(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715813
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】弁類の作動状態検出装置
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20150423BHJP
F16T 1/48 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
F16K37/00 Z
F16T1/48 C
F16T1/48 D
F16T1/48 Z
F16K37/00 H
F16K37/00 J
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2010-279928(P2010-279928)
(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2012-127432(P2012-127432A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅克
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平1−210699(JP,A)
【文献】
実開平3−127898(JP,U)
【文献】
特開2006−329840(JP,A)
【文献】
特開2007−127607(JP,A)
【文献】
特開昭62−212542(JP,A)
【文献】
特開2002−168371(JP,A)
【文献】
特開平1−150085(JP,A)
【文献】
特開平6−94160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁あるいは蒸気トラップである弁類のケーシングに取り付けられる取付具と、前記取付具に取り付けられ前記弁類が設置された蒸気配管から前記取付具の圧力導入通路を通じて連通する圧力センサと、前記取付具に取り付けられ前記弁類の振動を検出する振動センサと、前記取付具に取り付けられ前記圧力導入通路に突出するように配置されて前記弁類の温度を検出する温度センサとからセンサユニットを構成したことを特徴とする弁類の作動状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場やプラントなどの流体配管系に配備される各種用途の弁や蒸気トラップなどに代表される弁類の作動状態を検出する弁類の作動状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弁類の作動状態検出装置は、例えば特許文献1に開示されている。この弁類の作動状態検出装置は、蒸気トラップの作動状態検出装置であり、蒸気トラップのケーシングの外表面に押し当てられ蒸気トラップの振動を検出する振動センサと、振動センサの先端に取り付けられ蒸気トラップの温度を検出する温度センサとからセンサユニットを構成したもので、振動センサで検出された検出振動値から蒸気漏出の有無を判定するとともに、温度センサで検出された検出温度値と基準温度値を比較して復水排出機能の不良を判定できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−14839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の弁類の作動状態検出装置は、蒸気トラップが設置された蒸気配管の使用蒸気圧力を別途手入力して飽和蒸気温度から基準温度値を設定することにより、蒸気漏出の有無だけでなく、復水排出機能の不良としての発生復水を排出しきれない容量不足や復水の排出機能を喪失したフンヅマリを判定するものであるが、使用蒸気圧力が正しく入力されないと、容量不足とフンヅマリとを正しく判別できない問題点、フンヅマリと蒸気トラップに蒸気が供給されていない休止とを正しく判別できない問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、弁類が設置された配管の使用圧力を正確に検出できるセンサユニットを備えた弁類の作動状態検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の弁類の作動状態検出装置は、弁類のケーシングに取り付けられる取付具と、取付具に取り付けられ弁類が設置された配管から連通する圧力センサと、取付具に取り付けられ弁類の振動を検出する振動センサと、取付具に取り付けられ弁類の温度を検出する温度センサとからセンサユニットを構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弁類のケーシングに取り付けられる取付具に、弁類が設置された配管から連通する圧力センサを取り付けることにより、圧力センサによって弁類が設置された配管の使用圧力を直接検出することができ、弁類が設置された配管の使用圧力を正確に検出することができるという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の弁類の作動状態検出装置の実施形態を示す蒸気トラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1を参照して説明する。
図1はフロート式の蒸気トラップを示し、蒸気トラップのケーシングは、蒸気配管に接続するトラップ入口1とトラップでの分離復水を排出するトラップ出口2とを有する本体3と、本体3の上部開口を閉塞する蓋4とから形成する。ケーシングは内部に、トラップ入口1に常時連通しかつ下部弁口5を介してトラップ出口2に連通する弁室6を有する。
【0010】
弁室6には、室内復水の水位変動に伴う上下動により下部弁口5を開閉する球形のフロート7を内装してあり、トラップ入口1から復水が蒸気とともに流入する通常使用状態では、下部弁口5が弁室内復水に水没した状態においてフロート7により復水流入量に応じた開度に調整され、これにより、蒸気の漏出が阻止された状態で、復水の水下部弁口5を通じてトラップ出口2へ連続的に分離排出される。また、トラップ入口1からの復水の流入が無くなると下部弁口5が水位低下した室内復水に水没した状態においてフロート7により閉塞され、この水没での下部弁口5の閉塞により蒸気の漏出が確実に阻止される。復水及び蒸気は、下部弁口5の開閉弁不良の原因となる異物を捕捉するフィルタ8とフロートカバー9を通じてトラップ入口1から弁室6に流入する。
【0011】
蓋4には上部弁口10が形成してあり、弁室6の上部には感温素子により開閉動作する上部弁体11が内装してあり、トラップ入口1から空気が流入した際には、感温素子の温度低下側への動作による上部弁体11の開き作動で上部弁口10が開かれ、この上部弁口10を通じて流入空気が急速排出される。そして、トラップ入口1から高温の蒸気及び復水が流入する状態になると、感温素子の温度上昇側への動作による上部弁体11の閉じ作動で上部弁口10が閉じられて、通常の復水分離状態に戻る。
【0012】
作動状態検出装置12は、本体3のトラップ入口1を形成する入口配管13に取り付けた取付具14と、取付具14に取り付けた圧力センサ15と、取付具14に取り付けた振動センサ16と、取付具14に取り付けた温度センサ17とからセンサユニット18を構成する。圧力センサ15は、蒸気トラップが設置された蒸気配管から連通する本体3のトラップ入口1に圧力導入通路19を通じて連通する感圧部としてのダイヤフラム15aとこのダイヤフラム15aに一体的に取り付けたストレンゲージ15bとから構成し、ストレンゲージ15bの検出信号を端子20にリードを通じて出力することにより、蒸気配管の使用蒸気圧力を直接検出する。振動センサ16は、圧電素子からなる感振素子16aとこの感振素子16aに蒸気トラップの振動を伝達する伝達棒16bとこの伝達棒16bを入口配管13の外表面に押圧するスプリング16cから構成し、感振素子16aの検出信号を端子21にリードを通じて出力する。温度センサ17は、測温抵抗体素子からなる感温素子17aを内装したもので、圧力導入通路19に突出するように配置し、感温素子17aの検出信号を端子22にリードを通じて出力することにより、蒸気配管の温度を直接検出する。
【0013】
端子20,21,22の出力信号を図示しないリードを通じてケーブル23ないしは無線式伝送手段により判定器に送ることで、その判定器において振動センサ16で検出された検出振動値から蒸気漏出の有無を判定する。また、圧力センサ15で圧力が検出されなければ休止と判定するとともに、圧力センサ15で検出された検出圧力値により飽和蒸気温度から第1基準温度値と第1基準温度値よりも低温の第2基準温度値を設定し、温度センサ17で検出された検出温度値が第2基準温度値未満であればフンヅマリと判定し、温度センサ17で検出された検出温度値が第2基準温度値以上かつ第1基準温度値未満であれば容量不足と判定する。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、工場やプラントなどの流体配管系に配備される各種用途の弁や蒸気トラップなどに代表される弁類の作動状態を検出する弁類の作動状態検出装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 トラップ入口
2 トラップ出口
3 本体
4 蓋
5 下部弁口
6 弁室
7 フロート
10 上部弁口
11 上部弁体
12 作動状態検出装置
13 入口配管
14 取付具
15 圧力センサ
16 振動センサ
17 温度センサ
18 センサユニット