(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記複数のスイッチそれぞれを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングすることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の中継器。
前記コントローラは、前記複数のスイッチを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同じ周波数、もしくはその奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングすることを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の中継器。
前記第1状態と前記第2状態は、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングされることを特徴とする請求項21に記載の中継器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、比較技術に係るワイヤレス送電システムを示す図である。ワイヤレス送電システム1rは、ワイヤレス給電装置2rおよびワイヤレス受電装置4rを備える。ワイヤレス給電装置2rは、送信コイルL
TX、共振用キャパシタC
TX、交流電源10rを備える。ワイヤレス受電装置4rは、受信コイルL
RX、共振用キャパシタC
RX、負荷70を備える。
【0006】
ワイヤレス送電システム1rにおいて、高効率な電力伝送を実現するためには、ワイヤレス給電装置2rおよびワイヤレス受電装置4rを含む系全体において、共振条件を満たす必要がある。ワイヤレス受電装置4rは移動するため、アンテナ間の結合係数は時々刻々と変化し、その結果、共振条件も時々刻々と変動する。
【0007】
広範囲な給電を行うために、給電装置と受電装置の間に、共振回路を含む中継器を配置することが提案されている。中継器が配置される場合、系全体の共振条件はより複雑となる。時々刻々と変化する共振条件を満たすためには、ワイヤレス給電装置2r、ワイヤレス受電装置4rあるいは中継器それぞれに、可変キャパシタ(バリコン)を設け、その容量値を共振条件を満たすように変化させる必要がある。しかしながら現実的には共振条件を満たす容量値を検出、推定することはきわめて困難である。
【0008】
特に中継器を複数個設ける場合、ワイヤレス給電装置2r、ワイヤレス受電装置4rと複数の中継器の相互作用によって、ある可変キャパシタの容量値を変化させると、それによって共振条件がさらに変化するため、最適解を見つけることは現実的に不可能に近い。
【0009】
また、大電力を伝送する際には、共振回路に生ずる電圧の振幅が大きくなるため、耐圧の観点から、可変キャパシタに使用可能な素子が著しく制約される。
【0010】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ワイヤレス給電システムに使用可能な中継器の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様は、共鳴型のワイヤレス送電システムに使用される中継器に関する。中継器は、中継コイルを含む中継アンテナと、中継アンテナとカップリングされる自動チューニング補助回路と、を備える。自動チューニング補助回路は、中継アンテナとカップリングされる第1端子および第2端子と、N個(Nは自然数)の補助キャパシタと、それぞれが、第1端子、第2端子、N個の補助キャパシタの端子のうち2つの間に設けられた複数のスイッチと、複数のスイッチそれぞれを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同期してスイッチングするコントローラと、を備える。
【0012】
ワイヤレス給電装置からの電力信号の周波数が、中継アンテナを含む共振回路の共振周波数と一致しない場合、共振回路は容量性または誘導性となるため、共振回路に流れる共振電流と共振回路に生ずる共振電圧の間には、位相遅れあるいは位相進みが生ずる。この状態で、複数のスイッチを、電力信号と同期してスイッチングすると、N個の補助キャパシタがそれぞれ、共振電流によって充電もしくは放電される。そして補助キャパシタに生ずる補正電圧が、中継アンテナに印加されることにより、中継アンテナに流れる電流の位相を、複数のスイッチのスイッチングの位相に応じて制御することができる。
【0013】
コントローラは、複数のスイッチそれぞれを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングしてもよい。
【0014】
複数のスイッチは、第1スイッチおよび第2スイッチを含んでもよい。N個の補助キャパシタは、第1補助キャパシタを含んでもよい。第1スイッチおよび第1補助キャパシタは、第1端子と第2端子の間に直列に設けられ、第2スイッチは、第1端子と第2端子の間に、第1スイッチおよび第1補助キャパシタに対して並列に設けられてもよい。
この場合、第1補助キャパシタが、共振電流と共振電圧が同位相となるように充電もしくは放電され、擬似的な共振状態を実現できる。
【0015】
N個の補助キャパシタは、第2補助キャパシタをさらに含んでもよい。第2補助キャパシタは、第1端子と第2端子の間に、第2スイッチと直列に設けられてもよい。
この場合、第1補助キャパシタに加えて第2補助キャパシタが、共振電流と共振電圧が同位相となるように充電もしくは放電されることになり、擬似的な共振状態を実現できる。
【0016】
第1スイッチ、第2スイッチは、片方向スイッチで構成されてもよい。コントローラは、第1スイッチおよび第2スイッチを、それぞれの逆導通素子に電流が流れない位相でスイッチングしてもよい。
【0017】
第1スイッチ、第2スイッチは、双方向スイッチで構成されてもよい。この場合、スイッチングの位相の制約を緩和できる。
【0018】
自動チューニング補助回路は、複数のスイッチは、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチを含んでもよい。N個の補助キャパシタは、第1補助キャパシタを含んでもよい。第1スイッチおよび第2スイッチは、第1端子と第2端子の間に直列に設けられ、第3スイッチおよび第4スイッチは、第1端子と第2端子の間に、第1スイッチおよび第2スイッチに対して並列な経路上に順に直列に設けられ、第1補助キャパシタは、第1スイッチと第2スイッチの接続点と、第3スイッチと第4スイッチの接続点との間の設けられてもよい。
【0019】
第1スイッチから第4スイッチは、片方向スイッチで構成され、コントローラは、第1スイッチから第4スイッチを、それぞれの逆導通素子に電流が流れない位相でスイッチングしてもよい。
【0020】
第1スイッチから第4スイッチは、双方向スイッチで構成されてもよい。この場合、スイッチングの位相の制約を緩和できる。
【0021】
本発明の別の態様もまた、共鳴型のワイヤレス送電システムに使用される中継器に関する。この中継器は、中継コイルを含む中継アンテナと、中継アンテナとカップリングされる自動チューニング補助回路と、を備える。自動チューニング補助回路は、N個(Nは自然数)の補助キャパシタと、中継アンテナに流れる電流によってN個の補助キャパシタそれぞれを充電および放電するために設けられた複数のスイッチと、複数のスイッチをスイッチングすることにより、N個の補助キャパシタそれぞれの両端間にキャパシタ電圧を発生させるとともに、N個の補助キャパシタそれぞれのキャパシタ電圧に応じた補正電圧を、中継アンテナに印加せしめるコントローラと、を備える。
【0022】
ワイヤレス給電装置からの電力信号の周波数が、中継アンテナを含む共振回路の共振周波数と一致しない場合、共振回路は容量性または誘導性となるため、共振回路に流れる共振電流と共振回路に生ずる共振電圧の間には、位相遅れあるいは位相進みが生ずる。この状態で、複数のスイッチを、電力信号と同期してスイッチングすると、N個の補助キャパシタがそれぞれ、共振電流によって充電もしくは放電される。そして補助キャパシタに生ずる補正電圧が、中継アンテナに印加されることにより、中継アンテナに流れる電流の位相を、複数のスイッチのスイッチングの位相に応じて制御することができる。
【0023】
自動チューニング補助回路は、トランスを介して中継アンテナと直列にカップリングされてもよい。
【0024】
中継アンテナは、中継コイルと直列に設けられた共振用キャパシタをさらに含んでもよい。
【0025】
本発明のさらに別の態様も、共鳴型のワイヤレス送電システムに使用される中継器に関する。この中継器は、中継コイルを含む中継アンテナと、中継アンテナとカップリングされ、中継アンテナに補正電流を注入し、または中継アンテナから補正電流を引き抜く自動チューニング補助回路と、を備える。自動チューニング補助回路は、中継アンテナとカップリングされる第1端子および第2端子と、N個(Nは自然数)の補助コイルと、それぞれが、第1端子、第2端子、N個の補助コイルの端子のうち2つの間に設けられた複数のスイッチと、複数のスイッチそれぞれを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同期してスイッチングするコントローラと、を含む。
【0026】
中継アンテナを含む共振システムの共振周波数が電力信号の周波数と一致する場合、補助コイルに流れる電流はゼロとなり、補正電流もゼロとなる。中継アンテナの共振周波数が電力信号の周波数と一致しない場合、中継アンテナを含む共振回路のインピーダンスは容量性または誘導性となるため、中継アンテナには、電力信号に対して遅れたあるいは進んだ位相の電流が発生する。このとき、自動チューニング補助回路のスイッチを電力信号と同期してスイッチングすると、補助コイルに電流が流れる。このとき生成される補助電流を、中継アンテナに流れる電流に足し込み、あるいはそれから引き抜くことにより、中継アンテナに流れる電流の位相を、複数のスイッチのスイッチングの位相に応じて制御することができる。
【0027】
コントローラは、複数のスイッチを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同じ周波数、もしくはその奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングしてもよい。
【0028】
複数のスイッチは、第1スイッチおよび第2スイッチを含んでもよい。N個の補助コイルは、第1補助コイルを含んでもよい。第1スイッチおよび第1補助コイルは、第1端子と第2端子の間に直列に設けられ、第2スイッチは、第1補助コイルに対して並列に設けられてもよい。
【0029】
第1スイッチおよび第2スイッチはそれぞれ、片方向スイッチと、片方向スイッチと直列に設けられ、かつ片方向スイッチの逆導通素子と逆向きに設けられた整流ダイオードと、を含んでもよい。
【0030】
第1スイッチおよび第2スイッチは、双方向スイッチで構成されてもよい。この場合、スイッチングの位相の制約を緩和できる。
【0031】
複数のスイッチは、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチを含んでもよい。N個の補助コイルは、第1補助コイルおよび第2補助コイルを含んでもよい。第1スイッチおよび第1補助コイルは、第1端子と第2端子の間に直列に設けられ、第2スイッチは、第1補助コイルに対して並列に設けら、第3スイッチおよび第2補助コイルは、第1端子と第2端子の間に直列に設けられ、第4スイッチは、第2補助コイルに対して並列に設けられてもよい。
【0032】
複数のスイッチは、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチを含んでもよい。N個の補助コイルは、第1補助コイルを含んでもよい。第1スイッチおよび第2スイッチは、第1端子と第2端子の間に直列に設けられてもよい。第3スイッチおよび第4スイッチは、第1端子と第2端子の間に直列に、かつ第1スイッチおよび第2スイッチに対して並列に設けられてもよい。第1補助コイルは、第1スイッチと第2スイッチの接続点と、第3スイッチと第4スイッチの接続点と、の間に設けられてもよい。
【0033】
第1から第4スイッチはそれぞれ、片方向スイッチと、片方向スイッチと直列に設けられ、かつ片方向スイッチの逆導通素子と逆向きに設けられた整流ダイオードと、を含んでもよい。
【0034】
第1から第4スイッチは、双方向スイッチで構成されてもよい。
【0035】
本発明のさらに別の態様もまた、共鳴型のワイヤレス送電システムに使用される中継器に関する。この中継器は、中継コイルを含む中継アンテナと、中継アンテナとカップリングされ、中継アンテナに補正電流を注入し、または中継アンテナから補正電流を引き抜く自動チューニング補助回路と、を備える。自動チューニング補助回路は、補助コイルを含み、(1)補助コイルが中継アンテナにカップリングされて、補助コイルに流れる電流に応じた補正電流を、中継アンテナに注入しもしくは中継アンテナから引き抜く第1状態と、(2)補助コイルが中継アンテナから切り離され、補助コイルに流れる電流が、中継アンテナとは独立した電流経路に流れる第2状態と、を交互に繰り返すよう構成される。
【0036】
中継アンテナを含む共振システムの共振周波数が電力信号の周波数と一致する場合、補助コイルに流れる電流はゼロとなり、補正電流もゼロとなる。中継アンテナの共振周波数が電力信号の周波数と一致しない場合、中継アンテナを含む共振回路のインピーダンスは容量性または誘導性となるため、中継アンテナには、電力信号に対して遅れたあるいは進んだ位相の電流が発生する。このとき、自動チューニング補助回路のスイッチを電力信号と同期してスイッチングすると、補助コイルに電流が流れる。このとき生成される補助電流を、中継アンテナに流れる電流に足し込み、あるいはそれから引き抜くことにより、中継アンテナに流れる電流の位相を、複数のスイッチのスイッチングの位相に応じて制御することができる。
【0037】
第1状態と第2状態は、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングされてもよい。
【0038】
自動チューニング補助回路は、中継アンテナと直接カップリングされてもよい。
【0039】
自動チューニング補助回路は、中継アンテナとトランスを介してカップリングされてもよい。
【0040】
第1端子は、中継コイルの一端に接続され、第2端子は、中継コイルの他端に接続されてもよい。
【0041】
中継アンテナは、中継コイルと直列に設けられた共振用キャパシタをさらに含んでもよい。第1端子は、共振用キャパシタの一端に接続され、第2端子は、共振用キャパシタの他端に接続されてもよい。
【0042】
中継コイルにはタップが設けられており、第1端子は、タップと接続され、第2端子は、中継コイルの一端と接続されてもよい。
【0043】
中継アンテナは、中継コイルと直列に設けられた2つの共振用キャパシタをさらに含んでもよい。第1端子は、一方の共振用キャパシタの一端に接続され、第2端子は、一方の共振用キャパシタの他端に接続されてもよい。
【0044】
中継コイルと磁気的に結合された第1コイルをさらに備えてもよい。第1端子は、第1コイルの一端と接続され、第2端子は、第1コイルの他端と接続されてもよい。
【0045】
その1次巻線が中継アンテナと直列に設けられたトランスをさらに備えてもよい。第1端子は、トランスの2次巻線の一端と接続され、第2端子は、トランスの2次巻線の他端と接続されてもよい。
【0046】
本発明の別の態様は、ワイヤレス送電システムに関する。ワイヤレス送電システムは、電界、磁界、電磁界のいずれかを含む電力信号を送信するワイヤレス給電装置と、ワイヤレス給電装置からの電力信号を受信するワイヤレス受電装置と、ワイヤレス給電装置からの電力信号を、ワイヤレス受電装置に中継する上述のいずれかの中継器と、を備えてもよい。
【0047】
中継器は、複数設けられてもよい。
【0048】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0049】
本発明のある態様によれば、共振周波数を自動的にチューニングできる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0052】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」、あるいは「部材Aが、部材Bとカップリングされた状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0053】
図2は、実施の形態に係るワイヤレス送電システム1の構成を示すブロック図である。ワイヤレス送電システム1は、ワイヤレス給電装置2、ワイヤレス受電装置4および中継器6を備える。
【0054】
ワイヤレス給電装置2は、ワイヤレス受電装置4に対して電力信号S1を送出する。電力信号S1は、電波になっていない電磁波の近傍界(電界、磁界、あるいは電磁界)が利用される。
【0055】
ワイヤレス給電装置2は、送信アンテナ20および電源22を備える。送信アンテナ20は、その一端と他端の間に設けられた送信コイルL
TXを含む。共振用キャパシタC
TXは、送信コイルL
TXと直列に設けられる。共振用キャパシタC
TXと送信コイルL
TXは入れかえてもよい。
【0056】
電源22は、送信アンテナ20の両端間に、所定の送信周波数f
TXを有する交流の駆動電圧V
DRVを印加する。駆動電圧V
DRVは、矩形波、台形波、正弦波をはじめとする任意の交流波形であって構わない。電源22は、送信アンテナ20に所定の送信周波数f
TXを有する交流電流を供給する電流源であってもよい。送信アンテナ20の送信コイルL
TXは、送信コイルL
TXに流れる電流に応じて、電力信号S1を発生する。
【0057】
ワイヤレス受電装置4は、ワイヤレス給電装置2から送信される電力信号S1を、直接、あるいは中継器6を経由して受ける。
【0058】
ワイヤレス受電装置4は、受信アンテナ40、整流回路42、平滑コンデンサ44、負荷46を備える。
【0059】
受信アンテナ40は、その一端と他端の間に直列に設けられた受信コイルL
RXおよび共振用キャパシタC
RXを含む。
【0060】
整流回路42および平滑コンデンサ44は、受信コイルL
RXに流れる電流を整流、平滑化する。平滑コンデンサ44に生ずる電圧は負荷46に供給される。
【0061】
実施の形態に係る中継器6は、ワイヤレス給電装置2からの電力信号S1をワイヤレス受電装置4に中継する。
【0062】
中継器6は、中継アンテナ60および自動チューニング補助回路100を備える。中継アンテナ60は、直列に接続された中継コイルL
PXおよび共振用キャパシタC
PXを含む。なお共振用キャパシタC
PXは省略してもよい。自動チューニング補助回路(ATAC:Automatic Tuning Assist Circuit)100は、中継アンテナ60とカップリングされる。
【0063】
以下、自動チューニング補助回路100の構成について説明する。
【0064】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、キャパシタを用いた自動チューニング補助回路100について説明する。
【0065】
(第1の実施例)
図3は、第1の実施例に係る自動チューニング補助回路を示す回路図である。
図3の自動チューニング補助回路100は、第1端子P1、第2端子P2、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第1補助キャパシタC
A1、コントローラ102を備える。第1端子P1および第2端子P2の一方は、その電位が固定される。本実施の形態では、第2端子P2が接地されて、その電位が接地電圧V
GNDに固定されるものとする。なお、電位を固定すべきノードは、第1端子P1または第2端子P2には限定されず、その他のノードの電位を固定してもよい。
【0066】
第1スイッチSW1および第1補助キャパシタC
A1は、第1端子P1と第2端子P2の間に直列に設けられる。第1スイッチSW1と第1補助キャパシタC
A1は入れ替えてもよい。
第2スイッチSW2は、第1端子P1と第2端子P2の間に、第1スイッチSW1および第1補助キャパシタC
A1に対して並列に設けられる。第1補助キャパシタC
A1の容量値は、共振用キャパシタC
PXに比べて十分に大きいことが望ましい。
【0067】
コントローラ102は、複数のスイッチSW1、SW2それぞれを、ワイヤレス給電装置2から放射される電力信号S1と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングする。本実施の形態では、理解の容易化と説明の簡潔化のため、スイッチング周波数と電力信号S1の周波数が等しい場合を説明する。
【0068】
本実施の形態において、コントローラ102は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を、電力信号S1と同じ周波数で、かつワイヤレス給電装置2において送信アンテナに印加される駆動電圧(V
DRV)に対してある位相差θ
PXで相補的にスイッチングする。θ
PXの最適値は、送電コイルL
TX、受電コイルL
RXおよび中継コイルL
PXの位置関係、具体的には、それらの距離、向き、コイルの結合度等に応じて変化する。また、給電効率を優先させるか、給電電力を優先させるかによっても、θ
PXの最適値は異なる。
【0069】
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタ等を用いて構成できる。
図4(a)〜(f)は、MOSFETを用いたスイッチの実施例を示す図である。
【0070】
図4(a)は、Nチャンネル、
図4(b)は、PチャンネルのMOSFETを用いた構成を示す。MOSFETのバックゲートをソースと接続すると、バックゲートとドレイン間のボディダイオードがゲート電圧によらずに導通状態となる。したがって、MOSFETを単体で用いたスイッチでは、片方向に対する電流を阻止することができない。本明細書においてこのようなスイッチを片方向スイッチという。
【0071】
図4(c)〜(f)のスイッチは、2つのNチャンネルMOSFET、もしくは2つのPチャンネルMOSFETが、それらのボディダイオードが逆向きとなるように接続される(バックトゥバック接続)。
図4(c)〜(f)では、オフ状態において、いずれの方向にも電流が流れない。本明細書においてこのようなスイッチを、双方向スイッチという。
【0072】
本実施の形態において、各スイッチSW1、SW2は、片方向スイッチ、両方向スイッチのいずれでも構成することができる。なお、片方向スイッチを用いる場合、それらのスイッチングの位相に注意を払う必要がある。これについては後述する。
【0073】
以上が自動チューニング補助回路100の第1の実施例である。続いて自動チューニング補助回路100を備えるワイヤレス送電システム1の動作を説明する。ここでは例として、
図2のワイヤレス送電システム1において、中継アンテナ60の共振周波数が、電力信号S1の周波数f
TXに対して、1.3%ずれている状況を想定する。
【0074】
図5は、自動チューニング補助回路100の動作波形図である。
図5は上から順に、ワイヤレス給電装置2の駆動電圧V
DRV、送信電流I
TX、中継コイルL
PXと共振用キャパシタC
PXの両端間の共振電圧V
PX、中継アンテナ60に流れる共振電流I
PX、補正電圧V
A、第1スイッチSW2、第2スイッチSW2、ワイヤレス受電装置4の受信電流I
RXを示す。このシミュレーションでは、自動チューニング補助回路100のスイッチングの位相θ
PXは、ワイヤレス給電装置2の駆動電圧V
DRVの位相に対して80°進んでいる。
【0075】
図6は、
図2のワイヤレス送電システム1全体の電流、電圧波形図である。
図6は上から順に、ワイヤレス給電装置2の駆動電圧V
DRV、ワイヤレス給電装置2のコイル電流I
TX、中継器6のコイル電流I
PX、ワイヤレス受電装置4のコイル電流I
RXを示す。実線は、
図5に示すように自動チューニング補助回路100を動作させてから十分な時間が経過した後の定常状態(疑似共振状態)における波形を、破線は、自動チューニング補助回路100を動作させない、あるいは省略したときの非共振状態における波形を示す。
【0076】
なお、本明細書における波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化されている。
【0077】
コントローラ102は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を、ワイヤレス給電装置側の駆動電圧V
DRVと同じ周波数で、かつ駆動電圧V
DRVに対してある最適な位相差θ
PX、この例ではθ
PX=−80°にて相補的にスイッチングする。
【0078】
共振電流I
PXは、第1スイッチSW1のオン時間T
ON1において第1補助キャパシタC
A1に流れ、第2スイッチSW2のオン時間T
ON2において、第2スイッチSW2を介して接地に流れる。つまり、第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
PXによって充放電され、その結果、第1補助キャパシタC
A1には、キャパシタ電圧V
CA1が発生する。
【0079】
自動チューニング補助回路100は、中継アンテナ60の一方の端子に補正電圧V
Aを印加する。補正電圧V
Aは、第1スイッチSW1がオンの期間T
ON1において、第1補助キャパシタ電圧V
CA1をとり、第2スイッチSW2がオンの期間T
ON2において、接地電圧V
GNDをとる。自動チューニング補助回路100は、補正電圧V
Aを中継アンテナ60に印加する補正電源と把握することができる。
図7は、
図3の中継器6の等価回路図である。
【0080】
図6に戻る。まず、
図6の破線を参照し、自動チューニング補助回路100を動作させない状態、すなわち第1スイッチSW1をオフで固定し、第2スイッチSW2をオンで固定した状態について説明する。これは、補正電圧V
Aが接地電圧V
GNDに固定される状態と等価である。このとき、中継コイルL
PXには、送信コイルL
TXの電流I
TXに対して遅れた位相で、コイル電流I
PXが流れる。ワイヤレス受電装置4の受信コイルL
RXは、コイル電流I
PXに応じて中継コイルL
PX発生する磁界と、コイル電流I
TXに応じて送信コイルL
TXが発生する磁界の合成磁界を受信する。自動チューニング補助回路100の破線の波形では、これらの2つの磁界が強め合うことはなく、したがって受信コイルL
RXに流れるコイル電流I
RXの振幅は小さくなる。
【0081】
続いて、
図5の実線を参照し、自動チューニング補助回路100を動作させたときの動作を説明する。自動チューニング補助回路100を動作させると、中継アンテナ60には、駆動電圧V
DRVに対してθ
PX=80°進んだ位相の補正電圧V
Aが印加され、コイル電流I
PXの位相が進む。これにより中継コイルL
PXには、送信コイルL
TXの電流I
TXと同じ位相で、コイル電流I
PXが流れ、擬似的な共振状態となる。その結果、コイル電流I
PXに応じて中継コイルL
PX発生する磁界と、コイル電流I
TXに応じて送信コイルL
TXが発生する磁界が、受信コイルL
RXにおいて強め合い、受信コイルL
RXに流れるコイル電流I
RXの振幅、つまり負荷に供給する電力を増大させることができる。
【0082】
実施の形態に係る中継器6が備える自動チューニング補助回路100の優れた利点のひとつは、疑似共振状態を満足する補正電圧V
Aを自動的に生成できる点である。
図8は、非共振状態および共振状態における共振電流I
PXを示す図である。波形(I)は、非共振状態における共振電流I
PXを示す。スイッチSW1がオンの期間T
ON1において、第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
PXによって充放電される。具体的には、第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
PXが正の期間に充電され、負の期間に放電される。その結果、正の期間が長ければキャパシタ電圧V
CA1は増大し、負の期間が長ければキャパシタ電圧V
CA1は低下する。
【0083】
あるサイクルのオン時間T
ON1において、キャパシタ電圧V
CA1が増大する。そして、増大したキャパシタ電圧V
CA1に応じた補正電圧V
Aが中継アンテナ60に印加される。そうすると、次のサイクルでは、共振電流I
PXの位相が前のサイクルより進む。これを繰り返すと、キャパシタ電圧V
CA1がサイクル毎に増加しながら、共振電流I
PXの位相が徐々に進んでいき、共振点までシフトしていく。共振電流I
PXの位相が進みすぎると、反対に第1補助キャパシタC
A1の放電電流の方が大きくなり、キャパシタ電圧VC
A1が低下する方向にフィードバックがかかり、共振点に引き戻される。共振点では1サイクルでの第1補助キャパシタC
A1の充電電流と放電電流がバランスし、キャパシタ電圧V
CA1が平衡状態となり、擬似的な共振状態が持続する。このように、
図2の中継器6によれば、疑似共振状態を生ずるために必要な補正電圧V
Aを自動的に生成できる。
【0084】
以上が中継器6の動作である。
中継器6によれば、中継アンテナ60の共振周波数f
cを調節することなく、疑似共振状態を実現するように回路の状態を自動的にチューニングすることができる。ワイヤレス送電では、ワイヤレス給電装置2とワイヤレス受電装置4の位置関係、より具体的には各コイルの結合係数kに応じて、共振周波数が時々刻々と変化するが、中継器6を配置することにより、その変化に高速に追従することができ、高効率な電力伝送が可能となる。
【0085】
またワイヤレス給電で大電力を伝送しようとすると、共振用キャパシタC
PXの両端間の電圧は非常に大きくなるため、バリコン(バリキャップ)の利用は制約される。中継器6によれば共振用キャパシタC
PXの容量値を調節する必要がないため、バリコン等を使用する必要がないという利点もある。
【0086】
ここでは、第1スイッチSW1を、駆動電圧V
DRVに対してθ
PX=80°進んだ位相でスイッチングさせる場合を説明したが、位相差θ
PXの最適値は、各コイルの定数の大小関係、それらの位置関係、結合度等をパラメータとして変化する。
【0087】
このように、中継器6を用いたワイヤレス送電システム1において、疑似共振状態を実現するためには、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を適切な周波数fおよび位相θ
PXでスイッチングさせる必要がある。そこでワイヤレス給電装置2から中継器6に対して、周波数f
TXおよび位相θ
RXを示すデータを送信してもよい。あるいは中継器6は、位相θ
PXをスイープし、最適な位相θ
PXを検出してもよい。後述の実施例においても同様である。
【0088】
(第2の実施例)
続いて自動チューニング補助回路の第2の実施例について説明する。
図9は、第2の実施例に係る自動チューニング補助回路を示す回路図である。
図9の自動チューニング補助回路100aは、2個の補助キャパシタを備える。
自動チューニング補助回路100aは、
図3の第1端子P1、第2端子P2、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第1補助キャパシタC
A1、コントローラ102に加えて、第2補助キャパシタC
A2を備える。第2補助キャパシタC
A2は、第1端子P1と第2端子P2の間に、第2スイッチSW2と直列に設けられる。第2スイッチSW2と第2補助キャパシタC
A2は入れ替えてもよい。
【0089】
図9の自動チューニング補助回路100aにおいて、補正電圧V
Aは、第1スイッチSW1のオン時間T
ON1においてキャパシタ電圧V
CA1と等しくなり、第2スイッチSW2のオン時間T
ON2においてキャパシタ電圧V
CA2と等しくなる。
【0090】
自動チューニング補助回路100aを備える中継器6aによれば、キャパシタ電圧V
CA1、V
CA2が自動的に最適化され、f
TX>f
c、f
TX<f
cいずれの場合も疑似共振状態を実現できる。
【0091】
(第3の実施例)
続いて自動チューニング補助回路の第3の実施例について説明する。
図10は、第3の実施例に係る自動チューニング補助回路を示す回路図である。
図10の自動チューニング補助回路100bは、1個の補助キャパシタを備える点で、第1の実施例と共通するが、複数のスイッチのトポロジーが第1の実施例と異なっている。
【0092】
自動チューニング補助回路100bは、第1端子P1、第2端子P2、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、第1補助キャパシタC
A1、コントローラ102bを備える。
【0093】
第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4は、いわゆるHブリッジ回路を構成している。具体的には、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、第1端子P1と第2端子P2の間に直列に設けられる。第3スイッチSW3および第4スイッチSW4は、第1端子P1と第2端子P2の間に、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2に対して並列な経路上に順に直列に設けられる。
【0094】
第1補助キャパシタC
A1は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続点N1と、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4の接続点N2との間の設けられる。第1補助キャパシタC
A1の容量値は、共振用キャパシタC
PXに比べて十分に大きいことが望ましい。
【0095】
第1スイッチSW1から第4スイッチSW4は、片方向スイッチで構成してもよい。この場合、コントローラ102bは、第1スイッチSW1から第4スイッチSW2を、それぞれの逆導通素子に電流が流れない位相θ
PXでスイッチングする。つまり、位相θ
PXが制約を受ける。
【0096】
あるいは第1スイッチSW1から第4スイッチSW4は、双方向スイッチで構成してもよい。この場合、コントローラ102bスイッチングの位相θ
PXの制約を緩和できる。
【0097】
以上が自動チューニング補助回路100bの構成である。続いてその動作を説明する。
図11は、
図10の中継器6bの動作波形図である。
図11は上から順に、第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4、補正電圧V
A、中継アンテナ60に流れる共振電流I
PX、中継コイルL
PXと共振用キャパシタC
PXの両端間の共振電圧V
PXを示す。スイッチを示す波形は、ハイレベルがオン状態を、ローレベルがオフ状態を示す。また共振電流I
PXおよび共振電圧V
PXは、自動チューニング補助回路100bを動作させてから十分な時間が経過した後の定常状態における波形を示す。
【0098】
第1スイッチSW1および第4スイッチSW4を含む第1のペアは、ワイヤレス給電装置側の駆動電圧V
DRVに対してある位相差θ
PXで相補的にスイッチングされる。ここでは、一例としてθ
PX=180°(または0°)の場合を示す。第2スイッチSW2および第3スイッチSW3を含む第2のペアは、第1のペアと相補的にスイッチングされる。共振電流I
PXは、第1のペアのオン時間T
ON1において、第1スイッチSW1、第1補助キャパシタC
A1、第4スイッチSW4を含む経路に流れ、第2のペアのオン時間T
ON2において、第2スイッチSW2、第1補助キャパシタC
A2、第3スイッチSW3を含む経路に流れる。
【0099】
第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
PXによって充放電され、その結果、第1補助キャパシタC
A1には、キャパシタ電圧V
CA1が発生する。自動チューニング補助回路100bは、中継アンテナ60の一端に補正電圧V
Aを印加する。補正電圧V
Aは、第1のペアがオンの期間T
ON1において第1の極性をとり、第2のペアがオンの期間T
ON2において第2の極性をとる。自動チューニング補助回路100bは、補正電圧V
Aを中継アンテナ60に印加する補正電源と把握することができる。すなわち、中継器6bの等価回路は、
図7の等価回路と同等とみなすことができ、その動作原理も同様であることがわかる。
【0100】
そしてキャパシタ電圧V
CA1に応じた補正電圧V
Aが中継アンテナ60に印加されることにより、共振電流I
PXの位相が、送信側の駆動電圧V
DRVの位相と一致し、疑似共振状態が実現できる。また、第1、第2の実施例と同様に、キャパシタ電圧V
CA1は、疑似共振状態が成り立つように自動的に調節されていく。
【0101】
(第1の実施の形態のまとめ)
第1、第2の実施例では、補助キャパシタが1個、または2個の場合を説明したが、当業者であれば、任意の個数の補助キャパシタを用いて、同様の機能を奏する回路を構成しうることが理解されよう。
また、第1、第2の実施例では、スイッチが2個の場合、第3の実施例では、スイッチが4個の場合を説明したが、当業者によれば、複数のスイッチのトポロジーも、補助キャパシタの個数に応じて適宜配置しうる。
【0102】
つまり、第1から第3の実施例に具現化される第1の実施の形態に係る発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
(第1の技術的思想)
自動チューニング補助回路100は、中継アンテナ60とカップリングされる第1端子P1および第2端子P2と、N個(Nは自然数)の補助キャパシタC
A1〜C
ANと、複数M個(Mは自然数)のスイッチSW1〜SWMと、コントローラ102と、を備える。複数のスイッチSW1〜SWMはそれぞれ、第1端子P1、第2端子P2、N個の補助キャパシタC
A1〜C
ANの端子のうち2つの間に設けられる。コントローラ102は、複数のスイッチSW1〜SWMそれぞれを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号S1と同期してスイッチングする。
【0103】
また、別の観点からみると、以下の技術的思想が導かれる。
(第2の技術的思想)
自動チューニング補助回路100は、N個(Nは自然数)の補助キャパシタC
A1〜C
ANと、複数M個(Mは自然数)のスイッチSW1〜SWMと、コントローラ102と、を備える。複数のスイッチSW1〜SWMは、中継アンテナ60に流れる電流I
PXによってN個の補助キャパシタC
A1〜C
ANそれぞれを充電および放電できるように配置される。コントローラ102は、複数のスイッチSW1〜SWMをスイッチングすることにより、N個の補助キャパシタC
A1〜C
ANそれぞれの両端間にキャパシタ電圧V
CA1〜V
CANを発生させるとともに、N個の補助キャパシタC
A1〜C
ANそれぞれのキャパシタ電圧V
CA1〜V
CANに応じた補正電圧V
Aを、中継アンテナ60に印加せしめる。
【0104】
したがって、第1から第3の実施例で説明した構成のみでなく、第1または第2の技術的思想によって導かれるさまざまな形式の自動チューニング補助回路が、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0105】
続いて、自動チューニング補助回路100と、中継アンテナ60のカップリングの変形例を説明する。
【0106】
(変形例1)
図12は、変形例に係る中継器6cを示すブロック図である。中継器6cは、中継アンテナ60と、自動チューニング補助回路100と、トランスT1を備える。
中継器6cにおいて、自動チューニング補助回路100は、トランスT1を介して中継アンテナ60と直列にカップリングされる。具体的には、トランスT1の2次巻線W2は第1端子P1と第2端子P2の間に設けられ、その1次巻線W1は、中継アンテナ60と直列に設けられる。
【0107】
この中継器6cでは、トランスT1を介して中継アンテナ60と自動チューニング補助回路100の間のエネルギーの授受が行われる。この構成によっても、これまで説明した中継器6と同様の効果を得ることができる。
【0108】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、キャパシタを用いた自動チューニング補助回路100について説明したが、キャパシタに代えて、インダクタを用いた構成も可能である。
【0109】
(第4の実施例)
図13は、第4の実施例に係る自動チューニング補助回路200を備える中継器6dを示す回路図である。自動チューニング補助回路200は、中継アンテナ60とカップリングされ、中継アンテナ60に第1補正電流I
Aを注入(ソース)し、または中継アンテナ60から補正電流I
Aを引き抜く(シンク)ように構成される。
図13では、自動チューニング補助回路200は、中継アンテナ60に直接カップリングされる。本実施の形態では、中継アンテナ60から自動チューニング補助回路30に向かう向き(シンク)を、補正電流I
Aの正とする。
【0110】
図13の自動チューニング補助回路200は、第1端子P1、第2端子P2、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第1補助コイルL
A1、コントローラ202を備える。
【0111】
第1端子P1、第2端子P2は、中継アンテナ60とカップリングされる。第1スイッチSW1および第1補助コイルL
A1は、第1端子P1と第2端子P2の間に直列に設けられる。第1スイッチSW1および第1補助コイルL
A1は入れ替えてもよい。第2スイッチSW2は、第1補助コイルL
A1に対して並列に設けられる。
【0112】
コントローラ202は、複数のスイッチSW1、SW2それぞれを、ワイヤレス給電装置2から放射される電力信号S1と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングする。本実施の形態では、理解の容易化と説明の簡潔化のため、スイッチング周波数と電力信号S1の周波数が等しい場合を説明する。
【0113】
自動チューニング補助回路200は、第1状態φ1と第2状態φ2を、電力信号S1と同じ周波数、または奇数倍、奇数分の1倍の周波数で交互に繰り返す。本実施の形態では、スイッチング周波数と電力信号S1の周波数f
TXは等しい。
【0114】
第1状態φ1では、第1スイッチSW1がオン、第2スイッチSW2がオフし、第1補助コイルL
A1が中継アンテナ60にカップリングされて、第1補助コイルL
A1に流れる電流I
LA1に応じた補正電流I
Aが、中継アンテナ60に注入され、もしくは中継アンテナ60から引き抜かれる。第2状態φ2では、第2スイッチSW2がオン、第1スイッチSW1がオフし、第1補助コイルL
A1が中継アンテナ60から切り離され、第1補助コイルL
A1に流れる電流I
LA1が、中継アンテナ60とは独立した電流経路(SW2)に流れる。
【0115】
コントローラ202は、第1状態φ1と第2状態φ2を、ワイヤレス給電装置(不図示)において送信アンテナに印加される駆動電圧V
DRVと同じ周波数f
TXで、かつ駆動電圧V
DRVに対して所定の位相差θ
PXで切りかえてもよい。
【0116】
第1の実施の形態と同様に、各スイッチは、片方向スイッチであってもよいし、双方向スイッチであってもよい。なお、片方向スイッチを使用する場合、コントローラ202は、各スイッチを、それぞれの逆導通素子に電流が流れない位相でスイッチングする。
【0117】
以上が中継器6dの構成である。続いてその動作を説明する。
スイッチSW1、SW2はそれぞれ、オフ状態においていずれの方向にも電流を流さない双方向スイッチであるものとする。
【0118】
図14は、
図13の中継器6dの動作波形図である。上から順に、中継コイルL
PXと共振用キャパシタC
PXの両端間の共振電圧V
PX、中継アンテナ60に流れる共振電流I
PX、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、補正電流I
A、第1補助コイルL
A1の電流I
LA1を示す。共振電流I
PXおよび共振電圧V
PXは、実線が自動チューニング補助回路200を動作させてから十分な時間が経過した後の定常状態(疑似共振状態)における波形を、破線が自動チューニング補助回路200を動作させない非共振状態における波形を示す。
【0119】
コントローラ202は、駆動電圧V
DRVと同じ周波数で、かつ駆動電圧V
DRVに対して所定の位相差θ
PXで、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を相補的にスイッチングする。
【0120】
疑似共振状態を実現するためには、第1スイッチSW1および第1スイッチSW1を適切な周波数f
TXおよび位相θ
PXでスイッチングさせる必要がある。そこでワイヤレス給電装置2から中継器6dに対して、周波数f
TXおよび位相θ
PXを示すデータを送信してもよい。あるいは中継器6dは、位相θ
PXをスイープし、最適な位相θ
PXを検出してもよい。
【0121】
そして第1状態φ1と第2状態φ2を繰り返すことにより、第1補助コイルL
A1の電流I
LA1の大きさおよび向きは、駆動電圧V
DRVと共振電流I
PXの位相差がゼロとなるように、すなわち共振状態が成り立つポイントに収束する。
【0122】
第2状態φ2では、電流I
LA1は第2スイッチSW2を含むループに流れ、そのレベルは一定に保たれる。そして第1状態φ1では、電流I
LA1が、補正電流I
Aとして中継アンテナ60に供給される。つまり自動チューニング補助回路200は、補正電流I
Aを中継アンテナ60に供給する補正電流源と把握することができる。
【0123】
図15は、
図13の中継器6dの等価回路図である。第1の実施の形態で説明したキャパシタを用いた自動チューニング補助回路100が補正電圧源と把握されるのに対して、コイルを用いた自動チューニング補助回路200は、補正電流I
Aを中継アンテナ60に供給する補正電流源と把握することができる。
【0124】
以上が中継器6の動作である。
図13の中継器6dによれば、共振用キャパシタC
PXの容量値を調節することなく、自動的に共振状態を実現することができる。また、自動チューニング補助回路200によれば、疑似共振状態を満足する補正電流I
Aを自動的に生成できる。
【0125】
図16(a)、(b)は、
図13の自動チューニング補助回路200の変形例を示す回路図である。これらの変形例では、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2は、片方向スイッチを用いて構成される。
【0126】
図16(a)、(b)において、第1スイッチSW1は、片方向スイッチSW1aと、それと直列に設けられた整流ダイオードD1bを含む。整流ダイオードD1bは、片方向スイッチSW1aの逆導通素子である寄生ダイオード(ボディダイオード)D1aと逆向きに配置される。スイッチSW1aと整流ダイオードD1bの順序は入れ替えてもよい。
【0127】
第2スイッチSW2も第1スイッチSW1と同様に構成され、片方向スイッチSW2aと、それと直列に設けられた整流ダイオードD2bを含む。整流ダイオードD2bは、片方向スイッチSW2aの寄生ダイオード(ボディダイオード)D2aと逆向きに配置される。スイッチSW2aと整流ダイオードD2bの順序は入れ替えてもよい。
【0128】
整流ダイオードD1b、D2bを、寄生ダイオードD1a、D2aと逆向きに設けることにより、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2が意図せずにオンするのを防止することができる。
【0129】
なお、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2を双方向スイッチで構成する場合、自動チューニング補助回路200は、正、負両方の補正電流I
Aを生成可能であった。これに対して、
図16(a)の自動チューニング補助回路200aは、正の補正電流I
Aを生成できるが、負の補正電流I
Aは生成できない。反対に
図16(b)の自動チューニング補助回路200bは、負の補正電流I
Aを生成できるが、正の補正電流I
Aは生成できない。したがって、
図16(a)、(b)の自動チューニング補助回路200a、200bでは、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のスイッチングの位相が制約される。
【0130】
(第5の実施例)
図17は、第5の実施例に係る自動チューニング補助回路200cを備える中継器6eを示す回路図である。
自動チューニング補助回路200cは、
図13の自動チューニング補助回路200に加えて、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、第2補助コイルL
A2を備える。第3スイッチSW3および第2補助コイルL
A2は、第1端子P1と第2端子P2の間に直列に設けられる。第3スイッチSW3および第2補助コイルL
A2は入れ替えてもよい。第4スイッチSW4は、第2補助コイルL
A2に対して並列に設けられる。コントローラ202は、第1状態φ1において第1スイッチSW1および第4スイッチSW4をオンし、第2状態φ2において第2スイッチSW2および第3スイッチSW3をオンする。
【0131】
以上が中継器6eの構成である。続いてその動作を説明する。
【0132】
図18は、
図17の中継器6eの動作波形図である。
第1状態φ1では、第1補助コイルL
A1が中継アンテナ60にカップリングされて、第1補助コイルL
A1に流れる電流I
LA1に応じた第1補正電流I
Aが、中継アンテナ60に注入され、もしくは中継アンテナ60から引き抜かれる。このとき、第2補助コイルL
A2は中継アンテナ60から切り離され、第2補助コイルL
A2に流れる電流I
LA2が、中継アンテナ60とは独立した電流経路に流れる。
【0133】
第2状態φ2では、第1補助コイルL
A1が中継アンテナ60から切り離され、第1補助コイルL
A1に流れる電流I
LA1が、中継アンテナ60とは独立した電流経路に流れる。このとき、第2補助コイルL
A2が中継アンテナ60にカップリングされて、第2補助コイルL
A2に流れる電流I
LA2に応じた第2補正電流I
A2が、中継アンテナ60に注入され、もしくは中継アンテナ60から引き抜かれる。
【0134】
つまり、2つの補助コイルL
A1、L
A2が相補的に中継アンテナ60にカップリングされ、補正電流I
A1、I
A2が交互に中継アンテナ60に供給される。別の観点から見ると
図17の自動チューニング補助回路200aは、
図13の自動チューニング補助回路200を2個備え、それらが逆相で動作するものと理解できる。そして、第1補助コイルL
A1による補正電流I
A1と、第2補助コイルL
A2による補正電流I
A2は逆極性となる。中継アンテナ60に供給される補正電流I
Aは、2つの補正電流I
A1、I
A2の合計となる。
【0135】
この中継器6eによれば、第4の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0136】
図19は、
図17の自動チューニング補助回路200cの変形例を示す回路図である。この変形例では、第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4は、片方向スイッチを用いて構成される。
図19の自動チューニング補助回路200dにおいて、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、
図16(a)と同様に構成され、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4は、
図16(b)と同様に構成される。この変形例によっても、
図17の自動チューニング補助回路200cと同様の効果を得ることができる。
【0137】
(第6の実施例)
図20は、第6の実施例に係る自動チューニング補助回路200eを備える中継器6fを示す回路図である。
【0138】
自動チューニング補助回路200eは、Hブリッジ回路を構成する第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4および第1補助コイルL
A1を備える。具体的には、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、第1端子P1と第2端子P2の間に直列に設けられる。第3スイッチSW3および第4スイッチは、第1端子P1と第2端子P2の間に直列に、かつ第1スイッチSW1および第2スイッチSW2に対して並列に設けられる。第1補助コイルL
A1は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続点N3と、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4の接続点N4と、の間に設けられる。
【0139】
第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4は、片方向スイッチで構成してもよいし、双方向スイッチで構成してもよい。双方向スイッチを用いる場合、スイッチSW1〜SW4を、
図19のスイッチSW1〜SW4のように構成すればよい。
【0140】
コントローラ202は、第1スイッチSW1および第4スイッチSW4のペアがオンとなる第1状態φ1と、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3のペアがオンとなる第2状態φ2と、を電力信号S1と同じ周波数でスイッチングする。
【0141】
図20の自動チューニング補助回路200eによれば、正負両極性の補正電流を、単一の補正コイルを用いて生成することができる。
【0142】
(第2の実施の形態のまとめ)
第4、第5の実施例では、補助コイルが1個、または2個の場合を説明したが、当業者であれば、任意の個数の補助コイルを用いて、同様の機能を奏する回路を構成しうることが理解されよう。
また、第4の実施例ではスイッチが2個の場合、第5、第6の実施例では、スイッチが4個の場合を説明したが、当業者によれば、複数のスイッチのトポロジーも、補助コイルの個数に応じて適宜配置しうる。
【0143】
つまり、第4から第6の実施例に具現化される第2の実施の形態に係る発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
(第3の技術的思想)
自動チューニング補助回路200は、中継アンテナ60とカップリングされる第1端子P1および第2端子P2と、N個(Nは自然数)の補助コイルL
A1〜L
ANと、複数M個(Mは自然数)のスイッチSW1〜SWMと、コントローラ202と、を備える。複数のスイッチSW1〜SWMはそれぞれ、第1端子P1、第2端子P2、N個の補助キャパシタC
A1〜C
ANの端子のうち2つの間に設けられる。コントローラ202は、複数のスイッチSW1〜SWMそれぞれを、ワイヤレス給電装置から放射される電力信号S1と同期してスイッチングする。
【0144】
また、別の観点からみると、以下の技術的思想が導かれる。
(第4の技術的思想)
自動チューニング補助回路200は、補助コイルL
Aを含み、(1)補助コイルL
Aが中継アンテナ60にカップリングされて、補助コイルL
Aに流れる電流I
LAに応じた補正電流I
Aを、中継アンテナ60に注入しもしくは中継アンテナ60から引き抜く第1状態φ1と、(2)補助コイルL
Aが中継アンテナ60から切り離され、補助コイルL
Aに流れる電流I
LAが、中継アンテナ60とは独立した電流経路に流れる第2状態φ2と、を交互に繰り返すよう構成される。
【0145】
したがって、第4から第6の実施例で説明した構成のみでなく、第3または第4の技術的思想によって導かれるさまざまな形式の自動チューニング補助回路が、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0146】
続いて、自動チューニング補助回路200と、中継アンテナ60のカップリングの変形例を説明する。
【0147】
図21(a)〜(f)は、自動チューニング補助回路200と中継アンテナ60のカップリングの変形例を示す回路図である。
図21(a)〜(d)では、自動チューニング補助回路200が中継アンテナ60と直接カップリングされる。
図21(e)、(f)では、自動チューニング補助回路200が中継アンテナ60と磁気的に結合される。
【0148】
図21(a)は、
図13、
図17、
図20と同様である。
図21(b)では、自動チューニング補助回路200は、共振用キャパシタC
PXとカップリングされる。
図21(c)の中継コイルL
PXにはタップ63が設けられる。自動チューニング補助回路200の第1端子P1は、タップ63と接続され、第2端子P2は、中継コイルL
PXの一端と接続される。
【0149】
図21(d)の中継アンテナ60は、中継コイルL
PXと直列に設けられた2つの共振用キャパシタC
PX1、C
PX2含む。自動チューニング補助回路200の第1端子P1は、一方の共振用キャパシタC
PX2の一端に接続され、第2端子P2は、同じ共振用キャパシタC
PX2の他端と接続される。
【0150】
図21(e)の中継器は、中継コイルL
PXと磁気的に結合された第2コイルL2をさらに備える。自動チューニング補助回路200の第1端子P1は、第2コイルL2の一端と接続され、第2端子P2は、第2コイルL2の他端と接続される。
【0151】
図21(f)の中継器は、トランスT2をさらに備える。トランスT2の1次巻線W1は、中継コイルL
PXと直列に設けられる。自動チューニング補助回路200の第1端子P1は、トランスT2の2次巻線W2の一端と接続され、第2端子P2は、2次巻線W2の他端と接続される。
【0152】
図21(a)〜(f)の変形例、あるいはこれらに類似する回路においても、擬似的な共振状態を実現できる。
また、
図21(c)〜(f)の構成では、
図21(a)、(b)に比べて、自動チューニング補助回路200の端子P1−P2間の電圧を下げることができる。したがって、自動チューニング補助回路200を構成するスイッチに低耐圧素子を利用することができ、設計が容易となり、あるいは低コスト化できる。
【0153】
以上、本発明について、第1、第2の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0154】
実施の形態では
図2に示すように、中継器6にのみ自動チューニング補助回路100(200)を設ける場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。たとえば、中継器6に加えて、ワイヤレス給電装置2に、自動チューニング補助回路100(200)を実装してもよい。あるいは、中継器6に加えて、ワイヤレス受電装置4に自動チューニング補助回路100(200)を実装してもよい。
【0155】
実施の形態では
図2に示すように、単一の中継器6を設ける場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。
図22は、変形例に係るワイヤレス送電システム1aを示すブロック図である。
図22のワイヤレス送電システム1aは、複数の中継器6を備える。複数の中継器6は、アレー状に配置してもよい。複数の中継器6はそれぞれ、自動チューニング補助回路100(200)を備える。
【0156】
複数の中継器6それぞれにおいて、自動チューニング補助回路100(200)を同期して動作させることにより、ワイヤレス給電装置2、ワイヤレス受電装置4、複数の中継器6の相互作用によって共振条件が変化しても、その変化に追従するように、各自動チューニング補助回路100(200)における補正電圧V
Aあるいは補正電流I
Aが最適化され、ワイヤレス送電システム1a全体で共振条件を満たすことができる。
【0157】
複数の自動チューニング補助回路100(200)におけるスイッチングの位相φ
PXは同じであってもよい。
【0158】
あるいは、意図的に自動チューニング補助回路100(200)ごとに、位相φ
PXを異ならしめてもよい。この場合、中継器6ごとに中継する電力信号S1(磁界)の量を制御することができる。この制御によって、ワイヤレス受電装置4が複数の存在する場合に、ワイヤレス受電装置4ごとに給電量を制御したり、電力信号S1の指向性を制御することができる。
【0159】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。