【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の無機繊維集合体は、集合された無機繊維の一部繊維間が、該一部繊維間に付着して熱により糖類がポリイソシアネートで架橋されたバインダーにより結合されている。
【0010】
また、本発明の別の無機繊維集合体は、集合された無機繊維の一部繊維間が、該一部繊維間に付着して熱により糖類がポリイソシアネートで架橋されたバインダーにより結合され、前記バインダーの一部又は全部が炭化している。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の無機繊維集合体の製造方法は、無機繊維を集合させるとともに、該無機繊維の一部繊維間に、糖類とポリイソシアネートとを含むバインダーを付着させるステップと、前記バインダーが付着した無機繊維を、前記糖類が前記ポリイソシアネートで架橋される架橋温度に加熱して、該架橋されたバインダーにより一部繊維間を結合するステップとを含む。
【0012】
また、本発明の別の無機繊維集合体の製造方法は、無機繊維を集合させるとともに、該無機繊維の一部繊維間に、糖類とポリイソシアネートとを含むバインダーを付着させるステップと、前記バインダーが付着した無機繊維を、前記糖類が前記ポリイソシアネートで架橋される架橋温度に加熱して、該架橋されたバインダーにより一部繊維間を結合するステップと、前記バインダーにより結合された無機繊維を、前記バインダーが炭化する温度に加熱して、前記バインダーの一部又は全部を炭化させるステップとを含む。
【0013】
本発明の無機繊維集合体及び無機繊維集合体の製造方法の各要素の態様を以下に例示する。
【0014】
1.無機繊維集合体
無機繊維集合体の用途は、特に限定されないが、次のもの等が例示できる。
・消音器用吸音材
・オーブンレンジ用断熱材
・自動車用防音材
自動車用防音材の場合の使用場所は、特に限定されないが、ボンネットの裏等が例示できる。
・家電用パッキン
家電としては、特に限定されないが、電気ポット、炊飯器、ホットプレート、電子レンジ等が例示できる。
・ガス燃焼機器用パッキン
ガス燃焼機器としては、特に限定されないが、給湯器、ガスコンロ、ファンヒータ、ストーブ等が例示できる。
【0015】
2.無機繊維
無機繊維としては、特に限定されないが、ガラス繊維、シリカ繊維、ロックウール繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、バサルト繊維等が例示できる。安全面で優れることから、ガラス繊維、シリカ繊維が好ましく、コストの面で優れることから、ガラス繊維がより好ましい。
【0016】
無機繊維の形態は、特に限定されないが、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。無機繊維集合体が消音器用吸音材の場合には、無機繊維の飛散(特に使用時における)を防止できることから、繊維長が長い(50mm以上)ものであることが好ましい。一方、無機繊維集合体が、レンジ用断熱材、自動車用防音材、家電用パッキン又はガス燃焼機器用パッキンの場合には、平均繊維長が50〜150mmのものであることが好ましい。50mm未満では、繊維同士が絡み難いため、マット状になり難い。一方、150mmを超えると、製造設備に繊維が巻き付き易いため、製造工程が安定しない。
【0017】
無機繊維の太さは、特に限定されないが、3〜24μmが好ましい。3μm未満では、剛性が低いため、繊維が切れ易い。一方、24μmを超えると、剛性が高すぎるため、繊維同士が絡み難い。より好ましくは、5〜12μmである。
【0018】
3.バインダー
バインダーは、糖類、ポリイソシアネート以外の成分、例えば、触媒等を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。架橋時間の短縮や架橋温度の低下のための触媒としては、特に限定されないが、アミン系化合物、有機金属化合物等のポリウレタンに用いられる触媒等が例示できる。温度(特に100℃以上の温度)による結合力の変化が少ないことから、バインダーは、熱硬化性であることが好ましい。
【0019】
バインダーの添加量は、特に限定されないが、無機繊維100質量部に対し、2〜30質量部が例示できる。
無機繊維集合体が消音器用吸音材の場合のバインダーの添加量は、無機繊維100質量部に対し、3〜15質量部であることが好ましい。
無機繊維集合体がオーブンレンジ用断熱材の場合のバインダーの添加量は、無機繊維90質量部に対し、2〜10質量部であることが好ましい。
無機繊維集合体が自動車用防音材の場合のバインダーの添加量は、無機繊維80質量部に対し、10〜20質量部であることが好ましい。
無機繊維集合体が、家電用パッキン又はガス燃焼機器用パッキンの場合のバインダーの添加量は、無機繊維90質量部に対し、2〜10質量部であることが好ましい。
それぞれ、上記範囲の下限未満では結合力が弱くなり、上記範囲の上限を超えると硬くなりすぎるからである。
【0020】
3−1.糖類
糖類としては、特に限定されないが、グルコース等の単糖類、スクロール、マルトース等の二糖類、オリゴ糖等の少糖類、澱粉、セルロース等の多糖類等が例示でき、これらの糖類を単独で用いてもよいし、二種以上を混ぜ合わせて(混合物として)用いてもよい。
【0021】
3−2.ポリイソシアネート
ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族系イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加(水添)MDI、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水添XDI(H6XDI)等の脂環族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネン・ジイソシアネート(NBDI)等の脂肪族系イソシアネート等、これらのビウレット化物、イソシアヌレート化物、カルボジイミド変性体等が例示でき、これらのポリイソシアネートを単独で用いてもよいし、二種以上を混ぜ合わせて(混合物として)用いてもよい。
【0022】
4.架橋温度
架橋温度は、糖類のヒドロキシ基とポリイソシアネートのイソシアネート基とが反応する温度以上であれば、特に限定されないが、160〜230℃が例示できる。
【0023】
5.炭化
バインダーが炭化する温度(バインダーの炭化温度)は、有機物であるバインダーが分解炭化する温度以上(270℃以上)であれば、特に限定されないが、無機繊維への影響が少なく、効率的に炭化が行えることから、300〜350℃であることが好ましい。
また、炭化は、バインダーによる結合力が残るよう、一部が炭化されていることが好ましい。