特許第5715627号(P5715627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715627飲料調製装置のユーザフレンドリーな始動モード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715627
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】飲料調製装置のユーザフレンドリーな始動モード
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20150416BHJP
   A47J 31/00 20060101ALI20150416BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A47J31/44 Z
   A47J31/00
   B67D1/08 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-525144(P2012-525144)
(86)(22)【出願日】2010年8月13日
(65)【公表番号】特表2013-502252(P2013-502252A)
(43)【公表日】2013年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2010061801
(87)【国際公開番号】WO2011020779
(87)【国際公開日】20110224
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】09168147.8
(32)【優先日】2009年8月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】フロリン, サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】クロウチ, フランク
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−259928(JP,A)
【文献】 特開平02−074221(JP,A)
【文献】 特開2008−123339(JP,A)
【文献】 特開2006−228585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の飲料成分を処理して飲料を注出するための飲料処理装置(5’、5’’、200、500、510、600、700、800)と、
前記飲料処理装置に接続されて前記1つ以上の飲料成分の処理を制御するための制御ユニット(2)と、
前記制御ユニットに接続された、異なる飲料を要求するための複数の飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)と、
を備える電気式の飲料調製装置であり、
前記飲料調製装置が直ちに前記1つ以上の飲料成分を処理し、結果的に得られる飲料を注出できる状態にある作動モードと、前記飲料調製装置が前記1つ以上の飲料成分を処理できる状態になく、低電力消費スタンバイモードまたは電気的スイッチオフ状態から飲料調製モードにもたらされる始動モードとを有し、
前記制御ユニット(2)が、前記始動モードにおいて前記飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)を介して任意の飲料要求を格納し、前記始動モードが終わった後に前記作動モードに入ると、前記1つ以上の飲料成分の処理を自動的に開始するようにされており、
前記制御ユニット(2)が、任意の前記飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)の第1のユーザ選択によって前記始動モードを開始し、前記作動モードに入る前に前記飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)のうちの1つの第2のユーザ選択によって飲料要求を格納するようにされていることを特徴とする飲料調製装置。
【請求項2】
前記制御ユニット(2)に接続されたパワーユーザセレクタ(2a)を備え、前記制御ユニットが、前記パワーユーザセレクタによってスイッチオンされると、前記始動モードを開始するようにされている、請求項1に記載の飲料調製装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(2)に接続され、前記始動モード中に飲料要求の適切な格納を示すようにされユーザインジケータを備える、請求項1または2に記載の飲料調製装置。
【請求項4】
前記ユーザインジケータが、飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)に関連付けられている、請求項に記載の飲料調製装置。
【請求項5】
各飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)が、専用ユーザインジケータに関連付けられている、請求項に記載の飲料調製装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(2)が、特定飲料に対応する前記飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)に関連付けられた前記ユーザインジケータを介して、始動モード中に前記特定飲料の要求の格納を示すようにされている、請求項に記載の飲料調製装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(2)が、要求されていない飲料に対応する前記飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)に関連付けられた前記ユーザインジケータを介して始動モード中に特定飲料の要求の格納を示すようにされている、請求項に記載の飲料調製装置。
【請求項8】
前記ユーザインジケータが、前記低電力消費スタンバイモード、飲料要求の格納を伴わない前記始動モード、飲料要求の格納を伴う前記始動モード、および作動モードから選択された少なくとも2つの異なる状態を示すための複数の発光モードを有する発光手段を含む、請求項のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項9】
前記制御ユニット(2)が、始動モード中に飲料要求を格納すると、前記ユーザインジケータの明滅モードまたはカラーモードもしくは強度モードを変更するようにされている、請求項に記載の飲料調製装置。
【請求項10】
専用ユーザインジケータに各々が関連付けられた、異なる飲料を要求するための複数の飲料ユーザセレクタ(2b、2b’)を備え、前記制御ユニット(2)が、前記始動モードにおいて、
前記専用ユーザインジケータの交互の明滅によって、任意の飲料要求が格納されていないことと、
前記要求されていない飲料に関連付けられた前記ユーザインジケータの動作を停止することによって、飲料要求が格納されていることと、
を示すようにされている、請求項に記載の飲料調製装置。
【請求項11】
前記制御ユニット(2)が、予め定められた事象が完了すると、前記低電力消費スタンバイモードに入るようにされている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項12】
1つ以上の飲料成分を処理するための前記飲料処理装置が、飲料成分を処理できる状態になる前に予熱期間を必要とする加熱手段(600)を有る、請求項1〜11のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、飲料調製装置の始動に関し、特に、省エネルギー型の構成を考慮した飲料調製装置の始動に関する。さらに詳しくは、本発明は、飲料調製装置を始動するためのユーザフレンドリーな構成に関する。
【0002】
本明細書において、「飲料」という用語は、紅茶、コーヒー、ホットまたはコールドチョコレート、ミルク、スープ、ベビーフードなどの任意の流動食を含むように意図されている。
【背景技術】
【0003】
飲料、特に、紅茶やコーヒーなどの温かい飲料であって、例えば、カプセルやポッドに収容される小分けされた成分を用いて調製される飲料を含む飲料調製用の電動式デバイスが、家庭や家庭以外の場所で使用するために開発されて広く普及している。
【0004】
しかしながら、このようなデバイス、特に、飲料の液体を加熱するための電気ヒータを有するデバイスは、2つの飲料調製サイクルの間で即時作動準備状態に維持されるように多大の電気エネルギーを消費する。典型的に、ユーザは、特定の目的もなしに、または連続して飲料を調製する間に時間を要する始動期間を回避するためだけに、飲料の調製後に装置のスイッチをオンにしたままにすることがある。このような煩わしさを感じる始動手順は、特に、装置の予熱および/または自浄の場合に要求される。
【0005】
しかしながら、これは、一般に求められる目的、特に、最近の省エネルギー志向に反するものである。飲料調製デバイスの幅広い用途を考慮すると、エネルギー消費がより少なく、環境に優しいこのようなデバイスを提供することが尚一層望まれている。
【0006】
特にタイマなどの自動ターンオフシステムおよびスタンバイシステムをこのようなデバイスに組み込むことによって、飲料の調製に使用されずにスイッチオンになったままの電気式飲料調製デバイスから生じるエネルギーの不要なロスを、ある程度低減することが提案されている。
【0007】
独国特許出願第19924279号明細書、米国特許第3,969,610号明細書、同第6,752,069号明細書、同第7,197,367号明細書、国際公開第95/34236号パンフレット、同第2004/098360号パンフレット、同第2009/092756号パンフレットでは、飲料調製装置の自動停止システムが取り扱われている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したように、動作停止期間中のエネルギーを節約するための既知の自動停止装置に関する重大な問題は、装置が完全に停止される場合でも、単にスタンバイモードにされる場合でも、飲料調製装置を再始動するための期間が必要なことである。この始動期間は、装置のサーモブロックを十分に予熱するなど、装置コンポーネントを再稼働させるのに必要であり、また装置が飲料を調製するための作動準備状態になる前に洗浄サイクルを実行するために必要である。このように、ユーザは、飲料を要求して飲料が提供される前、始動期間に亘って待機する必要がある。この欠点を解消するために、ユーザは、飲料の調製に使用されていないときでも、持続的に、または時間を延長して装置を作動モードのままにする傾向があり、この作動モードでは、即時作動準備状態に維持するだけのために多大なエネルギーが消費される。
【0009】
例えば、欧州特許出願公開第1253844号明細書に開示されているように、サーモブロックを、瞬時に再稼働可能なオンデマンド式の加熱システムに置き換えることで、この問題に対する部分的な解決策が提案されてきた。しかしながら、抵抗性の厚膜を伴う加熱チューブを有するこのようなアプローチは、比較的コストがかかり、装置のセグメントによっては不適切である。
【0010】
このように、本発明は、特に、カプセルまたはポッドに予め小分けされた飲料成分から飲料を調製するための装置に関する。
【0011】
例えば、装置は、コーヒー、紅茶またはスープ調製装置である。特に、装置は、温水、冷水または他の液体を、挽いたコーヒー、紅茶、チョコレート、カカオまたはミルク粉末などの調製される飲料の成分を含んだカプセルまたはポッドに通すことで飲料モジュール内において飲料を調製するようにされている。
【0012】
例えば、調製装置は、使用するカプセルまたはポッドを収容し、使用時にカプセルまたはポッドを排出するようにされた飲料調製ユニットと、カプセルまたはポッドが排出される座部に調製ユニットからつながる開口を有するハウジングと、座部に排出されたカプセルまたはポッドを充填レベルまで収集するための格納空間を形成するキャビティを有するレセプタクルとを備える。レセプタクルは、カプセルまたはポッドを収集するように座部に挿入可能であり、収集されたカプセルまたはポッドを空にするために座部から取り外し可能である。このような装置の例が、国際公開第2009/074550号パンフレットおよび国際出願PCT/EP09/053368号明細書に開示されている。
【0013】
本発明の広義の態様において、飲料調製装置は、1つ以上の飲料成分を処理して飲料を注出するための飲料処理装置と、飲料処理装置に接続されて1つ以上の飲料成分の処理を制御するための制御ユニットと、制御ユニットに接続されたプッシュボタン、タッチボタン、トグルボタンまたはタッチスクリーンなど飲料を要求するための飲料ユーザセレクタとを備えており、飲料調製装置が直ちに1つ以上の飲料成分を処理し、結果的に得られる飲料を注出できる状態にある作動モードと、飲料調製装置が1つ以上の飲料成分を処理できる状態になく、低電力消費スタンバイモードまたは電気的スイッチオフ状態から飲料調製モードにもたらされる始動モードとを有する。
【0014】
典型的に、始動モードは、最長で0.5〜2分間持続しうる。このような時間を要すると、先行技術のシステムのように、飲料を要求するために始動期間が終わるのを待機してモニタする必要がある場合、待機時間を長く感じてしまうことがある。
【0015】
本発明によれば、制御ユニットは、始動モードにおいて飲料ユーザセレクタを介して任意の飲料要求を格納し、始動モードが終わった後に作動モードに入ると、1つ以上の飲料成分の処理を自動的に開始するようにされている。
【0016】
本発明の装置を使用することによって、ユーザは、飲料を注出するために飲料成分を処理できる作動モードに達するまで待機して装置をモニタする必要がなくなる。その代わり、ユーザは、装置が飲料調製できる状態になる前に飲料要求を出してもよく、この飲料要求は、装置によって格納され、装置が作動モードに入るとすぐに、始動モード後に装置によって自動的に実行される。このように、ユーザは、要求を出すために始動プロセスが終わるまで装置の前で待機する必要がなくなる。典型的に、ユーザは、始動モードが始まると同時または直後に、または始動モード中の任意の時に飲料を要求しうる。結果的に、作動モードの始まりと最初の飲料の調製との間の不要な遅延がなくなる。さらに、飲料調製プロセスを開始するために始動モードの終わりにユーザによって要求される介入がない。結果的に、ユーザは、始動手順の終わりをモニタして飲料を要求するために、装置の前で時間を無駄にする必要がなくなり、さらに、ユーザには、装置の始動後に遅延なしで飲料が注出される。
【0017】
典型的に、制御ユニットは、始動モード、作動モード、および、場合によっては、スタンバイモードを管理するようにされている。
【0018】
通常、装置は、制御ユニットに接続されたメインまたはマスタスイッチなどのパワーユーザセレクタを備え、制御ユニットは、このパワーユーザセレクタを介してスイッチオンされると、始動モードを開始するようにされている。
【0019】
ある実施形態において、制御ユニットは、特に装置がスタンバイモードにあるとき、飲料ユーザセレクタを介して始動モードを開始するようにされている。このような構成において、別の再稼働セレクタは不要である。あまり好ましいレベルの実施形態ではないが、装置は、始動モードを稼働するためのさらなるセレクタ、例えば、専用の再稼働(立上り)セレクタを備えてもよいことは言うまでもない。
【0020】
好ましい実施形態において、制御ユニットは、飲料ユーザセレクタの第1のユーザ選択時に始動モードを開始し、さらに、もしあれば、作動モードに入る前に飲料ユーザセレクタの第2のユーザ選択時に飲料要求を格納するようにされている。第2のユーザ選択は、同一または異なる飲料ユーザセレクタで実行されてもよい。また、始動モードおよび飲料要求の格納がユーザセレクタの単一のユーザ選択によって達成されるように、制御ユニットを構成することも可能である。
【0021】
装置は、制御ユニットに接続され、始動モード中に飲料要求の適切な格納を示すようにされたユーザインジケータを有してもよい。特に、ユーザインジケータは、LEDなどの発光手段を有するか、またはタッチスクリーンのようなインタフェーススクリーンの一部である。
【0022】
有益には、ユーザインジケータは、飲料ユーザセレクタに関連付けられる。例えば、ユーザインジケータを有するユーザセレクタは、照明可能なプッシュボタン、タッチボタン、タッチスクリーン上の仮想ボタンまたは少なくとも1つのLEDに関連付けられたトグルスイッチである。飲料調製装置用のトグルスイッチは、例えば、欧州特許出願公開第08105491号明細書に開示されている。
【0023】
さらに改良された実施形態において、装置は、異なる飲料を要求するための複数の飲料ユーザセレクタを備える。例えば、ユーザセレクタは、例えば、紅茶やコーヒーなどの飲料タイプ、または小、中または大カップなどの飲料サイズに関連付けられてもよい。コーヒーマシンは、エスプレッソを要求するための第1のユーザセレクタと、ルンゴを要求するための第2のユーザセレクタとを有してもよい。
【0024】
各飲料ユーザセレクタは、専用ユーザインジケータに関連付けられてもよい。このユーザインジケータは、彼/彼女の要求に関して、ユーザに確認フィードバック、特に視覚フィードバックを提供するために使用されてもよい。
【0025】
制御ユニットは、所望の飲料に対応する飲料ユーザセレクタに関連付けられたユーザインジケータを介して、始動モード中に所望の飲料要求の格納を示すようにされてもよい。これは、装置が、飲料調製プロセスとともにすぐに開始することによって、ユーザに任意のフィードバックを与えることができないため、始動モード中に要求が出される時に特に役立つ。制御ユニットは、特に、要求されていない飲料に関連付けられたユーザインジケータの動作を停止することによって、要求されていない飲料に対応する飲料ユーザセレクタに関連付けられたユーザインジケータを介して始動モード中に所望の飲料要求の格納を示すようにされてもよい。
【0026】
このような表示は、飲料調製プロセスがすぐに開始されなくても、要求が装置によって適切に取得されたことを示すために、ユーザが出す要求の承認またはフィードバックとして機能する。
【0027】
ユーザインジケータは、典型的に、スタンバイモード、飲料要求の格納を伴わない始動モード、飲料要求の格納を伴う始動モード、および作動モードから選択された少なくとも2つの異なる状態を示すための複数の発光モードを有する発光手段を含む。異なる発光モードは、異なる明滅頻度、カラー発光、光強度または光点灯/消灯状態を伴うものであってもよい。
【0028】
特に、制御ユニットは、始動モード中に飲料要求を格納すると、ユーザインジケータの明滅モードまたはカラーモードもしくは強度モードを変更するようにされてもよい。例えば、装置は、各々が専用ユーザインジケータに関連付けられた異なる飲料を要求するための複数の飲料ユーザセレクタを有し、制御ユニットは、始動モードにおいて、専用ユーザインジケータの交互の明滅によって、任意の飲料要求が格納されていないことと、要求されていない飲料に関連付けられたユーザインジケータの動作を停止することによって、飲料要求が格納されていることとを示すようにされる。
【0029】
制御ユニットは、飲料要求なしに所定の時間が経過するなど、所定の事象が完了すると、スタンバイモードに入るようにされてもよい。例えば、国際公開第2009/092745号パンフレットにおいて、装置の部分停止を引き起こしうる他の事象が示されている。
【0030】
典型的に、1つ以上の飲料成分を処理するための飲料処理装置は、飲料成分を処理できるように蓄熱するための予熱期間を要するサーモブロックなどの加熱手段を有し、制御ユニットは、スタンバイモード中に少なくとも加熱手段を停止するようにされている。スタンバイモード中に停止されてもよい他のコンポーネントは、ポンプ、飲料インタフェースの部品、センサ、および始動モードを引き起こすのに不要な他の電気消費部品を含んでもよい。
【0031】
以下、略図を参照しながら本発明について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による飲料調製装置の部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、一般に、本発明による飲料調製装置内に見られうる内部コンポーネントの全体図である。コンポーネントは、飲料調製装置の斜視図においてハウジング1000に装着されて示されている。ハウジング1000は、例えば、欧州特許出願公開第1867260号明細書に開示されているタイプの使用済みカプセルコレクタおよびドリップトレイ装置を収容するためのキャビティ1050を画定する。装置の後部は、水タンク(図示せず)を収容するようにされる。この種の装置の水タンク、カプセルコレクタおよびドリップトレイコレクタを有する外形図および構造的詳細およびアセンブリの詳細は、国際出願PCT/EP09/053139号明細書に示されている。
【0034】
例えば、ハウジング1000は、2つのハーフシェル、例えば、一般的なクラムシェルから形成され、このハーフシェルの一方は、ハウジング1000内へ飲料装置の内部コンポーネントおよびモジュールのアセンブリを収容する支持体としての役割を果たす。
【0035】
飲料調製装置は、調製される飲料の成分カプセル(図示せず)を抽出ユニット内に案内するためのカプセル挿入通路542を備えた抽出ユニット500を有する。抽出ユニット500は、流入する水などの液体流を成分に通して、カップまたはマグ(図示せず)が下側に配置された飲料出口510に案内するように構成される。
【0036】
さらに、飲料調製装置は、抽出ユニット500に供給される液体流を加熱するためのサーモブロック600などのインラインヒータを有する。インラインヒータ600は、抽出ユニット500の上流部に直接組み付けられる。液体は、ポンプ800を介して、流体コネクタ700に装着されたリザーバの形態の液体源からヒータ600を通じて流される。これらは、すべて相互接続される。飲料調製装置は、リザーバ700から飲料出口510へ液体を案内するためのさまざまな接続部材、特に、ダクトまたはチャネル5、5’’、200を有するチューブまたは他の部材を有する。
【0037】
ダクトおよびチャネル5’、5’’、200、抽出ユニット500、サーモブロック600、流体コネクタ700およびポンプ800は、抽出ユニット500内に挿入されるカプセル内の挽いたコーヒーや、挿入されたカプセルへ水タンクから流通する水などの飲料成分を処理して、このような成分を混合して出口510を介してコーヒーなどの飲料を注出する装置を形成する。
【0038】
サーモブロック600およびポンプ800を含む飲料調製装置を制御するために、装置は、PCB4を取り囲むハウジング3によって遮蔽された電気制御ユニット2を有する。制御ユニット2は、ボタン2a、2b、2b’を含むインタフェースを介してユーザからの命令を受ける。さらに、ハウジング3は、PCB4に直接組み付けられ、ハウジング3の外側に延伸する流体回路5内に接続された流量計(図示せず)を収容するための開口3cを有する。
【0039】
装置のユーザインタフェースは、ユーザセレクタとして、マスタスイッチ2a、つまりパワーユーザセレクタと、2つの飲料、つまり、装置がコーヒーマシンであれば、例えばエスプレッソとルンゴのいずれかを選択するためのプッシュボタン2b、2b’の形態の2つの飲料セレクタとを含む。
【0040】
飲料調製装置は、装置が、例えば水や挽いたコーヒーなどである飲料成分を直ちに処理できる状態にある作動モードと、装置が、飲料成分を処理できる状態になく、低電力消費スタンバイモードまたは電気的スイッチオフ状態から飲料調製モードへもたらされる始動モードとを有する。
【0041】
本発明によれば、制御ユニット2は、始動モードにおいて飲料ユーザセレクタ2b、2b’を介して任意の飲料要求を格納し、始動モード終了後に作動モードに入ると、飲料成分の処理を自動的に開始するようにされる。
【0042】
この特定の実施形態において、制御ユニット2は、パワーユーザセレクタ2aを介してスイッチオンされると始動モードを開始するようにされる。さらに、制御ユニット2はまた、特にスタンバイモードのとき、飲料ユーザセレクタ2b、2b’が選択されると始動モードを開始するようにされる。制御ユニット2は、飲料ユーザセレクタ2b、2b’の第1のユーザ選択時に始動モードを開始し、作動モードに入る前にユーザセレクタ2b、2b’の第2のユーザ選択時の飲料要求を格納するようにされる。
【0043】
ユーザセレクタ2b、2b’の各々は、制御ユニット2に接続され、始動モード中の飲料要求を制御ユニット2に適切に格納したことをユーザに示すようにされたLEDをユーザインジケータとして含む。
【0044】
例えば、作動モードにおける30分間または60分間の動作停止後、装置は、制御ユニット2およびユーザセレクタ2b、2b’のみが電力供給されるスタンバイモードに自動的になる。このモードにおいて、ポンプ800およびサーモブロック600はスイッチオフされ、サーモブロックの冷却が可能となる。飲料ユーザセレクタ2b、2b’のLEDは、スタンバイモードにおいて、例えばフェードインおよびフェードアウトなど、交互に明滅し、このモードをユーザに示してもよい。ユーザがユーザセレクタ2b、2b’のいずれかを選択すると、制御ユニットは、始動手順を開始してスタンバイモードを終了する。始動手順の間、飲料の調製に必要なすべての装置部品が再稼働され、特に、サーモブロック600が電力供給され、飲料を調製するために流通水を所望の温度まで加熱するのに十分な温度、例えば、コーヒーを調製する場合およそ90℃まで予熱される。始動手順の間、飲料ユーザセレクタ2b、2b’のLEDは、想定される飲料選択が制御ユニットによって記録されない限り、例えば、高強度や高頻度でまたはスタンバイモードと同じように、交互に明滅してもよい。ユーザが始動モード中にセレクタ2bおよび2b’のいずれかを介して特定のタイプの飲料の調製を選択すると、対応するユーザセレクタは明滅を持続し、他方のユーザセレクタのLEDは消灯される。装置が始動後に作動モードに入ると、すでに要求した飲料に対応する飲料調製プロセスが、ポンプ800の稼働によって自動的に開始される。よって、ユーザは、対応するユーザセレクタを選択することによって、飲料を要求するために始動モードの終了を待機する必要がない。
【0045】
飲料調製プロセスが終わると、ユーザセレクタ2b、2b’のLEDは、継続的に電力供給され、装置が作動モードにあり、飲料を直ちに調製できる状態にあることをユーザに示すことができる。例えば、調製プロセス後にサーモブロック600に十分な熱を再蓄積するために、2つの飲料調製プロセスの間に短い期間が必要であれば、始動モードを示すための方法と同じようにしてユーザに示されてもよく、および/または、ユーザは、装置が飲料要求を処理して飲料を調製できる状態になるまで制御ユニット2に格納される早期飲料要求を出せるようにされてもよい。
【0046】
このように、装置が飲料を注出できる前に、始動時に飲料調製装置の前で待機するという問題を解決するために、主に制御ユニット2のプログラミングに基づいた非常に単純なシステムが提供される。
【0047】
対応するユーザセレクタ2b、2b’を再選択することによって、または装置が作動モードに入る前に飲料キャンセルセレクタを動作することによって、始動モード中に出される飲料要求の選択をユーザが解除できるように、制御ユニット2をプログラミング可能であることは言うまでもない。
図1