特許第5715617号(P5715617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715617マイクロニードルデバイス及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715617
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】マイクロニードルデバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20150416BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61M37/00 520
   A61K9/00
   A61K9/70
   A61K47/10
   A61K47/38
   A61K47/34
   A61K47/36
   A61K47/02
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-501859(P2012-501859)
(86)(22)【出願日】2011年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2011054177
(87)【国際公開番号】WO2011105508
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2012年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2010-39318(P2010-39318)
(32)【優先日】2010年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松戸 俊之
(72)【発明者】
【氏名】西村 真平
(72)【発明者】
【氏名】徳本 誠治
(72)【発明者】
【氏名】森本 久美
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/051147(WO,A1)
【文献】 特表2004−504120(JP,A)
【文献】 特許第2926742(JP,B2)
【文献】 特表2008−509746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61K 9/00− 9/70
A61K 47/02−47/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた、マイクロニードルと、
前記マイクロニードル上及び/又は基板上に付着している生理活性組成物と、を備えるマイクロニードルデバイスであって、
前記生理活性組成物は、
グリセリンと、コンドロイチン硫酸、クロスカルメロースナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物と、生理活性物質とを含み、実質的に水を含有しない、又は、
プロピレングリコールと、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物と、生理活性物質とを含み、実質的に水を含有しない、
マイクロニードルデバイス。
【請求項2】
前記生理活性組成物は前記マイクロニードル上及び/又は基板上に固着化されている請求項1に記載のマイクロニードルデバイス。
【請求項3】
生理活性物質と当該生理活性物質を分散又は溶解可能な溶媒とを含有する生理活性組成物を、マイクロニードル上に付着させるマイクロニードルデバイスの製造方法であって、 前記生理活性組成物はンドロイチン硫酸、クロスカルメロースナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含み、前記溶媒として、グリセリンを用い、水を用いない、又は、
前記生理活性組成物はコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含み、前記溶媒として、プロピレングリコールを用い、水を用いない、
製造方法。
【請求項4】
生理活性物質とグリセリン又はプロピレングリコールの質量比率が、20:80〜80:20である、請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記生理活性組成物は、粘度が600〜45000cpsである、請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
生理活性物質と当該生理活性物質を分散又は溶解可能な溶媒とを含有する生理活性組成物を、前記溶媒の揮発が生じ得る容器に収容させた後に、マイクロニードル上に付着させマイクロニードルデバイスを製造するに当り、
前記生理活性組成物は、コンドロイチン硫酸、クロスカルメロースナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含み、前記溶媒として、グリセリンを用い、水を用いない、又は、
前記生理活性組成物はコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含み、前記溶媒として、プロピレングリコールを用い、水を用いない、
生理活性組成物の付着量安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロニードルデバイス及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤の経皮吸収を向上させるためのデバイスとしてマイクロニードルデバイスが知られている。マイクロニードルデバイスに設けられるマイクロニードルは、皮膚最外層である角質層を穿刺することを目的とし、様々なサイズや形状が提案されており、非侵襲的な投与方法として期待されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、マイクロニードルデバイスを利用した場合の薬剤の適用方法についても様々な方法が提案されている。例えば、薬剤をマイクロニードル表面にコーティングすること、マイクロニードルに薬剤又は生体成分を透過させるための溝又は中空部分を設けること、マイクロニードル自身に薬剤を混合すること等が知られている。このとき、薬剤をコーティングする際一緒に混ぜ合わせる物質は、好ましくは糖類を含有し、特に、ガラス(非晶質の固体物質)を形成するラクトース、ラフィノース、トレハロース若しくはスクロースのような安定化用糖類である旨の開示がある(特許文献2)。
【0004】
また、特許文献3には、微小突起部材を有する送達システムを含む、生物学的活性薬剤の経皮送達の装置及び方法が開示されている。その一態様においては、微小突起部材に適用されている生体適合性コーティング処方物は少なくとも1種類の非水性溶剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミド、及びポリエチレングリコール400を含有し、好ましくは、非水性溶剤はコーティング処方物に中に、コーティング処方物の約1重量%〜50重量%の範囲内で存在することが開示されている。また、当該コーティング処方物の粘度は3〜約500センチポアズ(cps)であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2001−506904号公報
【特許文献2】特表2004−504120号公報
【特許文献3】特表2007−536988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されたような生理活性物質と溶媒とを含有する組成物(生理活性組成物)を用いてマイクロニードルデバイスを製造するに当り、生理活性組成物を、溶媒の揮発が生じ得る容器に収容させた後に、マイクロニードル上に付着させる製造方法を採用すると、生理活性組成物を多数のマイクロニードルアレイ上に(マイクロニードル上に)付着させる場合において問題が生じることが判明した。すなわち、このような方法で連続的にマイクロニードルデバイスを製造しようとすると、マイクロニードル上に塗布される生理活性組成物の量が大きくばらついてしまい、塗布量が安定したマイクロニードルデバイスを製造することができないという問題が生じることが判明した。製造される個々のマイクロニードルデバイスによって、薬剤の量が変化することは、作用の強い、又は高価な生理活性物質を使用する場合には特に、医学(治療)的にも経済的にも好ましくない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、マスク版を用いる上記のような連続製造方法を採用した場合においても、マイクロニードルに付着させた生理活性物質の付着量のばらつきが実用上充分なレベルまで低減されたマイクロニードルデバイスの製造方法を提供することにある。本発明の目的はまた、このような製造方法で得ることのできるマイクロニードルデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生理活性物質と当該生理活性物質を分散又は溶解可能な溶媒とを含有する生理活性組成物を、マイクロニードル上に生理活性組成物を付着させるマイクロニードルデバイスの製造方法であって、上記溶媒として、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の多価アルコールを用い、水を用いない、製造方法を提供する。
【0009】
このような構成のマイクロニードルデバイスの製造方法によれば、連続製造を行った場合であっても、製造時の経時による生理活性組成物の粘度変化が小さく、マイクロニードル上に均一な(バラツキの少ない)量の生理活性物質を含有する生理活性組成物が付着しているマイクロニードルデバイスを安定して得ることができる。このような製造方法により、生理活性物質の付着量が安定したマイクロニードルデバイスが得られるのは、溶媒中に、水を含有させていないことが大きく寄与しているものと考えられる。
【0010】
生理活性物質の付着量の安定化は、容器が、開口部が形成されたマスク版であり、当該開口部に上記生理活性組成物を充填させた後に、上記開口部に上記マイクロニードルを挿入して引き出すことにより、上記マイクロニードル上に上記生理活性組成物を付着させる製造法を適用した場合に、特に顕著となる。
【0011】
このように、上記製造方法では生理活性物質の付着量の安定化が特に顕著であることから、生理活性組成物を充填させるマスク版として、1つのマイクロニードルを引き出した後にさらに別のマイクロニードルに対して同一のマスク版を再利用することも可能である。なお、マスク版を使用する当該方法以外としては、生理活性物質と当該生理活性物質を分散又は溶解可能な溶媒とを含有する生理活性組成物を、上部が開放された液溜部に収容させて、ポンプなどを適用し、それをマイクロニードルの例えば周辺まで移動させスプレー塗布する方法などが挙げられる。
【0012】
生理活性組成物中において、生理活性物質と多価アルコールの質量比率は、20:80〜80:20であることが好ましく、室温(25℃)における生理活性組成物は、粘度が600〜45000cpsであることが好ましい。このような条件を採用することにより、生理活性組成物での生理活性物質の使用量に応じた量の生理活性物質を、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物中に確実に含有させることが容易になることから、生理活性物質の投与効率を高いマイクロニードルデバイスを得ることができる。
【0013】
なお上記製造方法は、生理活性物質と当該生理活性物質を分散又は溶解可能な溶媒とを含有する生理活性組成物を、上記溶媒の揮発が生じ得る容器に収容させた後に、マイクロニードル上に付着させてマイクロニードルデバイスを製造するに当り、上記溶媒として、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の多価アルコールを用い、水を用いていない、生理活性組成物の付着量安定化方法として把握することもできる。
【0014】
よって、本発明によれば、基板と、当該基板上に設けられた、マイクロニードルと、当該マイクロニードル上及び/又は基板上に付着している生理活性組成物と、を備えるマイクロニードルデバイスであって、上記生理活性組成物は、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと、生理活性物質とを含み、実質的に水を含有しないマイクロニードルデバイスが提供される。
【0015】
ここで、マイクロニードル上及び/又は基板上に付着している生理活性組成物において、実質的に水を含有しないとは、生理活性組成物を付着後の大気からの吸湿によって含有することになる水分含有量を超す水分を含有しないことを意味し、典型的には、水分含有量は付着している生理活性組成物の全量基準で7質量%以下、好ましくは、5質量%以下、さらには3質量%以下である。
【0016】
上記マイクロニードルデバイスにおいて、マイクロニードル上及び/又は基板上に付着している生理活性組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デキストラン、クロスカルメロースナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含むことが好ましい。
【0017】
マイクロニードルデバイスがこのような構成を有することにより、生理活性組成物の粘度を向上させ、マイクロニードル上及び/又は基板上に付着している生理活性組成物の高さや、生理活性物質の含量をより高度に制御することができる。
【0018】
また、マイクロニードル上及び/又は基板上に付着している生理活性組成物は前記マイクロニードル上及び/又は基板上に塗布後に乾燥し、固着化されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マスク版を用いる連続製造方法を採用した場合においても、マイクロニードルに付着させる生理活性物質の付着量のばらつきが実用上充分なレベルまで低減されたマイクロニードルデバイスの製造方法、並びに当該製造方法で得ることのできるマイクロニードルデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るマイクロニードルデバイスの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】(a)〜(c)は、マイクロニードルデバイスの製造方法の一例を示す図である。
図4】生理活性組成物の充填及び付着工程を繰り返してマイクロニードルデバイスを製造した際の、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物中の生理活性物質の含量の経時変化を示すグラフである。
図5】マイクロニードルデバイスによる投与と皮下投与により、リキセナチドを投与したときの血中リキセナチド濃度の経時変化を示すグラフである。
図6】マイクロニードルデバイスによる投与と皮下投与により、β−インターフェロンを投与したときの血中β−インターフェロン濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致しない。
【0022】
図1は、本発明に係るマイクロニードルデバイスの一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、マイクロニードルデバイス1は、マイクロニードル基板2と、マイクロニードル基板2上に二次元状に配置された、複数のマイクロニードル3とを備える。
【0023】
マイクロニードル基板2は、マイクロニードル3を支持するための土台である。マイクロニードル基板2の形態は特に限定されるものではなく、例えばマイクロニードル基板2には、複数の貫通孔4が二次元状に配置されるように形成されていてもよい。マイクロニードル3と貫通孔4とは、マイクロニードル基板2の対角線方向において交互に配置されている。貫通孔4により、マイクロニードル基板2の背面から生理活性組成物を投与することが可能になる。もっとも、このような貫通孔のない基板を用いてもよい。マイクロニードル基板2の面積は、0.5〜10cmであり、好ましくは1〜5cm、より好ましくは1〜3cmである。このマイクロニードル基板2を数個つなげることで所望の大きさの基板を構成するようにしてもよい。
【0024】
マイクロニードル3は微小構造であり、その高さ(長さ)は、好ましくは50〜600μmである。ここで、マイクロニードル3の長さを50μm以上とするのは、生理活性物質の経皮投与を確実にするためであり、600μm以下とするのは、マイクロニードルが神経に接触するのを回避して痛みの可能性を減少させるとともに、出血の可能性を回避するためである。また、マイクロニードル3の長さが500μm以下であると、皮内に入るべき量の生理活性物質を効率良く投与することができ、場合によっては、皮膚を穿孔させずに投与することも可能である。マイクロニードル3の長さは、300〜500μmであることが特に好ましい。
【0025】
ここで、マイクロニードルとは、凸状構造物であって広い意味での針形状、又は針形状を含む構造物を意味する。もっとも、マイクロニードルは、鋭い先端を有する針形状のものに限定されるものではなく、先の尖っていない形状のものも含む。マイクロニードル3が円錐状構造である場合には、その基底における直径は50〜200μm程度である。本実施形態ではマイクロニードル3は円錐状であるが、四角錐などの多角錐状や、別の形状のマイクロニードルを用いてもよい。
【0026】
マイクロニードル3は、典型的には、針の横列について1ミリメートル(mm)当たり約1〜10本の密度が提供されるように間隔を空けて設けられている。一般に、隣接する横列は横列内の針の空間に対して実質的に等しい距離だけ互いに離れており、1cm当たり100〜10000本の針密度を有する。100本以上の針密度があると、効率良く皮膚を穿孔することができる。一方、10000本を超える針密度では、マイクロニードル3の強度を保つことが難しくなる。マイクロニードル3の密度は、好ましくは200〜5000本、さらに好ましくは300〜2000本、最も好ましくは400〜850本である。
【0027】
マイクロニードル基板2又はマイクロニードル3の材質としては、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、金属(ステンレス、チタン、ニッケル、モリブテン、クロム、コバルト等)及び合成又は天然の樹脂素材等が挙げられるが、マイクロニードルの抗原性及び材質の単価を考慮すると、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸−co−ポリグリコリド、プルラン、カプロノラクトン、ポリウレタン、ポリ無水物等の生分解性ポリマーや、非分解性ポリマーであるポリカーボネート、ポリメタクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン等の合成又は天然の樹脂素材が特に好ましい。また、多糖類であるヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、プルラン、デキストラン、デキストリン若しくはコンドロイチン硫酸等も好適である。
【0028】
マイクロニードル基板2又はマイクロニードル3の製法としては、シリコン基板を用いたウエットエッチング加工又はドライエッチング加工、金属又は樹脂を用いた精密機械加工(放電加工、レーザー加工、ダイシング加工、ホットエンボス加工、射出成型加工等)、機械切削加工等が挙げられる。これらの加工法により、針部と支持部とが一体に成型される。針部を中空にする方法としては、針部を作製後にレーザー加工等で二次加工する方法が挙げられる。
【0029】
図3(a)〜(c)は、マイクロニードルデバイス1の製造方法の一例を示す図である。この方法では、まず、図3(a)に示すように、生理活性組成物10をマスク版11上でヘラ12により矢印A方向に掃引する。これにより、開口部13に生理活性組成物が充填される。続いて、図3(b)に示すように、マスク版11の開口部13にマイクロニードル3を挿入する。その後、図3(c)に示すように、マスク版11の開口部13からマイクロニードル3を引き出す。これにより、マイクロニードル3には生理活性組成物10が付着(この場合は、塗布)される。その後、風乾、真空乾燥、凍結乾燥又はそれらの組み合わせの既知の方法により、マイクロニードル上の生理活性組成物を乾燥する。これにより、固形の生理活性組成物10は、マイクロニードル3上に付着している生理活性組成物5として、マイクロニードル3に固着化される。このようにして、マイクロニードルデバイスが製造される。「固着化される」とは、生理活性組成物が対象物にほぼ一様に付着している状態を保つことをいう。
【0030】
マイクロニードル3上(マイクロニードル3上及び/又は基板上)に付着している生理活性組成物の高さHは、図3(b)に示すクリアランス(ギャップ)Cで調整される。このクリアランスCは、マイクロニードルの基底からマスク表面までの距離(基板厚みは関与しない)で定義され、マスク版11のテンションとマイクロニードル3の長さとに応じて設定される。クリアランスCの距離の範囲は、好ましくは、0〜500μmである。クリアランスCの距離が0の場合には、生理活性組成物がマイクロニードル3の全体に対して付着されることを意味する。マイクロニードル3上に付着している生理活性組成物5の高さHはマイクロニードル3の高さhによって変動するが、0〜500μmとすることができ、通常10〜500μmであり、好ましくは30〜300μm程度である。
【0031】
マイクロニードル3上に付着している生理活性組成物5の厚さは50μm未満であり、好ましくは40μm未満、さらに好ましくは1〜30μmである。一般に、マイクロニードル3上に付着している生理活性組成物の厚さは、乾燥後にマイクロニードル3の表面にわたって測定される平均の厚さである。マイクロニードル3上に付着している生理活性組成物の厚さは、一般に、生理活性組成物の複数の被膜を適用することにより増大させること、すなわち、生理活性組成物をマイクロニードル3上に付着させる工程を繰り返すことで増大させることができる。
【0032】
生理活性組成物をマイクロニードル3及び/又は基板2へ付着させる際には、装置の設置環境の温湿度は、一定に制御されることが好ましい。また、必要によっては生理活性組成物に使用する、後述する(B)成分である、「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールからなる溶媒」を充満させることもできる。これにより、生理活性組成物中の溶媒の蒸散を極力防ぐことができる。
【0033】
生理活性組成物は、(A)「生理活性物質」と、(B)「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールからなる溶媒」と、を含有する。また、生理活性組成物は実質的に水を含有しない。ここで、上記生理活性組成物において、実質的に水を含有しないとは、生理活性組成物が大気からの吸湿によって含有することになる水分含有量を超す水分を含有しないことを意味し、典型的には、水分含有量は生理活性組成物の全量基準で20質量%以下、好ましくは、10質量%以下、さらには5質量%以下である。上記(B)成分は「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールのみからなる溶媒」であることが好ましい。「生理活性物質」とは、生体に何らかの作用を及ぼすものであり、低分子化合物、ペプチド、タンパク質及びそれら誘導体等を含むものである。「溶媒」とは、上記生理活性物質を分散又は溶解可能な化合物である。(A)生理活性物質(薬物)としては、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA等の高分子化合物が考えられるが特に限定されず、分子量が1000程度であれば、ワクチン、低分子ペプチド、糖、核酸等であってもよい。生理活性物質としては、例えば、リキセナチド、ナルトレキソン、酢酸セトロレリクス、タルチレリン、ナファレリン酢酸塩、プロスタグランジンA1、アルプロスタジル、α−インターフェロン、多発性硬化症のためのβ−インターフェロン、エリスロポイエチン、フォリトロピンβ、フォリトロピンα、G−CSF、GM−CSF、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン、黄体形成(leutinizing)ホルモン、サケカルシトニン、グルカゴン、GNRH アンタゴニスト、インスリン、ヒト成長ホルモン、フィルグラスチン、ヘパリン、低分子ヘパリン、ソマトロピン、インクレチン、GLP−1誘導体等が挙げられる。また、ワクチン類の例としては、日本脳炎ワクチン、ロタウィルスワクチン、アルツハイマー病ワクチン、動脈硬化ワクチン、癌ワクチン、ニコチンワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、肺炎双球菌ワクチン、黄熱病ワクチン、コレラワクチン、種痘疹ワクチン、結核ワクチン、風疹ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、ボツリヌスワクチン、ヘルペスウイルスワクチン、他のDNAワクチン、B型肝炎ワクチン等が挙げられる。
【0034】
その他、例えば、催眠・鎮静剤(塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン、フェノバルビタール、アモバルビタール等)、解熱消炎鎮痛剤(酒石酸ブトルファノール、クエン酸ペリソキサール、アセトアミノフェン、メフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、アスピリン、アルクロフェナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ペンタゾシン、インドメタシン、サリチル酸グリコール、アミノピリン、ロキソプロフェン等)、ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)、興奮・覚醒剤(塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート等)、精神神経用剤(塩酸イミプラン、ジアゼパム、塩酸セルトラリン、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸フルオキセチン、アルプラゾラム、ハロペリドール、クロミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、アモクサピン、マプロチリン、ミアンセリン、セチプチリン、トラザドン、ロヘプラミン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラフェキシン、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、ジアゼパム、メプロバメート、エチゾラム等)、ホルモン剤(エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メテロノン、テストステロン等)、局所麻酔剤(塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プロピトカイン等)、泌尿器官用剤(塩酸オキシブチニン、塩酸タムスロシン、塩酸プロピベリン等)、骨格筋弛緩剤(塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール、塩酸スキサメトニウム、等)、生殖器官用剤(塩酸リトドリン、酒石酸メルアドリン)、抗てんかん剤(バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、カルバマゼピン等)、自律神経用剤(塩化カルプロニウム、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等)、抗パーキンソン病剤(メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、塩酸ロピニロール、塩酸タリペキソール、カベルゴリン、ドロキシドパ、ピペリデン、塩酸セレギリン等)、利尿剤(ヒドロフルメチアジド、フロセミド等)、呼吸促進剤(塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等)、抗片頭痛剤(メシル酸ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン、酒石酸エルゴタミン、塩酸フルナリジン、塩酸サイプロヘプタジン等)、抗ヒスタミン剤(フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェニルピラリン、プロメタジン等)、気管支拡張剤(塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール、硫酸サルブタモール、塩酸クレンブテロール、臭化水素酸フェノテロ−ル、硫酸テルブタリン、硫酸イソプレナリン、フマル酸ホルモテロール等)、強心剤(塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン等)、冠血管拡張剤(塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニコランジル等)、末梢血管拡張剤(クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリン等)、禁煙補助薬(ニコチン等)、循環器官用剤(塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、フェロジピン、ベシル酸アムロジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、塩酸マニジピン、塩酸ベニジピン、マレイン酸エナラプリル、塩酸デモカプリル、アラセプリル、塩酸イミダプリル、シラザプリル、リシノプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、アテノロール、フマル酸ビソプロロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ベタキソロール、塩酸アロチノロール、塩酸セリプロロール、カルベジロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベバントロール、バルサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、塩酸クロニジン等)、不整脈用剤(塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシチレン、ナドロール、ジソピラミド等)、抗悪性潰瘍剤(シクロフォスファミド、フルオロウラシル、デガフール、塩酸プロカルバジン、ラニムスチン、塩酸イリノテカン、フルリジン等)、抗脂血症剤(プラバスタチン、シンバスタチン、ベザフィブレート、プロブコール等)、血糖降下剤(グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、グリミジンナトリウム、グリブゾール、塩酸ブホルミン)、消化性潰瘍治療剤(プログルミド、塩酸セトラキサート、スピゾフロン、シメチジン、臭化グリコピロニウム)、利胆剤(ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等)、消化管運動改善剤(ドンペリドン、シサプリド等)、肝臓疾患用剤(チオプロニン等)、抗アレルギー剤(フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン等)、抗ウイルス剤(アシクロビル等)、鎮暈剤(メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール等)、抗生剤(セファロリジン、セフジニル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、メチルエリスロマイシン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン、テトラサイクリン、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、カルベニシリンナトリウム、クロラムフェニコール、等)、習慣性中毒用剤(シアナミド等)、食欲抑制剤(マジンドール等)、化学療法剤(イソニアシド、エチオナミド、ピラジナミド等)、血液凝固促進剤(塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム)、抗アルツハイマー剤(フィゾスチグミン、塩酸ドネペジル、タクリン、アレコリン、キサノメリン等)、セロトニン受容体拮抗制吐剤(塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸ラモセトロン、塩酸アザセトロン等)、痛風治療剤(コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等)、麻薬系の鎮痛剤(クエン酸フェンタニル、硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン等)が挙げられる。
【0035】
なおこれらの薬物は単独で用いても2種類以上併用してもよく、薬学的に許容できる塩であれば、無機塩又は有機塩のいずれの形態の薬物も当然含まれる。生理活性組成物中の(A)生理活性物質の含有量は、0.1〜80質量%であり、好ましくは1〜70質量%であり、特に好ましくは5〜60質量%である。
【0036】
(B)「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールからなる溶媒」は、沸点が高く、充填及び付着工程における揮発が少ないため、マイクロニードルデバイスを連続して製造した場合であっても、生理活性組成物の粘度変化が小さく、また生理活性物質に対する高い溶解性又は分散性を有するため、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物の含量が均一なマイクロニードルデバイスを得ることができる。生理活性組成物中の(A)成分と(B)成分との配合比率(A:B)は、好ましくは質量基準で20:80〜80:20、より好ましくは40:60〜80:20、最も好ましくは50:50〜70:30である。
【0037】
生理活性組成物は、(A)「生理活性物質」、及び(B)「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールからなる溶媒」の他、上記生理活性物質とは異なる高分子化合物又は金属塩化物等の化合物を含んでいてもよい。生理活性組成物が上記高分子化合物又は金属塩化物等の化合物を含むことにより、生理活性組成物の粘度を向上させることができる。薬物の分子量が大きく溶媒に対する溶解性が高い場合には、薬物自身が増粘剤として機能する場合がある。しかし、薬物の溶媒に対する溶解性が低い場合や薬物の分子量が小さい場合には、生理活性組成物の粘度を向上させるために生理活性組成物にさらに生理活性物質とは異なる高分子化合物又は金属塩化物等の化合物を含むことが必要になる場合がある。当該高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリメチルセルロース、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルメロースナトリウム、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デキストラン、アラビアゴム等が挙げられる。
【0038】
高分子化合物は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デキストラン又はクロスカルメロースナトリウムであることが好ましい。特に生理活性組成物の溶媒としてプロピレングリコールを使用する場合には、高分子化合物はヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸又はヒアルロン酸であることが好ましく、溶媒としてグリセリンを使用する場合には、高分子化合物はデキストラン、クロスカルメロースナトリウム又はコンドロイチン硫酸であることが好ましい。
【0039】
金属塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。特に生理活性組成物の溶媒としてグリセリン及び/又はプロピレングリコールを使用する場合には、金属塩化物は塩化マグネシウムであることが好ましい。
【0040】
また、生理活性組成物が上記金属塩化物を含むことにより、マイクロニードルデバイスを長時間保存する場合の、マイクロニードル及び/又は基板上の薬物の含量の低下を抑制することができる。特に生理活性組成物の溶媒としてプロピレングリコールを使用する場合には、金属塩化物は塩化マグネシウムであることが好ましい。したがって、生理活性組成物の溶媒として、プロピレングリコールが用いられる場合には、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。また、生理活性組成物の溶媒として、グリセリンが用いられる場合には、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物は、デキストラン、クロスカルメロースナトリウム、コンドロイチン硫酸及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0041】
この他、生理活性組成物には、必要に応じて溶解補助剤又は吸収促進剤として、炭酸プロピレン、クロタミトン、l−メントール、ハッカ油、リモネン、ジイソプロピルアジペート等や、薬効補助剤として、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、チモール、ハッカ油、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等を添加してもよい。
【0042】
さらに、生理活性組成物には、必要に応じて、安定化剤や抗酸化剤、乳化剤、界面活性剤、塩類等を添加してもよい。本発明において界面活性剤とは、非イオン性活性剤、イオン性活性剤(カチオン、アニオン、両性)のいずれでもよいが、安全性の面から通常医薬品基剤に用いられる非イオン性活性剤が望ましい。さらに詳しくは、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0043】
他の既知の製剤補助物質は、それらが生理活性組成物の塗布に必要な溶解性及び粘度の特徴、並びに乾燥された生理活性組成物の性状及び物性に有害な影響を及ぼさない限り、生理活性組成物に添加されてもよい。
【0044】
生理活性組成物には、液だれすることのないよう、ある程度の粘性が必要であり、具体的には室温(25℃)で100〜100000cps程度の粘度が必要である。生理活性組成物のより好ましい粘度は、100〜60000cpsであり、粘度がこの範囲にあることにより、マイクロニードル3の材質に依存することなく、所望量の生理活性組成物を一度に付着させることが可能となる。また、一般的に粘度が高くなればなるほど付着する生理活性組成物の量が増える傾向にあり、粘度が600cps未満であるとき最低限の生理活性物質をマイクロニードル3に付着させることが困難になる。しかし、意外なことに45000cps以上であると逆に、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物5中の生理活性物質含量が減少に転じる。このような特徴から、生理活性組成物の粘度を45000cps以上の粘度にすると、使用する生理活性物質の量に応じた、付着している生理活性組成物5中の生理活性物質の含量が望めなくなり、経済的に好ましくないため、生理活性組成物の粘度は、600〜45000cpsとすることが特に好ましい。
【0045】
図2図1のII−II線断面図である。図2に示すように、本発明のマイクロニードルデバイス1は、マイクロニードル基板2と、当該マイクロニードル基板2上に設けられた、マイクロニードル3と、当該マイクロニードル3上及び/又は当該基板上に付着している生理活性組成物5と、を備えるものである。付着している生理活性組成物5は、(A)「生理活性物質」と、(B)「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールからなる溶媒」と、を含むものであり、例えば図3(a)〜(c)に示される工程を経て製造される。なお、マイクロニードルデバイス製造直後の生理活性組成物は、生理活性組成物に含まれる上述の「グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの多価アルコールからなる溶媒」を含み、実質的に水を含有しないが、製造したマイクロニードルデバイスの保管において、取り巻く雰囲気により水分等の溶媒を保持することもある。この場合の水分含量は上記の通りである。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【0047】
(実施例1)溶媒に対する溶解性又は分散性試験
表1に示す各種生理活性物質10質量部とプロピレングリコール又はグリセリン90質量部とを、約1時間混合して、混合液を得た。また表2に示すように生理活性物質OVA(オブアルブミン)43質量部とトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はマクロゴール400 57質量部とを、上記と同様に混合して、混合液を得た。そして、得られた混合液について、生理活性物質の溶媒に対する溶解性又は分散性の評価を、以下の指標により目視にて行った。評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
a:生理活性物質は溶媒に溶解した(均一な液性)。
b:生理活性物質は溶媒に分散した(分散された液性)。
c:生理活性物質は溶媒に溶解せず、混合液には明らかな凝集物が認められた(不均一な液性)。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例2)モデル生理活性物質(オクトレオチド酢酸塩)とプロピレングリコール又はグリセンからなる生理活性組成物の組成と、粘度及びマイクロニードル上に付着している生理活性組成物中の生理活性物質含量との関係
<設定条件>
(a)マイクロニードル
・材質:ポリ乳酸、高さ:500μm、密度:625本/cm、マイクロニードル基板の製剤面積:1cm/patch
(b)メタルマスク版
・ピッチ:400μm、マスク厚:100μm、開口部:四角形状(一辺250μm)
(c)環境設定:室温(25℃)
【0051】
<粘度測定>
表3及び表4に示すとおり、オクトレオチド酢酸塩濃度とプロピレングリコール又はグリセリン濃度を設定し、生理活性組成物を調製した。得られた生理活性組成物の粘度を微量サンプル粘度計(RHEOSENSE INC. Micron Sample−Viscometer/Rheometer−on−a−chip VROCTM)で10回測定し、算出した平均値を表2及び表3に示した。
【0052】
<マイクロニードル上に付着している生理活性組成物中のオクトレオチド酢酸塩含量測定>
表3及び表4に示すとおり、オクトレオチド酢酸塩濃度とプロピレングリコール又はグリセリン濃度を設定し、生理活性組成物を調製した。マイクロニードルへの生理活性組成物の付着を、上述の図3(a)〜(c)に示す方法で行った。生理活性組成物をヘラにより掃引し、メタルマスク開口部に充填した。充填した開口部にマイクロニードル(針)を挿入させた後引き出すことにより、付着されたマイクロニードル上の生理活性組成物を精製水で抽出し、BCA法(オクトレオチド標準)により、マイクロニードルデバイス1patch(枚)当たりのオクトレオチド酢酸塩含量(付着量)を10回測定し、算出した平均値を表3及び表4に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
表3及び表4に示すように、生理活性組成物中のオクトレオチド酢酸塩の含有量の上昇とともに生理活性組成物の粘度も上昇するが、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物5中のオクトレオチド酢酸塩含量については、ある粘度までは粘度の上昇とともに上昇するが、ある粘度を超えるとその後減少に転じることが判明した。
【0056】
表3のプロピレングリコールにおいては粘度15000cpsから45000cpsにかけてオクトレオチド酢酸塩含量が減少に転じていることより、最適な粘度は200cpsから45000cpsであり、これ以上の粘度は投与効率の面から好ましくない。
【0057】
また、表4のグリセリンにおいては粘度21000cpsから27000cpsにかけてオクトレオチド酢酸塩含量が減少に転じていることより、最適な粘度は2000cpsから25000cpsであり、これ以上の粘度は投与効率の面から好ましくない。
【0058】
(実施例3)マイクロニードルデバイスの製造工程を繰り返し行ったときの、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物中の生理活性物質含量変化測定試験
PP(ポリプロピレン)製マイクロチューブに、ヒト血漿アルブミン(HSA)40質量部、グリセリンを60質量部添加し、溶解したものを非水系処方の生理活性組成物とした。対照となる水系処方の生理活性組成物には、ヒト血漿アルブミン(HSA)40質量部、グリセリン30質量部及び水30質量部の混合液を調製し、溶解したもの生理活性組成物とした。複数のマイクロニードルデバイスの製造を行うため、実施例2と同様の条件でこれらの生理活性組成物の充填、付着の工程を繰り返し行った。上記付着工程の開始直後、20分、40分、及び60分経過後に得られたマイクロニードルデバイスのマイクロニードル上に付着している生理活性組成物中のヒト血漿アルブミン(HSA)の含量を、実施例2と同様に測定した。得られた測定結果をグラフとして図4に示す。
【0059】
非水系処方では、経時でも粘度が安定しており、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物中の生理活性物質の含量の変動も殆ど見られなかった。一方、水系処方では、経時での水分蒸発に伴う粘度上昇が確認され、生理活性組成物中の生理活性物質の含量も経過時間に伴って著しく減少する傾向を示した。
【0060】
(実施例4)非水系処方における生理活性組成物への粘度付与試験
プロピレングリコール及びグリセリンの溶媒に対し、それぞれ表5及び表6に示す高分子化合物を加え、混合液を作製した。高分子化合物の濃度は分子量等を考慮して設定されたものである。作製した混合液をスターラーにより撹拌(1500rpm、12時間、25℃)し、高分子化合物の溶解性を目視にて以下の基準にしたがって評価した。また、撹拌後の混合液又は溶液の粘度を、微量サンプル粘度計を用いて25℃にて測定した。粘度及び溶解性の評価結果を表5及び6に示す。
a:完全に溶解している
b:一部溶解している
c:溶解していない
【0061】
なお、グリセリンを溶媒としてDx40及びDx70を加えた例における粘度及び溶解性の測定結果は、撹拌時の温度を80℃として得られたものである。
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
表中のPEG4000は重量平均分子量が4,000のポリエチレングリコールであり、Dx40及びDx70はそれぞれ重量平均分子量が約40,000及び約70,000のデキストランであり、PVA117、PVA220及びPVA617はいずれも重量平均分子量が約75,000のポリビニルアルコールであり、HPC−H、HPC−M及びHPC−Lはそれぞれ重量平均分子量が250,000〜400,000、110,000〜150,000、及び55,000〜70,000のヒドロキシプロピルセルロースであり、HAはヒアルロン酸である。
【0064】
少量の高分子化合物で溶液の粘度を向上させると、塗布及び乾燥後の生理活性組成物を薄く制御することが可能となる。よって、このような高分子化合物はマイクロニードル上に付着している生理活性組成物の成分として特に好適である。表5に示すように、ヒドロキシプロピルセルロースはプロピレングリコールに対する溶解性が高く、ヒドロキシプロピルセルロース添加前と比べて溶液の粘度が大きく向上した。また、ヒドロキシプロピルセルロースの分子量を高くすることにより、溶液の粘度が向上する傾向があった。これらの結果から、HPC−Hは少ない添加量(低濃度)であっても粘度向上効果が期待される。HPC−Hの添加量を少なくすることにより、上記溶液にさらに生理活性物質を添加して生理活性組成物とし、マイクロニードル上の生理活性物質の含量をより高めることができる。したがって、表5中でHPC−Hがプロピレングリコールに対する最も適当な増粘剤であると考えられる。
【0065】
また、PEG4000、コンドロイチン硫酸及びHAは、プロピレングリコールに対して完全には溶解しなかったものの、溶液又は混合液の粘度向上効果が認められた。
【0066】
表6に示すように、デキストランはグリセリンに対する溶解性が高く、デキストラン添加前と比べて溶液の粘度が大きく向上した。また、デキストランの分子量を大きくする、又はデキストランの濃度を高くすることにより、溶液の粘度が向上する傾向があった。クロスカルメロースナトリウム(Na)及びコンドロイチン硫酸は、グリセリンに対して完全には溶解しなかったものの、溶液又は混合液の粘度向上効果が認められた。
【0067】
表5及び表6で示される結果より、プロピレングリコール及びグリセリンのそれぞれに対して粘度向上のために好適な高分子化合物が見出された。
【0068】
非水系処方における生理活性組成物への粘度付与試験
(実施例5)
プロピレングリコール7.3質量部、水酸化ナトリウム0.7質量部及び塩化マグネシウム2.0質量部をスターラーにより撹拌混合した。さらに得られた混合液と酢酸オクトレオチドを1:1の質量比で混合し、生理活性組成物(50.0質量%酢酸オクトレオチド/3.5質量%水酸化ナトリウム/10.0質量%塩化マグネシウム/36.5質量%プロピレングリコール)を得た。なお、水酸化ナトリウムは酢酸オクトレオチドの酢酸部分と同じモル数分、添加された。
【0069】
上記生理活性組成物を、実施例2と同様のマイクロニードルの先端部に、塗布、乾燥し、顕微鏡観察によりマイクロニードル上に付着している生理活性組成物の高さHを測定した。評価結果を表7に示す。
【0070】
(比較例1)
塩化マグネシウムを加えず、代わりに同じ質量分のプロピレングリコールを加えたこと以外は実施例5と同様にして、生理活性組成物(50.0質量%酢酸オクトレオチド/3.5質量%水酸化ナトリウム/46.5質量%プロピレングリコール)を得た。上記生理活性組成物を実施例5と同様にマイクロニードル上に塗布し、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物の高さHを測定した。評価結果を表7に示す。
【0071】
(実施例6)
グリセリン8.434質量部、水酸化ナトリウム0.233質量部及び塩化マグネシウム1.333質量部をスターラーにて撹拌混合した。さらに得られた混合液とLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン酢酸塩)を3:1の質量比で混合し、生理活性組成物(25.0質量%LHRH/1.75質量%水酸化ナトリウム/10.0質量%塩化マグネシウム/63.25質量%グリセリン)を得た。なお、水酸化ナトリウムはLHRHの酢酸部分と同じモル数分、添加された。上記生理活性組成物を実施例5と同様にマイクロニードル上に塗布し、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物の高さHを測定した。評価結果を表7に示す。
【0072】
(比較例2)
塩化マグネシウムを加えず、代わりに同じ質量分のグリセリンを加えたこと以外は実施例6と同様にして、生理活性組成物(25.0質量%LHRH/1.75質量%水酸化ナトリウム/73.25質量%グリセリン)を得た。上記生理活性組成物を実施例5と同様にマイクロニードル上に付着させ、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物の高さHを測定した。評価結果を表7に示す。
【0073】
【表7】
【0074】
表7に示すとおり、実施例5及び実施例6では、生理活性組成物に塩化マグネシウムを添加することにより、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物を薄く(高さHを小さく)制御することができた。生理活性組成物の粘度が向上し、液だれを改善することができたためである。
【0075】
マイクロニードル上に付着している生理活性組成物の薬物含量の安定性試験
(実施例7)
プロピレングリコール9.444質量部、塩化マグネシウム0.556質量部をスターラーにて撹拌混合した。さらに得られた混合液と酢酸オクトレオチドを9:1の質量比で混合し、生理活性組成物(10質量%酢酸オクトレオチド/5.0質量%塩化マグネシウム/85質量%プロピレングリコール)を得た。
【0076】
上記生理活性組成物を実施例2と同様のマイクロニードルの全面に10mg塗布し、50℃30分乾燥してマイクロニードルデバイスを得た。その後、得られたマイクロニードルデバイスを保存剤(ファーマキープKD;三菱ガス化学製)とともに梱包材中に封入し、封入されたマイクロニードルデバイスを60℃1週間の条件下で保存した。さらに、封入された別のマイクロニードルデバイスを、5℃1週間の条件下で保存した。
【0077】
保存後のマイクロニードルデバイス上の生理活性物質の含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。そして、5℃で保存したマイクロニードル上の生理活性物質の含量に対する、60℃で保存したマイクロニードル上の生理活性物質の残存率を百分率として算出した。算出結果を表8に示す。
【0078】
(比較例3)
塩化マグネシウムを加えず、代わりに同じ質量分のプロピレングリコールを加えたこと以外は実施例7と同様にして、生理活性組成物(10質量%酢酸オクトレオチド/90質量%プロピレングリコール)を得た。上記生理活性組成物を用いて実施例7と同様に、マイクロニードルデバイスを得た。得られたマイクロニードルデバイスを実施例7と同様に保存し、生理活性物質の残存率を算出した。算出結果を表8に示す。
【0079】
(実施例8)
薬物の種類をLHRHとした以外は実施例7と同様にして、マイクロニードルデバイスを得、生理活性物質の残存率を算出した。算出結果を表8に示す。
【0080】
(比較例4)
薬物の種類をLHRHとした以外は比較例3と同様にして、マイクロニードルデバイスを得、生理活性物質の残存率を算出した。算出結果を表8に示す。
【0081】
【表8】
【0082】
表8に示すとおり、実施例7及び実施例8では、生理活性組成物に塩化マグネシウムを添加することにより、生理活性物質の残存率を高く維持することができた。
【0083】
リキセナチドのへアレスラット生体内吸収試験
(実施例9)
チューブに、リキセナチドとプロピレングリコールを、50:50の質量比となるように加え、ミキサーで混合し、得られた混合物を生理活性組成物とした。生理活性組成物を、厚さ50μmのマスク版を用いて、マイクロニードルに塗布した。塗布された生理活性物質の含量は、12.2μg/patch/headであった。コーティングされたマイクロニードルアレイを有する0.4Jのアプリケータを用いて、生理活性物質をヘアレスラットに投与した(繰り返し試験数3回)。
【0084】
投与後10分、30分、60分、120分、240分、480分、720分が経過したときに、頸静脈より300μLの採血を行った。Exendin−4 EIA Kitを用いて、血中のリキセナチド濃度を測定した。測定結果を図5に示す。また、図5のグラフから得られたAUC値(area under the blood concentration−time curve)及びBA値(bioavailability)を表9に示す。なお、AUC値とは図5のグラフにおいて、投与してから0分後から720分後の範囲の血中濃度−時間曲線下面積を指す。BA値とは、皮下投与に対する相対的なバイオアベイラビリティー値を指す。
【0085】
(比較例5)
チューブに、リキセナチドと生理食塩水を、50:50の質量比となるように加え、ミキサーで混合し、得られた混合物を生理活性組成物とした。生理活性組成物を15.1μg/300μL/headの条件で、ヘアレスラットに皮下投与した。その後、実施例9と同様に血中のリキセナチド濃度を測定した。測定結果を図5に示す。また、AUC値及びBA値を表9に示す。
【0086】
【表9】
【0087】
β−インターフェロンのヘアレスラット生体内吸収試験
(実施例10)
チューブに、β−インターフェロンとグリセリンを、30:70の質量比となるように加え、ミキサーで混合し、得られた混合物を生理活性組成物とした。生理活性組成物を、厚さ100μmのマスク版を用いて、マイクロニードルに塗布した。塗布された生理活性物質の含量は、10.3μg/patch/headであった。コーティングされたマイクロニードルアレイを有する0.4Jのアプリケータを用いて、生理活性物質をヘアレスラットに投与した(繰り返し試験数3回)。
【0088】
投与後30分、60分、90分、180分、300分、420分、1440分が経過したときに、頸静脈より300μLの採血を行った。Exendin−4 EIA Kitを用いて、血中のβ−インターフェロン濃度を測定した。測定結果を図6に示す。
【0089】
(比較例6)
チューブに、β−インターフェロンと生理食塩水を、50:50の質量比となるように加え、ミキサーで混合し、得られた混合物を生理活性組成物とした。生理活性組成物を10μg/300μL/headの条件で、ヘアレスラットに皮下投与した(繰り返し試験数3回)。その後、実施例10と同様に血中のβ−インターフェロン濃度を測定した。測定結果を図6に示す。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、マイクロニードル上に付着している生理活性組成物中の生理活性物質の経時による含量変化を著しく低減したマイクロニードルデバイスを得ることが可能となるため、マイクロニードルの利用性を格段に高めることができるものであり、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0091】
1…マイクロニードルデバイス、2…マイクロニードル基板、3…マイクロニードル、5…マイクロニードル上に付着している生理活性組成物、10…生理活性組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6