【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
【0016】
(1) 本発明は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元装置(例えば、
図1の動画像画質復元装置1に相当)であって、処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域(例えば、
図3のフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に相当)に類似する領域を、参照領域(例えば、
図3の参照領域に相当)として求める参照領域決定手段(例えば、
図1の参照領域決定部10に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数(例えば、後述のNLMフィルタ係数に相当)を算出するフィルタ係数算出手段(例えば、
図1のフィルタ係数算出部20に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記フィルタ係数算出手段により算出されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うフィルタ処理適用手段(例えば、
図1のフィルタ処理適用部30に相当)と、を備えることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元装置に、参照領域決定手段、フィルタ係数算出手段、およびフィルタ処理適用手段を設けた。そして、参照領域決定手段により、近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求めることとした。また、フィルタ係数算出手段により、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することとした。また、フィルタ処理適用手段により、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、フィルタ係数算出手段により算出されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うこととした。
【0018】
このため、(1)の動画像画質復元装置は、近傍フレームのテクスチャを用いてフィルタ処理を行って、画質を復元することができる。したがって、フィルタ処理に、処理フレームよりも画質の劣化の度合いが低い近傍フレームのテクスチャを用いることで、フレームごとの画質の差異を小さくして、テクスチャを高精度に復元できる。
【0019】
(2) 本発明は、(1)の動画像画質復元装置について、前記処理フレームの特定フレーム前までの各フレームとは、当該処理フレームのmフレーム前(mは、0≦m≦15を満たす任意の整数)までの各フレームのことであり、前記処理フレームの所定フレーム後までの各フレームとは、当該処理フレームのnフレーム後(nは、m=0の場合には1≦n≦15を満たす任意の整数であり、0<m≦15を満たす場合には0≦n≦15を満たす任意の整数)までの各フレームのことであることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0020】
この発明によれば、(1)の動画像画質復元装置において、近傍フレームとして、処理フレームのmフレーム前までの各フレームと、処理フレームのnフレーム後までの各フレームと、を用いることができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0021】
(3) 本発明は、(1)または(2)の動画像画質復元装置について、前記参照領域決定手段は、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リスト(例えば、後述の参照リストaに相当)および動きベクトル(例えば、後述の動きベクトルbに相当)に基づいて、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して当該動きベクトルが指し示す領域を前記参照領域として求めることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0022】
この発明によれば、(1)または(2)の動画像画質復元装置において、参照領域決定手段により、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リストおよび動きベクトルに基づいて、参照領域として、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して動きベクトルが指し示す領域を求めることとした。
【0023】
このため、(3)の動画像画質復元装置は、参照領域を、映像圧縮符号化ストリームから得られる参照リストおよび動きベクトルを用いて求める。したがって、参照領域として、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、近傍フレームごとに適切に求めることができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0024】
(4) 本発明は、(1)または(2)の動画像画質復元装置について、前記参照領域決定手段は、前記処理フレームと前記近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により動きベクトルを求め、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して当該動きベクトルが指し示す領域を前記参照領域として求めることを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)または(2)の動画像画質復元装置において、参照領域決定手段により、処理フレームと近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により動きベクトルを求め、参照領域として、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して動きベクトルが指し示す領域を求めることとした。
【0026】
このため、(4)の動画像画質復元装置は、参照領域を、処理フレームと近傍フレームとの間でのブロックマッチングに基づく動き推定により求めた動きベクトルを用いて求める。したがって、参照領域として、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、近傍フレームごとに適切に求めることができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0027】
(5) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかの動画像画質復元装置について、前記フィルタ係数算出手段は、前記フィルタ係数について、前記処理フレームにおける量子化ステップ幅(例えば、後述の処理フレームにおける量子化ステップ幅w
cに相当)と、前記近傍フレームにおける量子化ステップ幅(例えば、後述の近傍フレームにおける量子化ステップ幅w
nに相当)と、の比に応じた重み付けを行うことを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0028】
この発明によれば、(1)〜(4)のいずれかの動画像画質復元装置において、フィルタ係数算出手段により、フィルタ係数について、処理フレームにおける量子化ステップ幅と、近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行うこととした。
【0029】
このため、(5)の動画像画質復元装置は、フィルタ係数に対して、処理フレームにおける量子化ステップ幅と、近傍フレームにおける量子化ステップ幅と、の比に応じた重み付けを行う。したがって、処理フレームと近傍フレームとの類似度が高くなるに従って、この近傍フレームにおけるフィルタ係数の、フィルタ処理に用いるフィルタ係数に対する影響を大きくすることができる。よって、フレームごとの画質の差異をさらに小さくして、テクスチャをより高精度に復元できる。
【0030】
(6) 本発明は、(1)〜(5)のいずれかの動画像画質復元装置において、前記フィルタ係数算出手段は、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて、前記フィルタ係数を算出するとともに、前記処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいて、前記局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することを特徴とする動画像画質復元装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、(1)〜(5)のいずれかの動画像画質復元装置において、フィルタ係数算出手段によるフィルタ係数の算出を、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて行うだけでなく、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいても行うこととした。
【0032】
このため、(6)の動画像画質復元装置は、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に基づいて算出したフィルタ係数も、フィルタ処理に用いるフィルタ係数に用いる。このため、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域決定手段により求められた参照領域と、に基づいて算出したフィルタ係数のみを、フィルタ処理に用いるフィルタ係数に用いる場合と比べて、フレームごとの画質の差異をさらに小さくして、テクスチャをより高精度に復元できる。
【0033】
(7) 本発明は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元方法であって、処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域(例えば、
図3のフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に相当)に類似する領域を、参照領域(例えば、
図3の参照領域に相当)として求める第1のステップ(例えば、
図1の参照領域決定部10による処理相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記第1のステップにおいて求めた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数(例えば、後述のNLMフィルタ係数に相当)を算出する第2のステップ(例えば、
図1のフィルタ係数算出部20による処理に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記第2のステップにおいて算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行う第3のステップ(例えば、
図1のフィルタ処理適用部30による処理に相当)と、を備えることを特徴とする動画像画質復元方法を提案している。
【0034】
この発明によれば、処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、まず、近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求めることとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うこととした。以上によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0035】
(8) 本発明は、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ処理により動画像を高画質化する動画像画質復元方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、処理フレームを基準として、当該処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、当該処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、前記近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域(例えば、
図3のフィルタ処理対象画素iの近傍のL×L個の画素の領域に相当)に類似する領域を、参照領域(例えば、
図3の参照領域に相当)として求める第1のステップ(例えば、
図1の参照領域決定部10による処理相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、前記第1のステップにおいて求めた参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数(例えば、後述のNLMフィルタ係数に相当)を算出する第2のステップ(例えば、
図1のフィルタ係数算出部20による処理に相当)と、前記フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、前記第2のステップにおいて算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行う第3のステップ(例えば、
図1のフィルタ処理適用部30による処理に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0036】
この発明によれば、処理フレームの特定フレーム前までの各フレームと、処理フレームの所定フレーム後までの各フレームと、を近傍フレームとすると、プログラムをコンピュータに実行させることで、まず、近傍フレームごとに、処理フレームにおけるフィルタ処理対象画素の近傍の領域に類似する領域を、参照領域として求めることとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域と、参照領域と、に基づいて、局所的な絵柄の類似性に基づくフィルタ係数を算出することとした。次に、フィルタ処理対象画素の近傍の領域に対して、算出したフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うこととした。以上によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。