特許第5715712号(P5715712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715712
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】調節可能な連結金具
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/10 20060101AFI20150423BHJP
【FI】
   A44C5/10 510E
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-552194(P2013-552194)
(86)(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公表番号】特表2014-504530(P2014-504530A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】EP2012051699
(87)【国際公開番号】WO2012104352
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2013年7月31日
(31)【優先権主張番号】11153039.0
(32)【優先日】2011年2月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クヌッヒェル,ダニエル
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−308615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレスレット(10)用の調節可能な連結金具(1)であって、少なくとも1つの第1のハーフリンク(2)と、少なくとも1つの第2のハーフリンク(3)を備え、前記2つのハーフリンクは互いに対して一方向(D)に可動であり、係留ユニットを形成しており、
−前記第1のハーフリンク(2)は、少なくとも1つの接続およびロック部材(23)を備える、あるいは固定式にまたは前記方向(D)に移動度が制限された状態で少なくとも1つの接続およびロック部材(23)と共に組み立てられ、前記接続およびロック部材(23)は、前記方向(D)に延在しロック手段(24)を備えており、
−前記第2のハーフリンク(3)は、相補的なロック手段(34)を含む、あるいは固定的にまたは前記方向(D)に移動度が制限された状態で相補的なロック手段(34)と共に組み立てられ、
−前記ロック手段(24)と、前記相補的なロック手段(34)は協働して少なくとも2つのロック位置を画定することで、前記第1のハーフリンク(2)を前記第2のハーフリンク(3)に対して動かないようにし、前記位置は前記方向(D)において互いから離れた別々の位置であり、
−前記ロック手段(24)および/または前記相補的なロック手段(34)は、前記方向(D)で及ぼされ所与の値を超える一定の力の作用の下に、前記相補的なロック手段(34)および/または前記ロック手段(24)の中にそれぞれ含まれる弾性戻り手段に対抗するように可動であることにより、前記第1のハーフリンク(2)と前記第2のハーフリンク(3)間の位置を前記方向(D)に相対的に変更することが可能であることを特徴とする調節可能な連結金具(1)。
【請求項2】
前記第2のハーフリンク(3)は、少なくとも1つの凹部(33)を備え、前記凹部は前記方向(D)に延在し、前記接続およびロック部材(23)が、前記離れたロック位置の一方のみに保持されるように進むことができるように構成されており、前記相補的なロック手段(34)は、前記凹部(33)に近接して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項3】
前記接続およびロック部材(23)は、少なくとも1つのフランジ(123)を備え、前記フランジは前記方向(D)に平行な面内に延在し、少なくとも1つの長円の穴(135)を含んでおり、前記穴は前記方向(D)に延在し、少なくとも1つの収縮部(137)を備え、前記収縮部の両側で前記穴(135)は2つのチャンバの境界を定めており、前記チャンバの各々は最小限の遊びでピン(153)を収容することが可能であり、前記穴(135)は、前記フランジ(123)の弾性式に変形可能な領域に作成されることで、前記ピン(153)が前記収縮部(137)に対抗するように前記方向(D)で一定の力を受けたとき、前記ピン(153)が前記収縮部(137)を通過することが可能であり、前記力は、前記収縮部(137)と前記穴(135)によって前記ピン(153)に及ぼされる弾性の戻り力に打ち勝つのに十分な強さであり、前記ピン(153)と前記穴(135)は、前記ロック手段(24)と前記相補的なロック手段(34)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項4】
前記フランジ(123)は、少なくとも1つの他方の長円の穴(125)を備えており、前記穴は前記方向(D)に延在し、少なくとも1つの収縮部(127)を備えており、前記収縮部の両側で前記穴(125)は2つのチャンバの境界を定めており、前記チャンバの各々は最小限の遊びでピン(152)を収容することが可能であり、前記穴(125)は、前記フランジ(123)の弾性式に変形可能な領域に作成されることで、前記ピン(152)が前記収縮部(127)に対抗するように前記方向(D)で一定の力を受けたとき、前記ピン(152)が前記収縮部(127)を通過することが可能であり、前記力は、前記収縮部(127)と前記穴(125)によって前記ピン(152)に及ぼされる弾性の戻り力に打ち勝つのに十分な強さであり、前記ピン(152)と前記穴(125)は協働して、前記第1のハーフリンク(2)を前記フランジ(123)を備える前記接続およびロック部材(23)と共に、前記方向(D)で離れた位置において移動度が制限された状態で、組み立てる手段を形成していることを特徴とする、請求項3に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項5】
前記第1のハーフリンク(2)の反対側に前記第2のハーフリンク(3)は、少なくとも1つのキャップ(90)を備え、前記キャップが孔(9)を備えることで、前記ピン(153)を最小限の遊びで受けることで、前記フランジ(123)をその前記離れたロック位置の一方において前記凹部(33)の中に閉じ込め、前記ピン(153)はまた、ブレスレットの一端のヒンジピンを形成するように構成される、および/または前記第1のハーフリンク(2)は、少なくとも1つの凹部(33)を備え、前記凹部は前記方向(D)に延在し、前記接続およびロック部材(23)が通過することができるように構成されており、前記第2のハーフリンク(3)の反対側に少なくとも1つのキャップ(91)を備え、前記キャップが孔(9)を含むことで、前記ピン(152)を最小限の遊びで受けることで、前記フランジ(123)をその前記離れた位置の一方において前記凹部(33)の中に閉じ込め、前記ピン(152)はさらに、ブレスレットの一端のためのヒンジピンを形成するように構成されることを特徴とする、請求項2および3に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項6】
前記第1のハーフリンク(2)と、前記第2のハーフリンク(3)の間に閉じ込められた少なくとも1つのマスキング要素(5)を含み、前記マスキング要素(5)は、少なくとも1つの前記接続およびロック部材(23)に当接するように設置され、少なくとも1つのピン(150)によってその上に保持されており、前記ピンは、前記マスキング要素(5)と前記接続およびロック部材(23)の両方を貫通していることを特徴とする、請求項1に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1のハーフリンク(2)と、前記少なくとも1つの第2のハーフリンク(3)は、誘導手段(21)および相補的な誘導手段(31)が協働することによって互いに対して誘導され、停止手段(22)と相補的な停止手段(32)が協働することによって係留ユニットを形成しており、前記接続およびロック部材は、少なくとも1つの指(223)を備え、前記指は前記方向(D)に延在し、前記方向(D)に対してほぼ半径方向の弾性戻り装置を有するロック手段(24)を備え、前記ロック手段(24)は、折り畳み位置と、広がった位置の間で可動であり、前記第2のハーフリンク(3)は、少なくとも1つのチャネル(33)を含み、前記チャネルは方向(D)に延在し、前記指(223)が前記ロック手段(24)の前記折り畳みまたは広がった位置の一方のみを通過することができるように構成されており、前記チャネル(33)に近接して、前記第2のハーフリンク(3)はさらに、少なくとも一方のロック位置において、前記ロック手段(24)の前記広がったまたは折り畳み位置の他方にある前記ロック手段(24)と協働するように構成された相補的なロック手段(34)を備え、前記ロック手段(24)と前記相補的なロック手段(34)は協働して、前記方向(D)に少なくとも2つの前記離れた別々のロック位置を画定することを特徴とする、請求項1に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項8】
前記第1のハーフリンク(2)および前記第2のハーフリンク(3)はそれぞれ前記方向(D)に、互いに対する前記連結金具の係留組立体のための前記停止手段(22)と前記相補的な停止手段(32)を備えることで、前記第1のハーフリンク(2)の第1の軸受面(25)が前記第2のハーフリンク(3)の第2の軸受面(35)と接触する第1の近接位置と、前記停止手段(22)が、前記相補的な停止手段(32)と接触する第2の離れた位置の間に最大限の調節移動距離を画定することを特徴とする、請求項7に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項9】
前記ロック手段(24)および/または前記相補的なロック手段(34)は、少なくとも1つの傾斜路を備えることで、前記方向(D)で前記第1のハーフリンク(2)および/または前記第2のハーフリンク(3)に加えられる一定の力の作用の下、ならびに前記第1のハーフリンク(2)と前記第2のハーフリンク(3)が相対運動する間、前記ロック手段(24)が、前記折り畳み位置から前記広がった位置に変わることが可能であり、あるいはその逆もまた同様であることを特徴とする、請求項7に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項10】
前記ガイド手段(21)、それぞれの前記相補的なガイド手段(31)は、前記相補的なガイド手段(31)、それぞれの前記ガイド手段(21)を形成する指を補助する孔によって形成され、前記指は、前記指を担持するハーフリンクに対して長さを調節することが可能であることを特徴とする、請求項7に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項11】
前記第1のハーフリンク(2)および前記第2のハーフリンク(3)はそれぞれ、第1チャンバ(26)と、第2チャンバ(36)を備え、前記2つのチャンバは、前記第1のハーフリンク(2)と、前記第2のハーフリンク(3)が互いに対して組み立てられる際、単独のチャンバ(4)を画定するように構成されており、前記調節可能な連結金具(1)は、少なくとも1つのマスキング要素(5)を備え、前記マスキング要素(5)は前記第1のハーフリンク(2)と、第2のハーフリンク(3)の間の前記単独のチャンバ(4)の中に閉じ込められ、前記組み立て後の調節可能な連結金具(1)の少なくとも頂部面(6)側で、前記ガイド手段(21)、前記相補的なガイド手段(31)、前記停止手段(22)、前記相補的な停止手段(32)、前記指(223)、前記ロック手段(24)、前記チャネル(33)および前記相補的なロック手段(34)を隠すように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項12】
前記第1のハーフリンク(2)および前記第2のハーフリンク(3)は、調節機構全体を組み込む中心本体(100)を囲むフレームを形成しており、少なくとも前記第1のハーフリンク(2)または前記第2のハーフリンク(3)は、停止手段(32)を備える少なくとも1つの指(223;323)によって形成される少なくとも1つのガイド手段(23)を含んでおり、前記指は、少なくとも1つの弾性Oリング接合部(240)を含む少なくとも1つのロック手段(24)を担持しており、前記Oリング接合部は前記指(223;323)の溝に設置され、前記中心本体(100)によって担持されるリブ(101)によって形成される少なくとも1つの相補的なロック手段と当接して協働しており、前記リブ(101)の各々の側に水平方向の凹部(102;103)を画定し、その中で前記接合部(240)を前記リブ(101)の一方または他方の側で停止させることができることを特徴とする、請求項1に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項13】
前記第1のハーフリンク(2)および前記第2のハーフリンク(3)はそれぞれ、少なくとも1つの前記指(223;323)を含み、前記指はそれぞれ対向する停止手段(32)を含むことで前記調節可能な連結金具(1)を係留式にすることを特徴とする、請求項12に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項14】
前記第1のハーフリンク(2)および前記第2のハーフリンク(3)は、調節機構全体を組み込む中心本体(100)を囲むフレームを形成しており、前記調節可能な連結金具(1)は、少なくとも1つの弾性ロック要素(24)を備え、前記要素は、片矢印または両矢印の形状の平坦なくさびばね(200)によって形成され、少なくとも1つの弾性スロット(201;211)を備え、前記第1のハーフリンク(2)のための少なくとも1つのコーナー締め具(202)を備え、前記少なくとも1つのスロットに対向して弾性式に変形可能な前方部分を備え、前記前方部分は、前記第2のハーフリンク(3)によって担持される複数の調節ノッチ(204)のうちの前記第2のハーフリンク(3)の調節ノッチ(204)と協働する少なくとも1つの調節コーナー(203)を備え、一方のノッチから他方のノッチへの変更は、前記方向(D)での牽引力または推力から生じる前記くさび(200)の圧縮によって可能であることを特徴とする、請求項1に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項15】
前記コーナー締め具(202)はまた、調節コーナー(203)でもあることにより、前記第1のハーフリンク(2)によって担持される複数の前記調節ノッチ(204)の間で前記第1のハーフリンク(2)に対して可動であることを特徴とする、請求項14に記載の調節可能な連結金具(1)。
【請求項16】
少なくとも2つのブレスレットの紐を備えるブレスレット(10)であって、請求項1に記載の少なくとも1つの調節可能な連結金具(1)を備え、各々のハーフリンク(2;3)は、ブレスレットの紐に装着するための手段(9)を備え、前記装着手段(9)によって前記ブレスレットの紐に装着されることを特徴とするブレスレット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレスレット用の調節可能な連結金具に関し、これは、少なくとも1つの第1のハーフリンクと、少なくとも1つの第2のハーフリンクを含み、これらは互いに対して一方向に可動であり、協働して1つの組立体を形成しており、この場合両方のハーフリンクは分離することができず、以後この組立体を係留ユニットと呼ぶ。
【0002】
本発明はまた、少なくとも2つのブレスレットの紐を含むブレスレットに関する。
【0003】
本発明は、調節可能な締め具の分野に関し、詳細にはヒトまたは動物の体に装着することが意図された対象物に関する調節可能な締め具の分野に関する。本発明は、詳細にはブレスレット、ベルト、ストラップ、ハーネスおよび同様の対象物のための締め具に関するものであり、これらは特に宝石、皮製品またはさらには馬具の分野で利用される。
【背景技術】
【0004】
ブレスレット、ネックレス、ベルト、ストラップおよび同様の対象物は一般に、調節可能なやり方で所定の位置に固定され、これにより正確に再配置することが可能になり、ユーザは、指と複数の穴のうちの1つの穴を協働させる、あるいはピンをラックにまたは同様の器具に引っかけることによってこれを調節することができる。摩擦を利用して位置を維持する継続的な締め具は、正確な再配置を実現しない。
【0005】
気候因子やユーザの形態構造や快適さを考慮する目的で、例えば2つの所定の位置の間で長さが調節可能な締め具を有することが必要なことが多い。
【0006】
ELFIX PRODUCTION SA名義の特許文献1は、留め金カバー内に一体化されたブレスレットの長さを細かく調節するための器具を開示しており、これは2つの所定の位置に割出しするための器具を備え、ばねボール押しボタンを含んでおり、このボタンは横バーに係留され、ブレスレットの一端に接続され、留め金カバーに設けられた穿孔と協働するように構成されている。
【0007】
THE SWATCH GROUP MANAGEMENT SERVICES AG名義の特許文献2およびWERTHANOR SA名義の特許文献3は、腕時計またはブレスレット用の調節可能な連結金具を開示しており、この場合、アンロックボタンを作動させて一方の長さ割出し位置から他方の位置に変更することによって調節が行なわれる。
【0008】
PERILLAT COLOMB名義の特許文献4は、ブレスレットの長手方向に延在するバーを開示しており、その両端はそれぞれ、ばねバーまたはバーに設けられた穴と協働する止め金具のいずれかによって、所定の割出し位置において連結金具の一部に係合する。一方の位置から他方の位置に変更するには特定の工具を利用する必要がある。このような割出し器具は、横方向に延在しており、かなりの大きさの空間を必要とする。それらはまた、目に見えるため、ブレスレットの全体的な魅力を損なうことにもなる。
【0009】
このような既知の器具は横方向に作用し、一般に調節を行なうのに特定の工具を必要とし、目に見える状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】スイス国特許第699067号
【特許文献2】欧州特許第0737427号
【特許文献3】スイス国特許第695656号
【特許文献4】仏国特許第2670995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の解決法と比べてよりコンパクトな解決法を提供することであり、これはブレスレットの長手方向に作用し、特定の工具を持たない調節可能な機構を利用するものであり、この場合調節機構は隠された状態であり、調節可能な連結金具を短くなった位置に戻すための戻り手段を備える。
【0012】
したがって本発明は、ブレスレット用の調節可能な連結金具に関し、これは少なくとも1つの第1のハーフリンクと、少なくとも1つの第2のハーフリンクを備え、これらは互いに対して一方向に可動であり、係留ユニットを形成しており、
−該第1のハーフリンクは、少なくとも1つの接続およびロック部材を備える、あるいは固定式にまたは該方向に移動度が制限された状態で少なくとも1つの接続およびロック部材と共に組み立てられ、該接続およびロック部材は、該方向に延在しロック手段を備えており、
−該第2のハーフリンクは、相補的なロック手段を含む、あるいは固定式にまたは該方向に移動度が制限された状態で相補的なロック手段と共に組み立てられ、
−該ロック手段と、該相補的なロック手段は協働して少なくとも2つのロック位置を画定することで、該第1のハーフリンクを該第2のハーフリンクに対して動かないようにし、該位置は該方向において互いから離れた別々の位置であり、
−該ロック手段および/または該相補的なロック手段は、該方向で及ぼされ所与の値を超える一定の力の作用の下に、該相補的なロック手段および/または該ロック手段の中にそれぞれ含まれる弾性戻り手段に対抗するように可動であることにより、該第1のハーフリンクと該第2のハーフリンク間の位置を該方向に相対的に変更することが可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴によると、該少なくとも1つの第1のハーフリンクと、該少なくとも1つの第2のハーフリンクは、誘導手段と相補的な誘導手段が協働することによって互いに対して誘導され、停止手段と相補的な停止手段が協働することによって係留ユニットを形成し、該接続およびロック部材は、少なくとも1つの指を備え、この指は、該方向に延在し、該方向に対して実質的に半径方向の弾性戻り装置を有するロック手段を備え、このロック手段は折り畳み位置と広がった位置の間で可動であり、該第2のハーフリンクは、少なくとも1つのチャネルを含んでおり、これは該方向に延在し、該指が、該ロック手段の該折り畳み位置または広がった位置の一方のみに進むことができるように構成されており、該チャネルに近接して、該第2のハーフリンクがさらに、少なくとも一方のロック位置において該ロック手段の該広がったまたは折り畳み位置の他方にある該ロック手段と協働するように構成された相補的なロック手段を含み、該ロック手段および該相補的なロック手段が協働して該方向に離れた別々の少なくとも2つのロック位置を画定する。
【0014】
本発明の別の特徴によると、該第1のハーフリンクと該第2のハーフリンクは、調節機構全体を組み込む中心本体を囲むフレームを形成し、少なくとも該第1のハーフリンクまたは該第2のハーフリンクは、停止手段を備える少なくとも1つの指によって形成される少なくとも1つのガイド手段を含み、この指は、少なくとも1つの弾性Oリング接合部を含む少なくとも1つのロック手段を担持しており、このOリング接合部は該指の溝に設置され、前記中心本体によって担持されるリブによって形成される少なくとも1つの相補的なロック手段と当接して協働しており、該リブの各々の側に水平方向の筐体を画定し、その中で該接合部を該リブの一方または他方の側で停止させることができる。
【0015】
本発明の別の特徴によると、該第1のハーフリンクと該第2のハーフリンクは、調節機構全体を組み入れる中心本体を囲むフレームを形成し、該調節可能な連結金具は、少なくとも1つの弾性ロック要素を備え、これは片矢印または両矢印の形状の平坦なくさびばねによって形成され、少なくとも1つの弾性スロットを備え、該第1のハーフリンクのための少なくとも1つのコーナー締め具を備え、該少なくとも1つのスロットに対向して前方の弾性式に変形可能な部分を備え、これは、該第2のハーフリンクによって担持される複数の調節ノッチのうちの該第2のハーフリンクの特定の調節ノッチと協働する少なくとも1つのコーナー調節装置を備え、一方のノッチから他方のノッチへの変更は、該方向の牽引力または推力から生じる該くさびの圧縮によって可能である。
【0016】
本発明はさらに、少なくとも2つのブレスレットの紐を含むブレスレットに関し、それは締め付け手段によってブレスレットの紐に固定される少なくとも1つの調節可能な連結金具を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載を添付の図面を参照して読むことでより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の広がった位置にロックされた、本発明による調節可能な連結金具の第1の変形形態の概略斜視図である。
図2】折り畳み位置にロックされた図1の調節可能な連結金具の概略頂面図である。
図3】広がった位置での図1の調節可能な連結金具の概略側面図である。
図4】広がった位置での図1の調節可能な連結金具の、図2の断面AAに沿った長手方向の概略断面図である。
図5】広がった位置での図1の調節可能な連結金具の、図2の断面BBに沿った長手方向の概略断面図である。
図6】折り畳み位置での図1の調節可能な連結金具の概略側面図である。
図7】折り畳み位置での図1の調節可能な連結金具の、図2の断面AAに沿った長手方向の概略断面図である。
図8】折り畳み位置での図1の調節可能な連結金具の、図2の断面BBに沿った長手方向の概略断面図である。
図9】組み立て位置でのロック指と共に示された図1の調節可能な連結金具のハーフリンクの概略斜視図であり、別のハーフリンクに係留される、ロック指を担持する面に見ることができるガイド手段に挿入されるように構成された相補的ガイド手段を備えた分解組立図である。
図10】特定のマスキング要素を備えた本発明の一変形形態の図5と同様の概略部分図である。
図11】本発明による調節可能な連結金具を組み込むブレスレットの概略斜視図である。
図12】曲線を成す方向に移動度を有する本発明の一変形形態の図5と同様の概略部分図である。
図13】本発明の一変形形態の詳細の概略斜視図である。
図14】特定のロック手段を備えた本発明の一変形形態の図5と同様の図である。
図15】特定の相補的なロック手段を備えた本発明の別の変形形態の図14と同様の部分図である。
図16】調節可能な連結金具の折り畳み位置における、調節可能な連結金具の移動度の方向に平行な面に沿った本発明のマスキング要素の作動機構の詳細の概略的な長手方向の部分断面図である。
図17】調節可能な連結金具の広がった位置での図16の機構を示す図である。
図18】広がった位置にロックされた本発明の調節可能な連結金具の別の変形形態の概略頂面図である。
図19】折り畳み位置にロックされた同一の調節可能な連結金具の図18と同様の図である。
図20】広がった位置における図18の調節可能な連結金具の概略側面図である。
図21図18の調節可能な連結金具の概略的な分解組立頂面図である。
図22図21と同様の方法で図18の調節可能な連結金具の中間の組み立てステップを示す図であり、2つのフランジ上に事前に組み立てられ、中央ピンによってそこに係留された中央のマスキング要素を備えた図である。
図23図18の調節可能な連結金具の詳細の概略側面図であり、水平方向のフランジばねと協働する2つの横断ピンを備え、制限されない状態は実線で、弾性式の変形を受ける場合は点線で示された図である。
図24】本発明の調節可能な連結金具のさらに別の変形形態の概略的な分解組立斜視図であり、中心本体を備え、2つのハーフリンクがそれに対して別々に可動である図である。
図25】本発明の調節可能な連結金具のさらに別の変形形態の概略的な分解組立斜視図であり、中心本体を備え、2つのハーフリンクがそれに対して別々に可動である図である。
図26】最小寸法の特定の位置にある図24および図25の変形形態の概略側面図であり、図27に対応する図である。
図27】調節可能な連結金具内に含まれる調節構成要素の軸を通り調節方向に平行な面上での頂部断面図である。
図28】最小寸法の調節位置にある図27の面AAに沿った断面図である。
図29】最大寸法の調節位置にある図27の面AAに沿った断面図である。
図30】最大寸法の調節位置にある図27の面CCに沿った断面図である。
図31】同じ数だけの調節位置の組に対応する複数のリブを備えた多重調節の変形形態の詳細の図である。
図32】同じ数だけの調節位置の組に対応する複数の接合部を備えた多重調節の変形形態の詳細の図である。
図33】弾性くさびばねを備えた、本発明による調節可能な連結金具のさらに別の変形形態の詳細の頂部図である。
図34図33の連結金具の長手方向の断面図である。
図35図33のくさびばねの一変形形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はさらに、ブレスレット10用の調節可能な連結金具1に関する。
【0020】
本発明は、調節可能な締め具の分野に関し、詳細にはヒトまたは動物の体に装着することが意図された対象物に関する締め具の分野に関する。本発明は、詳細にはブレスレット、ネックレス、ベルト、ストラップ、ハーネスおよび同様の対象物のための締め具に関するものであり、これらは特に宝石、皮製品またはさらには馬具の分野で利用される。
【0021】
このような対象物は、サイズまたは詳細な形状が異なるが、同様のやり方で作用し、以下において1つの用語「ブレスレット」で呼ぶことにする。
【0022】
図2に見られるように、この調節可能な連結金具1は、少なくとも1つの第1のハーフリンク2と、少なくとも1つの第2のハーフリンク3を含み、これらは、ガイド手段21と相補的なガイド手段31が協働することによって、互いに対して移動度の方向Dにおいて可動式に組み立てられるように構成されている。
【0023】
本発明は、互いに対して可動な2つの相補的なハーフリンクの簡素化された非制限的なケースをここでは記載しているが、本発明によって、互いに対して移動させることができるより多くの要素を備える調節可能な連結金具を作成することが可能であることは当然のことである。
【0024】
この移動度の方向Dは、具体的には図1から図10に示されるように直線である場合、あるいは図12に見られるように曲線を成す場合もあり、これは恐らく特に女性用または子供用ブレスレットの場合の小さな曲率半径を有するブレスレットに有利である。
【0025】
この第1のハーフリンク2と、第2のハーフリンク3は協働して係留ユニットを形成しており、その結果停止要素は、直接的にあるいはマスキング要素5などの少なくとも1つの中間要素または以下に説明する本発明の変形形態による中心本体100に関して互いに対するそれぞれの移動距離を制限する。
【0026】
本発明によると、第1のハーフリンク2は、少なくとも1つの接続およびロック部材23を備える、あるいは固定式にまたは方向Dに移動度が制限された状態で少なくとも1つの接続およびロック部材23と共に組み立てられる。この接続およびロック部材23は、方向Dに延在しており、ロック手段24を備える。
【0027】
第2のハーフリンク3は、相補的なロック手段34を備える、あるいは固定式にまたは方向Dに移動度が制限された状態で相補的なロック手段34と共に組み立てられる。
【0028】
ロック手段24と相補的なロック手段34は協働して少なくとも2つのロック位置を画定することで、第1のハーフリンク2を第2のハーフリンク3に対して動かなくする。これらの位置は、方向Dにおいて互いから離れた別々の位置である。
【0029】
ロック手段24および/または相補的なロック手段34は、方向Dで及ぼされ所与の値を超える一定の力の作用の下に、相補的なロック手段34および/またはロック手段24の中にそれぞれ含まれる弾性の戻り手段に対抗するように可動であることにより、第1のハーフリンク2と第2のハーフリンク3間の位置を方向Dにおいて相対的に変更することが可能である。方向Dで加えるべき力は、弾性戻り手段によって及ぼされる抵抗力の印加の強度および角度に左右されることは明らかである。弾性戻り手段は、ユーザの片手によって、したがって適度な力によって、調節可能な連結金具1を作動させて調節位置を変更することができるように大きさを決めるべきであるが、但し連結金具が、ユーザまたはユーザの衣服によるいかなる動きにも関係なく、ユーザによって選択された位置に留まることを保証する必要がある。
【0030】
特定の一実施形態において、具体的には図18から図23によると、第2のハーフリンク3は少なくとも1つの凹部33を含み、これは方向Dに延在し、少なくとも1つの接続およびロック部材23が、このような離れたロック位置の一方のみに進み、それをその中に保持することができるように構成されている。相補的なロック手段34は好ましくは、この凹部33に近接して配置される。
【0031】
図18から図23のこの同一の実施形態では、接続およびロック部材23は、少なくとも1つのフランジ123を含んでおり、これは方向Dに平行な面内に延在し、方向Dに延在する少なくとも1つの長円の穴135を含む。このフランジ123は、少なくとも1つの収縮部137を含んでおり、この収縮部の両側で穴135は2つのチャンバの境界を定めており、このチャンバの各々は最小限の遊びでピン153を収容することが可能である。この穴135は、フランジ123の弾性式に変形可能な領域に作成されることで、方向Dで収縮部137に対抗するようにユーザによって該ピン153を担持するハーフリンクに与えられる一定の力を受けたとき、ピン153が収縮部137を通過することが可能である。この力は、収縮部と穴135によってピン153に及ぼされる弾性の戻り力に打ち勝つのに十分な強さである。ピン153と穴135は協働してロック手段24と相補的なロック手段34を形成する。図23は、フランジ123の静止状態を実線で示し、方向Dの一定の力が加えられた結果としてのフランジの変形を点線で示しており、これにより収縮部137を実質的に方向Dに直交するように押し戻すことでピンがその中を通過することが可能になる。
【0032】
図23の好ましい実施形態では、フランジ123は、少なくとも1つの他方の長円125を備えており、この穴は方向Dに延在し、少なくとも1つの収縮部127を含んでおり、この収縮部の両側でこの穴125は2つのチャンバの境界を定めており、このチャンバの各々は別のピン152を収容することが可能であり、このとき最小限の遊びで他のハーフリンクに係留される。同様に穴125は、フランジ123の弾性式に変形可能な領域に作成されることで、ピン152が収縮部127に対抗するように方向Dで一定の力を受けたとき、ピンが収縮部127を通過することが可能である。この力は、収縮部と穴125によってピン152に及ぼされる弾性の戻り力に打ち勝つのに十分な強さである。ピン152と穴125は協働して、第1のハーフリンク2をフランジ123を備える接続およびロック部材23と共に、方向Dで離れた位置において移動度が制限された状態で、組み立てる手段を形成している。
【0033】
好ましくは第2のハーフリンク3は、第1のハーフリンク2の反対側に少なくとも1つのキャップ90を備えており、これが孔9を備えることで、この種のピン153を最小限の遊びで受けることで、離れたロック位置の一方においてフランジ123を該凹部33の中に捕らえる。この同一のピン153はまた、ブレスレットの一端のためのヒンジピンを形成する。第1のハーフリンク2は、少なくとも1つの凹部33を備え、これは方向Dに延在し、接続およびロック部材23またはフランジ123がその中を通過することができるように構成されている。第2のハーフリンク3と同様に第1のハーフリンク2は、ハーフリンク3の反対側に少なくとも1つのキャップ91を備えており、これが孔9を備えることで、ピン152を最小限の遊びで受けることで、その離れたロック位置の一方においてフランジ123を凹部33の中に捕らえる。ピン152もまた、ブレスレットの一端のためのヒンジピンを形成する。
【0034】
有利には本発明によると、調節機構を保護し、該機構を種々の調節位置において隠すために、調節連結金具1は、少なくとも1つのマスキング要素5を備えており、これは第1のハーフリンク2と、第2のハーフリンク3の間に閉じ込められ、少なくとも1つの該接続およびロック部材23に当接している。好ましくはマスキング要素5は、図18から図22に示される態様のように、部材23上、あるいは部材23が複数ある場合は複数の部材23上に保持され、この場合、直接あるいはリングまたは管151を介して、少なくとも1つのピン150がマスキング要素5と接続およびロック部材23の両方を貫通することによって、2つの平行なフランジ123が調節部材23を形成する。
【0035】
ブレスレットを安定させる目的で、マスキング要素5をユーザに見えるハーフリンクの頂部に適切に位置決めし、調節可能な連結金具1に隣接する連結金具と、該調節可能な連結金具の間の特定の並びを維持することで、それらの間の継ぎ目によって限定された角度のある遊びが可能になるように、第1のハーフリンク2および/または第2のハーフリンク3は、第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3の中にそれぞれ含まれる頂部リップ93、94に対してピン150および/またはマスキング要素5を押しつける少なくとも1つの軸受面92を備える。
【0036】
好ましくは第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3は、方向Dに延在する中央の面Pに対して対称的であり、連結金具1は、中央の面Pに対して対称的に設置された接続およびロック部材23を備える。この第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3はまた組み立てられることで、停止手段22と相補的な停止手段32が協働することによって係留ユニットを形成する。
【0037】
特定の一実施形態において、具体的には図1から図17において、第1のハーフリンク2は、少なくとも1つの指223を備えており、これは方向Dに延在し、方向Dに対してほぼ半径方向の弾性戻り手段を備えたロック手段24を備える。このロック手段24は、折り畳み位置と、広がった位置の間で可動である。
【0038】
第2のハーフリンク3は、相補的なやり方で少なくとも1つのチャネル33を含んでおり、これは方向Dに延在し、指223が、該チャネル33に対応する指223のロック手段24の折り畳み位置または広がった位置の一方のみに進むことができるように構成されている。当然ながら、少なくとも第1のハーフリンク2にある指223と同じ数だけのチャネル33が、第2のハーフリンク3に存在する。
【0039】
各々のチャネル33に近接して、第2のハーフリンク3はさらに相補的なロック手段34を備えており、これは少なくとも一方のロック位置において、該ロック手段24の他方の広がったまたは折り畳み位置にある関連するチャネル33に対応する指223のロック手段24と協働するように構成されている。
【0040】
図5および図8に示されるように、経済的な一実施形態では、指223は、その直径がチャネル33のものより大きい頭部を備えており、本体の端部では、その直径はチャネル33のものより小さい、またはそれと等しい。該頭部はスリットであり、それに弾性を与えるのがスロットである。図面に示されるように本体もまたスリットである場合がある。ロック手段24は、少なくとも一方向に、好ましくは指223の両方の運動方向に進入円錐を備える。相補的なロック手段34は、進入傾斜路を備えた少なくとも1つの溝を備えており、その傾斜角度は指223の頭部のものに近い。
【0041】
このような傾斜路または進入円錐によって、調節可能な連結金具1を過剰な力を必要とせずに扱うことで、一方のロック位置から他方のロック位置に変更することが可能になる。
【0042】
本発明の一変形形態において、(これはいかなる技術者にも理解しやすいものであるため本明細書に詳細には記載されていない)その作動はほぼ同じであるが、但し逆向きであり、弾性戻り手段は指223に配置されず、(それはこのとき剛性であり)チャネル33内に配置される。
【0043】
ロック手段24と、相補的なロック手段34は協働して、方向Dに少なくとも2つの離れた別々のロック位置を画定する。図15は、複数のロック位置を有する一変形形態を示している。この複数の位置は、相補的なロック手段34上に示されており、複数の半径方向に可動な要素を備えた指223を作成する、あるいはさらに2つの構成を組み合わせることも均等に可能であることが明らかである。
【0044】
有利な一変形実施形態において、図14に示されるように指223は、少なくとも1つの溝を備え、その中にはOリング接合部240または同様の要素が設置されており、これは例えばゴムまたは同様のものなどの弾性式に変形可能な材料でできており、静止時のその形状は概ね円環状であり、該接合部240はロック手段24を形成している。この実施形態は特に経済的であり、具体的には小型化が可能であるため、極めて小さいサイズのブレスレットに有利である。図14は、第2のハーフリンク3が、3つ以上の数の複数の相補的なロック手段34を備える場合を示しており、それぞれがこの例ではOリング接合部を受け入れるための溝340によって形成されている。
【0045】
好ましくは、および図1から図17に見られるように、第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3はそれぞれ方向Dに、互いに対する連結金具の係留組立体のための停止手段22と、相補的な停止手段32を備えることで、第1のハーフリンク2の第1の軸受面25が第2のハーフリンク3の第2の軸受面35に接触する第1の近接位置と、停止手段22が相補的な停止手段32と接触する第2の離れた位置の間で最大限の調節移動距離を画定する。
【0046】
図示される構成は、図9に見られるようにブラインド組立体が必要な場合に有利である。第1のハーフリンク2に指223を設け、その後ガイド手段21として作用する孔の中に、ねじ込みピン323(相補的なガイド手段31として作用する)を挿入し、これを第2のハーフリンク3の中にねじ込むのは容易なことである。このようなピンは、相補的な停止手段32を形成する鍔で終わっており、係留組立体はこのようにして極めて容易に実現される。
【0047】
一方のロック位置から他方のロック位置に変更するには、ハーフリンクの一方に他方に対して方向Dの一定の力を加える必要があり、この力は、図8の位置から図5の位置に変更するための牽引力、あるいはそうでなければ圧縮力のいずれかである。この方向Dの力をロック手段24の抵抗力に打ち勝つのに十分な強度の半径方向の構成要素による特定の力に変換するために、ハーフリンク2および3の一方および/または他方に特定の外形が配置される。したがって好ましくはロック手段24および/または相補的なロック手段34は、少なくとも1つの長円または湾曲した傾斜路を備えており、これにより方向Dで第1のハーフリンク2および/または第2のハーフリンク3に加えられる一定の力の作用の下、ならびに第1のハーフリンク2と第2のハーフリンク3が相対運動する間、ロック手段24が、折り畳み位置から広がった位置に変わることが可能であり、あるいはその逆もまた同様である。
【0048】
この傾斜路は、図5および図8の実施形態のように円錐形である場合、あるいは図14に見られるように球体の一部である、あるいは同様の形状の場合がある。
【0049】
図面に見られる有利な一実施形態では、ガイド手段21は、一端において停止手段22によって制限され、相補的なガイド手段31は、一端において相補的な停止手段32によって制限されている。
【0050】
図面に見られる特定の一実施形態では、指223およびチャネル33は、それぞれガイド手段21および相補的なガイド手段31と別個のものである。
【0051】
好ましくは図面に見られるように、指223は、第1のハーフリンク2の第1の軸受面25に近接して配置され、例えば内側のねじ山と外側のねじ山が協働することによってそれに対して長さを調節することが可能である。この長さの調節はまた、例えばねじ込み式の指223が1つまたは複数のピンホールを備えた鍔を含む場合、離れた位置を占める場合もあり、各々の位置は、第1のねじ込み式のハーフリンク2内に含まれる1つまたは複数の穴を利用してピンによって割出しすることが可能である。
【0052】
好ましい一実施形態において、これは極めて確実であり適当な価格であるが、ガイド手段21、それぞれの相補的なガイド手段31は、相補的なガイド手段31、それぞれのガイド手段21を形成する指を補助する孔によって形成され、指は、それが担持されるハーフリンクに対して長さを調節することが可能である。この長さの調節は、指223に関して上記に記載したのと同様のやり方で実現することができる。図面は、好ましい一実施形態を図示しており、この場合停止手段22、それぞれの相補的な停止手段32は、半径方向に指を超えて延在する鍔によって形成され、該鍔は、ガイド手段21、それぞれの相補的なガイド手段31に対して同軸の凹部の中へと移動し、該凹部は、該鍔を支持するカウンターボアを備えた一端を含んでおり、該カウンターボアは、相補的な停止手段32、それぞれの該停止手段22を形成している。
【0053】
図面の例示の実施形態では、ガイド手段21および関連する相補的なガイド手段31は二重であり、互いに対して平行な方向に延在することで、調節可能な連結金具1が調節操作中または使用中に座屈するのを阻止する。図面に示されない一変形形態では、ガイド手段21および関連する相補的なガイド手段31は、少なくとも1つの平坦な部分または同様の部分を備えることで、それらが互いから離れるように移動する、あるいは互いに近づくように移動する際、方向Dが直線であろうと曲線であろうと、第1のハーフリンク2と第2のハーフリンク3の方向Dに直交する面同士の運動が平行であることを保証する。
【0054】
図面、特に図9に見られるように、この種の組立体によって、ハーフリンクを互いに対して極めて容易に組み立てることが可能になる。
【0055】
有利には、第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3はそれぞれ、第1チャンバ26と、第2チャンバ36を備え、これらは第1のハーフリンク2と、第2のハーフリンク3が互いに対して組み立てられる際、単独のチャンバ4を画定するように構成されている。調節可能な連結金具1はこのとき、少なくとも1つのマスキング要素5を備え、これは第1のハーフリンク2と、第2のハーフリンク3の間にある単独のチャンバ4内に閉じ込められ、組み立て後の調節可能な連結金具1の少なくとも頂部面6側で、ガイド手段21および相補的なガイド手段31、あるいは具体的には指またはピン323、停止手段22、相補的な停止手段32、指223、ロック手段24、チャネル33および相補的なロック手段34によって形成される調節および安全機構全体を隠すように構成されている。このマスキング要素5は好ましくは、チャンバ4のものと相補的な外形を有する。
【0056】
好ましくはこのマスキング要素5はまた、方向Dにおいて調節可能な連結金具1の頂部面6に隣接して、その両側にある2つの水平面7、8上のフランジ51を介して、ガイド手段21および相補的なガイド手段31、停止手段22、相補的な停止手段32、指223、ロック手段24、チャネル33および相補的なロック手段34によって形成される調節および安全機構全体を隠すように構成されている。
【0057】
マスキング要素5を頂部面6に近接してハーフリンク2および3の内壁に対して確実に押しつけるために、マスキング要素5は有利には軸受面54を備えており、これはハーフリンク2または3の少なくとも一方に含まれる少なくとも1つの相補的な軸受面29と協働するように構成されることで、カムのように、調節可能な連結金具1の頂部面6に近接して位置する第1チャンバ26と第2チャンバ36の端部に当接するようにマスキング要素5を保持する。簡素な一実施形態において、軸受54または相補的な軸受面29の一方は他方に対して傾斜することで、調節可能な連結金具1が閉鎖または開放される際、マスキング要素5のその場限りの横断運動が生じる。
【0058】
本発明による調節可能な連結金具1の特に有利な態様が、図25から図31に示されている。ハーフリンク2および3は、調節機構全体を組み込む中心本体100を囲むフレームを形成することで、ユーザにそれが見えないようにする。非限定的なやり方において、中心本体100は、本明細書では両側に、ハーフリンク3内に含まれる中心ほぞ30を受けるためのほぞ穴の形態の中心凹部108と、ハーフリンク2内に含まれる水平方向の止め金具20および中心止め金具110を受けるためのノッチの形態の幅広の筐体109を含む。当然ながら、他の構成も想定することができ、特に1つまたは複数のほぞが中心本体100にある場合、あるいは1つまたは複数のほぞ穴がハーフリンクにある場合などを想定することができ、これらのほぞとほぞ穴の実施形態は、実質的に中央本体100を第1の連結金具に対して位置合わせして、ブレスレットの残りの部分を調節可能な連結金具1に対して適切に保持する。
【0059】
少なくとも第1のハーフリンク2または第2のハーフリンク3および好ましくは各々のハーフリンク2、3は、少なくとも1つのガイド手段23、具体的には少なくとも1つの指を備え、これは停止手段32、具体的には頭部またはねじ頭部230を備えている。図面に示される態様において、各々の指223、323はそれぞれ、ハーフリンク2、3の一方にねじ込まれ、頭部230を備え、その片面が該停止手段32を形成している。各々のハーフリンク2、3は、少なくとも1つのロック手段24を担持しており、これは本明細書では指223またはそれぞれの323の溝の中に弾性式に設置された少なくとも1つのOリング接合部240である。各々の頭部230は、他方のハーフリンク3、2のチャンバ107内に移動し、その一方の壁が、停止手段32の移動停止手段の相補的な端部を画定する。特定のねじ頭部を収容するために、凹部112または同様のものが設けられる。接合部240は、少なくとも1つの相補的なロック手段、より具体的には例示される態様では、中心本体100の中に含まれる少なくとも1つの止め金具またはリブ101と当接するように協働し、各々の側に水平方向の凹部102、103を画定し、そこで接合部240を、リブ101の一方または他方の側で該リブに接するように停止させることができる。よってこのような凹部102、103はそれぞれ、中心本体100に対して接合部240を担持するハーフリンク2または3の特定の相対位置に対応している。図31は、複数のリブ101、101A・・・を備えた特定の構成を図示しており、これは同じ数だけの凹部102、103、102A、103A、・・・を画定しており、これにより同じ数だけの接合部240の位置ならびにこれにより該接合部を担持するハーフリンク2または3の位置を画定している。図32は、逆の構成を図示しており、この場合指223が、同一リブ101と協働する複数の接合部240を担持している。したがって複数の離れた位置を有する調節可能な連結金具1を製造することが可能である。図25から図30に示されるモデルは、3つの調節位置を備えており、2つのハーフリンク2および3を中心本体100に完全に押し込んだ場合の最も短い位置と、2つのハーフリンク2および3を中心本体100からできるだけ離した場合の最も長い位置と、2つのハーフリンクの一方は中心本体100に完全に押し込まれるが、他方は可能な限り離れている中間位置の3つの位置である。当然のことながら、ハーフリンク2および3に装着された指23が移動する距離が異なるならば、このときユーザが第1のハーフリンク2または第2のハーフリンク3のどちらを中心本体100に対して移動させるかによって、1つの中間位置の変わりに2つの中間位置を画定することが可能である。当然ながら、ユーザにとって最も簡単な動作は、2つのブレスレットの紐を引っ張ることで、調節可能な連結金具を掴み、これによって最大限の距離で調節を行なうことであり、これはまた特に魅力的な対称性の利点も提供する。この種の調節可能な連結金具は頑強で、魅力的であり、製造コストも適切であるため、同一の時計用バンドで複数回利用することができる。例えば各々が1.5mmの移動距離を有し、留め金に対して対称的に配置された2つの調節可能な連結金具を利用することによって、3mmの全体の調節力が実現する。
【0060】
当然ながらこのような変形形態は図9のものと同様のやり方で、1つまたは複数の指223またはそれぞれの323によって形成される1つの調節要素のみを備えるように改良することができ、他方の指323、それぞれの223はこのとき、ただ1つの停止鍔または同様の停止部材を有するように構成され、調節はこのとき片側のみで行なわれる。このような構成は、調節振幅に関する利点は小さいが、時計用バンドを、好ましくは時計のケースの各々の側にあるホーンの直ぐ後ろに配置された調節可能な連結金具と適合させることが可能である。
【0061】
一変形形態において、弾性接合部240は、リブ101と別の停止面、例えば図31に見られるように同一タイプの別のリブとの間に保持される。
【0062】
好ましくは第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3はそれぞれ、少なくとも1つの指223、それぞれの323を含んでおり、この指はそれぞれ対向する停止手段32を備えることで調節可能な連結金具1を係留式にする。
【0063】
中心本体100は調節機構を全体的に覆っているため、これは完全に清潔なままである。調節可能な連結金具1は、中心本体100の下方部分を介してユーザの手首に載せられ、ユーザは、調節する際に全く不快感を感じることはなく、ユーザは、片手を使ってブレスレットまたは時計を自分の手首に簡便に装着することができる。
【0064】
図33から図35は、別の変形実施形態を示しており、これは極めて平凡な利点を有しており、これはまた中心本体100によって合理化されている。弾性のロック要素24はここでは、好ましくは平坦なくさびばね200によって形成されており、これは、図35では片矢印または両矢印の形状である。
【0065】
このくさびばね200は、例えばばね鋼または同様のもので作成されており、好ましくは方向Dに対称的であり、1つまたは複数の弾性スロット201、211を有する。それはまた、第1のハーフリンク2のためのコーナー締め具202を備える。図33は、第1のハーフリンク2に対して固定された位置にあるコーナー締め具202を示しており、第1のハーフリンク2は、コーナー202のものと相補的な外形のノッチまたは蟻継ぎまたは同様のものを備える。1つまたは複数のスロットに対向する弾性式に変形可能な前方部分は、少なくとも1つの調節コーナー203を備え、これは第2のハーフリンク3によって担持される複数の調節ノッチ204のうちの第2のハーフリンク3の少なくとも1つの調節ノッチ204と協働する。一方のノッチから他方のノッチへの変更は、方向Dにおける牽引力または推力によってもたらされるくさび200の圧縮によって可能になる。図35は、コーナー締め具202がまた調節コーナーであることにより、第1のハーフリンク2によって担持される調節ノッチ204に関して、第1のハーフリンク2に対して可動である一変形形態を示しており、それが可動ではない図33とは異なっている。中心本体100のリブ101または移動制限止め金具111は有利には、くさびばね200の往復運動を制限する。簡単に分解するために、V字型の端部を有する工具205がくさびばね200に対して押し込まれてスロット201を閉鎖することになり、これによりコーナー203をノッチ204から解放させて2つのハーフリンクを分離させることで調節可能な連結金具1を完全に解体する。
【0066】
図16および図17に示される例示の一実施形態において、マスキング要素の軸受面54は、第1のハーフリンク2および第2のハーフリンク3にそれぞれ係留され、交差して配置された2つの傾斜路37および38によって担持されるジャーナル軸受39であることにより、ハーフリンクが互いにより近づくように移動する、あるいは互いから離れるように移動する際、ジャーナル軸受39を方向Dにほぼ直交して横向きにさらに離れるように、またはより近づけるように移動させる。
【0067】
一変形形態において、フランジ51はそれぞれねじ53を含んでおり、これが軸受面54を形成しており、その端部は水平方向の溝の中に収容され、相補的な軸受面29を形成しており、これが例えば第2のハーフリンク3などのハーフリンクの一方に含まれることで、マスキング面5から頂部面6までの距離を調節する。この距離は、水平方向の溝が方向Dに平行ならば一定であってよく、あるいは図5および図8に示されるように位置が変化する際に見られるように、水平方向の溝が、調節可能な連結金具1の頂部面6に近接して位置する第1チャンバ26および第2チャンバ36の端部においてマスキング要素5を押圧するように考案される場合は可変であってよい。
【0068】
図10に見られる別の簡素化された変形形態では、マスキング要素5は、調節および安全機構両側においてこの機構を隠すように配置されるが、但しこれは可動式ではない。
【0069】
図面に示されていない別の変形形態では、マスキング要素5は、チャンバ4内に制限されず、その底部にあるストリップばね、または同様の器具によって調節可能な連結金具1の頂部面6に当たるように単純に戻されるだけである。
【0070】
マスキング要素5は、図示の実施形態では、中空の円筒形の一部の形態で作成され、2つのフランジ51によって境界が定められている。
【0071】
好ましい一実施形態において、極めて経済的であるため、方向Dは直線である。
【0072】
ブレスレットまたは宝石または時計に締め付けるために、各々のハーフリンク2、3は、ブレスレットの紐または同様のものに装着する手段9を備える。
【0073】
本発明はまた、少なくとも2つのブレスレットの紐を備え、該装着手段9によってブレスレットの紐に装着される少なくとも1つの調節可能な連結金具1を備えるブレスレット10に関する。
【0074】
本発明はしたがって、指摘された目的を満足させ、ブレスレットの長手方向に作用し、特定の工具を使用しない調節機構を備えており、この場合調節機構は隠された状態であり、調節可能な連結金具をその短くなった位置に戻すための戻り手段を備える。この機構は、非線形の形状に適用可能であり、完全に安全な状態で容易に調節することが可能であり、ブレスレットをなくす危険性は全くない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35