【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様にしたがえば、ガラスシートを作製するための、
(I) 移動するガラスリボン(13)を形成する工程であって、リボンは経時変動速度S
リボンを有するものである工程、
(II) リボンの移動方向に直交する直線(7)に沿ってリボン(13)の表面に、
(a) 光放射デバイス(51)及びノズル(119)を載せているキャリッジを、直線軌道(15)に沿って、速度S
キャリッジで平行移動させる工程であって、直線軌道は、キャリッジの移動が、(i)直線(7)に平行な第1の成分(18)及び(ii)リボン(13)の移動方向(16)に平行な第2の成分を有するように、直線(7)に対して角度αをなして傾けられており、光放射デバイス(51)はレーザ(41)によりつくられた光ビームを放射し、ノズル(119)は冷却流体を放出するものである工程と、
(b) キャリッジ(14)の移動の第2の成分がリボン(13)と同一速度を保つように、S
キャリッジまたは角度αを、あるいはS
キャリッジ及び角度αのいずれも、動的に調節する工程と、
(c) 光放射デバイス(51)によって放射される光ビームをつくるレーザ(41)のパワーP
レーザを変えることにより、工程(II)(b)の動的調節を補償する工程と、
を含む方法によって、ベントを形成する工程、及び
(III) 工程(II)において形成されたベントに沿って、リボン(13)からガラスシートを分割する工程、
を含む方法が開示される。
【0018】
第2の態様にしたがえば、
(i) S
リボンが:
S
リボン=S
0+ΔS
0
の形式で表され、
式中、S
0及びΔS
0はそれぞれ、リボンの速度の公称不変成分及び経時変動成分である、
(ii) |ΔS
0|>0.03S
0である場合、工程(II)(b)がαを変える工程を含む、
態様1の方法が提供される。
【0019】
第3の態様にしたがえば、
(i) 工程(II)(b)がαを変える工程を含み、
(ii) リボンにおいて、光放射デバイスにより放射される光ビームは長さL及び幅Wを有し、
(iii) 光放射デバイスはLを定める第1のレンズユニット及びWを定める第2のレンズユニットを備え、
(iv) 第1のレンズユニットは少なくとも1つのレンズ素子を有し、
(v) 工程(II)がさらに、αの変化の結果としての直線に対する光ビームの方位の変化を補償するため、少なくとも1つのレンズ素子の角方位を調整する工程を含む、
態様1の方法が提供される。
【0020】
第4の態様にしたがえば、
第2のレンズユニットが少なくとも1つのレンズ素子を有し、αが変えられても、そのレンズ素子の角方位がキャリッジに対して不変に保たれる、
態様3の方法が提供される。
【0021】
第5の態様にしたがえば、
第1のレンズユニット及び第2のレンズユニットがそれぞれ1つのレンズ素子だけを備える、
態様3または態様4の方法が提供される。
【0022】
第6の態様にしたがえば、
(i) S
リボンが:
S
リボン=S
0+ΔS
0
の形式で表され、
式中、S
0及びΔS
0はそれぞれ、リボンの速度の公称不変成分及び経時変動成分である、
(ii) |ΔS
0|≦0.03S
0である場合、工程(II)(b)においてαが不変に保たれる、
態様1の方法が提供される。
【0023】
第7の態様にしたがえば、
工程(II)(c)のP
レーザの変化が:
dP
レーザ/dS
リボン=k・cotα
式中、kは定数である、
を満たす、
態様6の方法が提供される。
【0024】
第8の態様にしたがえば、
P
レーザが最大レーザパワーの百分率(%最大レーザパワー)で表される、及び
k<1.0である、
態様7の方法が提供される。
【0025】
第9の態様にしたがえば、
工程(II)が、レーザまたはレーザのための支持構造に取り付けられた第1の端及び直線軌道または直線軌道のための支持構造に取り付けられた第2の端を有するハウジング内にレーザ光を入れるフレキシブルレーザビーム送出システムを含む経路に沿ってレーザから光放射デバイスにレーザ光を送る工程を含み、ハウジングは、第1及び第2の端の三次元における相互の回転及び平行移動を可能にする少なくとも1つのジョイント及び少なくとも1つの延長チューブを有する、
態様1の方法が提供される。
【0026】
第10の態様にしたがえば、
ガラスシートがダウンドロープロセスにより形成される、
態様1〜9のいずれかの方法が提供される。
【0027】
第11の態様にしたがえば、
ガラスシートがディスプレイデバイスの基板である、
態様1〜10のいずれかの方法が提供される。
【0028】
第12の態様にしたがえば、ガラスシートを作製するための、
(I) 移動するガラスリボン(13)を形成する工程、
(II) 光放射デバイス(51)及びノズル(119)を載せているキャリッジを、直線軌道(15)に沿って平行移動させる工程を含む方法により、リボンの移動方向に直交する直線(7)に沿ってリボン(13)の表面にベントを形成する工程であって、キャリッジの移動が、(i)直線(7)に平行な第1の成分(18)及び(ii)リボン(13)の移動方向(16)に平行な第2の成分を有するように、直線軌道は直線(7)に対して角度αをなして傾けられ、光放射デバイス(54)はレーザ(41)によりつくられた光ビームを放射し、ノズル(119)は冷却流体を放出するものである工程、及び
(III) 工程(II)で形成されたベントを用いてリボン(13)からガラスシートを分割する工程、
−(i) 光放射デバイスから放射された光ビームは、リボン(13)において、長さL及び幅Wを有する、
−(ii) 光放射デバイス(51)はLを定める第1のレンズユニット(53)及びWを定める第2のレンズユニット(55)を備える、
−(iii) 第1のレンズユニット(53)は少なくとも1つのレンズ素子(81)を有する、
−(iv) キャリッジ(14)の移動の第1の成分(18)と第2の成分(16)の相対比を変えるようにαが変えられる、及び
−(v) αの変化の結果としての直線(7)に対する光ビームの方位の変化を補償するため、少なくとも1つのレンズ素子(81)の角方位が調節される、
を含む方法が開示される。
【0029】
第13の態様にしたがえば、
第2のレンズユニットが少なくとも1つのレンズ素子を有し、αが変えられても、そのレンズ素子の角方位がキャリッジに対して不変に保たれる、
態様12の方法が提供される。
【0030】
第14の態様にしたがえば、
第1のレンズユニット及び第2のレンズユニットがそれぞれ1つのレンズ素子だけけを備える、
態様12の方法が提供される。
【0031】
第15の態様にしたがえば、
ガラスリボンがダウンドロープロセスにより形成される、
態様12〜14のいずれかの方法が提供される。
【0032】
第16の態様にしたがえば、
ガラスシートがディスプレイデバイスの基板である、
態様12〜15のいずれかの方法が提供される。
【0033】
第17の態様にしたがえば、ガラスシートを形成するための、
(I) 移動するガラスリボン(13)を形成する工程、
(II) ガラスリボンの移動方向に直交する直線(7)に沿ってリボン(13)の表面に、
(a) 光放射デバイス(15)及びノズル(119)を載せている、キャリッジ(14)を、キャリッジの移動が、(i)直線(7)に平行な成分(18)及び(ii)リボン(13)の移動方向(16)に平行な成分を有するように、直線(7)に対して角度αをなして傾けられた直線軌道(15)に沿って平行移動させる工程であって、光放射デバイス(15)はレーザビームを放射し、ノズル(19)は冷却流体を放出するものである工程と、
(b) レーザ(41)またはレーザのための支持構造に取り付けられた第1の端(65)及び直線軌道(15)または直線軌道のための支持構造(11)に取り付けられた第2の端(67)を有するハウジング内にレーザ光(43)を入れるフレキシブルレーザビーム送出システム(61)を含む経路に沿ってレーザ(41)から光放射デバイス(51)にレーザ光(43)を送る工程であって、ハウジングは、第1の端(65)及び第2の端(67)の三次元における相互の回転及び平行移動を可能にする、少なくとも1つのジョイント(62)及び少なくとも1つの延長チューブ(64)を有するものである工程と、
を含む方法によってベントを形成する工程、及び
(III) 工程(II)で形成されたベントを用いてリボン(13)からガラスシートを分割する工程、
を含む方法が開示される。
【0034】
第18の態様にしたがえば、
フレキシブルレーザビーム送出システムがビームエキスパンダーを備える、
態様17の方法が提供される。
【0035】
第19の態様にしたがえば、
ガラスリボンがダウンドロープロセスにより形成される、
態様17または態様18の方法が提供される。
【0036】
第20の態様にしたがえば、
ガラスシートがディスプレイデバイスの基板である、
態様17〜19のいずれかの方法が提供される。
【0037】
上記の方法を実施するための装置も開示される。
【0038】
本開示の様々な態様の上記要約に用いられる参照数字は読者の便宜のために過ぎず、本発明の範囲を限定する目的はなく、またそのように解されるべきではない。より一般には、上述の全般的説明及び以下の詳細な説明が本発明の例示に過ぎず、本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。
【0039】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部をなす。本明細書及び図面に開示される本発明の様々な特徴がいずれかのまたは全ての組合せで用いられ得ることは当然である。