトルが指し示す領域を前記参照領域として求めることを特徴とする請求項1または2に記載の動画像画質復元装置。
【請求項4】
前記参照領域決定手段は、前記処理フレームと前記近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により動きベクトルを求め、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して当該動きベクトルが指し示す領域を前記参照領域として求めることを特徴とする請求項1または2に記載の動画像画質復元装置。
【請求項5】
前記フィルタ係数算出手段は、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、前記フィルタ係数を算出するとともに、
前記処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいて、前記局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の動画像画質復元装置。
【請求項6】
局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元方法であって、
処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、
前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求める第1のステップと、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記第1のステップにおいて求めた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出する第2のステップと、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記第2のステップにおいて算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行う第3のステップと、を備え
前記第2のステップでは、前記フィルタ係数について、前記処理フレームにおける量子化ステップ幅と、前記近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行うことを特徴とする動画像画質復元方法。
【請求項7】
局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、
前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求める第1のステップと、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記第1のステップにおいて求めた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出する第2のステップと、
前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記第2のステップにおいて算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行う第3のステップと、をコンピュータに実行させ
前記第2のステップでは、前記フィルタ係数について、前記処理フレームにおける量子化ステップ幅と、前記近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行わせるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像画質復元装置、動画像画質復元方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、H.264(例えば、非特許文献1参照)に代表される映像圧縮符号化技術では、少ない符号量で原画像からの誤差を小さくするという、高い圧縮性能を実現している。しかしながら、この技術によって高圧縮された映像では、圧縮符号化過程における量子化などの処理により、特に高周波成分を伴うテクスチャにおいて大きな画質劣化が生じてしまう。
【0003】
そこで、Non−Local Means(NLM)フィルタ方式(例えば、非特許文献2参照)が提案されている。このNLMフィルタ方式では、画面内の近傍領域で類似するテクスチャの画素(値)に大きな重みを付与して、画質劣化の生じたテクスチャの画質を復元することができる。
【0004】
以下に、図8を用いて、NLMフィルタ方式におけるNLMフィルタ処理について説明する。
【0005】
NLMフィルタ処理では、NLMフィルタを用いて、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個(Lは、L≧2を満たす任意の整数)の画素を対象としたフィルタ処理が行われる。NLMフィルタには、フィルタ処理対象画素iと、フィルタ係数算出画素jと、のそれぞれについて、近傍のM×M個(Mは、1≦M≦Lを満たす任意の整数)の画素の領域との類似性を評価し、類似性が高いほど、大きなフィルタ係数を設定する。具体的には、入力される画像を以下の式(1)のように表すものとすると、フィルタ処理対象画素iに対するフィルタ係数算出画素jにおけるフィルタ係数w(i、j)は、以下の式(2)により求めることができる。
【0006】
【数1】
【0007】
【数2】
【0008】
なお、式(2)において、Nは、フィルタ処理対象画素iの近傍のM×M個の画素の領域を示し、Nは、フィルタ係数算出画素jの近傍のM×M個の画素の領域を示すものとする。また、v(N)は、Nに対するグレーレベルでの明度を示し、v(N)は、Nに対するグレーレベルでの明度を示すものとする。また、hは、フィルタの強度を示すものとする。また、z(i)は、以下の式(3)により求めることができるものとする。
【0009】
【数3】
【0010】
NLMフィルタ処理では、以上により求められたフィルタ係数w(i,j)を、劣化画像に対して適用する。このNLMフィルタ処理により得られる画素値NL[v](i)は、以下の式(4)のように表すことができる。
【0011】
【数4】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Joint Video Team(JVT) of ISO/IEC MPEG and ITU-T VCEG, "Text of ISO/IEC 14496-10 Advanced Video Coding," July 2004.
【非特許文献2】A. Buades, B. Coll, and J. M. Morel, "A Non Local Algorithm for Image Denoising," Proc. IEEE Int. Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, vol. 2, pp. 60-65, June 2005.
【非特許文献3】ISO/IEC MPEG and ITU-T VCEG, "Text of ISO/IEC 13818-2 Generic coding of moving pictures and associated audio information: Video," 2000.
【非特許文献4】C. Tomasi and R. Manduchi, "Bilateral filtering for gray and color images," In Proceedings of the Sixth International Conference on Computer Vision, page 839-846, 1998.
【非特許文献5】S. Smith and J. Brady, "Susan - a new approach to low level image processing," International Journal of Computer Vision, 23(1):45-78, 1997.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
非特許文献2に示されているNLMフィルタ方式では、処理フレーム内の近傍領域のテクスチャのみを用いてフィルタ処理を行って、画質を復元する。このため、復元した画質は、処理フレームの画質の劣化の度合いに強く依存してしまう。したがって、非特許文献2に示されているNLMフィルタ方式を、ピクチャタイプごとに異なる量子化パラメータの与えられる圧縮映像に対して単純適用すると、フレームごとの画質の差異が大きくなってしまい、不自然な映像となってしまっていた。
【0014】
そこで、本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、フレームごとの画質の差異を小さくして、テクスチャを高精度に復元できる動画像画質復元装置、動画像画質復元方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
【0016】
(1) 本発明は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元装置(例えば、図1の動画像画質復元装置1に相当)であって、処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域(例えば、図3のフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に相当)に類似する領域を、参照領域(例えば、図3の参照領域に相当)として求める参照領域決定手段(例えば、図1の参照領域決定部10に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数(例えば、後述のNLMフィルタ係数に相当)を算出するフィルタ係数算出手段(例えば、図1のフィルタ係数算出部20に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記フィルタ係数算出手段により算出されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うフィルタ処理適用手段(例えば、図1のフィルタ処理適用部30に相当)と、を備えることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元装置に、参照領域決定手段、フィルタ係数算出手段、およびフィルタ処理適用手段を設けた。そして、参照領域決定手段により、近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求めることとした。また、フィルタ係数算出手段により、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することとした。また、フィルタ処理適用手段により、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、フィルタ係数算出手段により算出されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うこととした。
【0018】
このため、(1)の動画像画質復元装置は、近傍フレームのテクスチャを用いてフィルタ処理を行って、画質を復元することができる。したがって、フィルタ処理に、処理フレームよりも画質の劣化の度合いが低い近傍フレームのテクスチャを用いることで、フレームごとの画質の差異を小さくして、テクスチャを高精度に復元できる。
【0019】
(2) 本発明は、(1)の動画像画質復元装置について、前記処理フレームの特定フレーム前までの各フレームとは、当該処理フレームのmフレーム前(mは、0≦m≦15を満たす任意の整数)までの各フレームのことであり、前記処理フレームの所定フレーム後までの各フレームとは、当該処理フレームのnフレーム後(nは、m=0の場合には1≦n≦15を満たす任意の整数であり、0<m≦15を満たす場合には0≦n≦15を満たす任意の整数)までの各フレームのことであることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0020】
この発明によれば、(1)の動画像画質復元装置において、近傍フレームとして、処理フレームのmフレーム前までの各フレームと、処理フレームのnフレーム後までの各フレームと、を用いることができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0021】
(3) 本発明は、(1)または(2)の動画像画質復元装置について、前記参照領域決定手段は、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リスト(例えば、後述の参照リストaに相当)および動きベクトル(例えば、後述の動きベクトルbに相当)に基づいて、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して当該動きベクトルが指し示す領域を前記参照領域として求めることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0022】
この発明によれば、(1)または(2)の動画像画質復元装置において、参照領域決定手段により、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リストおよび動きベクトルに基づいて、参照領域として、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して動きベクトルが指し示す領域を求めることとした。
【0023】
このため、(3)の動画像画質復元装置は、参照領域を、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リストおよび動きベクトルを用いて求める。したがって、参照領域として、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、近傍フレームごとに適切に求めることができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0024】
(4) 本発明は、(1)または(2)の動画像画質復元装置について、前記参照領域決定手段は、前記処理フレームと前記近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により動きベクトルを求め、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して当該動きベクトルが指し示す領域を前記参照領域として求めることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)または(2)の動画像画質復元装置において、参照領域決定手段により、処理フレームと近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により動きベクトルを求め、参照領域として、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して動きベクトルが指し示す領域を求めることとした。
【0026】
このため、(4)の動画像画質復元装置は、参照領域を、処理フレームと近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により求めた動きベクトルを用いて求める。したがって、参照領域として、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、近傍フレームごとに適切に求めることができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0027】
(5) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかの動画像画質復元装置について、前記フィルタ係数算出手段は、前記フィルタ係数について、前記処理フレームにおける量子化ステップ幅(例えば、後述の処理フレームにおける量子化ステップ幅wに相当)と、前記近傍フレームにおける量子化ステップ幅(例えば、後述の近傍フレームにおける量子化ステップ幅wに相当)と、の比に応じた重み付けを行うことを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0028】
この発明によれば、(1)〜(4)のいずれかの動画像画質復元装置において、フィルタ係数算出手段により、フィルタ係数について、処理フレームにおける量子化ステップ幅と、近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行うこととした。
【0029】
このため、(5)の動画像画質復元装置は、フィルタ係数に対して、処理フレームにおける量子化ステップ幅と、近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行う。したがって、処理フレームと近傍フレームとの類似度が高くなるに従って、この近傍フレームにおけるフィルタ係数の、フィルタ処理に用いるフィルタ係数に対する影響を大きくすることができる。よって、フレームごとの画質の差異をさらに小さくして、テクスチャをより高精度に復元できる。
【0030】
(6) 本発明は、(1)〜(5)のいずれかの動画像画質復元装置において、前記フィルタ係数算出手段は、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、前記フィルタ係数を算出するとともに、前記処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいて、前記局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、(1)〜(5)のいずれかの動画像画質復元装置において、フィルタ係数算出手段によるフィルタ係数の算出を、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて行うだけでなく、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいても行うこととした。
【0032】
このため、(6)の動画像画質復元装置は、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいて算出したフィルタ係数も、フィルタ処理に用いるフィルタ係数に用いる。このため、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて算出したフィルタ係数のみを、フィルタ処理に用いるフィルタ係数に用いる場合と比べて、フレームごとの画質の差異をさらに小さくして、テクスチャをより高精度に復元できる。
【0033】
(7) 本発明は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元方法であって、処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域(例えば、図3のフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に相当)に類似する領域を、参照領域(例えば、図3の参照領域に相当)として求める第1のステップ(例えば、図1の参照領域決定部10による処理相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記第1のステップにおいて求めた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数(例えば、後述のNLMフィルタ係数に相当)を算出する第2のステップ(例えば、図1のフィルタ係数算出部20による処理に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記第2のステップにおいて算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行う第3のステップ(例えば、図1のフィルタ処理適用部30による処理に相当)と、を備えることを特徴とする動画像画質復元方法を提案している。
【0034】
この発明によれば、処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、まず、近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求めることとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うこととした。以上によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0035】
(8) 本発明は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域(例えば、図3のフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に相当)に類似する領域を、参照領域(例えば、図3の参照領域に相当)として求める第1のステップ(例えば、図1の参照領域決定部10による処理相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記第1のステップにおいて求めた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数(例えば、後述のNLMフィルタ係数に相当)を算出する第2のステップ(例えば、図1のフィルタ係数算出部20による処理に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記第2のステップにおいて算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行う第3のステップ(例えば、図1のフィルタ処理適用部30による処理に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0036】
この発明によれば、処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、プログラムをコンピュータに実行させることで、まず、近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求めることとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うこととした。以上によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、フレームごとの画質の差異を小さくして、テクスチャを高精度に復元できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1実施形態に係る動画像画質復元装置の構成を示すブロック図である。
図2】前記動画像画質復元装置の動作を説明するための図である。
図3】前記動画像画質復元装置で求められる参照領域について説明するための図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る動画像画質復元装置の構成を示すブロック図である。
図5】前記動画像画質復元装置の動作を説明するための図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る動画像画質復元装置の構成を示すブロック図である。
図7】前記動画像画質復元装置の動作を説明するための図である。
図8】NLMフィルタ方式におけるNLMフィルタ処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0040】
<第1実施形態>
[動画像画質復元装置1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る動画像画質復元装置1の構成を示すブロック図である。動画像画質復元装置1は、H.264規格により圧縮符号化されたビットストリームの復号により動画像復号装置(図示省略)において得られた劣化画像に対して、復元処理を行う。この動画像画質復元装置1は、参照領域決定部10、フィルタ係数算出部20、およびフィルタ処理適用部30を備える。
【0041】
[動画像画質復元装置1の動作]
参照領域決定部10は、H.264規格により圧縮符号化されたビットストリームから得られる参照リストaおよび動きベクトル(Motion Vector;MV)bを入力とする。この参照領域決定部10は、処理フレームを構成する全ての画素に対して、図2に示す第1の参照領域決定処理をそれぞれ行う。
【0042】
第1の参照領域決定処理では、参照リストaおよび動きベクトルbに基づいて、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に対して動きベクトルbが指し示す領域を、図3に示すように、近傍フレームごとに参照領域として取得する。具体的には、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域について、この領域の少なくとも一部を含む予測ブロックにおける参照リストaおよび動きベクトルbを用いて、各近傍フレームにおける上述の領域の少なくとも一部の参照領域を取得する。これによれば、参照領域として、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に類似する領域が近傍フレームごとに取得されることとなる。そして、取得した各近傍フレームにおける参照領域を、参照領域cとして出力する。
【0043】
なお、近傍フレームとは、フィルタ処理対象画素iを含む処理フレームを基準として、この処理フレームのmフレーム前(mは、0≦m≦15を満たす任意の整数)までの各フレームと、この処理フレームのnフレーム後(nは、m=0の場合には1≦n≦15を満たす任意の整数であり、0<m≦15を満たす場合には0≦n≦15を満たす任意の整数)までの各フレームと、のことである。これらmの値とnの値とは、予め定められる固定値であってもよいし、可変値であってもよい。
【0044】
また、上述のように参照リストaおよび動きベクトルbを用いて参照領域を取得すると、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域と、取得した各近傍フレームにおける参照領域とは、類似することとなる。ここで、類似するとは、画素値の分布に関する評価値が類似するということであり、画素値の分布に関する評価値については、上述の式(2)の右辺で求めることができる。この画素値の分布に関する評価値が大きくなるに従って、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域と参照領域との類似の度合いが、高くなる。
【0045】
図1に戻って、フィルタ係数算出部20は、参照領域cと、上述の動画像復号装置において得られた劣化画像の画素値dと、を入力とする。このフィルタ係数算出部20は、処理フレームを構成する全ての画素に対して、図2に示す第1のフィルタ係数算出処理をそれぞれ行う。
【0046】
第1のフィルタ係数算出処理では、NLMフィルタ係数eの算出を、図8を用いて上述したように処理フレームの画素のみを用いて行うだけでなく、近傍フレームの画素も用いて行う。具体的には、まず、図8を用いて上述したように、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に基づいて、NLMフィルタ係数を求める。これによれば、処理フレームの画素のみを用いてNLMフィルタ係数が求められることとなる。次に、上述の式(2)により、参照領域cに含まれる各近傍フレームにおける参照領域ごとに、この参照領域と、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域と、に基づいて、NLMフィルタ係数を求める。これによれば、処理フレームの画素と近傍フレームの画素とを用いて、近傍フレームごとにNLMフィルタ係数が求められることとなる。次に、処理フレームのみを用いて求めたNLMフィルタ係数と、近傍フレームごとに求めたNLMフィルタ係数と、に対して正規化を行って、NLMフィルタ係数eとして出力する。なお、NLMフィルタ係数は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数の一種である。
【0047】
図1に戻って、フィルタ処理適用部30は、参照領域cと、劣化画像の画素値dと、NLMフィルタ係数eと、を入力とする。このフィルタ処理適用部30は、処理フレームを構成する全ての画素に対して、図2に示すフィルタ処理適用処理をそれぞれ行う。
【0048】
フィルタ処理適用処理では、劣化画像の画素値dの参照領域cにおける画素のNLMフィルタ係数eを用いて、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に対してフィルタ処理を行って、フィルタ処理対象画素iのフィルタ処理された画素値fとして出力する。
【0049】
処理フレームを構成する全ての画素に対して上述のフィルタ処理適用処理を行うと、この処理フレームを構成する画素ごとに、画素値fが出力される。これら出力された画素値fが集まることで、復元画像として出力されることとなる。
【0050】
以上の動画像画質復元装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0051】
動画像画質復元装置1は、NLMフィルタ係数eの算出を、処理フレームの画素を用いて行うだけでなく、近傍フレームの画素も用いて行う。このため、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域のテクスチャだけでなく、近傍フレームにおけるテクスチャも用いてフィルタ処理を行って、画質を復元することができる。したがって、フレームごとの画質の差異を小さくして、テクスチャを高精度に復元できる。
【0052】
また、動画像画質復元装置1は、圧縮符号化されたビットストリームから得られる参照リストaおよび動きベクトルbを用いるが、これら参照リストaおよび動きベクトルbは、H.264規格により圧縮符号化されたビットストリームに含まれるものである。このため、既存のビットストリームに情報を追加することなく、テクスチャを高精度に復元でき、動画像復号装置において得られた劣化画像を高画質化できる。
【0053】
なお、テクスチャの高精度な復元は、縞模様といった周期的なテクスチャにおいて、顕著に実現できる。
【0054】
また、本実施形態では、動画像画質復元装置1は、H.264規格を想定しているが、これに限らず、上述の非特許文献3に示されているMPEG−2といった、H.264規格と同様の動き補償予測を用いた圧縮技術についても、適用できる。
【0055】
<第2実施形態>
[動画像画質復元装置1Aの構成]
図4は、本発明の第2実施形態に係る動画像画質復元装置1Aの構成を示すブロック図である。動画像画質復元装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る動画像画質復元装置1とは、参照領域決定部10の代わりに参照領域決定部10Aを備える点が異なる。なお、動画像画質復元装置1Aにおいて、動画像画質復元装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
[動画像画質復元装置1Aの動作]
参照領域決定部10Aは、劣化画像gを入力とする。この参照領域決定部10Aは、処理フレームを構成する全ての画素に対して、図5に示す第2の参照領域決定処理を行う。
【0057】
第2の参照領域決定処理では、まず、劣化画像gにおけるフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域について、処理フレームと近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定を行って、動きベクトルを求める。次に、求めた動きベクトルがフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に対して指し示す領域を、近傍フレームごとに参照領域として取得する。そして、取得した各近傍フレームにおける参照領域を、参照領域cとして出力する。
【0058】
以上の動画像画質復元装置1Aによれば、動画像画質復元装置1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0059】
<第3実施形態>
[動画像画質復元装置1Bの構成]
図6は、本発明の第3実施形態に係る動画像画質復元装置1Bの構成を示すブロック図である。動画像画質復元装置1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る動画像画質復元装置1とは、フィルタ係数算出部20の代わりにフィルタ係数算出部20Aを備える点が異なる。なお、動画像画質復元装置1Bにおいて、動画像画質復元装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
[動画像画質復元装置1Bの動作]
【0061】
フィルタ係数算出部20Aは、参照領域cと、劣化画像の画素値dと、各フレームにおける量子化パラメータ情報(QP)hと、を入力とする。このフィルタ係数算出部20Aは、処理フレームを構成する全ての画素に対して、図7に示す第2のフィルタ係数算出処理をそれぞれ行う。
【0062】
第2のフィルタ係数算出処理では、図2に示した第1のフィルタ係数算出処理と同様に、NLMフィルタ係数eの算出を、処理フレームの画素のみを用いて行うだけでなく、近傍フレームの画素も用いて行う。具体的には、まず、図8を用いて上述したように、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に基づいて、NLMフィルタ係数を求める。これによれば、処理フレームの画素のみを用いてNLMフィルタ係数が求められることとなる。次に、上述の式(2)により、参照領域cに含まれる各近傍フレームにおける参照領域ごとに、この参照領域と、フィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域と、に基づいて、NLMフィルタ係数を求める。これによれば、処理フレームの画素と近傍フレームの画素とを用いて、近傍フレームごとにNLMフィルタ係数が求められることとなる。次に、近傍フレームごとに求めたNLMフィルタ係数に対して、各近傍フレームにおける量子化パラメータ情報hを用いて重みを制御する。次に、処理フレームのみを用いて求めたNLMフィルタ係数と、重み制御を行った近傍フレームごとのNLMフィルタ係数と、に対して正規化を行って、NLMフィルタ係数eとして出力する。
【0063】
上述の量子化パラメータ情報hを用いた重みの制御では、例えば、量子化パラメータ情報hから得られる量子化ステップ幅を用いることができる。この量子化ステップ幅を用いる場合には、処理フレームにおける量子化ステップ幅をw、近傍フレームにおける量子化ステップ幅をwとすると、この近傍フレームにおけるNLMフィルタ係数に対してW/w倍の重みを付ける。
【0064】
以上の動画像画質復元装置1Bによれば、動画像画質復元装置1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0065】
動画像画質復元装置1Bは、各近傍フレームにおけるNLMフィルタ係数に対して、W/w倍の重みを付ける。このため、処理フレームと近傍フレームとの類似度が高くなるに従って、この近傍フレームにおけるNLMフィルタ係数の、NLMフィルタ係数eに対する影響を大きくすることができる。したがって、フレームごとの画質の差異をさらに小さくして、テクスチャをより高精度に復元できる。
【0066】
なお、本発明の動画像画質復元装置1、1A、1Bの処理を、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶し、記録媒体に記録されたプログラムを動画像画質復元装置1、1A、1Bに読み込ませ、実行することによって、本発明を実現できる。
【0067】
また、上述のプログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納した動画像画質復元装置1、1A、1Bから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0068】
また、上述のプログラムは、上述の機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述の機能を動画像画質復元装置1、1A、1Bにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0069】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【0070】
例えば、上述の実施形態では、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタとして、NLMフィルタを用いたが、これに限らず、NLMフィルタと同様の性質を持つフィルタ、例えばTotal Variationや、上述の非特許文献4に示されているBilateral Filterや、上述の非特許文献5に示されているSUSAN Filterなどを用いてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、第2のフィルタ係数算出処理を、図7に示した第1の参照領域決定処理に組み合わせた例を示したが、これに限らず、例えば図5に示した第2の参照領域決定処理に組み合わせてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、近傍フレームを規定するmは、0≦m≦15を満たす任意の整数であることとし、近傍フレームを規定するnは、m=0の場合には1≦n≦15を満たす任意の整数であり、0<m≦15を満たす場合には0≦n≦15を満たす任意の整数であるとしたが、これに限らず、mおよびnはそれぞれ任意の整数であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1、1A、1B・・・動画像画質復元装置
10、10A・・・参照領域決定部
20、20A・・・フィルタ係数算出部
30・・・フィルタ処理適用部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8