特許第5715609号(P5715609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715609スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715609
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20150416BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20150416BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20150416BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20150416BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20150416BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20150416BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20150416BHJP
   C08K 5/3437 20060101ALI20150416BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20150416BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20150416BHJP
   B60C 9/20 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   C08L21/00
   C08K3/06
   C08K3/22
   C08K3/08
   C08K5/09
   C08K3/04
   C08L91/00
   C08K5/3437
   C08K3/36
   B60C1/00 C
   B60C1/00 Z
   B60C9/20 K
   B60C9/20 L
【請求項の数】24
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-228105(P2012-228105)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-80475(P2014-80475A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2014年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 達也
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−115642(JP,A)
【文献】 特開2011−190409(JP,A)
【文献】 特開昭63−020346(JP,A)
【文献】 特開2008−291173(JP,A)
【文献】 特開2009−013219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、
酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、
ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部であるスチールコード被覆ゴム組成物。
【請求項2】
ゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積が60〜120m/g、窒素吸着比表面積/ジブチルフタレート吸油量の比率>0.95を満たすカーボンブラックを30〜70質量部含む請求項1記載のスチールコード被覆ゴム組成物。
【請求項3】
前記ゴム成分100質量部に対して、プロセスオイルの含有量が2.5質量部以下である請求項1又は2記載のスチールコード被覆ゴム組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分100質量部に対して、1級アミンの含有量が0.7質量%以下のキノリン系老化防止剤を0.5〜3質量部含む請求項1〜3のいずれかに記載のスチールコード被覆ゴム組成物。
【請求項5】
シリカを含む請求項1〜4のいずれかに記載のスチールコード被覆ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したスチールコード被覆部材有する空気入りタイヤ。
【請求項7】
鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、
酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、
ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部であるブレーカーエッジストリップ用ゴム組成物。
【請求項8】
ゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積が60〜120m/g、窒素吸着比表面積/ジブチルフタレート吸油量の比率>0.95を満たすカーボンブラックを30〜70質量部含む請求項7記載のブレーカーエッジストリップ用ゴム組成物。
【請求項9】
前記ゴム成分100質量部に対して、プロセスオイルの含有量が2.5質量部以下である請求項7又は8記載のブレーカーエッジストリップ用ゴム組成物。
【請求項10】
前記ゴム成分100質量部に対して、1級アミンの含有量が0.7質量%以下のキノリン系老化防止剤を0.5〜3質量部含む請求項7〜9のいずれかに記載のブレーカーエッジストリップ用ゴム組成物。
【請求項11】
シリカを含む請求項7〜10のいずれかに記載のブレーカーエッジストリップ用ゴム組成物。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したブレーカーエッジストリップを有する空気入りタイヤ。
【請求項13】
鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、
酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、
ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部であるブレーカークッション用ゴム組成物。
【請求項14】
ゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積が60〜120m/g、窒素吸着比表面積/ジブチルフタレート吸油量の比率>0.95を満たすカーボンブラックを30〜70質量部含む請求項13記載のブレーカークッション用ゴム組成物。
【請求項15】
前記ゴム成分100質量部に対して、プロセスオイルの含有量が2.5質量部以下である請求項13又は14記載のブレーカークッション用ゴム組成物。
【請求項16】
前記ゴム成分100質量部に対して、1級アミンの含有量が0.7質量%以下のキノリン系老化防止剤を0.5〜3質量部含む請求項13〜15のいずれかに記載のブレーカークッション用ゴム組成物。
【請求項17】
シリカを含む請求項13〜16のいずれかに記載のブレーカークッション用ゴム組成物。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したブレーカークッションを有する空気入りタイヤ。
【請求項19】
鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、
酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、
ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部であるコード隣接ストリップ用ゴム組成物。
【請求項20】
ゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積が60〜120m/g、窒素吸着比表面積/ジブチルフタレート吸油量の比率>0.95を満たすカーボンブラックを30〜70質量部含む請求項19記載のコード隣接ストリップ用ゴム組成物。
【請求項21】
前記ゴム成分100質量部に対して、プロセスオイルの含有量が2.5質量部以下である請求項19又は20記載のコード隣接ストリップ用ゴム組成物。
【請求項22】
前記ゴム成分100質量部に対して、1級アミンの含有量が0.7質量%以下のキノリン系老化防止剤を0.5〜3質量部含む請求項19〜21のいずれかに記載のコード隣接ストリップ用ゴム組成物。
【請求項23】
シリカを含む請求項19〜22のいずれかに記載のコード隣接ストリップ用ゴム組成物。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したコード隣接ストリップを有する空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物、及びこれらを用いた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物(特に、スチールコード被覆用ゴム組成物)には、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性等の性能をバランスよく改善することが求められている。
【0003】
このような性能の改善法として、例えば、破断特性に優れた天然ゴムと、変性ブタジエンゴムや1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴムなどの合成ゴムをブレンドする方法も提案されているが、ポリマーの分散性が悪い場合、破断時伸びやスチールコードとの接着性が低下するおそれがある。
【0004】
更に特許文献1には、フェノール樹脂などを使用することが記載されているが、良好な操縦安定性が得られるものの、スチールコードとの接着性、加工性については改善の余地がある。このように、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性をバランスよく改善する点については未だ改善の余地がある。
【0005】
一方、スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物(特に、スチールコード被覆用ゴム組成物)には、通常、可溶性硫黄として溶解できる量よりも多い量の硫黄が、不溶性硫黄として配合されている。そして、配合された不溶性硫黄のうち80質量%以上の硫黄は、ゴム練り加工を経ても、可溶性硫黄に転移せず、粒子状でゴム中に浮遊していたり、酸化亜鉛粒子、カーボンブラック、シリカ等に吸着したりした状態で存在している。一方、加硫前に、可溶性硫黄に転移する硫黄量が多い場合には、スチールコード被覆用ゴム表面に硫黄がブルームしてしまい、加工粘着を低下させ、加工性(押し出し成型加工性)、スチールコードとの接着性(新品、湿熱劣化後)が悪化したり、膨れ、セパレーションの原因となりタイヤの耐久性が低下したりするという問題がある。従って、これらの性能をバランスよく改善するためには、硫黄のブルームを抑制することも重要である。なお、ここで、ブルームとは、硫黄が、ゴム生地表面に、花が咲いた様に、析出する現象を意味する。
【0006】
この硫黄のブルームを抑制するため、酸化亜鉛を多量に(酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.79以上となるように)配合する手法が広く採用されてきた。しかし、最近では、タイヤ用ゴム組成物に含まれる酸化亜鉛が環境汚染(特に、植物の生育阻害)の観点から問題視されるようになり、酸化亜鉛の減量が望まれている。そのため、酸化亜鉛を増量しなくても、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性をバランスよく改善できる技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−156418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決し、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が特定値以下であっても、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性をバランスよく改善できるスチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物、及びこれらを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、酸化亜鉛を増量しなくても(酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が特定値以下であっても)、良好な性能のスチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物(特に、スチールコード被覆用ゴム組成物)を得る手段について鋭意検討した結果、(A)ステアリン酸、(B)ステアリン酸コバルト、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物、の合計含有量、コバルトの含有量等が、上記性能に関与していることを見出した。更に、鉄含有量が低い不溶性硫黄を配合した場合に、コバルトを配合した効果をより好適に得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部であるスチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物に関する。
【0010】
上記スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積が60〜120m/g、窒素吸着比表面積/ジブチルフタレート吸油量の比率>0.95を満たすカーボンブラックを30〜70質量部含むことが好ましい。
【0011】
上記スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、プロセスオイルの含有量が2.5質量部以下であることが好ましい。
【0012】
上記スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、1級アミンの含有量が0.7質量%以下のキノリン系老化防止剤を0.5〜3質量部含むことが好ましい。
【0013】
上記スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物は、シリカを含むことが好ましい。
【0014】
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したスチールコード被覆部材、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップを有する空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部であるスチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物であるので、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が特定値以下であっても、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性をバランスよく改善でき、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、タイヤの耐久性がバランスよく改善された空気入りタイヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】空気入りタイヤの部分断面図の一例である。
図2】空気入りタイヤの部分断面図の一例である。
図3】空気入りタイヤの部分断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のスチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物(以下において、本発明のゴム組成物ともいう)は、鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部である。
【0018】
本発明では、前述の特定成分を特定量で組み合わせて配合し、かつ鉄含有量が低い不溶性硫黄を配合していることから、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が特定値以下であっても、操縦安定性(E)、低燃費性、破断時伸び(新品、乾熱(酸化)劣化後)、スチールコードとの接着性(新品、湿熱劣化後)、加工性(押し出し成型加工性)、タイヤの耐久性をバランスよく改善できる。
【0019】
スチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物(特に、スチールコード被覆用ゴム組成物)中のコバルト(Co)は、加硫中、ゴムから、スチールコードのメッキ界面(メッキから1000nm=1μm程度)へ移動する事で、スチールコード被覆メッキ層(例えば、銅(Cu)65%/亜鉛(Zn)35%組成で、平均250nmの薄膜)は、Cu−Zn−Coの3元合金に変質し、優れた接着性を発揮し、湿熱劣化条件でも、コード/ゴム間の接着性を維持するものと推測される。そして、鉄含有量が低い不溶性硫黄を配合した場合に、コバルトを配合した効果をより好適に得られるのは、不溶性硫黄中の鉄含有量が多いと、ゴム組成物中のCoのイオン化、Coの移動、メッキ層中でのCoの定着を妨げるためであると推測される。なお、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション、コード隣接ストリップは、スチールコードを被覆するためのゴムではないが、これらの部材は、スチールコード被覆部材の周辺に位置する。そして、スチールコード被覆部材はオーバーラップジョイントされる(スチールコード被覆部材を貼り合わせた際に、端部においてスチールコード被覆部材の上にスチールコード被覆部材が重なりあうように貼り合わされる)。また、スチールコード被覆部材の端部(裁断された箇所)においてスチールコードが露出している。そのため、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション、コード隣接ストリップは、加硫中にスチールコードと接触する場合があり、良好なスチールコードとの接着性が求められる。また、これらの部材は、薄い部材(例えば、0.5〜1.00mm)であるため、硫黄のブルームが起こりやすく、硫黄がブルームしてしまうと、隣接部材との接着、ひいては耐久性に大きな影響を及ぼすおそれがある。一方、本発明では、硫黄のブルームも好適に抑制できるため、本発明をブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション、コード隣接ストリップに適用することにより、操縦安定性(E)、低燃費性、破断時伸び(新品、乾熱(酸化)劣化後)、スチールコードとの接着性(新品、湿熱劣化後)、加工性(押し出し成型加工性)、タイヤの耐久性をバランスよく改善できる。
【0020】
本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性をバランスよく改善できるという理由からイソプレン系ゴムが好ましい。
【0021】
イソプレン系ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)などが挙げられる。なかでも、タイヤの耐久性、スチールコードとの接着性などに優れるという理由から、NRが好ましい。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0022】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、充分な破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性が得られないおそれがある。
【0023】
本発明のゴム組成物は、鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含む。これにより、コバルトを配合した効果をより好適に得られ、良好な接着性(特に、湿熱劣化後)が得られ、本発明の効果が好適に得られる。
【0024】
不溶性硫黄中の鉄含有量は、30ppm以下、好ましくは25ppm以下、より好ましくは20ppm以下である。30ppmを超えると、コバルトを配合した効果を充分に得られず、本発明の効果(特に、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)、スチールコードとの接着性、ひいては、タイヤの耐久性)を充分に得ることができない。なお、該鉄含有量の下限は、特に限定されず、鉄含有量は少なければ少ないほど好ましい。
なお、不溶性硫黄中の鉄含有量とは、不溶性硫黄と共にオイルが含まれている場合(オイル処理不溶性硫黄の場合)、不溶性硫黄、オイルの総質量(すなわち、オイル処理不溶性硫黄の質量)に対する鉄の含有量を意味する。
また、不溶性硫黄中の鉄含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置により測定できる。
【0025】
ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量は、3.0質量部以上、好ましくは4.0質量部以上、より好ましくは4.5質量部以上である。3.0質量部未満では、操縦安定性、接着性が悪化する。また、硫黄の含有量は、6.0質量部以下、好ましくは5.5質量部以下である。6.0質量部を超えると、硫黄のブルームが発生しやすく、加工性(押し出し成型加工性)、スチールコードとの接着性、ひいては、タイヤの耐久性が低下する。また、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)が低下する。
ここで、硫黄の含有量とは、不溶性硫黄に含まれる硫黄成分の含有量を意味し、オイル処理不溶性硫黄を使用した場合、オイル処理不溶性硫黄に含まれる硫黄成分の含有量(すなわち、オイル処理不溶性硫黄に含まれているオイルの量を除外した量)を意味する。
【0026】
本発明のゴム組成物は、酸化亜鉛を含む。これにより、スチールコードとの接着性、操縦安定性、低燃費性、破断時伸びを向上できる。また、練りゴム(混練)中、一旦硫黄を吸着し、硫黄の貯蔵庫の役割を果たすので、硫黄のブルームも低減できる。酸化亜鉛としては、従来からゴム工業で使用されるものが挙げられ、具体的には、三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛1号、2号などが挙げられる。
【0027】
酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率は、1.45以上、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.55以上である。1.45未満では、硫黄のブルームが発生しやすく、加工性(押し出し成型加工性)、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)、ひいては、タイヤの耐久性が低下する。
該比率は、1.78以下、好ましくは1.70以下である。1.78を超えると、従来技術の通り、硫黄のブルームをより好適に抑制できるため、性能に優れているものの、酸化亜鉛の減量を達成することができない。また、単価と比重の高い酸化亜鉛量が多いため、コスト、タイヤ重量が増大する。
また、上記比率を満たすことにより、酸化亜鉛が破壊核となることを抑制でき、良好な破断時伸び、タイヤの耐久性が得られる。
【0028】
本発明のゴム組成物は、(A)ステアリン酸、(B)ステアリン酸コバルト、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。これにより、良好に加硫でき、前記性能バランスを相乗的に改善できることから、本発明の効果が良好に得られる。
【0029】
(A)ステアリン酸及び(B)ステアリン酸コバルトの合計含有量は、ステアリン酸量換算(ステアリン酸量と、ステアリン酸コバルト量から算出されるステアリン酸量との合計量)で、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上である。0.5質量部未満では、操縦安定性、低燃費性が低下するおそれがある。該合計含有量は、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.2質量部以下である。1.5質量部を超えると、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)、ひいては、タイヤの耐久性が低下する傾向がある。
【0030】
なお、本発明のゴム組成物は、前述のとおり、ステアリン酸コバルトを配合してもよいが、その他の有機酸コバルトを配合してもよい。これにより、コードとゴムとのスチールコードとの接着性を向上できる。有機酸コバルトとしては、例えば、ナフテン酸コバルト、アビチエン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ素3ネオデカン酸コバルトなどが挙げられる。なかでも、スチールコードとの接着性に優れるという理由から、ホウ素含有有機酸コバルトが好ましい。
【0031】
ここで、コバルトの含有量(ステアリン酸コバルト、他の有機酸コバルトなどに由来する全コバルト量)は、ゴム成分100質量部に対して、0.05質量部以上、好ましくは0.08質量部以上である。該含有量は0.15質量部以下、好ましくは0.12質量部以下である。上記範囲内であると、良好なスチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)、タイヤの耐久性が得られる。
【0032】
(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物において、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩における脂肪族カルボン酸としては、やし油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、アーモンド油、カノーラ油、落花生油、米糖油、カカオ脂、パーム油、大豆油、綿実油、胡麻油、亜麻仁油、ひまし油、菜種油などの植物油由来の脂肪族カルボン酸、牛脂などの動物油由来の脂肪族カルボン酸、石油などから化学合成された脂肪族カルボン酸などが挙げられるが、優れた操縦安定性が得られるという点から、植物油由来の脂肪族カルボン酸が好ましく、やし油、パーム核油又はパーム油由来の脂肪族カルボン酸がより好ましい。
【0033】
脂肪族カルボン酸の炭素数は4以上が好ましく、6以上がより好ましい。脂肪族カルボン酸の炭素数は16以下が好ましく、12以下がより好ましい。上記範囲内であると、優れた操縦安定性が得られる。
【0034】
なお、脂肪族カルボン酸中の脂肪族としては、アルキル基などの鎖状構造でも、シクロアルキル基などの環状構造でもよい。
【0035】
(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物において、芳香族カルボン酸の亜鉛塩における芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、メリト酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、ジフェン酸、トルイル酸、ナフトエ酸などが挙げられる。なかでも、優れた操縦安定性が得られるという点から、安息香酸、フタル酸又はナフトエ酸が好ましい。
【0036】
前記混合物中の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との含有比率(モル比率、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩/芳香族カルボン酸の亜鉛塩、以下、含有比率とする)は1/20以上が好ましく、1/10以上がより好ましい。含有比率が1/20未満では、混合物の分散性及び安定性が悪化する傾向がある。また、含有比率は20/1以下が好ましく、10/1以下がより好ましい。含有比率が20/1を超えると、操縦安定性の改善効果が充分に得られない傾向がある。
【0037】
(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物中の亜鉛含有率は3質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、混合物中の亜鉛含有率は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。上記範囲内であると、加工性、操縦安定性が良好に得られる。
【0038】
(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。0.2質量部未満では、操縦安定性、スチールコードとの接着性の改善効果が充分に得られないおそれがある。該混合物の含有量は、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。1.5質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
【0039】
(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは0.7質量部以上である。該合計量は、1.5質量部以下、好ましくは1.2質量部以下である。上記範囲内であると、操縦安定性、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)、タイヤの耐久性が良好に得られる。
【0040】
本発明のゴム組成物はカーボンブラックを含むことが好ましい。これにより、良好な補強性が得られ、前記性能バランスを相乗的に改善できることから、本発明の効果が良好に得られる。
【0041】
カーボンブラックとしては特に限定されないが、硫黄と吸着しやすく、硫黄のブルームを好適に抑制でき、本発明の効果(特に、タイヤの耐久性)がより好適に得られるという理由から、窒素吸着比表面積(BET比表面積(NSA))が60〜120m/g、窒素吸着比表面積(NSA)/ジブチルフタレート吸油量(DBP)>0.95を満たすカーボンブラックが好ましい。
【0042】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は60m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましい。60m/g未満では、充分な破断時伸び、操縦安定性が得られないおそれがある。該NSAは120m/g以下が好ましく、100m/g以下がより好ましい。120m/gを超えると、充分な低燃費性、低燃費性が得られないおそれがある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
【0043】
上記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)/ジブチルフタレート吸油量(DBP)が、0.95を超えることが好ましく、1.0以上がより好ましく、1.1以上が更に好ましい。0.95以下では、発熱性が大きくなり、低燃費性に劣る傾向がある。また、加工性にも劣る傾向がある。該比は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。1.6を超えると、複素弾性率Eが低くなり、操縦安定性が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
【0044】
カーボンブラック(好ましくは窒素吸着比表面積が60〜120m/g、窒素吸着比表面積/ジブチルフタレート吸油量の比率>0.95を満たすカーボンブラック)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。また、カーボンブラックの含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは65質量部以下である。上記範囲内であると、前述の性能が良好に得られる。
【0045】
本発明のゴム組成物はシリカを含むことが好ましい。これにより、良好な補強性が得られ、更に、硫黄を吸着し、硫黄のブルームを好適に抑制でき、前記性能バランス(特に、操縦安定性、低燃費性、スチールコードとの接着性、加工性)を相乗的に改善できることから、本発明の効果がより好適に得られる。
【0046】
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0047】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは110m/g以上である。100m/g未満では、破断時伸びが低下する傾向がある。該NSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは230m/g以下である。250m/gを超えると、低燃費性、加工性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
【0048】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上である。3質量部未満であると、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)が低下するおそれがある。また、シリカの含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。15質量部を超えると、操縦安定性が低下するおそれがある。
【0049】
シリカ及びカーボンブラックの合計100質量%中のカーボンブラックの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。また、該カーボンブラックの含有率の上限は特に限定されず、100質量%でもよいが、好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であると、前記性能バランスに優れたゴム組成物が得られる。
【0050】
本発明のゴム組成物において、プロセスオイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。2.5質量部を超えると、オイルがスチールコードのメッキ表面を被覆し、スチールコードとの接着性が悪化する傾向がある。また、操縦安定性が低下するおそれがある。また、硫黄のブルームを誘発するおそれがある。なお、プロセスオイルの含有量の下限は特に限定されない。
【0051】
ここで、プロセスオイルとは、ゴムの加工性(軟化効果、配合剤分散効果、潤滑効果など)を改善するために、ゴム成分などの他に別途配合する石油系油類をいい、HMMPME(後述する)、不溶性硫黄、油展ゴムなどの他の成分に予め添加されているオイルは含まない。プロセスオイルとしては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイルなどが挙げられ、後述するクマロンインデン樹脂、C5系石油樹脂、レゾルシノール樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂やC9系石油樹脂は含まない。
【0052】
また、本発明のゴム組成物は、オイルの合計含有量(プロセスオイルと、他の配合剤成分に予め添加されているオイルなどの合計量)は、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.5質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。4.0質量部を超えると、オイルがスチールコードのメッキ表面を被覆し、スチールコードとの接着性が悪化する傾向がある。該合計含有量の下限は特に限定されないが、プロセスオイルの他に、他の成分に予め添加されているオイルは、1.0〜1.5質量部程度が好ましい。
【0053】
本発明のゴム組成物は、C5系石油樹脂を含むことが好ましい。これにより、粘着性、加工性、破断時伸びを改善できる。C5系石油樹脂としては、ナフサ分解によって得られるC5留分中のオレフィン、ジオレフィン類を主原料とする脂肪族系石油樹脂などが挙げられる。
【0054】
C5系石油樹脂の軟化点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上である。また、該軟化点は、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。上記範囲内であると、前述の性能が良好に得られる。
【0055】
C5系石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。上記範囲内であると、粘着性、加工性、破断時伸びが良好に得られる。
【0056】
本発明のゴム組成物は、クマロンインデン樹脂を含むことが好ましい。これにより、スチールコードとの接着性、破断時伸び、タイヤの耐久性が良好に得られ、前記性能バランスを相乗的に改善できる。特に、軟化点が下記範囲を満たすクマロンインデン樹脂(液状クマロンインデン樹脂)は、良好な低燃費性も得られる。これは、クマロンインデン樹脂が有する適度な極性及び運動性により、硫黄や加硫促進剤の分散を促進し、均一な硫黄架橋の形成を促進するためと推測される。また、クマロンインデン樹脂は、硫黄をブルームさせることもなく、更に、スチールコードのメッキ層と被覆ゴムの馴染みを良くする、表面張力低減剤としても機能する。
【0057】
クマロンインデン樹脂の軟化点は、好ましくは−20℃以上、より好ましくは0℃以上である。また、該軟化点は、好ましくは60℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは15℃以下である。上記範囲内であると、前述の性能が良好に得られる。
【0058】
クマロンインデン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは3.5質量部以下である。上記範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる。
【0059】
本発明のゴム組成物は老化防止剤を含むことが好ましい。これにより、トッピングゴム表面での酸素やオゾンによるポリマーの分解を抑制できる。また、不溶性硫黄の可溶性硫黄への転移を抑制でき、硫黄のブルームを抑制できる。
【0060】
老化防止剤としては特に限定されないが、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、キノリン系老化防止剤が好ましい。更に、本発明者の検討の結果、キノリン系老化防止剤中に含まれる1級アミンが、硫黄のブルームを誘発し、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性を低下させることが判明した。従って、キノリン系老化防止剤100質量%中の1級アミンの含有量は、好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.65質量%以下である。該含有量の下限は特に限定されないが、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上である。
【0061】
老化防止剤中の1級アミンの含有量は、以下の方法により測定できる。
p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(DAB)溶液(10g/l)に、濃度の異なるアニリン溶液を加えて30分以上経過した後に、該混合液の440nmにおける吸光度を測定する。なお、この際に、試薬のブランクの吸光度に基づいて補正を行う。そして、測定した吸光度(補正後の吸光度)をアニリン濃度に対してプロットすることにより、検量線を作成する。
次に、老化防止剤0.20gに、クロロホルム50ml、7%塩酸50mlを加えて、約10分間振盪し、約1時間静置する。次に、上層部(7%塩酸)の液を分取し、該液にDAB溶液を加えて、30分以上経過した後に、該混合液の440nmにおける吸光度を測定する。なお、この際に、試薬のブランクの吸光度に基づいて補正を行う。そして、補正後の吸光度と、検量線により、1級アミンの含有量を算出する。
【0062】
老化防止剤(好ましくはキノリン系老化防止剤)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる。
【0063】
本発明では、レゾルシノール樹脂、フェノール樹脂、及びアルキルフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、操縦安定性、破断時伸び、スチールコードとの接着性が高い次元で得られる。
【0064】
レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。具体的には、住友化学工業(株)製のレゾルシノールなどが挙げられる。また、レゾルシノール樹脂は、変性された変性レゾルシノール樹脂であることが好ましい。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、インドスペック社製のペナコライト樹脂B−18−S、B−20、田岡化学工業(株)製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR−6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド化学社製のArofene7209などが挙げられる。
【0065】
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるものが挙げられる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
【0066】
フェノール樹脂の軟化点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは85℃以上である。また、該軟化点は、好ましくは140℃以下、より好ましくは110℃以下である。
【0067】
フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上、より好ましくは4000以上である。Mwは、好ましくは10000以下、より好ましくは7000以下である。Mwが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
【0068】
フェノール樹脂としては、非変性のフェノール樹脂も使用可能であるが、カシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどの化合物を用いて変性した変性フェノール樹脂をより好適に使用できる。
【0069】
変性フェノール樹脂としては、カシューオイル変性フェノール樹脂を好適に使用でき、なかでも、前記性能バランスを相乗的に改善できるという理由から、下記式(1)で示されるものをより好適に使用できる。
【化1】
【0070】
式(1)中、pは、反応性が良く、分散性が向上する点で、1〜9の整数であり、5〜6の整数が好ましい。
【0071】
アルキルフェノール樹脂としては、2−アルキルフェノール、3−アルキルフェノール及び4−アルキルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、ホルムアルデヒドとから得られるものを好適に使用できる。これにより、優れた低燃費性、タイヤの耐久性が得られる。なかでも、前記性能バランスを相乗的に改善でき、本発明の効果が良好に得られるという理由から、ノボラック型アルキルフェノール樹脂が好ましい。
【0072】
アルキルフェノール(モノマー成分)としては、2−アルキルフェノール、3−アルキルフェノール及び4−アルキルフェノールが挙げられるが、本発明の効果が好適に得られるという理由から、2−アルキルフェノール、3−アルキルフェノール及び4−アルキルフェノールからなる群より選択される少なくとも2種の化合物を使用することが好ましく、2−アルキルフェノール、3−アルキルフェノール及び4−アルキルフェノールの3種の化合物を使用することがより好ましい。
【0073】
アルキルフェノールが有するアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、本発明の効果が好適に得られるという理由から、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましく、1が特に好ましい。アルキルフェノールとしては、アルキル基の炭素数が異なるものを組み合わせて使用してもよい。
【0074】
なかでも、上記2−アルキルフェノール、上記3−アルキルフェノール、上記4−アルキルフェノールとして、それぞれo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールを使用すること、すなわち、前記アルキルフェノール樹脂としてクレゾール樹脂を使用することが最も好ましい。これにより、前記性能バランスを相乗的に改善でき、本発明の効果が得られる。
【0075】
上記アルキルフェノール樹脂は、例えば、酸触媒を用いて、2−アルキルフェノール、3−アルキルフェノール及び4−アルキルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、ホルムアルデヒドとを反応させることで得られる。
酸触媒としては、特に限定されず、例えば、三フッ化ホウ素・エーテル錯体、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・水錯体、三フッ化ホウ素・アルコール錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、または、これらの混合物などが挙げられる。酸触媒の存在下、アルキルフェノールとホルムアルデヒドを反応させる方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
【0076】
上記アルキルフェノール樹脂の軟化点は、好ましくは90℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは125℃以上である。また、該軟化点は、好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下である。上記範囲内であると、操縦安定性、低燃費性、タイヤの耐久性、乗り心地性能、スチールコードとの接着性が良好に得られる。
【0077】
上記アルキルフェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上である。Mwは、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、更に好ましくは1900以下である。上記範囲内であると、操縦安定性、低燃費性、タイヤの耐久性、乗り心地性能、スチールコードとの接着性が良好に得られる。
【0078】
上記アルキルフェノール樹脂中に含まれる遊離の2−アルキルフェノール、3−アルキルフェノール及び4−アルキルフェノールの合計含有量(遊離のアルキルフェノール総量)は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。3質量%を超えると、硬度が低下するおそれがある。
【0079】
ここで、アルキルフェノール樹脂中に含まれる遊離のアルキルフェノール総量を特定量以下とする方法としては特に制限されず、例えば、溶剤に溶解させた後、再結晶、カラムクロマトグラフィー、蒸留などの精製操作を、アルキルフェノール樹脂中に含まれる遊離のアルキルフェノール総量が特定量以下となるまで行えばよい。なお、蒸留方法としては、特開2011−74205号公報などに記載の方法を好適に用いることができる。
【0080】
なお、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。また、遊離のアルキルフェノール総量もゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。
【0081】
本明細書において、フェノール樹脂及びアルキルフェノール樹脂のGPCは、下記の条件(1)〜(8)で測定される。
(1)装置:東ソー社製HLC−8020
(2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
【0082】
なお、本明細書において、樹脂(C5系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂)の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0083】
レゾルシノール樹脂、フェノール樹脂、及びアルキルフェノール樹脂の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。0.5質量部未満であると、充分な操縦安定性、スチールコードとの接着性が得られないおそれがある。該合計含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。10質量部を超えると、破断時伸びが低下し、充分なタイヤの耐久性が得られないおそれがある。
【0084】
本発明のゴム組成物は、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)の部分縮合物及び/又はヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)の部分縮合物を含むことが好ましい。これにより、コードとゴム接着層を強化でき、前記性能バランスを相乗的に改善できる。なかでも、優れたスチールコードとの接着性が得られるという理由から、HMMPMEの部分縮合物が好ましい。なお、レゾルシノール樹脂、フェノール樹脂、又はアルキルフェノール樹脂と、HMMPMEの部分縮合物を併用することにより、より良好な操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性が得られる。
【0085】
HMMMの部分縮合物及びHMMPMEの部分縮合物の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上である。0.5質量部未満では、メチレン供給量が少なく、操縦安定性が低下するおそれがある。また、該合計含有量は、5質量部以下、好ましくは2質量部以下である。5質量部を超えると、タイヤの耐久性が低下する傾向がある。
【0086】
本発明のゴム組成物は、有機チオサルフェート化合物を含むことが好ましい。これにより、良好なスチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)が得られ、前記性能バランスを相乗的に改善できる。有機チオサルフェート化合物としては特に限定されないが、下記式(2)で表される化合物及び/又はその水和物が好ましい。
MOS−S−(CH−S−SOM (2)
(式中、qは3〜10の整数を表す。Mは、同一若しくは異なって、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル又はコバルトを表す。)
【0087】
式(2)中、qは3〜10の整数、好ましくは3〜6の整数である。3未満では、破断時伸びを充分に改善できないおそれがあり、10を超えると、分子量が増大するわりに破断時伸びなどの改善効果が小さい傾向がある。
【0088】
式(2)中、Mはリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケルまたはコバルトが好ましく、カリウムまたはナトリウムがより好ましい。また、式(2)で表される化合物の水和物としては、例えば、ナトリウム塩一水和物、ナトリウム塩二水和物などがあげられる。
【0089】
式(2)で表される化合物及びその水和物としては、チオ硫酸ナトリウム由来の誘導体、例えば、1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物が好ましい。
【0090】
有機チオサルフェート化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上である。0.1質量部未満では、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)の改善効果が充分に得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。2質量部を超えると、配合量に応じたスチールコードとの接着性等の改善効果が得られない傾向がある。
【0091】
本発明のゴム組成物は加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンデート系の化合物などが挙げられる。なかでも、本発明の効果が好適に得られるという理由から、下記式で表される基(ベンゾチアゾリルスルフィド基)を有する加硫促進剤が好ましい。
【化2】
【0092】
ベンゾチアゾリルスルフィド基を有する加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BEHZ)、N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BMHZ)、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(ETZ)等のスルフェンアミド系加硫促進剤や、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド(TBSI)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)等が挙げられる。なかでも下記式(3)で表される化合物が好ましい。これにより、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び(特に、乾熱劣化後)、タイヤの耐久性が良好に得られ、前記性能バランスを相乗的に改善できる。
【化3】
(式中、Rは炭素数2〜16のアルキル基を表す。Rは炭素数3〜16のアルキル基、ベンゾチアゾリルスルフィド基又はシクロアルキル基を表す。)
【0093】
のアルキル基としては、本発明の効果が良好に得られるという理由から、分岐構造を有するものが好ましい。分岐構造を有するアルキル基としては、−(CH−CH(kは1〜14の整数)で表される直鎖アルキル基における炭素鎖(CHを構成する少なくとも1個の水素原子をアルキル基で置換した分岐構造を有するもの(分岐構造を有する直鎖アルキル基)が好ましい。
【0094】
のアルキル基の炭素数は、3〜16が好ましく、4〜16がより好ましく、6〜12が更に好ましい。1では、吸着してしまう傾向があり、17以上では、硬度が低くなる傾向がある。
【0095】
の好ましいアルキル基としては、エチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−エチルプロピル基、2−エチルブチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基などが挙げられる。
【0096】
のアルキル基としては、本発明の効果が良好に得られるという理由から、分岐構造を有するものが好ましい。分岐構造を有するアルキル基としては、前述のRの場合と同様のものが好ましい。
【0097】
のアルキル基の炭素数は、4〜16が好ましく、6〜12がより好ましい。2以下では、吸着してしまう傾向があり、17以上では、硬度が低くなる傾向がある。
【0098】
の好ましいアルキル基としては、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−エチルプロピル基、2−エチルブチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基などが挙げられる。
【0099】
のベンゾチアゾリルスルフィド基は、下記式で表される基である。
【化4】
【0100】
のシクロアルキル基の炭素数は、3〜16が好ましい。Rの好ましいシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0101】
なお、操縦安定性、低燃費性、タイヤの耐久性、乗り心地性能、スチールコードとの接着性が良好に得られるという点から、Rがt−ブチル基の場合、Rはベンゾチアゾリルスルフィド基であることが好ましい。
【0102】
上記式(3)で表される化合物としては、川口化学工業(株)製のBEHZ(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、川口化学工業(株)製のBMHZ(N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、フレキシス(株)製のサントキュアーTBSI(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド)、大内新興化学工業(株)製のETZ(N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド)などが挙げられる。
【0103】
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。0.3質量部未満では、操縦安定性の改善効果が充分に得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。4質量部を超えると、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)が低下する傾向がある。
【0104】
硫黄の含有量/加硫促進剤の含有量の比率は、2.5〜15.0が好ましく、3.5〜12.0がより好ましく、4.0〜10.0が更に好ましい。該比が2.5未満であると、スチールコードとの接着性(特に、湿熱劣化後)が低下する傾向がある。一方、該比が15.0を超えると、乾熱(酸化)劣化後の破断時伸びが低下する傾向がある。
ここで、硫黄の含有量とは、不溶性硫黄に含まれる硫黄成分の含有量を意味し、オイル処理不溶性硫黄を使用した場合、オイル処理不溶性硫黄に含まれる硫黄成分の含有量(すなわち、オイル処理不溶性硫黄に含まれているオイルの量を除外した量)を意味する。
【0105】
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンなどを適宜配合できる。
【0106】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練(混練工程)し、その後加硫する方法などにより製造できる。
【0107】
本発明の効果がより好適に得られるという理由から、混練工程は、
(I)不溶性硫黄、加硫促進剤、有機チオサルフェート化合物、及び有機酸コバルト以外の薬品を、ゴム混練装置を用いて混練(混練時間:3〜7分、排出温度:140〜160℃)するベース練り工程1と、
(II)ベース練り工程1により得られた混練物に、有機酸コバルトを加えて、ゴム混練装置を用いて混練(混練時間:1〜5分、排出温度:125〜145℃)するベース練り工程2と、
(III)ベース練り工程2により得られた混練り物に、不溶性硫黄、加硫促進剤(必要に応じて有機チオサルフェート化合物も)を加えて、ゴム混練装置を用いて混練(混練時間:1〜5分、排出温度:95〜105℃)する仕上げ練り工程と
を含むことが好ましい。
【0108】
本発明のゴム組成物は、スチールコードを被覆するゴム組成物(トッピング用ゴム組成物)として使用され、なかでも、ブレーカートッピング用ゴム組成物として好適に使用できる。
【0109】
本発明のゴム組成物は、ブレーカーエッジストリップ用ゴム組成物、ブレーカークッション用ゴム組成物又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物としても使用される。図1〜3は、本発明の空気入りタイヤの部分断面図の一例であり、図1では、ブレーカー12の端部近傍において、ブレーカー12の内側層44と外側層46の間にブレーカーエッジストリップ16が設けられ、カーカスプライ28とブレーカークッション上ストリップ(ファーストブレーカー下ストリップ)31との間でブレーカー/プライ間ストリップ層(BPストリップ層)30に隣接してブレーカークッション32が設けられた例が示されている。図2では、ブレーカー12の端部近傍において、ブレーカー12の外側層46の端部を覆うようにブレーカーエッジストリップ16Aが設けられ、ブレーカー12の内側層44の端部を覆うようにブレーカーエッジストリップ16Bが設けられ、カーカスプライ28とブレーカー12の内側層44及びブレーカーエッジストリップ16Bとの間でブレーカー/プライ間ストリップ層(BPストリップ層)30に隣接してブレーカークッション32が設けられた例が示されている。また、図3では、ブレーカー12の端部近傍において、ブレーカー12の外側層46とバンド15の間に、ブレーカーエッジストリップ16Aが設けられ、ブレーカー12の内側層44と外側層46の間に、ブレーカーエッジストリップ16Bが設けられ、カーカスプライ28とブレーカークッション上ストリップ(ファーストブレーカー下ストリップ)31との間でブレーカー/プライ間ストリップ層(BPストリップ層)30に隣接してブレーカークッション32が設けられた例が示されている。
【0110】
また、図1〜3では、コード隣接ストリップとして、ブレーカー12の内側層44とカーカスプライ28の間にブレーカー/プライ間ストリップ層(BPストリップ層)30が設けられた例が示されている。また、図1、3では、コード隣接ストリップとして、ブレーカー12の内側層44とブレーカークッション32の間にブレーカークッション上ストリップ(ファーストブレーカー下ストリップ)31が設けられた例が示されている。本発明のスチールコード被覆、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション又はコード隣接ストリップ用ゴム組成物は、スチールコード被覆用ゴム組成物として使用されることが好ましい。
【0111】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階で、シート化し、そのシートをスチールコードに上下から圧着、圧延し、コード付きファブリック(スチールコード被覆部材(総厚み1.00〜2.00mm程度、用途によりコード種、エンズ、ゴム量は変わる))、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション、又はコード隣接ストリップを作成し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤが得られる。
【実施例】
【0112】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0113】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
<NR>:TSR20
<IR>:JSR(株)製のIR2200
<シリカ>:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA(BET):175m/g)
<カーボンブラック1>:三菱化学(株)製のダイヤブラックN219(NSA(BET):110m/g、DBP:76ml/100g、NSA(BET)/DBP=1.45)
<カーボンブラック2>:三菱化学(株)製のダイヤブラックN326(NSA(BET):84m/g、DBP:74ml/100g、NSA(BET)/DBP=1.14)
<カーボンブラック3>:三菱化学(株)製のダイヤブラックN220(NSA(BET):115m/g、DBP:114ml/100g、NSA(BET)/DBP=1.01)
<カーボンブラック4>:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351H(NSA(BET):64m/g、DBP:136ml/100g、NSA(BET)/DBP=0.47)
<カーボンブラック5>:三菱化学(株)製のダイヤブラックN330(NSA(BET):78m/g、DBP:102ml/100g、NSA(BET)/DBP=0.76)
<カーボンブラック6>:三菱化学(株)製のダイヤブラックN660(NSA(BET):28m/g、DBP:82ml/100g、NSA(BET)/DBP=0.34)
<老化防止剤1>:大内新興化学工業(株)製のノクラック224を精製したもの(試作品(キノリン系老化防止剤)、1級アミンの含有量:0.6質量%)
<老化防止剤2>:大内新興化学工業(株)製のノクラック224(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(キノリン系老化防止剤)、1級アミンの含有量:26.4質量%)
<C5系石油樹脂>:丸善石油化学(株)製のマルカレッツT−100AS(C5系石油樹脂:ナフサ分解によって得られるC5留分中のオレフィン、ジオレフィン類を主原料とする脂肪族系石油樹脂)(軟化点:100℃)
<ミネラルオイル>:ジャパンエナジー社製のプロセスP−200(プロセスオイル)
<液状クマロンインデン樹脂>:Rutgers Chemicals社製のNOVARES C10(クマロンインデン樹脂、軟化点:5〜15℃)
<酸化亜鉛>:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
<ステアリン酸>:日油(株)製の椿
<アクチベータ(脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物)>
:ストラクトール社製のアクチベータ73A((i)脂肪族カルボン酸亜鉛塩:やし油由来の脂肪酸(炭素数:8〜12)の亜鉛塩、(ii)芳香族カルボン酸亜鉛塩:安息香酸亜鉛、含有モル比率:1/1、亜鉛含有率:17質量%)
<ステアリン酸コバルト>:大日本インキ化学工業(株)製のcost−F(コバルト含有量:9.5質量%、ステアリン酸含有量:90.5質量%)
<ホウ素ネオデカン酸コバルト>:大日本インキ化学工業(株)製のDicnate NBC−II(ホウ素3ネオデカン酸コバルト、コバルト含有量:22.0質量%)
<HTS>:フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物(有機チオサルフェート化合物))
<不溶性硫黄A>:フレキシス(株)製のクリステックスHSOT20改良品(試作品、硫黄80質量%及びオイル分20質量%を含む不溶性硫黄、鉄含有量:15ppm)
<不溶性硫黄B>:上海京海(Shanghai Jinghai Chemical(中国))社製のIS−HS−7520(硫黄80質量%及びオイル分20質量%を含む不溶性硫黄、鉄含有量:50ppm)
<不溶性硫黄C>:上海京海(Shanghai Jinghai Chemical(中国))社製のIS−HS−7520(不溶性硫黄Bの異ロット、硫黄80質量%及びオイル分20質量%を含む不溶性硫黄、鉄含有量:200ppm)
<DCBS>:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ(加硫促進剤、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<TBSI>:フレキシス(株)製のサントキュアーTBSI(加硫促進剤、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド)
<HMMPME>:住友化学工業(株)製のスミカノール507A(変性エーテル化メチロールメラミン樹脂(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)の部分縮合物)、(有効成分量:65質量%、シリカ:32質量%、パラフィン系オイル:3質量%))
<高純度クレゾール樹脂>:住友ベークライト(株)製のPR−X11061(アルキルフェノール成分(モノマー成分)として、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールを使用、遊離のアルキルフェノール総量:0.6質量%、ノボラック型アルキルフェノール樹脂の含有量:99.4質量%、軟化点:128℃、Mw:1800)
<変性フェノール樹脂>:住友ベークライト(株)製のPR12686(カシューオイル変性フェノール樹脂、遊離のフェノール量:0.2質量%、ノボラック型フェノール樹脂の含有量:99.8質量%、軟化点:94℃、Mw:5330)
<変性レゾルシノール樹脂>:田岡化学工業(株)製のスミカノール620(変性レゾルシノール樹脂(変性レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物))
【0114】
表1、2に示す配合に従って、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、不溶性硫黄、加硫促進剤、HTS、ステアリン酸コバルト、及びホウ素ネオデカン酸コバルト以外の薬品を混練り(混練時間:5分、排出温度:150℃)し、混練物を得た。次に、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、得られた混練物に、ステアリン酸コバルト、ホウ素ネオデカン酸コバルトを加えて混練り(混練時間:3分、排出温度:135℃)し、混練物を得た。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に不溶性硫黄、加硫促進剤、HTSを添加して練り込み(混練時間:3分、排出温度:105℃)、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物を用いてスチールコードを被覆し、所定の角度に裁断した後、ジョイント加工後、得られた未加硫ゴム組成物を用いて成形したブレーカーエッジストリップ、ブレーカークッション、及びブレーカー/プライ間ストリップ層、並びに他のタイヤ部材と貼り合わせて、未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
また、得られた未加硫ゴム組成物を用いてスチールコードを被覆し、150℃で30分間プレス加硫し、剥離試験用サンプルを得た。
また、得られた加硫ゴム組成物、剥離試験用サンプルを温度80℃、相対湿度95%の条件下で150時間、湿熱劣化し、それぞれの湿熱劣化品を得た。
また、得られた加硫ゴム組成物を温度80℃の条件下の乾燥オーブン中で96時間、乾熱劣化(空気酸化劣化)し、乾熱劣化品を得た。
また、試験用タイヤを、リム組みせず、温度80℃、相対湿度95%の条件下で4週間、湿熱劣化し、湿熱劣化タイヤを得た。
【0115】
未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物(新品、湿熱劣化品、乾熱劣化品)、剥離試験用サンプル(新品、湿熱劣化品)及び試験用タイヤ(湿熱劣化タイヤ)を下記により評価し、結果を表1、2に示した。
【0116】
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%及び動歪2%の条件下で、上記加硫ゴム組成物(新品)の複素弾性率E(MPa)及び損失正接tanδを測定した。Eが大きいほど剛性が高く、操縦安定性に優れることを示し、tanδが小さいほど発熱性が低く、低燃費性に優れることを示す。
【0117】
(引張試験)
上記加硫ゴム組成物(新品、乾熱劣化品)からなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、室温にて引張試験を実施し、破断時伸びEB(%)を測定した。EBが大きいほど、破断時伸びに優れることを示す。
【0118】
(接着試験(剥離後ゴム付き評点):スチールコードとの接着性)
試験片(剥離試験用サンプル(新品、湿熱劣化品))を用いて接着試験を行い、剥離後のゴム被覆率(スチールコードとゴム間を剥離したときの剥離面のゴムの覆われている割合)を測定し、5点満点で表示した。5点は全面が覆われ、0点は全く覆われていない状態を示す。評点の大きい方がスチールコードとの接着性が良好である。
【0119】
(加工性(押し出し成型加工性))
各未加硫ゴム組成物について、押出し後の各未加硫ゴム組成物をブレーカー被覆コード反に成形し、次の5つの指標について、目視、触覚により5点満点で官能評価した。数値が大きいほど、押し出し成型加工性に優れることを示している。
(1)シート表面の粘着性(成型直後〜1日室温放置後を通じての評価)
(2)硫黄やステアリン酸亜鉛等の析出物による白色ブルーム状態
(3)ゴムの焼け度合い
(4)平坦さ
(5)エッジ状態
なお、エッジ状態については、最もエッジが真っ直ぐで滑らかな状態を良好とした。また、ゴムの焼け度合いについては、上記成形品から切り出した15cm角の2mmシートにおいて、ピッツ焼けゴム塊による凹凸がない状態を良好とし、平坦さについては、該シートが平坦で平面板に密着する状態を良好として評価した。
【0120】
(コスト)
希少金属(Co)、比重の大きい金属(Zn)、複雑な有機化合物(HTS、変性レゾルシノール樹脂、HMMPME)、約5工程の合成ステップから合成される有機化合物(DCBS、アクチベータ、老化防止剤)>有機物(NR、SBR、C5系石油樹脂)>硫黄>シリカ>カーボンブラック>オイルの順に材料の単価が高い。単価の高い材料を減らすことが配合コストの低減につながる。配合コストを下記のように評価した。
安い ◎ ○ △ x XX 高い
【0121】
(タイヤの耐久性(湿熱劣化耐久試験))
JIS規格の最大荷重(最大空気圧条件)に対して、140%である荷重オーバーロード条件で、試験用タイヤ(湿熱劣化タイヤ)をドラム走行させたときの、トレッド部の膨れなど、外観異常、異音の発生までの走行距離を測定した。比較例1を100とし、各配合の走行距離を指数表示した。なお、指数が大きいほどタイヤの耐久性(東南アジア、日本中南部でのタイヤの耐久性)に優れることを示す。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
鉄含有量が30ppm以下の不溶性硫黄を含み、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が1.45〜1.78であり、ゴム成分100質量部に対して、硫黄の含有量が3.0〜6.0質量部、コバルトの含有量が0.05〜0.15質量部、(A)ステアリン酸と(B)ステアリン酸コバルト(ステアリン酸量換算)から算出されるステアリン酸成分量、及び(C)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物量の合計量が0.5〜1.5質量部である実施例は、酸化亜鉛の含有量/硫黄の含有量の比率が特定値以下であっても、操縦安定性、低燃費性、破断時伸び、スチールコードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性をバランスよく改善できた。
【符号の説明】
【0125】
2 空気入りタイヤ
4 トレッド部
12 ブレーカー
14 インナーライナー
15 バンド
16 ブレーカーエッジストリップ
16A ブレーカーエッジストリップ
16B ブレーカーエッジストリップ
28 カーカスプライ
30 ブレーカー/プライ間ストリップ層
31 ブレーカークッション上ストリップ
32 ブレーカークッション
44 内側層
46 外側層
図1
図2
図3