特許第5715645号(P5715645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5715645レーザ罫書きされた湾曲ガラスリボンからのガラスシートの分離
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715645
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】レーザ罫書きされた湾曲ガラスリボンからのガラスシートの分離
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/033 20060101AFI20150423BHJP
   C03B 33/09 20060101ALI20150423BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20150423BHJP
   B23K 26/40 20140101ALI20150423BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C03B33/033
   C03B33/09
   B23K26/364
   B23K26/40
   B28D5/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-544811(P2012-544811)
(86)(22)【出願日】2010年12月16日
(65)【公表番号】特表2013-514259(P2013-514259A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】US2010060674
(87)【国際公開番号】WO2011084561
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2013年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/286,961
(32)【優先日】2009年12月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェームズ ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,ナイユエ
(72)【発明者】
【氏名】カヴァラロ,ニコラス ディー サード
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リーミン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ウェイ
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−540325(JP,A)
【文献】 特開2002−137930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/00−33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートを作製する方法において、
(I)第1面および第2面を有しているガラスリボンを形成するステップ、および、
(II)前記リボンから複数のガラスシートを形成するステップ、を含み、該各ガラスシートを生成するプロセスが、
(A)前記ガラスリボンの前記第1面にレーザを用いて罫書きラインを形成するステップと、
(B)前記罫書きラインのところで前記ガラスリボンを該ガラスリボンを横断する方向において平坦化し、そして、前記罫書きラインで前記ガラスリボンから前記ガラスシートを分離するステップとを含み、該平坦化プロセスおよび該分離プロセスが、前記レーザ罫書きされたガラスに前記罫書きラインのところで曲げモーメントを加えるように、前記罫書きラインを通る軸の周りにシート係合アセンブリを回転させるステップを含むものであり、該シート係合アセンブリは、フレームと、前記ガラスリボンの少なくとも前記第2面に係合しかつ前記フレームに支持されている、複数のリボン/シート保持機器とを備えたものであり、
ここで、
(i)ステップ(II)の間に、前記フレームに支持されているノージングが、前記リボンの前記第2面に前記罫書きラインで係合し、
(ii)ステップ(II)の後に、該方法が、前記ノージングを前記分離されたガラスシートから離すように移動させて、該シートの上方エッジを露出させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ノージングが、湾曲した横断面を有していることを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項3】
前記ノージングが、前記罫書きラインに平行な軸の周りに回転可能であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2009年12月16日に出願された米国仮特許出願第61/286,961号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、レーザ罫書きされた湾曲したガラスリボンからガラスシートを分離する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の論考では鉛直方向に移動するガラスリボンを参照しており、これは本書において開示される方法および装置の典型的な適用例である。しかしながら、この向きは単にこの発表を助けるために仮定したものであって、いかなる手法でもこの向きを、本開示を限定するものと解釈するべきではない。
【0004】
ガラスの罫書きは従来、機械的手段を使用して行われている。しかしながら、例えば波長10.6μmのCO2レーザ放射などのレーザ放射を用いてガラスを加熱して、温度勾配により引張応力を生成する代替手段がある。ガラスの罫書きにレーザを使用するものについては、同一出願人による「脆性材料を割るための方法及び装置(Method and apparatus for breaking brittle materials)」と題された特許文献1および「レーザ罫書きにおけるメディアンクラック深さの制御(Control of median crack depth in laser scoring)」と題された特許文献2において論じられている。
【0005】
図1に示したように、レーザ罫書きの際には、ライン115に沿ってガラス112の主表面114にベントが生成される。ベントを生成するために、ガラス表面上の1つのエッジ近傍に小さい傷開始点111を形成する。この傷開始点を次いでベントに変形するには、レーザ141により生成されるレーザ光ビーム121をフットプリント113がガラス表面を横切るように伝播させ、さらに冷却ノズル119により生成される冷却エリアをこれに追随させる。レーザ光ビームでガラスを加熱し、さらにその後すぐにこれを冷却剤で急冷することにより、熱勾配と対応する応力場とが生成され、こういったことが傷開始点の伝播に関与してベントを形成する。
【0006】
同一出願人による特許文献3(’994公開)には、移動しているガラスリボン用のレーザ罫書きシステムが記述されている。このシステムでは、リボンの運動方向を横切るラインに対し角度αだけ傾斜している線形軌道に沿って、移動キャリッジが移動する。
【0007】
本出願の図2および3は、’994公開のシステムを概略的に示したものである。これらの図において、ガラスリボンを参照番号33、移動キャリッジを番号14、線形軌道を番号15、軌道用の支持構造(支持フレーム)を番号11、そしてリボンを生成する設備、例えばフュージョンドロー装置を、番号9で識別する。’994公開で論じられているように、固定の基準座標系(例えば、図2のxyz基準座標系)から見ると、ガラスリボンはベクトル16の方向に速さSribbonで移動し、かつキャリッジはベクトル17の方向に速さScarriageで移動する。ここで、Sribbon、Scarriage、および角度αは以下の関係を満たす。
【0008】
carriage=Sribbon/sinα 方程式(1)
このように、キャリッジはリボンと同じペースを保ち、すなわちもっと正確に言えば、キャリッジの速度におけるリボンの運動方向に平行な成分の大きさは、Sribbonに等しい。その結果、リボンから見ると、キャリッジは単にベクトル18の方向に、すなわちリボンの運動方向に垂直な罫書きライン7に沿ってリボンを横断するようにして、以下の式で与えられる速さSscoreで移動する。
【0009】
score=Scarriagecosα 方程式(2)
’994公開で記述されているように、レーザ光ビームを提供する発光デバイスと、冷却流体流(例えば、水)を提供するノズルとがキャリッジに連結され、キャリッジが線形軌道に沿って移動すると、これらが共にリボンの幅を横断してベントを形成する。いくつかの実施形態においては、機械的罫書きヘッド(例えば、罫書きホイール)が、ガラスリボンに傷開始点を形成するために、キャリッジにさらに連結される。あるいは、傷開始点は、キャリッジとは別の設備で形成してもよい。
【0010】
図4は、’994公開のこれらの態様を概略的に図示したものである。ここで参照番号21、22、および23は、罫書きプロセスの開始時点での(1)冷却流体のフットプリント、(2)レーザ光ビームのフットプリント、および(3)傷開始点、の位置を表し、また参照番号31および32は、開始完了後のしばらくした後の時点での、冷却流体のフットプリントとレーザ光ビームのフットプリントとの位置を表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,776,220号明細書
【特許文献2】米国特許第6,327,875号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0264994号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
リボン33からの個々のガラスシート13の切断に関して、’994公開では、吸引カップを備えたロボットが罫書きラインの下方でガラスリボンを握持し、さらにこのロボットが、リボンを罫書きラインで分離させるようリボンを屈曲させる、従来の曲げ技術使用について言及している。本開示によれば(以下を参照)、レーザにより生成された罫書きラインは、機械的罫書き装置により生成された罫書きラインとは異なる特性を有していることが見出されその結果、機械的に罫書きされたリボンに対して歴史的にうまく機能していた曲げ技術は、レーザ罫書きされたリボンに対しては、例えばギザギザの割れ目を含むエッジなど、品質の劣るエッジをもたらすことが分かっ。当業界では周知であるが、品質の劣るエッジはシートの破損に繋がり、さらに、続くハンドリングおよび仕上げ工程において多量の切り屑を生じさせることになる。本開示はこの問題に対処し、レーザ罫書きされたリボンから曲げ技術を用いてガラスシートを分離する場合に、そのシートのエッジ品質を機械的罫書きにより得られるものと少なくとも実質的に同等とする方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様によれば、ガラスシート(13)を作製する方法が開示され、この方法は、
(I)第1面(501)および第2面(502)を有しているガラスリボン(33)を形成するステップ、および、
(II)リボン(33)から複数のガラスシート(13)を形成するステップ、を含み、この各ガラスシート(13)を生成するプロセスが、
(A)ガラスリボン(33)の第1面(501)にレーザ(141)を用いて罫書きライン(7)を形成するステップと、そして、
(B)罫書きライン(7)でガラスリボン(33)からガラスシート(13)を分離するステップとを含み、この分離プロセスが、レーザ罫書きされたガラスに罫書きライン(7)で曲げモーメントを加えるように、罫書きライン(7)を通る軸の周りにシート係合アセンブリ(530)を回転させるステップを含むものであり、このとき、シート係合アセンブリ(530)が、フレーム(520)と、およびガラスリボン(33)の少なくとも第2面(502)に係合しかつフレーム(520)に支持されている、複数のリボン/シート保持機器(例えば、吸引カップ(510))とを備えたものであり、罫書きライン(7)と、罫書きライン(7)に最も近接したリボン/シート保持機器との間の距離がLであり、
ここで、
(i)ステップ(II)(B)の間に、リボンを横断する方向において平坦であるノージング(540)が、リボン(33)の第2面(502)に罫書きライン(7)で係合し、さらに、
(ii)ステップ(II)(B)の回転によってガラスリボン(33)からのガラスシート(13)の任意の分離が生じる前に、リボン(33)の第2面(502)がリボン(33)の実質的に全幅に亘ってノージング(540)と接触するように、Lが十分に長いものとなるよう選択される。
【0014】
第2の態様によれば、ガラスシート(13)のエッジ品質を向上させる方法が開示され、このガラスシートを作製するプロセスが、
(I)第1面(501)および第2面(502)を有しているガラスリボン(33)を形成するステップ、および、
(II)リボン(33)から複数のガラスシート(13)を形成するステップ、を含み、この各ガラスシート(13)を生成するプロセスが、
(A)ガラスリボン(33)の第1面(501)にレーザ(141)を用いて罫書きライン(7)を形成するステップと、そして、
(B)罫書きライン(7)でガラスリボン(33)からガラスシート(13)を分離するステップとを含み、この分離プロセスが、
リボンを横断する方向において平坦であるノージング(540)をガラスリボン(33)の第2面(502)に接触させながら、罫書きライン(7)を通る軸の周りにシート係合アセンブリ(530)を回転させるステップ、
を含むものであり、このとき、シート係合アセンブリ(530)が、フレーム(520)と、および回転中にガラスリボン(33)の少なくとも第2面(502)に係合しかつフレーム(520)に支持されている、複数のリボン/シート保持機器(例えば、吸引カップ(510))とを備えたものであり、罫書きライン(7)と、罫書きラインに最も近接したリボン/シート保持機器との間の距離がLであり、
この方法が、リボン(33)から分離されるガラスシート(13)のエッジ品質を向上させるように、Lを機械的罫書きに適した基準値から増加させるステップを含んでいることを特徴とする。
【0015】
第3の態様によれば、ガラスシート(13)を作製する方法が開示され、この方法は、
(I)第1面(501)および第2面(502)を有しているガラスリボン(33)を形成するステップ、および、
(II)リボン(33)から複数のガラスシート(13)を形成するステップ、を含み、この各ガラスシート(13)を生成するプロセスが、
(A)ガラスリボン(33)の第1面(501)にレーザ(141)を用いて罫書きライン(7)を形成するステップと、そして、
(B)罫書きライン(7)でガラスリボン(33)からガラスシート(13)を分離するステップとを含み、この分離プロセスが、レーザ罫書きされたガラスに罫書きライン(7)で曲げモーメントを加えるように、罫書きライン(7)を通る軸の周りにシート係合アセンブリ(530)を回転させるステップを含むものであり、このとき、シート係合アセンブリ(530)が、フレーム(520)と、およびガラスリボン(33)の少なくとも第2面(502)に係合しかつフレーム(520)に支持されている、複数のリボン/シート保持機器(例えば、吸引カップ(510))とを備えたものであり、
ここで、
(i)ステップ(II)の間に、フレーム(520)に支持されているノージング(540)が、リボン(33)の第2面(502)に罫書きライン(7)で係合し、
(ii)ステップ(II)の後に、この方法は、ノージング(540)を、分離されたガラスシート(13)から離すように移動させて、シート(13)の上方エッジ(690)を露出させるステップを含むことを特徴とする。
【0016】
上記の方法を実施するための装置がさらに開示される。
【0017】
本開示の種々の態様に関する上記概要において使用した参照番号は、単に読者の便宜のためのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されることを意図したものではなく、またそう解釈されるべきではない。より一般的に、前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に本発明の例示であり、本発明の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0018】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中に明記され、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは本書の説明で例示したように本発明を実施することにより認識されるであろう。添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、また本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。本書および本図面において開示された本発明の種々の特徴は、任意の組合せで、また全て組み合わせて、使用することができることを理解されたい。具体的な特徴の例示的な組合せを、本発明の追加の態様として以下に明記する。
【0019】
第4の態様によれば、ノージングがフレームで支持されていることを特徴とする、第1から第3の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0020】
第5の態様によれば、ノージングが湾曲した横断面を有していることを特徴とする、第1から第4の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0021】
第6の態様によれば、ノージングが円形の横断面を有していることを特徴とする、第1から第5の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0022】
第7の態様によれば、ノージングが、罫書きラインに平行な軸の周りに回転可能であることを特徴とする、第1から第6の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0023】
第8の態様によれば、ガラスリボンがダウンドロープロセスで形成されることを特徴とする、第1から第7の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0024】
第9の態様によれば、ガラスシートがディスプレイ装置用の基板であることを特徴とする、第1から第8の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0025】
第10の態様によれば、フレームがロボットで操作され、かつロボットの1以上の動作パラメータを変化させることによってLを増加させることを特徴とする、第2の態様または第4〜第9の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0026】
第11の態様によれば、分離されたシートの露出された上部に係合し、さらにこのシートを続く処理ステーションに移動させるステップをさらに含むことを特徴とする、第1から第10の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0027】
第12の態様によれば、リボン/シート保持機器が、リボンの第1面に係合するためのパッドと第2面に係合するための吸引カップとを備えたものであり、かつ、このパッドを使用してリボンを吸引カップと係合させるステップを含むことを特徴とする、第1から第11の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【0028】
第13の態様によれば、ノージングが、リボンを横断する方向において平坦であることを特徴とする、第1から第12の態様のいずれか1つの方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】レーザ罫書き作業を示した概略図
図2】’994公開によるレーザ罫書きシステムを示した概略図
図3図2のキャリッジの運動をより詳細に示した概略図
図4】罫書きプロセス開始時点およびしばらくした後の時点での、冷却流体、レーザ光ビーム、および傷開始点の位置を示した概略図
図5】湾曲したリボンと係合している、シート係合アセンブリとノージングとを示した概略図
図6図5のシート係合アセンブリ、ノージング、および湾曲したリボンを上方から見て示した概略図
図7】罫書きラインの位置で曲げモーメントを生成する、ガラスリボンの回転を示した概略図
図8】罫書きラインと、このラインに最も近接しているシート係合アセンブリのリボン/シート保持機器(具体的にこの事例では、最も近接している吸引カップ)との間の距離を変化させることによる影響を示している、計算上のデータをプロットした図
図9図7で示したようにリボンを回転させた後の、図5のシート係合アセンブリ、ノージング、および湾曲したリボンを、上方から見て示した概略図
図10】湾曲した断面を有しているノージングを示した概略図
図11】ガラスリボンと係合する前の、一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリを示した斜視図
図12】ガラスリボンと係合した後の、一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリを示した斜視図
図13】ガラスリボンからガラスシートを分離した直後の、一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリを示した斜視図
図14】ロボットが、アセンブリとそれに付されている分離されたガラスシートとをガラスリボンから遠ざけるように動かした後の、一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリを示した斜視図
図15】ロボットが、アセンブリとそれに付されている分離されたガラスシートとをガラスリボンから遠ざけるように動かし、さらに、ハンドリング設備がシートに上方から係合することができるよう、ロボットがアセンブリのノージングをシートの上部エッジから離れるように動かした後の、一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリを示した斜視図
図16図11〜15のノージングをより詳細に示した側面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
上で述べたように、本開示は、レーザ罫書きにより生成された罫書きラインが機械的罫書き装置により生成された罫書きラインとは異なる分離特性を有しているという発見に関する。すなわち、機械的罫書き装置が罫書きラインを生成するときには、この装置は罫書きラインの位置で、ガラス表面およびガラス表面下のガラスを物理的に動かす。このプロセスでは非常に多くのガラス粒子が生じ、この粒子の多くが罫書きラインやその付近でガラスに埋め込まれた状態で見つかることがある。結果として、機械的に罫書きされたガラスをただそのままの状態にしておくことができれば、曲げ力を加えなくても機械的罫書きラインで自発的に分離することが多い。すなわち、ガラスがそれまでに受けた物理的なダメージや、機械的罫書き装置により罫書きラインの位置でガラス内へと強制的に入れられた粒子が誘発する応力の結果、機械的に罫書きされたガラスは自発的に分離する。
【0031】
レーザにより形成された罫書きラインは全く異なっている。まずレーザは、通常ガラス材料を罫書きラインから移動させることはなく、かつ罫書きラインおよびその付近でガラスに埋め込まれることになる粒子を生成することはない。むしろレーザは、レーザおよび冷却流体が作用した位置で化学結合を弱化させることで作用する。そのままの状態にしておく、特に化学結合の再構成に水が関与し得る湿った雰囲気内においては、レーザ罫書きされた罫書きラインは自発的に分離するというよりも実際には修復される可能性がある。その結果、ガラスリボンからレーザ罫書きされた罫書きラインで分離されたガラスシートは、機械的に罫書きされた罫書きラインで分離されたガラスシートとは大きく異なることが分かっ
【0032】
特に、シート分離プロセスを受けているときに湾曲しているガラスリボンにおいては、機械的に罫書きされた罫書きライン上で歴史的にうまく機能していたガラス曲げ処置を、他の全ての条件が同一であるレーザ罫書きされた罫書きラインに適用すると、品質の劣るエッジが生じることが分かっ。実際にこのエッジ品質は、得られるシートの大部分が例えば液晶ディスプレイ用基板などのその意図した目的では役に立たなくなるほど、品質の劣ったものとなることが分かっ
【0033】
本開示の一態様によれば、レーザ罫書きされた罫書きラインを含むガラスリボンの部分が実質的に平坦になるまでこの罫書きラインでの分離を開始しないように曲げプロセスを変更することによって、従来の曲げ技術をレーザ罫書きされた罫書きラインに使用することができないという問題を克服した。実際には、ガラスの罫書きおよび分離が行われる位置(「延伸下部」またはBOD(bottom of the draw)と称されることが多い)では、特に、例えば厚さが0.7mm以下でありかつ例えば幅が0.5m以上と幅広の、薄いガラスから成るリボンにおいて、ガラスリボンは延伸を横断する方向に非平坦な形状を有する。例えば、リボンは弓形の形になることがあり、リボンのいずれの面もその凹面となり得る。例えばM字状またはW字状など、より複雑な形状となる可能性もある。
【0034】
図5および6は、弓形リボン33の事例を示したものであり、ここでリボンの凹面は、シート係合アセンブリ530の吸引カップ510およびフレーム520に面している。これらの図に示されているように、吸引カップ510はリボン33の第2面502に係合し、ノージング540も同様に係合する。図5および6ではリボン/シート保持機器として吸引カップが示されているが、この保持機器は、現在知られているまたは当技術において今後開発される、様々な他の構造を有し得ることを理解されたい。例えば図11〜15に示したように、保持機器は、リボンの第1面501に係合するパッドと、第2面に係合する吸引カップとを含むものでもよい。別の変形形態として、リボンの第2面に係合する図11〜15の吸引カップをパッドに置き換えてもよく、そうするとリボンは、その対向面に係合するパッド組間でクランプされることになる。
【0035】
図7に示したように、分離プロセスの際には例えば工業用ロボット700を使用して、シート係合アセンブリ530を、罫書きラインを通る軸の周りに、ノージング540を止め具すなわち回転の支点として機能させて回転させる。この図の他、図5および6では、レーザ罫書きされた罫書きラインはリボンの第1面501に、すなわちノージング540から離れている方の面に設けられており、そしてフレームとリボン/シート保持機器(この実施形態においては吸引カップ)の回転は時計回りである。図6から分かるように、リボンは平坦ではないため、ノージング540とリボンの第2面502との間には間隙560が存在している。
【0036】
シート係合アセンブリ530を回転させることにより、ガラスリボンに罫書きラインで曲げモーメントが加えられる。この曲げモーメントが十分に大きくなると、すなわち曲げによりガラス内に誘発された応力がガラスの破壊応力を超えると、リボンが罫書きラインで割れ、すなわちリボンからガラスシートが解放される。曲げプロセスに関するさらなる説明は、Edward Andrewlavage, Jr.への同一出願人による米国特許第6,616,025号明細書の中で得ることができ、その内容全体が参照することにより本書に組み込まれる。
【0037】
当初、ノージングでのリボンの非平坦さ、例えば図6における間隙560の存在は、レーザ罫書きで見られる品質の劣るエッジと関係があるとは考えられていなかった。しかし、実験やコンピュータ解析を通じて、品質の劣るエッジを生じさせるのは確かに非平坦さであることが判明した。具体的には、リボンが非平坦な状態にあるときにシート分離プロセスが始まった場合、レーザ罫書きされた罫書きラインに沿って実質的なせん断応力が発現し得ることが分かった。このせん断応力がガラスシートの分離で解放されると、ギザギザのエッジが生成される。機械的罫書きでは、罫書きラインが比較的容易に分離されるものであるため、せん断応力の量を含む、分離前に生成され得る応力の量が限定され、すなわち非平坦なリボンであっても許容できるエッジ品質が得られる。一方レーザ罫書きでは、罫書きラインで分離することが比較的困難であるため、せん断応力を含む応力の量が増加し得、すなわちギザギザのエッジを生み出すのに十分なレベルに到達してしまう。
【0038】
実験およびコンピュータ解析によると、罫書きラインでの応力は、罫書きラインと、このラインに最も近接した、シート係合アセンブリのリボン/シート保持機器(この実施形態では吸引カップ)との間の距離L(図10参照)に関係することがさらに示された。特に、分離は本質的に常に、保持機器(例えば、吸引カップ)の位置の上方またはこれに隣接している、罫書きラインの領域内で始まることが実験的に認められた。コンピュータ解析により、罫書きラインのこの位置での主応力の大きさは距離Lに依存することが示された。この影響を図8に示す。この図で縦軸は任意のユニットにおける計算による罫書きラインでの第1主応力を示したものであり、また横軸はリボン中心からの距離を、これも任意のユニットにおいて示したものである。保持機器(吸引カップ)の内側エッジおよび外側エッジを、鉛直線810および820で示す。曲線800は、機械的罫書きに適したLの値に対する、計算による基準の応力分布を示したものであり、一方曲線801および802は、夫々Lをおよそ25%減少および増加させた結果を示したものである。図から分かるように、Lが増加すると罫書きラインでの応力が減少し(曲線802)、一方Lが減少すると応力は増加する(曲線801)。
【0039】
この解析から、最も近接したリボン/シート保持機器を罫書きラインからさらに遠ざけることにより、罫書きラインで生成される応力の大きさを減少させることができることが分かる。このことは、ガラスシートの分離が始まる前に、シート係合アセンブリを罫書きラインの周りにさらに回転させることができることを意味する。この回転により、リボンはノージングに対して平坦になるため、そして特に回転が大きくなるとこれに対応してより平坦になるため、Lを増加させることで生成される応力が減少すると、シート係合アセンブリの回転は、分離が始まる前にリボンをノージングに対して実質的に完全に平坦にすることができるほど大きなものとすることができる。
【0040】
シート係合アセンブリの回転に関連するこの平坦化の効果を図9に示す。ここで図6と比較すると、回転の結果、間隙560が大幅に縮小された。さらに回転させると、ガラスをノージングに接触させることになり、すなわちガラスを所望の実質的に完全に平坦な形状とすることができる。このようにして、すなわちLを増加させることによって、回転で生じた応力が最終的にガラスの破壊応力を超えるときにはリボンは既にノージングに対して平坦になっており、すなわちそれほど大きなせん断応力を受けない。せん断応力がそれほどの量でなければ、ガラスシートのエッジがギザギザになることはなく、所望の結果が得られる。
【0041】
レーザ罫書きされたガラスリボンから生成されるガラスシートのエッジ品質を向上させるこの手法は、ノージングがリボンを横断する方向において平坦であることによるものである。しかしながら、ノージングの横断面が、リボンの第2面とノージングとの間を実質的に単一の線に沿って接触させるような曲線であれば、エッジ品質をさらに向上させることができることも分かっ。このような湾曲したノージングを図10に示す。この図において、参照番号570はシート係合アセンブリ530の回転方向を示している。湾曲したノージングは、固定されたものでもよいし、あるいは罫書きラインに平行な軸の周りに回転可能なものでもよい。ノージングには種々の材料を使用することが可能であり、適切な材料はシリコーンゴムである。同様に、湾曲したノージングは様々な曲率を有するものとすることができる。例えば、円形の横断面を有するノージングには、直径50mmのものが適していることが分かっ。湾曲した横断面を有するノージングはエッジ品質を向上させるが、本開示の平坦化の態様は、所望であれば、例えば長方形形状などの他の断面形状を有するノージングで実施することができる。
【0042】
実際には、許容できるエッジ品質をもたらす、罫書きラインと最も近接したリボン/シート保持機器との間の距離Lを決めるには、間隙560を観察して、分離が始まる前に間隙が閉じかつガラスリボンの面502がノージングと接触するよう、分離が十分に遅れるまでLを増加させる。あるいは、Lが十分に大きいときには決めるためのパラメータとしてエッジ品質自体を利用して、ギザギザのエッジの発生が所望のレベルに減少するまで、例えば本質的にギザギザのエッジがなくなるまで、Lを増加させてもよい。いずれの場合でも、特にシート係合アセンブリを工業用ロボットで操作し、ロボットの1以上の動作パラメータを変化させることによってLの変化を実現させ得るときには、Lの調節は明瞭である。
【0043】
Lがより長くなるということは、分離が生じる前にシート係合アセンブリ530を罫書きラインの周りにさらに回転させなければならないことを意味するため、リボン33の運動の速度によって、Lを増加させ得る量の上限が設定されることに留意されたい。所与の回転速度(例えば、ガラスの弾性特性に適合する回転速度)では、シート係合アセンブリ530を回転させる時間がさらに長くなり、すなわちある時点で、分離プロセスがリボンの製造速度に後れを取ることになる。しかしながら実際には、リボンの運動速度に容易に追いつきながら、ギザギザのエッジの問題を実質的に排除するレベルにまでLを増加させ得ることが分かっ
【0044】
図11〜16は、ガラスリボンからレーザ罫書きされた罫書きラインで分離されるガラスシートのエッジ品質を向上させる、上記の方法を実施するための装置の実施形態を示したものである。この装置はさらに、ノージングがシートハンドリング設備と一体化されている本開示のさらなる態様を示したものであり、このシートハンドリング設備は(1)ガラスリボンからガラスシートを分離させるための曲げモーメントを加え、(2)分離されたガラスシートをガラスリボンから遠ざけるように動かし、さらに(3)分離されたシートを、シート上部と係合する移送設備へと移動させる。このような一体型のノージング/シートハンドリングアセンブリによれば、コストが削減され、さらに延伸下部での設備の配備が簡略化される。
【0045】
一体型アセンブリのノージングは、リボン曲げプロセスの旋回軸(支点)としてのその用途に加え、傷開始点(図4の参照番号23参照)形成用の裏当てや、あるいは、レーザ罫書きではなく機械的罫書きが行われる場合の全罫書きプロセス用の裏当てとして使用することもできる。アセンブリのノージングが傷開始点の形成のためのみに使用され、シート分離用の支点やリボンの全幅を横断する機械的罫書き用の裏当てとして使用されない場合には、アセンブリのノージングは、リボンの全幅を横断して延在するものとする必要はなく、傷開始点を生成できる程度の長さのみを必要とする。
【0046】
図11〜16の一体型アセンブリは工業用ロボットで操作することができ、このときアセンブリは、例えば装置の名目上の中心670の位置でロボットに取付けてもよい。このアセンブリは、図15で示したようにノージングの上方および下方に真空ポート620を含んで、ガラスシートがガラスリボンから分離するときに生成されるガラスの破片を回収してもよい。この真空ポートを、真空プレナム630を通じて真空系(図示なし)に接続させてもよい。一体型アセンブリは、一旦分離が行われると分離されたシートを移動しているリボンから自動的に落下させることができる、上で参照した米国特許第6,616,025号明細書に記述されているようなコネクタアセンブリ650をさらに含んでもよい。
【0047】
上記のように、一実施の形態において、このアセンブリはガラスリボンの第2面502に係合する吸引カップと、第1面501に係合するクランプパッドとの両方を採用した、シートクランプユニット660を使用するものでもよい。クランプパッドは、空気圧シリンダ680を使用してリボンに対して移動させる。実際には、吸引カップをリボンの第2面に近接させ、次いでクランプパッドを使用してシートを吸引カップに押し付けるようにしてもよい。吸引カップとクランプパッドのこの組合せが、保持能力を増加させ、プロセスウィンドウを広げ、例えばこの設備を、延伸下部で大きな歪曲した弓形を呈しているリボンに使用可能なものとし、さらに吸引カップの消耗を低減させることができる。ノージングと同様に、このパッドおよび吸引カップは、例えばシリコーンゴムを含めた様々な材料から成るものとすることができる。
【0048】
一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリはエアシリンダ640をさらに含み、このエアシリンダ640は、シートクランプユニットにより画成される平面、すなわち、シートクランプユニットがガラスリボンに係合したときのガラスリボンの第2面の名目上の平面に対し、ノージングをこの平面内へと、そしてこの平面外へと動かすためのものである。特に、ノージングは、機械的罫書きおよびシート分離の際にリボンを支持するときこの平面内にある必要があるが、続くハンドリング設備へとシートを移動させる際には、シートの上部エッジを露出させるために、この平面外とする必要がある。エアシリンダは伸長配置(図11〜14参照)にあるとき、ノージングを平面内に移動させ、一方収縮配置(図15参照)にあるとき、ノージングを平面外に移動させて上部エッジ690を露出させる。当然のことながら、図11〜15に示されているもの以外のリンケージを、この2つの位置間でノージングを移動させるために使用してもよく、例えば、サーボモータをこのために使用することができる。
【0049】
移動しているリボンからシートを分離する際の、一体型ノージング/シートハンドリングアセンブリの代表的な動きを図11〜15に示す。図11はリボンと係合する前のアセンブリを示し、そして図12は係合直後のアセンブリを示している。一旦リボンに係合すると、傷開始点を形成しかつレーザ罫書きを行うとき、ロボットはアセンブリをリボンと同じペースで下方に移動させる。その後、最初にリボンをノージングに対して平坦化するために、そして次にシートをリボンから分離するために、ロボットはアセンブリを罫書きライン周りに(あるいは同等に、ノージングの先端エッジ周りに)回転させる。図13は、ガラスシートがリボンから分離された直後のシステムの配置を示したものである。その後、図14に示したように、アセンブリと分離されたガラスシートとを、ロボットがガラスリボンから遠ざけるように移動させる。最後に図15では、続くハンドリング設備が上方からシートに係合することができるよう、空気圧シリンダ640がノージングをシートの上部エッジから離れるように移動させる。ロボットはその後、アセンブリを図11での位置まで戻し、そして次のガラスシートに対してこのプロセスが繰り返される。
【0050】
本発明の範囲および精神から逸脱していない様々な変更形態が、これまでの開示から通常の当業者には明らかであろう。以下の請求項は、本書に明記した具体的な実施形態の他、変更形態、変形形態、およびこれらの実施形態と同等のものを含むと意図されている。
【符号の説明】
【0051】
13 ガラスシート
33 リボン
501 第1面
502 第2面
510 吸引カップ
520 フレーム
530 シート係合アセンブリ
540 ノージング
620 真空ポート
630 真空プレナム
660 シートクランプユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図16