特許第5715619号(P5715619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715619可変の最大用量を備えた薬物送達の用量設定機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715619
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】可変の最大用量を備えた薬物送達の用量設定機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20150416BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61M5/145 504
   A61M5/315
【請求項の数】16
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2012-513560(P2012-513560)
(86)(22)【出願日】2010年5月28日
(65)【公表番号】特表2012-528619(P2012-528619A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】EP2010057462
(87)【国際公開番号】WO2010139630
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年5月13日
(31)【優先権主張番号】61/182,816
(32)【優先日】2009年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】09009055.6
(32)【優先日】2009年7月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・プランプトリ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−259470(JP,A)
【文献】 特表2008−541802(JP,A)
【文献】 特表2003−509133(JP,A)
【文献】 特表平06−502570(JP,A)
【文献】 特表平03−503129(JP,A)
【文献】 特表2008−531150(JP,A)
【文献】 米国特許第05593390(US,A)
【文献】 米国特許第05584815(US,A)
【文献】 米国特許第05514097(US,A)
【文献】 国際公開第2004/064902(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変の最大用量を有する薬物送達デバイスであって、前記デバイスは:
第一管状部材(260)、
第二管状部材(300)及び
最大停止部品(286a、b)を含んでなり、
ここで、第二管状部材(300)は、前記第一管状部材(260)に回転可能に連結され、第一管状部材(260)に対して外部にあり、
最大停止部品(286a、b)は、最大停止部品(286a、b)が前記第二管状部材(300)により前記第一管状部材(260)上の第一位置から第二位置まで移動可能であるように、最大停止部品(286a、b)が前記第一管状部材(260)及び前記第二管状部材(300)に操作可能に連結される、
ここで、前記第一位置は、前記薬物送達デバイスの使用者により、設定し得る第一最大用量を画成し、そして
前記第二位置は、前記薬物送達デバイスの上記使用者により設定し得る第二最大用量を画成する、
薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記第二管状部材(300)の軸方向の移動が、前記最大停止部品(286a,b)を前記第一管状部材上の前記第二位置まで移動させることを可能とするように前記最大停止部品(286a、b)を係合する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
物を含有するカートリッジを更に含んでなる、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第二管状部材(300)がスケール配置(16)を含み、該スケール配置(16)は、前記薬物送達デバイスにより設定し得る用量を示す、前記第二管状部品は、近位半分(300a)及び遠位半分(300b)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記最大停止部品(286a、b)の前記第一位置、及び/又は、前記第二位置が、最
大用量範囲を画成し、該最大用量範囲は、前記使用者が前記薬物送達デバイスの最大用量を再調整することができる、事前に画成された領域である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイスであって、デバイスが、前記第一管状部材(260)上にある複数のラチェット歯(272a、b、c、d)を含み;
ここで、前記停止部品(286a、b)が、前記第一位置においてハウジングの記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)の第一セット及び前記第二停止位置における記複数の上記ラチェット歯(272a、b、c、d)の第二セットを係合する、薬物送達デバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイスであって、前記停止部品(286a、b)は
記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)の前記第一セット、又は前記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)の前記第二セットを解放可能に係合する複数の内部機構、及
段状の構造(295)により連結される第一表面(294a)及び第二表面(294b)を含み、それら全てが前記停止部品(286a、b)の縦方向に走る、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記第二管状部材(300)が前記第一位置に移動するとき、前記第二管状部材(300)の第一停止面(306A)が、前記停止部材(286a、b)の最大用量停止面(288A)に係合し、かくして前記第一最大用量を画成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイスであって、更に
前記第二管状部材(300)の第二停止面(310B)が、前記停止部品(286a、b)の第二面(290B)を、第二管状部材(300)の事前に画成された位置でのみ係合し、そして、前記停止部品の前記内部機構(296)が、前記第二最大用量を画成するために第一管状部材(260)の前記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)に関して別の位置に係合するように、前記停止部品(286a、b)を、内部ハウジング(260)に沿って移動させることを更に含む、デバイス。
【請求項10】
第二停止部品(286a、b)を更に含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
多くの医薬品の用量が投与できるカートリッジを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
医薬品が少なくとも一つの薬学的に活性な化合物を含む薬学的製剤を含む、 その薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセジン−3又はエキセジン−4、若しくはエキセジン−3又はエキセジン−4の類似体若しくは誘導体を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
第一及び第二最大用量を有する薬物送達デバイスを提供する方法であって、該方法は以下の工程:
a.ハウジングエレメント(260)上に複数のラチェット歯(272a、b、c、d)を位置決めし;
b.前記ハウジングエレメント(260)の上記複数のラチェット歯(272 a、b
、c、d)のセットに沿う複数の内部機構(296)を有する第一停止 部品(286a、b)を係合し;
c.前記ハウジングエレメント(260)の前記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)が、前記最大用量を画成する上記第一停止部品(286a、b)の前記複数の上記内部機構(296)の第一セットを係合し、そして、
前記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)を、前記第一停止部品(286a、b)の前記複数の内部機構(296)の係合を解放するのを阻止するように、第一位置においてダイアルスリーブ(300)を位置決めし;
d.第二位置において、ナンバスリーブを移動し;
e.前記複数のラチェット歯(272a、b、c)を前記第一停止部品(286a、b)の前記複数の内部機構(296)から係合を解放し;及び
f.第二最大用量を選択するために、前記ダイアルスリーブ(300)を操作する;
を含む方法。
【請求項14】
前記内部ハウジング(260)の前記複数のラチェット歯(272a、b、c、d)の第二セットに沿って複数の内部機構(296)を有する第二停止部品(286a、b)を係合する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一停止部品(286a、b)の前記内部機構(296)が、前記薬物送達デバイスの第二最大用量を選択するとき、前記第一停止部品(286a、b)の前記内部機構(296)が、前記ハウジングエレメント(260)の前記ラチェット歯(272a、b、c、d)から外に曲がる工程を更に含んでなる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第二最大用量を選択するために前記ダイアルスリーブ(300)を回転させる工程を更に含んでなる、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的に、薬物送達デバイスの用量設定機構を対象にしている。より具体的には、本出願は、一般的に、可変の最大用量を含む用量設定機構を対象にしている。本発明の態様は、他のシナリオにも同様に等しく適用可能であり得る。
【背景技術】
【0002】
ペン型薬物送達デバイスは、正式の医学的訓練を受けていない人々による定期的な注射が発生する適用を有している。これは、そのような患者に自己処置が、彼らの疾病の効果的な管理を実施することを可能にする糖尿病を病む患者の間で、益々一般的になるかもしれない。
【0003】
使用者に薬物の可変用量を設定することを可能とするペン型薬物送達デバイスには2つの型:リセット可能な(即ち、再使用可能な)、及びリセット不可能な(即ち、使い捨ての)デバイスがある。ペン送達デバイス(それらは、しばしば、拡大した万年筆に似ているのでそう呼ばれていた)のこれらの型は、一般的に、3つ主要エレメントを含む:
(i)ハウジング又はホルダ内にしばしば含まれるカートリッジを含むカートリッジ部分;
(ii)カートリッジ部分の1端に連結した針アセンブリ;及び
(iii)カートリッジ部分の他端に連結した投与部分。
カートリッジ(しばしば、アンプルと参照されているが)は、一般的には、薬物(例えば、インスリン)で充填されたリザーバ;カートリッジリザーバの一端に位置する移動可能なゴム型の栓又はストッパ;及び、他端(しばしば首が下がっている端)に位置する孔を開けられるゴムシールを有する上部を含む。一般的には、クリンプ加工した環状の金属バンドが、定位置にゴムシールを保持するために使用される。カートリッジハウジングは、一般的には、プラスチックで作り得るが、カートリッジリザーバは、歴史的には、ガラスで作られていた。針アセンブリは、一般的には、代替可能な両頭針アセンブリである。注射前に、代替可能な両頭針アセンブリはカートリッジアセンブリの一端に取り付けられ、用量が設定され、その後、用量が投与される。そのような取り外し可能な針アセンブリは、カートリッジアセンブリの孔を開けられるシール端にネジで連結され、又は押し込まれてもよい(即ち、スナップされてもよい)。
【0004】
投与部分又は用量設定機構は、一般的には、用量を設定するために使用されるペンデバイスの部分である。注射中、用量設定機構内に含まれるスピンドルは、カートリッジの栓又はストッパを押し付ける。この力は、カートリッジ内に含まれる薬物を、取り付けられた針アセンブリを通して注射する。注射後、大半の薬物送達デバイス、及び/又は、針アセンブリ製造業者及び供給者により一般的に推薦されている通り、針アセンブリは取り外され、そして、捨てられる。
【0005】
使い捨て(即ち、リセット不可能)、及び再使用可能(即ち、リセット可能)な多様性を含むペン送達デバイスの異なった型は、長年にわたって進歩してきた。例えば、使い捨てペン送達デバイスは、自己充足型デバイスとして供給される。そのような自己充足型デバイスは、取り外し可能な事前に充填されたカートリッジを含まない。むしろ、事前充填されたカートリッジは、デバイスそれ自身を破壊することなく、これらのデバイスから取り外されなくても、代替されなくてもよい。結果として、そのような使い捨てデバイスはリセット可能な用量設定機構を含む必要はない。
【0006】
一般的な使い捨てペン型デバイスと比較して、一般的な再使用可能なペン送達デバイス
は本質的には2つの主再使用可能な部品:カートリッジホルダ及び用量設定機構の機能を持つ。カートリッジがカートリッジホルダ内へ挿入された後、このカートリッジホルダは、用量設定機構に取り付けられる。使用者は、用量を選択するために、用量設定機構を使う。使用者は設定された用量を注射する前に、代替可能な両頭針アセンブリはカートリッジハウジングに取り付けられる。
【0007】
この針アセンブリは、カートリッジハウジングの遠位端にネジで連結され、又は押し込まれてもよい(即ち、スナップされてもよい)。このようにして、針アセンブリに装着した両頭針は、カートリッジの遠位端での孔を開けられるシールを通して貫通した。注射後、針アセンブリは取り外され、そして、捨てられる。カートリッジ内のインスリンが無くなった後、使用者は用量設定機構からカートリッジのハウジングを取り外す。使用者は、その後、空のカートリッジをカートリッジ保持体から取り外し、そして、空のカートリッジを新しい(充填した)カートリッジで代替することができる。ある一般的な上記で述べた可変の薬物送達デバイスにおいて、ダイアルスリーブは、ラセン状のネジ溝を経由してデバイスのハウジングに係合する。一般的には、このダイアルスリーブは、使用者に薬物の可変用量の設定を可能とするために、ハウジングから離れてラセン状の進路を回転する。このダイアルスリーブは、設定用量が送達されるとき、ハウジング方向に向かってスピンし、又は回転する。
【0008】
このラセン状ネジ山は、ダイアルスリーブが、ある非可変の最大用量をダイアルしたとき、係合する1つ又はそれ以上の半径方向の停止面を有し得る。例えば、インスリンの投与のために使用される、ある一般的な薬物送達デバイスにおいて、そのような非可変の最大用量は、50〜80国際単位(IU)であるかもしれない。この手法において、使用者がこの非可変最大用量より大きい用量を設定することを阻止する。ある既知のデバイスにおいて、これらの停止面は、固定停止面としてプラスチック部品に成形することができる。これらの停止面はラセン状ネジ山形体の一部であってもよく、又はそうでなくてもよい。
【0009】
そのような最大用量の設定を変更することが可能ではない既知の用量設定機構は、ある認知された不都合を有する。例えば、非可変の最大用量停止を有する薬物送達デバイスは、使用者、又はヘルスケアの専門家に、可変用量ペンでダイアル設定できる最大用量を限定することを可能とはしない。従って、この配置の1つの不都合は、そのことが潜在的な用量エラーのリスクを増大させる傾向にある。加えて、そのような配置は、デバイスを、弱い光の条件で、又は視力の弱い使用者に対して設定することをより困難にする。
【0010】
固定最大用量を有する薬物送達デバイスの別の不都合は、親、又は医療専門家がデバイスから送達できる最大用量を限定できないことである。結果として、そのようなデバイスは子供又は高齢の患者が指示を受けずに使用したとき、ある種の安全事項を課すかもしれない。
【0011】
従って、可変用量ペン上でダイアル設定できる最大用量を限定することを可能にする調整可能な最大用量の停止に対する一般的な必要性が存在する。調整可能な最大用量を活用する薬物送達デバイスは、多くの利点を提供するであろう。一つの事例として、使用者は、ある定期的な日用量のため、薬物送達デバイスの最大用量を事前設定することができ、そしてそれにより潜在的な用量エラーのリスクを低減できる。加えて、調節可能な最大用量の停止は、薬物送達デバイスを、弱い光の条件で、又は視力の弱い使用者に対して設定することをより容易にする。例えば、そのような配置でもって、最大用量停止が係合し、そしてその後、用量を送達するまで、使用者は用量ダイアルグリップを簡単にダイアル設定する。加えて、そのような調整可能な最大用量の停止は、器用さに欠け、視力が弱く、又は可変用量のペン型注射器に対する理解が限定される患者に対して、医療専門家が用量の限定又は設定することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、これらの事象に関連する不都合を、薬物送達デバイスの設計及び開発の検討課題に入れることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
典型的な配置によると、上記の目的は、第一管状部材、及び第一管状部材と回転可能に連結する第二管状部材を含む可変最大用量を有する薬物送達デバイスにより解決される。発明の薬物送達デバイスは、第一管状部材及び第二管状部材を操作可能に連結する最大停止部品を含む。最大停止部品は第一位置から第二位置へ移動可能である。第一位置は、前記薬物送達デバイスの使用者より設定し得る第一最大用量を画成し、そして、第二位置は、薬物送達デバイスの使用者より設定し得る第二最大用量を画成する。
【0014】
更なる配置によると、可変最大用量を有する発明の薬物送達デバイスは、ラセン状ネジ溝及び複数のラチェット歯を有するハウジングを含む。ダイアルスリーブは、ラセン状ネジ溝と連結し、そして、第一停止部品は複数のラチェット歯の第一設定と係合する。第一停止部品は、第一停止位置に位置し、そして、薬物送達デバイスの第一最大用量を画成する。ダイアルスリーブは、第一停止部品が第二停止位置へ移動するために、第一停止部品を複数のラチェット歯の第二設定へ移動させる。第二停止位置は、薬物送達デバイスの第二最大用量を画成する。
【0015】
また、別の更なる配置において、第一及び第二最大用量を有する薬物送達デバイスを提供するための方法であって、方法は以下の工程:
a.好ましくは内部ハウジング上にある複数のラチェット歯を位置決めし;
b.前記ハウジングの前記複数のラチェット歯のセットに沿って複数の内部機構を有する第一停止部品を係合し;
c.前記ハウジングの前記複数のラチェット歯が、前記第一最大用量を画成する前記第一停止部品の前記複数の前記内部機構の第一設定を係合し、そして、前記ダイアルスリーブは、複数のラチェット歯の前記ハウジングを、前記第一停止部品の前記複数の内部機構を取り外すことを阻止するために、第一位置におけるダイアルスリーブの位置決めをし;
d.前記ダイアルスリーブが、最早、前記解放を阻止しないように、第二位置における前記ダイアルスリーブを移動させること;
e.第二最高用量を選択するために前記ダイアルスリーブを操作すること;
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これら並びに本発明の様々な態様のその他の利点は、添付の図面と適切に参照して次の詳細な説明を読むことにより、当業者に対しては明白にあるであろう。
【0017】
典型的な実施態様は、図面を参照して本明細書で記載される:
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】リセット可能な薬物送達デバイスの第一の実施態様の側面図を示す。
図2】キャップがカートリッジホルダの遠位端から取り外された図1で示す薬物送達デバイスの第一実施態様の図を示し;
図3】第一位置における図1の薬物送達デバイスの第一の実施態様の断面図を示す。
図4】第二位置における図1の薬物送達デバイスの第一の実施態様の断面図を示す。
図5】第三位置における図1の薬物送達デバイスの第一の実施態様の断面図を示す。
図6】断面透視図における第一ドライバ部分及び第二ドライバ部分を含む図2〜5で示すドライバの第一配置を示す。
図7図2〜5で示す用量設定機構のスピンドルの遠位端を示す。
図8図1で示す薬物送達デバイスの用量設定機構の第二実施態様の断面図を示す。
図9図8で示す用量設定機構の第二実施態様の拡大部分断面図を示す。
図10図8で示すギャップAの拡大図を示す。
図11】第一ドライバ部分及び第二ドライバ部分を含む図8〜10で示すドライバの第二配置を示す。
図12図2〜5又は図8〜10で示す用量設定機構の側面図を示す。
図13】使用者が用量を設定する図12で示す用量設定機構を示す。
図14】側面図で可変の最大用量設定機構を有する発明の用量設定機構と共に使用できる内部ハウジングの一配置を示す。
図15図14で示す内部ハウジングの一拡大図を示す。
図16】透視図における図14で示す内部ハウジングと共に使用できる停止部品の一配置を示す。
図17】透視側面図における図14で示す内部ハウジングに解放可能に係合する図16の2つの停止部品を示す。
図18】透視側面図における図14で示す内部ハウジングを解放可能に係合するために使用できる、ナンバ又はダイアルスリーブの遠位部分を示す。
図19】用量設定機構における2つの停止部品と共に図14の内部ハウジングと係合する図18のダイアルスリーブを示す。
図20】第二位置における図19のダイアルスリーブを示す。
図21】ダイアルスリーブの第一最大停止面を係合する前の位置における図20のダイアルスリーブを示す。
図22】最大用量がダイアル設定されたときの図21のダイアルスリーブを示す。
図23図22で示すダイアルスリーブによる可変最大用量の設定の第一工程を示す。
図24】ダイアルスリーブが回転した後の図23のダイアルスリーブを示す。
図25】新しい最大用量停止が取り付けられた後の図24のダイアルスリーブの位置を示す。
図26図25で示すダイアルスリーブの正面図を示す。
【0019】
本明細書で使用する用語「薬物(drug)」又は「医薬品」」又は「薬物(medicament)」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン若しくはオリゴヌクレオチド、又は上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの処置、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセジン−3又はエキセジン−4、若しくはエキセジン−3又はエキセジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0020】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0021】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0022】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0023】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0024】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体;
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のエキセンジン−4誘導体のいずれか1つの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0025】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に表示されているような脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0026】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはそれらの誘導体などのグルコアミノグリカン、又は上述の多糖類のスルホン化された、例えば、ポリスルホン化形態、及び/又は、薬学的に許容可能なそれらの塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0027】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されたC1−C6アルキル基;場合により置換されたC2−C6アルケニル基;場合により置換されたC6−C10アリール基、又は場合により置換されたC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0028】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0029】
図1を参照して、本発明の第一の配置に基づく薬物送達デバイス1を示す。薬物送達デバイス1は、カートリッジ保持部分2及び用量設定機構4を有するハウジングを含む。カートリッジ保持部分2の第一端及び用量設定機構4の第二端は保持機構により共に固定される。この図示する配置において、カートリッジ保持部分2は、用量設定機構4の第二端内で固定される。取り外し可能なキャップ3は、カートリッジ保持部分2の第二端又は遠位端の上に解放可能に保持される。より詳細に説明する通り、用量設定機構4は、用量ダイアルグリップ12及び窓又はレンズ14を含む。薬物送達デバイス1内に含まれる薬物の用量を設定するために、使用者は用量ダイアルグリップ12を回転し、窓を使用者に用量スケール配置16によりダイアル設定された用量を見えるようにする。
【0030】
図2は、カバー3が薬物送達デバイスの遠位端から取り外された図1の薬物送達デバイス1を示す。図示する通り、多くの医薬品の用量が投与できるカートリッジ20は、カートリッジハウジング6内で提供される。好ましくは、カートリッジ20は、1日当たり1回又はそれ以上頻繁に投与されなければならないタイプの薬物を含む。そのような薬物はインスリンである。栓又はストッパー(図2では示されていないが)は、カートリッジ20の第一端又は近位端で保持される。
【0031】
図2で示す薬物送達デバイスの用量設定機構4は、再使用可能(それ故、リセット可能)、又は再使用不可能(それ故、リセット不可能)薬物送達デバイスとして活用できる。薬物送達デバイス1が再使用可能薬物送達デバイス1を含むところでは、カートリッジ20は、カートリッジハウジング6から取り外し可能である。カートリッジ20は、デバイスを破壊することなく、単に、使用者がカートリッジホルダ6から用量設定機構4を外すことによりデバイスから取り外し得る。
【0032】
使用中、取り外し可能キャップ3が取り外されたとき、使用者はカートリッジホルダ6の遠位端8に好適な針アセンブリを取り付けることができる。そのような針ユニットはカートリッジホルダ6の遠位端にネジ留めし得て、あるいは、この遠位端8にスナップ留めし得る。代替可能なキャップ3は、用量設定機構4から伸びるカートリッジホルダ6を覆うために使用される。好ましくは、代替可能キャップ3の外寸法は、代替可能キャップ3がカートリッジホルダ6を覆う位置にあるとき、一体化完全体(unitary whole)の印象を提供するために、用量設定機構4の外寸法と類似しているか、又は同一である。
【0033】
図3は、カートリッジホルダ6に取り外し可能に連結している用量設定機構4の断面図を示す。用量設定機構4は、スピンドル42を含む外部ハウジング40、ナンバスリーブ24、クラッチ26、及びドライバ30を含む。第一ラセン状ネジ溝19は、スピンドル42の第一端(遠位端)から伸びる。一つの配置において、スピンドル42は、断面積が一般的には円形であるが、しかし、他の配置も、使用してもよい。スピンドル42の第一端(スピンドル42の遠位端)は、圧力プレート64を通して伸びる。スピンドルベアリング50は、スピンドル42の遠位端43に位置する。スピンドルベアリング50は、カートリッジピストン18の第二端に隣接するために配置されている。ドライバ30はスピンドル42の周囲を伸びる。
【0034】
クラッチ26は、ドライバ30及びナンバスリーブ24間でドライバ30の周囲に配置される。クラッチ26は、ドライバ30の第二端に隣接して位置する。ナンバスリーブ24は、クラッチ26の外側に、そして外側ハウジング40の半径方向の内側に提供される。主ハウジング40は、ナンバスリーブ10の外側表面11の一部を見ることができる窓14を備えている。
【0035】
図1〜2に戻って、用量ダイアルグリップ12は、ナンバスリーブ10の第二端の外側表面の周囲に配置される。用量ダイアルグリップ12の外径は、好ましくは、ハウジング40の外径に対応する。用量ダイアルグリップ12は、ナンバスリーブ10を、これら2つの部品間の相対移動を阻止するために固定される。好ましい一配置において、用量ダイアルグリップ及びナンバスリーブ10は、クラッチ及び駆動スリーブと回転しながら連結し、そしてナンバスリーブ10と軸方向に連結する1つの部品を含む。しかし、代替の連結配置も、また、使用し得る。
【0036】
図3〜5に戻って、この配置において、ドライバ30は、第一ドライバ部分44及び第二ドライバ部分46を含み、そして、これらの部分はスピンドル42の周囲に伸びる。第一及び第二ドライバ部分44、46の両者は、一般的に、円筒形状である。図6から分かるように、第一駆動部分44は、第二端で、第一の半径方向に伸びるフランジ56を備えている。第二の半径方向に伸びるフランジ58は、第一フランジ56から第一ドライバ部分44に沿って距離を開けて提供される。中間のラセン状ネジ溝62は、第一フランジ56と第二フランジ58の間で伸びる第一ドライバ部分44の外側に提供される。ラセン状のネジ溝68の部分又は一部は、第一ドライバ部分44の内部表面に沿って伸びる。スピンドル42は、この部分ラセン状ネジ溝68内で稼働するよう適合される。
【0037】
用量リミッタ38(図3で示される)は、ドライバ30、及び第一フランジ56と第二フランジ58間で配置されたハウジング40の間に位置する。図示された配置において、用量リミッタ38は、ハーフナットを含む。用量リミッタ38は、ドライバ30のラセン状ネジ溝62に合致する内部ラセン状ネジ溝を有する。好ましい一配置において、用量リミッタ38の外部表面及びハウジング40の内部表面は、スプラインを経由して共に、連結される。これは、用量リミッタ38とハウジング40の間の相対的回転を阻止するが、一方、これら2つの部品間の相対的縦方向の移動を可能とする。
【0038】
図2〜5に戻って、本質的に、通常使用において、用量設定機構4の操作は次の通り行われる。図1〜5で示す配置における用量をダイアル設定するため、使用者は用量ダイアルグリップ12を回転する。ドライバ30、クラッチ26及びナンバスリーブ10は、用量ダイアルグリップ12に沿って回転する。
【0039】
ナンバスリーブ10は、ハウジング40から近位方向に伸びる。この方式において、ドライバ30はスピンドル42を上がっていく。走行(travel)限界(最大用量がダイアル設定される)における、ナンバスリーブ10上での半径方向の停止は、更なる移動を阻止するためにハウジング40上で提供される第一停止又は第二停止と係合する。スピンドル42の回転は、スピンドル42上でオーバーホールされ、駆動された反対方向のネジ山のため阻止される。ハウジング40と連結した用量リミッタ38は、ドライバ30の回転によりネジ山62に沿って前進する。
【0040】
図2は、79国際単位(IU)の所望量がダイアル設定された後の薬物送達デバイスを示す。この所望用量がダイアル設定されたとき、使用者は、その後、ダイアルグリップ12を押し下げることにより79IUの所望量を投与できる。使用者がダイアルグリップ12を押し下げると、これがナンバスリーブ10に対して軸方向にクラッチ26を移動させ、クラッチ26を解放させる。しかし、クラッチ26は、ドライバ30に対して回転を止めたままにする。ナンバスリーブ10及び関連する用量ダイアルグリップ12は、自由に回転する。
【0041】
ドライバ30は、主ハウジング4に対して回転は阻止されるが、それに対して軸方向に移動するのは自由である。ドライバ30の縦軸方向の移動はスピンドル42を回転させ、そして、それにより、カートリッジ20においてピストン18を前進させる。
【0042】
普通の使用において、ドライバ30の第一及び第二部分44、46は、用量ダイアルスリーブ10が回転するとき連結される。即ち、普通の使用において、ドライバ30の第一及び第二部分44、46は、使用者が用量ダイアルグリップ12を回すことにより用量を設定するとき、用量ダイアルスリーブ10と連結される。各用量を投与した後、スピンドル42を遠位方向に押し、ダイアル設定した薬物の用量を、カートリッジホルダ6の遠位端8に解放可能に連結した針アセンブリからの放出を継続するために、カートリッジ20の栓18を作動させる。
【0043】
使用者がカートリッジ20内に含まれる全ての薬物を投与するために、薬物送達デバイス1を使用した後、使用者はカートリッジホルダ6内の空のカートリッジを新しいカートリッジと代替することを望むかもしれない。使用者は、その後、また、用量設定機構4をリセットしなければならない:例えば、使用者は、スピンドル42を用量設定機構4内へ後退させるか、又は押し込まなければならない。
【0044】
使用者が空のカートリッジ20を代替し、そしてデバイス1をリセットすることを決める場合、第一及び第二ドライバ部分44、46は、一実施態様において、互いに連結を解放し得る。第二ドライバ部分46から第一ドライバ部分44を連結解放した後、第一ドライバ部分44は回転に対して自由になるが、一方、第二ドライバ部分46は回転に対して自由にはならないであろう。
【0045】
デバイスのリセット工程の間、第一ドライバ部分44を回転することは、少なくとも2つの結果をもたらす。一番目に、第一ドライバ部分44の回転がスピンドル42を回転させるので、第一ドライバ部分44の回転は用量設定機構4に対してスピンドル42の軸方向の位置をリセットするであろう。スピンドル42の回転(何故ならば、スピンドルはスピンドルガイド48で溝を付けられるから)は、スピンドルを用量設定機構内の近位方向へ戻らせる。例えば、図7は、スピンドル42をスピンドルガイド48と連結させるための一配置を示す。図7において、スピンドル42は、第一スプライン51及び第二スプライン52を含む。スピンドルガイド48は、本質的に、開口部を有する円形部材を含む。スピンドルガイド48がスピンドルをロックし、そしてスピンドルの回転中、スピンドルに沿って回転するように、開口部は第一及び第二スプライン51、52と係合する2つの内部突起部材55、57を含む。
【0046】
二番目に、第一ドライバ部分44の回転は、また、用量リミッタ38を軸方向に移動させ、又は初めの、若しくはスタート位置へリセットする。即ち、第一ドライバ部分44が、初めのスタート位置へ回転して後退する、何故ならば、用量リミッタ38は、外部ネジ溝とネジ山を通して係合し、そして、外部ハウジング40などのハウジング部分の内部表面にキー溝を付けるからである。この構成において、用量リミッタ38は、回転を阻止されるが、この部分がリセット工程中に回転するとき、第一ドライバ部分44の外部ネジ溝に沿って移動するであろう。
【0047】
図3で示す第一ドライバ配置を参照して、第一ドライバ部分44が第二ドライバ部分から軸方向に引かれるとき、ドライバ30の2つの部分は連結を解放される。スピンドル42と、スピンドルが通過するスピンドルガイド48間での相対的回転をはじめにロックし、そしてその後、このスピンドルガイド48、及び、また、ナット66を軸方向に一定の距離を押すために、カートリッジホルダ6が、デバイスの前端又は遠位端から取り外されるとき、共に相互作用する付勢手段(少なくとも1つのスプリングなど)の使用により、これが達成できる。スピンドル42は、スピンドルガイド48に回転しながらロックされ、そして、ネジ山を通して、このスピンドルナット66と係合するので、スピンドル42は軸方向に移動するであろう。
【0048】
スピンドル42は、第一ドライバ部分44に係合したネジ溝を経由して連結する。第一ドライバ部分44は、第二ドライバ部分46へのクラッチ連結により回転を阻止される。好ましい一実施態様において、第二ドライバ部分46は、クリッカー戻り止め(clicker detent)75により回転が阻止される。クリッカー戻り止め75は、駆動スリーブ46上のクラッチとフランジ80の間で存在する。従って、スピンドル42の軸方向の移動は、クラッチ連結が解放されるようになるために、2つの駆動部分44、46を解放する。
【0049】
カートリッジホルダ6が取り外され、又は用量設定機構4から解放されるときの操作の順序が図3〜5で示される。図3において、薬物送達デバイスの種々の部品は:外部ハウジング40、カートリッジ20、スピンドル42、第一ドライバ部分44;第二ドライバ部分46、スピンドルベアリング50、スピンドルガイド48;スプリングプレート54;主スプリング60、圧力プレート64、カートリッジホルダ20;スピンドルナット66;及び第二スプリング70を含む。この好ましい配置において、スピンドルガイド54は、スピンドル20に対して回転が固定される。更に、スプリングプレート54、圧力プレート64、及びスピンドルナット66は、全て、外部ハウジング40に対して回転が固定される。
【0050】
図3において、カートリッジホルダ6は、圧力プレート64において開口部を経由して適合され、そして、スプリングプレート54に対して荷重をかける。これは、第一付勢手段又は主スプリング60を圧縮する。圧力プレート64(示されていないが)におけるこれらの開口部は、圧力プレート64を第二付勢手段又は第二スプリング70の作動のもと、スプリングプレート54(カートリッジホルダ6に向かって遠位方向に)から離れることを可能にする。これは、図3で示す通り、ギャップ「a」を開けることになろう。ギャップ「a」は、圧力プレート64とスプリングプレート54の間で創造されたギャップである。これは、また、スピンドルナット66とスピンドルプレート54間でのギャップである、ギャップ「b」を開けることになろう。このギャップ「b」は図3で示される。第二スプリング又は付勢手段70からの軽い力と関連したギャップ「b」は、薬物送達デバイス1の遠位端に向かってスピンドルナット66を移動させる。これはスピンドルガイド48に軽い圧力を負荷させる。
【0051】
スピンドルガイド48は、スピンドルナット66と圧力プレート64間での第二スプリング70の作動の元で圧縮される。この力が作用するスピンドルガイド48のフランジのいずれかの側面上での摩擦係数と連結するこの軽い力は、スピンドルガイド48の回転に対する抵抗、従って、スピンドル42の回転に対する抵抗も同様に提供する。この構成の1つの利点は、投与の最終時に、スピンドル42をカートリッジ栓18から残留するかもしれない軽い残留荷重の元で、用量設定機構4内への巻戻しを阻止することは有利なことである。スピンドル42を近位方向で巻き戻すことを阻止することにより、スピンドル42の遠位端43(そして、その結果、スピンドルベアリング50)は、栓18上で残留する。栓18上でスピンドル42の遠位端43を維持することは、使用者が可能性のある過少投与を行うことを阻止するのに役立つ。
【0052】
使用者が用量を送達するとき、投与力が増加するので、スピンドルナット66上の後方荷重は、スピンドルナット66が近位方向において逆向きに走行し、そして第二スプリング70を圧縮する点まで増加する。これがスピンドルガイド48に作用する軸力を解放する。これはスピンドルガイド48、そしてスピンドル42の回転に対する抵抗性を取り除く。従って、この構成は、カートリッジ栓18により発生する低荷重の元、スピンドル42の巻き戻しを阻止するが、しかし、この投与力がある一定の閾値を超えて増加するとき、この荷重は投与力に加えない。
【0053】
図4は用量設定機構4のハウジング40とカートリッジホルダ6間の連結型を解放するために回転するカートリッジホルダ6を備えた図3の用量設定機構4を示す。一配置において、この連結型22は、バヨネット連結である。しかし、ネジ山、スナップロック、スナップフィット、ルアーロックなどの他の連結型22及び他の同様の連結型も使用できることを、当業者は認識するであろう。図3〜5で示す配置において、カートリッジホルダ6をハウジング40に対して回転することにより、圧力プレート64における開口部を通して主要な付勢手段60を圧縮するために、スプリングプレート54に最初に作用する機構は、主要な付勢手段60により創造されるこの力を、解放するために回転する。これはスプリングプレート54が、スピンドルナット66の内面上でスプリングナット66と接触するまで、スプリングプレート54を遠位方向に移動することを可能にする。
【0054】
この第二条件において、以前に説明したギャップ「a」(図3より)は、ギャップ「c」まで減少した(図4より分かる通り)。この方式において、主要な付勢手段(スプリング)60からの相対的に高い軸方向の力は、スプリングプレート54を通じて、スプリングナット66に、そしてスプリングナット66から、スピンドルガイド48を通じて圧力プレート64に作動する。主要な付勢手段60からのこの相対的に高い軸方向の力は、スピンドルガイド48、その結果スピンドル42の回転を阻止するためには十分である。
【0055】
カートリッジホルダ6の十分な回転の後、カートリッジホルダ6をハウジング40との連結型22から解放する。カートリッジホルダ6は、その後、主要な付勢手段60によりハウジング40から離れて軸方向に(即ち、遠位方向に)駆動される。しかし、この移動中、主スプリング60は、スピンドルガイド48を経由してカートリッジホルダ6に負荷し続け、従って、スピンドル42は回転を阻止される。スピンドル42は、また、第一ドライバ部分44とネジ連結されているので、第一ドライバ部分44は、また、軸方向の遠位方向に引かれ、そして、この手法で、第二ドライバ部分46から解放されるようになる。第二ドライバ部分46は軸方向に固定され、そして回転を阻止される。一つの配置において、第二ドライバ部分46は、クリッカエレメントにより回転を阻止され、そして、ナンバスリーブに対するその軸方向の連結により軸方向の移動が阻止される。
【0056】
図5は、第三位置における、即ち、図3でカートリッジホルダ6が取り外された用量設定機構を示す。カートリッジホルダ6がハウジング40から取り外されると、図5で示すバヨネット機構(内部ハウジングの半径方向の内側に伸びる丸いペッグのように示されている)は、圧力プレート64の走行を限定するが、ギャップ「c」(図4で示す通り)は、より広いギャップ「d」(図5で示す通り)へ増大することを可能とする。結果として、ギャップ「e」は進展する。ギャップ「e」は、スピンドルガイド48から主要な付勢手段60により創造された高いスプリング力を除去する。図4における用量設定機構4は、すぐにリセットできる。
【0057】
この用量設定機構4をリセットするために、使用者は、スピンドル42の遠位端43を押すことにより、ハウジング40内の近位方向へスピンドル42を後退させる。従って、用量設定機構4のこのリセット工程中、スピンドル42が用量設定機構4内へ押し戻すので、スピンドル42の移動がスピンドルナット66を、第二付勢手段70により創造される軽いスプリング力に対抗して後退させる。この移動が軸方向の負荷を解放し、その結果、スピンドルガイド48からの回転に対する抵抗も解放する。従って、用量設定機構4内へ回転して後退するスピンドル42により、用量設定機構4がリセットされるので、スピンドルガイド48が、また、回転する。
【0058】
スピンドル42が、更に、用量設定機構4内へ押し戻されるので、スピンドル42はスピンドルナット66を経由して回転する。第一ドライバ部分44が第二ドライバ部分46から解放されるので、第一ドライバ部分44は回転する(図5及び6でのダイアルスリーブ46の後半上の第一環状リング91により形成される円錐状ネジ溝90上を走行する(running)柔軟性エレメント102、103と共に)。これはスピンドル42の軸方向及び回転運動に適合する。
【0059】
第一ドライバ部分44は、リセット中回転するので、第一ドライバ部分44は、また、用量ナットをリセットする。より具体的には、第一ドライバ部分44は回転するので、ハウジング40の内部表面とキー溝連結されるので回転不可能である用量ナット38が、第一ドライバ部分44の外部表面に沿って提供されるラセン状ネジ溝62に沿って横切り、そして、最初の、又は出発位置44へ戻る。好ましい一つの配置において、用量ナットのこの出発位置は、第一ドライバ部分44の第一半径方向のフランジ56に沿って存在する。
【0060】
用量設定機構4をリセットした後、用量設定機構4は、カートリッジホルダ6と再連結しなければならない。これら2つの部品を再連結するとき、方法は、一般的には、逆に起動する。しかし、今回、主スプリング60の軸方向の圧縮は、第一ドライバ部分44を第二ドライバ部分46と再係合させる。この手法において、柔軟性エレメントは、第二環状リング94と第二ドライバ部分46上で再係合する。
【0061】
図6は、図3で示す第二ドライバ部分46及び第一ドライバ部分44の第一配置を示す。図6で示す通り、第二ドライバ部分46は、一般的には、管状形状であり、そして、第二ドライバ部分46の遠位端で第一環状ネジ溝90を含む。第一環状ネジ溝90は、円錐面91(環状リング)を含む。第二ドライバ部分は、更に、第二環状ネジ溝94及び第二ドライバ部分の表面に沿って位置する少なくとも1つのスプライン96を含む。
【0062】
第一ドライバ部分44は、また、一般的に、管状形状であり、そして、第一及び第二エレメント102、103、並びに複数のスプライン凹部100を含む。複数の凹部100は、第一及び第二ドライバ部分44、46が互いに解放可能に係合するように軸方向へ押されるとき、第一ドライバ部分44の縦方向のスプライン96を第二ドライバ部分46に解放可能に連結する。共に押されるとき、第一ドライバ部分44の柔軟性エレメント102、103は、第二ドライバ部分46の第一環状ネジ溝90に押され、そして、その後、第二ドライバ部分のフランジ80が、第一ドライバ部分44の第一軸方向のフランジ56に隣接するとき停止する。
【0063】
第一ドライバ部分44は、また、複数のラチェット機構104を含む。これらのラチェット機構104は、第一ドライバ部分44の遠位端106で提供される。これらのラチェット機構104は、ハウジング2とキー溝連結されるスプリングプレート54上で、同様のラチェット機構を係合する(例えば、図3〜5参照)。リセット工程の終了時に、これらのラチェット機構は第一ドライバ部分44の回転を阻止し、それにより、スピンドル42が更にリセットするとき、第一ドライバ部分は軸方向に移動し、円錐面90上で回転するよりむしろ第二ドライバ部分46を再係合するために互いに係合する。これらの機構は、また、2つのドライバ部分44、46が、組立中、又はリセット後に、容易に係合するために、第二ドライバ部分44に対してスプリングプレート54を適合させる。従って、これらのラチェット機構は、また、連結機構スプライン96及びスプライン凹部100を互いに衝突することを阻止する。
【0064】
用量設定機構の第二配置は図8〜11に示す。図8は用量設定機構200の第二配置の断面図を示す。用量設定機構200が図2で示すカートリッジホルダ6のように、カートリッジホルダに解放可能に連結するための連結機構を含んでもよいことは、当業者に認識できるであろう。しかし、当業者が認識する通り、用量設定機構は、また、カートリッジホルダと恒久的に連結するために恒久的な連結機構を含んでもよい。
【0065】
図9はドライバ操作を示す用量設定機構の一部を示す。図10は、図9で示す第一ドライバ部分と第二ドライバ部分間の連結の拡大図を示す。用量設定機構200の第二配置は、一般的に、図1〜5で示す用量設定機構4の第一配置と類似の方式で操作する。
【0066】
図8〜10を参照して、用量設定機構200は、用量ダイアルグリップ202、スプリング201、外部ハウジング204、クラッチ205、ドライバ209、ナンバスリーブ206、及び内部ハウジング208を含む。図2〜5で示すドライバ30と同様に、用量設定機構のドライバ209は、第一ドライバ部分207、及び第二ドライバ部分212を含む。一配置において、第一ドライバ部分207は、第一部品部分210及び第二部品部分211を含む。あるいは、第一ドライバ部分207は一体化された部品部分である。
【0067】
図8及び9で示す用量設定機構200が、リセット可能な用量設定機構を含むところでは、ドライバ209は、第一ドライバ部分207が第二ドライバ部分212に向かって軸方向に押されるとき(即ち、近位方向に押されるとき)、用量設定機構からの連結から解放される。一つの配置において、これはスピンドル214の遠位端上に軸方向に押すことにより達成できる。これはカートリッジホルダの取り外しに関連するいかなる機構も必要としない。機構は、また、第一及び第二ドライバ部分207、212、及びスピンドル214が、用量設定並びに用量投与中、共に、回転がロックされた状態で残留するように設計される。
【0068】
スピンドル214の軸力は、ドライバ209に対するそのネジ山連結のためスピンドル214を回転させる。この回転及びスピンドル214の軸方向の移動は、順番に、第一ドライバ部分207を第二ドライバ部分212に向かって軸方向に移動させる。これは、結局は、第一ドライバ部分207と第二ドライバ部分212間の連結エレメント250を解放するであろう。これは図11にみることができる。
【0069】
第一ドライバ部分207の第二ドライバ部分212向かうこの軸方向の移動は、ある利点をもたらす。例えば、一利点は、金属スプリング201は圧縮され、従って、図8〜10で示すギャップ「a」を閉じることになる。これは、順番に、クラッチ205をクリッカー220又はナンバスリーブ206から解放することを阻止する。第二ドライバ部分212はクラッチ205とキー溝連結されるので、回転を阻止される。クリッカー220は内部ハウジング208にキー溝連結される。従って、ギャップ「a」は減少し、又は閉じられるとき、第二ドライバ部分212は、ハウジング204、208又はナンバスリーブ206に対して回転することはできない。結果として、ナンバスリーブ206はハウジング204に対して回転することはできない。ナンバスリーブ206は回転が阻止される場合、その後、スピンドル214が用量設定機構200内へ後退するので、それにより、リセットされ、スピンドル214に適用される力の結果として、用量設定機構200の近位側からナンバスリーブ206が押されるリスクはなくなるであろう。
【0070】
同様に、薬物送達デバイスが投与されるとき、使用者は、用量ボタン216に軸方向の荷重を負荷する。用量ボタン216は、クラッチ205と軸方向に連結し、そして、これが相対的な軸方向の移動を阻止する。従って、クラッチ205は軸方向に、カートリッジ端に向かって、又は用量設定機構200の遠位端に向かって移動する。この移動はクラッチ205をナンバスリーブ206から解放し、ギャップ「a」を閉じる間、相対的回転が可能となる。
【0071】
上記で説明した通り、これはクラッチ205をクリッカー220に対する、それ故ハウジング204に対する回転を阻止する。しかし、このシナリオにおいて、第一ドライバ部分210及び第二ドライバ部分212間の連結を解放することから阻止する。従って、スピンドル214上のいかなる軸方向の荷重も、用量ボタン216が軸方向に負荷されないときは、第一及び第二ドライバ部分210、212のみ解放する。従って、これは投与中には起こらない。
【0072】
用量設定機構200と共に、使用者が用量を用量ダイアルグリップ202でダイアル設定するので、金属スプリング201が、両者のクラッチ連結:クラッチ205とナンバスリーブ206間のクラッチ連結及び第一ドライバ部分207と第二ドライバ部分212間のクラッチ連結の係合を維持するに十分強くなるように選択される。
【0073】
図11図8で示す第一ドライバ部分207及び第二ドライバ部分212の第一配置の詳細を示す。図11で示す通り、第二ドライバ部分212は、一般的には管状形状であり、そして、第二ドライバ部分212の遠位端に位置する少なくとも1つのドライブドグ(drive dog)(連結エレメント)250を含む。第一ドライバ部分207は、また、一般的には、管状形状であり、そして、第二ドライバ部分212上のドライブドグ250と係合するサイズの複数の凹部252を含む。ドライブドグ及び凹部の構造は、第一及び第二ドライバ部分が共に軸方向に押されるとき、ドライブドグ250の開放を可能にする。この構造は、また、これらの部品に離れてスプリングを付けたとき、回転連結を創造する。ナット219を備えた用量リミッタ部分218は、第一ドライバ部分207に提供され、ここで、ナット219は、図3で示す用量リミッタ38に対して同様に操作する。
【0074】
この配置において、第一ドライバ部分207は、恒久的に第二部分210と留める第一部分211を含む。この配置において、第一部分211はドライブドッグ252を含み、そして、第二部品210は、最終用量ナット219並びに内部ネジ溝254を含む。この内部ネジ溝254は、スピンドル214を連結し、そして、用量投与中にスピンドル214を駆動させるために使用される。
【0075】
図示した配置において、内部ネジ溝254は、完全なラセン状ネジ溝よりむしろ部分的なラセン状のネジ溝を含む。この配置の1つの利点は、一般的に製作が容易であることである。
【0076】
図8〜11で示す配置から判明する通り、図3〜5で示す用量設定機構4に対してある種の特徴の強化がある。これらは空のカートリッジを新しいカートリッジと代替するためにデバイスをリセットする性能とは独立して加えられる。従って、これらの強化は、リセット可能な、及びリセット不可能な用量設定機構の両方に関連する。
【0077】
両配置における、多分、具体的には、図8〜11で示す配置における利点の1つは、用量設定機構200がその他のよく知られた用量設定機構より部品数が少ないことである。加えて、金属コイルスプリング201(図9及び10参照)は別にして、用量設定機構200を構成するこれら部品の全ては、安価で、単純な設備を用いて、射出成形されてもよい。1つの実例で示す通り、用量設定機構200を構成するこれら部品は、高価で、精巧な回転芯なしで射出成形されてもよい。
【0078】
図8〜11で示す内部ハウジング208を含む用量設定機構200の別の利点は、用量設定機構200は、リセット可能な、及びリセッ不可能な薬物送達デバイスの両者を支持することが可能である薬物送達デバイスプラットホームのように若干の変更を有して設計できることである。ほんの一例として、図8〜11に示すものとは異なるリセット可能な用量設定機構200を、リセット不可能な薬物送達デバイスへ変更するためには、第一ドライバ部分211及び210及び第二ドライバ部分212は、一体部品として成形することができる。これは、薬物送達デバイスの合計数を2つの部品により減少させる。さもないと、図8〜11で示す薬物送達デバイスは、未変化のまま残留することになる。
【0079】
図8〜11におけるイラストは、薬物送達デバイス200の全長と一般的に同等の長さ230を有する内部ハウジング208を示す。記載される通り、そのような長さを有する内部ハウジング208を提供することは、内部本体、又は用量設定機構の長さと一般的に同一の長さを有する内部本体を活用しないその他の公知の用量設定機構に対して多くの利点を有することである。
【0080】
内部ハウジング208は、内部ハウジングの外表面234に沿って提供されるネジ溝232を含む。ナンバプレート206の内部表面238上に提供されるネジ溝ガイド236は、このネジ溝232と回転可能に係合される。
【0081】
内部ハウジング208を活用するこの用量設定機構200の1つの利点は、内部ハウジング208は、ナンバスリーブ206、ネジ溝ガイド236及びネジ溝232に対する摩擦を最少化するエンジニアリングプラスチックから製作できる。例えば、そのようなエンジニアリングプラスチックの1つとしてはアセタールを含むことができる。しかし、当業者は、低摩擦係数を有するその他のエンジニアリングプラスチックも、また、使用可能であることを認識するであろう。外部ハウジング204が、通常の使用中、いかなる移動部品とも係合しないので、そのようなエンジニアリングプラスチックを用いることは、外部ハウジング204に対する素材を、摩擦に関連する要求事項とは関係なく、美的、触感的理由で選択することを可能にする。
【0082】
内部ハウジング208は、また、ナンバスリーブ206の外部表面240上にそのようなラセン状ネジ溝又はネジ溝ガイド236を提供するよりむしろ、ナンバスリーブ206を、ラセン状ネジ溝、又はナンバスリーブ206の内部表面238上のネジ溝ガイド236を備えて提供することを可能にする。そのような内部ネジ溝又は内部ネジ溝ガイド236を提供することは、多くの利点をもたらす。例えば、スケール配置242を提供するために、これは、ナンバスリーブ206の外部表面240に沿ってより多くの表面積を提供する利点をもたらす。より多くのスリーブ表面積は、薬剤又はデバイスの識別目的のために使用できる。ダイアル又はナンバスリーブ206の内部表面238上に、ラセン状ネジ溝又はネジ溝ガイド236を提供する別の利点は、内部ネジ溝又はネジ溝ガイド236が、ほこりの侵入を防ぐことである。換言すれば、ネジ溝がナンバスリーブ206の外部表面240に沿って提供される場合より、この内部ネジ溝表面インターフェースにおいて、ほこりがログされる(logged)ようになるのが、より困難となる。この特徴は、リセット不可能なデバイスと比較して長時間機能しなければならないリセット可能な薬物送達デバイスに対して特に重要である。
【0083】
ナンバスリーブ206と内部ハウジング208間のネジ溝を付けたインターフェースの効果的に駆動する直径は、同一の外部本体直径を有するある種の既知の薬物送達デバイスと比較して低下する。これは効率を向上させ、そして、薬物送達デバイスを、このネジ溝及びネジ溝ガイドの連結に対してより低いピッチで機能することを可能にする。換言すれば、ネジ山のラセン角は、軸方向に押されたとき、ナンバスリーブは内部本体に対して回転するか、又はロックするか否かで決まり、ここで、このラセン角はピッチの直径に対する比率に比例する。
【0084】
ナンバスリーブ206は、この長さをナンバスリーブ206のために必要とされるスペース、並びにクリッカー及び用量リミッタのために必要とされるスペースに分断しなければならないよりむしろ、機構「L1」230(図12参照)の長さを作ることができる。この構成の1つの利点は、それはナンバスリーブ206と外部ハウジング204間の良好な軸方向の係合を確保することである。これは、使用者が薬物送達デバイスを最大設定可能な用量をダイアル設定するために使用するとき、用量設定機構の機能性(及び、認知特性)を向上させる。 図13は、80国際単位(「IU」)の最大設定可能な用量に設定した用量設定機構200を示す。
【0085】
別の利点は、ナンバスリーブ206が、図13から判明する通り、完全にダイアル設定できるときですら、スケール配置242を外部ハウジング204内に隠れることを可能にすることである。しかし、設計は、図8で示す窓244の位置を限定しないが、この窓244を、デバイスの用量ダイアルグリップ202の近くで位置することを可能とする。しかし、図12及び13で示す配置において、スケール配置242は、窓244によってのみ視認可能であろう。
【0086】
同様に、ドライバ209(2つの部分で作られるか、又は1つの一体部品)は、穴を経由した無地の内面、プラス、軸方向に移動するコアピンで成形可能なネジ山形状で製作することができる。これは1回転以上の内部ネジ山を有するドライバの欠点を避け、従って、離形工程中コアピンを数回回転させることが必要となる。
【0087】
内部ハウジング208を含む用量設定機構を活用する1つの可能性のある欠点は、内部ハウジング208の使用が用量設定機構200全体に対して部品部分を加えることである。結果として、この内部ハウジング208は、クラッチ205とナンバスリーブ206間に適合するために設計されなければならない全壁厚を増加させる傾向にあるだろう。デザイン事項を解決するための1つの方法は、図8で示す通り、クラッチ205及びナンバスリーブ206の直径を低下させることである。これは、順番に、達成可能である、何故ならば、ドライバ209とスピンドル214間でのネジ山形状がドライバ209に関するオス型内部機構及び内部ハウジング208の外部表面234に沿ってネジ溝とインターフェースするスピンドルネジ溝形状と重なり合う(同一直径上で)スピンドル214上のメス型外部ネジ溝形状を含む。
【0088】
スピンドル214上でのネジ溝形状の重なりは、ドライバ209とインターフェースするネジ山の効果的な直径を低下させる。これは、また、用量設定機構200の全外部直径を増大させることなく内部ハウジング208の追加を可能とするドライバ209の可能性のある外部直径を低下させる。ドライバ209とインターフェースするネジ山の低下した効果的な直径の別の加えるべき利益は、上記で説明した通り、投与中の薬物送達デバイスの効率を改良することである。
【0089】
スケール配置242がそれを通して見ることができる窓244は、丁度、外部ハウジング204における開口部であってもよく、又はナンバスリーブ206上での外部表面240の部分沿ったスケール配置(即ち、印刷された、又はレーザでマークした用量数)242を拡大するように設計した無色のレンズ又は窓を含むことができる。
【0090】
カートリッジホルダ6の外部ハウジング204との連結は、スクリュ又はバヨネット型連結を用いて達成できる。あるいは、取り外し、その後、再び取り付けるために主として円筒状部分を要求する薬物送達デバイスで使用される同様の強固なデザインはいずれも、また、使用可能である。
【0091】
前の図で議論した用量設定機構は、固定された最大用量設定機構、又は調整可能な、若しくは可変の最大用量設定機構を含む薬物送達デバイス用に活用し得る。調整可能な又は可変の最大用量の停止を可能にする用量設定機構を有する薬物送達デバイスを設計するために、少なくとも1つの移動可能な部材が必要である。好ましくは、この移動可能な部材は、第一最大用量を画成する第一位置から、第二最大用量を画成する第二位置へ移動し得る。この手法で、最大用量値は、ハウジングに対する移動可能部材の位置を変更させることにより、変えられ、調整し得る。
【0092】
以下で説明する通り、最大用量停止部品が係合されているとき、使用者が軸方向にナンバスリーブを引き、そしてこのナンバスリーブを移動させる場合、その後、使用者が、内部ハウジングに対して追加の1つの部品又は複数の部品の位置を調整することができる薬物送達デバイスを図示するデバイス及びデバイス部品が記載される。この移動させた位置におけるナンバスリーブを回転させ、それにより最大用量停止位置を変更させることにより、これが実施し得る。デバイスのラチェット歯の構造を元に(及び、以下により詳細に記載する通り)、これは、ナンバスリーブを時計回りに、又は反時計回りに回転することにより達成し得る。
【0093】
例えば、図14は、可変の最大用量設定機構を有する薬物送達デバイスで使用できる内部ハウジング260の一配置を示す。そのような内部ハウジング260は一般的に管状形状を有し、そして、図8で示す用量設定機構などの用量設定機構と共に使用される。図14で示す配置において、内部ハウジング260は遠位端262及び近位端264を含む。好ましい一配置において、内部ハウジング260は、一般的に、図8で示す用量設定機構などの用量設定機構の長さと同等の長さを有する。
【0094】
図14に戻って参照することにより、オス型ガイド266は、内部ハウジング260の外部表面268に沿って提供される。好ましい配置において、このオス型ガイド266は、他の配置にも、また、活用し得るが、内部ハウジング260の外部表面268の長さ「L3」に沿って伸びる。好ましい一配置において、このオス型ガイド266は、内部ハウジング260の外部表面268に沿って複数のネジ溝(ネジ溝270a、270b、及び270cなど)が画成される。それは、図8で示すナンバスリーブ206などのナンバスリーブのオス型ガイドを係合する複数のネジ溝(a〜c)である。しかしながら、当業者は、これらのオス型及びメス型ガイドは相互交換が可能であることは認識するであろう。
【0095】
好ましくは、内部ハウジング260の外部表面268に沿って、及び複数のネジ溝270(a〜c)セットに沿って、複数のラチェット歯272(a〜d)が提供される。この実施態様において、ラチェット歯272(a〜d)は、隣接ネジ溝270(a〜c)の近位部分(好ましくは、近位部分の半分の幅)と仮定するオス型ガイド266に沿った列に蓄積される。ラチェット歯272(a〜d)の高さは、オス型ガイド266の高さより低く、好ましくは、オス型ガイド266の高さの半分である。ほんの一例として、図15は、これらのラチェット歯がより詳細に示される図14で示す内部ハウジング260の拡大図を示す。図15で示す配置において、複数のラチェット歯272(a〜d)の4セットが、内部ハウジング260の第一部分に沿って提供される。しかし、当業者は、別のラチェット歯配置も、また、使用できることを認識するであろう。ほんの一例として、代替ラチェット歯の一配置は、内部ハウジング260の近位端264の近傍のみで提供できるであろう。別の例として、また別の代替ラチェット歯配置は、内部ハウジング260の外部表面全体に沿って提供できるであろう。
【0096】
図16は、図14及び15で示す内部ハウジング260と共に使用し得る停止部品286を示す。停止部品286は第一最大用量停止面288A及び第二面290Bを含む。288A及び290Bの両者は、停止部品286の縦軸方向に垂直に走る(run)。以下で記載する通り、第二面290Bは、停止部品286の最大停止位置を低下させるために使用できる。停止部品286は、更に、第一又は内部表面292及び第二又は外部表面294を含む。好ましくは、第一又は内部表面292は複数の内部機構296を含む。一配置において、これらの内部機構296は、内部ハウジング260の外部表面268に沿って提供される複数のラッチェト歯272(a〜d)を解放可能に係合するような形状をしている。外部表面294上に、停止部品286は、外部表面294上に位置する高い表面294aを低い表面294bと連結させ、そして停止部品286の縦方向に走る階段構造295を含む。高い表面294aの領域において、停止部品286は高い肉厚を有する(内部機構296の肉厚を含めて)。高い表面294aは、反対側の内部表面292上の内部機構296を含む停止部品286の一部に形成される。
【0097】
例えば、図17は、図15で示す内部ハウジング260の外部表面268に沿って第一最大停止位置における第一停止部品286a及び第二停止部品286bとして解放可能に係合した図16の停止部品286を示す。2つの部品286a、286bが図17で示されるが、1つ又は3つの停止部品のみが、また、使用できるであろう。内部ハウジング260の外部表面294に沿って2つ又はそれ以上の部品286a、286bを含む1つの利点は、用量設定機構の全停止強度が増加し得ることである。ほんの一例として、内部ハウジングの外部表面は、180°回転により間隔を開けた、2重の出発ネジ溝を有する場合、その後、1つの停止部品は、各々のネジ溝内で使用可能である。
【0098】
図17で示す通り、停止部品286a、bは、内部ハウジング260のネジ溝270(a〜c)に適合され、高い表面294aを形成する部分は、ネジ溝270(a〜c)のラチェット歯272(a〜d)を覆い、そして、低い表面294bを形成する部分は、ネジ溝270(a〜c)の空の部分を覆う。それ故、内部ハウジング260の外部表面上の停止部品286a、b及びガイド−ネジ溝構造の組合せは、内部ハウジング260の軸方向における増大した肉厚(ガイド266の肉厚及び高い表面294aの肉厚)を備えたガイド、並びにネジ溝266及び停止部品286a、bを含まないネジ溝270(a〜c)と比較して低い表面294bで形成される浅いネジ溝を形成する。
【0099】
好ましい一配置において、停止部品286a、bの少なくとも1つは、内部ハウジング260の外周を、180°以上包囲してもよい。これは個々の停止部品286a、bを内部ハウジング260上にクリップ又はスナップすることを可能にする。
【0100】
図18は、図14で示す内部ハウジング260を解放可能に係合するために使用できるナンバ、又はダイアルスリーブの部分を示す。ダイアルスリーブ300は、一般的には、管状形状であり、そして図8で示すナンバスリーブ206に対して同様の操作を行う。ダイアルスリーブ300は、一般的には、滑らかな外部表面301及び内部表面303を含む。以前に説明した通り、スケール配置は、この一般的に滑らかな他の表面301に沿って提供し得る。
【0101】
好ましい実施態様において、ダイアルスリーブは、2つの本質的には管状の部分:内部表面303を形成する近位半分300a、及びダイアルスリーブ300の外部表面301を形成する遠位半分300bより成る。遠位に、近位半分300bは、階段構造305の形成を終える。両半分300a、300bは共に固定され、あるいは、単一品として形成し得る。
【0102】
ダイアルスリーブ300は、更に、近位端304及び遠位端302を含む。遠位端302の近傍で、ダイアルスリーブ300は、半径方向に走る最大用量停止面306Aを含む。最大用量停止面306Aは、遠位半分300bの内部表面で形成される突起で形成される。更に、ダイアルスリーブ300は、更に、同様に半径方向に走っていく面310Bを含む。突起形成面310Bは、近位半分300aで形成される階段構造305に隣接する遠位半分300bの内部表面に位置する。以下に説明する通り、最大用量の設定工程中に、面310Bは、各停止部品286a、bの最大用量停止位置を低下させるために、第一又は第二停止部品286a、bの第二面290Bを係合する。
【0103】
ダイアルスリーブ300は、更に、遠位半分300bの内部表面から突起する主駆動ネジ山312を含む。この主駆動ネジ山312は、用量設定工程及び用量投与工程中に内部ハウジング260のネジ溝270a、b、cを係合する。柔軟性エレメント308は、また、最大用量停止面306Aを備えた突起部を含むダイアルスリーブ300の遠位半分300bの最も遠い遠位端304近傍で提供される。各柔軟性エレメント308は、円周方向に走る遠位半分300bにおけるタフな進行カット部(going cut)309により形成される。
【0104】
図19は、用量設定位置における図14の内部ハウジング260に係合した図18のダイアルスリーブ300を示す。このダイアルスリーブ位置において、ダイアルスリーブ300の遠位端302が示される。停止部品286a、bは、ダイアルスリーブ300、特に遠位半分300bの遠位端302により内部ハウジング260からの開放を阻止するように示される、何故ならば、この遠位端302は停止部品286a、bで重なっているからである。この位置において、薬物送達デバイスの用量設定機構は、内部ハウジング260のネジ溝270に沿って停止部品286a、bの位置で、特に、各停止部品286a、bの停止面288Aの位置で画成される第一最大用量を有する用量を設定するために使用し得る。設定用量が第一最大用量に対応する位置においてダイアルスリーブ300の停止面306Aは個々の停止部品286a、bの停止面288Aに隣接する(図22参照)。
【0105】
第二最大用量位置へ移動する停止部品286a、bのために、停止部品286a、bは、内部ハウジング260から解放することを可能にしなければならない。これは、ダイアルスリーブ300の遠位端302が内部ハウジング260に対して近位的に移動し、そして、ダイアルスリーブ300が、第二最大用量停止を画成する第二位置に存在するように、近位方向におけるダイアルスリーブ300を移動させ、又は引くことにより発生するかもしれない(参照:図22のダイアルスリーブ300の位置から、図23で示すその位置まで行われた移動)。ダイアルスリーブ300のこの位置において、遠位半分300bは、各停止部品286a、bの高い表面294aを重なり合うことはなく、従って、曲がることを可能にする。
【0106】
ダイアルスリーブ300のこの第二位置は、また、図20で示される。図20から見ることができる通り、ダイアルスリーブ260は近位方向に移動した。内部ハウジング260に対してダイアルスリーブ300を近位的に移動させることにより、これは第二位置に対して回転できるようにするため停止部品286へのアクセスを可能にする。
【0107】
図21は、停止部品286a、bの第一最大停止面288Aのダイアルスリーブ300の最大用量停止面306Aとの係合の前の位置におけるダイアルスリーブ300を示す。図22は、最大用量がダイアル設定されたときの図21で示されるダイアルスリーブを示す。この位置において、停止部品286の第一最大停止面288Aは、ダイアルスリーブ300の最大用量停止面306Aを係合する。換言すれば、図22は、最大可変用量をダイアル設定したとき、内部ハウジング260に対するダイアルスリーブ300の位置を示す。ダイアルスリーブ300が近位方向に引かれる場合、各停止部品286a、bの第二最大停止面290Bが、ダイアルスリーブ300の各々の面310Bに係合する。用量設定機構は、第一設定最大用量(即ち、内部ハウジング260に沿って停止部品286a、bの第一位置で画成される通り)が、新しい、又は第二設定最大用量(即ち、内部ハウジング260に沿って停止部品286の第二位置で画成される通り)に変化できる状態にある。
【0108】
図23は、図22で示すダイアルスリーブ300による可変最大用量を設定する第一工程を示す。図23において、ダイアルスリーブ300は、停止面310Bが停止面290Bと係合するように、近位方向に引き戻される。これは、停止面310Bの高い部分が、近位方向におけるダイアルスリーブ300の移動ために、高い表面294aにより形成される停止面290Bの一部と隣接するためである(ダイアルスリーブ300が近位方向に引かれない場合、停止面310Bを形成する突起は、ラチェット歯(a〜d)を含まないネジ溝270(a〜c)の一部に走っていく)。停止面290B、310Bの係合はダイアルスリーブ300の回転を可能する。ラチェット歯の配向に依存して、ダイアルスリーブ300の時計方向又は反時計方向の回転は、可変最大用量を上昇させる。この位置において、ダイアルスリーブ300の回転は、また、面290B及び310Bの隣接のため、内部ハウジング260に対して停止備品286a、bを回転させるであろう。ダイアルスリーブ300の近位位置において、ダイアルスリーブ300の遠位端302上での各々の柔軟性エレメント308は、内部ハウジング260に介入する。これは使用者にダイアルスリーブ300上に近位的に引き戻させる反対方向に作動させるスプリング状の力を提供する。
【0109】
図示した実施態様において、ダイアルスリーブ300を近位方向で引くことは、突起形成停止面310Bが停止部品286a、bの内1つと重ならない位置でのみ可能となる。これは、具体的には、図22で示す通り、停止面310Bが停止部品286a、bの停止面290Bとは反対に適合する事例である。ダイアルスリーブ300の突起形成面310Bが停止部品286a、bの1つと重なる場合、ダイアルスリーブ300は、個々の停止部品286a、bの階段構造295により引き戻されることを阻止される。
【0110】
図24はダイアルスリーブが回転した後、図23のダイアルスリーブ300を示す。使用者がダイアルスリーブ300を、この引き戻された位置又は近位位置で回転するとき、ダイアルスリーブ300の遠位半分300bが、外面294、具体的には、停止部品286a、bの高い表面294aと重ならないので、ダイアルスリーブ300は、新しい最大用量位置:以前に設定した最大用量を増加させる、又は減少させる位置へ停止部品286a、bを適合させる(即ち、回転させる)ように回転し得る。
【0111】
ダイアルスリーブ300の回転中、併せて、係合された停止部品286a、bの回転中、停止部品286a、bは、半径方向に曲がり、一方、内部本体260の外部表面268に沿って提供されるラチェット歯272(a〜c)と突き当たる。ダイアルスリーブ300の柔軟性エレメント308の内部ハウジング260への介入は、図24でより明確に示されている。近位位置における停止面306Aを形成する突起部を含む柔軟性エレメント308の遠位端は、部分的にガイド266に介入する。使用に当たって、好ましくは、少なくとも1つの柔軟性エレメント308は、介入を緩和するために半径方向の外側に向かって曲がる。
【0112】
図25は、図18で示すダイアルスリーブ300の第三位置を示す。この位置において、使用者が図24で示すダイアルスリーブを引き戻す軸力を解放するとき、柔軟性エレメント308は、ダイアルスリーブ300を遠位方向に戻させる。この位置において、ダイアルスリーブ300の遠位端が、停止部品286a、bと重ならないので、停止部品286a、bは回転を阻止される。
【0113】
図26は、図25で示すダイアルスリーブ300及び内部ハウジング260の側面図の好ましい一配置を示す。ラチェット歯272(a)は、前縁322及び後縁324を含む。これらの端部322、324は、半径方向との間で2つの角度:角度「x」320、及び角度「y」340を画成する。一配置において、角度「x」320、及び角度「y」340は、図示する通り、停止部品286a、bが以前に設定した最大用量を増加させるか、又は減少させるために、両方向で回転することができるように選択することができる。
【0114】
更なる一配置において、角度「y」340は、ラチェット歯272(a)の後縁324を修正することにより低下させることができる。これは、停止部品286をある方向における回転を阻止することになるであろう。この手法で、最大用量を低下させることのみが可能であり、そして増大させることはできない。そのような配置の1つの利点は、最大設定可能用量が、子供や別の患者により覆されることができないことである。
【0115】
あるいは、ラチェット歯272(a)の角度「y」340は、前縁、及び/又は、後縁322は、また、例えば、0〜25UIの最大用量範囲が確立された方法で修正可能であるので、最大用量はこの画成範囲内で増加又は減少の調整が可能である。しかし、停止部品286a、bは、最大用量を低下させるために回転できることのみよりむしろ、この画成値範囲より大きい最大用量(即ち、25UIより大きい)を設定するように回転できないことである。同様に、各停止部品286a、bの内部機構296の端部は修正可能である。
【0116】
最大用量範囲を提供するこの配置の1つの利点は、用量停止は、また、使用者が最大用量を再調整することができる領域を事前に画成するための選択肢を有することである。そのような配置は、子供、又は視力に限界があり、若しくは薬物送達デバイスの操作の知識に限界のある高齢患者に対する過剰投与のリスクを減少させるために重要であるかもしれない。
【0117】
あるいは、ラチェット歯272a〜dは、ダイアルスリーブが引き戻されたとき、使用者がダイアルスリーブ300を時計方向に、又は反時計方向に回転することができるように構成されていてもよい。従って、内部ハウジングと停止部品間のラチェット歯は、対称的に構成されているか、又はむしろ、図26の角度「x」320及び「y」340が、共に、著しく、0°より大きい場合、その結果、ダイアルスリーブ300は、時計方向に回転するとき、最大用量を増加させ、そして、反時計方向に回転するとき、最大用量を減少させることになろう。あるいは、角度「y」340が0°に近づくと、その後、これは、本質的に、この一方向において、停止部品の調整をブロックするであろう。
【0118】
本発明の典型的な実施態様を説明した。当業者は、しかし、変化及び修正が請求項で画成される本発明の真の範囲及び精神から離れることなくこれらの実施態様に対して実施し得ることを理解するであろう。
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