(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施例1について、
図1〜
図6を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る立体映像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、100は映像入力I/F、101は映像デコーダ回路、102は立体映像色補正処理部、103は立体映像処理部、104は左右色補正処理部、105は立体表示処理部、106は表示部である。
【0015】
映像入力I/F100は、放送や光ディスクなどのプレーヤ装置やゲーム機などから映像や音声、文字などのコンテンツの入力を行うインタフェースである。映像デコーダ回路101は映像のデコード処理などを行い、映像信号を出力する。立体映像色補正処理部102では、Side−by−Side(SBS)方式やTop−and−Bottom(TAB)方式、Frame−Packing(FP)方式や多眼方式などの立体映像が入力された場合に、立体映像処理部103にて、左右のそれぞれの目に対応する映像を分離する映像信号処理を行う。左右色補正処理部104では、左右のそれぞれの目に対応する映像の色の差分が小さくなるように色補正(色空間上の補正)を行う。左右色補正処理部104にて色補正がなされた映像を立体表示処理部105にて、左目用映像L、右目用映像Rを切替えて表示部106に出力し、その切替えタイミングをシャッタ眼鏡に伝送する赤外線信号処理などを行う。偏光眼鏡方式の3D表示部場合には、表示部106に設置された視差バリアに合わせて、L、Rの映像が表示されるように表示画素を調整する処理も行う。裸眼方式の場合には、表示部に設置したレンチキュラレンズなどに合わせた映像信号処理を行う。表示部106は液晶デバイスやOLED(Organic light-emitting diode)、プラズマなどを利用した表示部であり、立体表示処理部105で出力されたL、Rの映像を調整されたタイミングで切替えて表示や、設置された視差バリアに合わせた画素での表示、または設置されたレンチキュラレンズに合わせた画素での表示などを行い、立体表示を行う。
【0016】
次に、立体映像表示時に右目用映像と左目用映像の色の差異を軽減する仕組みを説明する。
【0017】
図2は、第一の実施形態本発明の実施例1に係るである左右映像色補正処理装置部の詳細な構成の一例を示すブロック図である。 SBS方式やTAB方式、FP方式などの立体表示用の映像は
図1の立体映像信号処理部103にて左目用映像201と右目用映像202に分離をしされ、
図2の左右映像色補正処理部104へ入力される。例えばSBS方式であれば、映像デコーダ回路101にてデコードされた映像の左半分を左目用映像、右半分を右目用映像として分離する。その後、左右色補正処理部104にて、左右それぞれの映像の色分析を行う。
【0018】
図2の左右色補正処理部104において、L映像色相ヒストグラム解析部203、R映像色相ヒストグラム解析部204は、左右映像の色空間解析をそれぞれ行う。色相補正処理部205は、例えば左右それぞれのヒストグラムのピークや色相幅、ヒストグラムの重心などの特徴パラメータ(以下、単に「特徴」と記す)を抽出し、その特徴の差分を求める。さらに差分を低減する様に、左右映像の色相をそれぞれ変化させる補正を行う。これにより、色相の差異が少ない左目用映像206と右目用映像207が出力される。
【0019】
ここで、L映像色相ヒストグラム解析部203、R映像色相ヒストグラム解析部204、色相補正処理部205における処理に用いられる色相ヒストグラムについて説明する。
【0020】
本実施例では、L映像色相ヒストグラム解析部203、R映像色相ヒストグラム解析部204において、左目用映像と右目用映像のそれぞれの色相のヒストグラムを算出する。まず、色相の数値の定義を
図4に示す。HSV色空間において円柱の円一周が色相を表し、赤を0度として、黄、緑、青、紫と360度変化する。この色相を横軸にとり、左(または右)目用映像1画面に含まれる色相毎の画素の数を数えてグラフ化した例が、
図5に示す色相ヒストグラムである。この色相ヒストグラムの分布を使って、左右映像それぞれの色相の差異を算出する。ヒストグラムの算出と色相補正の詳細については
図3を用いて後述する。
【0021】
本例では、HSV色空間の色相でのヒストグラム解析の例を示しているが、色分析としては、例えば、色相(Hue)、彩度(Saturation/Chroma)、明度(Brightness/Lightness/Value)を使ったHSV/HSB色空間に分離して、それぞれのヒストグラム分布などを求めてもよい。これは、色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Lightness/Luminance または Intensity)を使ったHLS/HSI色空間や、CIE表色系(RGB、XYZ、xyY、L*u*v*、L*a*b*)やsRGBカラートライアングルなど様々な色空間を表すそれぞれの軸でヒストグラム分布を算出する色分析などでよい。
【0022】
また、本例においては、HSV色空間の色相、彩度、明度の軸で表現されるヒストグラムの内、色相ヒストグラムを解析し、左右映像のヒストグラム特徴を近づけることで、色空間の差異を低減する。色相のみでなく、彩度や明度もヒストグラム分布を解析して、その特徴の差分量を算出し、この差分量を低減しても良い。この処理は、色相のヒストグラム解析と同時に行っても良いし、または時間的に異なるフレームに対して行っても良い。
【0023】
次に、
図3は、本発明の実施例1の左右映像色補正処理部104の左右色補正処理シーケンスの例について
図3、
図5、
図6を用いて説明する。
【0024】
S300では、左右映像色補正処理部104に左右の映像が入力されて、処理が開始される。S301では、L映像色相ヒストグラム解析部203が左目用映像に含まれる各色相の画素数を集計する。同様にS303では、R映像色相ヒストグラム解析部204が右目用映像に含まれる各色相の画総数を集計する。S302では、L映像色相ヒストグラム解析部203が左目用映像色相ヒストグラムの色相の特徴を検出する。ここで色相の特徴とは、ピーク色相位置、ピーク色相の度数、ピーク色相周辺の分布幅、ピーク色相周辺分布の重心の位置、またはこれらの組合せである。
図5が左右色補正処理部のL映像色相ヒストグラム解析部203またはR映像色相ヒストグラム解析部204が集計した色相ヒストグラムの例である。例えば、青い空が表現されているような映像であれば、青の色相周辺にヒストグラムが現れ、ピーク色相、ピーク色相周辺の分布の幅、ピーク周辺の重心の色相を検出することで、映像の色相の特徴を判断することができる。同様にS304において、映像色相ヒストグラム解析部204が右目用映像の色相ヒストグラムの特徴を検出する。次に、S305において、色相補正処理部205が、左目用映像の色相の特徴と右目用映像の色相の特徴とを比較する。例えば、ピーク色相位置やピーク度数、ピーク色相周辺分布の幅、ピーク周辺色相分布の重心位置などが、どのくらいずれているのか等を算出して、特徴の差分を数値化する。S306において、色相補正処理部205は、S305で算出したヒストグラム分布の特徴の差分量が、所定の閾値以上だった場合には、色補正をしないと判断する(S307)。S307の判断に加えて、左右映像の色分析の結果、特徴の差分量が大きい場合には、入力が3D映像信号ではないと判断してもよい。この場合、立体映像信号処理部103に対して入力映像を左右映像に分離しない指示をしてもよい(S308)。このとき
図1の立体映像処理装置は2Dの映像信号処理を行う。
【0025】
S308の処理を行う利点を以下に説明する。まず、S307において特徴の差分量が大きい場合には、入力映像が3D映像ではない入力映像信号に対して、立体表示装置の設定で強制的にSBSやTABなどの3Dのように映像を半分に分離して左目用映像と右目用映像を作成して3D表示をしようとしている可能性がある。この場合には、映像が破綻してしまっているので、左右映像の色合わせは必要なく(S307)、さらに、左右映像に分離する必要がない。そこで、立体映像信号処理部103に対して左右映像分離処理をしない制御を指示する(S308)。
【0026】
立体映像信号処理部103がS308の指示を受けた場合の処理としては、立体映像信号処理部103が、映像デコーダ回路で出力された映像信号をそのまま、左目用映像出力、右目用映像出力として同じ映像を出力し、立体表示処理105が3D表示と同様の表示(左右映像を交互に表示/左右映像をラインバイラインで表示)を行って2D表示を実現してもよい。
【0027】
また、立体映像信号処理部103がS308の指示を受けた場合の処理の別の例としては、立体映像色補正処理部102ともに何もせず、映像デコーダ回路101の2Dの出力映像信号をそのまま立体表示部105に送信し、出力映像信号を立体表示部105が表示処理設定を3D表示から2D表示に切換えて表示してもよい。
【0028】
また、S305において、色相のヒストグラム特徴の差分量が大きくても、ある所定の差分である場合には、赤青メガネを利用したアナグリフ方式で映像が入力されていると判断して、色補正はせずにそのまま左右映像を出力する処理を行ってもよい。
【0029】
また、色相のヒストグラム特徴の差分量が大きい場合には、左右のピントやホワイトバランスが合っていないカメラを2台使って、撮影された映像の可能性もある。この場合は、眼精疲労等を考慮し、立体感はなくなってしまうが、左目用または右目用映像のどちらかのみを選択して、左右同じ映像を出力し、左右の目に見える映像の色ズレを無くす処理をおこなってもよい。
【0030】
また、上述したアナグリフ方式と判定する色分布の左右映像の差異の閾値と、カメラのピントやホワイトバランスの差による色分布の左右映像の差異の閾値は、異なる閾値を有しても良い。すなわち、複数の閾値を設定することにより、差異の大きさに応じてこれらの複数の判断を切換えてもよい。
【0031】
図6は、S305で算出する、左右色補正処理における左右の装置の色相ヒストグラムの特徴を示した例を示している。であり、色相ピークの色相位置、やピーク色相の度数、ピーク色相周辺の分布幅(ヒストグラム集中範囲)などがヒストグラムの特徴を表している。ここで、さらにヒストグラム度数とヒストグラム集中範囲を利用して、ヒストグラムが集中している部分のヒストグラム重心を算出したりすることができる。
図6中には、色相ヒストグラムの特徴を表すために算出する数値の例を示している。例えば、まず、左目用映像と右目用映像のそれぞれの色相のピークを示す色相位置(PL0、PL1、PR0、PR1)、ヒストグラムの各ピーク度数(ΔPL0、ΔPR0、ΔPL1、ΔPR1)を算出する。さらに、ヒストグラムにおいて設定した閾値以上のヒストグラム度数が集中している範囲ΔWL0、ΔWL1、ΔWR0、ΔWR1を算出する。これらをヒストグラムの特徴として利用し、左右映像の特徴の差分量を算出する。以上のように、
図3のS306において左右映像の色相の特徴差分量の大きさの判定際に、色相ピークの位置の差である|PL0−PR0|や|PL1−PR1|と所定の閾値を比較してもよい。また、ピーク度数の差である|ΔPL0−ΔPR0|や|ΔPL1−ΔPR1|と所定の閾値を比較してもよい。さらに、ヒストグラム集中範囲の差を判定に用いてもよい。
【0032】
次に、S309では上記のとおり、S305で算出した特徴の差分量を色相の補正量として決定する。例えば、S305で算出した左目用映像と右目用映像の色相のピークの色相ズレ(PL0−PR0、PL1−PR1;PL0、PR0、PL1、PR1はヒストグラムの各ピーク度数の色相位置)、ピーク度数差分(ΔPL0−ΔPR0、ΔPL1−ΔPR1;ΔPL0、ΔPR0、ΔPL1、ΔPR1はヒストグラムの各ピーク度数)を色相補正量とする。さらに、S309ではヒストグラムにおいて設定した閾値以上のヒストグラム度数が集中している範囲ΔWn(n:整数)を算出し、色相補正の補正範囲とする。
【0033】
S310において、S309で決定した補正量に応じて、左目用映像、右目用映像の色相補正処理を行う。映像の色相補正は少なくとも一方の映像に対して行えばよい。例えば、右目用映像のピーク色相PR0の周辺ΔWL0の範囲を|PL0−PR0|だけ色相を右方向にずらし、PR1の周辺ΔWL1の範囲を|PL1−PR1|だけ色相を左方向にずらすような色相補正を行う。このように、補正範囲をΔWL0やΔWL1に制限し、その範囲にある色相の画素を補正することで、補正の精度を上げるとともに、補正による弊害を少なくすることができる。
【0034】
さらに、ΔWL0、ΔWL1それぞれの範囲内の画素を補正し、ピーク度数や周辺の色相の度数を合わせる処理を行ってもよい。
【0035】
このような色相補正によって左右映像のヒストグラム分布の特徴を近づける際は、右目用映像のヒストグラム分布の特徴を変化させて、左目用映像のヒストグラム分布の特徴に近づけても良い。また、左目用映像の特徴を変化させて、右目用映像の特徴に近づけても良い。または、左目用映像のヒストグラム分布の特徴と右目用映像のヒストグラム分布の特徴の平均を取り、左右映像の両方を算出した平均のヒストグラム分布の特徴に近づけても良い。
【0036】
また、本処理は、毎フレーム行っても良いし、数フレーム毎に行っても良い。数フレーム毎に行う場合には、数フレームの間は同じ色相補正を行うことで、処理負荷を低減できる。
【0037】
以上説明した処理により、左右の映像の色相のズレ量を定量化し、ズレ量に応じた左右映像の色相のヒストグラムの近似が可能となる。
【0038】
なお、上述の例では色相の補正例を説明したが、他の色空間をについて、左右映像の色の特徴の差異量に応じた左右映像の色補正を行ってもよい。
【0039】
なお、左目用映像と右目用映像とのうちいずれの映像を補正対象にするかについては、処理部に後に入力される映像を補正対象としてもよい。この場合、先入力映像をラインメモリに格納し、先入力映像のヒストグラム分布の特徴を先に解析し、当該解析結果を利用して、後入力映像の色相を先入力映像の解析結果に応じて色相補正する方が、処理高速化の観点で利点がある。例えば、Frame Packing方式などにおいて、左目用映像が先に伝送される場合には、左目用の映像のヒストグラム分布の特徴の解析結果を利用して、右目用映像の色相を左目用映像のヒストグラム分布の特徴に合わせることが望ましい。また、SBS方式、TAB方式においても受信した映像が左目用映像からラインメモリに納められる場合も同様である。
【0040】
処理高速化の例としては、Frame Packing方式の場合は、先に入力される一方の目の映像(例えば、左目用映像)のヒストグラム分布の特徴の解析をし、後から入力される他方の目の映像(例えば、右目用映像)に対し右目用映像の色補正処理を行う。このとき、先に入力された左目用映像のヒストグラム解析結果を利用して、1ラインもしくは数ラインずつ右目用映像のヒストグラム分布の特徴が解析でき次第、リアルタイムに後から入力される右目用映像の色補正処理が可能となる。後から入力される映像(右目用映像)のヒストグラム解析結果を先に入力される映像(左目用映像)の色補正に適用する場合は、1フレーム表示処理が遅れることになるので、先に入力される映像(左目用映像)の結果を利用して後から入力される映像(右目用映像)の色補正を行う方が高速である。TAB方式においても、同様に左目用映像のヒストグラム解析を先にしておくことで、その結果を利用して、右目用映像を1ライン毎に補正していくことが可能となる。SBS方式の場合には、1ラインもしくは数ラインメモリ上に左右映像が両方入力されるため、左右同時な処理が可能となる。高速な処理が可能であれば、左から画素をカウントすると先に左目用映像のヒストグラム結果が得られるため、その結果に合わせて後半でカウントしていく画素の色補正をリアルタイムに補正できるので、高速化ができる。TAB方式においても、同様に先に入力された左目用映像のヒストグラム解析を先にしておくことで、その結果を利用して、後に入力される右目用映像を1ライン毎に補正していくことが可能となる。
【0041】
なお、
図1において、映像入力I/F100から立体表示処理部105までを一体として立体映像処理装置を構成し、表示部106を有する別体の表示装置と接続してもよく、映像入力I/F100から表示部106までを一体として立体表示装置を構成してもよい。
【実施例2】
【0042】
以下、本発明の実施例2について、
図7、
図8を参照して説明する。
図7は、本発明の実施例2に係る立体映像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
図7に示す構成は、
図1の構成にユーザの操作を入力するインタフェースであるユーザI/F(インタフェース)700を追加した構成である。本ユーザI/Fを搭載することで、ユーザが3D視聴を選択したことを検知してから、左右色補正処理を実施することが可能となる。
【0044】
図8にユーザ操作と左右色補正処理の連動の例を示す。表示装置106は、まずは、放送やネットからSBS方式で受信した3D映像信号は、表示例800のように表示する。また、TAB方式で受信した3D映像信号は、表示例801の様に表示する。次に、リモコン802から、2Dから3Dへの切替え指示信号が送信された場合、ユーザI/F700が当該切換え指示信号を受信する。ユーザI/F700が切換え指示信号の受信を立体映像色補正処理部102に伝達して、立体映像色補正処理部102が、そのタイミングで左右色補正処理を開始し、3D表示時には左右色補正がなされた映像を見ることができる。逆の動作も同様で、3D表示時には左右色補正がなされているが、リモコン802からの指示信号により、2D表示に切替えたタイミングで立体映像色補正処理部102の左右色補正処理を終了する制御を行う。
【0045】
これにより、ユーザが3D視聴を行う状態か否かを容易に判別することが可能となり、実施例の
図3のS306のような判断処理が不要となる。
【0046】
表示例8900や表示例8901などの2D表示時には、ピントやフォーカス、ホワイトバランスなどが調整されていない2台のカメラを利用して撮影した映像を表示装置で視聴する際に、左右の色ズレ等がないかを確認することもできる。ユーザが3D表示に切替えたタイミングでは、左右色補正を行い、良好な表示特性を提供できる。
【0047】
また、(1)左目用映像の色分布を補正して、右目用映像の色分布に合わせるのか、(2)右目用映像の色分布を補正して、左目用映像の色分布に合わせるのか、または、(3)左右映像の色分布の特徴の平均に左右映像の色分布を合わせるのかをリモコン802とユーザI/F700を介して、ユーザが選択できるようにしても良い。
【0048】
また、ユーザI/Fに替えて人感センサを搭載しても良い。例えば人体の体の熱から出る赤外線センサによる人検知やカメラによる人検知や動き検知などにより、視聴範囲に人の存在を検知するセンサを搭載する場合には、センサにより装置近くに人が居ると判断した場合にのみ左右色補正を行い、人が居ない場合には左右色補正をしないことも可能である。このとき、人が居るという条件に加えて、3D表示設定がされていることを条件に加えても良い。このような処理により視聴者が不在の場合には、左右色補正処理を省略することが可能となり、処理負荷を低減することができる。
【実施例3】
【0049】
以下、本発明の実施例3について、
図9〜
図11を用いて説明する。
【0050】
図9は、本発明の実施例3に係る立体表示制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0051】
図9に示す構成は、
図1の構成に、オクルージョン検出部を追加した構成である。オクルージョン検出部は、
図10に示すような、一方の目(視点)では見えずに、他方の目(視点)では見えるような物体を検出する。このオクルージョンの領域は、一方の目の映像のみに存在し、他方の目の映像には存在しない。よって、左右映像の色差分として算出されてしまうと、色相補性の誤差成分となり、悪影響を生じる恐れがある。そこで、本実施例では、オクルージョン領域を検出して、その領域を補正範囲から外し、他の部分に弊害をもたらせないようにヒストグラム分析にも利用しないようにする。なお、オクルージョン検出は、映像内のオブジェクト検出や、左右色差分の領域を検出することなどで実現する。
【0052】
ここで、
図10は、本発明の第3の実施例に係るオクルージョン検出部におけるオクルージョン検出処理時の左右映像イメージを示した例である。色の異なる立方体1000と球1001が少しずれて置いてあった場合に、左目では立方体しか見えず、右目では立方体と球の両方が見えている状況を示している。これを、両目に対応する2つのカメラを使って撮影した場合には、左目用映像1002、右目用映像1003が撮影されることとなる。
【0053】
これが、立体映像処理装置に入力され、左右映像の色相などのヒストグラム解析を行うと、左目用映像には無い球の色の領域が右目用映像には存在するので、ヒストグラム特徴の差分量が大きく検出されることとなる。しかし、これは色相の相違ではなく、もともとの映像の撮像対象が異なるのであり、カメラのピントやホワイトバランスの違いによる左右色差分ではないことがわかる。
【0054】
図11は、本発明の第3の実施例に係る立体映像処理装置のオクルージョン検出の動作シーケンスを示した例である。
【0055】
S1100から処理を開始し、S1101において、左右映像内のオクルージョン領域を検出する。そして、S1102において、オクルージョン領域をヒストグラム解析の対象外とする。次に、S1103において、オクルージョン領域は、左右色補正領域から外す。
図11の動作は、例えば、オクルージョン検出部900において、左右色補正処理部104の処理と連動して行えばよい。このとき、オクルージョン領域をヒストグラム解析対象外とするためには、
図11のS1101は、
図3のS301、S302の前に行う必要がある。また、
図11のS1102では、
図3のS301、S302と連動して、S301、S302のヒストグラムの集計処理からオクルージョン領域の数の部分を除外する。また、
図11のS1103では、
図3のS309と連動して、S309の補正範囲からオクルージョン領域を除外する。
【0056】
以上の処理により、オクルージョン領域の色に影響されることなく、オクルージョン領域以外の左右映像色補正をおこなうことが可能となる。さらには、一方の目にしか関係のないオクルージョン領域内の色は補正が不要となるメリットがある。
【実施例4】
【0057】
以下、本発明の実施例4を説明する。
【0058】
図12は、実施例4に係る受信装置の構成例を示す図である。
図12において、
図1または
図7に記載の要素と同一の符号の要素については、上述した各実施例の要素と同一である。よって、これらの構成、動作については説明を省略し、相違する構成または動作について以下に説明する。
【0059】
アンテナ1200において、無線放送波(衛星、地上)、またはケーブルなどの有線放送伝送網を介して放送信号を受信し、チューナ1201において、特定の周波数を選局し復調、誤り訂正処理、などを行う。放送信号がスクランブルされている場合はデスクランブラ1202において、スクランブル信号を復号する。以上の処理により、多重化信号が復元され、多重分離部1203に入力される。多重分離部1203では、MPEG2―TS(Transport Stream)などの形式に多重化されている信号を、映像ES(Elementary Stream)、音声ES、番組情報などの信号に分離する。ESとは、圧縮・符号化された画像・音声データのそれぞれのことである。映像復号部1204は、映像ESを映像信号に復号し、左右色補正部102に出力する。左右色補正部102では、制御部1210の制御により色補正を行う。色補正の内容は上述の各実施例に記載したとおりである。左右色補正部102から出力された映像は、3D映像を3D表示する場合は立体表示処理部105の立体表示処理を経て表示装置105にて3D表示される。2D映像を2D表示する場合は、立体表示処理部105の立体表示処理を行わず表示装置105にて2D表示される。3D映像を2D表示する場合は立体表示処理部105にて3D映像に含まれる一視点の映像(例えば、SBS方式であれば、左目用映像または右目用映像のいずれか一方の映像)を2D映像として出力し表示装置105にて2D表示すればよい。2D映像を3D表示する場合は立体表示処理部105にて、2D映像を3D映像に変換する2D3D映像変換処理を行って、3D映像として出力し表示装置105にて3D表示すればよい。2D/3D変換処理方法としては、様々な方法が知られているので、いずれかの方法の2D/3D変換処理機能を立体表示処理部105に実装しておけばよい。立体表示処理部105の立体表示処理は、制御部1210が制御する。音声復号部1207は音声ESを音声信号に復号し、スピーカ1208に出力または音声出力として外部に出力する。ネットワーク1205は、インターネットやインフラのネットワーク群である。ネットワークI/F1206は、ネットワークを介して情報を送受信し、インターネットと受信装置間で各種情報およびMPEG2―TSなどを送受信する。多重分離部1203に入力される映像や音声は、チューナ1201を介して受信装置に入力されてもよく、ネットワークI/F1206を介して受信装置に入力されてもよい。
【0060】
2D/3D判定部1209においては、アンテナ1200やネットワークI/F1206から受信した情報に含まれる3D/2D識別情報(3D映像コンテンツか否かを示す情報)や3D方式識別情報(SBS、TAB、Frame Packingなど3D映像の方式を示す情報)を利用して、映像が3D映像であるか2D映像であるかを判定する。
【0061】
3D/2D識別情報や3D方式識別情報の伝送方法は、様々に考えられる。例えば、MPEG2―TS(Transport Stream)に含まれ、多重分離部1203で分離される番組情報(番組特定情報と番組配列情報)に格納する方法が考えられる。番組特定情報(PSI:Program Specific Information)は、所要の番組を選択するために必要な情報で、映像の符号化情報、音声の符号化情報、番組の構成を含む。番組配列情報(SI:Service Information)は、番組選択の利便性のために規定された各種情報であり、MPEG−2システム規格のPSI 情報も含まれ、番組名、放送日時、番組内容など、番組に関する情報が記載されるEIT(Event Information Table)、編成チャンネル名、放送事業者名など、編成チャンネル(サービス)に関する情報が記載されるSDT(Service Description Table)などがある。これらPSIやSIで規定された記述子または新たに追加した記述子に3D/2D識別情報を格納すればよい。これらの記述子に3D/2D識別情報や3D方式識別情報を格納することにより、番組単位での3D番組コンテンツか否かの識別や、サービス単位での3D番組用サービスか否かの識別が可能となる。
【0062】
また、映像を符号化する段階で映像ESに3D/2D識別情報を付加するように構成してもよい。例えば、映像符号化方式がMPEG2方式である場合には、Picture header、Picture Coding Extensionに続くユーザデータ領域に上記の3D/2D識別情報や3D方式識別情報を含めて符号化を行えばよい。この場合、映像復号部1204にて、映像のフレーム(ピクチャー)単位で3D識別フラグが認識でき、3D映像ストリームの途中に2D映像が挿入された場合なども識別が可能になる。
【0063】
2D/3D判定部1209は、上述のとおり、分離部1203や映像復号部1204で分離または抽出した3D/2D識別情報や3D方式識別情報を用いて映像が3D映像であるか2D映像であるかを判定する。2D/3D判定部1209の判定結果に応じて、制御部1210は、左右色補正部102における色補正の制御を行う。
【0064】
ここで、2D/3D判定部1209および制御部1210の動作シーケンスの一例を
図13に示す。まず判定処理を開始する(S1300)。受信した3D/2D識別情報が3D映像を示している場合(S1301)には、2D/3D判定部1209は、入力映像が3D映像であると判定し(S1302)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行うように制御する(S1303)。受信した3D/2D識別情報が2D映像を示している場合(S1301)には、2D/3D判定部1209は、入力映像が2D映像であると判定し(S1304)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御する(S1305)。これにより、3D表示装置で映像視聴時などでは、受信情報に含まれる3D情報を元に、自動的に左右映像の色補正をすることが可能となる。
【0065】
2D/3D判定部1209および制御部1210の動作シーケンスの他の一例を
図14に示す。
図14は、
図13の動作シーケンスに、受信信号に処理対象番組の3D/2D識別情報が受信信号に含まれていない場合の判定も追加したものである。まず判定処理を開始する(S1400)。受信信号に処理対象番組の3D/2D識別情報が含まれていない場合(S1401)には、2D/3D判定部1209は処理対象番組が2D映像番組であると判定し(S1405)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御する(S1406)。受信信号に処理対象番組の3D/2D識別情報が含まれている場合(S1401)には、S1402に移行する。受信信号に含まれる処理対象番組の3D/2D識別情報が3D映像を示している場合(S1402)には、2D/3D判定部1209は処理対象番組が3D映像番組であると判定し(S1403)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行うように制御する(S1404)。受信信号に含まれる処理対象番組の3D/2D識別情報が2D映像を示している場合(S1402)には、2D/3D判定部1209が処理対象番組が2D映像番組であると判定し(S1405)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御する(S1406)。これにより、送信側が意図せず3D/2D識別情報が受信信号から欠落した場合であっても、受信装置の色補正により不適当な表示を行うことを防止することができる。
【0066】
2D/3D判定部1209および制御部1210の動作シーケンスの他の一例を
図15に示す。
図15は、SBS、TAB、Frame Packingなど3D映像の方式を示す情報である3D方式識別情報を用いて2D/3D判定部1209が判定を行うものである。まず判定処理を開始する(S1500)。受信信号に処理対象番組についての3D方式識別情報が含まれている場合(S1501)には、2D/3D判定部1209は、入力映像が3D映像であると判定し(S1502)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行うように制御する(S1503)。受信信号に処理対象番組についての3D方式識別情報が含まれていない場合(S1501)には、2D/3D判定部1209は、入力映像が2D映像であると判定し(S1504)、制御部1210が左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御する(S1505)。これにより、3D映像の方式(フォーマット)を示す情報である3D方式識別情報の有無に応じて、左右映像の色補正処理の要否を制御することが可能となる。
【0067】
本発明の左右映像の色補正処理を開始や停止をするタイミングは、上述の方法などにより、3Dもしくは2Dを識別できたタイミングで良く、識別する方法は上述のいずれでも良い。
【0068】
また、2D/3D判定部1209の判定結果とユーザI/F700から入力されるのユーザ操作信号と組合せて、制御部1210が処理を決定する構成としてもよい。例えば、上記2D/3D判定部1209により3D映像であると判定した場合であっても、ユーザI/F700を介して3D表示指示を受け付けるまでは、3D表示処理、左右色補正処理をしない処理にしても良い。この場合の、2D/3D判定部1209、ユーザI/F700、制御部1210の動作シーケンスの一例を
図16を用いて説明する。まず判定処理を開始する(S1600)。2D/3D判定部1209は3D映像であるか否かを判定する(S1601)。ここで、S1601における2D/3D判定部1209の判定処理は、上述の
図13、
図14、
図15のうちの2D/3D判定部1209の判定処理のいずれを用いてもよい。また、その他の判定処理でもかまわない。2D/3D判定部1209が入力映像は2D映像であると判定した場合(S1601)、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御し、立体映像処理部105で立体表示のための映像処理をおこなわないように制御する(S1604)。S1604では、2D映像が2D表示されることとなる。2D/3D判定部1209が入力映像は3D映像であると判定した場合(S1601)、S1602に移行する。ここで、ユーザI/F700を介してユーザからの3D表示指示信号が未だ入力されていない場合(S1602)、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御し、立体映像処理部105で立体表示のための映像処理をおこなわないように制御する(S1604)。S1604では、3D映像が2D表示されることとなるが、このとき、3D映像中の一方の映像を2D表示してもよいし、例えば、SBS、TABなどの2D画像の1画面に複数視点が格納される方式の3D映像では、そのまま複数視点が格納される画面を2D映像として表示してもよい。ユーザI/F700を介してユーザからの3D表示指示信号が既に入力された場合(S1602)、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行なうように制御し、立体映像処理部105で立体表示のための映像処理をおこなうように制御する(S1603)。S1603では、3D映像が3D表示されることとなる。以上の動作により、ユーザの3D表示の意図が確認できるまでは左右色補正部102における左右映像の色補正処理を省略することができ、ユーザの3D表示の意図が確認できたあとは、左右色ズレが少ない安全な3D映像を視聴できる。なお、受信信号に、SBS、TAB、FramePackingなどの3Dフォーマットを示す3D方式識別情報が含まれる場合には、ユーザが3D表示の操作をした場合に、当該識別情報が示すフォーマットに適した左右映像の色補正処理を行えばよい。
【0069】
また、ユーザI/F700を介して3D表示を指示する情報が入力されても、映像が2Dと識別される場合には、左右色補正処理は行わないようにしてもよい。この場合の、2D/3D判定部1209、ユーザI/F700、制御部1210の動作シーケンスの一例を
図17を用いて説明する。まず判定処理を開始する(S1700)。ユーザI/F700を介してユーザからの3D表示指示信号が入力された場合(S1701)、S1702に移行する。2D/3D判定部1209は入力映像が3D映像であるか否かを判定する(S1702)。ここで、S1702における2D/3D判定部1209の判定処理は、上述の
図13、
図14、
図15のうちの2D/3D判定部1209の判定処理のいずれを用いてもよい。2D/3D判定部1209が入力映像は3D映像であると判定した場合(S1702)、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行なうように制御し、立体映像処理部105で立体表示のための映像処理をおこなうように制御する(S1703)。S1703では、3D映像が3D表示されることとなる。ここで、S1702にて、2D/3D判定部1209が入力映像は2D映像であると判定した場合(S1702)、S1704に移行する。S1704では二通りの制御例が考えられる。第1の制御例は、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御し、立体映像処理部105で立体表示のための映像処理をおこなわないように制御する例である。この場合、2D映像が2D表示される。第2の制御例は、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御し、立体映像処理部105で2D映像を3D映像に変換する2D/3D変換処理を行うように制御する例である。この場合、2D映像が3D映像に変換されて3D表示される。なお、第1の制御例と第2の制御例のいずれを行うかは、立体表示装置の実装において適宜選択すればよい。また、メニュー設定で第1の制御例と第2の制御例をユーザが予め選択設定できるように構成してもよい。次に、S1701において、ユーザI/F700を介してユーザからの2D表示指示信号が入力された場合、S1705に移行する。2D/3D判定部1209が入力映像は3D映像であると判定した場合(S1705)、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行なうように制御し、立体映像処理部105において3D映像中の一視点の映像を2D映像として出力するように制御する(S1706)。S1706では、3D映像中の一視点の映像が2D表示されることとなる。S1705において、2D/3D判定部1209が入力映像は2D映像であると判定した場合、制御部1210は、左右色補正部102において左右映像の色補正処理を行わないように制御し、立体映像処理部105で立体表示のための映像処理をおこなわないように制御する(S1707)。S1707では、2D映像が2D表示されることとなる。以上説明した動作により、映像の2D/3Dの識別とユーザ操作信号に応じた、左右色補正処理のOn/Offと2D3D表示処理とをより好適に行うことができる。
【0070】
以上説明した各実施例において、3D表示方式が液晶シャッタ方式、偏光メガネ方式、裸眼方式のいずれの場合でも同様な処理が可能である。
【0071】
また、立体表示制御装置で動作するプログラムは、立体表示制御装置内に実装してあっても良いし、記録媒体に記録して提供するようにしても良いし、ネットワークを介してダウンロードして提供するようにしても良い。
【0072】
なお、以上説明した各実施例では色相の解析例、補正例を説明した。しかしながら、これらの解析、補正の適用は色相に限られない。彩度、明度、輝度などの他の色空間について、左右映像の色の特徴の差異量に応じた左右映像の色補正を行ってもよい。または、色相、彩度、明度、輝度などの複数の色空間のうちの複数の色空間に対する解析、補正をあわせておこなってもよい。