【文献】
Atsuro Ichigaya et al.,Description of video coding technology proposal by NHK and Mitsubishi,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,1st Meeting: Dresden, DE,2010年 4月,JCTVC-A122,pp.1-16
【文献】
Hui Yong KIM et al.,Description of video coding technology proposal by ETRI,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,1st Meeting: Dresden, DE,2010年 4月,JCTVC-A127_r2,pp.1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記現行ブロックの前記隣接領域の前記再構成画素と、対応する各予測画素との間で計算される前記予測誤差は、前記現行ブロックの前記隣接領域の前記再構成画素毎に、前記現行ブロックの境界に対する再構成画素の距離を考慮に入れる、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を解消することである。この目的のため、本発明は、現行ブロックと称される画素ブロックを空間予測によって符号化する方法に関する。本発明による符号化方法は、
少なくとも現行ブロックの画素をカバーするウィンドウ上に適用された変換から得られた係数を現行閾値によって閾値処理し、かつ、閾値処理した係数に逆変換を適用することによって、現行ブロックの画素毎に予測画素を求めるステップと、
予測画素により形成された予測ブロックを現行ブロックから抽出して残差ブロックを生成するステップと、
残差ブロックを符号化するステップと、
を含む。有利なことに、現行閾値は、現行ブロックの隣接再構成画素から求められる、あるいは、符号化される。現行閾値を、現行ブロックの隣接再構成画素から求め、あるいは、符号化する点において、符号化効率が向上する。
【0006】
特定の実施態様によれば、現行ブロックの画素毎に予測画素を求めるステップは、複数の閾値のうちの各々の閾値を用いて繰り返される。この方法は、現行ブロックと予測ブロックとの間で計算される予測誤差が最小となる閾値を、複数の閾値の中から、現行閾値として選択するステップを更に含む。
【0007】
本発明の特定の態様によれば、現行閾値は予測閾値との差分だけ符号化され、予測閾値は現行ブロックの隣接再構成画素に依存している。
【0008】
特定の特徴によれば、予測閾値は、現行ブロックの隣接ブロックにおいて使用される閾値の平均値に等しい。
【0009】
第1の変形実施形態によれば、予測閾値は、現行ブロックの隣接ブロックにおいて使用される閾値の中央値に等しい。
【0010】
第2の変形実施形態によれば、予測閾値は、
少なくとも再構成画素をカバーするウィンドウ上に適用された変換から得られた係数を閾値によって閾値処理し、かつ、閾値処理した係数に逆変換を適用することによって、現行ブロックの隣接領域内の再構成画素毎に予測画素を求めるステップと、
隣接領域内の画素毎に予測画素を求めるステップを、複数の閾値のうちの各々の閾値を用いて繰り返すステップと、
現行ブロックの隣接領域の再構成画素と、対応する予測画素との間で計算される予測誤差が最小となる閾値を、複数の閾値の中から、予測閾値として選択するステップと、
によって求められる。
【0011】
別の実施態様によれば、現行閾値は、
少なくとも再構成画素をカバーするウィンドウ上に適用された変換から得られた係数を閾値によって閾値処理し、かつ、閾値処理した係数に逆変換を適用することによって、現行ブロックの隣接領域内の再構成画素毎に予測画素を求めるステップと、
隣接領域内の画素毎に予測画素を求めるステップを、複数の閾値のうちの各々の閾値を用いて繰り返すステップと、
現行ブロックの隣接領域の再構成画素と、対応する予測画素との間で計算される予測誤差が最小となる閾値を、複数の閾値の中から、現行閾値として選択するステップと、
によって求められる。
【0012】
有利なことに、現行ブロックの隣接領域の再構成画素と、対応する予測画素との間で計算される予測誤差は、現行ブロックの隣接領域の再構成画素毎に、現行ブロックの境界に対する再構成画素の距離を考慮に入れる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、現行閾値が8×8のサイズの現行ブロックについて選択され、この選択した現行閾値に1より絶対に小さい係数αを乗算することによって、現行ブロックの4×4のサイズの各ブロックの各々について現行閾値が計算される。
【0014】
有利なことに、ウィンドウのサイズが、予測対象の画素の、現行ブロック内での位置に依存している。
【0015】
また、本発明は、画素からなる現行ブロックを空間予測によって復号する方法であって、
残差ブロックを復号するステップと、
現行ブロックの少なくとも画素をカバーするウィンドウ上に適用された変換から得られた係数を現行閾値によって閾値処理し、かつ、閾値処理した係数に逆変換を適用することによって、現行ブロックの画素毎に予測画素を求めるステップと、
復号された残差ブロックと予測画素によって形成される予測ブロックとをマージすることによって、現行ブロックを再構成するステップと、を含む方法に関する。
有利なことに、現行閾値は現行ブロックの隣接再構成画素から求められる。
【0016】
特定の実施態様によれば、現行閾値は、
少なくとも再構成画素をカバーするウィンドウ上に適用された変換から得られた係数を閾値によって閾値処理し、かつ、閾値処理した係数に逆変換を適用することによって、現行ブロックの隣接領域内の再構成画素毎に予測画素を求めるステップと、
隣接領域内の画素毎に予測画素を求めるステップを、複数の閾値のうちの各々の閾値を用いて繰り返すステップと、
現行ブロックの隣接領域の再構成画素と、対応する予測画素との間で計算される予測誤差が最小となる閾値を、複数の閾値の中から、現行閾値として選択するステップと、
によって求められる。
【0017】
別の特定の実施態様によれば、本発明による復号方法は、
閾値の差分を復号するステップと、
現行ブロックの隣接再構成画素から予測閾値を求めるステップと、
差分と予測閾値との和を計算するステップと、
を更に含み、和が現行閾値である。
【0018】
有利なことに、予測閾値は、
少なくとも再構成画素をカバーするウィンドウ上に適用された変換から得られた係数を閾値によって閾値処理し、かつ、閾値処理した係数に逆変換を適用することによって、現行ブロックの隣接領域の再構成画素毎に予測画素を求めるステップと、
隣接領域の画素毎に予測画素を求めるステップを、複数の閾値のうちの各々の閾値を用いて繰り返すステップと、
現行ブロックの隣接領域の再構成画素と、対応する予測画素との間で計算される予測誤差が最小となる閾値を、複数の閾値の中から、予測閾値として選択するステップと、
によって求められる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
画像は、各々が画像データの少なくとも1つの項目に関連付けられた画素(pixels)または像点(image points)を含んでいる。画像データの項目は、例えば、ルミナンス・データの項目、あるいは、クロミナンス・データの項目である。
【0021】
「残差」という用語は、他のデータの抽出の結果得られたデータを意味する。この抽出は、一般的には、ソース画素から予測画素を減算することである。しかしながら、この抽出は、より一般的なものであり、特に、重み付けされた減算を含む。
【0022】
「再構成」という用語は、残差を予測データとマージした後に得られるデータ(例えば、画素、ブロック)を意味する。このマージは、一般的に、残差予測画素の合計である。しかしながら、このマージは、より一般的なものであり、特に、重み付けされた合計を含む。再構成ブロックは、再構成画素のブロックである。
【0023】
画像復号に関して、「再構成」という用語と「復号」という用語とが、同義語として、非常によく使用される。従って、「再構成ブロック」は、「復号ブロック」という用語の意味でもある。
【0024】
本発明は、現行ブロックと称される画素のブロックを空間予測によって符号化する方法に関する。これは、画像あるいは画像シーケンスの符号化に適用される。本発明に従う符号化方法は、2006年3月発行のIEEE会報第5巻第3版の539頁〜571頁の「画像処理」についてのGuleryuz、O.G.氏の「Nonlinear approximation based image recovery using adaptive sparse reconstructions and iterated denoising(適応型分散再構成と反復ノイズ除去とによるノンリニア近似ベースの画像復元)」という表題の文献に記載された信号外挿方法に基づいている。元来、この外挿方法は、エラーをマスキングする目的で使用されていた。
【0025】
図1を参照して、本発明による画像の現行ブロックを符号化する方法を説明する。
【0026】
ステップ10において、予測画素が、現行ブロックの各々の画素について求められる(決定される)。予測画素は、現行ブロックの予測ブロックを形成する。予測画素は、少なくとも予測対象の現行ブロックの画素をカバーしているウィンドウ上に適用された変換により得られる係数を、現行の閾値で閾値処理することによって得られる。このウィンドウは、変換のサポートに相当する。ここで使用される変換は、例えば、DCTである。しかしながら、本発明は、これに限定されない。離散フーリエ変換のような他の変換も適用できる。本発明によれば、現行閾値は、現行ブロックの隣接する再構成画素から求められ、あるいは、符号化される。現行ブロックの隣接する再構成画素から現行の閾値値を求め、あるいは、符号化する点において、符号化の効率が向上する。
【0027】
ステップ12において、予測画素から形成された予測ブロックが現行ブロックから抽出されて、残差ブロックが生成される。
【0028】
ステップ14において、残差ブロックがストリームSに符号化される。例えば、残差ブロックは、例えばDCT又はウェーブレット変換によって量子化された係数ブロックに変換され、次いで、エントロピー符号化によって符号化される。別の実施形態によれば、残差ブロックは、ただ量子化だけされて、次いで、エントロピー符号化によって符号化される。
【0029】
図2及び
図3を参照して、予測画素を求めるステップ10について更に詳しく説明する。
図2において、予測画素
【数1】
は、予測対象の現行ブロックBの一番左上の画素に対応している。
図2において、×印によって識別される画素は、既知の画素、即ち、再構成されたものである。画素
【数2】
の予測は、この画素の環境(周囲の状況)を表す値をこの画素に与えるために行われる。ウィンドウFは、その初期の位置F
0,0において、少なくとも予測対象の画素
【数3】
をカバーする。ステップ10における変換が適用されるのは、このウィンドウ上である。
【0030】
ステップ100において、初期値が、画素
【数4】
に割り当てられる。簡単な例として、隣接する画素から得られる平均値が、画素
【数5】
に割り当てられる。この値は、
【数6】
として表される。別の実施形態によれば、画素a、b及びcのメジアン(中央値)が、画素
【数7】
に割り当てられる。更に別の実施形態によれば、a、b及びcのうちの1つの値が、画素
【数8】
に割り当てられる。他の実施形態によれば、画素
【数9】
の因果隣接領域内に位置する他の画素を考慮に入れて、画素
【数10】
の初期値を求める。現行画素の因果隣接領域は、現行画素の符号化(それぞれの復号)中に既に再構成されている現行画像の画素群を含む。
【0031】
ステップ110において、変換がウィンドウFの各画素に適用される。その結果、これらの画素は係数に変換される。
【0032】
ステップ120において、係数は、変換された領域(ドメイン)で、閾値th
optにより閾値処理される。この閾値処理は、ノイズを除去して、有効な係数のみを保持する効果を有する。
【0033】
ステップ130において、ステップ120で適用された変換の逆変換を適用して、画素領域(画素ドメイン)に戻し、これによって、
【数11】
として表される新たな予測画素値を復元する。ナル値の
【数12】
より大きいインデックスは、ウィンドウFの初期位置に対する、行及び列におけるウィンドウFのナル・オフセットに対応している。
【0034】
図4及び
図5を参照すると、
図3を参照して説明したのと同じ方法がウィンドウFのオフセットについて適用され、現行ブロックBの他の画素についての予測画素が求められる。画素
【数13】
から画素
【数14】
が、反復的に予測される。画素
【数15】
の直ぐ右の現行ブロックの画素に対応する予測画素
【数16】
を求めるために、ウィンドウFが、
図3におけるウィンドウの位置F
0,0に対して、右に1画素だけオフセットされる。
図5において、a、b及びcは、それぞれ、予測対象の画素
【数17】
の左側、上側及び対角線上に位置する、画素
【数18】
の隣接再構成画素であり、aは、この場合、更に具体的には、前に内挿された画素
【数19】
の値に等しい。
【0035】
別の実施形態に従えば、位置F
0,0に在るウィンドウFが、右に2画素だけオフセットされ、即ち、位置F
0,2に来る。この場合、2番目の反復(iteration)で、画素
【数20】
と画素
【数21】
とが予測される。更に一般的には、ウィンドウFは、m画素内ではm画素だけオフセットできる。予測があまり劣化しないように、mの値は小さいままであることが有利である。
【0036】
ステップ100において、隣接画素からの平均値が
【数22】
に割り当てられる。例えば、値
【数23】
が割り当てられる。この値は、
【数24】
として表される。画素
【数25】
に関してステップ100について前述した実施形態も適用できる。
【0037】
ステップ110において、変換が、ウィンドウF
0,1の各画素に適用される。その結果、これらの画素は係数に変換される。
【0038】
ステップ120において、係数は、変換された領域(ドメイン)で、閾値th
optにより閾値処理される。この閾値処理は、ノイズを除去して、有効な係数のみを保持する効果を有する。
【0039】
ステップ130において、ステップ110で適用された変換の逆変換を適用して、画素領域(画素ドメイン)に戻し、これによって、
【数26】
として表される新たな予測画素値を復元する。
【数27】
より大きいインデックスは、行における0と列における1のウィンドウFのオフセットに対応している。
図5に示されているように、画素
【数28】
は、位置F
0,1のウィンドウ内に含まれている。従って、予測画素
【数29】
の計算中に、新たな値が、画素
【数30】
についても計算される。実際、逆変換中に、値
【数31】
が画素
【数32】
に割り当てられる。この値
【数33】
は、ウィンドウFがオフセットされていない(ウィンドウがF
0,0に在る)時の先行する反復において計算された値
【数34】
と異なり得る。画素
【数35】
について計算されたこれらの2つの値、即ち、ウィンドウFのナル・オフセットについて先行する反復において得られた値
【数36】
と、行における0と列における1のオフセットについて現行の反復で得られる値
【数37】
とを考慮に入れるために、新たな値が予測画素
【数38】
に割り当てられる。この新たな値は、
【数39】
として表され、例えば、2つの値
【数40】
と
【数41】
との平均値、即ち、
【数42】
に等しい。
【0040】
本方法は、ブロックBの全ての画素が予測されるまで繰り返される。この目的のため、ステップ140において、現行の画素が、予測対象のブロックの最後の画素であるか否かが確認される。最後の画素であるならば、予測ブロックの決定ステップは、終了する。そうでないならば、現行の行にまだ予測すべき画素がある場合はウィンドウFを右に1列だけオフセットし、あるいは、ウィンドウFを下の行にオフセットして、再度、その行の開始点に配置する。しかしながら、ウィンドウFを、反復の都度、オフセットする仕方は、決まっていない。それは、予測対象のブロックから定まる走査順序によって決まる。これまでに参照した各図では、画素の走査は、左から右に画素毎に行い、そして、これを行毎に行っている。この走査は、唯一のものではなく、ジグザグ・タイプの走査も可能であり、また、その他のタイプ、例えば、1番目の列の1番目の行、その次に、2番目の列の2番目の行というような順の走査も可能である。
【0041】
ステップ100から140が、ウィンドウの新しい位置について再び適用される。予測対象の新たな画素p
sk,slについて、値
【数43】
が求められる。先行する反復中に予測値が既に計算されているウィンドウFに含まれる現行ブロックの画素についても、新たな予測値が計算される。これらの画素について、新たな予測値は、画素
【数44】
を参照して上述したように、以下のように求められる。
【数45】
ここで、
【数46】
は、ウィンドウFの位置F
sk,slに対応する反復中に予測対象のブロックの行kと列lにおいて予測される画素であり、
skとslは、それぞれ、ウィンドウFの行と列とについてのオフセットであり、
【数47】
は、ウィンドウFの位置F
sk,slに至るまでの連続したオフセットによって再帰的に予測される位置(k,l)における予測画素の値である。
【0042】
別の実施形態によれば、重み付けされた和(合計)は、メジアン(中央値)関数
【数48】
あるいは、ヒストグラム・ピーク・タイプの関数によって置き換えられる。
【0043】
第1の実施形態によれば、閾値th
optは、因果ゾーンZc、即ち、現行ブロックBの隣接領域における再構成画素を含むが、必ずしもこのブロックに隣接していないゾーンから求められる。
図7を参照して、この実施形態を説明する。
図7において、×印は、再構成画素を表している。背景がグレーである×印は、因果ゾーンZcに属する画素を表している。このゾーンZcは、予測対象の現行ブロックについての閾値を求めるために使用される。この目的のため、
図4と
図5とを参照して説明した方法を、このゾーンZcの画素に適用することによって、これらの画素の各々について予測画素を求め、そして、これを幾つかの閾値th
iについて行う。従って、閾値th
iの各々について、エネルギー・レベルをゾーンZc上で計算する。簡単な例として、このエネルギーは、次の式に従って計算される。
【数49】
ここで、
pは、当該ブロックに含まれている画素の位置を表し、
Yは、予測対象の現行ブロック内の画素の画像データの項目(例えば、ルミナンス及び/又はクロミナンス)の値であり、
【数50】
は、閾値th
iについて求められる予測値である。
閾値th
zcが、最小の予測エネルギーSSE
iを生成するゾーンとしてのゾーンZcについて求められる。
【0044】
別の実施形態によれば、このエネルギーは次のように計算される。
【数51】
【0045】
更に別の実施形態によれば、このエネルギーは次のように計算される。
【数52】
【0046】
更に別の実施形態によれば、予測対象のブロックの境界に対するZcの各画素の距離に応じて相対化されるZcの各画素の予測誤差を可能にする重み付け関数が導入される。従って、この重み付け関数の各値は、例えば、予測対象のブロックの中心に対する各画素の距離に応じて変化して以下のようになる。
【数53】
ここで、
・cは、標準化係数であり、
【数54】
・i及びjは、重み付けウィンドウのフレーム内の各重み付け係数の座標に対応しており、予測対象のブロックの中心が、4×4と8×8の寸法のブロックについて、それぞれ、(5.5,5.5)と(11.5,11.5)に在り、
・原点(0,0)が、左上である。
予測対象の現行ブロックについての閾値th
optは、th
zcに等しい。ゾーンZcは、特に、隣接画素の可用性(availability)に従って、異なる形状を有することができる。同様に、ゾーンの厚さは、1画素を超えてもよい。
【0047】
第2の実施形態によれば、
図4及び
図5を参照して説明した方法を、相異なる閾値th
iを用いて繰り返し行い、予測ブロックと現行ブロックとの間で計算される予測誤差が最小となる閾値を求めることによって、現行ブロックについての閾値th
optが求められる。
従って、閾値th
iの各々について、エネルギー・レベルが計算される。簡単な例として、このエネルギーは次の式に従って計算される。
【数55】
ここで、
pは、当該ブロックに含まれている画素の位置を表し、
Yは、予測対象の現行ブロック内の画素の画像データの項目(例えば、ルミナンス及び/又はクロミナンス)の値であり、
【数56】
は、閾値th
iについて求められる予測値である。
閾値th
optは、最小の予測エネルギーSSE
iを生成する閾値である。
【0048】
別の実施形態によれば、このエネルギーは次のように計算される。
【数57】
【0049】
更に別の実施形態によれば、このエネルギーは次のように計算される。
【数58】
【0050】
この第2の実施形態によって求められた現行の閾値th
optの値は、ストリームSに直接符号化されるか、あるいは、符号化コストを低減するために予測閾値th
predとの差分だけストリームSに有利に符号化される。
【0051】
例えば、予測閾値th
predは、現行ブロックに隣接しており、かつ既に符号化されているブロックについて求められた閾値th
optの平均値に等しい。左側のブロック、上側のブロック、及び、左上のブロックが、考慮に入れられる。別の実施形態によれば、右上のブロックも考慮に入れられる。
【0052】
更に別の実施形態によれば、予測閾値th
predは、現行ブロックに隣接しており、かつ既に符号化されているブロックについて求められた閾値th
optのメジアン(中央値)に等しい。
【0053】
また更に別の実施形態によれば、予測閾値th
predは、th
zcに等しい。th
optが第1の実施形態によって求められる場合は、th
opt=th
zcであり、この場合、当該閾値は、復号器側において、符号器側と同じやり方でZcの画素から決定され得るので、符号化されない。
【0054】
特定の実施形態によれば、8×8のサイズの現行ブロックは、この8×8のブロックについて現行閾値を求め、th8×8として表される現行閾値を用いて、
図4及び
図5を参照して説明した方法を適用することによって予測することができ、あるいは、この8×8のブロックを4つの4×4のブロックに分割し、それぞれth4×4として表される各ブロックについての同じ現行閾値を用いて、
図4及び
図5を参照して説明した方法を、各々の4×4のブロックに別々に適用することによって予測することができる。このth4×4は、次の等式に従って、th8×8から推定される。
th4×4=α*th8×8 (ここで、αは絶対に1より小さい。)
【0055】
本発明はまた、
図8を参照して説明する復号方法にも関する。
【0056】
ステップ20において、残差ブロックが、現行ブロックについて復号される。例えば、ストリームSの一部分が係数に復号される。係数は、逆量子化され、次いで、必要ならば、符号器側で使用した変換の逆変換によって変換される。このようにして、残差ブロックが得られる。
【0057】
ステップ22において、予測画素が、現行ブロックの各々の画素について求められる(決定される)。予測画素は、現行ブロックの予測ブロックを形成する。予測画素は、少なくとも予測対象の現行ブロックの画素をカバーしているウィンドウ上に適用された変換により得られる係数を、現行の閾値で閾値処理することによって得られる。ウィンドウは、変換のサポートに相当する。ここで使用される変換は、例えば、DCTである。しかしながら、本発明は、これに限定されない。離散フーリエ変換のような他の各変換も適用できる。
【0058】
ステップ24において、現行ブロックが、予測ブロックを復号済みの残差ブロックとマージすることによって、再構成される。
【0059】
予測画素の決定ステップ22は、符号化方法のステップ10と同じである。しかしながら、復号器側では、閾値th
optは、それが符号器側で同じストリームSに符号化された場合、そのストリームSから復号されるか、あるいは、現行ブロックの隣接領域における再構成画素から直接求められる。
【0060】
第1の実施例によれば、th
optは、ストリームから、直接復号されるか、あるいは、この値の差分を符号化している場合、復号値を予測値th
predに加算することによって復号される。例えば、この予測閾値th
predは、現行ブロックに隣接しており、かつ既に符号化されているブロックについて求められた閾値th
optの平均値に等しい。例えば、左側のブロック、上側のブロック、及び、左上のブロックが、考慮に入れられる。別の実施形態によれば、右上のブロックも考慮に入れられる。
【0061】
更に別の実施形態によれば、予測閾値th
predは、現行ブロックに隣接しており、かつ既に符号化されているブロックについて求められた閾値th
optのメジアン(中央値)に等しい。
【0062】
更に別の実施形態によれば、予測閾値th
predはth
zcに等しく、ここでth
zcは、
図7を参照して符号器側について説明したように、求められる。
【0063】
第2の実施形態によれば、閾値th
optは、
図7を参照して符号器側について説明したのと同じやり方で、ゾーンZc内の再構成画素から直接求められる。この場合、th
optは、th
zcに等しい。
【0064】
符号化方法及び復号方法に適用できる特定の実施形態によれば、ウィンドウFのサイズは、
図6に示されているように、予測対象の画素の、現行ブロック内での位置に依存する。この図では、位置F
0,0に在るウィンドウは、位置F
n-1,m-1に在るウィンドウよりもサイズが小さい。これは、予測ブロックの適合度を向上させるという利点を有している。例えば、現行ブロックが4×4のサイズである場合、現行ブロックの上側と左側の各境界、即ち、1番目の行と1番目の列に位置する画素については、ウィンドウのサイズは4×4であり、現行ブロックのその他の画素については、ウィンドウのサイズは8×8である。使用される1つ又は複数のウィンドウの寸法は、2の累乗に限定されない。実際、本発明は、幾つかの2
Nの倍数サンプルに適用される「ラピッド(高速)」変換として知られる変換の使用に限定されない。更に、使用される変換は、必ずしも、別個であるとは限らない。
【0065】
本発明は、また、
図9を参照して説明する符号化装置12と、
図10を参照して説明する復号装置13とに関する。
図9及び
図10において、図示された各モジュールは、機能ユニットであり、物理的に識別可能なユニットに相当する場合もあれば、そうでない場合もある。例えば、これらのモジュール、あるいは、その一部は、単一のコンポーネントにグループ化することができ、あるいは、同一のソフトウェアの機能を構成することもできる。逆に、一部のモジュールは、別個の物理的実体で構成されていてもよい。
【0066】
図9を参照すると、符号化装置12は、1つ又は複数の画像を入力部にて受信する。符号化装置12は、
図1を参照して説明した本発明による符号化方法を実施できる。各々の画像は、画素ブロックに分割され、その画素の各々は画像データの少なくとも1つの項目に関連付けられている。符号化装置12は、特に、空間予測で符号化を実施する。
図9には、空間予測、即ち、イントラ符号化による符号化に関連する、符号化装置12のモジュールのみが示されている。図示されていない、ビデオ符号器についての当業者に周知のその他のモジュールが、符号化の時間予測(例えば、動き推定、動き補償)を実施する。符号化装置12は、特に、計算モジュール1200を備えており、この計算モジュール1200は、現行ブロックBから予測ブロックPrを、例えば画素単位で減算することによって、残差ブロックBresを生成することで抽出できる。計算モジュール1200は、本発明による符号化方法のステップ12を実施できる。符号化装置12は、更に、モジュール1202を備えており、このモジュール1202は、残差ブロックBresを変換し、次いで、量子化データに量子化する。この変換Tは、例えば、離散コサイン変換(即ち、DCT)である。符号化装置12は、更に、エントロピー符号化モジュール1204を備えており、このエントロピー符号化モジュール1204は、量子化データを符号化データのストリームSに符号化できる。符号化装置12は、更に、モジュール1202の逆の動作を行うモジュール1206を備えている。このモジュール1206は、逆量子化Q
−1を行い、次いで、逆変換T
−1を行う。モジュール1206は、計算モジュール1208に接続されており、この計算モジュール1208は、例えば画素単位の加算によって、モジュール1206からのデータ・ブロックと予測ブロックPrとをマージして、再構成ブロックを生成し、この再構成ブロックはメモリ1210に記憶される。
【0067】
予測モジュール1216が、予測ブロックPrを求める。この予測モジュール1216は、本発明による符号化方法のステップ10を実施できる。この符号化方法のステップ14は、モジュール1202及び1204において実施される。
【0068】
図10を参照すると、復号モジュール13が、画像を表す符号化データのストリームSを入力部にて受信する。ストリームSは、例えば、符号化装置12からチャネルを介して送信される。復号装置13は、
図8を参照して説明した本発明による復号方法を実施できる。復号装置13は、復号データを生成できるエントロピー復号モジュール1300を備えている。この復号データは、逆量子化とそれに続く逆変換とを実施できるモジュール1302に送信される。このモジュール1302は、ストリームSを生成した符号化装置12のモジュール1206と同じである。このモジュール1302は計算モジュール1304に接続されており、この計算モジュール1304は、例えば画素単位の加算によって、モジュール1302からのブロックと予測ブロックPrとをマージして、再構成現行ブロックBcを生成でき、この再構成現行ブロックBcはメモリ1306に記憶される。計算モジュール1304は、復号方法のステップ24を実施できる。復号装置13はまた、予測モジュール1308を備えている。この予測モジュール1308は、予測ブロックPrを求める。この予測モジュール1308は、本発明による復号方法のステップ22を実施できる。復号方法のステップ20は、モジュール1300及び1302において実施される。
【0069】
当然であるが、本発明は、上述の各実施例に限定されない。特に、当業者であれば、上述の各実施例を変形して組み合わせることによって、それらの種々の利点から恩恵を受けるであろう。本発明は、使用した変換タイプ(例えば、DCT、ウェーブレット、離散フーリエ変換等)に限定されない。同じく、画素の走査順序は、様々であってよい(例えば、ラスタ走査、ジグザグ等)。更に、本発明は、エネルギー・レベルの計算方法(例えば、SSE、SAD、Max等)によって全く限定されない。
【0070】
本発明は、一定の複数の画像あるいは画像シーケンスの符号化に適用される。