(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセスマイクロチャネルは、マイクロチャネル反応器の中にあり、前記マイクロチャネル反応器は、前記プロセスマイクロチャネルと隣接する反応体流チャネルをさらに含み、前記プロセスマイクロチャネルと前記反応体流チャネルとは共通の壁を有し、前記共通の壁の中に複数の開口があり、前記プロセスは、前記フィッシャー・トロプシュ合成生成物を前記プロセスマイクロチャネルの中に流すステップ、および前記水素を前記反応体流チャネルから前記共通の壁の中の前記開口を通して前記プロセスマイクロチャネルの中へ流し、前記フィッシャー・トロプシュ合成生成物と接触させるステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセス。
前記プロセスマイクロチャネルの中に気体および液体があり、前記気体と液体との間で物質移動が起こり、前記粒子またはチャネルのボンド数は、1より小さい、請求項1から6のいずれか1項に記載のプロセス。
前記プロセスは、プラント施設の中で行われ、前記プラント施設は、複数の前記プロセスマイクロチャネル、または前記プロセスマイクロチャネルを含む1つ以上のマイクロチャネル反応器、または1つ以上のマイクロチャネル反応器を含む1つ以上の反応槽を含み、前記プロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器または反応槽の1つ以上の中の前記触媒は、前記プラント施設の中の他のプロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器または反応槽の中で前記プロセスが実行されている間に再生される、請求項1から7のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
商業的な水素化分解プロセスと関連する問題は、水素化分解反応器の中で形成される傾向があるホットスポットの形成およびコーキングに関する。これらのホットスポットおよびコーキングは、不適切な混合、触媒との不適切な接触および/または効率の悪い温度調節によって生み出されることがある。本発明は、これらの問題に対する解決策を提供する。本発明によれば、従来の水素化分解プロセスにおいて観測されるものより顕著に低下したコーキングを得ることが可能である。より高い反応速度およびより精密な温度調節を得ることも可能である。本発明は、従来の水素化分解装置より高い所望の生成物への選択性という利点を提供する。本発明では、反応体を処理するために用いられるマイクロチャネル反応器のマイクロチャネル構造に部分的に起因する増強された物質移動およびエネルギー移動の結果としてこれらの利点を実現することができる。
【0006】
本発明は、炭化水素反応体および水素を含む反応体をプロセスマイクロチャネルの中へ流し、触媒と接触させて1つ以上の生成物を形成させるステップであって、炭化水素反応体は液体を含むステップ、およびプロセスマイクロチャネルから生成物を取り出すステップを含み、(a)炭化水素反応体は第1の炭化水素鎖長を有する炭化水素を含み、炭化水素反応体は2つ以上の炭化水素生成物へ変換され、炭化水素生成物は第1の炭化水素鎖長より短い鎖長を有するプロセス、あるいは(b)炭化水素反応体は炭化水素反応体と結合した1つ以上のヘテロ原子を含み、へテロ原子の少なくとも1つは水素と反応してヘテロ原子含有化合物を形成し、生成物はヘテロ原子の欠如または炭化水素反応体と比較して低下したヘテロ原子含有率を特徴とする炭化水素生成物を含むプロセスに関する。
【0007】
本発明は、炭化水素反応体および水素を含む反応体をプロセスマイクロチャネルの中へ流し、触媒と接触させて1つ以上の生成物を形成させるステップであって、反応体は1つ以上の液体を含み、プロセスマイクロチャネルの中の液体反応体の流速は1時間あたりプロセスマイクロチャネルの中の1リットルの触媒体積あたり少なくとも約1リットル、一実施態様において少なくとも約5リットルの液体反応体であるステップ、およびプロセスマイクロチャネルから生成物を取り出すステップを含み、(a)炭化水素反応体は約350℃より高い沸点を有する1つ以上の炭化水素を含み、約350℃より高い沸点を有する炭化水素の少なくとも約50重量%は約350℃より低い沸点を有する1つ以上の炭化水素へ変換されるプロセス、あるいは(b)炭化水素反応体は炭化水素反応体と結合した1つ以上のヘテロ原子を含み、ヘテロ原子の少なくとも約50重量%は水素と反応してヘテロ原子含有化合物を形成し、生成物は低下したヘテロ原子含有率またはヘテロ原子の欠如を特徴とする炭化水素を含むプロセスに関する。
【0008】
本発明は、炭化水素反応体および水素を含む反応体をプロセスマイクロチャネルの中へ流し、水素化分解触媒と接触させて1つ以上の水素化分解生成物を形成させるステップ、およびプロセスマイクロチャネルから水素化分解生成物を取り出すステップを含み、プロセスマイクロチャネル内の温度は約50℃から約500℃の範囲内、一実施態様において約100℃から約400℃の範囲内であり、プロセスマイクロチャネル内の圧力は約1から約25MPaの範囲内、一実施態様において約1から約15MPaの範囲内、一実施態様において約1から約7MPa、一実施態様において約1から約4MPaであり、プロセスマイクロチャネルへ入る反応体について炭化水素反応体に対する水素の体積比は1立方センチメートル(ccm)の炭化水素反応体あたり約10から約6000標準立方センチメートル(sccm)の範囲内の水素であり、一実施態様において炭化水素反応体に対する水素の比は約50:1から約4000:1sccm/ccm、一実施態様において約100:1から約2000:1sccm/ccm、一実施態様において約300:1から約1500:1sccm/ccmであってよい水素化分解プロセスに関する。
【0009】
本発明は、(A)COおよびH
2をフィッシャー・トロプシュプロセスマイクロチャネルの中へ流し、フィッシャー・トロプシュ(FT)触媒と接触させてフィッシャー・トロプシュ合成生成物を形成させるステップ、および(B)ステップ(A)からのフィッシャー・トロプシュ合成生成物および水素を含む反応体を水素化分解プロセスマイクロチャネルの中へ流し、水素化分解触媒と接触させて1つ以上の水素化分解生成物を形成させ、水素化分解プロセスマイクロチャネルから水素化分解生成物を取り出すステップを含み、水素化分解プロセスマイクロチャネル内の温度は約50℃から約500℃の範囲内、一実施態様において約100℃から約400℃であり、水素化分解プロセスマイクロチャネル内の圧力は約1から約25MPaの範囲内、一実施態様において約1から約15MPaの範囲内、一実施態様において約1から約7MPa、一実施態様において約1から約4MPaであり、水素化分解プロセスマイクロチャネルへ入る反応体についてフィッシャー・トロプシュ合成生成物に対する水素の体積比は1ccmのフィッシャー・トロプシュ合成生成物あたり約10から約6000sccm、一実施態様において約50:1から約4000:1sccm/ccm、一実施態様において約100:1から約2000:1sccm/ccm、一実施態様において約300:1から約1500:1sccm/ccmの水素である水素化分解プロセスに関する。フィッシャー・トロプシュプロセスマイクロチャネルと水素化分解プロセスマイクロチャネルとは同じプロセスマイクロチャネルを含んでよい。あるいは、フィッシャー・トロプシュプロセスマイクロチャネルと水素化分解プロセスマイクロチャネルとは異なるプロセスマイクロチャネルを含んでよい。フィッシャー・トロプシュ触媒と水素化分解触媒とは同じプロセスマイクロチャネルの中に配置されてよい。これらの触媒は同じ反応ゾーンの中で混合されてよい。水素化分解触媒は、フィッシャー・トロプシュ触媒と同じプロセスマイクロチャネルの中ではあるがフィッシャー・トロプシュ触媒の下流に配置されてよい。水素化分解触媒は、別のプロセスマイクロチャネルの中でフィッシャー・トロプシュ触媒の下流にあってよい。水素化分解触媒の一部がフィッシャー・トロプシュ触媒と混合され、水素化分解触媒の一部がフィッシャー・トロプシュ触媒の下流に配置されてもよく、下流の水素化分解触媒は同じプロセスマイクロチャネルの中および/または下流にある別のプロセスマイクロチャネルの中のどちらに配置されてもよい。一実施態様において、フィッシャー・トロプシュ触媒と水素化分解触媒との間にフッタおよび/またはヘッダが中間配置されてよい。
【0010】
一実施態様において、プロセスは水素化分解プロセスであり、触媒は水素化分解触媒である。
【0011】
一実施態様において、プロセスは水素化処理プロセスであり、触媒は水素化処理触媒である。
【0012】
一実施態様において、ヘテロ原子は窒素、硫黄、酸素、金属の1つ以上、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0013】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの中の圧力は約0.2から約20MPaの範囲内である。
【0014】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネル内の温度は約50℃から約500℃の範囲内である。
【0015】
一実施態様において、炭化水素反応体に対する水素の比は、1立方センチメートルの炭化水素反応体あたり約10から約6000標準立方センチメートルの水素の範囲内である。
【0016】
一実施態様において、気体はプロセスマイクロチャネルの中を1秒あたり少なくとも約0.01メートルの空塔速度で流れる。
【0017】
一実施態様において、生成物は水素化分解された炭化水素を含み、生成物は分岐鎖化合物、直鎖化合物および/または環式化合物を含む。
【0018】
一実施態様において、炭化水素反応体および水素はプロセスマイクロチャネルへ入る前に混合される。
【0019】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルはマイクロチャネル反応器の中にあり、マイクロチャネル反応器はプロセスマイクロチャネルと隣接する反応体流チャネルをさらに含み、プロセスマイクロチャネルと反応体流チャネルとは共通の壁を有し、共通の壁の中に複数の開口があり、プロセスは、プロセスマイクロチャネルの中に炭化水素反応体を流し、反応体流チャネルから共通の壁の中の開口を通して水素をプロセスマイクロチャネルの中へ流し、炭化水素反応体と接触させることをさらに含む。
【0020】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルは反応ゾーンを有し、炭化水素反応体と水素とは反応ゾーンの中で互いに接触する。
【0021】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルは混合ゾーンおよび反応ゾーンを有し、混合ゾーンは反応ゾーンの上流にあり、炭化水素反応体と水素とは混合ゾーンの中で互いに接触する。
【0022】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルは混合ゾーンおよび反応ゾーンを有し、混合ゾーンは反応ゾーンの上流にあり、水素の一部は混合ゾーンの中で炭化水素反応体と接触して中間反応混合物を形成し、中間反応混合物は反応ゾーンの中へ流れ、水素の一部は反応ゾーンの中で中間反応混合物と接触する。
【0023】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルはマイクロチャネル反応器の中にあり、マイクロチャネル反応器は複数のプロセスマイクロチャネルを含み、マイクロチャネル反応器は反応体がプロセスマイクロチャネルの中へ流れるための流れの通路を提供するマニホールドを含む。
【0024】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルはマイクロチャネル反応器の中にあり、マイクロチャネル反応器は複数のプロセスマイクロチャネルを含み、マイクロチャネル反応器は炭化水素反応体がプロセスマイクロチャネルの中へ流れるための流れの通路を提供する第1のマニホールド、および水素がプロセスマイクロチャネルの中へ流れるための流れの通路を提供する第2のマニホールドを含む。
【0025】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルはマイクロチャネル反応器の中にあり、マイクロチャネル反応器は入口および出口を有し、水素化分解生成物は出口を通ってマイクロチャネル反応器から流出し、マイクロチャネル反応器から流出する水素化分解生成物の少なくとも一部はリサイクルされ、入口を通ってマイクロチャネル反応器の中へ戻る。
【0026】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルから熱交換器へ熱が移動する。
【0027】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルはマイクロチャネル反応器の中にあり、マイクロチャネル反応器は複数のプロセスマイクロチャネルを含み、マイクロチャネル反応器はプロセスマイクロチャネルと熱接触している少なくとも1つの熱交換チャネルをさらに含み、熱交換チャネルの中に熱交換流体があり、プロセスマイクロチャネルから熱交換チャネルの中の熱交換流体へ熱を移動させる。
【0028】
一実施態様において、熱交換流体は熱交換チャネルの中で相変化を行う。
【0029】
一実施態様において、熱交換流体は熱交換チャネルの中で部分的な沸騰を行う。
【0030】
一実施態様において、熱交換チャネルの中で吸熱化学反応を行う。
【0031】
一実施態様において、吸熱化学反応は水蒸気改質反応または脱水素反応を含む。
【0032】
一実施態様において、流体はプロセスマイクロチャネルの中で第1の方向へ流れ、熱交換流体は熱交換チャネルの中で第2の方向へ流れ、第2の方向は第1の方向に対して交差流、並流および/または向流である。
【0033】
一実施態様において、熱交換流体は空気、水蒸気、液体水、一酸化炭素、二酸化炭素、気体窒素、液体窒素、気体炭化水素、液体炭化水素、またはそれらの2つ以上の混合物を含む。
【0034】
一実施態様において、熱交換流体は炭化水素反応体および/または水素化分解生成物を含む。
【0035】
一実施態様において、調整された熱交換をプロセスマイクロチャネルの長さに沿って提供してプロセスマイクロチャネルの中で実質的に等温の温度プロフィールを維持させる。
【0036】
一実施態様において、触媒は傾斜触媒を含む。
【0037】
一実施態様において、触媒は側流構造または貫流構造を含む。
【0038】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルは内部表面を有し、内部表面上に触媒を被覆または成長させる。
【0039】
一実施態様において、触媒は固体粒子の形である。
【0040】
一実施態様において、触媒は発泡体、フェルト、詰め物、ハニカム、1つ以上のフィン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む構造物によって担持される。
【0041】
一実施態様において、触媒は固体粒子床の形であり、プロセスマイクロチャネルの1つ以上の内壁上に追加の触媒をウォッシュコートおよび/または成長させる。
【0042】
一実施態様において、触媒はゼオライトを含む。
【0043】
一実施態様において、触媒は耐熱性無機酸化物をさらに含む。
【0044】
一実施態様において、触媒はY−ゼオライト、ベータゼオライト、オメガゼオライト、L−ゼオライトまたはZSM−5を含む。
【0045】
一実施態様において、耐熱性無機酸化物はアルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア、ジルコニアまたはシリカ−アルミナを含む。
【0046】
一実施態様において、触媒は水素化成分を含む。
【0047】
一実施態様において、水素化成分は、IVB族金属、VIII族金属、またはそれらの1つ以上の化合物を含む。
【0048】
一実施態様において、触媒は1つ以上のピラード粘土、MCM−41、MCM−48、HMS、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0049】
一実施態様において、触媒はPt、Pd、Ni、Co、Mo、W、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0050】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルへ入る反応体の温度はプロセスマイクロチャネルから流出する生成物の温度の約20℃以内である。
【0051】
一実施態様において、炭化水素反応体は常圧軽油、減圧軽油、またはそれらの混合物を含む。
【0052】
一実施態様において、炭化水素反応体は鉱油、合成油、またはそれらの混合物を含む。
【0053】
一実施態様において、炭化水素反応体は直留軽油、減圧軽油、脱金属油、脱歴減圧残渣、コーカ蒸留物、接触分解装置蒸留物、シェール油、タールサンド油、石炭液体、またはそれらの2つ以上の混合物を含む。
【0054】
一実施態様において、炭化水素反応体は、フィッシャー・トロプシュ合成生成物を含む。
【0055】
一実施態様において、水素化分解生成物は約125℃から約375℃の範囲内で沸騰する中間留分生成物を含む。
【0056】
一実施態様において、水素化分解生成物はC
5から205℃終点留分を含む。
【0057】
一実施態様において、水素化分解生成物はガソリン、ナフサ、ディーゼル燃料、ジェット燃料および/または灯油を含む。
【0058】
一実施態様において、水素化分解生成物は異性化生成物を含む。
【0059】
一実施態様において、触媒に対する反応体の重量毎時空間速度は約5hr
−1から約100hr
−1の範囲内である。
【0060】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの中の反応体および生成物の流れの圧力低下は、プロセスマイクロチャネルの1センチメートルの長さあたり最大約0.01MPaである。
【0061】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルから水素化分解生成物を取り出すステップの後にプロセスマイクロチャネルを通って再生用流体を流して触媒と接触させ、プロセスマイクロチャネルの中の再生用流体の滞流時間は約0.01から約1000秒である。
【0062】
一実施態様において、チャネルのボンド数(Bond number)は約1より小さい。
【0063】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの中に固体粒子があり、プロセスマイクロチャネルおよび固体粒子は約1より小さなボンド数を有する。
【0064】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの中に気体および液体があり、気体と液体との間で物質移動が起こり、粒子またはチャネルのボンド数は約1より小さい。
【0065】
一実施態様において、触媒は、触媒の表面上の炭素質物質を酸化することによってプロセスマイクロチャネルの中でインサイチュ再生される。
【0066】
一実施態様において、本プロセスはプラント施設の中で行われ、プラント施設は複数のプロセスマイクロチャネル、またはプロセスマイクロチャネルを含む1つ以上のマイクロチャネル反応器、または1つ以上のマイクロチャネル反応器を含む1つ以上の反応槽を含み、プロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器または反応槽の1つ以上の中の触媒は、プラント施設の中の他のプロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器または反応槽の中で本プロセスが実行されている間に再生される。
【0067】
一実施態様において、本プロセスは、再生触媒を用いて約5hr
−1以上の液体毎時空間速度で行われる。
【0068】
一実施態様において、本プロセスは、再生触媒を用いて約1200時間を超える期間、安定な運転条件下で行われる。
【0069】
一実施態様において、炭化水素反応体は約0.2より小さなイソ/ノルマル質量分率比を有する炭化水素の混合物を含む。
【0070】
一実施態様において、生成物は約0.5より大きなイソ/ノルマル比を有するC
5+炭化水素、約1より大きなイソ/ノルマル比を有するC
20+炭化水素、および/または約1より大きなイソ/ノルマル比を有するC
10+炭化水素を含む。
【0071】
一実施態様において、生成物は約−10℃より低い曇点を有する。
【0072】
一実施態様において、本プロセスは複数のプロセスマイクロチャネルを含むマイクロチャネル反応器の中で行われ、マイクロチャネル反応器は炭化水素反応体および水素を複数のプロセスマイクロチャネルの中へ流すための分配装置をさらに含む。分配装置はプロセスマイクロチャネルへの入口に配置される。分配装置は分離プレートおよび再分配プレートを含み、分離プレートは再分配プレートの上にある。炭化水素反応体および水素は分離プレートと接触し、蒸気相と液相とに分離する。蒸気相および液相は再分配プレートへ流れる。再分配プレートは複数の開口を含み、再分配プレートの中の開口はプロセスマイクロチャネルへの入口と位置を合わされる。蒸気相は再分配プレートの中の開口の中で液相と接触し、蒸気/液体混合物を形成する。蒸気/液体混合物はプロセスマイクロチャネルの中へ流れる。
【0073】
一実施態様において、再分配プレートは第1のシムを含み、第1のシムは第1の平らな表面および第1の平らな表面の中の複数の第1の開口を含む。再分配プレートは第2のシムを含み、第2のシムは第2の平らな表面、第2の平らな表面の中の複数の第2の開口および第2の平らな表面の中の複数の第1の貫通孔を含む。第1のシムは第2のシムの上にある。再分配プレートは第3のシムを含み、第3のシムは第3の平らな表面および第3の平らな表面の中の複数の第2の貫通孔を含む。第2のシムは第3のシムの上にあり、第2の貫通孔は第1の貫通孔と位置を合わされ、第3のシムはプロセスマイクロチャネルへの入口の上にあるようになっており、第2の貫通孔はプロセスマイクロチャネルへの入口と位置を合わされる。蒸気は第1の開口を通って第1の貫通孔の中へ流れ、第1の貫通孔から第2の貫通孔の中へ流れる。液体は第2の開口を通って第3の平らな表面へ流れ、第3の平らな表面から第2の貫通孔の中へ流れる。蒸気と液体とはこの第2の貫通孔の中で混合され、蒸気/液体混合物を形成し、プロセスマイクロチャネルの中へ流れる。
【0074】
一実施態様において、第1の平らな表面の中の第1の開口は蒸気マニホールドを含み、第2の平らな表面の中の第2の開口は液体マニホールドを含む。
【0075】
一実施態様において、再分配プレートは第1のシムを含み、第1のシムは第1の平らな表面および第1の平らな表面の中の複数の第1の開口を含む。再分配プレートは第2のシムを含み、第2のシムは第2の平らな表面、第2の平らな表面の中の複数の第2の開口および第2の平らな表面の中の複数の第1の貫通孔を含む。第1のシムは第2のシムの上にある。再分配プレートは第3のシムを含み、第3のシムは第3の平らな表面および第3の平らな表面の中の複数の第2の貫通孔を含む。第2のシムは第3のシムの上にあり、第2の貫通孔は第1の貫通孔と位置を合わされる。再分配プレートは第4のシムを含み、第4のシムは第4の平らな表面および第4の平らな表面の中の複数の第3の貫通孔を含む。第3のシムは第4のシムの上にあり、第3の貫通孔は第2の貫通孔と位置を合わされ、第4のシムはプロセスマイクロチャネルへの入口の上にあるようになっており、第3の貫通孔はプロセスマイクロチャネルへの入口と位置が合うようになっている。液体は第1の開口を通って第1の貫通孔の中へ流れ、第1の貫通孔から第2の貫通孔の中へ流れ、第2の貫通孔から第3の貫通孔の中へ流れる。蒸気は第2の開口を通って第2の貫通孔の中へ流れ、第2の貫通孔から第3の貫通孔の中へ流れる。液体と蒸気とは第2および第3の貫通孔の中で混合され、蒸気/液体混合物を形成し、プロセスマイクロチャネルの中へ流れる。
【0076】
一実施態様において、第1の平らな表面の中の第1の開口は液体マニホールドを含み、第2の平らな表面の中の第2の開口は蒸気マニホールドを含む。
【0077】
一実施態様において、再分配プレートは第1のシムを含み、第1のシムは第1の平らな表面、第1の平らな表面の第1の側の第1の平らな表面の中の第1の開口、および第1の平らな表面の第2の側の第1の平らな表面の中の第2の開口を含む。第1の開口および第2の開口は互いに平行に延在する開いたチャネルの形である。再分配プレートは第2のシムを含み、第2のシムは第2の平らな表面、第2の平らな表面の中の複数の第3の開口および第2の平らな表面の中の複数の第4の開口を含む。第3の開口および第4の開口は互いに平行に延在する開いたチャネルの形である。第1のシムは第2のシムの上にあり、第3および第4の開口は第1および第2の開口と垂直に位置を合わされ、第1の開口は第3の開口の一部と位置を合わされ、第2の開口は第4の開口の一部と位置を合わされる。再分配プレートは第3のシム含み、第3のシムは第3の平らな表面および第3の平らな表面の中の複数の第5の開口を含む。第2のシムは第3のシムの上にあり、第5の開口は互いに平行かつ第3および第4のチャネルと垂直に延在する開いたチャネルの形であり、第3のシムはプロセスマイクロチャネルへの入口の上にあるようになっている。蒸気は第1の開口を通って第3の開口の中へ流れ、第3の開口から第5の開口の中へ流れる。液体は第2の開口を通って第4の開口の中へ流れ、第4の開口から第5の開口の中へ流れる。蒸気と液体とは第5の開口の中で混合され、蒸気/液体混合物を形成し、プロセスマイクロチャネルの中へ流れる。
【0078】
一実施態様において、第1の平らな表面の中の第1の開口は蒸気マニホールドを含み、第1の平らな表面の中の第2の開口は液体マニホールドを含む。
【0079】
一実施態様において、本プロセスは複数のプロセスマイクロチャネルを含むマイクロチャネル反応器の中で行われ、マイクロチャネル反応器は炭化水素反応体および水素を複数のプロセスマイクロチャネルの中へ流すための分配装置をさらに含み、炭化水素反応体は第1の液体および第2の液体を含み、分配装置はプロセスマイクロチャネルへの入口に配置される。分配装置は分配プレートを含み、分配プレートは第1の液体マニホールドスロット、第2の液体マニホールドスロット、蒸気通路、第1の液体マニホールドスロットから蒸気通路へ延在する第1の分配チャネル、第2の液体マニホールドスロットから蒸気通路へ延在する第2の分配チャネルを含む。水素は蒸気通路を通って流れ、第1の液体は第1の液体マニホールドスロットから第1の分配チャネルを通って蒸気通路の中へ流れ、蒸気通路の中を流れる水素と接触する。第2の液体は第2の液体マニホールドスロットから第2の分配チャネルを通って蒸気通路の中へ流れ、蒸気通路の中を流れる水素および蒸気通路の中を流れる第1の液体と接触する。
【0080】
一実施態様において、分配装置は第1の液体のための第1の液体原料プレートをさらに含み、第1の液体原料プレートは分配プレートの第1の側に配置され、第1の液体原料プレートは第1の液体原料プレートマニホールドスロットを含み、第1の液体原料は第1の液体原料プレートマニホールドスロットを通って分配装置へ入る。
【0081】
一実施態様において、分配装置は第2の液体のための第2の液体原料プレートをさらに含み、第2の液体原料プレートは分配プレートの第2の側に配置される。分配プレートの第2の側は分配プレートの第1の側と反対側にある。第2の液体原料プレートは第2の液体原料プレートマニホールドスロットを含み、第2の液体は第2の液体原料プレートマニホールドスロットを通って分配装置へ入る。
【0082】
一実施態様において、第1の液体マニホールドスロット、第2の液体マニホールドスロットおよび蒸気経路は分配プレートの中に形成される。
【0083】
一実施態様において、分配プレートは分配装置の中に配置され、分配プレートは横に並べられるかまたは上下に重ねられて配置される。
【0084】
一実施態様において、第1の液体原料プレートの中に第1の分配チャネルが配置され、第1の液体原料プレートマニホールドスロットと接続される。
【0085】
一実施態様において、第2の液体原料プレートの中に第2の分配チャネルが配置され、第2の液体原料プレートマニホールドスロットと接続される。
【0086】
一実施態様において、第1の分配チャネルおよび/または第2の分配チャネルを湾曲または収縮させて第1の分配チャネルおよび/または第2の分配チャネルの中に流れる流体の圧力降下を増加させる。
【0087】
一実施態様において、本プロセスは複数のプロセスマイクロチャネルを含むマイクロチャネル反応器の中で行われ、マイクロチャネル反応器は炭化水素反応体および水素を複数のプロセスマイクロチャネルの中へ流すための分配装置をさらに含み、炭化水素反応体は第1の液体および第2の液体を含み、分配装置はプロセスマイクロチャネルへの入口に配置される。分配装置は第1の分配セクションを含む。分配装置は第2の分配セクションを含み、第1の分配のセクションは第2の分配のセクションの上にある。分配装置は第3の分配セクションを含み、第2の分配セクションは第3の分配セクションの上にある。水素は第1の分配セクションから第2の分配セクションおよび第3の分配セクションを通ってマイクロチャネルの中へ流れ、第1の液体は第2の分配セクションから水素と接触し、第3の分配セクションを通ってマイクロチャネルの中へ流れ、第2の液体は第3の分配セクションから水素および第1の液体と接触し、マイクロチャネルの中へ流れる。
【0088】
一実施態様において、第1の分配セクションは上下に重ねられた3つのプレートを含む。3つのプレートはマニホールドプレートを含む。3つのプレートは第1の分配プレートを含み、マニホールドプレートは第1の分配プレートの上にある。3つのプレートは第2の分配プレートを含み、第1の分配プレートは第2の分配プレートの上にある。水素はマニホールドプレートから第1の分配プレートへ流れ、第1の分配プレートの中の開口を通って第2の分配プレートへ流れ、第2の分配プレートの中の開口を通って第2の分配セクションへ流れる。
【0089】
一実施態様において、第2の分配セクションは上下に重ねられた3つのプレートを含む。3つのプレートはマニホールドプレートを含む。3つのプレートは第1の分配プレートを含み、マニホールドプレートは第1の分配プレートの上にある。3つのプレートは第2の分配プレートを含み、第1の分配プレートは第2の分配プレートの上にある。第1の液体はマニホールドプレートから第1の分配プレートへ流れて第1の分配セクションからの水素と接触し、第1の分配プレートの中の開口を通って第2の分配プレートへ流れ、第2の分配プレートの中の開口を通って第2の分配セクションへ流れる。
【0090】
一実施態様において、第3の分配セクションは上下に重ねられた3つのプレートを含む。3つのプレートはマニホールドプレートを含む。3つのプレートは第1の分配プレートを含み、マニホールドプレートは第1の分配プレートの上にある。3つのプレートは第2の分配プレートを含み、第1の分配プレートは第2の分配プレートの上にある。第2の液体はマニホールドプレートから第1の分配プレートへ流れて第1の分配セクションからの水素および第2の分配セクションからの第1の液体と接触し、第1の分配プレートの中の開口を通って第2の分配プレートへ流れ、第2の分配プレートの中の開口を通ってマイクロチャネルの中へ流れる。
【0091】
多相原料を使用するプロセスは化学プロセス処理に不可欠であり、これらのプロセスにマイクロチャネル技術を用いると顕著な利点が提供される。複数の並行に稼動するプロセスマイクロチャネルを使用するマイクロチャネルプロセス処理単位を用いると特にそうである。しかし、マイクロチャネルプロセス処理単位とともに多相原料を使用することに伴う問題は、多相原料の効果的な混合と、マイクロチャネルプロセス処理単位において使用されるプロセスマイクロチャネルへのその原料の分配とを提供することに関する。本発明は、一実施態様においてこの問題への解決策を提供する。本発明は、蒸気/液体混合物をマイクロチャネルプロセス処理単位の中の複数のマイクロチャネルの中へ流すための分配装置の使用に関する。この分配装置は、マイクロチャネルへの入口に配置されるようになっている。この分配装置は、任意のマイクロチャネル反応器を含む任意のマイクロチャネルプロセス処理単位とともに用いることができる。マイクロチャネル反応器は、開示されている水素化分解プロセスおよび/または水素化処理プロセス、ならびに多相原料の使用を必要とする他のプロセスを行うように適応させることができる。この分配装置は分離プレートを含んでよい。この分配装置は再分配プレートを含んでよく、分離プレートは再分配プレートの上にある。分離プレートは、蒸気と液体との混合物が蒸気相と液相とに分離し、再分配プレートへ流れることができるようになっている。再分配プレートは複数の開口を含み、再分配プレートの中の開口はマイクロチャネルへの入口と位置を合わされ、再分配プレートの中の開口は、蒸気相と液相とが互いに接触し、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。一実施態様において、副マニホールドの使用によってマイクロチャネル層内で平行なマイクロチャネルのアレイへ液体を面内分配する一方で、大きな蒸気だまり(プレナム(plenum))からマイクロチャネルの中へ蒸気を流すことができる。一実施態様において、蒸気は副マニホールドを通って流れてよい。一実施態様において、液体はマイクロチャネルのための入口のすぐ近くに配置されている流れダクトを通って流れてよく、液体はマイクロチャネルの中へスプレーされてよい。スプレーは、マイクロチャネルのすぐ近くに保持されてよい。用語「すぐ近く」は、スプレーデバイスから流出する液体の速度と比較した液体速度の低下が50%より小さいスプレーデバイスからの距離を指す。
【0092】
一実施態様において、再分配プレートは第1のシムを含み、第1のシムは第1の平らな表面および第1の平らな表面の中の複数の第1の開口を含む。再分配プレートは第2のシムを含み、第2のシムは第2の平らな表面、第2の平らな表面の中の複数の第2の開口、および第2の平らな表面の中の複数の第1の貫通孔を含む。第1のシムは第2のシムの上にある。再分配プレートは第3のシムを含み、第3のシムは第3の平らな表面および第3の平らな表面の中の複数の第2の貫通孔を含む。第2のシムは第3のシム上にあり、第2の貫通孔は第1の貫通孔と位置を合わされ、第3のシムはマイクロチャネルへの入口の上にあるようになっており、第2の貫通孔はマイクロチャネルへの入口と位置を合わされるようになっている。この装置は、蒸気が第1の開口を通って第1の貫通孔の中へ流れ、第1の貫通孔から第2の貫通孔の中へ流れることができ、液体が第2の開口を通って第3の平らな表面へ流れ、第3の平らな表面から第2の貫通孔の中へ流れることができるようになっている。第2の貫通孔は蒸気と液体とが混合され、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。
【0093】
一実施態様において、第1の平らな表面の中の第1の開口は蒸気マニホールドを含み、第2の平らな表面の中の第2の開口は液体マニホールドを含む。
【0094】
一実施態様において、再分配プレートは第1のシムを含み、第1のシムは第1の平らな表面および第1の平らな表面の中の複数の第1の開口を含む。再分配プレートは第2のシムを含み、第2のシムは第2の平らな表面、第2の平らな表面の中の複数の第2の開口および第2の平らな表面の中の複数の第1の貫通孔を含む。第1のシムは第2のシムの上にある。再分配プレートは第3のシムを含み、第3のシムは第3の平らな表面および第3の平らな表面の中の複数の第2の貫通孔を含む。第2のシムは第3のシムの上にあり、第2の貫通孔は第1の貫通孔と位置を合わされる。再分配プレートは第4のシムを含み、第4のシムは第4の平らな表面および第4の平らな表面の中の複数の第3の貫通孔を含む。第3のシムは第4のシムの上にあり、第3の貫通孔は第2の貫通孔と位置を合わされる。第4のシムはマイクロチャネルへの入口の上にあるようになっており、第3の貫通孔はマイクロチャネルへの入口と位置が合うようになっている。この装置は、液体が第1の開口を通って第1の貫通孔の中へ流れ、第1の貫通孔から第2の貫通孔の中へ流れ、第2の貫通孔から第3の貫通孔の中へ流れることができ、蒸気が第2の開口を通って第2の貫通孔の中へ流れ、第2の貫通孔から第3の貫通孔の中へ流れることができるようになっている。第2の貫通孔および第3の貫通孔は蒸気と液体とが混合され、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。
【0095】
一実施態様において、第1の平らな表面の中の第1の開口は液体マニホールドを含み、第2の平らな表面の中の第2の開口は蒸気マニホールドを含む。
【0096】
一実施態様において、再分配プレートは第1のシムを含み、第1のシムは第1の平らな表面、第1の平らな表面の第1の側の第1の平らな表面の中の第1の開口、および第1の平らな表面の第2の側の上の第1の平らな表面の中の第2の開口を含み、第1の開口および第2の開口は互いに平行に延在する開いたチャネルの形である。再分配プレートは第2のシムを含み、第2のシムは第2の平らな表面、第2の平らな表面の中の複数の第3の開口、および第2の平らな表面の中の複数の第4の開口を含み、第3の開口および第4の開口は互いに平行に延在する開いたチャネルの形である。第1のシムは第2のシムの上にあり、第3の開口および第4の開口は第1の開口および第2の開口に垂直に位置を合わされ、第1の開口は第3の開口の一部と位置を合わされ、第2の開口は第4の開口の一部と位置を合わされる。再分配プレートは第3のシムを含み、第3のシムは第3の平らな表面および第3の平らな表面の中の複数の第5の開口を含む。第2のシムは第3のシムの上にあり、第5の開口は互いに平行にかつ第3のチャネルおよび第4のチャネルに垂直に延在する開いたチャネルの形であり、第3のシムはマイクロチャネルへの入口の上にあるようになっている。この装置は、蒸気が第1の開口を通って第3の開口の中へ流れ、第3の開口から第5の開口の中へ流れることができ、液体が第2の開口を通って第4の開口の中へ流れ、第4の開口から第5の開口の中へ流れることができるようになっている。第5の開口は蒸気と液体とが混合され、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。
【0097】
一実施態様において、第1の平らな表面の中の第1の開口は蒸気マニホールドを含み、第1の平らな表面の中の第2の開口は液体マニホールドを含む。
【0098】
本発明は、複数のプロセスマイクロチャネル、および前述の分配装置の上記実施態様のいずれかを含むマイクロチャネルプロセス処理単位に関する。分配装置は、プロセスマイクロチャネルの中への液体および蒸気の流れを提供するようになっている。
【0099】
本発明は、蒸気および2つの液体をマイクロチャネルプロセス処理単位の中の複数のマイクロチャネルの中へ流すための分配装置に関する。分配装置はマイクロチャネルへの入口に配置されるようになっており、分配装置は分配プレートを含み、分配プレートは第1の液体マニホールドスロット、第2の液体マニホールドスロット、蒸気通路、第1の液体マニホールドスロットから蒸気通路へ延在する第1の分配チャネル、第2の液体マニホールドスロットから蒸気通路へ延在する第2の分配チャネルを含む。本装置は、蒸気が蒸気通路を通って流れることができ、第1の液体が第1の液体マニホールドスロットから第1の分配チャネルを通って蒸気通路の中へ流れ、蒸気通路の中を流れる蒸気と接触することができ、第2の液体が第2の液体マニホールドスロットから第2の分配チャネルを通って蒸気通路の中へ流れ、蒸気通路の中を流れる蒸気および蒸気通路の中を流れる第1の液体と接触することができるようになっている。
【0100】
一実施態様において、本装置は、第1の液体のための第1の液体原料プレートをさらに含む。第1の液体原料プレートは分配プレートの第1の側に配置され、第1の液体原料プレートは第1の液体原料プレートマニホールドスロットを含み、第1の液体原料プレートマニホールドスロットは第1の液体のための入口を提供する。
【0101】
一実施態様において、本装置は、第2の液体のための第2の液体原料プレートをさらに含む。第2の液体原料プレートは分配プレートの第2の側に配置される。分配プレートの第2の側は分配プレートの第1の側と反対側にある。第2の液体原料プレートは第2の液体原料プレートマニホールドスロットを含む。第2の液体原料プレートマニホールドスロットは第2の液体のための入口を提供する。
【0102】
一実施態様において、分配プレートの中に複数の第1の液体マニホールドスロット、第2の液体マニホールドスロットおよび蒸気通路が形成される。
【0103】
一実施態様において、分配装置の中に複数の分配プレートが配置される。分配プレートは横に並べられるかまたは上下に重ねられて配置される。
【0104】
一実施態様において、第1の液体原料プレートの中に第1の分配チャネルが配置され、第1の液体原料プレートマニホールドスロットと接続される。
【0105】
一実施態様において、第2の液体原料プレートの中に第2の分配チャネルが配置され、第2の液体原料プレートマニホールドスロットと接続される。
【0106】
一実施態様において、第1の分配チャネルおよび/または第2の分配チャネルを湾曲または収縮させて第1の分配チャネルおよび/または第2の分配チャネルの中に流れる流体の圧力降下を増加させる。
【0107】
本発明は、蒸気および2つの液体をマイクロチャネルプロセス処理単位の中の複数のマイクロチャネルの中へ流すための分配装置に関する。分配装置はマイクロチャネルへの入口に配置されるようになっている。分配装置は第1の分配セクションを含む。分配装置は第2の分配セクションを含み、第1の分配セクションは第2の分配セクションの上にある。分配装置は第3の分配セクションを含み、第2の分配セクションは第3の分配セクションの上にある。本装置は、蒸気が第1の分配セクションから第2の分配セクションおよび第3の分配セクションを通ってマイクロチャネルの中へ流れ、第1の液体が第2の分配セクションから蒸気と接触し、第3の分配セクションを通ってマイクロチャネルの中へ流れ、第2の液体が第3の分配セクションから蒸気および第1の液体と接触し、マイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。
【0108】
一実施態様において、第1の分配セクションは上下に重ねられた3つのプレートを含む。3つのプレートはマニホールドプレートを含む。3つのプレートは第1の分配プレートを含み、マニホールドプレートは第1の分配プレートの上にある。3つのプレートは第2の分配プレートを含み、第1の分配プレートは第2の分配プレートの上にある。第1の分配セクションは、蒸気がマニホールドプレートから第1の分配プレートへ流れ、第1の分配プレートの中の開口を通って第2の分配プレートへ流れ、第2の分配プレートの中の開口を通って第2の分配セクションへ流れることができるようになっている。
【0109】
一実施態様において、第2の分配セクションは上下に重ねられた3つのプレートを含む。3つのプレートはマニホールドプレートを含む。3つのプレートは第1の分配プレートを含み、マニホールドプレートは第1の分配プレートの上にある。3つのプレートは第2の分配プレートを含み、第1の分配プレートは第2の分配プレートの上にある。第2の分配セクションは、第1の液体がマニホールドプレートから第1の分配プレートへ流れて第1の分配セクションからの蒸気と接触し、第1の分配プレートの中の開口を通って第2の分配プレートへ流れ、第2の分配プレートの中の開口を通って第3の分配セクションへ流れることができるようになっている。
【0110】
一実施態様において、第3の分配セクションは上下に重ねられた3つのプレートを含む。3つのプレートはマニホールドプレートを含む。3つのプレートは第1の分配プレートを含み、マニホールドプレートは第1の分配プレートの上にある。3つのプレートは第2の分配プレートを含み、第1の分配プレートは第2の分配プレートの上にある。第3の分配セクションは、第2の液体がマニホールドプレートから第1の分配プレートへ流れて第1の分配セクションからの蒸気および第2の分配セクションからの第1の液体と接触し、第1の分配プレートの中の開口を通って第2の分配プレートへ流れ、第2の分配プレートの中の開口を通ってマイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。
【0111】
本発明は、複数のプロセスマイクロチャネルおよび前述の分配装置を含むマイクロチャネルプロセス処理単位に関する。分配装置は、2つの液体および蒸気のプロセスマイクロチャネルの中への流れを提供するようになっている。
【0112】
本発明は、少なくとも約95重量%の、5つ以上の炭素原子を有する直鎖脂肪族化合物、および少なくとも約0.05重量%の、5から約13の炭素原子を有する脂環式化合物、および/または少なくとも約0.01重量%の、6から約18の炭素原子を有する芳香族化合物を含む水素化分解されたフィッシャー・トロプシュ合成生成物に関する。
【0113】
本発明は、炭化水素反応体および水素を含む反応体を反応器の中に流し、触媒と接触させて1つ以上の生成物を形成させ、炭化水素反応体は液体を含むステップであって、炭化水素の液体毎時空間速度は約5hr
−1以上であるステップ、および反応器から生成物を取り出すステップを含み、(a)炭化水素反応体は第1の炭化水素鎖長を有する炭化水素を含み、炭化水素反応体は2つ以上の炭化水素生成物へ変換され、炭化水素生成物は第1の炭化水素鎖長より短い鎖長を有し、反応率基準の収率は50%より大きいプロセス、あるいは(b)炭化水素反応体は炭化水素反応体と結合した1つ以上のヘテロ原子を含み、ヘテロ原子の少なくとも1つは水素と反応してヘテロ原子含有化合物を形成し、生成物はヘテロ原子の欠如または炭化水素反応体と比較して低下したヘテロ原子含有率を特徴とする炭化水素生成物を含み、反応体の反応率は50%より大きいプロセスに関する。
【0114】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの流体力学直径に対する触媒の長さの比は、約20より大きい。
【0115】
一実施態様において、粒子またはチャネルのボンド数は、約1より小さい。
【0116】
一実施態様において、熱交換流体チャネルがプロセスマイクロチャネルと隣接し、反応器の中のプロセスマイクロチャネルの全断面積は反応器の中の熱交換流体チャネルの全断面積より大きい。
【0117】
本発明のプロセスでは、比較的高い熱移動および物質移動の速度の結果として、増加したプロセス効率を実現することができる。従来のプロセス処理と比較するとこれは以下の利点を提供することができる。
・生産性の顕著な増加、
・同じスループットでのプロセス専有面積の顕著な低下、
・増加したプロセス処理ウインドウおよび稼動の柔軟さ(より低い圧力および温度において運転する機会)、
・増加したプロセス制御(ホットスポットに関わる問題の低下)、
・低下した稼動コスト、
・低下したエネルギー消費、
・プロセススループットの容易な変動(数の増加による規模調節手法)、
・単一および移動可能デバイスシステムにおける複数単位操作の統合、
・触媒機能の最適化、
・触媒再生スキームの容易な実体化。
全体として、これらの利点は、多くの場合に稼動を制約するコストおよび流通問題を解消し、エネルギーが現場で生産されることを可能にし、農業資源、廃棄物および/またはその他の生物材料を含んでよい容易に入手可能な原料、地域原料および再生可能原料を採用する。
【0118】
添付の図面において、類似の部品および構成要素は類似の記号を有する。
【発明を実施するための形態】
【0120】
本明細書および請求項において開示されているすべての範囲および比の限界値はどのように組み合わせてもよい。特に断らない限り、「a」、「an」および/または「the」への参照は1つまたは2つ以上を含み、単数形の品目への参照は複数形のその品目も含むことができると理解するべきである。請求項において特定されるすべての組み合わせはどのように組み合わせてもよい。
【0121】
用語「水素化分解プロセス」は、炭化水素分子がより小さな分子に分割されるプロセスを指す。例えば、C
12アルカンは水素化分解されてC
7アルカンとC
5アルカンとを形成することができる。水素化分解生成物は異性化することができる。水素化分解生成物は直鎖炭化水素、分岐鎖炭化水素(例えばイソパラフィン)および/または環式化合物を含んでよい。
【0122】
用語「水素化処理プロセス」は、1つ以上の炭化水素と結合したヘテロ原子が水素と反応してヘテロ原子含有化合物を形成するプロセスを指す。ヘテロ原子含有化合物は、次に炭化水素から分離される。ヘテロ原子は硫黄、窒素、酸素および/または金属(例えばNi、Vおよび類似金属)を含んでよい。
【0123】
用語「水素化プロセス処理」は、水素化分解プロセスまたは水素化処理プロセスを指す。
【0124】
用語「フィッシャー・トロプシュ反応」または「FT反応」は、一酸化炭素と水素との混合物が液体炭化水素へ変換される触媒反応を指す。
【0125】
用語「炭化水素」は、純粋に炭化水素化合物、すなわち脂肪族化合物(例えばアルカン、アルケンまたはアルキン)、脂環式化合物(例えばシクロアルカン、シクロアルキレン)、芳香族化合物、脂肪族および脂環式置換芳香族化合物、芳香族置換脂肪族化合物、芳香族置換脂環式化合物および類似化合物を指してよい。用語「炭化水素」は、置換炭化水素化合物、すなわち非炭化水素置換基を含む炭化水素化合物を指してよい。非炭化水素置換基の例はヒドロキシル、アシル、ニトロ等を含んでよい。用語「炭化水素」は、ヘテロ置換炭化水素化合物、すなわち鎖または環の中に炭素以外の原子を含み、他の部分は炭素原子を含んでいる炭化水素化合物を指してよい。ヘテロ原子は、例えば窒素、酸素、硫黄および類似元素を含んでよい。
【0126】
用語「マイクロチャネル」は、最大約10ミリメートル(mm)、一実施態様において最大約5mm、一実施態様において最大約2mmの高さまたは幅の少なくとも一方の内部寸法を有するチャネルを指す。
図1に本発明のプロセスによって用いることができるマイクロチャネルの例が図示されている。
図1を参照すると、マイクロチャネル10は高さ(h)、幅(w)および長さ(l)を有する。流体はマイクロチャネル10を通って矢印12および14によって示される方向へ流れる。高さ(h)と幅(w)との両方がマイクロチャネル10の中の流体の流れに垂直である。マイクロチャネルは少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含んでよく、少なくとも1つの入口は少なくとも1つの出口と異なる。マイクロチャネルは単なるオリフィスでなくてよい。マイクロチャネルは単なるゼオライトまたはメソ多孔質材料の中のチャネルでなくてよい。マイクロチャネルの長さは高さまたは幅の少なくとも約2倍、一実施態様において高さまたは幅の少なくとも約5倍、一実施態様において高さまたは幅の少なくとも約10倍であってよい。高さまたは幅はマイクロチャネルの対向する内壁の間の隙間と呼んでよい。マイクロチャネルの内部の高さまたは幅は約0.05から約10mm、一実施態様において約0.05から約5mm、一実施態様において約0.05から約2mm、一実施態様において約0.05から約1.5mm、一実施態様において約0.05から約1mm、一実施態様において約0.05から約0.75mm、一実施態様において約0.05から約0.5mmの範囲内であってよい。高さまたは幅の他方の内部寸法は任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様において約0.01から約3メートル、一実施態様において約0.1から約3メートルであってよい。マイクロチャネルの長さは任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様において約0.1から約10メートル、一実施態様において約0.1から約6メートル、一実施態様において約0.1から約3メートル、一実施態様において約0.1から約2メートル、一実施態様において約0.1から約1メートルであってよい。マイクロチャネルは任意の形状、例えば正方形、長方形、円、半円、台形等を有する断面を有してよい。マイクロチャネルの断面の形状および/またはサイズはその長さにわたって変化してよい。例えば高さまたは幅はマイクロチャネルの長さにわたって比較的大きな寸法から比較的小さな寸法またはその逆へテーパー形とされてよい。マイクロチャネルは長方形状のチャネルを有するフィン構造物から形成されてよく、チャネルは完全に正方形のチャネルを有する必要も、いずれのチャネル寸法について一定の断面を有する必要もない。チャネルは互いに異なってもよく、あるいは流れの分配を助け、チャネル妨害物の周りを動く流れを提供する流体接続の領域を有してもよい。
【0127】
用語「プロセスマイクロチャネル」は、プロセスが行われるマイクロチャネルを指す。プロセスは、水素化分解プロセスまたは水素化処理プロセスに関するものであってよい。プロセスは、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成生成物を形成し、次いでFT合成生成物を水素化分解することに関するものであってよい。
【0128】
用語「マイクロチャネル反応器」は、反応プロセスが行われる1つ以上のプロセスマイクロチャネルを含む装置を指す。プロセスは、水素化分解プロセスまたは水素化処理プロセスであってよい。プロセスは、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成プロセスと組み合わされて行われる水素化分解プロセスを含んでよく、この場合、FTプロセスは水素化分解のために用いられるマイクロチャネル反応器の上流で、または水素化分解のために用いられる同じマイクロチャネルの中で行われる。2つ以上のプロセスマイクロチャネルが用いられるとき、プロセスマイクロチャネルは並行に動作させてよい。マイクロチャネル反応器は、1つ以上のプロセスマイクロチャネルの中への反応体の流れを提供するためのヘッダまたはマニホールドアセンブリ、および1つ以上のプロセスマイクロチャネルから出る生成物の流れを提供するフッタまたはマニホールドアセンブリを含んでよい。マイクロチャネル反応器は、1つ以上のプロセスマイクロチャネルと隣接し、および/または熱接触している1つ以上の熱交換チャネルをさらに含んでよい。熱交換チャネルは、プロセスマイクロチャネルの中の流体のための加熱および/または冷却を提供してよい。熱交換チャネルは、マイクロチャネルであってよい。マイクロチャネル反応器は、熱交換チャネルの中への熱交換流体の流れを提供するためのヘッダまたはマニホールドアセンブリ、および熱交換チャネルから出る熱交換流体の流れを提供するフッタまたはマニホールドアセンブリを含んでよい。
【0129】
用語「従来の反応器」は、マイクロチャネル反応器でない反応器を指す。
【0130】
用語「マイクロチャネルプロセス処理単位」は、プロセスが行われる1つ以上のプロセスマイクロチャネルを含む装置を指す。プロセスは反応プロセスであってもよく、あるいは1つ以上の流体が取り扱われるその他の任意の単位操作であってもよい。
【0131】
プロセスマイクロチャネル内の体積に関する用語「体積」は、プロセス流体が貫流するかまたは側流するプロセスマイクロチャネルの中のすべての体積を含む。この体積は、プロセスマイクロチャネルの中に配置されてよく、貫通流方式または側流方式の流体の流れに適応させることができる表面構成要素内の体積を含んでよい。
【0132】
1つのチャネルの位置を別のチャネルの位置に対して指すとき用語「隣接する」は、単数または複数の壁がこれら2つのチャネルを分離するように直接隣接することを意味する。一実施態様において、2つのチャネルは共通の壁を有してよい。共通の壁は厚さが変化してよい。しかし、「隣接する」チャネルは、これらのチャネルの間の熱移動を妨げることがある介在チャネルによって分離されてはならない。1つのチャネルは別のチャネルと別のチャネルの一部分だけで隣接してよい。例えば、プロセスマイクロチャネルが1つ以上の隣接する熱交換チャネルより長くてもよく、隣接する熱交換チャネルを超えて延在してもよい。
【0133】
用語「熱接触」は、互いに物理接触していてもいなくてもよく、あるいは互いに隣接していてもいなくてもよいが、互いに熱を交換する2つの実体、例えば2つのチャネルを指す。別の実体と熱接触している1つの実体は他方の実体を熱しても冷却してもよい。
【0134】
用語「流体」は、気体、液体、気体と液体との混合物、あるいは分散した固体、液滴および/または気泡を含む気体または液体を指す。液滴および/または泡は不規則形状であっても規則形状であってもよく、同様なサイズであっても異なるサイズであってもよい。
【0135】
用語「気体」と「蒸気」とは同じ意味を有し、ときには区別なく用いられる。
【0136】
用語「滞留時間」または「平均滞留時間」は、チャネル内の空間のうち、その空間内に流れている流体によって占められている内部体積を、用いられている温度および圧力においてその空間内に流れている流体の平均体積流速で除した商を指す。
【0137】
用語「上流」および「下流」は、チャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)内あるいはプロセスまたはプロセスフローシートにおける位置を指し、これらの位置はチャネルあるいはプロセスまたはプロセスフローシートの中の流体の流れの方向と相対的である。例えば、その位置へ向かって流れている流体流の部分がまだ到達していないチャネルあるいはプロセスまたはプロセスフローシート内の位置は、流体流のその部分の下流となるであろう。その位置から流れ去っていく流体流の部分が既に通過したチャネルあるいはプロセスまたはプロセスフローシート内の位置は、流体流のその部分の上流となるであろう。本明細書において用いられるチャネルは水平、垂直または斜めに配向してよいので、用語「上流」および「下流」は必ずしも垂直位置を指さない。
【0138】
用語「シム」は、平らなまたは実質的に平らなシートまたはプレートを指す。シムの厚さはシムの最も小さな寸法であってよく、最大約4mm、一実施態様において約0.05から約2mmの範囲内、一実施態様において約0.05から約1mmの範囲内、一実施態様において約0.05から約0.5mmの範囲内であってよい。シムは任意の長さおよび幅を有してよい。
【0139】
用語「表面構成要素」は、チャネル内の流れを撹乱する、チャネル壁にあるくぼみおよび/または内部チャネル構造物(例えば内部フィン)および/またはチャネル壁からの突起および/または内部チャネル構造物を指す。用いられてよい表面構成要素設計の例が
図15、16および25に図示されている。表面構成要素は円、球、半球、錐台、長円、正方形、長方形、角度のある長方形、格子、逆V字、羽根、翼、波形形状および類似物の形であってよい。前述のものの2つ以上の組み合わせを用いてもよい。表面構成要素は副構成要素を含んでよく、表面構成要素の主壁はより小さな表面構成要素をさらに含み、より小さな表面構成要素はノッチ、波、ギザギザ、孔、バリ、格子、貝殻縞および類似物の形であってよい。表面構成要素は深さ、幅および長さを有してよい。表面構成要素は、本発明のプロセスに従って用いられるプロセスマイクロチャネルおよび/または熱交換チャネルの内壁の1つ以上の上または中に形成されてよい。表面構成要素は、受動表面構成要素または受動混合構成要素と呼んでよい。表面構成要素を用いて流れを撹乱(例えば層流の流線を撹乱)し、バルク流れ方向に対してある角度の移流を生じさせることができる。
【0140】
用語「波形体」は、平らな物体から3次元物体へ変形されている熱伝導性材料の連続片を指す。波形体を用いて1つ以上のマイクロチャネルを形成させることができる。波形体は、対向する平らなシートまたはシムの間に挟むことができる直角波形インサートを含んでよい。あるいは、波形インサートは直角でなくてもよく、任意の寸法であってよい孔、アパチャーまたは開口を有する材料から形成されてよい。このようにして、1つ以上のマイクロチャネルを3つの側は波形体、第4の側は平らなシートまたはシムの1つによって定めてよい。波形体は、本明細書においてマイクロチャネル反応器を作るために有用であると開示されている熱伝導性材料のいずれによって作ってもよい。これらは、銅、アルミニウム、ステンレス鋼および類似物を含んでよい。波形体の熱伝導率は、約1W/m−K以上であってよい。波形体は2つ以上の層を含む複合材料を含んでよく、2つ以上の材料の熱伝導率は約20%以上異なっていてよい。波形体は、3層構造体を含んでよく、例えばアルミニウムまたは銅の層を2つのステンレス鋼層の間に配置してよい。熱伝導性の波形体を用いて触媒と接触させるための不活性表面を維持しつつ反応熱を除去してよい。水素化分解反応および/または水素化プロセス処理反応を含む任意の発熱反応についても複合波形を用いてよい。
【0141】
用語「バルク流れ方向」は、チャネルの中の開いた経路の中で流体が移動することができる方向のベクトルを指す。
【0142】
用語「バルク流れ領域」は、チャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)内の開いた区域を指す。連続バルク流れ領域は、顕著な圧力低下なくチャネルを通る速い流体の流れを可能にすることができる。一実施態様において、バルク流れ領域の中の流れは層流であってよい。バルク流れ領域は、マイクロチャネルの内部体積および/または断面積の少なくとも約5%、一実施態様においてマイクロチャネルの内部体積および/または断面積の約5%から約100%、一実施態様において約5%から約99%、一実施態様において約5%から約95%、一実施態様において約5%から約90%、一実施態様において約30%から約80%を含んでよい。
【0143】
用語「開いたチャネル」は、チャネルを通って全体に延在し、それによって流体が流れに対する障害物にぶつからずにチャネルを通って流れることができる、少なくとも約0.01mmの隙間を有するチャネル(例えばマイクロチャネル)を指す。隙間は最大約10mm延在してよい。
【0144】
用語チャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)の「断面積」は、チャネルの中の流体のバルク流れ方向に垂直に測定された面積を指し、存在してよい任意の表面構成要素を含むチャネル内の全面積を含んでよいが、チャネル壁を含まない。長さに沿って湾曲するチャネルの場合、長さと平行であり、かつチャネルの中心(面積による)にある線に沿って選ばれた点におけるバルク流れ方向に垂直に断面積を測定してよい。高さおよび幅の寸法は、1つの内部チャネル壁から反対側の内部チャネル壁へ測定してよい。これらの寸法は、表面構成要素、表面粗さおよび類似物によって生じた変化を考慮した平均値であってよい。
【0145】
用語チャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)の「開いた断面積」は、チャネルの中の流体の流れのバルク流れ方向に垂直に測定されたチャネルの中のバルク流体流れのために開いている面積を指す。開いた断面積は、存在してよい表面構成要素および類似物などの内部障害物を含まなくてよい。
【0146】
チャネルの中を流れている流体の速度に関する用語「空塔速度」は、チャネルの入口温度および圧力における流体の体積流速をチャネルの断面積で除した商から得られる速度を指す。
【0147】
用語「自由流速度」は、チャネルの側壁から十分な距離においてチャネルの中を流れ、それによって速さが最大となっている流れの速さを指す。滑りなしの境界条件が適用可能であればチャネルの中を流れている流れの速度は側壁においてゼロであるが、側壁からの距離が増加すると一定値に到達するまで増加する。この一定値が「自由流速度」である。
【0148】
用語「プロセス流体」は、プロセスマイクロチャネルへ入り、プロセスマイクロチャネルの中を流れ、および/またはプロセスマイクロチャネルから流出する反応体、生成物、希釈媒および/または他の流体を指す。
【0149】
用語「反応体」は、本発明の水素化分解プロセスを参照して用いられるとき、炭化水素反応体および水素を指す。フィッシャー・トロプシュ(FT)合成プロセスを参照するとき、用語反応体はCOおよびH
2を指す。
【0150】
用語「反応ゾーン」は、化学反応が起こるかまたは少なくとも1つの化学種の化学変換が起こるマイクロチャネル内の空間を指す。反応ゾーンは、1つ以上の触媒を含んでよい。
【0151】
用語「傾斜触媒」は、触媒活性の1つ以上の勾配を有する触媒を指す。傾斜触媒は、触媒的に活性な金属の変化する濃度または表面積を有してよい。傾斜触媒は、触媒的に活性な部位の変化するターンオーバー速度を有してよい。傾斜触媒は、距離の関数として変化する物理特性および/または形を有してよい。例えば、傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネルへの入口において比較的低くプロセスマイクロチャネルの出口の近くでより高い濃度へ増加するかまたはその逆である活性金属濃度、あるいはプロセスマイクロチャネルの中心(すなわち中点)に近いほど低い濃度およびプロセスマイクロチャネル壁に近いほど高い濃度、またはその逆である触媒的に活性な金属を有してよい等である。傾斜触媒の熱伝導率は、プロセスマイクロチャネル内の1つの場所から別の場所へ変化してよい。傾斜触媒の表面積は、一定表面積の担体上の触媒的に活性な金属部位のサイズを変化させることによって、または担体の表面積を変化させることによって、例えば担体の種類または粒子サイズを変化させることによって、変化させてよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネルのさまざまな部分で担体の体積に対する表面積の比が高くなったり低くなったりする多孔質担体を有し、続いてどこでも同じ触媒被覆物が適用されてよい。前述の実施態様の2つ以上の組み合わせを用いてもよい。傾斜触媒は、単一触媒成分または複数触媒成分(例えば2元金属または3元金属触媒)を有してよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネル内の1つの場所から別の場所へ距離の関数としてその特性および/または組成を次第に変化させてよい。傾斜触媒は、触媒的に活性な金属の「卵殻」分布を各粒子の中に有する縁付き粒子を含んでよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネルの長さに沿って軸方向へ、または横方向へ傾斜を有してよい。傾斜触媒は、異なる触媒組成、異なる担持率および/または活性な触媒部位の数を有してよく、これらはプロセスマイクロチャネル内の1つの位置から別の位置へ変化してよい。触媒的に活性な部位の数は、触媒構造体の多孔度を変化させることによって変化させてよい。これは、さまざまな量の触媒材料を堆積させるウォッシュコート法プロセスを用いて実現させてよい。例は、プロセスマイクロチャネル長さに沿って異なる多孔質触媒厚さの使用であってよく、これによってより多くの活性が必要とされるところほど厚い多孔質構造を残すことができる。一定のまたは可変の多孔質触媒厚さについて多孔度の変化も用いてよい。流れのための開いた区域または隙間と隣接して第1の細孔サイズを用いてよく、プロセスマイクロチャネル壁と隣接して少なくとも1つの第2の細孔サイズを用いてよい。
【0152】
用語「触媒の体積」または「触媒の立方メートル」は、触媒の触媒的に活性な部分の体積を指す。固体粒子床について、用語「触媒の体積」または「触媒の立方メートル」は、活性な触媒が充填されている空間の体積を指してよい。
【0153】
用語「熱交換チャネル」は、熱を放出し、および/または熱を吸収する熱交換流体をその中に有するチャネルを指す。熱交換チャネルは、隣接するチャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)および/または熱交換チャネルと熱接触している1つ以上のチャネルから熱を吸収するか、あるいは隣接するチャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)および/または熱交換チャネルと熱接触している1つ以上のチャネルへ熱を放出してよい。熱交換チャネルは、互いに隣接しているが熱交換チャネルとは隣接していないチャネルから熱を吸収するか、あるいは互いに隣接しているが熱交換チャネルとは隣接していないチャネルへ熱を放出してよい。一実施態様において、1つ、2つ、3つまたは4つ以上のチャネルが互いに隣接し、2つの熱交換チャネルの間に配置されてよい。
【0154】
用語「伝熱壁」は、プロセスマイクロチャネルと隣接する熱交換チャネルとの間の共通の壁を指す。共通の壁を通って1方のチャネルから他方のチャネルへ熱が移動する。一実施態様において、複数のプロセスマイクロチャネルが互いに隣接してよく、これらのプロセスマイクロチャネルは1つ以上の熱交換チャネルと熱を交換してよい。一実施態様において、2つ、3つまたは4つ以上のプロセスマイクロチャネルが互いの上に配置され、熱交換チャネルへ熱を移動させてよい。この後者の実施態様において、第1のプロセスマイクロチャネルからの熱は、第3のプロセスマイクロチャネルまたは熱交換チャネルへ行く前に第2のプロセスマイクロチャネルへ行ってよい。これは、隣接する熱交換層を加える前に介在する平らな壁の有無にかかわらず複数のプロセス波形体をそれぞれの上に積層することによって可能にすることができる。
【0155】
用語「熱交換流体」は、熱を放出し、および/または熱を吸収することができる流体を指す。
【0156】
用語「熱交換媒質」は、熱を吸収するかまたは熱を放出し、別の物質またはデバイスを冷却するかまたは熱するために用いることができる物質またはデバイスを指す。別の物質またはデバイスは、例えば熱交換媒質と隣接しているかまたは熱交換媒質と熱接触しているチャネルであってよい。熱交換媒質の例は、熱交換チャネルの中の熱交換流体であろう。
【0157】
用語「反応体の反応率」は、マイクロチャネル反応器の中へ流れる流体とマイクロチャネル反応器から流出する流体との間の反応体モル変化をマイクロチャネル反応器の中へ流れる流体の反応体のモルで除した商を指す。
【0158】
本明細書において、水素化分解プロセスに対して用語「反応率基準の収率」または「CBY」を用いて10から22の炭素原子を有する生成物の質量から10から22の炭素原子を有する原料の質量を引いた差を22より多い炭素原子を有する原料の質量で除した商を指す。反応率基準の収率またはCBYは、式
CBY=[(質量C
10〜C
22生成物)−(質量C
10〜C
22原料)]÷(質量C
22+原料)
によって表すことができる。
【0159】
本明細書において、水素化分解プロセスに対して用語「全量基準の収率」または「TBY」を用いて10から22の炭素原子を有する生成物の質量から10〜22の炭素原子を有する原料の質量を引いた差を原料の質量で除した商を指す。全量基準の収率またはTBYは、式
TBY=[(質量C
10〜C
22生成物)−(質量C
10〜C
22原料)]÷(質量原料)
によって表すことができる。
【0160】
本明細書において、水素化分解プロセスに対して用語「選択率」を用いて10から22の炭素原子を有する生成物の質量から10〜22の炭素原子を有する原料の質量を引いた差を22より多い炭素原子を有する原料の質量から22より多い炭素原子を有する生成物の質量を引いた差で除した商を指す。選択率は、式
選択率=[(質量C
10〜C
22生成物)−(質量C
10〜C
22原料)]÷[(質量C
22+原料)−(質量C
22+生成物)]
によって表すことができる。
【0161】
本明細書において、用語「軽質」および「重質」は、比較的低い沸点範囲および高い沸点範囲をそれぞれ指す精製業界内のそれらの通常の意味で用いられる。
【0162】
本明細書において、用語「サイクル」を用いてプロセスマイクロチャネルを通る反応体の1回の通過を指す。
【0163】
用語「固体基質」は、約2mmより小さい、一実施態様において約1mmより小さい、一実施態様において約0.05mmから約0.5mmの範囲内の平均直径を有する顆粒状粒子を指してよい。固体基質は、実質的にマイクロチャネルの隙間にまたがる連続多孔質媒質を含んでよい。多孔質媒質は、相互接続している規則的または不規則的細孔のどちらかを有する発泡体、詰め物、ストランドおよび/またはモノリスの形であってよい。多孔性媒質は波形体を含んでよく、波形体は、約5%から約95%の波形体の厚さ全体にわたる多孔度または約5%から約95%の範囲の波形体の厚さの一部について多孔度を有する。固体基質は、プロセスマイクロチャネルの全長、またはプロセスマイクロチャネルの長さの一部にわたって連続的に収容されてよい。固体基質は、プロセスマイクロチャネルの長さに沿っていくつかの領域に収容されてよい。1つ以上の領域内のプロセスマイクロチャネルの幅および/または高さは、プロセスマイクロチャネルの長さに沿って変化してよい。
【0164】
用語「クエンチする」は、反応混合物の温度の急速な低下、反応混合物の中への反応体または非反応体流体の迅速な導入、あるいはクエンチ直径以下の寸法を有する制限された開口または通路を通して反応混合物を流すことを用いて化学反応を終了させるプロセスを指す。
【0165】
用語「クエンチ直径」は、それ未満では反応が終了する、反応混合物が流れて通過するための開口または通路の内部寸法(例えば高さ、幅、直径)を指す。
【0166】
用語「テイラー(Taylor)流れ」は、二相、蒸気−液体流についての流れ様式を指す。テイラー流れは、通常、流路の壁が濡れ、流路に沿って動く1つ以上の泡があるとき発生する。液相によって隔てられているこれらの泡の列が発生することがある。テイラー流れは、ジアーシアーン(Ghiaasiaan)の「二相流れ、通常系および微小系における沸騰および凝縮(Two−Phase Flow,Boiling and Condensation in Conventional and Miniature System)」、ケンブリッジ大学出版(Cambridge University Press)2007年、ISBN 0521882761,9780521882767に記載されている。この刊行物は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0167】
用語「mm」は、ミリメートルを指してよい。用語「nm」は、ナノメートルを指してよい。用語「ms」は、ミリ秒を指してよい。用語「μs」は、マイクロ秒を指してよい。用語「μm」は、ミクロンまたはマイクロメートルを指してよい。用語「ミクロン」および「マイクロメートル」は、同じ意味を有し、区別なく用いてよい。用語m/sは、1秒あたりメートルを指してよい。特に断らない限り、すべての圧力は、絶対圧で表される。
【0168】
水素化分解反応は、水素と1つ以上の炭化水素反応体との間の反応を必要とする。炭化水素反応体は、長鎖炭化水素を含んでよい。長鎖炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成生成物を含んでよい。C
23+留分をC
12からC
22の中間域炭素数へ分解することによって所望のディーゼル留分を増加させてよい。FTから製造されたワックス留分を過剰の水素とともに3相反応のために供給してよい。高い温度および圧力における反応条件下、液体原料の留分を気相へ変換する一方で、残る液体留分を触媒に沿ってゆっくり流れさせてよい。従来の水素化分解システムにおいては、液体流が形成される。
【0169】
本発明の水素化分解プロセスは、油、および油と混合された水素の均一な原料を使用して反応器の中への原料の導入の前に粒子サイズおよび混合を最適化してよい。ホモジナイザーを用いて所望の圧力および流れを提供してよい。スプレイノズルを用いて反応器の中への導入の前に所望のサイズ分布および混合を提供してよい。
【0170】
水素化分解および水素化処理は、化学業界全体にわたって炭化水素プロセス処理の基礎となっている。用途は、炭化水素原料を直接使用可能なジェット燃料およびディーゼル燃料の形へ変換することを含んでよい。
【0171】
原料としてFT生成物を用いると、マイクロチャネル反応器の使用は、プロセス処理の枠の拡大を提供してマイクロチャネルでない反応器または従来の反応器を用いる標準的な水素化分解操業の約2から約500倍大きな流速を可能にすることができる。従来の水素化分解触媒を用いてよい。従来の水素化分解触媒の例は担体を有するものを含んでよく、担体は非晶質材料(アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニアまたは組み合わせなど)、ゼオライト、層状粘土、ピラード粘土、または酸点を有する別の材料、あるいは前述の材料の2つ以上の組み合わせを含んでよい。担体は、水素化を増強する金属化学種をさらに含浸させてよい。金属化学種は、白金、パラジウム、ニッケル、モリブデン、タングステン、または前述の金属の2つ以上の組み合わせを含んでよい。
【0172】
水素化分解反応、ならびにFT合成反応、水素化処理反応および類似反応を含む他の気−液−固反応のためにマイクロチャネルを用いると、複数の先端において固有の利点が可能になる。これらは、反応速度、圧力降下、熱移動および物質移動を含んでよい。
【0173】
従来の水素化プロセス処理反応(例えば水素化分解反応および水素化処理反応)、ならびに他の多相反応は、熱除去によって制約を受けることがあり、十分な活性の触媒を必要とするが高い活性の触媒を必要としないことがある。マイクロチャネルは、従来の反応器を用いるとき通常有用であり得るものより高い活性の触媒を可能にすることができる。例えば、マイクロチャネル反応器の中にプロセスマイクロチャネルとともに散在する熱交換チャネルを用いることによって、マイクロチャネル反応器の場合に従来の反応器の場合より効果的に反応熱を除去することができる。一実施態様において、従来の水素化プロセス処理単位によって製造される生成物に追加の水素化分解または水素化処理を加えるために、従来の水素化プロセス処理単位の下流の仕上げ用単位としてマイクロチャネルプロセス処理単位を用いてよい。
【0174】
高さまたは幅のマイクロチャネル寸法は従来の反応器の直径より小さくてよいが、圧力降下は、充填床、多孔質媒質または他の触媒形を含んでよい触媒床を通る流れによって支配されることがある。触媒は、発泡体、詰め物、規則的または不規則的のどちらかである構造体、ならびにペレット、ビーズまたは粒子の形であってよい。流れの長さは、約2から10メートル以上のオーダーの従来の反応器に対し、マイクロチャネル反応器の場合には約0.1メートルから2メートルの範囲であってよい。床の長さが短くなると触媒粒子直径を小さくして従来の水素化分解装置の場合より正味同等以下のプロセス圧力降下を実現することが可能になることがある。実施態様によっては、より高い圧力降下が有用なことがある。さらに、個々の反応器または反応器アセンブリへの液体流および気体流の入口圧力は同じでなくてよい。反応器アセンブリは、並行に稼動する2つ以上の別々の反応器を含む。反応チャンバの前の圧力降下または圧力低下は、気体および液体の流れ分布を調節するために有用なことがある。一実施態様において、液体の入口圧力は気体より大きくてよい。液体のためのポンプ用動力は、気体のために必要な圧縮力より小さいことがある。一実施態様において、気体は、液体より高い入口圧力であってよい。
【0175】
水素化分解反応の場合、熱放出制御のために中間冷却セクション、液体再分配セクションおよびクエンチセクションを有する反応器設計が必要となることがある。水素化分解反応を行うためにプロセスマイクロチャネルを使用するマイクロチャネル反応器は、プロセスマイクロチャネルとともに散在する冷媒チャネルによる局所熱除去を使用してよい。FTワックスの水素化分解の場合、熱放出は比較的低いことがある。真空軽油、芳香族、オレフィンおよび/または硫黄、窒素または酸素などのヘテロ原子を含む分子を含む原料油を含む他の炭化水素は、比較的高い熱放出特性を有することがある。
【0176】
マイクロチャネル反応器を用いて粒子内および粒子間の両方の物質移動抵抗の低下を可能にすることができる。マイクロチャネル反応器の中で用いられる触媒粒子直径は、平均して約0.01から約1.5mm、一実施態様において約0.05から約0.5mm、一実施態様において約0.1から約0.3mmの範囲内であってよい。他方、従来の水素化分解装置または他の従来の多相反応器は、約2から約10mmの範囲の平均直径を有する触媒ペレットを用いることができる。
【0177】
触媒粒子直径の低下は、内部触媒部位の有効な使用を従来の水素化分解反応器より改善することができる。触媒についての有効性因子は、チ−レ数(Thiele Modulus)の関数であってよい。球形触媒粒子についてチ−レ数は半径を3で除した商に比例する。活性触媒部位上の等しい固有反応速度について触媒直径が10分の1に低下するとチ−レ数は10分の1に低下する。チ−レ数は有効性因子に正比例しない。1より小さなチ−レ数についてかなり高い有効性因子を予測することができる。チ−レ数が1よりはるかに大きくなるとはるかに急激な有効性因子の低下を予測することができる。粒子サイズの実際の影響は、固有反応速度、触媒ペレット内の反応体の拡散係数および触媒粒子内の物質拡散の蛇行性に依存する。
【0178】
粒子間物質移動抵抗の低下は、単純とはいえないであろう。マイクロチャネル寸法、および関連したその中に収容されている小さな触媒粒子は、粘性力および物体力より毛管力を促進することがある。正味の結果として、すべての相と触媒との接触を改善して見かけの触媒活性を改善する良好に分散した液体膜とすることができる。
【0179】
キャピラリー数(Ca)は、界面力に対する粘性力の比を定める。Ca=μ速度/σ、ここで、液体FT原料油の粘度は、既知の高温および高圧炭化水素データならびに液体フィッシャー・トロプシュ原料油についての表面張力値を用いて近似することができる。この式において、μ速度は粘度を指し、δは表面張力を指す。200psiおよび261℃におけるエイコサン流体の粘度は0.338cPである。この流体について温度への関数依存性を生成させると指数依存性が得られ、粘度は3.53×exp(−0.0091×温度(℃))に比例する。370℃の水素化分解反応混合物の場合、粘度は0.12cPと近似される。触媒粒子上のFT原料油の表面張力の測定値は、水の表面張力の大体3分の1である。0.3m/sの実際の線速度を有する反応系の場合(30hr
−1のLHSV、0.35の床空隙率および1500:1の水素対原料比を有する水素化分解プロセスに対応する、推定キャピラリー数は、約1.5×10
−3である。この反応条件の場合、FTワックスから350℃より低い沸点を有する生成物への反応率は、実質的に完結するかまたは99%より大きくすることができる。一実施態様において、反応率は通過あたり50%より大きいかまたは80%より大きくすることができる。
【0180】
マイクロチャネル反応器の中の多相反応についてのキャピラリー数は、約10
−2から約10
−6の範囲内であってよい。
【0181】
ボンド数(Bo)は、界面力(毛管力)に対する物体力(例えば重力)の比を定める。低いボンド数の場合、液体が合体するか滴下するかまたは反応器を通って滴ることを強いる重力より、反応チャンバ全体に液体を広げる界面毛管力の方が強くなることがある。Bo=ρgL
2/σ。ここで、FT原料油の密度は、液体フィッシャー・トロプシュ原料油についての既知の高温および高圧炭化水素データならびに表面張力値で近似してよい。この式において、ρは密度を指し、gは重力定数を指し、Lは臨界長さを指し、σは表面張力を指す。マイクロチャネルについてボンド数、例えばチャネルボンド数を計算することができる。臨界長さは最小チャネル寸法であり、これは通常チャネル隙間である。粒子についてボンド数、例えば粒子ボンド数を計算することができる。臨界長さは粒子直径である。マイクロチャネルの長さについてボンド数、例えば長さボンド数を計算することができる。臨界長さは反応器自体の流れの長さである。これら3つのボンド数を、水素化分解装置の液体が定められた臨界長さの中で毛管力によって優先的に広がるかまたは重力によって落下するかを決定する助けとすることができる。
【0182】
チャネルボンド数は、約0.001から約2の範囲内であってよい。ボンド数は、約1より小さくてもよく、一実施態様において約0.001から約0.999、一実施態様において約0.01から約0.95、一実施態様において約0.1から約0.9の範囲内であってよい。1.75mmのマイクロチャネル反応チャンバおよび0.6gm/ccの液体密度の場合、前例からの数を用いると、ボンド数は0.75である。より小さな反応チャンバの場合、ボンド数は、さらに低下し、1mm反応チャンバの場合には0.25である。
【0183】
約2mm未満の内部寸法を有する水素化分解反応チャンバまたは他の多相反応チャンバについてのチャネルボンド数は、約1より小さくすることができる。これは、マイクロチャネルチャンバ内に液体を分散させる界面力が重力より大きく、従って液体が合体して細流となってチャネル壁を流れ落ちるのではなく、マイクロチャネルの壁を濡らす傾向を示すことができることを示唆する。4.5メートルほどの大きさの直径を有する従来の水素化分解反応器床についてのチャネルボンド数は、約10より大きく、典型的には約100より大きく、または約1000より大きいことがある。これは、反応槽内の液体の流れにおいて重力が支配的であることを示唆する。従来の水素化分解装置または多相反応チャンバは、液体を良好に分散された状態に維持して充填床内の液体流チャネリングまたは細流を回避するという難題に直面する。
【0184】
マイクロチャネル内に配置された触媒粒子についての微粒子ボンド数は、約1より何桁も小さなオーダーであり、毛管力は重力によって及ぼされる力を克服するのに十分であり、従って液体は、合体し分散不足流となって粒子の周りに滴るのではなく、粒子を良好に濡らすことができることを示唆する。従来の水素化分解反応器ペレット直径の場合、触媒粒子は2mmを超え、通常3mmから50mmの範囲内となるので、粒子ボンド数は1を超えることがある。水素化分解反応流体特性の場合、粒子ボンド数は、約2mmのペレット直径の場合に1に近くなることがある。従来の水素化分解反応器または他の多相反応器の中の液体の流れは、液体を床全体に横方向へ広げるように作用することができる毛管力ではなく、重力および粘性力によって支配されることがある。FT液体油を周囲条件下で窒素気体の共流とともに下方流配向で流す実験が1.5mmの粒子および3mmの粒子を用いて行われた。3mm粒子を用いる実験は不均一な流れおよび細流を形成し、液体は粒子を十分濡らさない。これに対して1.5mm粒子を用いる実験は、良好に濡らす液体および安定な流れを示す。粒子ボンド数が約1より小さい1.5mm粒子を通る液体の流れの場合、細流は観測されなかった。
【0185】
互いに接触しているがそれ以外に結合も融合もしていない離散粒子で構成されている不連続な粒子床と異なる任意の連続多孔質材料でできている構造化触媒を用いる代替実施態様においては、臨界長さは、多孔質構造の最小寸法によって定められる。一例として、内部多孔性を有する多孔質フェルト、発泡体、詰め物、規則構造物または傾斜構造物が1mmの厚さおよび1mmより大きな長さおよび幅を有するなら、粒子ボンド数は、370℃における流動油の試験条件の場合、大体0.5と計算されるであろう。粒子ボンド数の使用は、粒子結合数が約1より小さくなるように小さな臨界寸法を有する多孔質構造物への拡張を含む。
【0186】
従来の水素化分解装置のための実験室試験反応器は、多くの場合、反応器の中の液体の横方向の流れを改善するために、従来のペレットの周りに非常に小さな粒子を散在させて試験される。このように粒子を二重サイズにする解決策は、従来の水素化分解装置について圧力降下の観点からは実際的でないことがあるが、ここからわかるのは触媒の性能に対する内部液体分布の重要性であり、従来の水素化分解反応器で選ばれている大きな触媒粒子の場合、液体による濡れ不足が維持される可能性があることである。
【0187】
正味の結果として、マイクロチャネルの中の小さな触媒粒子は毛管力によって支配される反応用の流体環境を生み出すことができるということであろう。液体が床の中でチャネルを作る従来の水素化分解装置とは異なり、マイクロチャネルの中の液体の流れはチャネル全体に良好に分散されたままにすることができる。従来の反応器は、反応器内の液体の定期的な回収および再分配を必要とするが、マイクロチャネルは必要としないことがある。さらに、横方向に良好に分配された液体の流れによって、気体が反応器床を気体および液膜の不安定ゾーンおよび間欠ゾーンへ分割するのではなく液膜をせん断または薄くすることが可能になる。
【0188】
マイクロチャネルについての長さのボンド数は、通常、従来の水素化プロセス処理反応器の場合と同じく1を超える。長さのボンド数は臨界パラメータでなくてよく、安定な液体流れで良好に濡れた触媒粒子を確立するために粒子およびチャネルのボンド数の方がより重要である。約1より小さな粒子ボンド数を有するプロセス上に、気体、液体および固体触媒の接触についての質量移動抵抗を低下させるための追加の要素を構築することができる。安定な膜および薄膜を高い気体速度によってさらに薄くすることができる。
【0189】
分割または流れの細流を抑えるのに十分な毛管力を有するマイクロチャネル反応器内の横方向に良好に分散した液膜では、マイクロチャネルの中の高い気体速度によって膜厚をさらに薄くすることができる。粒子の周りの液膜を低下させると、水素などの気体が触媒粒子に接近する物質移動抵抗を低くすることができる。フィッシャー・トロプシュ(FT)反応の場合、0.24m/sの空塔速度を有する気体を含む水素の場合の平均膜厚は約5ミクロンであってよい。FT液体の薄膜に対して通過する0.009m/sの速度を有する水素含有気体の場合、約20ミクロンの平均膜厚を予測することができる。これらの2つの場合、液膜厚さを4分の1へ低下させることは、気体水素が液膜を通って触媒表面へ拡散する時間を16分の1へ低下させることに対応してよい。さらに、液体反応体が液膜内を触媒に触媒粒子または表面の上および中の触媒へ拡散する時間も大体膜厚の2乗とともに低下させることができる。液体の拡散係数が気体の拡散より2桁から3桁大きいとすると、触媒表面への液体層内の液体拡散が総括見かけ反応速度への輸送抵抗寄与を支配してよい。一実施態様において、触媒上の表面反応速度が律速であってよい。触媒ペレットの周りのコントロールボリューム分析から、対流時間に対する拡散時間の比較によって水素化分解反応速度に対する低下した膜厚の重要性を示唆することができる。水素などの気体がより厚い液膜を通って拡散するために利用可能な時間の量が増加すると、反応系に過剰に供給される追加の気体の対応する量が減少し、従ってマイクロチャネル水素化分解装置の場合には必要な過剰の水素が低下するという驚くべき結果をもたらすことができる。
【0190】
薄膜のための拡散時間は、第1原理から、拡散距離の二乗を拡散係数で除した商として誘導することができる。FT液体中の水素の拡散係数は約4.3×10
−4cm
2/sであってよい。20ミクロンの膜厚の場合、拡散時間を約10msにすることができる。5ミクロンの膜厚の場合、触媒ペレットを囲む薄膜を通る拡散のための時間を約0.5msにすることができる。
【0191】
約0.3m/sの気体空塔速度の場合、約110ミクロンの直径の触媒粒子の周りのコントロールボリュームの中の対流時間は約1msであってよい。約110ミクロンの平均直径の同じマイクロチャネル寸法粒子サイズの場合、約5ミクロンから約20ミクロンの範囲の膜厚の影響は、約2から約0.1の捕捉数(capture number)の差を生じさせる。捕捉数は、拡散のための時間に対する対流のための時間として定義される。5ミクロンの薄膜の場合、気体は活性な触媒部位へ拡散するのに要する時間の大体2倍の量の時間を触媒の周りで過ごす。等しい気体空塔速度において20ミクロン膜の場合、気体は触媒部位へ拡散するのに粒子の周りを流れるとき利用可能な時間(1ms)のおよそ10倍の時間(10ms)を必要とする。後者の場合、同じ水準の炭化水素反応率を実現するのに必要な触媒ははるかに多くなろう。この過剰な触媒は、高速度マイクロチャネルと比較して約2から約200倍多い触媒の範囲となろう。正味の結果として、捕捉数が1未満に低下するとより高い過剰量の水素が必要となるということであろう。
【0192】
従来の反応器(大体2mmが直径の下限に近い)において予測されるように、粒子サイズが大きくなるほど触媒粒子の周りのコントロールボリュームの中の対流時間は長くなる。しかし、このより大きな粒子の周りのより低い速度の気体の流れの動力学は、はるかに厚い膜も生じさせる。従来の反応器を規則的または間欠的に流れるかまたは滴り落ちるかのどちらかである100ミクロンの液膜の場合、膜を通って拡散するのに必要な時間は、大体約200ミリ秒である。対応して、約0.02m/s(またはマイクロチャネルの中で示される高LHSV実験の大体15分の1の低さ)の空塔速度の場合、2mm粒子の周りのコントロールボリュームの中の対流時間は、大体100msである。捕捉数は、1より小さいままであるか、1に近いかまたは1より大きくなることもあり、従来の水素化分解装置の中で液膜の中にとどまって反応を行うことができる過剰な水素の重要性を示唆している。従来の水素化分解装置において見いだされる厚膜は、水素および液体反応体が固体触媒粒子に到達して反応するためにかなり多くの物質移動時間を必要とすることがある。
【0193】
正味の影響として、触媒への水素の接近が少なくなることであろう。従来の水素化分解装置は、システムへ供給される水素過剰量を増加させることによってこの限界を克服するであろう。マイクロチャネル反応システムは、過剰水素の量を低下させる見込みを提供する。
【0194】
マイクロチャネル水素化分解反応器は、約1より小さい粒子ボンド数および/またはチャネルボンド数で稼動させてよい。これは、30hr
−1または100hr
−1ほどの高さの液体毎時空間速度(LHSV)でFT液体の驚くほど高い水素化分解反応率を実現することができることを示している。一実施態様において、触媒活性が十分に高く、液膜が十分に薄いとLHSVを200hr
−1ほどの高さにすることができる。従来の触媒を用いるこの反応器の生産性は、従来の水素化分解装置の場合の約2から約200倍大きくすることができる。この運転の場合にFT液体の変換を実質的に完了させれば生産性をさらに増加させることができる。
【0195】
入口の炭化水素体積に対する水素の比を1500:1として試験運転を行ってよい。気体空塔速度は0.3m/sであってよい。従来の水素化分解装置は、通常0.1から2.5hr
−1の範囲のLHSVで稼動する。従来の水素化分解装置で等しい水素供給比を用いた場合、相対気体速度はマイクロチャネル反応器の場合の約10分の1から約60分の1となることがあり、対応する膜厚の増加は、水素が液膜を透過するために必要な時間の不相応な増加を引き起こすことがある。
【0196】
マイクロチャネル反応器は、空塔速度をより高く、過剰の水素をより低くして水素化分解プロセスを稼動させることを可能にすると予測することができる。対応する薄い液膜は、追加の物質輸送抵抗をほとんど生じさせない。
図36および37にこれらが示される。
【0197】
本発明は、粒子ボンド数が約1より小さく、およびまたは反応チャンバボンド数が約1より小さいとき、多孔質固体基質上で行われる任意の気−液反応または物質移動プロセスに適用可能であってよい。下記の実施例2に記載されているフィッシャー・トロプシュ反応についての例として、粒子ボンド数は約0.2より小さく、チャネルボンド数は約0.25より小さい。反応条件下で形成される小さな液体留分は、小さな粒子を完全に濡らし、マイクロチャネル全体に横方向に広がるのに十分な毛管力を有してよい。得られる薄い液体の層は液膜厚さも低下させることが示された。正味の結果として、非常に安定かつ良好に分散された液膜となる。実施例2において示されるFT反応器に関するデータは、長期間(660時間の試験)にわたる非常に安定な圧力降下を示している。1.40psiの圧力降下は、反応体流速を基準とし、実験的に測定された反応率を基準として乾燥床に対し1.7倍の圧力降下の増加を表している。74.0psidの測定範囲、±0.055psiの精度および0.018psiの分解能を有する微分圧力降下変換器を用いて圧力降下データを集める。圧力降下は、微分変換器の分解能の範囲内で安定である。驚くべき実験結果からは、圧力読み値への時間変形の徴候がないことが分かり、安定かつ薄い液膜の存在が確認される。
【0198】
一実施態様において、反応器の一方の側のマニホールドの中へ原料を導入してよい。流れは、副マニホールドを通って反応器またはシムを横方向へ横切ってよい。副マニホールドから、流れは流れ制限セクションを通り、そこで圧力降下が付与されて対合するマイクロチャネルのそれぞれの中の流れの一様性を改善してよい。次に、流れは、接続アパチャーを通って反応器へ入ってよい。接続アパチャーは触媒の上流に配置されてよいが、代替実施態様において、接続アパチャーは触媒と隣接してよい。一実施態様において、液体は副マニホールドを通り、隣接する接続アパチャーを通って流れてよい。接続アパチャーは、形が規則的であっても不規則的であってもよい。これは、
図38に示されている。
【0199】
原料組成物中に用いてよい炭化水素反応体は、水素化分解されてよい任意の炭化水素を含んでよい。これらは、分解プロセスにおいて開裂させることができる1つ以上のC−C結合を含む炭化水素を含んでよい。原料組成物中に用いてよい炭化水素は、飽和脂肪族化合物(例えばアルカン)、不飽和脂肪族化合物(例えばアルケン、アルキン)、ヒドロカルビル(例えばアルキル)置換芳香族化合物、ヒドロカルビレン(例えばアルキレン)置換芳香族化合物および類似化合物を含んでよい。
【0200】
原料組成物は、ナフサから重質原油残渣留分までの範囲であってよい1つ以上の炭化水素反応体を含んでよい。原料組成物は、約175℃より高い、一実施態様において約205℃より高い5体積%沸点を有してよい。一実施態様において、原料組成物の少なくとも約90体積%は、約150℃から約570℃、一実施態様において約320℃から約540℃の沸点範囲内に属してよい。原料組成物は、常圧軽油および真空軽油(AGOおよびVGO)などの1つ以上の石油留分を含んでよい。原料組成物は、1つ以上の鉱油または合成油、あるいはそれらの1つ以上の留分の混合物を含んでよい。原料組成物は、1つ以上の直留軽油、真空軽油、脱金属油、脱アスファルト真空残渣、コーカ蒸留物、接触分解装置蒸留物、シェール油、タールサンド油、液化石炭、あるいはそれらの2つ以上の混合物、および類似物を含んでよい。
【0201】
原料組成物は、1つ以上の希釈材料を含んでよい。そのような希釈媒の例は、窒素などの不活性化合物または非反応性炭化水素希釈媒および類似物を含んでよい。希釈媒濃度は、炭化水素反応体の重量を基準としてゼロから約99重量%、一実施態様においてゼロから約75重量%、一実施態様においてゼロから約50重量%の範囲内であってよい。希釈媒を用いて粘稠液体反応体の粘度を低下させてよい。本発明の少なくとも1つの実施態様の利点は、そのような希釈媒の使用を回避すると本発明のプロセスの稼動がより効率的かつ小型になることとしてもよい。
【0202】
原料組成物の粘度は、約0.001から約1000センチポアズ、一実施態様において約0.01から約100センチポアズ、一実施態様において約0.1から約10センチポアズの範囲内であってよい。
【0203】
プロセスマイクロチャネルまたはマイクロチャネル反応器へ入る原料組成物中の炭化水素反応体に対する水素の比は、1立方センチメートル(ccm)の炭化水素反応体あたり約10から約6000標準立方センチメートル(sccm)、一実施態様において約50:1から約4000:1sccm/ccm、一実施態様において約100:1から約2000:1sccm/ccm、一実施態様において約300:1から約1500:1sccm/ccmの水素の範囲内であってよい。水素原料は、水、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素または窒素をさらに含んでよい。
【0204】
水素原料中のH
2は、水蒸気改質プロセス(H
2/COモル比が約3の生成物流)、部分酸化プロセス(H
2/COモル比が約2の生成物流)、自動熱改質プロセス(H
2/COモル比が約2.5の生成物流)、CO
2改質プロセス(H
2/COモル比が約1の生成物流)、石炭ガス化プロセス(H
2/COモル比が約1の生成物流)およびそれらの組み合わせなどの別のプロセスから誘導してよい。これらの原料流のそれぞれの場合に、H
2は膜または吸着などの従来の技法を用いて残余の成分から分離してよい。
【0205】
本発明の水素化分解プロセスによって作られる水素化分解生成物は、約260〜700°F(127〜371℃)の範囲内で沸騰する中間留分の留分であってよい。用語「中間留分」は、ディーゼル、ジェット燃料および灯油の沸騰範囲の留分を含むものとする。用語「灯油」および「ジェット燃料」沸騰範囲は、260〜550°F(127〜288℃)の温度範囲を指すものとし、「ディーゼル」沸騰範囲は、約260から約700°F(127〜371℃)の間の炭化水素沸点を指すものとする。蒸留物生成物は、ガソリン留分またはナフサ留分であってよい。これらは、通常、C
5から400°F(204℃)終点留分であるとみなされる。
【0206】
炭化水素反応体は、約0.2より小さい、一実施態様において約0.1より小さいイソ/ノルマル質量分率比を有してよい。本発明のプロセスから製造される生成物は、約0.5より大きなイソ/ノルマル比を有するC
5+炭化水素を含んでよい。生成物は、約1より大きなイソ/ノルマル比を有するC
20+炭化水素を含んでよい。生成物は、液体生成物の流れについての重量毎時空間速度(WHSV)が約20hr
−1より小さいとき、約1より大きなイソ/ノルマル比を有するC
10+炭化水素を含んでよい。生成物の曇点は、約−10℃より低くてよい。
【0207】
本発明の水素化分解プロセスを用いてFT合成生成物を水素化分解し、低い稼動圧力または低い水素分圧などを用いてプロセスマイクロチャネルの中で本プロセスを強行すると、その結果形成される水素化分解されたFT合成生成物は、直鎖脂肪族化合物ならびに脂環式化合物および芳香族化合物を含んでよい。脂環式化合物および芳香族化合物の形成は、これらの化合物が触媒を妨害する傾向があるという事実によって好ましくなく、従来のプロセス処理においては回避されている。しかし、本発明のプロセスによればこれらの化合物の形成は、それほどの製造上の混乱を引き起こさずに触媒を定期的に再生することができるという事実によって許容される。従って、一実施態様において、本発明は少なくとも約95重量%、一実施態様において少なくとも約98重量%、一実施態様において少なくとも約99重量%の5つ以上の炭素原子を有する直鎖脂肪族化合物、および少なくとも約0.05重量%、一実施態様において少なくとも約0.1重量%、一実施態様において少なくとも約0.25重量%の5から約13の炭素原子を有する脂環式化合物および/または少なくとも約0.1重量%、一実施態様において少なくとも約0.05重量%、一実施態様において少なくとも約0.2重量%の6から約18の炭素原子を有する芳香族化合物を含む水素化分解されたFT合成生成物を含む。
【0208】
反応体またはプロセス原料は、水素化分解生成物、および任意選択としてその他の成分が分離された後のリサイクル流をさらに含んでよい。
【0209】
反応体は、反応して液体、例えばフィッシャー・トロプシュ反応を形成する1つ以上の気体を反応条件において含んでよい。反応体は、反応し続ける液体を形成する1つ以上の気体を含んでよい。反応体は、プロセスマイクロチャネルを通って同時に流れる液体および気体を反応条件において含んでよい。反応体は、固体多孔質媒質上の界面接触を改善して反応速度を増強するべく不活性ガスによって供給される1つ以上の液体を含んでよい。
【0210】
マイクロチャネル反応器の中の局所条件は以下、すなわちマイクロチャネル反応器の中の1つ以上のプロセスマイクロチャネルと隣接しているかまたは熱接触している熱交換チャネルとの熱交換、プロセスマイクロチャネル内の個々の反応セクションと対応するように戦略的に配置されている熱交換チャネルの複数の組み合わせとの熱交換、プロセスマイクロチャネルの軸方向長さに沿った段階的添加を用いる1つ以上の反応体および/または希釈媒の添加、の1つ以上によって温度および/または組成プロフィールを調整することによって調節してよい。等温反応器プロフィールを使用してよい。そのような熱プロフィールとともに部分沸騰熱交換流体を用いてよい。プロセスマイクロチャネルの長さに沿って、調整された温度プロフィールを用いてよい。熱い油、蒸気、気体または類似物などの単一相流体を用いて熱を除去してよい。熱交換流体は、プロセスマイクロチャネルの中のプロセス流体の流れに対して並流、向流または交差流となる方向へ流れてよい。熱交換流体を用いてプロセスマイクロチャネルから発熱反応の熱を除去し、プロセスマイクロチャネルへ入る反応体を予熱してよい。反応体を実質的に反応条件へ予熱してもよく、または反応体を原料の入口温度から平均反応温度と入口温度との間の中間温度へ部分的に予熱してもよい。一実施態様において、炭化水素反応体はコーキングを最小にするために反応温度未満の温度で反応器へ入り、それから反応器の中で反応温度へ加熱されてよい。一実施態様において、マイクロチャネル反応器へ入る炭化水素反応体は、反応温度より約10℃、または約50℃、または約100℃、またはそれ以上低い温度であってよい。一実施態様において、マイクロチャネル反応器へ入る炭化水素反応体は200℃と250℃との間である温度であってよく、反応温度は約300℃と400℃との間であってよい。一実施態様において、反応器は、反応チャネルの上部における反応温度が反応器出口における温度より10℃、または20℃、または100℃以上低いかまたは高い非等温モードで運転されてよい。流体マニホールド領域と触媒反応領域との間の所望の熱プロフィールを作り出すためにより低温のプロセスマイクロチャネルの前端を有することが望ましいことがある。
【0211】
熱交換媒質、例えば熱交換流体との熱交換によって発熱反応を制御するために、プロセスはマイクロチャネル反応器への入口またはその近くにおいてマイクロチャネル反応器の出口の近くの熱流束より高い熱流束を使用してよい。
【0212】
マイクロチャネル反応器は、
図2に図示されているように構築してよい。
図2を参照すると、マイクロチャネル反応器100は、上下に重ねられた複数のプロセスマイクロチャネル110および熱交換チャネル170を含む。マイクロチャネル反応器100は、立方体ブロックの形であってよい。立方体ブロックは、約10から約1000cmの範囲内、一実施態様において約20から約200cmの範囲内の長さを有してよい。立方体ブロックは、約10から約1000cmの範囲内、一実施態様において約20から約200cmの範囲内の幅を有してよい。立方体ブロックは、約10から約1000cmの範囲内、一実施態様において約20から約200cmの範囲内の高さを有してよい。反応体は、矢印112によって示されるようにプロセスマイクロチャネル110へ入ってよい。矢印118によって示されるようにプロセスマイクロチャネルから生成物が流出してよい。矢印172によって示されるように熱交換チャネル170へ熱交換流体が入ってよい。矢印174によって示されるように熱交換チャネル170から熱交換流体が流出してよい。マイクロチャネル反応器100は、プロセスマイクロチャネル110の中への反応体の流れを提供する原料流ヘッダまたはマニホールド、プロセスマイクロチャネル110から出る生成物の流れを提供する生成物フッタまたはマニホールド、熱交換チャネル170の中への熱交換流体の流れを提供する熱交換入口マニホールド、および熱交換チャネル170から出る熱交換流体の流れを提供する熱交換出口マニホールドを有してよい。
【0213】
マイクロチャネル反応器100は、1つ以上の繰り返し単位を含んでよい。各繰り返し単位は、1つ以上のプロセスマイクロチャネルおよび1つ以上の熱交換チャネルを含む。用いてよいいくつかの繰り返し単位の例が
図9〜14および26〜27に図示されている。これらは、下記で考察する。プロセスマイクロチャネルのそれぞれは、反応体が反応して所望の生成物を形成する1つ以上の反応ゾーンを含んでよい。この1つ以上の反応ゾーンの中に固体の形の触媒が存在してよい。触媒は、固体の上に固定化された均一な触媒を含んでよい。各繰り返し単位は、1つ以上の熱交換チャネルを含んでよい。一実施態様において、各プロセスマイクロチャネルは、プロセスマイクロチャネルの中への水素の段階的添加を提供する1つ以上の隣接反応体流チャネルと組み合わせてよい。プロセスマイクロチャネルと隣接反応体流チャネルとは、共通の壁および共通の壁の中の複数の開口を有してよい。これらの開口を用いて隣接反応体流チャネルからプロセスマイクロチャネルの中への水素反応体の1つの流れを提供してよい。原料流ヘッダは、反応体の混合物をプロセスマイクロチャネルへ分配するための1つ以上のマニホールドを含んでよい。あるいは、原料流ヘッダは、プロセスマイクロチャネルおよび隣接反応体流チャネルへ反応体を別々に分配するための別々のマニホールドを含んでよい。
【0214】
本発明の水素化分解プロセスは、
図3および4に図示されているようにマイクロチャネル反応器100Aまたは100Bの中で行ってよい。
図3を参照すると、炭化水素反応体(HC)と水素(H
2)との混合物を含むプロセス原料流または反応体組成物は、矢印112によって示されるように原料流ヘッダまたはマニホールド120の中へ流れ、原料流ヘッダまたはマニホールド120からマイクロチャネル反応器100Aの中の1つ以上のプロセスマイクロチャネル110の中へ流れる。プロセスマイクロチャネル110の中で反応体は触媒と接触し、反応して所望の水素化分解生成物(HCP)を形成する。水素化分解生成物は、生成物フッタまたはマニホールド124を通ってプロセスマイクロチャネル110から流出する。水素化分解生成物は、生成物フッタまたはマニホールド124から矢印118によって示されるようにマイクロチャネル反応器100Aの外へ流出する。
【0215】
あるいは、
図4を参照すると、マイクロチャネル反応器100Bは、1つ以上のプロセスマイクロチャネルおよび1つ以上の隣接反応体流チャネルを含んでよい。各プロセスマイクロチャネルと隣接反応体流チャネルとは共通の壁および共通の壁の中の複数の開口を有してよい。炭化水素反応体(HC)は、矢印114によって示されるようにヘッダ120の中へ流れ、ヘッダ120からマイクロチャネル反応器100の中の1つ以上のプロセスマイクロチャネルの中へ流れてよい。水素(H
2)は、矢印116によって示されるようにヘッダ120の中へ流れ、ヘッダ120からマイクロチャネル反応器100Bの中の1つ以上の反応体流チャネルの中へ流れてよい。水素は、次に各反応体流チャネルから反応体流チャネルとプロセスマイクロチャネルとの間の共通の壁の中の開口を通って隣接プロセスマイクロチャネルの中へ流れてよい。プロセスマイクロチャネルの中へ直接流れる炭化水素反応体(HC)を第1の反応体と呼んでよく、隣接反応体流チャネルの中へ流れ次にプロセスマイクロチャネルの中へ流れるH
2反応体を第2の反応体と呼んでよい。プロセスマイクロチャネルの中で炭化水素反応体と水素とは互いと触媒とに接触し、反応して所望の水素化分解生成物(HCP)を形成する。生成物は、プロセスマイクロチャネルから生成物フッタまたはマニホールド124を通り、生成物フッタまたはマニホールド124から矢印118によって示されるようにマイクロチャネル反応器100Bの外へ流出する。
【0216】
本発明のプロセスの利点は、マイクロチャネル反応器を通る1回の通過によって所望の水素化分解生成物への高い反応率基準収率を得ることができることであるが、一実施態様において、従来の技法またはマイクロチャネル技法を用いて1つ以上の重質炭化水素反応体を水素化分解生成物から分離し、マイクロチャネル反応器を通して戻してリサイクルしてよい。重質炭化水素反応体は、マイクロチャネル反応器100を通して任意の回数、例えば1、2、3、4回等リサイクルしてよい。
【0217】
反応体は、マイクロチャネル反応器へ入る前に予熱してよい。反応体は、マイクロチャネル反応器の中で用いられる1つ以上のプロセスマイクロチャネルの反応ゾーンにおいて使用される平均温度へ、または反応ゾーンにおいて使用される平均温度より低い温度へ予熱してよい。水素化分解プロセスは、発熱的である。反応を調節するためにプロセスマイクロチャネルから熱交換媒質へ熱を伝達させてよい。すなわち、本発明のプロセスの間に熱交換媒質を用いてプロセスマイクロチャネルを冷却してよい。熱交換媒質は、1つ以上の熱交換チャネルの中の熱交換流体を含んでよい。熱交換チャネルは、プロセスマイクロチャネルと隣接し、および/または熱接触してよい。
図3および4を参照すると、熱交換流体は、矢印172によって示されるように熱交換マニホールド176の中へ流れ、熱交換マニホールド176からマイクロチャネル反応器100Aまたは100Bの中の熱交換チャネル170を通って流れる。熱交換流体は、プロセスマイクロチャネルから熱を吸収し、次に熱交換チャネルから熱交換マニホールド178の中へ入ってこれを通り、次に熱交換マニホールド178から矢印174によって示されるようにマイクロチャネル反応器100Aまたは100Bの外へ流出する。対流熱移動を用いてプロセス流体と熱交換流体との間の熱移動を行ってよい。一実施態様において、熱交換流体が吸熱反応および/または完全もしくは部分相変化(例えば部分沸騰)を行う該熱交換流体を用いて熱移動を増強してよい。プロセスマイクロチャネル110の長さに沿って複数の熱交換ゾーンを使用してプロセスマイクロチャネルの軸方向長さに沿って異なる場所において異なる温度を提供してよい。反応の終りに、望ましくない副生物の形成を低下させるかまたはなくすために生成物をクエンチしてもよい。マイクロチャネル反応器100Aまたは100Bの中で、またはマイクロチャネル反応器の下流でクエンチ処理を行ってよい。
【0218】
炭化水素反応体(HC)はフィッシャー・トロプシュ(FT)合成生成物を含んでよく、FT合成生成物はFT合成プロセスを用いて形成させてよい。FT合成生成物は、水素化分解のために用いられるマイクロチャネル反応器の上流に配置されている反応器の中で形成させてよい。
図5にこれが図示されている。
図5を参照すると、水素化分解マイクロチャネル反応器100Cの上流にある反応器180の中でFT合成生成物が形成される。反応器100Cは、反応器100Bと同じであってよい。反応器180は、従来の反応器であってもよく、またはマイクロチャネル反応器であってもよい。COおよびH
2は、矢印181および182によって示されるように反応器180へ入り、反応器180の中で反応を行ってFT合成生成物を形成する。FT合成生成物(FT)は、矢印114によって示されるように反応器180から流出する。FT合成生成物から矢印189によって示されるように気体および/または軽質炭化水素生成物(GP)を分離してよい。FT合成生成物の液体炭化水素部分を下流の水素化プロセス処理単位へ流す前にフィッシャー・トロプシュプロセスにおいて生成した水をFT合成生成物から分離してもよい。FT合成生成物はマイクロチャネル反応器100Cの中へ流れ、そこで上記で考察されたように水素化分解生成物(HCP)へ変換される。FT合成プロセスは発熱的である。反応は、矢印183および184によって示されるように反応器180を通って流れる熱交換流体を用いて冷却される。反応器180は、
図2に図示されているマイクロチャネル反応器100と同様なマイクロチャネル反応器を含んでよい。このマイクロチャネル反応器は、上下に重ねられた複数のプロセスマイクロチャネルおよび熱交換チャネルを含んでよい。マイクロチャネル反応器180は、プロセスマイクロチャネルへの反応体の流れを提供する原料流ヘッダまたはマニホールド185、プロセスマイクロチャネルを出る生成物の流れを提供する生成物フッタまたはマニホールド186、熱交換チャネルへの熱交換流体の流れを提供する熱交換入口マニホールド187、および熱交換チャネルを出る熱交換流体の流れを提供する熱交換出口マニホールド188を有してよい。
【0219】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルまたはマイクロチャネル反応器の第1の部分を用いてFT合成生成物を形成させてよい。これに続いてプロセスマイクロチャネルまたはマイクロチャネル反応器の第2の部分において熱交換を行い、水素化分解プロセスを行うためにプロセスマイクロチャネルまたはマイクロチャネル反応器の第3の部分へ入るのに適している温度へFT合成生成物の温度を調節してよい。FT合成生成物は、次にプロセスマイクロチャネルまたはマイクロチャネル反応器の第3の部分において水素化分解される。
図6にこれが図示されている。
図6に示されているプロセスは、FT合成プロセスと水素化分解プロセスとの両方がマイクロチャネル反応器100Dの中で行われる点を除けば、
図5に図示されているプロセスと似ている。マイクロチャネル反応器100Dは、
図2に図示されているマイクロチャネル反応器100と似ている。マイクロチャネル反応器100Dは、FT合成生成物形成セクション101、中間熱交換セクション102および水素化分解セクション103を含む。このマイクロチャネル反応器は、上下に重ねられた複数のプロセスマイクロチャネルおよび熱交換チャネルを含んでよい。マイクロチャネル反応器100Dは、プロセスマイクロチャネルの中への反応体の流れを提供する原料流ヘッダまたはマニホールド、およびプロセスマイクロチャネルを出る生成物の流れを提供する生成物フッタまたはマニホールドを有してよい。プロセスマイクロチャネルは、FT合成触媒および水素化分解触媒を含み、FT合成触媒は、水素化分解触媒の上流に配置される。COおよびH
2はFT合成セクション101においてFT合成触媒と接触し、反応してFT合成生成物を形成する。FT合成生成物から軽質炭化水素および/または気体生成物(GP)を分離してよい。FT合成生成物の温度は、熱交換セクション102において調節してよい。FT合成生成物および水素は、次に水素化分解セクション103の中に流れ、水素化分解触媒と接触し、反応して水素化分解生成物(HCP)を形成してよい。熱交換流体を用いて温度を調節する。矢印183および184によって示されるように熱交換流体を用いてFT合成セクション101を冷却する。FT合成生成物(FT)の温度は、矢印191および192によって示されるように中間熱交換セクション102において調節する。水素化分解セクション103は、矢印172および174によって示されるように熱交換流体を用いて冷却する。
【0220】
図6A、6Bおよび6Cに、水素化分解のために用いられるマイクロチャネル反応器の中でプロセス処理するための炭化水素反応体としてFT合成生成物を使用する追加の実施態様が図示されている。
図6Aを参照すると、マイクロチャネル反応器100Eは、FT合成生成物形成セクション600および水素化分解セクション610を含む。FT合成生成物形成セクション600と水素化分解セクション610との両方が複数のプロセスマイクロチャネルおよび複数の熱交換チャネルを含んでよい。熱交換チャネルは、プロセスマイクロチャネルとともに散在しているかまたは熱接触していてよい。COおよびH
2は、矢印602によって示されるようにFT合成生成物形成セクション600の中へ流れ、FT触媒の存在下で反応し、FT合成生成物を形成する。FT合成生成物は、水素化分解セクション610の中へ流れる。過剰のH
2が矢印612によって示されるように水素化分解セクション610の中へ流れ、水素化分解触媒の存在下でFT合成生成物と反応して水素化分解されたFT合成生成物を形成する。水素化分解生成物は、矢印614によって示されるようにマイクロチャネル反応器100Eから流出する。この実施態様において、FT生成物全体がFT合成生成物形成セクション600から水素化分解セクション610の中へ流れる。FT合成生成物形成セクション600および水素化分解セクション610の中で用いられる触媒は、一体化された順次のFT−水素化分解触媒床の形であってよく、各床は固体粒子の形であってよい。あるいは、触媒は、モノリス、例えば発泡体、フェルト、詰め物、フィンおよび類似物の形であってよい。FT合成反応および水素化分解反応は発熱的である。これらの反応は、熱交換チャネルを用いて冷却してよい。
【0221】
図6Bに示されているフローシートは、フィッシャー・トロプシュ合成生成物が水素化分解マイクロチャネル反応器100Fの上流の別の反応器620の中で形成される点を除けば、
図6Aに図示されているプロセスと似ているプロセスに関する。
図6Bを参照すると、COおよびH
2は、矢印622によって示されるようにFT合成生成物形成反応器620の中へ流れ、FT触媒の存在下で反応し、FT合成生成物を形成する。FT合成生成物は、矢印624によって示されるようにFT合成反応器620から流出し、水素化分解反応器100Fの中へ流れる。過剰のH
2が矢印626によって示されるように水素化分解反応器100Fの中へ流れ、水素化分解触媒の存在下でFT合成生成物と反応して水素化分解生成物を形成する。水素化分解生成物は、矢印628によって示されるように水素化分解反応器100Fから流出する。反応器620は、従来の非マイクロチャネル反応器またはマイクロチャネル反応器を含んでよい。反応器620および反応器100Fは、設計および構成が似ていてよい。
【0222】
図6Cに図示されているプロセスは、
図6Cに図示されているプロセスがFT生成物からのより軽質の炭化水素の除去を可能にし、ワックスの形であってもよいより重質のFT合成生成物を水素化分解マイクロチャネル反応器100Gの中でプロセス処理する結果となる点を除けば、
図6Bに図示されているプロセスと似ている。
図6Cを参照すると、COおよびH
2は矢印632によって示されるようにFT合成生成物形成反応器630の中へ流れ、FT触媒の存在下で反応し、FT合成生成物を形成する。FT合成生成物は、矢印634によって示されるようにFT合成生成物形成反応器630から流出し、水素化分解マイクロチャネル反応器100Gの中へ流れる。水素化分解反応器100Gへ入る前に、炭化水素油などの軽質炭化水素が矢印636によって示されるようにFT合成生成物から分離される。軽質炭化水素は、温度制御ノックアウトドラムなどの従来の技法を用いてFT合成生成物から分離してもよい。軽質炭化水素は、マイクロチャネルプロセス処理を用いて分離してもよい。FTワックスなどのより重質の炭化水素の形をとるFT合成生成物は、次に水素化分解マイクロチャネル反応器100Gの中へ流れる。過剰のH
2が矢印638によって示されるように水素化分解反応器100Gの中へ流れ、水素化分解触媒の存在下でより重質の炭化水素と反応して水素化分解生成物を形成する。水素化分解生成物は、矢印640によって示されるようにマイクロチャネル反応器100Gの外へ流出する。
【0223】
図6A、6Bおよび6Cに図示されているプロセスにおいて用いられるFT合成触媒は、固体粒子床の形であってよい。同様に、
図6A、6Bおよび6Cに図示されているプロセスにおいて使用される水素化分解触媒は、固体粒子床の形であってよい。あるいは、
図6A、6Bおよび6Cに図示されている水素化分解反応器の中で使用されるFT合成触媒および/または水素化分解触媒は、モノリス、例えば発泡体、フェルト、詰め物、フィンおよび類似物の形であってよい。
図6A、6Bおよび6Cに図示されているプロセスにおいて使用される個々の触媒床またはモノリスのための自動調温制御も統合されてもよくまたは個別に稼動されてもよい。
【0224】
図6A、6Bおよび6Cに図示されているプロセスのそれぞれについて、気相と液相との混合ならびにFT合成反応および水素化分解反応は、比較的小さな固体粒子、例えば約0.01から約1.5mm、一実施態様において約0.05から約0.5mm、一実施態様において約0.1から約0.3mmの範囲内の平均直径を有する固体粒子を使用する触媒床を用いて増強してよい。
【0225】
FT合成プロセスのための反応体は、H
2とCOとの混合物を含んでよい。この混合物は、合成ガスまたはシンガス(syngas)と呼んでよい。COに対するH
2のモル比は、約0.8から約10、一実施態様において約0.8から約5、一実施態様において約1から約3の範囲であってよい。反応体組成物は、CO
2および/またはH
2O、ならびに1から約4の炭素原子の軽質炭化水素を含んでよい。FT合成プロセスのための反応体組成物は、水蒸気改質プロセス(H
2/COモル比が約3の生成物流)、部分酸化プロセス(H
2/COモル比が約2の生成物流)、自動熱改質プロセス(H
2/COモル比が約2.5の生成物流)、CO
2改質プロセス(H
2/COモル比が約1の生成物流)、石炭ガス化プロセス(H
2/COモル比が約1の生成物流)およびそれらの組み合わせなどの別のプロセスからのプロセス流を含んでよい。
【0226】
FT触媒は、任意のフィッシャー・トロプシュ触媒を含んでよい。FT合成プロセスがマイクロチャネル反応器の中で行われるとき、触媒は、水素化分解プロセスのために用いてよい下記で考察される形のいずれであってもよい。触媒は、少なくとも1つの触媒的に活性な金属またはそれらの酸化物を含んでよい。一実施態様において、触媒は、触媒担体をさらに含む。一実施態様において、触媒は、少なくとも1つの促進剤をさらに含む。触媒的に活性な金属は、Co、Fe、Ni、Ru、Re、Osまたはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。担持材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化物化アルミナ、ベントナイト、セリア、酸化亜鉛、シリカ−アルミナ、炭化ケイ素、モレキュラーシーブ、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。担持材料は、耐火性酸化物を含んでよい。促進剤は、IA、IIA、IIIBまたはIVB族金属またはそれらの酸化物、ランタニド金属または金属酸化物、あるいはアクチニド金属または金属酸化物を含んでよい。FT触媒は、アルミナに担持されたCoを含んでよく、Coの担持率は少なくとも約25重量%、一実施態様において少なくとも約28重量%、一実施態様において少なくとも約30%重量、一実施態様において少なくとも約32重量%であり、Co分散率は少なくとも約3%、一実施態様において少なくとも約5%、一実施態様において少なくとも約7%である。
【0227】
FT反応体と触媒との接触時間は、最大約5000ミリ秒(ms)、一実施態様において約10msから約1000ms、一実施態様において約20msから約500msの範囲であってよい。FT反応器を通るFT反応体および生成物の流れの空間速度(または気体毎時空間速度(GHSV))は、少なくとも約1000hr
−1(原料の標準リットル/時間/プロセスマイクロチャネル内の体積1リットル)、一実施態様において約1000から約1,000,000hr
−1であってよい。FT反応器の中の反応体および生成物の温度は、約200℃から約300℃、一実施態様において約220℃から約270℃の範囲であってよい。FT反応器内の圧力は、少なくとも約5バール、一実施態様において少なくとも約10バールであってよい。
【0228】
FT合成生成物は、気体生成物留分および液体生成物留分を含んでよい。気体生成物留分は、大気圧において約350℃未満で沸騰する炭化水素(例えば排ガスから中間留分まで)を含んでよい。液体生成物留分(凝縮物留分)は、約350℃より高温で沸騰する炭化水素(例えば真空軽油から重質パラフィンまで)を含んでよい。約350℃未満で沸騰する生成物留分は、例えば高圧および/または低温蒸気−液体分離装置、または低圧分離装置、あるいは分離装置の組み合わせを用いて、排ガス留分、および凝縮物留分、例えば約5から約20炭素原子のノルマルパラフィンと、より高い沸点の炭化水素とに分離してよい。約350℃より高温で沸騰する留分(凝縮物留分)は、約650℃より高温で沸騰する1つ以上の留分を除去した後に、約350℃から約650℃の範囲内で沸騰するワックス留分へ分離してよい。ワックス留分は、約20から約50の炭素原子の直鎖パラフィンと、比較的少量のより高い沸点の分岐パラフィンとを含んでよい。分離は、分別蒸留を用いて実行してよい。FT合成生成物は、メタン、ワックスおよびその他の重質または高分子量生成物を含んでよい。FT合成生成物は、エチレンなどのオレフィン、ノルマルパラフィンおよびイソパラフィン、ならびにアルコール、およびそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。これらは、ジェット燃料範囲またはディーゼル燃料範囲を含む蒸留燃料範囲の炭化水素を含んでよい。
【0229】
FT合成プロセスは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0251552A1号、米国特許出願公開第2007/0004810A1号および米国特許第7,084,180B2号に開示されているマイクロチャネル反応器の中で行ってよい。
【0230】
マイクロチャネル反応器100は、図面に示されていないが当業者には明らかであろう1つ以上の貯蔵槽、ポンプ、コンプレッサ、弁、マイクロプロセッサ、流れ制御デバイスおよび類似物と組み合せて用いてよい。
【0231】
マイクロチャネル反応器100(または反応器100A〜100D)は、複数の繰り返し単位を含んでよく、繰り返し単位のそれぞれは、1つ以上のプロセスマイクロチャネルおよび1つ以上の熱交換チャネルを含んでよい。本発明のプロセスとともに段階的添加が用いられるとき、繰り返し単位は、各プロセスマイクロチャネルと隣接して配置されている1つ以上の反応体流チャネルを含んでよい。用いてよい繰り返し単位は、
図9〜14および26〜27にそれぞれ図示されている繰り返し単位200、200A、200B、200C、200D、200E、200Fおよび200Gを含む。マイクロチャネル反応器100は、1から約1000の繰り返し単位200、200A、200B、200C、200D、200E、200Fまたは200G、一実施態様において約10から約500のそのような繰り返し単位を含んでよい。繰り返し単位200、200A、200B、200C、200D、200E、200Fまたは200Gの中で用いられる触媒は、下記に記載されているさまざまな触媒構造形を含む任意の形であってよい。マイクロチャネル反応器の中で用いてよい繰り返し単位に関する以下の考察において、行われる反応プロセスは水素化分解プロセスであると仮定されている。しかし、当然のことながら、マイクロチャネル反応器の中ではフィッシャー・トロプシュ合成プロセスまたは水素化処理プロセスを行うこともできるであろう。
【0232】
図9に繰り返し単位200が図示されている。
図9を参照すると、プロセスマイクロチャネル210が熱交換チャネル230と隣接して配置されている。熱交換チャネル230は、マイクロチャネルであってよい。共通の壁232がプロセスマイクロチャネル210と熱交換チャネル230とを分けている。共通の壁232は、伝熱壁と呼んでよい。プロセスマイクロチャネル210は、反応ゾーン212を含む。反応ゾーン212の中に触媒(図面に示されていない)が配置されている。反応体または反応体組成物(すなわち炭化水素反応体および水素)は、矢印214によって示されるように反応ゾーン212の中へ流れ、反応ゾーン212の中で触媒と接触し、反応して所望の生成物を形成する。生成物は、水素化分解された炭化水素を含む。生成物は、矢印216によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210から流出する。熱交換チャネル230の中でプロセスマイクロチャネル210の中の反応体および生成物の流れに対して交差流となる方向へ(すなわち
図9に図示されている状態で紙面に入ったり出たりする方向へ)熱交換流体が流れる。プロセスマイクロチャネル210の中で行われるプロセスは発熱的であり、熱交換流体は反応のための冷却を提供する。あるいは、熱交換流体は、熱交換チャネル230を通って、プロセスマイクロチャネル210の中の反応体および生成物の流れに対して向流となるかまたはプロセスマイクロチャネル210の中の反応体および生成物の流れに対して並流となる方向へ流れてよい。
【0233】
図10に繰り返し単位200Aが図示されている。
図10を参照すると、プロセスマイクロチャネル210が反応体流チャネル250と隣接して配置されている。プロセスマイクロチャネル210は、反応ゾーン212を含んでいる。プロセスマイクロチャネル210と反応体流チャネル250とは共通の壁252を有する。共通の壁252は、矢印256によって示されているように反応体流チャネル250からプロセスマイクロチャネル210への水素の流れを可能にするのに十分な寸法である複数の開口254を有する。この水素反応体は、段階的添加反応体または第2の反応体と呼んでよい。開口254は、アパチャーと呼んでよい。開口254を含む共通の壁252のセクション258は、アパチャーセクションと呼んでよい。プロセスマイクロチャネル210と隣接して熱交換チャネル230が配置されている。熱交換チャネル230とプロセスマイクロチャネル210とは共通の壁232を有する。共通の壁232は、伝熱壁と呼んでよい。動作時、炭化水素反応体は、矢印217によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210の中へ流れる。水素反応体は、矢印218によって示されるように反応体流チャネル250の中へ流れ、反応体流チャネル250から開口254を通ってプロセスマイクロチャネル210の中へ流れる。プロセスマイクロチャネル210の中で、反応体は、反応ゾーン212の中の触媒と接触し、反応して水素化分解された炭化水素を含む所望の生成物を形成する。反応は発熱的であり、熱交換チャネル230は、冷却を提供して反応の温度を調節する。熱交換チャネル230の中で、プロセスマイクロチャネル210の中の反応体および生成物の流れに対して交差流となる方向へ熱交換流体が流れてよい。あるいは、熱交換流体は、プロセスマイクロチャネル210の中の反応体および生成物の流れに対して向流または並流となる方向へ流れてよい。
【0234】
図11に図示されている繰り返し単位200Bは、プロセスマイクロチャネル210が2つの反応ゾーンを含むE字形マイクロチャネルである点を除けば、
図10に図示されている繰り返し単位200Aと似ている。2つの隣接する反応体流チャネルも用いられている。この実施態様では、反応プロセスのために水素の段階的添加が提供されている。プロセスマイクロチャネル210は、矢印217および217Aによって示されている入口と矢印216によって示されている出口とを有するE字形を有する。プロセスマイクロチャネル210は、反応ゾーン212および212Aを含んでいる。E字形プロセスマイクロチャネル210の脚部の間に反応体流チャネル250および250Aが配置されている。反応体流チャネル250とプロセスマイクロチャネル210とは、複数の開口254を含む共通の壁252を有する。反応体流チャネル250Aとプロセスマイクロチャネル210とは、複数の開口254Aを含む共通の壁252Aを有する。炭化水素反応体は、矢印217および217Aによって示されるようにプロセスマイクロチャネル210へ入り、反応ゾーン212および212Aの中へそれぞれ流れる。水素は、矢印218および218Aによって示されるように、反応体流チャネル250および250Aへそれぞれ入る。水素は、反応体流チャネル250および250Aから開口254および254Aへ流れ、これらを通って反応ゾーン212および212Aの中へ流れ、炭化水素反応体および触媒と接触し、反応して水素化分解生成物を形成する。生成物は、矢印216によって示されるようにE字形プロセスマイクロチャネル210から流出する。熱交換チャネル230の中で、プロセスマイクロチャネル210の中の反応体および生成物の流れに対して交差流となる方向へ熱交換流体が流れ、発熱反応のための冷却を提供する。あるいは、熱交換流体は、反応ゾーン212および212Aの中の反応体および生成物の流れに対して並流または向流となる方向へ流れてよい。
【0235】
図12に繰り返し単位200Cが図示されている。
図12を参照すると、繰り返し単位200Cは、プロセスマイクロチャネル210、熱交換チャネル230、反応体流チャネル250およびアパチャーセクション258を含む。共通の壁252がプロセスマイクロチャネル210と反応体流チャネル250とを分けている。開口254を含むアパチャーセクション258は、共通の壁252の中に配置されている。アパチャーセクション258は、プロセスマイクロチャネル210の軸方向長さに沿って部分的に延在している。プロセスマイクロチャネル210は、混合ゾーン211および反応ゾーン212を有する。反応ゾーン212の中に触媒215が配置されている。混合ゾーン211は、反応ゾーン212の上流にある。炭化水素反応体は、矢印217によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210の中へ流れ、次に混合ゾーン211の中へ流れる。水素は、矢印218によって示されるように反応体流チャネル250の中へ流れ、矢印256によって示されるように反応体流チャネル250から開口254を通って混合ゾーン211の中へ流れる。炭化水素反応体と水素とは混合ゾーン211の中で互いに接触し、反応体混合物を形成する。反応体混合物は、混合ゾーン211から反応ゾーン212の中へ流れ、触媒215と接触し、反応して水素化分解された炭化水素を含む所望の生成物を形成する。生成物は、矢印216によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210から流出する。熱交換チャネル230の中で、プロセスマイクロチャネル210の中を流れる流体の流れに対して交差流となる方向へ熱交換流体が流れる。あるいは、熱交換流体は、プロセスマイクロチャネル210の中の流体の流れに対して向流または並流となる方向へ流れてよい。
【0236】
図12に図示されている繰り返し単位200Cの代替実施態様において、プロセスマイクロチャネル210の中で混合ゾーン211と反応ゾーン212との間に補助混合ゾーンが提供されてよい。補助混合ゾーンの中の混合のための滞留時間は、標準状態の温度(すなわち0℃)および圧力(すなわち大気圧)における開口254を通る流れとプロセスマイクロチャネル210の中の第1の反応体の流れとの合計の和と、混合ゾーン211の終わりと反応ゾーン212の始まりとの間のプロセスマイクロチャネル210によって定められる体積とを用いて定めてよい。補助混合ゾーンの中の混合のためのこの滞留時間は、最大約500ミリ秒(ms)、一実施態様において約0.25msから約500ms、一実施態様において約0.25msから約250ms、一実施態様において約0.25から約50ms、一実施態様において約0.25から約2.5msの範囲内であってよい。
【0237】
図13に図示されている繰り返し単位200Dは、繰り返し単位200Dが別個の混合ゾーン211を含まない点を除けば、
図12に図示されている繰り返し単位200Cと同じである。繰り返し単位200Dでは、水素は、開口254を通って反応ゾーン212の中へ流れ、そこで炭化水素反応体および触媒215と接触し、反応して水素化分解された炭化水素を含む所望の生成物を形成する。生成物は、次に、矢印216によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210から流出する。
【0238】
図14に図示されている繰り返し単位200Eは、水素の一部が混合ゾーン211の中で炭化水素反応体と混合し、残りの水素は得られた反応体混合物と反応ゾーン212の中で混合する点を除けば、
図12に図示されている繰り返し単位200Cと同じである。混合ゾーン211の中で炭化水素反応体と混合する水素の量は、第2の反応体の約1体積%から約99体積%、一実施態様において約5体積%から約95体積%、一実施態様において約10体積%から約90体積%、一実施態様において約20体積%から約80体積%、一実施態様において約30体積%から約70体積%、一実施態様において第2の反応体の約40体積%から約60体積%であってよい。残りの水素は、得られた反応体混合物と反応ゾーン212の中で混合する。
【0239】
図26に図示されている繰り返し単位200Fは、
図26に図示されているプロセスマイクロチャネル210が反応ゾーン220、予熱ゾーン240およびクエンチ用ゾーン245を含む点を除けば、
図9における繰り返し単位200と同じである。予熱ゾーン240は、反応ゾーン212の上流にある。クエンチ用ゾーン245は、反応ゾーン212の下流にある。予熱ゾーン240は、加熱セクション236によって加熱される。反応ゾーン212は、冷却セクション234によって冷却される。クエンチ用ゾーン245は、冷却セクション238によって冷却される。加熱セクション236ならびに冷却セクション234および238は、それぞれ熱交換チャネルと、熱交換チャネルの中を流れる適切な熱交換流体とを含んでよい。反応体は、214によって示されるように予熱セクション240へ入り、予熱セクション240を通って流れ、そこで反応ゾーン212へ入るために所望の温度へ予熱される。反応体は、予熱セクション240から反応ゾーン212の中へ流れ、そこで反応を行って生成物を形成する。生成物は、反応ゾーン212からクエンチ用ゾーン245を通って流れ、そこで生成物はクエンチされる。生成物は、クエンチ用ゾーン245から矢印218によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210を流出する。
【0240】
図27に図示されている繰り返し単位200Gは、プロセスマイクロチャネル210が横向きのU字の形である点を除けば、繰り返し単位200Fと似ている。予熱ゾーン240とクエンチ用ゾーン245とは同様に互いと隣接し、互いに熱を交換する。プロセスマイクロチャネル210の反応ゾーン212は、熱交換チャネル230の冷却セクション234によって冷却される。反応体は、矢印214によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210へ入り、予熱セクション240を通って流れ、そこで予熱され、次に反応ゾーン212を通って流れ、そこで反応体は反応を行って生成物を形成する。生成物は、反応ゾーン212からクエンチ用ゾーン245を通って流れ、そこで反応がクエンチされる。生成物は、矢印218によって示されるようにプロセスマイクロチャネル210から流出する。予熱ゾーン240の中を流れる比較的低温の反応体は、クエンチ用ゾーン245を通って流れる比較的高温の生成物によって加熱される。その結果、クエンチ用ゾーン245から予熱ゾーン240へ熱が移動する。
【0241】
繰り返し単位200Fおよび200Gは、生成物をマイクロチャネル反応器100の中でクエンチすることを提供する。あるいは、マイクロチャネル反応器100の下流で生成物をクエンチしてよい。生成物をクエンチすることは、生成物の温度を最大約500ミリ秒(ms)の時間内に少なくとも約200℃低下させることを含んでよい。温度は、最大約500msの時間内、一実施態様において最大約400ms、一実施態様において最大約300ms、一実施態様において最大約200ms、一実施態様において最大約100ms、一実施態様において最大約50ms、一実施態様において最大約35ms、一実施態様において最大約20ms、一実施態様において最大約15ms、一実施態様において最大約10ms、一実施態様において最大約5msの時間内に、少なくとも約150℃、一実施態様において少なくとも約100℃低下させてよい。温度は、約5から約100ms、一実施態様において約10から約50msの時間内に、少なくとも約200℃、一実施態様において少なくとも約100℃、一実施態様において少なくとも約50℃低下させてよい。生成物は、
図26および27に図示されているようにマイクロチャネル反応器の中でクエンチしてもよく、またはマイクロチャネル反応器とは別個のクエンチ用デバイスの中でクエンチしてもよい。クエンチ用デバイスは、マイクロチャネル熱交換器を含んでよい。クエンチ用デバイスは、マイクロチャネル反応器を出る生成物流と隣接しているかまたははさまれている熱交換器を含んでよい。クエンチ用デバイスは、生成物を二次冷却流体と迅速に混合することができる混合装置を含んでよい。二次冷却流体は、低温水蒸気であってよい。
【0242】
あるいは、クエンチ用デバイスは、プロセス流体が流れて通るための狭い隙間または通路を含んでよい。隙間または通路は、反応のクエンチ直径と同等以下の寸法を有してよい。この実施態様において、反応体が隙間または通路を通って流れるときに、壁衝突の結果として反応が終了してよい。隙間または通路は、最大約5mm、一実施態様において最大約3mm、一実施態様において最大約1mm、一実施態様において最大約0.5mm、一実施態様において最大約0.1mm、一実施態様において最大約0.05mmの高さまたは幅を有してよい。このクエンチ用デバイスは、マイクロチャネルまたは複数の平行なマイクロチャネルを含んでよい。このクエンチ用デバイスは、本発明のプロセスとともに用いられるプロセスマイクロチャネルの一部を成し、マイクロチャネ内に含まれる触媒の下流にあってもよい。狭い隙間または通路は、他のクエンチ用デバイス(例えば熱交換器)の1つ以上とともに用いてよい。
【0243】
熱交換チャネルおよび反応体流チャネルは、マイクロチャネルであってもよく、あるいはマイクロチャネルであるとは思えないような寸法を有してもよい。例えば、これらのチャネルは、最大約50mm、一実施態様において最大約25mm、一実施態様において最大約15mmの内部高さまたは幅を有してよい。プロセスマイクロチャネルは、マイクロチャネルである。チャネルのそれぞれは、任意の形状、例えば正方形、長方形、円形、半円形等を有する断面を有してよい。各マイクロチャネルは、最大約10mm、一実施態様において最大約5mm、一実施態様において最大約2mm、一実施態様において最大約2mmの内部高さを有してよい。一実施態様において、高さは、約0.05から約10mm、一実施態様において約0.05から約5mm、一実施態様において約0.05から約2mm、一実施態様において約0.05から約1.5mmの範囲内であってよい。これらのマイクロチャネルのそれぞれの幅は、任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様において約0.01から約3メートル、一実施態様において約0.1から約3メートルであってよい。各マイクロチャネルの長さは、任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様において約0.2から約10メートル、一実施態様において約0.2から約6メートル、一実施態様において約0.2から約3メートルであってよい。
【0244】
プロセスマイクロチャネル、熱交換チャネルおよび反応体流チャネルは、長方形の断面を有し、横並びの垂直配向面または水平に配向した積層面の中に整列させてよい。これらの面は、水平からある傾斜角傾いていてよい。これらの配置は、平行プレート配置と呼んでよい。スケールアップのためにこれらのチャネルをモジュール化された小型単位の中に整列させてよい。
【0245】
マイクロチャネル反応器100は、本発明のプロセスの動作を可能にするのに十分な強度、寸法安定性および熱移動特性を提供する任意の材料でできていてよい。これらの材料は、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、クロム、任意の前述の金属の合金、真ちゅう、鋼、石英、シリコン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。非金属の構築材料(例えばプラスチック材料またはセラミック材料)の使用は、利用してよい。
【0246】
マイクロチャネル反応器100は、ワイヤ放電機械加工、従来型機械加工、レーザー切削、光化学機械加工、電気化学機械加工、成形、ウォータージェット、刻印法、エッチング(例えば化学、光化学またはプラズマエッチング)、およびそれらの組み合わせを含む、既知の技法を用いて作製してよい。
【0247】
マイクロチャネル反応器100は、流路ができるように一部を除去したシムを形成することによって構築してよい。拡散接合、溶接、液相拡散接合、および類似の方法によってシムのスタックを組み立てて一体化したデバイスを形成してよい。マイクロチャネル反応器は、シムまたは薄片と部分シートまたはストリップとの組み合わせを用いて組み立ててよい。この方法において、ストリップまたは部分シートを組み立てることによってチャネルまたは空隙区域を形成して必要な材料の量を低下させてよい。
【0248】
マイクロチャネル反応器100は、直角の波形インサートの形の波形体を用いて構築してよい。これらのインサートは、対向する平らなシートまたはシムの間に挟んでよい。このようにして、3つの側では波形インサートによって、第4の側では平らなシートの1つによってマイクロチャネルを定めてよい。プロセスマイクロチャネルならびに反応体流チャネルおよび熱交換チャネルをこのように形成してよい。参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2008/030467号に、波形体を用いて作られるマイクロチャネル反応器が開示されている。
【0249】
マイクロチャネル反応器100へ入る原料は、液体炭化水素反応体および気体または蒸気の水素を含んでよい。マイクロチャネル反応器100は、反応体がプロセスマイクロチャネル110の中へ流れるための流れ通路を提供するマニホールドを含んでよい。マイクロチャネル反応器100は、反応体をプロセスマイクロチャネル110の中へ流すための別々のマニホールドを含んでよく、マニホールドの一方は炭化水素反応体用であり、他方のマニホールドは水素用とすればよい。
【0250】
原料は、2段アセンブリの形の分配装置を用いて分岐させてよい。一方の段は液体/気体混合物を個別の液相と蒸気相とに分離するために用いられ、他方の段はこれらの2つの相をプロセスマイクロチャネル110のための入口へ均等に再分配するために用いられる。プロセスマイクロチャネルのための入口は、分配装置の下流にある。これらの入口は、充填床または構造化床、モノリスまたは他の構成を含んでよい。分配装置の下流部分からの液体出口ポートは、プロセスマイクロチャネル入口にある構造物と接触させてよい。これは、液体流の再合体および効果的な再分配の「破綻」を防ぐ上で有用なことがある。分配装置は、
図66に概略が図示されている。この分配装置は、マイクロチャネル反応器100ならびにマイクロチャネルプロセス処理単位のための原料として液体および気体が用いられる任意のマイクロチャネルプロセス処理単位とともに用いてよい。
【0251】
図66を参照すると、分配装置500は、分離プレート510および再分配プレート520を含んでいる。分離プレート510は、再分配プレート520の上にある。分離プレート510は、約0.01から約2mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の厚さを有してよい。分離プレート510と再分配プレート520との間の隙間は、約0.01から約2mmの範囲内、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内であってよい。装置500は、マイクロチャネル反応器100を作るための上記で考察された材料のいずれを用いて作ってもよい。分離プレート510は、蒸気と液体との混合物が個別の蒸気相と液相とに分離し、再分配プレート520へ流れることが可能であるようになっている。再分配プレート520は、マイクロチャネル反応器100のプロセスマイクロチャネル110への入口と位置を合わせてよい。開口522および524は、蒸気相と液相とが互いに接触し、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネル反応器100のプロセスマイクロチャネル110の中へ流れることができるようになっている。分配装置500は、多重チャネル(パイロット規模または商業規模)モジュールにおいて効果的な多相原料供給を提供することができる。この手法は、位置を合わせたチャネル開口および貫通孔を有するシムを積層させることを含んでよい。液体および蒸気は、マニホールドと呼んでよいチャネル開口から小さな貫通孔の中へ流れ、小さな貫通孔は流れをプロセスマイクロチャネルへ直接つなぐ。液体は、蒸気とインターカレーションし合い、供給点においてテイラー(Taylor)状流れとなる。
【0252】
再分配プレート520は、一実施態様において、
図67に図示されているように3つのシムを含む再分配プレート520Aの形であってよい。
図67を参照すると、再分配プレート520Aは、第1のシム530を含み、第1のシム530は、第1の平らな表面531および第1の平らな表面531の中の複数の第1の開口532を含む。再分配プレート520Aは、第2のシム535を含み、第2のシム535は、第2の平らな表面536、第2の平らな表面536の中の複数の第2の開口537および第2の平らな表面536の中の複数の第1の貫通孔538を含む。第1のシム536は第2のシム535の上にある。再分配プレート520Aは、第3のシム540を含み、第3のシム540は、第3の平らな表面541および第3の平らな表面541の中の複数の第2の貫通孔542を含む。第2のシム535は第3のシム540の上にあり、第2の貫通孔542は第1の貫通孔538と位置を合わされ、第3のシム540はマイクロチャネル110への入口の上にあるようになっており、第2の貫通孔542はマイクロチャネル110への入口と位置を合わされるようになっている。この装置は、蒸気が第1の開口532を通って第1の貫通孔538の中へ流れ、第1の貫通孔538から第2の貫通孔542の中へ流れることができ、液体が第2の開口537を通って第3の平らな表面541の上へ流れ、第3の平らな表面541から第2の貫通孔542の中へ流れることができるようになっている。第2の貫通孔542は、蒸気と液体とが混合し、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネル110の中へ流れることができるようになっている。第1の開口532は、蒸気マニホールドとして機能することができるチャネルを含んでよい。第2の開口537は、液体マニホールドとして機能することができるチャネルを含んでよい。シム530、535および540は、約0.01から約2mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の厚さを有してよい。シムは、マイクロチャネル反応器100を作るための上記で考察された材料のいずれを用いて構築してもよい。開口532および537は、任意の寸法(例えば約0.1から約2000cm)の長さおよび約0.1から約2000mm、一実施態様において約1から約100mmの範囲内の幅を有してよい。貫通孔538は、約0.01から約10mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の直径を有してよい。貫通孔542は、約0.01から約10mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の直径を有してよい。
【0253】
再分配プレート520は、
図68に図示されている再分配プレート520Bの形であってよい。再分配プレート520Bは、層状シムの使用を含み、層状シムは、貫通孔の中へ流体を供給し、ジェット状/エアロゾル流れを発達させることができる大きな気体および液体マニホールドチャネルを有する。液体は、狭いジェット貫通孔を通って入り、ジェット貫通孔の周りのより大きな貫通孔を通って入る蒸気によって絞られればよい。中間サイズの貫通孔を有するシムによって圧力降下を増加させ、液体流および蒸気流をエアロゾルとしてプロセスマイクロチャネルの中へ出させるようにすればよい。
図68を参照すると、再分配プレート520Bは、第1のシム545を含み、第1のシム545は、第1の平らな表面546および第1の平らな表面546の中の複数の第1の開口547を含む。再分配プレート520Bは、第2のシム550を含み、第2のシム550は、第2の平らな表面551、第2の平らな表面551の中の複数の第2の開口552および第2の平らな表面551の中の複数の第1の貫通孔553を含む。第1のシム545は第2のシム550の上にある。再分配プレート520Bは、第3のシム555を含み、第3のシム555は、第3の平らな表面556および第3の平らな表面556の中の複数の第2の貫通孔557を含む。第2のシム550は第3のシム555の上にあり、第2の貫通孔557は第1の貫通孔553と位置を合わされている。再分配プレート520Bは、第4のシム560を含み、第4のシム560は、第4の平らな表面561および第4の平らな表面561の中の複数の第3の貫通孔562を含む。第3のシム555は第4のシム560の上にあり、第3の貫通孔562は第2の貫通孔557と位置を合わされ、第4のシム560はマイクロチャネル110への入口の上にあるようになっており、第3の貫通孔562はマイクロチャネル110への入口と位置を合わされるようになっている。この装置は、液体が第1の開口547を通って第1の貫通孔553の中へ流れ、第1の貫通孔553から第2の貫通孔557の中へ、第2の貫通孔557から第3の貫通孔562の中へ流れることができ、蒸気が第2の開口552を通って第2の貫通孔557の中へ流れ、第2の貫通孔557から第3の貫通孔562の中へ流れることができるようになっている。第2および第3の貫通孔557および562は、蒸気と液体とが混合し、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネル110の中へ流れることができるようになっている。第1の開口547は、液体マニホールドとして機能することができるチャネルを含んでよい。第2の開口552は、蒸気マニホールドとして機能することができるチャネルを含んでよい。シム545、550、555および560は、約0.01から約5mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の厚さを有してよい。シムは、マイクロチャネル反応器100を作るための上記で考察された材料のいずれを用いて構築してもよい。開口547および552は、任意の寸法(例えば約0.1から約1000cm)の長さおよび約1から約100mm、一実施態様において約1から約10mmの範囲内の幅を有してよい。貫通孔553は、約0.01から約10mm、一実施態様において約0.01から約1mmの範囲内の直径を有してよい。貫通孔555は、約0.01から約10mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の直径を有してよい。貫通孔562は、約0.01から約10mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の直径を有してよい。
【0254】
再分配プレート520は、高い圧力降下(より大きなマニホールド用区域からの効果的な分配のため)を提供する垂直な幅の狭いチャネルと、Taylor状流れにおける複数相のインターカレーションを可能にする十分に小さなチャネルとを有する複数の層状シムを含んでよい。この構成は、大量のシムの加工の結果として起ることがある若干の位置の変動を許容することができる。これは、再分配プレート520Cが図示されている
図69に示されている。
図69を参照すると、再分配プレート520Cは、第1のシム565を含み、第1のシム565は、第1の平らな表面566、第1の平らな表面566の第1の側568にある第1の平らな表面565の中の第1の開口567、および第1の平らな表面566の第2の側569aにある第1の平らな表面566の中の第2の開口569を含む。第1および第2の開口567および569は互いに平行に延在する開いたチャネルの形である。再分配プレート520Cは、第2のシム570を含み、第2のシム570は、第2の平らな表面571、第2の平らな表面571の中の複数の第3の開口572、および第2の平らな表面571の中の複数の第4の開口573を含む。第3の開口572および第4の開口573は互いに平行に延在する開いたチャネルの形であり、第1のシム565は第2のシム570の上にあり、第1の開口567は第3の開口572の一部と位置を合わされ、第2の開口569は第4の開口573の一部と位置を合わされている。再分配プレート520Cは、第3のシム575を含み、第3のシム575は、第3の平らな表面576および第3の平らな表面576の中の複数の第5の開口577を含む。第2のシム570は、第3のシム575の上にあり、第5の開口577は、互いに平行かつ第3および第4の開口572および573と垂直に延在する開いたチャネルの形であり、第3のシム575は、マイクロチャネル110への入口の上にあるようになっている。この装置は、蒸気が第1の開口567を通って第3の開口572の中へ流れ、第3の開口572から第5の開口577の中へ流れることができ、液体が第2の開口569を通って第4の開口573の中へ流れ、第4の開口573から第5の開口577の中へ流れることができるようになっている。開口577は、蒸気と液体とが混合し、蒸気/液体混合物を形成し、マイクロチャネル110の中へ流れることができるようになっている。第1の平らな表面566の中の第1の開口567は、蒸気マニホールドとして機能してよい。第1の平らな表面566の中の第2の開口569は、液体マニホールドとして機能してよい。シム565、570および575は、約0.01から約10mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の厚さを有してよい。シムは、マイクロチャネル反応器100を作るための上記で考察された材料のいずれを用いて構築してもよい。開口567および569は、任意の寸法(例えば約0.01から約100cm)の長さおよび約0.1から約100mm、一実施態様において約0.1から約10mmの範囲内の幅を有してよい。開口572および573は、任意の寸法(例えば約0.01から約100cm)の長さおよび約0.1から約10mm、一実施態様において約1から約10mmの範囲内の幅を有してよい。開口577は、任意の寸法(例えば約0.01から約100cm)の長さおよび約0.1から約10mm、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内の幅を有してよい。
【0255】
原料は、蒸気および2つの液体をプロセスマイクロチャネルへ分配するのに適している分配装置を用いて分岐させてよい。
図70〜78にこれが図示されている。2つの液体を第1の液体および第2の液体と呼んでよい。第1の液体および第2の液体は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。これらの図面においてL
1として参照される第1の液体は、比較的高い流速で分配装置を通って流れてよい。これらの図面においてL
2として参照される第2の液体は、比較的低い流速で分配装置を通って流れてよい。第1の液体は軽質炭化水素留分を含んでよく、第2の液体は重質炭化水素留分を含んでよい。プロセスマイクロチャネルへの入口は、分配装置の下流にある。これらの入口は、充填床または構造化床、モノリスまたは他の構成物を含んでよい。分配装置の下流部分からの液体出口ポートは、プロセスマイクロチャネル入口にある構造体と接触してよい。これは、液体流の再合体および効果的な再分配の「破綻」を防ぐ上で有用なことがある。
【0256】
図70を参照すると、分配装置700は、マイクロチャネル反応器100への入口に配置され、プロセスマイクロチャネル110への蒸気、第1の液体および第2の液体の混合物の流れを提供するようになっている。分配装置700は、第1の液体原料プレート702、横に並べて配置されている複数の分配プレート704および第2の液体原料プレート706を含んでいる。分配プレート704は、原料プレート702と706との間に配置されている。分配装置700の中の分配プレート704の数は、任意の数、例として1から約100、一実施態様において約2から約10であってよい。第1の液体マニホールドスロット710が原料プレート702から分配プレート704を通って原料プレート706へ延在している。第2の液体マニホールドスロット712が原料プレート706から分配プレート704まで延在している。各分配プレート704は、2つの蒸気通路714、第1の液体マニホールドスロット710から蒸気通路714へ延在している第1の分配チャネル716、および第2の液体マニホールドスロット712から蒸気通路714へ延在している第2の分配チャネル718を含んでいる。装置700は、蒸気が蒸気通路714を通って矢印715によって示される方向へ流れることができるようになっている。第1の液体は、矢印711によって示されるように原料プレート702を通って第1の液体マニホールドスロット710の中へ流れ、マニホールドスロット710から第1の分配チャネル716を通って蒸気通路714の中へ流れ、そこで蒸気通路714の中を流れている蒸気と接触してよい。第2の液体は、矢印713によって示されるように第2の原料プレート706を通って第2の液体マニホールドスロット712の中へ流れ、第2のマニホールドスロット712から第2の分配チャネル718を通って蒸気通路714の中へ流れ、蒸気通路714の中を流れている蒸気および蒸気通路714の中を流れている第1の液体と接触する。装置700は、蒸気通路714を通ってプロセスマイクロチャネル110の中へと流れる蒸気、第1の液体および第2の液体のTaylor流を提供するのに適している。
【0257】
各分配プレート704の中に複数の第1の液体マニホールドスロット710、第2の液体マニホールドスロット712、蒸気通路714および分配チャネル716および718を形成してよい。これは、分配装置700Aにおいて分配プレート704Aが
図70に示されている分配プレート704に取って代わった
図71に示されている。
図71において、第1の液体原料プレート702Aは、分配プレート704Aの中のマニホールドスロット710と位置を合わせるようになっている複数の第1の液体マニホールドスロット710も含んでいる。任意の所望の数の分配プレート704Aを分配装置700Aの中に横に並べて配置してよく、この数は、例えば1から約100、一実施態様において約2から約10である。任意の所望の数の液体マニホールドスロット710および712ならびに対応する数の蒸気通路714および分配チャネル716および718も各分配プレート704Aの中に提供してよく、この数は、例えば2から約100、一実施態様において約2から約10である。
【0258】
代替実施態様において、原料プレート702は、第1のマニホールドスロット710およびマニホールドスロット710から延在している分配チャネル716を含んでよい。同様に、原料プレート706は、第2のマニホールドスロット712およびマニホールドスロット712から延在している分配チャネル718を含んでよい。これは、分配装置700Bが原料プレート702Bおよび706B、ならびに分配プレート704Bを含んでいる
図72に示されている。
【0259】
第1の分配チャネル716および/または第2の分配チャネル718を湾曲させるかまたは収縮させてチャネルの中を流れる流体の圧力降下を増加させてよい。これは、湾曲するかまたは収縮したチャネル720がマニホールドスロット710および/または712から延在している
図73に示されている。
【0260】
分配装置700は、分配装置700からの出口をプロセスマイクロチャネル110への入口へ位置を合わせてマイクロチャネル反応器100の上に取り付けてよい。これは、
図74および75に示されている。
図74および75に示されているマイクロチャネル反応器100は、
図74に示されている反応器が固体粒子の触媒床を使用し、
図75に示されている反応器が触媒を担持する金属発泡体を使用する点を除けば同じである。
【0261】
分配装置700、700Aおよび700Bは、マイクロチャネル反応器100を作るために用いられる構築材料のいずれで作られてもよい。原料プレート702および704、ならびに分配プレート706は、任意の所望の寸法、例えば約1から約1000cm、一実施態様において約10から約100cmの範囲内の高さ(
図70に見られるように)、任意の所望の寸法、例えば約1から約1000cm、一実施態様において約10から約100cmの範囲内の幅、および任意の所望の寸法、例えば約0.1から約100mm、一実施態様において約1から約10mmの範囲内の厚さを有してよい。蒸気通路714は、約0.1から約10mm、一実施態様において約1から約5mmの範囲内の深さ、および約1から約1000mm、一実施態様において約1から約100mmの範囲内の幅を有してよい。マニホールドスロット710および712は、約1から約1000mmの範囲内、一実施態様において約1から約100mmの範囲内の高さ、および約1から約1000mm、一実施態様において約1から約100mmの範囲内の幅を有してよい。チャネル716および718は、約0.1から約1000mm、一実施態様において約1から約100mmの範囲内の深さ、および約1から約1000mm、一実施態様において約1から約100mmの範囲内の幅を有してよい。
【0262】
図76〜78に、マイクロチャネル反応器の中の複数のマイクロチャネルの中へ蒸気および2つの液体を流すための分配装置の代替実施態様が示されている。
図76〜78を参照すると、マイクロチャネル反応器100の上に分配装置800が配置されてプロセスマイクロチャネルの中への気体および2つの液体の流れを提供している。分配装置800は、第1の分配セクション810を含む。分配装置800は、第2の分配セクション820を含み、第1の分配セクション810は第2の分配セクション820の上にある。分配装置800は、第3の分配セクション830を含み、第2の分配セクション820は第3の分配セクション830の上にある。この装置800は、蒸気が第1の分配セクション810から第2の分配セクション820および第3の分配セクション830を通ってプロセスマイクロチャネルの中へ流れることができるようになっている。第1の液体は、第2の分配セクション820から流れ、蒸気と接触し、第3の分配セクション830を通ってプロセスマイクロチャネルの中へ流れてよい。第2の液体は、第3の分配セクション830から流れ、蒸気および第1の液体と接触し、プロセスマイクロチャネルの中へ流れる。
【0263】
第1の分配セクション810は、上下に重ねられている3つのプレートを含んでよい。3つのプレートは、マニホールドプレート812を含む。3つのプレートは、第1の分配プレート814を含み、マニホールドプレート812は第1の分配プレート814の上にある。3つのプレートは、第2の分配プレート816を含み、第1の分配プレート814は第2の分配プレート816の上にある。第1の分配セクション810は、蒸気が入口チャネル811を通ってマニホールドプレート812へ流れ、マニホールドプレート812から開口815を通ってチャネル817および開口818へ流れ、チャネル817および開口818を通って第2の分配セクション820へ流れることができるようになっている。
【0264】
第2の分配セクション820は、上下に重ねられている3つのプレートを含んでよい。3つのプレートは、マニホールドプレート822を含む。3つのプレートは、第1の分配プレート824を含み、マニホールドプレート822は第1の分配プレート824の上にある。3つのプレートは、第2の分配プレート826を含み、第1の分配プレート824は第2の分配プレート826の上にある。第2の分配セクション820は、第1の液体が入口チャネル821を通ってチャネル開口823へ流れ、チャネル開口823を通って開口825へ流れ、開口825を通って流れ、第1の分配セクション810からの蒸気と接触し、第3の分配セクション830へ流れることができるようになっている。
【0265】
第3の分配セクション830は、上下に重ねられている3つのプレートを含んでよい。3つのプレートは、マニホールドプレート832を含む。3つのプレートは、第1の分配プレート834を含み、マニホールドプレート832は第1の分配プレート834の上にある。3つのプレートは、第2の分配プレート836を含み、第1の分配プレート834は第2の分配プレート836の上にある。第3の分配セクション830は、第2の液体が入口チャネル831を通ってチャネル開口833へ流れ、チャネル開口833を通って開口835へ流れることができるようになっている。第2の液体は、開口835の中で蒸気および第1の液体と接触し、マイクロチャネルの中へ流れる。
【0266】
分配装置800は、マイクロチャネル反応器100を作るために用いられる構築材料のいずれで作られてもよい。プレート812、814、816、822、824、826、832、834および836は、任意の所望の寸法、例えば約1から約100cm、一実施態様において約5から約50cmの範囲内の直径、および任意の所望の寸法、例えば、約0.1から約10mm、一実施態様において約0.5から約5mmの範囲内の厚さを有してよい。入口チャネル811、821および831は、約0.1から約100mm、一実施態様において約0.5から約10mmの範囲内の幅を有してよい。チャネル開口817、823および833は、約0.1から約100mm、一実施態様において約0.5から約10mmの範囲内の幅を有してよい。開口815は、約0.001から約10mm、一実施態様において約0.01から約1mmの範囲内の直径を有してよい。開口818、825および835は、約0.001から約10mm、一実施態様において約0.01から約1mmの範囲内の直径を有してよい。
【0267】
実施態様において、本発明は、石油精製プロセスにおいて水素カスケード法の使用に関する。製油所における水素は、さまざまな供給源に由来し、さまざまな圧力レベルおよび組成を有する。改質、圧力スウィング吸着(PSA)または膜精製に由来しないメークアップ水素とともにマイクロチャネル水素化プロセス処理単位を用いてよい。マイクロチャネル水素化プロセス処理単位は、1つの段階のための水素が別の段階のための水素と異なる供給源に由来する、複数の段階の使用を含んでよい。
【0268】
毛管力の支援による触媒の優れた濡れがある場合にHP(水素化プロセス処理)を実現することができる。触媒上の薄い液体の層によって毛管力を増強された質量移動のためにさらに支援することができる。HPを行うための構築物は、ハニカムモノリス(金属および/またはセラミック)などの構造体を含んでよく、これらの構造体を触媒粒子で満たしてよい。
【0269】
改善された接触を実現するために、従来の滴下床反応器の上流または内部に水素と液体とのマイクロチャネル混合のためのアセンブリを設置することができる。例えば、従来の滴下床反応器の内部の触媒床の上流に
図66〜69に示されている分配装置を用いて液体と気体との均一な分配を提供することができる。
【0270】
図7および8に図示されている収容槽300の中に1つ以上のマイクロチャネル反応器100を収容してよい。
図7および8を参照すると、槽300は、5つのマイクロチャネル反応器100を含んでいる。これらは、
図7および8において、マイクロチャネル反応器100−1、100−2、100−3、100−4および100−5として特定されている。図面において5つのマイクロチャネル反応器100が開示されているが、槽300は任意の所望の数のマイクロチャネル反応器100を含んでよいことが理解されるだろう。例えば、槽300は、約1から約1000のマイクロチャネル反応器100、一実施態様において1から約750、一実施態様において1から約500、一実施態様において1から約250、一実施態様において1から約100、一実施態様において1から約50、一実施態様において1から約20のマイクロチャネル反応器100を含んでよい。槽300は、加圧可能な槽であってよい。槽300は、入口310および320、ならびに出口330および340を含んでいる。入口310は、反応体またはプロセス原料をマイクロチャネル反応器100の中のプロセスマイクロチャネルへ流すために提供されているマニホールドと接続されている。入口320は、熱交換流体をマイクロチャネル反応器100の中の熱交換チャネルへ流すために提供されているマニホールドと接続されている。出口330は、マイクロチャネル反応器100の中のプロセスマイクロチャネルからの生成物の流れを提供するマニホールドと接続されている。出口340は、マイクロチャネル反応器100の中の熱交換チャネルから出る熱交換流体の流れを提供するマニホールドと接続されている。
【0271】
収容槽300は、マイクロチャネル反応器100を稼動させるために必要な圧力および温度下で稼動するのに十分な任意の適当な材料を用いて構築してよい。例えば、槽300のシェル350およびヘッド360は、鋳鋼で構築してよい。フランジ、連結部およびパイプは、316ステンレス鋼で構築してよい。槽300は、任意の所望の直径、例えば約10から約1000cm、一実施態様において約50から約300cmを有してよい。槽300の軸方向長さは、任意の所望の値、例えば約0.5から約50メートル、一実施態様において約1から約20メートルであってよい。
【0272】
マイクロチャネル反応器100の設計および稼動において、反応を最適化するために、プロセスマイクロチャネルの長さに沿って調整された熱交換プロフィールを提供すると有利なことがある。これは、プロセスマイクロチャネルの中で行われる水素化分解反応によって発せられる局所的な熱の放出をマイクロチャネル反応器の中の熱交換チャネルの中の熱交換流体によって提供される熱除去または冷却と整合させることによって実現されることがある。水素化分解反応の程度および結果として生じる反応によって提供される熱放出は、プロセスマイクロチャネルの中の反応ゾーンの前部または上流セクションの中の方が反応ゾーンの後部または下流セクションの中と比較してより高くなることがある。その結果、反応ゾーンの上流セクションにおける整合冷却必要量は、反応ゾーンの下流セクションと比較して高くなることがある。プロセスマイクロチャネルの中の反応ゾーンの上流セクションと熱接触しているより多くの熱交換チャネルまたは冷却チャネル、従ってより多くの熱交換流体または冷却流体の流れを反応ゾーンの下流セクションと比較して提供することによって、調整された熱交換を実現してよい。あるいは、または加えて、熱交換チャネルの中の熱交換流体の流速を変化させることによって、調整された熱交換プロフィールを提供してよい。追加の熱交換または冷却が望まれる区域において、より少ない熱交換または冷却が必要である区域と比較して熱交換流体の流速を増加させてよい。例えば、プロセスマイクロチャネルの中の反応ゾーンの上流セクションと熱接触している熱交換チャネルにおいて、反応ゾーンの下流セクションと熱接触している熱交換チャネルと比較してより高い熱交換流体の流速が有利なことがある。最適な熱交換チャネル寸法および/または熱交換チャネルの個々または群あたりの熱交換流体の流速を選ぶことによって、最適の性能のためのプロセスマイクロチャネルから熱交換チャネルへの熱移動を設計してよい。熱交換を調整するための追加の設計代替案は、プロセスマイクロチャネル内の特定の位置における触媒の選択および設計(粒子サイズ、触媒調合、充填密度、傾斜触媒の使用、または他の化学特性もしくは物理特性など)に関することがある。これらの設計代替案は、プロセスマイクロチャネルからの熱放出ならびに熱交換流体への熱移動の両方に影響を及ぼすことがある。熱移動のための推進力を提供することができるプロセスマイクロチャネルと熱交換チャネルとの間の温度差は、プロセスマイクロチャネルの長さに沿って一定であってもよく、または変化してもよい。
【0273】
プロセスマイクロチャネルおよび/または熱交換チャネルは、プロセスマイクロチャネルおよび/または熱交換チャネルの1つ以上の内壁または内部構造物の中のくぼみおよび/または1つ以上の内壁または内部構造物からの突起の形の1つ以上の表面構成要素を含んでよい。
図15、16および25に例が示されている。表面構成要素を用いてチャネルの中を流れる流体の流れを撹乱することができる。流れの中のこれらの撹乱は、混合および/または熱移動を増強することができる。表面構成要素は、パターン化された表面の形であってよい。複数のシムを一緒に積層することによってマイクロチャネル反応器を作ることができる。シムの一方または両方の主表面は、表面構成要素を含んでよい。あるいは、いくつかのシートまたはシムおよびいくつかのストリップ、または部分シートを用いてマイクロチャネル反応器を組み立ててデバイスを構築するために必要な金属の全体量を少なくしてよい。一実施態様において、表面構成要素を含むシムを、表面構成要素を含む別のシムと対にしてもよい(マイクロチャネルの対向する側で)。1つの主表面だけの上に表面構成要素を有するチャネルと比較すると、対にした方がより良好な混合または熱移動増強を生むことができる。一実施態様において、パターン形は、マイクロチャネル表面の実質的に幅全体にわたって配置された斜めのくぼみを含んでよい。壁のパターン化表面構成要素区域は、マイクロチャネル表面の長さの一部または長さ全体を占めてよい。一実施態様において、チャネル表面の長さの少なくとも約10%、一実施態様において少なくとも約20%、一実施態様において少なくとも約50%、一実施態様において少なくとも約80%の上に表面構成要素が配置されてよい。それぞれの斜めのくぼみは、流れ方向に対して1つ以上の角度を含んでよい。継続するくぼんだ表面構成要素が他のくぼんだ表面構成要素に対して同様な角度または代りの角度を含んでよい。
【0274】
2つ以上のマイクロチャネル壁の上または中に表面構成要素が配置されてよい実施態様において、1つの壁の上または中の表面構成要素は、第2の壁の上に見いだされるパターンと同じ(または同様)であるが、主チャネル平均バルク流れ方向の中心線の周りに回転させたパターンを有してよい。対向する壁の上または中に表面構成要素があってよい実施態様において、1つの壁の上または中の表面構成要素は、反対側の壁の上の構成要素の鏡像であってよい。2つ以上の壁の上または中に表面構成要素がある実施態様において、1つの壁の上または中の表面構成要素は、第2の壁の上に見いだされるパターンと同じ(または同様)であるが、主チャネル平均バルク流れ方向と直交する軸の周りに回転させたパターンであってよい。言い換えると、表面構成要素は、主チャネル平均バルク流れ方向に対して180度反転させ、主チャネル平均バルク流れの中心線の周りに回転させてよい。対向するかまたは隣接する壁の上または中の表面構成要素は、互いに直接整列してもよくまたは整列しなくてもよいが、壁の長さの少なくとも一部について壁に沿って連続的に繰り返されてよい。チャネルの3つ以上の内部表面の上に表面構成要素が配置されてよい。三角形、オーバル、長円形、円形および類似形など、3つ以下の側を有するチャネル幾何形状の場合、表面構成要素は、マイクロチャネルの周囲の約20%から約100%を覆ってよい。
【0275】
一実施態様において、パターン化表面は、互いの上に重ねられた複数のパターンを含んでよい。伝熱壁と隣接して孔のパターンまたはアレイが配置されてよく、流れのための開いたチャネルの上に、隣接して表面構成要素の斜めのアレイなどの第2のパターンが重ねられてよい。開いた隙間に隣接するシートがシートの厚さを通してパターン形を有し、これによって流れがシートを通って下にあるパターンの中へ通ってよい。移流または拡散の結果として流れが生じてよい。一例として、貫通孔のアレイを有する第1のシートが伝熱壁の上に配置され、斜めの貫通スロットのアレイを有する第2のシートが第1のシートの上に配置されてよい。これによって触媒を接着させるためのより多くの表面積を生みだすことができる。一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの少なくとも1つの他の壁の上でパターンを繰り返してよい。対向する壁の上でパターンをオフセットさせてもよい。最も内側のパターン化表面(流れチャネルとの境界となる表面)は、斜めのアレイなどのパターンを含んでよい。斜めのアレイは、流れの方向「の方へ」配向させてもよく、または1つの側を流れの方向の方へ配向させ、反対側を流れの方向「と反対に」配向させてもよい。対抗する壁の上の表面構成要素を変化させることによって、中心および開いた隙間を下って行くさまざまな流れ場および渦巻きの程度を流体の中に生み出すことができる。
【0276】
表面構成要素は、チャネルを通る流れの方向に対して角度を付けて配向させてよい。表面構成要素は、流れの方向に対して約1°から約89°、一実施態様において約30°からの約75°の角度で整列させてよい。配向の角度は、斜角であってよい。角度を有する表面構成要素を、流れの方向の方へ、または流れの方向と反対に整列させてよい。表面構成要素と接触する流体の流れは、流体の一部を表面構成要素の中のくぼみの中へ強制してよく、他の流体は表面構成要素の上を流れてよい。表面構成要素の中の流れは、表面構成要素に合せた形となり、チャネルの中のバルク流れの方向に対して角度を有することができる。流体は、表面構成要素を出ると、バルク流れがz方向にあるx、y、z座標系についてxおよびy方向の運動量を与えることができる。これは、流体の流れの中に撹拌または回転を生じさせることができる。このパターンは、混合のために有用なことがある。
【0277】
プロセスマイクロチャネル内の2つ以上の表面構成要素領域を直列に配置し、これによって、第1の表面構成要素領域と、それに続いて異なる流れパターンを用いてよい少なくとも1つの第2の表面構成要素領域とを用いて、流体の混合を実現してよい。
【0278】
表面構成要素は、互いの上に重ねられるかまたは3次元パターンで絡み合った2つ以上の層を有してよい。それぞれの個々の層の中のパターンは同じであっても異なっていてもよい。それぞれの層または1つの層だけの中で流れが回転または移流してよい。チャネルのバルク流路と隣接していなくてよい副層を用いて追加の表面積を生み出してもよい。流れは、第1のレベルの表面構成要素の中で回転し、第2以降の副層の中へ分子拡散して反応を促進することができる。さまざまなパターンをあたかも互いの上に重ねられているように別々の面の中に分けることができる金属キャスト法、光化学機械加工法、レーザー切削法、エッチング法、アブレーションまたは他のプロセスによって、3次元表面構成要素を作ることができる。マイクロチャネル内のバルク流れ経路に隣接して3次元表面構成要素を提供することができ、表面構成要素は、さまざまな深さ、形状および/または位置を有し、さまざまな深さ、形状および/または位置のパターンを有する副構成要素が付属している。
【0279】
3次元表面構成要素構造体の例は、マイクロチャネルのバルク流路と隣接する界面におけるくぼんだ斜角または逆V字形を含んでよい。逆V字形の下に、バルク流路と隣接する表面構成要素と接続しているが多彩な形状、深さおよび/または位置の構造体から作られている一連の3次元構造体があってよい。マイクロチャネル内のバルク流路と隣接している開いた表面構成要素の下には直接ならないが1つ以上の蛇行形の2次元または3次元通路を通って接続する副層通路を提供するとさらに有利なことがある。この手法は、狭い滞留時間分布ではなく広い滞留時間分布を有する方が望ましい場合に、マイクロチャネルの中の調整された滞留時間分布を生み出すために有利なことがある。
【0280】
表面構成要素の長さおよび幅は、チャネルの長さおよび幅と同じように定義してよい。深さは、表面構成要素がマイクロチャネル表面の中に沈むかまたは上に立ち上がる距離であってよい。表面構成要素の深さは、重ねられ、結合されるマイクロチャネルデバイスとシート表面の上または中に形成された表面構成要素と重ねる方向と対応させてよい。表面構成要素についての寸法は、表面構成要素の最大寸法を指してよい。例えば、丸い溝の深さは最大深さ、すなわち溝の底における深さを指してよい。
【0281】
表面構成要素は、最大約5mm、一実施態様において最大約2mm、一実施態様において約0.01から約5mmの範囲内、一実施態様において約0.01から約2mmの範囲内、一実施態様において約0.01mmから約1mmの範囲内である深さを有してよい。表面構成要素の幅は、マイクロチャネルの幅(例えばヘリングボーン設計)とほぼ同じ幅となるのに十分であってよいが、一実施態様(充填構成要素など)においてマイクロチャネルの幅の約60%以下、一実施態様において約50%以下、一実施態様において約40%以下、一実施態様においてマイクロチャネル幅の約0.1%から約60%、一実施態様においてマイクロチャネル幅の約0.1%から約50%、一実施態様においてマイクロチャネル幅の約0.1%から約40%の幅であってよい。表面構成要素の幅は、約0.05mmから約100cmの範囲内、一実施態様において約0.5mmから約5cmの範囲内、一実施態様において約1から約2cmの範囲内であってよい。
【0282】
1つ以上のマイクロチャネル壁の中の異なる深さのくぼみである表面構成要素を含む、複数の表面構成要素、または表面構成要素の領域がチャネルの中に含まれてよい。くぼみの間の間隔は、約0.01mmから約10mmの範囲内、一実施態様において約0.1から約1mmの範囲内であってよい。表面構成要素は、マイクロチャネルの長さ全体にわたって存在してもよく、あるいはチャネルの部分または領域に存在してもよい。表面構成要素を有する部分または領域は、調整されたゾーンの中で所望の混合または単位操作(例えば、分離、冷却等)を促進するために断続的であってよい。例えば、チャネルの1センチメートルセクションが密に間隔を詰めた表面構成要素のアレイを有し、続いて4センチメートルの表面構成要素のない平らなチャネルを有し、続いて疎に間隔をあけた表面構成要素の2センチメートルのセクションを有してよい。用語「疎に間隔をあけた表面構成要素」を用いて表面構成要素の幅の約5倍を超えるピッチまたは構成要素から構成要素への距離を有する表面構成要素を指してよい。
【0283】
表面構成要素は、実質的にチャネルの軸方向長さ全体にわたって延在する1つ以上の表面構成要素領域の中に配置されてよい。一実施態様において、チャネルは、その軸方向長さの約50%以下にわたって、一実施態様においてその軸方向長さの約20%以下にわたって延在する表面構成要素を有してよい。一実施態様において、表面構成要素は、チャネルの軸方向長さの約10%から約100%、一実施態様において約20%から約90%、一実施態様において約30%から約80%、一実施態様においてチャネルの軸方向長さの約40%から約60%にわたって延在してよい。
【0284】
各表面構成要素レッグは、バルク流れ方向に対して斜角であってよい。構成要素スパン長さまたはスパンは、構成要素配向に対して垂直であると定義してよい。一例として、1つの表面構成要素は、0.38mmの開きまたはスパンまたは構成要素スパン長さと5.6mmの構成要素行路長さとを有し、主チャネルの中のバルク流れの平均方向と直交する面に対して45度の角度の付いた斜めのくぼみであってよい。行路長さは、最も長い方向の表面構成要素の一端から他端までの距離であってよく、スパンまたは構成要素スパン長さは、最も短い方向(深さでない)であってよい。表面構成要素深さは、主チャネルから離れる距離であってよい。一様でない幅(スパン)を有する表面構成要素の場合、スパンは、行路長さにわたって平均した平均スパンであってよい。
【0285】
表面構成要素は、表面構成要素の基部または表面構成要素の頂部における投影面積にもとづいてくぼみまたは突起を含んでよい。表面構成要素の頂部における面積が表面構成要素の基部における面積以上であるなら、表面構成要素はくぼんでいるとみなしてよい。表面構成要素の基部における面積が表面構成要素の頂部における面積を上回るなら、突起であるとみなしてよい。この記載について、表面構成要素はくぼんでいると記載してよいが、表面構成要素のアスペクト比を変化させることによって反対に突起として定義してよいと理解するべきである。表面構成要素の頂部だけと交差する壁によって定められるプロセスマイクロチャネルの場合、特に平らなチャネルの場合、すべての表面構成要素がくぼんでいると定義してよく、表面構成要素の基部を含む断面を有するチャネルの基部から表面構成要素を突起させることによって同様なチャネルを生み出すことができるであろうことを理解するべきである。
【0286】
プロセスマイクロチャネルおよび/または熱交換チャネルは、少なくとも約20%、一実施態様において少なくとも約35%、一実施態様において少なくとも約50%、一実施態様において少なくとも約70%、一実施態様において少なくとも約90%(長さに対して垂直、すなわちチャネルを通る正味流れ方向に対して垂直な断面中で測定して)の、表面構成要素を含むチャネルの内部表面を有してよい。表面構成要素は、少なくとも約1cm、一実施態様において少なくとも約5cmの連続する行程を覆ってよい。囲まれているチャネルの場合、表面構成要素被覆の百分率は、表面構成要素の基部または頂部のどちらかから一様に延在させた、囲まれているチャネルあるいは中間の一定値と比較した表面構成要素で覆われている断面の部分であってよい。後者は、平らなチャネルであってよい。例えばチャネルがそれぞれさしわたし(幅)0.9cmのパターン化された頂部表面および底部表面と高さ0.1cmのパターン化されていない側壁とを有するなら、チャネルの表面の90%が表面構成要素を含むであろう。
【0287】
プロセスマイクロチャネルは、すべての側において囲まれてよく、一実施態様において、チャネルは、全体として正方形または長方形の断面を有してよい(長方形のチャネルの場合、両方の主面上に表面構成要素パターン形を配置してよい)。全体として正方形または長方形のチャネルの場合、チャネルは、2つまたは3つの側だけにおいて囲まれてよく、上記に記載された百分率表面構成要素の計算において、これらの2つまたは3つの壁に囲まれた側だけを用いてよい。一実施態様において、表面構成要素は、軸方向において一定のまたは変化する断面を有する円筒形チャネルの中に配置してよい。
【0288】
チャネルの1つの面に沿って表面構成要素パターンのそれぞれが繰り返され、チャネルバルク流れ方向の表面構成要素の間の間隔は可変または規則的であってよい。いくつかの実施態様は、各表面構成要素について単一のレッグだけを有してよく、他の実施態様は、複数のレッグ(2、3または4以上)を有してよい。広幅チャネルの場合、チャネルの幅にわたって複数の表面構成要素または繰り返される表面構成要素の列が互いに隣接して配置されてよい。表面構成要素パターンのそれぞれについて、主チャネルのバルク流れ方向に沿ってパターンが繰り返されるとき、構成要素深さ、幅、スパンおよび間隔は可変であってもよく、または一定であってもよい。異なる角度にある2つのレッグを接続する頂点を有する表面構成要素幾何形状は、表面構成要素レッグが頂点において接続されていなくてよい代替実施態様も有してよい。
【0289】
少なくとも一実施態様において、本発明のプロセスの利点は、プロセスマイクロチャネル、任意選択の反応体流チャネル、および熱交換チャネルの間の隙間距離は、プロセスが実験室用であろうと、パイロットプラントスケール用であろうと、完全生産スケール用であろうと同じであってよいことである。その結果、本発明のプロセスにおいて用いられる反応混合物の中への第2の反応体の分散は、マイクロチャネル反応器が実験室に構築されようと、パイロットプラントスケールで構築されようと、フルスケールプラント単位として構築されようと実質的に同じであってよい。
【0290】
触媒は、プロセスマイクロチャネルを通る流れの方向においてプロセスマイクロチャネルの中の別々の反応ゾーンの中に偏在させてよい。各反応ゾーンの中で同じ触媒または異なる触媒、あるいは触媒組成物を用いてよい。各反応ゾーンの中で、1つ以上の隣接する熱交換ゾーン(単数または複数)の長さの寸法を変化させてよい。例えば、一実施態様において、1つ以上の隣接する熱交換ゾーンの長さは、各反応ゾーンの長さの約50%より小さくてよい。あるいは、1つ以上の熱交換ゾーンは、各反応ゾーンの長さの約50%より多くから各反応ゾーンの長さの約100%までの長さを有してよい。
【0291】
触媒は、組成が傾斜しているかまたは熱伝導性不活性材料によって傾斜させた触媒床の形であってよい。熱伝導性不活性材料を活性触媒と散在させてよい。用いてよい熱伝導性不活性材料の例は、ダイヤモンド粉体、炭化ケイ素、アルミニウム、アルミナ、銅、グラファイトおよび類似物を含む。床比率は、100重量%の活性触媒から約10重量%より少ない活性触媒の範囲であってよい。代替実施態様において、熱伝導性不活性材料は、中心または触媒粒子内に配備してよい。活性触媒は、熱伝導性不活性物を含む複合構造体の外側、内側または内部に間欠的に堆積させてよい。得られる触媒複合構造体は、プロセスマイクロチャネルの中に配置されると、少なくとも約0.5W/m/K、一実施態様において少なくとも約1W/m/K、一実施態様において少なくとも約2W/m/Kである実効熱伝導率を有してよい。
【0292】
触媒は、反応器内で局所的にのみ傾斜している触媒床の形であってよい。例えば、プロセスマイクロチャネルは、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンを有する触媒床を含んでよい。触媒床の頂部または底部(あるいは前部または後部)は、組成が傾斜を有し、それによって、第1の反応ゾーンまたは第2の反応ゾーンのすべてまたは一部においてより活性の高い触媒またはより活性の低い触媒を使用してよい。1つの反応ゾーンにおいて低下した組成は、単位体積あたりより少ない熱を発生し、従ってホットスポットを減らし、望ましくない副生物の生産への可能性を減らす。触媒は、第1の反応ゾーンおよび/または第2の反応ゾーンにおいて不活性材料によって全体にまたは一部に傾斜させてよい。第1の反応ゾーンは触媒または不活性材料の第1の組成を含んでよく、第2の反応ゾーンは触媒または不活性材料の第2の組成を含んでよい。
【0293】
一実施態様において、プロセスマイクロチャネルの異なる軸方向長さ領域において異なる粒子サイズを用いて傾斜触媒床を提供してよい。例えば、第1の反応ゾーンにおいて非常に小さな粒子を用いる一方、第2の反応ゾーンにおいてより大きな粒子を用いてよい。平均粒子直径は、プロセスマイクロチャネルの高さまたは隙間の2分の1より小さくてよい。非常に小さな粒子は、プロセスマイクロチャネル高さまたは隙間の4分の1より小さくてよい。大きな粒子ほどプロセスマイクロチャネルの単位長さあたり低い圧力降下の原因となり、触媒有効性も低下させることがある。触媒床の実効熱伝導率は、大きなサイズの粒子ほど低くなることがある。触媒床全体にわたって改善された熱移動が求められる領域においてはより小さな粒子を用いてよく、あるいは、より大きな粒子を用いて局所的な熱発生の速度を低下させてよい。
【0294】
一実施態様において、触媒のために必要な拡散経路を制限することによって、比較的短い接触時間、所望の生成物への高い選択率および比較的低い触媒の活性低下速度を実現することができる。これは、触媒が金属発泡体などの加工担体の上またはプロセスマイクロチャネルの壁の上の薄層の形であるとき実現することができる。これによって、増加した空間速度が可能になる。一実施態様において、触媒の薄層は、化学蒸着を用いて、または溶液中の化学反応、例えば無電解メッキ法によって製造してよい。この薄層は、最大約5ミクロン、一実施態様において約0.1から約5ミクロン、一実施態様において約0.5から約3ミクロン、一実施態様において約1から約3ミクロンの範囲内、一実施態様において約2.5ミクロンの厚さを有してよい。これらの薄層は、拡散経路を小さくすることによって反応体が活性な触媒構造内にある時間を減らすことができる。これは、反応体が触媒の活性な部分の中で費やす時間を減少させる。結果は、増加した生成物への選択率および減少した望ましくない副生物であってよい。このモードの触媒配備の利点は、触媒の活性な部分が不活性な低熱伝導率バインダの中に閉じ込められている従来の触媒と異なり、活性な触媒の膜が加工構造体またはプロセスマイクロチャネルの壁のどちらかと密接に接触することである。これは、マイクロチャネル反応器の中において実現可能な高い熱移動率を活用し、温度の密な制御を可能にすることができる。この結果、望ましくない副生物の形成を促進することなく増加した温度において稼動し(より速い速度)、従ってより高い生産性および収率を生み出し、触媒寿命を長くする能力が得られる。
【0295】
マイクロチャネル反応器構成を調整して反応速度と適合させることができる。例えば、反応器の第1の反応ゾーンの入口または上部の近くのマイクロチャネル高さまたは隙間は反応器の出口または底部に近い第2の反応ゾーン内より小さくてよい。あるいは、これらのゾーンは、反応器の長さの2分の1よりはるかに小さくてよい。例えば、プロセスマイクロチャネルの長さの最初の25%、50%、75%または90%について第1のプロセスマイクロチャネル高さまたは隙間を用いてよく、第1の反応ゾーンから下流の第2の反応ゾーンにおいてより大きな第2の高さまたは隙間を用いてよい。あるいは、異なる構成を用いてよい。例えば、プロセスマイクロチャネルの入口の近くでより大きなプロセスマイクロチャネル高さまたは隙間を用いてよく、反応器出口の近くでより小さなプロセスマイクロチャネル高さまたは隙間を用いてよい。一実施態様において、プロセスマイクロチャネル高さまたは隙間における他の傾斜を用いてよい。例えば、マイクロチャネルの入口の近くで第1の高さまたは隙間を用いて第1の反応ゾーンを提供してよく、第1の反応ゾーンから下流で第2の高さまたは隙間を用いて第2の反応ゾーンを提供してよく、マイクロチャネルの出口の近くで第3の高さまたは隙間を用いて第3の反応ゾーンを提供してよい。第1の高さまたは隙間は第3の高さまたは隙間と同じであっても異なっていてもよい。第1の高さまたは隙間および第3の高さまたは隙間は、第2の高さまたは隙間より大きくても小さくてもよい。第3の高さまたは隙間は、第2の高さまたは隙間より小さくても大きくてもよい。第2の高さまたは隙間は、第3の高さまたは隙間より大きくても小さくてもよい。
【0296】
開口またはアパチャー254(
図10〜14)は、アパチャーセクションを通る水素反応体の流れを可能にするのに十分なサイズであってよい。開口254を細孔と呼んでよい。アパチャーセクション258は、約0.01から約50mm、一実施態様において約0.05から約10mm、一実施態様において約0.1から約2mmの範囲内の厚さを有してよい。開口254は、最大約1000ミクロン、一実施態様において最大約250ミクロン、一実施態様において最大約50ミクロンの範囲内、一実施態様において約0.001から約50ミクロン、一実施態様において約0.05から約50ミクロン、一実施態様において約0.1から約50ミクロンの範囲内の平均直径を有してよい。一実施態様において、開口254は、約0.5から約10ナノメートル(nm)、一実施態様において約1から約10nm、一実施態様において約5から約10nmの範囲内の平均直径を有してよい。アパチャーセクション258の中の開口254の数は、平方センチメートルあたり約1から約5×10
8の開口、一実施態様において平方センチメートルあたり約1から約1×10
6の開口の範囲内にあってよい。開口254は、互いに孤立していても孤立していなくてもよい。開口254の一部またはすべてはアパチャーセクション258内の他の開口254と流体連通していてよい。すなわち、1つの開口から別の開口へ流体が流れてよい。プロセスマイクロチャネル210を通って流れる流体の流路に沿ったアパチャーセクションの長さに対するアパチャーセクション258の厚さの比は、約0.001から約1、一実施態様において約0.01から約1、一実施態様において約0.03から約1、一実施態様において約0.05から約1、一実施態様において約0.08から約1、一実施態様において約0.1から約1の範囲内にあってよい。
【0297】
アパチャーセクション258は、本発明のプロセスの稼動を可能にするのに十分な強度および寸法安定性を提供する任意の材料で構築してよい。これらの材料は、鋼(例えばステンレス鋼、炭素鋼、および類似物)、モネル、インコネル、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、クロム、真ちゅう、任意の前述の金属の合金、ポリマー(例えば熱硬化性樹脂)、セラミック、ガラス、1つ以上のポリマー(例えば熱硬化性樹脂)およびグラスファイバーを含む複合材料、石英、シリコン、カーボンナノチューブまたは炭素モレキュラーシーブを含む微多孔質炭素、ゼオライト、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。開口254は、レーザー穿孔、マイクロエレクトロ機械加工システム(MEMS)、リソグラフィー電着および成形(LIGA)、電気火花処理、あるいは電気化学エッチングまたは光化学エッチングなどの既知の技法を用いて形成させてよい。開口254は、押し出しなどの構造化プラスチックを作るために用いられている技法、または整列したカーボンナノチューブ(CNT)膜などの膜を用いて形成させてよい。開口254は、金属粉体または粒子を焼結または圧縮して蛇行する相互連結毛管チャネルを形成させることおよび膜作製の技法などの技法を用いて形成させてよい。開口254は、アパチャーを部分的に満たすアパチャー内部の側壁上の被覆物の塗布によって、これらの方法のいずれかによって提供されるサイズからサイズを低下させてよい。選択的な被覆物は、多孔質体の外側に薄い層を形成してもよく、この層は連続流路と隣接する最も小さな細孔サイズを提供する。最も小さな平均細孔開口は、エマルジョンのための所望の液滴サイズに応じて約1ナノメートルから約数100ミクロンの範囲内であってよい。アパチャーは、熱処理ならびにアパチャー開口の内部側壁上に酸化物スケールまたは被覆物を形成させる方法によってサイズを低下させてよい。これらの技法を用いてアパチャーを部分的に閉塞させて流れのための開口のサイズを低下させてよい。
【0298】
アパチャーセクション258は、約0.01から約200ミクロンの範囲内の平均細孔サイズの相互接続したチャネルまたは細孔を有する金属多孔質材料または非金属多孔質材料から作ってよい。これらの細孔は、開口254として機能してよい。多孔質材料は、粉体または微粒子から作ってよく、これによって平均細孔間距離は、平均細孔サイズと同様になる。非常に小さな細孔サイズを用いると細孔間距離も非常に小さくすることができる。多孔質材料は、約300℃から約1000℃の範囲内の高い温度における約1時間から約20日間の酸化によって、あるいは表面上および細孔の内部をゾルコーティングによるアルミナまたは化学蒸着を用いるニッケルなどの別の材料の薄層で被覆してより小さな細孔を閉塞させ、より大きな細孔の細孔サイズを減少させ、細孔間距離の方は増加させることによって調整することができる。
【0299】
本発明のプロセスの間のプロセスマイクロチャネルの冷却は、一実施態様において、望ましくないコークスの形成を減らすために有利である。この冷却の結果として、一実施態様において、プロセスマイクロチャネルへの入口へ入る原料流の温度は、プロセスマイクロチャネルを出る生成物の温度の約200℃以内、一実施態様において約100℃以内、一実施態様において約50℃以内、一実施態様において約20℃以内であってよい。
【0300】
水素化分解触媒は、任意の水素化分解触媒であってもよい。これらの触媒は、ベータゼオライト、オメガゼオライト、L−ゼオライト、ZSM−5ゼオライトおよびY−型ゼオライトを含むゼオライト触媒を含んでよい。水素化分解触媒は、1つ以上のピラード粘土、MCM−41、MCM−48、HMSまたはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。水素化分解触媒は、Pt、Pd、Ni、Co、Mo、Wまたはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。水素化分解触媒は、アルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア、ジルコニアおよびシリカ−アルミナなどの耐熱性無機酸化物を含んでよい。水素化分解触媒は、水素化成分を含んでよい。適当な水素化成分の例は、周期表のIVB族およびVIII族の金属およびそのような金属の化合物を含む。水素化成分として、モリブデン、タングステン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウムおよびルテニウムを用いてよい。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,312,586号にこれらの触媒が記載されている。
【0301】
水素化処理触媒は、任意の水素化処理触媒であってよい。水素化処理触媒は、アルミナ上に担持したNi、Mo、Co、Wまたはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。触媒は、Mo−W/Al
2O
3を含んでよい。
【0302】
マイクロチャネル反応器の中で用いられるFT触媒、水素化分解触媒および水素化処理触媒は、プロセスマイクロチャネル内に適合する任意のサイズおよび幾何構成を有してよい。触媒は、約1から約1000μm(ミクロン)、一実施態様において約10から約500μm、一実施態様において約25から約300μm、一実施態様において約80から約300μmの中央値粒子直径を有する固体粒子(例えばペレット、粉体、ファイバーおよび類似物)の形であってよい。一実施態様において、触媒は、固体粒子の固定床の形である。
【0303】
触媒は、固体粒子床の形であってよい。中央値粒子直径は、約1から約1500μm、一実施態様において約10から約500μmの範囲内であってよい。これは、プロセスマイクロチャネル402の中に固体粒子床400が充填されている
図17に示されている。反応体は、矢印404によって示されているようにプロセスマイクロチャネルの中へ流れ、生成物は、矢印406によって示されているようにプロセスマイクロチャネルから流出する。触媒のいたるところで良好な液体分布を促進するマイクロファイバー(例えば触媒床または触媒梱包内および/または触媒で被覆)を用いてもよい。
【0304】
グラファイト発泡体、炭化ケイ素、金属、セラミックを含む触媒粒子を保持するための発泡体および/または被覆された発泡体、および/または高い熱伝導率の被覆物のためのグラフェンの内部被覆物を用いてもよい。
【0305】
触媒は、発泡体、フェルト、詰め物またはそれらの組み合わせなどの多孔質担持構造物の上に担持させてよい。本明細書において用語「発泡体」は、構造体全体にわたって細孔を定める連続壁を有する構造体を指すために用いられる。本明細書において用語「フェルト」は、間に空間を有するファイバーの構造体を指すために用いられる。本明細書において用語「詰め物」は、スチールウールのような絡み合った糸の構造体を指すために用いられる。触媒は、ハニカム構造体の上に担持させてよい。
【0306】
触媒は、流れ方向に平行であり、流れのための対応する隙間を有する、隣接する隙間を有するフェルト、隣接する隙間を有する発泡体、隙間を有するフィン構造体、任意の挿入形基板上のウォッシュコート、またはガーゼなどの側流担持構造体上に担持させてよい。
図18に側流構造体の例が図示されている。
図18において、触媒410は、プロセスマイクロチャネル412の中に含まれている。矢印416および418によって示されるように触媒410と接触してプロセスマイクロチャネル412を通る流体の流れを開いた通路414が可能にしている。
【0307】
触媒は、発泡体、詰め物、ペレット、粉体またはガーゼなどの貫通流担持構造物の上に担持させてよい。
図19に貫通流構造体の例が図示されている。
図19において、貫通流触媒420は、プロセスマイクロチャネル422内に含まれ、流体は、矢印424および426によって示されるように触媒420を通って流れる。
【0308】
貫通流触媒のための担持構造体は、シリカゲル、発泡銅、焼結ステンレス鋼ファイバー、スチールウール、アルミナ、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリスルホネート、ポリ(テトラフルオロエチレン)、鉄、ニッケルスポンジ、ナイロン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンエチルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリブチレン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む材料から形成させてよい。一実施態様において、担持構造物を金属などの熱伝導材料で作って、触媒から離れる熱の伝達を増強してよい。
【0309】
触媒は、プロセスマイクロチャネルの内壁の上に直接ウォッシュコートするか、溶液から壁の上に成長させるか、あるいはフィン構造体または他の担持構造体の上にインサイチュ被覆してよい。触媒は、1個以上の多孔質連続材料の形であってよい。一実施態様において、触媒は、連続材料で構成されていてよく、分子が触媒を通って拡散することができるように連続多孔性を有する。この実施態様において、流体は、触媒の周りではなく触媒を通って流れる。一実施態様において、触媒の断面積は、プロセスマイクロチャネルの断面積の約1から約99%、一実施態様において約10から約95%を占める。触媒は、BETによって測定して約0.5m
2/gより大きな、一実施態様において約2m
2/gより大きな表面積を有してよい。
【0310】
触媒は、多孔質担体、多孔質担体の上の界面層、および界面層の上の触媒材料を含んでよい。界面層は、担体の上に溶液堆積させてもよくまたは化学蒸着または物理蒸着によって堆積させてもよい。一実施態様において、触媒は、多孔質担体、バッファ層、界面層および触媒材料を有する。前述の層のいずれも、スポットまたはドットの形のように、あるいは隙間または孔を有する層の形のように、連続であってもよく不連続であってもよい。
【0311】
多孔質担体は、水銀ポロシメトリーによって測定して少なくとも約5%の多孔度、および約1から約1000μmの平均細孔サイズ(細孔直径の合計を細孔の数で除した商)を有してよい。多孔質担体は、多孔質セラミックまたは金属発泡体であってよい。用いてよい他の多孔質担体は、炭化物、窒化物および複合材料を含む。多孔質担体は、約30%から約99%、一実施態様において約60%から約98%の多孔度を有してよい。多孔質担体は、発泡体、フェルト、詰め物またはそれらの組み合わせの形であってよい。金属発泡体の開いたセルは、1インチあたり約20(ppi)から約3000ppi、一実施態様において約20から約1000ppi、一実施態様において約40から約120ppiの範囲であってよい。用語「ppi」は、インチあたりの細孔の最大数を指す(等方性材料の中では測定の方向に意味はないが異方性材料の中では細孔数が最大となる方向で測定を行う)。
【0312】
バッファ層は、存在するときは、多孔質担体と界面層との両方と異なる組成および/または密度を有してよく、一実施態様において、多孔質担体と界面層との熱膨張係数の中間である熱膨張係数を有する。バッファ層は、金属酸化物または金属炭化物であってよい。バッファ層は、Al
2O
3、TiO
2、SiO
2、ZrO
2またはそれらの組み合わせで構成されてよい。Al
2O
3は、α−Al
2O
3、γ−Al
2O
3またはそれらの組み合わせであってよい。α−Al
2O
3は、優れた酸素拡散への抵抗性という利点を提供する。バッファ層は、2つ以上の組成的に異なる副層で形成させてよい。例えば、多孔質担体が金属、例えばステンレス鋼発泡体であるとき、2つの組成的に異なる副層で形成されたバッファ層を用いてよい。第1の副層(多孔質担体と接触する)は、TiO
2であってよい。第2の副層は、TiO
2の上に配置されたα−Al
2O
3であってよい。一実施態様において、α−Al
2O
3副層は、下にある金属表面の保護を提供する高密度層である。次に、アルミナなどの密度がより小さい、高い表面積の界面層を触媒的に活性な層のための担体として堆積させてよい。
【0313】
多孔質担体は、界面層の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有してよい。そのような場合、2つの熱膨張係数の間を仲立ちするバッファ層が必要なことがある。バッファ層の熱膨張係数は、その組成を調節して多孔質担体および界面層の膨張係数と適合する膨張係数を得ることによって調整してよい。下にある担体の優れた保護を提供するために、バッファ層には開口およびピンホールがない方がよい。バッファ層は、非多孔性であってよい。バッファ層は、多孔質担体の平均細孔サイズの2分の1より小さい厚さを有してよい。バッファ層は、約0.05から約10μm、一実施態様において約0.05から約5μmの厚さを有してよい。
【0314】
本発明の一実施態様において、バッファ層なしで十分な接着強さおよび化学安定性を得ることができる。この実施態様において、バッファ層を省略することができる。
【0315】
界面層は、窒化物、炭化物、硫化物、ハロゲン化物、金属酸化物、炭素、またはそれらの組み合わせを含んでよい。界面層は、高い表面積を提供し、および/または担持触媒のために望ましい触媒−担体相互作用を提供する。界面層は、触媒担体として従来用いられている任意の材料で構成してよい。界面層は、金属酸化物で構成してよい。用いてよい金属酸化物の例は、Al
2O
3、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、酸化タングステン、酸化マグネシウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、ランタン系列酸化物(単数または複数)、ゼオライト(単数または複数)、およびそれらの組み合わせを含む。界面層は、その上に堆積させたそれ以外の触媒的に活性な材料がまったくない触媒的に活性な層として働いてよい。しかし、通常は、界面層は、触媒的に活性な層と組み合わせて用いる。界面層は、2つ以上の組成的に異なる副層で形成させてもよい。界面層は、多孔質担体の平均細孔サイズの2分の1より小さい厚さを有してよい。界面層厚さは、約0.5から約100μm、一実施態様において約1から約50μmの範囲であってよい。界面層は結晶質または非晶質のどちらであってもよい。界面層は、少なくとも約1m
2/gのBET表面積を有してよい。
【0316】
触媒は、界面層の上に堆積させてよい。あるいは、触媒材料は、界面層と同時に堆積させてよい。触媒層は、界面層の上に緻密に分散させてよい。触媒層を界面層「の上に分散させる」または「の上に堆積させる」とは、微視的な触媒粒子を担持層(すなわち界面層)表面の上に、担体層の中の割れ目の中に、および担体層の中の開いた細孔の中に分散させるという従来の理解を含む。
【0317】
触媒は、反応ゾーンの中に配置された固体粒子床の形であってよく、反応ゾーンの1つ以上の内壁は、その上にウォッシュコートした、および/または成長させた追加の触媒を含む。固体粒子床の中の触媒は、反応ゾーンの内壁の上にウォッシュコートした、および/または成長させた触媒と同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0318】
触媒は、プロセスマイクロチャネルの中に配置された1つ以上のフィンまたは他の構造体のアセンブリの上に担持させてよい。
図20〜22に例が図示されている。
図20を参照すると、フィンアセンブリ430は、プロセスマイクロチャネル438の基壁436の上にあるフィン担体434の上に取り付けられているフィン432を含む。フィン432は、フィン担体434からプロセスマイクロチャネル438の内部の中へ突き出している。フィン432は、プロセスマイクロチャネル438の上部壁440の内部表面へ延在しており、これと接触してもよい。フィン432の間のフィンチャネル442は、流体がプロセスマイクロチャネル438を通ってその長さと平行に流れるための通路を提供する。フィン432のそれぞれは、その側面のそれぞれの上に外部表面を有し、この外部表面は、触媒のための担持基材を提供する。本発明のプロセスでは、反応体組成物は、フィンチャネル442を通って流れ、フィン432の外部表面の上に担持されている触媒と接触し、反応して生成物を形成する。
図21に図示されているフィンアセンブリ430aは、フィン432aがマイクロチャネル438の上部壁440の内部表面まで完全に延在しない点を除けば、
図20に図示されているフィンアセンブリ430と似ている。
図22に図示されているフィンアセンブリ430bは、フィンアセンブリ430bの中のフィン432bが台形の形の断面形状を有する点を除けば、
図20に図示されているフィンアセンブリ430と似ている。フィンのそれぞれは、約0.02mmから最大でプロセスマイクロチャネル438の高さ、一実施態様において約0.02から約10mm、一実施態様において約0.02から約5mm、一実施態様において約0.02から約2mmの範囲の高さを有してよい。各フィンの幅は、約0.02から約5mm、一実施態様において約0.02から約2mm、一実施態様において約0.02から約1mmの範囲であってよい。各フィンの長さは、最大でプロセスマイクロチャネル438の長さ、一実施態様において最大約10m、一実施態様において約0.5から約10m、一実施態様において約0.5から約6m、一実施態様において約0.5から約3mの任意の長さであってよい。フィンのそれぞれの間の隙間は、任意の値であってよく、約0.02から約5mm、一実施態様において約0.02から約2mm、一実施態様において約0.02から約1mmの範囲であってよい。プロセスマイクロチャネル438の中のフィンの数は、プロセスマイクロチャネル438の幅の1センチメートルあたり約1から約50フィン、一実施態様において1センチメートルあたり約1から約30フィン、一実施態様において1センチメートルあたり約1から約10フィン、一実施態様において1センチメートルあたり約1から約5フィン、一実施態様において1センチメートルあたり約1から約3フィンの範囲であってよい。フィンのそれぞれは、
図20または21に図示されているように長方形または正方形、あるいは
図22に図示されているように台形の形の断面を有してよい。その長さに沿って見ると、各フィンは、直線、テーパー形、または蛇行構成を有してよい。フィンアセンブリは、プロセスマイクロチャネルが意図している稼動を可能にするのに十分な強度、寸法安定性および熱移動特性を提供する任意の材料で作ってよい。これらの材料は、鋼(例えばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、任意の前述の金属の合金、モネル、インコネル、真ちゅう、ポリマー(例えば熱硬化性樹脂)、セラミック、ガラス、1つ以上のポリマー(例えば熱硬化性樹脂)およびグラスファイバーを含む複合材料、石英、シリコン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。フィンアセンブリは、Fe、Cr、AlおよびYを含む合金などのAl
2O
3形成材料、またはNi、CrおよびFeの合金などのCr
2O
3形成材料で作ってよい。
【0319】
触媒は、マイクログルーブ形担持ストリップによって担持してよい。
図23および24にこれらの担持ストリップの例が図示されている。
図23を参照すると、プロセスマイクロチャネル450は、プロセスマイクロチャネル450の内壁454の上に取り付けられている担持ストリップ452を含んでいる。担持ストリップ452と上部チャネル壁457との間のプロセスマイクロチャネル450内の空間によってバルク流れ領域456が定められている。プロセス流体は、矢印458および460によって示されているようにプロセスマイクロチャネル450を通って流れる。プロセスマイクロチャネル450を通って流れる際に、プロセス流体は、バルク流れ領域456を通って流れ、触媒担持ストリップ452と接触する。触媒は、マイクログルーブ462の中に配置されているマイクロサイズの粒子の形であってよい。担持ストリップ452は、側流担持ストリップである。しかし、プロセス流体の一部は、マイクログルーブ462の中を流れ、触媒と接触することができる。マイクログルーブ462を通るプロセス流体の流れは、前端463および第1の側端464から第2の側端466および後端468への全体的な方向にあってよい。
図24に図示されているプロセスマイクロチャネルは、
図24に図示されているプロセスマイクロチャネル450が対向する内壁454および457と、対抗する内壁のそれぞれの上に取り付けられている触媒担持用担持ストリップ452とを含む点を除けば、
図23に図示されているプロセスマイクロチャネルと似ている。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007−0225532号に、マイクログルーブ形担持ストリップ452の構築および使用に関する追加の詳細を見いだすことができる。
【0320】
表面構成要素を担持触媒と組み合わせて用いて反応体と触媒との間の接触を増強してよい。これは、
図25に示されている。
図25を参照すると、内壁454の上に取り付けられている担持ストリップ452、および反対側の内壁457の中に形成されている表面構成要素470とを有するプロセスマイクロチャネル450。プロセス流体は、矢印472によって示されるようにプロセスマイクロチャネル450を通って流れる。プロセス流体の流れは、プロセス流体が表面構成要素470を通って流れるとき変更される。
図25に図示されている表面構成要素470は、マイクロチャネル壁457の中の半球形くぼみの形である。表面構成要素470によるプロセス流体の流れの変更は、プロセス流体と担持ストリップ452によって担持されている触媒との間の接触を増強する。
【0321】
焼結したセラミック材料または金属材料(例えば1ミクロンのインコネル焼結金属)を用いてマイクロチャネル反応器の中で触媒と接触させるかまたは触媒を担持してよい。焼結材料を固体金属「スリーブ」の内壁に含ませるかまたは取り付け、個々の圧力容器として働かせてもよく、容量/置換のために加えてもよい単位を形成させてよい。焼結金属および/または金属スリーブは、銅、アルミニウムまたはチタンなどの高熱伝導率金属を含んでよい。副アセンブリの中に触媒粒子を載せてもよい。触媒は、溶液コーティング、スラリーコーティング、ゾル−ゲルコーティング、物理蒸着、化学蒸着または無電解メッキを用いて焼結金属上に被覆されてよい。
【0322】
触媒は、再生してよい。これは、プロセスマイクロチャネルを通して再生用流体を流し、触媒と接触させることによって行ってよい。再生用流体は、水素流または希釈水素流、硫化水素(または他の硫黄含有化合物)流または希釈硫化水素(または他の硫黄含有化合物)流、酸素流または酸素含有流、あるいはハロゲンを含有する気体または酸素とハロゲンを含有する気体との混合物を含む流れを含んでよい。ハロゲン化合物は、金属ハロゲン化物および有機ハロゲン化物を含んでよい。希釈媒は、窒素、アルゴン、ヘリウム、メタン、エチレン、二酸化炭素、水蒸気、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。再生用流体は、ヘッダからプロセスマイクロチャネルを通ってフッタへ、またはフッタからプロセスマイクロチャネルを通ってヘッダへ反対方向に流れてよい。再生用流体の温度は、約20から約600℃、一実施態様においては約150から約400℃であってよい。この再生ステップの間のプロセスマイクロチャネル内の圧力は、約0.1から約4MPa、一実施態様において約0.1から約2MPa、一実施態様において約0.1から約0.5MPaの範囲であってよい。プロセスマイクロチャネルの中の再生用流体の滞留時間は、約0.01から約1000秒、一実施態様において約0.1秒から約100秒の範囲であってよい。
【0323】
触媒は、触媒の表面上の炭素質材料を酸化することによって、または水素化によって炭素質材料を除去することによってプロセスマイクロチャネルの中でインサイチュ再生してよい。触媒は、スルフィド化することによって再生してよい。
【0324】
本発明のプロセスを行うために用いられるプラント施設は、複数のプロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器、または1つ以上のマイクロチャネル反応器を含む反応槽を含んでよい。プラント施設の中の他のプロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器または反応槽の中で本発明のプロセスが同時に実行され得る間に、プロセスマイクロチャネル、マイクロチャネル反応器または反応槽の1つ以上の中の触媒を再生してよい。
【0325】
本発明のプロセスは、再生触媒を用いて比較的高い重量毎時空間速度(WHSV)、例えば少なくとも約2hr
−1、または少なくとも約5hr
−1、または少なくとも約10hr
−1で行うことができる。本プロセスは、再生触媒を用いて長い期間、例えば約1000時間を超える期間、安定な稼動条件下で行うことができる。
【0326】
プロセスマイクロチャネルは、バルク流路を有することを特徴としてよい。用語「バルク流路」は、プロセスマイクロチャネル内の開いた通路(連続バルク流れ領域)を指す。連続バルク流れ領域によって大きな圧力降下なくマイクロチャネルを通る速い流体の流れが可能になる。一実施態様において、バルク流れ領域の中の流体の流れは、層流である。各プロセスマイクロチャネル内のバルク流れ領域は、約0.05から約10,000mm
2、一実施態様において約0.05から約5000mm
2、一実施態様において約0.1から約2500mm
2の断面積を有してよい。バルク流れ領域は、プロセスマイクロチャネルの断面の約5%から約95%、一実施態様において約30%から約80%を含んでよい。
【0327】
熱交換流体は、任意の流体であってよい。これらは、空気、水蒸気、液体水、水蒸気、気体窒素、不活性気体を含む他の気体、一酸化炭素、溶融塩、鉱油などの油、気体炭化水素、液体炭化水素、ダウ−ユニオンカーバイド(Dow−Union Carbide)から入手可能なダウサーム(Dowtherm)Aおよびサーミノール(Therminol)などの熱交換流体、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。
【0328】
熱交換流体は、反応体および/または生成物の1つ以上の流れを含んでよい。これは、プロセスマイクロチャネルのためのプロセス冷却および/または反応体のための予熱を提供し、それによってプロセスの総括熱効率を増加させることができる。
【0329】
熱交換チャネルは、吸熱プロセスが行われるプロセスチャネルを含んでよい。これらの熱交換プロセスチャネルは、マイクロチャネルであってよい。熱交換チャネルの中で行われてよい吸熱プロセスの例は、水蒸気改質反応および脱水素反応を含む。約200℃から約300℃の範囲内の温度で起こるアルコールの水蒸気改質は、同じ温度範囲内のエチレンオキシド合成反応などの発熱反応に適している吸熱プロセスの例である。同時吸熱反応を組み込んで改善された吸熱源を提供すると、対流冷却熱流束より大体1桁多い典型的な熱流束を有効にすることができる。
【0330】
熱交換流体は、熱交換チャネルを通って流れるとき、部分相変化または全相変化を行ってよい。この相変化は、対流冷却によって提供される熱除去の他に、プロセスマイクロチャネルからの追加の熱除去を提供することができる。蒸発する液体熱交換流体の場合、プロセスマイクロチャネルから伝達される追加の熱は、熱交換流体によって必要とされる蒸発潜熱からの結果であろう。そのような相変化の例は、部分沸騰を行う油または水などの熱交換流体である。一実施態様において、熱交換流体の最大約50重量%が蒸発してよい。
【0331】
反応体および生成物の気体留分は、反応ゾーンの中を流れ、触媒と接触して最大約100000、一実施態様において最大約10000、一実施態様において最大約100、一実施態様において約10から約100の範囲内、別の実施態様において約0.01から約10の範囲内、一実施態様において約0.1から約5の範囲内の粒子レイノルズ数を生み出してよい。
【0332】
マイクロチャネル反応器の中の熱交換のための熱流束は、マイクロチャネル反応器の中の伝熱壁の表面積の1平方センチメートルあたり約0.01から約500ワット(W/cm
2)、一実施態様において約0.1から約350W/cm
2、一実施態様において約1から約250W/cm
2、一実施態様において約1から約100W/cm
2、一実施態様において約1から約50W/cm
2、一実施態様において約1から約25W/cm
2、一実施態様において約1から約10W/cm
2の範囲であってよい。
【0333】
本発明のプロセスの間のプロセスマイクロチャネルの冷却は、一実施態様において、そのような加えられた冷却がより高い活性化エネルギーを有する望ましくない並行反応からの望ましくない副生物の形成を低下させるかまたはなくすという事実によって、主生成物または所望の生成物への選択率を調節するために有利である。この冷却の結果として、一実施態様において、プロセスマイクロチャネルへの入口における反応体の温度は、プロセスマイクロチャネルの出口における生成物(または生成物と未反応の反応体との混合物)の温度の約20℃以内、一実施態様において約10℃以内、一実施態様において約5℃以内、一実施態様において約3℃以内、一実施態様において約2℃以内、一実施態様において約1℃以内であってよい。一実施態様において、プロセスマイクロチャネルは、等温または実質的に等温の温度プロフィールで稼動させることができる。
【0334】
プロセスマイクロチャネルの中の気体反応体と触媒との接触時間は、約1から約2000ミリ秒(ms)、一実施態様において約10から約1000ms、一実施態様において約100から約500msの範囲であってよい。液体反応体の接触時間は、ホールドアップ時間の関数であり、約1から約20,000ms、一実施態様において約10から約5,000msの範囲であってよい。
【0335】
プロセスマイクロチャネルの中の液体反応体の流れの液体毎時空間速度(LHSV)は、1時間あたりプロセスマイクロチャネルの中の体積の1リットルあたり少なくとも約5リットルの液体反応体(hr
−1)、一実施態様において少なくとも約10hr
−1、一実施態様において少なくとも約15hr
−1、一実施態様において少なくとも約20hr
−1、一実施態様において少なくとも約25hr
−1、一実施態様において少なくとも約30hr
−1、一実施態様において少なくとも約35hr
−1、一実施態様において少なくとも約40hr
−1、一実施態様において約5から約40hr
−1、一実施態様において約10から約40hr
−1、一実施態様において約20から約40hr
−1、一実施態様において約20から約30hr
−1であってよい。
【0336】
原料の中の炭化水素反応体の流れの重量毎時空間速度(WHSV)は、1時間あたり1グラムの触媒あたり少なくとも約5グラムの炭化水素反応体(hr
−1)、一実施態様において少なくとも約10hr
−1、一実施態様において少なくとも約15hr
−1、一実施態様において少なくとも約20hr
−1、一実施態様において少なくとも約25hr
−1、一実施態様において少なくとも約30hr
−1、一実施態様において少なくとも約35hr
−1、一実施態様において少なくとも約40hr
−1、一実施態様において約5から約40hr
−1の範囲内、一実施態様において約10から約40hr
−1の範囲内、一実施態様において約15から約40hr
−1の範囲内、一実施態様において約20から約40hr
−1の範囲内、一実施態様において約20から約30hr
−1の範囲内であってよい。
【0337】
水素化分解プロセスにおいて、約350℃より高い沸点を有する炭化水素から約350℃未満の沸点を有する炭化水素への変換率は、少なくとも約50重量%、一実施態様において少なくとも約55重量%、一実施態様において少なくとも約60重量%、一実施態様において少なくとも約65重量%、一実施態様において少なくとも約70重量%、一実施態様において少なくとも約75重量%、一実施態様において少なくとも約80重量%、一実施態様において少なくとも約85重量%、一実施態様において少なくとも約90重量%であってよい。
【0338】
プロセスマイクロチャネルの中のプロセス流体の平均温度は、約50℃から約500℃、一実施態様において約100℃から約400℃、一実施態様において約200℃から約450℃、一実施態様において約300℃から約400℃、一実施態様において約300℃から約390℃の範囲内であってよい。
【0339】
プロセスマイクロチャネルの中の圧力は、約2から約200バール(0.2から20MPa)、一実施態様において約2から約100バール(0.2から10MPa)、一実施態様において約10から約50バール(1から5MPa)、一実施態様において約15から約40バール(1.5から4MPa)の範囲内であってよい。圧力は、約1.3から約3.5MPaの範囲内であってよい。圧力は、約200から約500psig(1.38から3.45MPa)の範囲内であってよい。
【0340】
プロセス流体がプロセスマイクロチャネルの中を流れるときの圧力降下は、プロセスマイクロチャネルの1フィートの長さあたり最大約25バール(バール/ft)(0.08MPa/cm)、一実施態様において最大約10バール/ft(0.032MPa/cm)、一実施態様において最大約1.5バール/ft(0.005MPa/cm)、一実施態様において最大約1バール/ft(0.0033MPa/cm)、一実施態様において最大約0.5バール/ft(0.0016MPa/cm)の範囲であってよい。
【0341】
プロセスマイクロチャネルの中のプロセス流体の流れは、層流または過渡状態であってよく、一実施態様において、層流であってよい。プロセスマイクロチャネルの中のプロセス流体の流れのレイノルズ数は、最大約10,000、一実施態様において最大約4000、一実施態様において最大約2300、一実施態様において約1から約2000の範囲内、一実施態様において約100から約1500の範囲内であってよい。
【0342】
プロセスマイクロチャネルの中を流れているプロセス気体の空塔速度は、1秒あたり少なくとも約0.01メートル(m/s)、一実施態様において約0.01から約5m/sの範囲内、一実施態様において約0.01から約2m/sの範囲内、一実施態様において約0.01から約1m/sの範囲内、一実施態様において約0.05から約0.5m/sの範囲内であってよい。
【0343】
熱交換チャネルの中の熱交換流体は、約100℃から約800℃、一実施態様において約250℃から約500℃の範囲内の温度を有してよい。熱交換流体とプロセスマイクロチャネルの中のプロセス流体との間の温度の差は、最大約50℃、一実施態様において最大約30℃、一実施態様において最大約10℃であってよい。熱交換チャネルの中の熱交換流体の滞留時間は、約1から約1000ms、一実施態様において約1から約500ms、一実施態様において1から約100msの範囲であってよい。熱交換流体が熱交換チャネルの中を流れるときの圧力降下は、最大約3バール/ft、一実施態様において最大約1バール/ftであってよい。熱交換チャネルの中の熱交換流体の流れは、層流または過渡状態であってよく、一実施態様において、層流である。熱交換チャネルの中の熱交換流体の流れのレイノルズ数は、最大約10,000、一実施態様において最大約4000、一実施態様において最大約2300、一実施態様において約10から約2000の範囲内、一実施態様において約10から約1500であってよい。
【0344】
水素化分解プロセスの間の熱交換の制御は、追加の冷却がより高い活性化エネルギーを有する望ましくない並行反応からの望ましくない副生物の形成を低下させるかまたはなくすことができるという事実によって、所望の生成物への選択率を制御するために有利なことがある。
【0345】
マイクロチャネル反応器100の中のそれぞれの個々の熱交換チャネルの中の圧力は、熱交換チャネルの上流またはチャネルの中の受動構造物(例えば妨害物)、オリフィスおよび/または機構を用いて制御することができる。各熱交換チャネル内の圧力を調節することによって、各熱交換チャネル内の温度を制御することができる。受動構造物、オリフィスおよび/または機構が圧力を所望の圧力へ低下させる場合、各熱交換チャネルのためにより高い入口圧力を用いることができる。各熱交換チャネル内の温度を制御することによって、プロセスマイクロチャネルの中の温度を制御することができる。従って、例えば、プロセスマイクロチャネルと隣接しているかまたは熱接触している熱交換チャネルの中の特定の圧力を使用することによって、各プロセスマイクロチャネルを所望の温度で稼動させることができる。これは、各プロセスマイクロチャネルについて精密に制御された温度の利点を提供することができる。各プロセスマイクロチャネルについて精密に制御された温度の使用は、調整された温度プロフィールの利点およびプロセスのためのエネルギー要求量の全体としての低下を提供する。
【0346】
特定の用途のためのスケールアップデバイスにおいて、プロセス流体の質量をマイクロチャネルの間で一様に分配することが求められることがある。そのような用途は、プロセス流体を隣接する熱交換チャネルによって冷却することが求められるときであってよい。1つの平行なマイクロチャネルから別のマイクロチャネルへ断面積を変化させることによって一様な質量流れ分布を得ることができる。下記に示されるように品質指数因子(Q−因子)によって質量流れ分布の一様性を定義することができる。0%のQ−因子は、絶対一様分布を意味する。
【0348】
断面積の変化は、結果として壁の上のせん断応力の差となることがある。一実施態様において、マイクロチャネル反応器100についてのQ−因子は、約50%未満、一実施態様において約20%未満、一実施態様において約5%未満、一実施態様において約1%未満であってよい。
【0349】
プロセスマイクロチャネルの中を流れるプロセス流体についての自由流気体速度は、少なくとも約0.001m/s、一実施態様において少なくとも約0.01m/s、一実施態様において約0.001から約200m/sの範囲内、一実施態様において約0.01から約100m/sの範囲内、一実施態様において約0.01から約200m/sの範囲内であってよい。
【0350】
本発明のプロセスの利点は、プロセス増強のための可能性を含んでよい。先行技術の従来プロセス(すなわち非マイクロチャネルプロセス)は、多くの場合に、暴走反応を防ぐために反応体希釈の条件下で稼動させるが、本発明のプロセスは、望むなら、より大きなスループットに至るより強い条件下で稼動させることができる。
【実施例1】
【0351】
試験デバイスを用いて本発明のプロセスを行う。
図28に試験デバイスの概略が示されている。試験デバイスは、1/8インチ(0.32cm)の外径を有する内管と1/4インチ(0.64cm)の外径を有する外管とからなる二重管型反応器アセンブリである。内側の0.125インチ管は触媒を含み、管の内径は0.069インチであった。0.125インチ管の外壁と0.25インチ管の内壁との間に形成される環形の中を、液体または蒸気のどちらになることもできるであろう温度調節流体を流すことができる。反応体は、内管の中を流れ、触媒と接触して生成物を形成する。冷媒は、反応体および生成物の流れに対して並流または向流として流れてよいが、本明細書において示される実施例においては、温度調節流体と反応体とは並流として流れる。
【0352】
粒子充填物は、触媒床の上流と下流との両方に置かれた多孔質金属フリット(モットコーポレーション(Mott Corporation)によって供給される40μmの細孔サイズを有する焼結ステンレス鋼)によってデバイスの中に保持される。上流の保持具は、充填物への多相原料の一様な分配を促進するように働く一方、不測の事態において粒子が反応器を離れ、上流へ動くのを防ぐ。下流の保持具は、充填材料の損失を防ぐ一方、デバイスからの生成物の自由な流れを可能にする。下流の保持具は、丸めたステンレス鋼シムを用いて固定される。触媒材料より小さな粒子サイズのシリカ−アルミナ担持材料(活性金属を有しない触媒担体)の短い床が多相原料分配を促進するように働き、意図された反応温度への原料混合物の予熱を可能にする。すべての構成部品は、ステンレス鋼である。現行の実験構成は、充填床を通る流体の下降流れである。
【0353】
触媒の充填床は、最大30インチ(76.2cm)の任意の深さであってよい(冷却管の長さが限界である)。本実施例において、6および18インチ(15.24および45.72cm)の両方の触媒床高さ、ならびに2〜5インチ(5.1〜10.2cm)の前床担持材料が用いられる。床高さが短くなると、炭化水素原料システムは変化させずに重量毎時空間速度(WHSV)を高くすることが実現可能になる。触媒含有管の表面温度は、冷却管に沿って規則的な点に挿入された熱電対(触媒含有管の外壁に触れている)によって測定される。
【0354】
蒸気流と液体流との混合が可能になるように原料ブロックアセンブリが特に設計されている。この目的のために、入口チャネルおよび出口チャネルは、0.013インチ(330μm)の小さな直径を有するように設計されている。小さな直径は、相同士をインターカレーションさせ、従って、液体が側壁に沿って流れ、蒸気が環形の中を流れるとき発生する環形流れに起因する分相とは対照的な、スラグ流を得る可能性を高める。液相および蒸気相は、充填床および/または発泡構造体と接触すると交互し、流路の断面表面にわたる毛管力に応じて均一に分布する。さらに、軸方向流路に垂直な液体原料を導入することによって、蒸気流による界面のせん断(および液滴形成)が容易になる。
【0355】
すべてのデバイス接続は、スウェージロック(Swagelok)圧縮接続器具を用いて行われる。触媒装填プロセスは、粉体過圧縮と圧力降下増加および/または閉塞の可能性を避けるために、触媒装填の前の接続器具の原料ブロックへの慎重な締め込みを必要とする。床およびデバイス装填の精密な配置は、触媒床が完全に温度調節スリーブ内に置かれていることを確かにするために重要である。装填棒を用いて床高さを測定する。
【0356】
すべての反応器にシリカアルミナの前床と触媒床とを装填する。前床長さは、2〜5インチ(5.1〜10.2cm)の間であり、一定の充填密度0.6g/ccを有する。18インチ(45.7cm)の床は、大体0.66gの触媒を含んでいる。
【0357】
図29に、本実施例において用いられる実験装備の概略図が示されている。予め混合された水素と窒素(5モル%)との流れがマスフローコントローラによってこのシステムへ供給される。窒素は、トレーサとして用いられる。蒸気供給流速は、所望の水素対ワックス供給比に応じて20から1000sccmまで変化させることができた。炭化水素ワックスは100℃で溶融させ、高圧二連シリンジISCOポンプによってシステムへ送る。液体原料の流速は、0.001から0.5ccmまで変化させることができた。気体流速は、ドライキャル(DryCal)流量較正装置によって較正する。液体原料速度は、ある時間の間の既知の体積の液体の収集によって確かめる。両方の原料流は、電気抵抗マイクロチャネル予熱装置によって加熱される。反応器の中への150から250℃の温度範囲における送達を確かにするためにこれらの流れの熱追跡も行った。システムの中の温度はK型熱電対によって測定され、圧力は電子式圧力変換器によって監視される。
【0358】
反応器は、生成物出口に置かれた背圧調節装置によって、ある圧力にある。反応器圧力を0から750psigの範囲内で変化させることが可能であった。温度は、反応器アセンブリの周りに置かれた(熱境界条件を設定し、熱損失の影響を最小にするために)電気抵抗クラムシェルセラミックヒーターと予熱された窒素流(温度調節流体として働く)との組み合わせを用いて20から450℃の間で調節される。触媒管の周りの環形の中を窒素温度調節流体が流れることができるようにする。窒素温度調節流体は、マスフローコントローラによって5から100SLPMの間の範囲の速度で独立に計量され、電気抵抗マイクロチャネル予熱装置によって20から450℃の間の範囲の温度へ加熱される。
【0359】
生成物は、冷却され、100℃に保たれているノックアウトドラムコンデンサの中へ送られる。この第1のドラムの中で凝縮した材料は回収され、「重質凝縮生成物」と呼ばれた。プロセス流は、さらに5℃へ冷却され、凝縮した画分は第2のノックアウトドラムの中で回収された。第2のドラムの中で回収された材料は、「軽質凝縮生成物」と呼ばれる。残る気体プロセス流は、アジレント(Agilent)マイクロGC(ガスクロマトグラフ)へ送られる。生成物気体は、水素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、およびペンタンC5からオクタンC8の範囲の炭素数のより大きな炭化水素について分析される。C5以上の蒸気留分について、このGC法は、同じ炭素数のすべての異性体を単一留分として分類した。このGCは、予め混合した気体標準品を用いて定期的に較正される。出口乾燥気体流速は、泡流量計によって測定される。液体生成物が回収されると、質量、密度および軽質から重質までの分割比を直接測定することができた。液体は、GCによって炭素数分布(ASTMD2887、D6352)、イソ/ノルマル分布、およびシミュレーション蒸留(ASTM D29887、ASTMD6352)について分析される。
【0360】
触媒は、グレイス・デビスン(Grace Davison)から得られ、商品記号SiAl3113と86%SiO
2および13%Al
2O
3の組成とを有する担持材料上に合成する。SiO
2−Al
2O
3担体を106〜225μmのサイズ範囲へ篩分する。1.85gのPt(NH
3)
4(OH)
2溶液(9.09%Pt、アルファ(Alfa))を含む溶液を10.95gの水の中に希釈した。得られる混合物を用いて初期湿式技法によって16.60gのSiO
2−Al
2O
3を含浸させる。得られる試料を120℃で1時間乾燥させ、450℃で3時間焼成する。使用の前に、触媒をもう一度106〜225μmの粒子サイズへ篩分する。88〜106μmのサイズ範囲(篩分によって定められる)を有する担体粒子を回収して触媒床前充填材料(触媒床の前に置かれる材料)として用いる。
【0361】
マルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer)を用いる光散乱法によって粒子サイズを評価する。不活性充填材料および触媒材料についての粒子サイズ分析の結果が
図32に示され、それぞれ100および140μmの平均粒子サイズを示している。
図33に、触媒の顕微鏡像が示されている。これらは、127μmのオーダーの若干小さな寸法を示している。顕微鏡像から求めた粒子の真球度(同じ体積を有する球の表面積に対する粒子の表面積の比)の推定値は、0.7から0.9の範囲である。
【0362】
稼動の前に、触媒活性化をインサイチュで実行する。充填床を通して95モル%水素、5モル%窒素流を一定の流速で流す。反応器温度を周囲温度から400℃まで1℃/分で昇温する。温度を400℃に少なくとも4時間維持した後、意図した稼動条件の平衡に床が達することが可能になる。
【0363】
表にし、プロットした運転についての反応器性能を、反応率、選択率、収率および水素の消費によって測定する。以下の式に、これらの用語のための定義が示されている。適切な反応率で比水素消費を計算し、sccmによって水素および炭素の質量流速を表す。
【0364】
【数2】
【0365】
炭素数分布から反応率、選択率および収率(反応率基準)を計算した。本明細書における記載を目的として、ディーゼル留分は10から22の炭素原子を有する(10および22を含む)炭化水素を含み、この炭素数範囲は、175℃から370℃の範囲の沸点に対応するとして定義される。ディーゼル留分のためのこれらの沸点範囲指定は、アルカン沸点とその炭素数との関係を提示する
図35dにもとづいている。
【0366】
フィッシャー・トロプシュ(FT)ワックスを用いて水素化分解プロセス試験運転に原料供給する。原料の定期的なサンプリングによって試験運転の期間にわたる炭素数分布の変化が
図41に示されるように明らかになる。表4〜7に示されている試験運転は、表2および3に示されている試験運転において用いられている原料より高い分子量の留分を有する原料を用いている。この変化は、生成物の絶対濃度プロフィールに影響を及ぼすことがあり、選択率および反応率を含むいくつかの性能評価値において反映されている。収率による性能測定値は、これらの変動を考慮に入れ、反応器および原料をまたぐ比較が可能になる。原料変化の認識に続いて、残っている原料バッチのコア試料を試験する。
図41はこれらの結果を報告し、残っている原料試料の首尾一貫性の検証が可能になる。
【0367】
試験運転の動作パラメータは、炭化水素反応体としてワックスの形のFT合成生成物を用いてより低コストの代替法への典型的な水素化分解動作限界、すなわち、より高い重量および液体毎時空間速度、より低い動作圧力およびより低い水素対ワックス原料比のいくつかを満たし、超えるように選ばれる。
【0368】
8つの試験運転を用いる。便宜上、これらを異なる反応器として特定し、反応器を、反応器Aおよび反応器1〜5とする。反応器Aには不活性なシリカアルミナを充填する。反応器1〜5には不活性なシリカアルミナの前床と触媒床とを充填する。反応器1〜5の中の触媒は未使用触媒である。すなわち、これらの触媒は、それ以前に使用されたことがない。不活性な床の長さは、2〜5インチ(5.1〜10.2cm)の間であり、充填密度は0.6g/ccで一定である。18インチ(45.7cm)の床には0.66gの触媒を用い、6インチ(15.2cm)の床には0.22gを用いる。充填密度は、0.6g/ccで一定に保つ。反応器3および4の中の触媒は、最初の試験運転後に再生され、次に再生触媒を用いて追加の試験運転を行う。
【0369】
反応器Aにアルミナ粒子を装填し、基本性能の概観を提供するために用いる。床の長さは、21インチ(53.3cm)である。
【0370】
反応器1は、18インチ(45.7cm)の触媒床長さを有する。反応器1を用いてシステム試運転を完了させ、比較的標準的な条件ならびに若干高くした原料流速における触媒水素化分解機能の予備的な確認を可能にする。
【0371】
反応器2を用いて増加させた原料流速および比較的標準的な圧力、温度および水素/ワックス原料比における反応器の機能を確認する。触媒床の長さは、6インチ(15.24cm)である。
【0372】
反応器3は、高い原料流速ならびに、低下させた稼動圧力および水素/ワックス原料比および基準条件に対して増加させた動作温度を含むさまざまなプロセス変化のために用いる。触媒床の長さは、6インチ(15.24cm)である。
【0373】
反応器4は、基準条件において、および顕著に低い水素/ワックス原料比および圧力を含む代替パラメータセットにおいて用いられる。触媒床の長さは、6インチ(15.24cm)である。
【0374】
反応器5は、基準条件において、およびより低い重量毎時空間速度(WHSV)において稼動させる。触媒床の長さは、6インチ(15.24cm)である。
【0375】
基準条件は、以下の通りである。
30hr
−1重量毎時空間速度(WHSV)
370℃の定格温度
500psig(3.45MPa)の定格圧力
1500:1sccm/ccmのH
2対ワックス体積比
【0376】
結果は、高いWHSVの点で測って増強されている性能と、標準的な工業稼動の実際について典型的であるものより1桁大きな反応器生産性とを示している。
【0377】
稼動の間のコーキングまたは目詰まりを防ぐために、低い上流ワックスライン温度(300℃より低い)が有用である。
【0378】
結果は、以下の稼動範囲が有用であることを示している。
300〜390℃の温度
200〜500psig(1.38〜3.45MPa)の圧力
300〜1500:1sccm/ccmのH
2対ワックス体積比
【0379】
反応器Aを用いて空試運転の試験運転を実行する。この予備的な試験運転を用いて、試験される二相系についての空機能性を評価し、物質収支が合うことを確実にする。200℃の反応器、500psig(3.45MPa)の原料圧力、1500:1sccm/ccmのH
2:ワックス原料比、および2hr
−1のワックスWHSVを用いて流れ運転を実行すると100.7重量%の総括物質収支となる。
【0380】
以下の表1〜5に、反応器1〜5についての結果が提供されている。さらに、追加の試験運転において、反応器3の中の触媒を再生し、この試験運転についての結果は、表6に示されている。同様に、反応器4の中の触媒を再生し、結果は、表7に示されている。
【0381】
【表1】
【0382】
【表2】
【0383】
【表3】
【0384】
【表4】
【0385】
【表5】
【0386】
【表6】
【0387】
【表7】
【0388】
反応器運転の間の首尾一貫性を確実にするために、稼動の前に低温流れ圧力降下(25℃において100%窒素気体)を測定する。いくつかの供給速度で反応器を通して窒素を流すことによって低温流れ圧力降下を評価する。エルグン(Ergun)方程式と、真球度、前床材料のための平均粒子直径および平均(Dp(50))触媒直径粒子の一定値とを用いて床空隙率を推定する。予測圧力降下と測定圧力降下とが一致するまで空隙率を調整する。
図34に、反応器1〜3についての測定結果および推定値がプロットされている。表8に、推定値に対応する空隙比率が要約されている。
図33に示されている顕微鏡像から粒子真球度を推定する。結果は、繰り返し可能な反応器充填を示している。
【0389】
【表8】
【0390】
グレイソン・ストリード(Grayson−Streed)気液平衡方程式を用いるケムキャド(ChemCAD)フラッシュモデルを用い、0.88のαを有するFT生成物炭化水素分布を液体原料として仮定して、触媒反応器入口における蒸気/液体体積比(相分布)の2つの推定値を求めた。C
36より高い分子量を有するすべての物質は、C
36質量留分に含ませる。より高い分子量原料をC
36留分の中へ分類すると、液相留分の過小予測につながると予測される。表9は、予測値を要約し、本実験における条件の範囲下で、反応は、3相系を含むことを示している。
【0391】
【表9】
【0392】
考慮される実験事例についての原料試料および生成物試料を分析してシミュレーションした蒸留曲線およびイソ/ノルマル炭素数分布を得る(重質および軽質生成物留分についての結果を加えてそれらの質量留分に従って全体としての生成物プロフィールを計算する。蒸気生成物流の組成および質量は計算に含めない)。
図35a、bおよびcに結果の一部が示されている。イソ/ノルマル分布は、曇点の低下および生成物の流れ特性の改善に寄与する可能性が高い大きな異性体留分を生み出す水素化分解の有効性をさらに強調する。より低いWHSVにおいて、すべての炭化水素は、ノルマルより高い異性体の生成物分布を示している。WHSVが増加すると、高い分子量の生成物ほど大きな異性化の度合いを示している。シミュレーションした蒸留結果および炭素数分布を用いて触媒床事例のそれぞれについてディーゼルへの変換率およびディーゼル収率を計算し、その結果は
図35a、bおよびcに示されている。これらは、表10に要約されている。
【0393】
【表10】
【0394】
表2における反応器2についての結果は、高い原料流速および標準的な圧力、温度および水素/ワックス原料比における反応器性能を示している。これらの運転は、プロセス出力に対するWHSVの影響を示している。参照しやすくするために、反応器2について運転の期間にわたる運転条件、性能指標および比水素消費が
図42にプロットされている。この運転についての唯一の変数はワックスWHSVなので、性能指標は、
図43においてWHSVに対してもプロットされている。これらの図が示しているように、すべての他の条件を一定にしてワックスWHSVを10から20hr
−1へ増加させると、反応率は若干減少するが、反応率(L)基準と全量(R)基準との両方で測定して、増加したディーゼルへの選択率と増加したディーゼル収率とが得られた。ワックスをさらに増加させて20から30hr
−1のWHSVの原料速度を得ると、反応率はさらに減少するが、増加したディーゼルへの選択率が得られる。
図42にプロットされているより低いWHSVにおける増加した比水素消費指標は、オーバーケーキングの観測を支持する。
【0395】
WHSVを変化させることの影響は、
図35bに示されている生成物および供給の炭素数分布をプロットすることによっても見ることができる。増加した流速は、増加した水素化分解を生じ、分布をより低い炭素数の方へ移動させる。全体として、生成物プロフィールを原料プロフィールと比較することによって明らかにされるように、顕著な水素化分解が起こる。
図35cは、これらの運転についてのシミュレーションした蒸留プロフィールも示し、傾向は、
図35bに関する結論を補強している。
図44に、凝縮した生成物留分についてのイソ/ノルマル分布プロフィールのプロットが示されている。これは、ほとんど完全にノルマルの原料が、水素化分解のプロセスにおいて顕著な異性化を行うことを明らかにしている。WHSVを増加させると、異性化の度合いの減少となるように見える。水素化分解生成物の中にオレフィンが存在する(
図45)。ノルマルに対する異性体の比の場合のように、オレフィン留分は炭素数の増加とともに増加し、WHSVに反比例する。炭素数がより大きな場合の増加した異性体およびオレフィン含有率は、ワックスのより高い分子量留分について既知の優先的な吸着および水素化分解のありそうな反映である。
【0396】
反応器5についての結果(
図46)は、場合によっては定常の反応器性能を得るために数日が必要になることがあることを示している。一般に、このならし期間は無視され、このタイムオンストリーム(TOS)の後の稼動は「平衡化」運転と呼ばれる。初めの期間を無視すると、傾向を見ることができ、
図47に示されるように反応器5の性能と反応器2の性能との比較が可能になる。同じWHSVについて、2つの反応器は、同様な選択率および収率の値を示している。WHSVの関数としての反応率傾向も、反応器5の方が低い反応率となっているが、非常に似ている。反応率における急変は、
図41に示されているように、原料組成における差によるものと考えることができる。
図46に示されているように、原料組成の差のために、反応器の間で水素消費は直接比較可能でないことがある。しかし、より低いWHSVにおける定常運転については増加した消費は明らかである。消費されるより顕著に多くの水素が供給される。
【0397】
WHSV効果は、
図48に示されている反応器5の平衡化事例についての炭素数分布を見ることによっても明らかにされる。
図49および50にそれぞれ示されているイソ/ノルマル比およびオレフィン/パラフィン比のプロフィールも、2つのWHSVについてのオレフィンプロフィールはほとんど完全に一致しているが、反応器2について見られるのと同じ傾向を示している。
図48〜50において、以下の略号を用いて試験試料を特定している。
5A:反応器5、試料A、表5
5C:反応器5、試料C、表5
5D:反応器5、試料D、表5
5E:反応器5、試料E、表5
5F:反応器5、試料F、表5
【0398】
図51に、表3における反応器3についての稼動の期間にわたる運転条件および対応する性能指標が時間の関数としてプロットされている。この反応器の稼動の期間にわたって広い範囲の条件が運用される。反応器3は、その稼動の最初の部分については同じ条件で稼動するシステムの長期挙動を示している。稼動の最初の部分の後に行われた稼動上の変化は、原料組成の変化と一致している。
図52に、平衡化事例についての炭素数、イソ/ノルマル分布およびオレフィン/パラフィン分布がプロットされている。
図52において、以下の略号を用いて試験試料を特定している。
3A:反応器3、試料A、表3
3B:反応器3、試料B、表3
3C:反応器3、試料C、表3
3D:反応器3、試料D、表3
3E:反応器3、試料E、表3
これらの値のほとんど厳密な一致は、妥当に長い期間にわたる安定かつ首尾一貫した稼動を示している。
図51に示されているように、比水素消費は、安定な稼動期間にわたって首尾一貫し、初期のH
2/ワックス供給比の減少の後、ほぼ同じ値を保っている。
【0399】
図53に、反応器3について再生触媒の場合に表6に示されている運転条件および対応する性能指標が時間の関数としてプロットされている。条件は稼動の持続期間の間一定に保たれ、性能は、スタートアップの期間にわたって向上するが、約250時間(約10日)の稼動の後に中間レベルに落ち着くことが分かる。
図53にプロットされている一貫性のある比水素消費によって、運転の一貫性が疑いなく明らかにされている。
【0400】
図55に、反応器3について新しい触媒と再生触媒との場合の生成物分布の差が示されている。これらの特定の差は、再生反応器のためのより重質の原料によるものである可能性が非常に大きい。
図55において、以下の略号を用いて試験試料を特定している。
3A: 反応器3、試料A、表3
3B: 反応器3、試料B、表3
3C: 反応器3、試料C、表3
3D: 反応器3、試料D、表3
3E: 反応器3、試料E、表3
R3A:反応器3、再生触媒、試料A、表6
R3B:反応器3、再生触媒、試料B、表6
R3C:反応器3、再生触媒、試料C、表6
R3D:反応器3、再生触媒、試料D、表6
【0401】
図54に示されている未使用反応器と再生反応器とについての性能を重ね合せると、原材料の変化によるものである反応率および選択率の差にもかかわらず、安定稼動となった後の反応器について一貫性のある収率を示している。
【0402】
より穏やかな条件下のマイクロチャネルプロセス処理の利点を検証するために、30
−1hrという比較的高いLHSVで実行される表3から、稼動圧力およびH
2/ワックス比を運転3E、3Fおよび3Gに示されているように変化させる。最初(運転3Eの場合)、反応器は、500psig(3.45MPa)および1500:1のH
2:ワックス比で稼動させる。他のプロセス条件を一定に保ちながらH
2:ワックス比をまず356:1(運転3F)へ下げ、次に、動作圧力を325psig(2.24MPa)(運転3G)へ減少させる。これらの顕著に穏やかになった稼動条件にもかかわらず、全体としてのプロセス性能は、炭素数導出反応率およびディーゼル収率によって明らかにされるように、影響を受けないままである。相対水素消費も実質的に不変のままであり、これらの広く異なるプロセス条件下で同様な生成物の組みを示している。これは、生成物についての変らないイソ対ノルマル比によってさらに明らかにされている。高いLHSV稼動においてもより低い圧力およびH
2:ワックス比においてプロセス性能を維持するマイクロチャネル反応器の能力は、マイクロスケールにおける優れた熱移動および物質移動によると考えることができる。
【0403】
図56に、反応器4についての稼動の期間にわたる運転条件および対応する性能指標が時間の関数としてプロットされている。この反応器は、最初、基準条件において運転された後、WHSVおよび水素/ワックス比を低下させる。性能指標によると、これらの変化の影響は、反応率は定常的かつ非常に緩やかな低下を開始するようであるが、最後の、より急激な性能劣化までほとんど認識できない。
図56によって明らかにされるように、顕著に減少した比水素供給は、比水素消費に影響を及ぼさない。
図57に、平衡化運転(どちらの条件でも最初の点および運転の最後の点を除外する)についての炭素数、イソ/ノルマル分布およびオレフィン/パラフィン分布プロフィールが示されている。
図57において、以下の略号を用いて試験試料を特定している。
4A:反応器4、試料A、表4
4B:反応器4、試料B、表4
4D:反応器4、試料D、表4
4E:反応器4、試料E、表4
4F:反応器4、試料F、表4
これらも非常にわずかな変化を示している。WHSVおよびH
2/ワックス原料比を減少させると、炭素数は高くなるが増加した異性体/ノルマル比およびオレフィン/パラフィン比となる。
図57において、尖った部分の位置に変化の明白な徴候はない。
【0404】
図58に、触媒の再生の後の反応器4についての稼動の期間にわたる運転条件および対応する性能指標が時間の関数としてプロットされている。反応器4を用いて、5hr
−1という低いWHSV、それぞれ300psig(2.07MPa)および340℃という低い原料圧力および温度を用いることを含む広い条件範囲が評価されている。これらは、30hr
−1のWHSV、370℃の温度、500psig(3.45MPa)の圧力および1500:1sccm/ccmのH
2/ワックス比において稼動することを含んでいる。
図58に示されているように、WHSVを5hr
−1へ下げると、生成物はより短い炭化水素鎖へ大部分が水素化分解されるので、重質留分の完全な反応率およびディーゼルへの非常に低い収率が得られる。
図58に示されている比水素消費の増加によって過度の分解が明らかにされている。圧力を500から300psig(3.45から2.07MPa)へ減少させると、若干の性能改善となる。H
2/ワックス原料比を1500から1250へ減少させると若干の性能劣化となる。H
2/ワックス原料比を低下させると、無色の生成物が黄色味をおびた色合いへ変化する。この黄色味をおびた色合いは、高いH
2/ワックス比条件へ戻しても失われない。
【0405】
ユニバーサルテクノロジーコーポレーション(Universal Technology Corporation)による2008年9月の報告(シー・エー・モーゼス(C.A.Moses)、CRCプロジェクト(Project)第AV−2−04a号、米国空軍研究所契約(U.S.Air Force Research Laboratories Contract)第F33415−02−D−2299号)から引用される
図59および60に示されているように、許容される合成ジェット燃料は、広い範囲のパラフィン分布を有することができる。いくつかの研究により、水素化分解生成物の品質とイソおよびノルマルパラフィン含有率および分布との間の見かけの関係が特定された。重質留分と軽質留分とをブレンドして表11に特定されている分布を得ることは、許容されるディーゼル生成物を提供するために有用なことがある。より長鎖の生成物の場合には異性体含有率が高いと流れ特性が増強されることがある。より低鎖の留分の場合には異性体含有率を低くするとより高いセタン価が伴うことがある。
【0406】
【表11】
【0407】
表11からの尺度を用い、上記の試験運転からの生成物についての結果をプロットして問題となるディーゼル留分についてのイソ/ノルマル比プロフィールを示す。表2〜7からの未使用触媒を使用する反応器2〜5ならびに再生触媒を使用する反応器3および4について、これらの結果が
図61に示されている。データは、各反応器について運転条件との直接の比較ができるようにタイムオンストリーム(TOS)の関数として提示されている。
【0408】
低温流れ圧力降下(差によって測定されている)は、広いバラツキを示す。
図62に、これらが示されている。再生するとこの値が減少するようである(再生反応器3および4の両方について)が、変化の度合いははっきりしない。繰り返し反応器アセンブリは、原料ブロックと反応器管とのつなぎ込みに配慮および注意が必要であることを示した。これは、管のスウェージロック操作時に上流Mottフィルタを圧縮しすぎると測定される圧力降下が増加するからである。反応器4および5はこの点に配慮して組み立てられ、一貫性があり、他のアセンブリより低い圧力降下を有する。
【0409】
2つの生成物試料の物理的蒸留は、シミュレーションした蒸留結果と物理的蒸留結果との間の一致を示している。ディーゼル留分についての曇点測定値は、−10℃以下である。表12は、これらの特性評価の結果を列挙している。後の分析のための曇点測定値は、ASTM法によって得られず、控え目である(ASTMプロトコルによって測定すると低くなる)と考えられる。
【0410】
【表12】
【0411】
水素化分解反応とともに、水素化脱芳香族反応および水素化脱酸素反応を行うマイクロチャネル反応器の能力を、前に記載されているものと同じ実験装置および触媒を用いて評価する。約89重量%のC24(テトラコサン)、約10重量%のナフタレンおよび約1重量%のC14−OH(テトラデカノール)を含む模擬原料を用いる。上記に記載されている反応器に約0.23gの触媒を6インチ(15.2cm)の床長さにわたって充填する。
【0412】
370℃の温度、500psig(3.45MPa)の圧力、1500:1のH
2:ワックス比で、ワックス(模擬原料)流速を5hr
−1から20hr
−1のLHSVまで変化させて2つの試験運転を行う。反応の間、C24は、より低い分子量の炭化水素へ水素化分解される。原料中のナフタレンは水素化されてテトラリンおよびデカリンとなり、これらが今度は開環(水素化分解)またはより低分子量の生成物への分解を行うことができる。他方、テトラデカノールは、酸点上に吸着し、脱酸素してオレフィンおよび水を形成すると予測される。
【0413】
生成物の分析は、検討されているプロセス条件下のナフタレンおよびテトラデカノールの完全な反応率を示している。生成物試料の中にナフタレンの水素化誘導体、すなわちテトラリン(1方の環が飽和)およびデカリン(両方の環が飽和)が見られる。テトラリンに対するデカリンの高い比は、試験されている条件下の芳香族化合物の飽和の容易さを示している。結果は、ワックス原料の重量毎時空間速度を増加させると、原料中の未変換C24の量によって明らかにされるように、分解プロセスを上回る優先的な脱酸素および脱芳香族を実現することができることも示している。この反応において変換されずに残るnC
24の部分は、生成物中の非常に高い異性体対ノルマル比を示している。特に、20hr
−1のWHSVの場合には、生成物中のi−C
24対n−C
24比は、大体7である。下記の表13aは、これらのデータを要約している。
【0414】
【表13a】
【0415】
図79は、上記で考察されている試料についての炭素数分布を示している。より高いWHSVを用いる試料2は、反応からの未変換C24に対応するピークを示している。両方の試料が脱酸素したテトラデカノールから生じ、この反応においてオレフィンへ変換され、飽和する、C10炭素数により近いピークを示している。
【実施例2】
【0416】
260ミクロンの中央値粒子サイズおよび50重量%の全コバルト担持率を有するフィッシャー・トロプシュ触媒をマイクロチャネル反応器の中で用いる。個々のマイクロチャネルは、0.125かける0.0375かける7.375インチ(3.175mm×0.95mm×18.73cm)の定格寸法を有する。反応器は、2つの層に配備されている合計272のプロセスマイクロチャネルを有する。個々のマイクロチャネルのそれぞれを6.66インチ(16.92cm)のレベルまで触媒で満たすことを目標とし、入口側のチャネル長さの残部を炭化ケイ素で満たす。床密度(充填見かけ床密度またはPABD)は、この触媒材料について外部で測定されている1.08g/ml(表13b参照)と比較すると、マイクロチャネルの中に充填されて1.07g/mlである。反応器をオンライン状態とし、350psig(24.1バール)の入口圧力および平均210℃の冷却媒温度で稼動させる。原料気体は、水素、一酸化炭素および窒素からなる。水素対COモル比は2:1であり、原料は16.5モル%窒素を含む。全流量は、27.7SLPMであり、290msの接触時間と等価である。
【0417】
COの反応率は70%を上回り、メタンへの選択率は8.9%の範囲内にある(
図40参照)。定常状態に達すると、プロセス圧力降下は圧力変換器の分解能の範囲内で1.40psi(9.65キロパスカル)において安定し、タイムオンストリームに伴って反応率が低下すると若干上昇する。スラグ流発生または気泡発生の徴候は検出されない。表13に示されるように、気体流れだけ(触媒床中に液体がない)の場合の圧力降下は予測値より高い。FT反応器についての入口圧力および出口圧力ならびに圧力降下が
図39に示されている。タイムオンストリーム(TOS)の関数としての圧力降下が
図40に示されている。
【0418】
【表13b】
【0419】
【表14】
【0420】
さまざまな実施態様と関連させて本発明を説明してきたが、本明細書を読めばそれらの実施態様のさまざまな変更形が当業者に明らかとなることを理解するべきである。従って、本明細書に開示されている本発明は、そのような変更形を添付の請求項の範囲に属するとして包含するものとされることを理解するべきである。