【文献】
B.Curless and M.Levoy, “Better optical triangulation through spacetime analysis,” Proceedings., FifthInternational Conference on , 20−23 June 1995, pp.987−994
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基準対象物(30)が第1部分及び第2部分を有しており、前記第1部分(32)及び第2部分(34)は異なる反射特性を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
アーティファクト(36’、36’’)の量の程度が、基準対象物(30)の三次元画像内で算出した高さ形状値の差異を計算することによって決定される、請求項8に記載の方法。
前記分布(38)の対称比(SR)を推定する工程が、二つの軌跡点(PR1、PR2)で光強度値を比較する工程をさらに含んでおり、前記軌跡点(PR1、PR2)は仮定した軌跡に沿って前記光強度分布(38)の中心(40)の各側方から予め決められた距離(d)を置いて配置され、対称比(SR)は二つの軌跡点(PR1、PR2)での光強度差に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
対象物から発せられた光の強度内のピーク位置を決定する工程が、軌跡に沿って光強度分布を推定することによって実行され、前記ピークは前記光強度分布の重心を推定することによって決定される、請求項16に記載の方法。
軌跡の延長部分を決定する方法、並びに測定対象物の特性を決定する方法が、前記測定システムの同一実行結果を用いることによって行われる、請求項16又は17に記載の方法。
【背景技術】
【0004】
今日では光学的手法が、対象物の特性の測定又は決定、特に対象物の三次元的形状を測定するために広く用いられている。一つの好ましい光学的手法は光学三角手法と呼ばれるものであって、測定すべき対象物が、光源とセンサとを有する測定システムに対して動かされるのである。必要に応じて対象物が静止し、測定システムが対象物に対して動かされる。さらに光学素子が一般的にはセンサと対象物との間に配置され、対象物から反射された光をセンサ上へ集束する。光源、対象物、及びセンサは各々仮想三角形の角を形成するように互いから距離をあけて配置される、よって光学三角法という名前がついている。少なくとも二つの連続する時刻からなる組における各時刻間、センサは、光源から発散されて対象物から反射される光に基づき対象物の画像を生じ、こうして一組の画像を生じる。各画像は一般的には行と列とを有する行列であって、各列は一般的には測定システムに対して対象物が移動される方向に対し垂直な方向と等しい行列に並べられたピクセルの組によって構成される。対象物の三次元画像が次に画像の組内における光強度(light intensities)を解析することによって作り出される。
【0005】
初期には、上記解析は光強度内のピークに対して生じた画像の各々を走査すること、及び強度ピーク位置、即ち画像並びに画像部分内で各ピークが生じるところの位置に基づいて対象物の三次元画像を生じることに制限されていた。しかしながら上記解析は、対象物が完全に平坦であって均一な反射率を有する場合にのみ対象物の正しい三次元画像を与えることを示すことが可能であった。
【0006】
対象物が完全に平坦であるという仮定を用いる、対象物の三次元画像を作り出す方法がかなり矛盾しているようであるので、初期の光学三角手法の改良が提案されてきた。
【0007】
本発明に関連のある一つの改良方法は、非特許文献1に開示されている。非特許文献1は、時空間画像が一組の画像の各列に対して生じる光学三角手法を開示している。上述したように、各画像は行次元(ディメンション)及び列次元(ディメンション)を有しており、各列時空間画像は行次元及び時間次元を有している。全列の時空間画像が組み立てられると、列次元、行次元、及び時間次元を有する時空間体積が得られるであろうことに注目すべきである。
【0008】
非特許文献1は、光強度ピークに対し回転した時空間画像について各行を走査する前に、予め決められた角度で各時空間画像を回転する工程であって当該角度は一般的には時空間角度を表す工程を含む走査手順によって、強調した三次元画像が得られうることを更に教示している。行要素及び時間要素の両方におけるピーク位置が、次に初期座標まで回転して戻される。必要に応じて上記走査手順が、各時空間画像内の軌跡に沿って光強度を解析することとして記載されてもよく、当該軌跡は典型的には時空間角度だけ傾いた直線であると仮定されている。
【0009】
非特許文献1に従って先に開示した走査手順は、初期の方法よりも、より発展した三次元画像発生手法をもたらす。例えば走査手順は、対象物の反射特性における変化に対して影響されにくい。さらに対象物の鋭角な隅及び/又は終点は、初期の方法を用いる場合よりも上記走査手順を含む光学三角手法を用いた場合の方がより正しく表現することができる。
【0010】
非特許文献1は、時空間画像が回転される筈である予め決められた角度は、とりわけセンサと対象物間の幾何学的及び光学的関係、並びに入力情報としての対象物の動作を備える式に基づいて解析的に計算することが可能である。
【0011】
しかしながら上記時空間角度に対する式を導き出す場合、幾つかの仮定が必要である、例えば、センサが正射であること、及び、光学三角手法の実行中に対象物は測定システムに対して一定の速度で動くことである。
【0012】
さらに解析的に導き出した時空間角度は、二次反射のような二次効果、及び/又は、一般的にセンサに接続された光学素子の欠陥を説明していない。
【0013】
上記から判明したように、時空間画像内の、又はより一般的には時空間体積内の光強度軌跡の取得方法を改良する必要があり、当該方法は非特許文献1における限定仮定に基づくのではなく、及び/又は、当該方法は二次効果を説明するように適用され、及び/又は、当該方法は、光学三角手法が得られた軌跡を使用して、測定システムに対して対象物の変化する即ち一定でない速度を用いることを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の第1の課題は、画像の時空間体積内における軌跡の延長部分を決定するための方法であって、一定の二次効果が説明される方法をもたらすことである。
【0016】
本発明の第2の課題は、センサが正射である必要のない、画像の時空間体積内における軌跡の延長部分を決定するための方法をもたらすことである。
【0017】
本発明の第3の課題は、対象物画像の時空間体積を生ずる際に、光学三角手法が軌跡の延長部分を使用して、対象物を及び/又は測定システムを一定の又は既知の速度で動かすことを必要としない、画像の時空間体積内における軌跡の延長部分を決定するための方法をもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題の少なくとも一つは、請求項1に係る測定画像の時空間体積内における軌跡の延長部分を決定するための方法によって解決される。
【0019】
よって本発明は、測定画像の時空間体積内における軌跡の延長部分を決定するための方法に関連している。測定画像の時空間体積は、第1光源とセンサとを備えた測定システムを使用することによる測定手法によって生じる。当該測定手法は、測定システムの予め決められた作動条件において、測定対象物を測定システムに対して第1移動方向に沿って動かし、一方で第1光源が測定対象物を照らすという工程であって、それによってセンサは少なくとも二つの連続する時刻の組内の各時刻で測定対象物の測定画像を生じる工程から成り、こうして測定対象物の特徴点が時空間体積内において軌跡を写像する、測定画像の時空間体積を生じるのである。
【0020】
本発明にしたがうと、測定システムの予め決められた作動条件において、当該延長部分を決定するための方法は、以下の工程、即ち、
− 対象物を測定システムに対し第1移動方向に沿って動かし、一方で基準対象物を入射光で照らす工程であって、それによってセンサは少なくとも二つの連続する時刻の組内の各時刻で基準対象物の基準画像を生じる工程と、
− 基準画像に基づいて当該延長部分を決定する工程を含む。
【0021】
こうして、本発明が提案するものは、測定画像の時空間体積内における軌跡の延長部分が、測定対象物の測定画像を生じるための方法と類似の、決定方法又は較正方法によって確立され得るというものである。
【0022】
そのようにして、軌跡の時空間角度に対し新しい式を導き出すのではなく、軌跡の延長部分が、測定システムによって記録されたデータに基づいて決定されるのである。このアプローチは、決定方法において大いなる汎用性を可能にするのである、つまり、軌跡の延長部分は、使用者によって指定された一つの又は幾つかの規準に基づいて決定され得るのである。さらに上記に係る決定方法は、少なくとも暗に二次効果を説明することが可能である。
【0023】
本発明の決定方法の一実施形態にしたがうと、軌跡は一組の部分軌跡によって構成され、各部分軌跡は時空間体積の限定した部分体積内に分布している。さらに基準対象物が第1移動方向に実質的に垂直な対象物横次元を有することを仮定し、基準対象物は第1移動方向と対象物横次元に対して実質的に垂直な対象物鉛直次元を更に有することを更に仮定する。当該方法は以下の工程、即ち、
a) 基準対象物の範囲の組を規定する工程であって、各範囲は中心点を有しており、組内の各範囲の中心点は、対象物横次元内に及び/又は対象物鉛直次元内において組内の他範囲の中心点から距離をおいて配置される工程と、
b) 範囲の組内の各範囲に対し、対応する部分軌跡の延長部分を決定する工程と、及び、
c) 軌跡を形成するように部分軌跡を組み立てる工程を含む。
【0024】
本発明決定方法の別の実施形態にしたがうと、センサは、センサ縦次元とセンサ横次元とを有しており、センサ横次元は、実質的に第1移動方向に垂直である。さらにセンサによって生じた測定画像は、時空間体積が三次元、つまり、センサ縦次元、センサ横次元、及び時間次元を有しているような、センサ縦次元とセンサ横次元にそれぞれ相応する画像縦次元と画像横次元によって生じる。軌跡又は部分軌跡の延長部分は直線であると仮定され、且つ当該線の延長部分は、第1角度の第1回転軸に関して、及び第2角度の第2回転軸に関して傾斜することによって規定され、第1回転軸は画像横次元に平行であり、第2回転軸は画像縦次元に平行である。
【0025】
軌跡が直線に沿って延びるという仮定は、軌跡の延長部分の決定を簡単にする、というのは、当該決定方法は次に第1角度及び第2角度を決定するために軽減されるからである。時空間体積内の軌跡は多くの場合、最終結果の質を損なうことなく直線で近似することが可能である、これによって上記実施形態は、軌跡の延長部分を決定する方法を尚一層適切にする効果をもたらす。さらに軌跡の各部分軌跡を直線によって近似することは、時空間体積の異なる部分内における軌跡の延長部分を近似するという効率的な方法をもたらし得る。
【0026】
本発明決定方法の更に別の実施形態にしたがうと、第2角度はゼロと仮定される。この仮定は、決定方法が全時空間体積内ではなく時空間画像の組内で軌跡を検出することに限定され得るので、軌跡の延長部分の決定をさらに簡単にする。
【0027】
本発明の決定方法のさらなる実施形態にしたがうと、基準対象物は測定対象物と同じである。
【0028】
本発明決定方法のさらに別の実施形態にしたがうと、基準画像は、測定画像の時空間体積と同一の、基準画像の時空間体積を形成する。そのようにして、測定の前に別の工程において軌跡の延長部分決定を実施するのではなく、当該決定は、測定時空間画像に基づいて実行され得る。この実施形態は多数の利益をもたらす。例えば、決定方法と測定手法を一つの単一方法に併合することは、測定を完了するのに要する時間を減じる。さらに測定システムの異なる作動条件を用いる二つの連続する測定を、測定間で中間較正又は決定工程を実行する必要なく、実施することが可能である。
【0029】
本発明決定方法のさらなる実施形態にしたがうと、基準対象物は第1部分及び第2部分を有しており、第1部分と第2部分は異なる反射特性を有している。
【0030】
本発明決定方法の別の実施形態にしたがうと、当該方法は、基準画像から生じる基準対象物の三次元画像内におけるアーティファクト量の程度を決定する工程を含んでおり、当該方法は更に以下の工程、即ち、
a) 軌跡の延長部分を仮定する工程、及び、
b) 仮定した延長部分を用いる場合に、アーティファクト量の程度(尺度)を決定する工程、を含み、
ここで工程a)とb)は、程度が予め決められた閾値を下回るまで又は最小値に到達するまで繰り返される。
【0031】
よって上記決定方法は、好ましくはアーティファクトの始点に係る要求を必ずしも必要とせずにアーティファクトの量を減らす。そのように、アーティファクトは多数の事象から由来し得、対象物の反射変化、対象物の形状変化、二次反射、又は光学素子の欠陥を含むが、これらに限定されない。アーティファクトは、上記多数の事象の組み合わせにすら由来するかもしれない。しかしアーティファクトの由来に関係なく、上記方法はアーティファクトを減じて、好ましくはアーティファクトを最小化して軌跡の延長部分を決定する。当然これは最終的に、適切な測定データ、特に対象物の適切な三次元画像を得るための汎用手法をもたらす。
【0032】
本発明の決定方法のさらなる実施形態にしたがうと、アーティファクト量の測定は、基準対象物の三次元画像内における算出した高さの値の差異を計算することによって決定される。
【0033】
本発明決定方法の別の実施形態にしたがうと、当該方法は基準画像の基準時空間体積を形成する工程を含んでおり、当該方法は以下の工程、即ち、
a) 軌跡の延長部分を仮定する工程、
b) 基準時空間体積内の仮定した軌跡の延長部分に沿った光強度分布を解析し、当該分布の中心と対称比率を推定する工程であって、低い対称比率を有する分布は高い対称比率を有する分布よりも中心の周りでより対称である、工程をさらに含んでおり、
工程a)と工程b)は、上記対称比率が予め決められた閾値を下回るまで又は最小値に到達するまで繰り返される。
【0034】
先に開示したアーティファクトを減少する実施形態と同様にして、上記決定方法は、測定システムの作動条件に関する又は対象物及び/又は測定システムのいかなる可能性のあるアーティファクトを生じる現象に関する事前情報を要求することを必ずしも必要とせずに、固有の延長部分を決定し得る。
【0035】
本発明の決定方法のさらなる実施形態にしたがうと、分布の対称比率を推定する工程は二つの軌跡点内の光強度値を比較する工程を含んでおり、当該軌跡点は推定された軌跡に沿う光強度分布の中心の各側方から予め決められた距離をおいて配置され、当該対称比率は二つの軌跡点内における光強度の差に基づいて決定される。
【0036】
本発明決定方法の別の実施形態にしたがうと、入射光は実質的に均質な光を備えた領域を有し、当該方法は更に、基準画像内における少なくとも一つの特徴点の、見掛けの動作(動き)を測定する工程を含んでおり、軌跡の延長部分は基準画像を介して特徴点を追跡することによって推定される。
【0037】
したがって動作推定手法を用いることによって、軌跡の延長部分を直接的に決定する方法が得られる。上記に提案した手法は、測定画像の異なる領域に対して異なる軌跡が容易に決定され得るという利点も有している。さらに上記方法は、直線でない軌跡を決定するために好ましくは用いられ得る。代わりに当該方法は、軌跡の任意の延長部分、例えば屈曲した延長部分を決定することもできる。言うまでもなくこのことは、最終的に生じる測定データの品質の更なる改善をもたらす。
【0038】
本発明決定方法の更なる実施形態にしたがうと、基準対象物は、センサの視界内において大きなコントラスト変化を有する一部分を備えている。
【0039】
本発明決定方法の別の実施形態にしたがうと、当該部分は見掛けの動作の測定を容易にするために、鏡面反射性構造を備えている。
【0040】
本発明決定方法のさらなる実施形態にしたがうと、当該動作推定は、直交フィルタ(quadrature filter)を使用することによって実行される。
【0041】
本発明の第2の態様は、第1光源とセンサを備える測定システムよって測定対象物の特性を決定するための方法に関連している。当該方法は、第1光源は当該対象物を照らす間に測定対象物を測定システムに対する第1移動方向に沿って動かし、それによってセンサが少なくとも二つの連続する時刻の組における各時刻での対象物の測定画像を生じる工程を含んでおり、これによって測定画像の上記時空間体積を生じる。当該方法は、時空間体積内の軌跡に沿って反射光の強度ピーク位置を決定することによって、測定対象物の特徴点を識別する工程を更に含んでおり、軌跡の延長部分は上記決定方法のうちいずれか一つを用いることによって決定される。
【0042】
本発明の第2態様の一実施形態にしたがうと、対象物から発散された光強度ピーク位置を決定する工程は、軌跡に沿った光強度分布を推定することによって実施され、当該ピークは、光強度分布の重心を推定することによって決定される。
【0043】
本発明第2態様の他の実施形態にしたがうと、軌跡の延長部分を決定する方法、並びに測定対象物の特性を決定する方法は、測定システムの同一実行結果を用いることによって実施される。
【0044】
本発明第2態様の別の実施形態にしたがうと、当該方法によって決定されるべき特性は、測定対象物の三次元的形状を含んでいる。
【0045】
本発明の第3の態様は、上記方法のいずれの工程をも遂行するための、コンピュータ又は演算装置内で実行可能なコンピュータプログラムコードを有するコンピュータプログラ
ムに関連しており、当該
コンピュータプログラムはコンピュータ読み取り可能な媒
体で保存可能である。
【0046】
本発明の第4の態様は、上記に係るコンピュータプログラ
ムを含み、且つ上記に係る軌跡の延長部分決定方
法又は上記に係る特性決定方法を実行するように配置された電子制御ユニットに関連している。
【0047】
本発明の第5の態様は、第1光源、センサ、及び上記に係る電子制御ユニットを含む測定システムに関連している。
【0048】
本発明の第5態様の一実施形態にしたがうと、測定システムは第2光源を更に含み、第1光源は実質的に均質な光を有する領域を生じるように適用される。
【0049】
本発明
の第5態様の
前記一実施形態に
おいて、当該センサは二つの画像部分を同時に生じるように適用され、ここで一つの画像部分は上記に係る測定対象物の特性決定方法において用いるように適用され、第2画像部分は上記に係る軌跡の延長部分を決定する方法において用いるように適用される。
【0050】
本発明を、添付の図面に基づき制限しない実施例にしたがって以下にさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明を以下に実施形態によって例示する。しかし、実施例は本発明の原理を説明するために備えられるのであって、添付の請求項によって定義される本発明の範囲を制限するためではないことを理解されたい。
【0053】
図1は光学三角法を実行するために適用された測定システム10を表している。当該システム10は、第1光源12とセンサ14を備えている。第1光源12は、測定対象物16を入射光18によって照らすように適用される。センサ14は、測定対象物16からの反射光20を検出して当該反射光20に基づいて画像を生じるように適用される。さらにシステム10は、好ましくはセンサ14と測定対象物16との間に配置するように適用された、光学素子22を備えている。光学素子22は、
図1中に一個の単一レンズとして概略的に表されている。しかしながら勿論、他の光学装置もありえる。さらに測定システムには、好ましくはセンサ14によって記録された画像を保存及び/又は解析するように適用された電子制御ユニット24が備えられる。本システムは、好ましくは保存された画像及び/又は電子制御ユニット24によって生じた画像を表示するように適用された、可視化手段26、例えば表示装置も備える。さらに
図1中に表されているのは、X、Y、及びZ次元をそれぞれ有するグローバル座標
系である。
【0054】
図1から見え得るように、入射光18と反射された画像光20は角度αを形成する。この角度αは一般的に三角法角と言われる。
【0055】
第1光源12は、好ましくは構造化された光、例えば直線光、又は多数の実質的には点又は直線状部分で成る光であって、いかなる種類の用途、例えばレーザ、発光ダイオード(LED)、通常光(電球)等の当業者に熟知されておりここではこれ以上記載しない光を生じるように適用される。
【0056】
作動中、測定対象物16は、測定システム10に対して
図1中の
Y方向である、第1移動方向に沿って動く。このために、測定対象物16は例えばコンベヤベルト(図示せず)又はいかなる類似の装置上に置かれてもよい。任意に測定対象物16は静止しており、測定システム10が代わりに測定対象物16に対して動くように適用される。当然、二つの上記選択肢の組み合わせも勿論可能である。
【0057】
システム10に対する測定対象物16の相対運動中に、第1光源12は測定対象物16を照らし、それによってセンサ14は、少なくとも二つの連続する時刻の組T内の各時刻t
iでの測定対象物16の測定画像を生じる。
【0058】
センサ14は、好ましくはCMOSセンサであるが、CCDセンサ、又は対象物から反射された光に基づいて対象物の画像を生じるために適切な他のいかなるセンサのように、他の種類のセンサを適用し得ることを当業者は理解するだろう。
図1から見え得るように、センサは、好ましくはセンサ縦次元v
sとセンサ横次元u
sとを有している。センサ横次元u
sは、好ましくは実質的に第1移動方向Yに対して垂直である。
【0059】
測定システム10の変形は、勿論追加のセンサ(図示せず)及び/又は追加の光源(図示せず)を含んでもよい。純粋に例示のつもりであるが、これら追加のセンサ及び/又は光源が、オクルージョンの問題を減じるために用いられてもよい。
【0060】
センサによって生じた測定画像は、好ましくはセンサ縦次元v
sとセンサ横次元u
sにそれぞれ対応する、画像縦次元v
iと画像横次元u
iを有する。実際には、センサ14は一般的にn×mピクセルを有する行列を備えており、ここでnはセンサ縦次元v
s内のピクセル、つまり行に相当し、及びmはセンサ横次元u
s内のピクセル、つまり列に相当する。
【0061】
各測定対象物16は、多数の特徴点によって作り上げられた三次元的形状を有するものとして見なされ得る。
図1中にはたった一つの特徴点28
が示されているが、
図1中の測定対象物16の各側面は、多数の、理論的には実際無限の特徴点によって構成される。したがって各特徴点28の三次元的位置情報、つまり特徴点の(X,Y,Z)座標が決定される場合には、測定対象物16の三次元画像は、全特徴点の組に対する幾何学的情報を単純に組み合わせることによって生じ得る。当該点の単なる位置の他、各特徴点の他の特性を決定することが可能であることにも注目すべきである。かかる特性は、反射率及び/又は散乱特性を含み得るが、それに限定されるものではない。
【0062】
図2A〜2Cは、少なくとも二つの連続する時刻の組T内における各時刻t
iで、
図1中に示された測定システム10によって生じた測定画像の組を表している。見え得るように、
図2中において画像の組は、四つの時刻t
0-t
3に対応する四つの画像IM
0-IM
3によって構成される。
図2は、画像IM
0-IM
3が互いに接触して積み重ねられていることを更に表しており、このようにして測定画像の時空間体積V
mを形成するのである。
図2中の画像IM
0-IM
3のそれぞれ一つは、画像横次元u
iと画像縦次元v
iを有している、したがって
図2中に表された時空間体積V
mは三次元を有し、時間次元が第三番目の次元なのである。
【0063】
測定画像IM
0-IM
3を生じる間に測定対象物16が測定システム10に対して動くので、測定対象物16の特徴点28は時空間体積V
m内に軌跡Rを写像する。
【0064】
そのように、特徴点28がセンサ14の視界内に存在している時刻t
0-t
3のそれぞれ一つにおいて、特徴点28から反射された光20はセンサ14上の点に衝突するだろう。反射光20がセンサに衝突するところの点の位置、並びに反射光20の強度の大きさは、例えば測定対象物16、センサ14及び第1光源12間の相対距離に依存する。よって一旦最大光強度、即ち光強度のピークが軌跡Rに沿って識別されたならば、(u
i,v
i,t)座標
系内のピークの座標は、とりわけ(X,Y,Z)座標
系内の特徴点28の位置に関する情報を現すだろう。
【0065】
一般的に言うと、ピークの時間値は(特徴点28の)
Y座標に関する情報をもたらし、u
i値は(特徴点28の)
X座標に関する情報をもたらし、v
i値は特徴点28の
Z座標に関する情報をもたらすであろう。
【0066】
図2から気づき得るように軌跡Rの延長部分は、測定対象物16が測定システム10に対して動く速度に依存する。そのように、上記速度がゼロの場合、つまり測定対象物16が測定システム10
に対して静止している場合には、軌跡Rの延長部分は時間軸と平行であろう。他方で万が一測定対象物16が測定システム10に対して限りなく速いスピードで動く場合には、軌跡Rの延長部分はu
i-v
i面内にのみ存在するであろう。
【0067】
軌跡Rの延長部分は多くの手法で近似され得る。一つの簡単な手法は軌跡Rを直線で近似することであり、その延長部分は、第1角度での第1回転軸に関する傾斜、及び第2角度での第2回転軸に関する傾斜によって定義される。このことはそれぞれ
図2B及び
図2C中に示されており、ここで
図2Bは第1角度θ
STが画像横次元u
iに平行な第1回転軸周りの回転としてここで定義されることを図示しており、
図2Cは第2角度θ
STUが画像縦次元v
iに平行な第2回転軸周りの回転としてここで定義されることを図示している。本発明に係る軌跡の延長部分決定方法の様々な実施形態を検証すると、軌跡Rの直線近似が全ての実施形態に対して適切であることが分かる筈である。しかしながら実施形態のそれぞれも、他の軌跡延長部分近似に、例えば放物線延長部分のような近似に用いることに適合していることも注目すべきである。
【0068】
さて時空間解析を用いることにおける利益の説明を簡略化するために
図3を参照しよう、
図3中の測定対象物16であって、一方向にのみ延長部を有する一本の線の形で理想的に描かれている細い測定対象物16を測定する際の、二次元版測定システム10が表されている。
図3中で測定対象物16は
Y方向に延びている。測定システム10は上述したように作動し、センサ14は、少なくとも二つの連続する時刻の組T内の各時刻t
iでの測定対象物16の測定画像を生じる。一般的に測定画像は測定画像の時空間体積V
mを形成するであろうが、
図3中の測定システム10が二次元システムに減らされたので、各測定画像はここでは一次元画像である、したがってこの場合の測定画像は、
図4A中に示された時空間画像I
mを形成する。
【0069】
測定対象物16と同様に配向された時空間画像I
mを得るために、時空間画像I
mは、逆の時間順序に測定画像の組IM
iを並べることによって生じても良い。そのようにして測定画像の組IM
iを並べることは、測定対象物16の最も右の部分16bが、
図3及び
図4A中に描かれるように、画像になった対象物の最も右の部分16Bに写像することを確実にするであろう。
【0070】
図4Aは二つの
軌道O及び
軌跡Sをそれぞれ更に図示しており、当該
軌道又は軌跡に沿って光強度のピークが検索される。
図4Aから判断され得るように、
軌道Oは、
本発明とは異なる従来の光学三角法から得た測定画像のオリジナル解析に対応し、時空間画像I
m内の各行は光強度ピークを検索される
。軌跡Sは、
本発明に係る測定画像の時空間解析に対応する。
【0071】
図4Bは
軌道Oを用いる場合の結果画像、つまりY,
Z座標における測定対象物16の画像を表している。
図4Bから見つけだされ得るように、結果画像は、測定対象物16の第1及び第2端部16A及び16Bの誤った表示をしている。この誤った表示の理由は、第1光源12によって生じた入射光18が、ゼロよりも大きな
Y方向の延長部を有している光ビームである、即ち、入射光18が測定対象物16のたった一つの点に衝突するのではなくむしろその一範囲に、この範囲が狭いものであっても、点ではなく一範囲に衝突するという事実に一般的に由来するのだろう。当然、入射光18が
Y方向に延長部を有しているので、反射光20も従って
Y方向に延長部を有するであろう。入射光18と反射光20の延長部は、それぞれ
図3中に破線と点線で示されている。そのような入射光18が例えば測定対象物の第1端部16Aに近接する場合、入射光18の一部分だけが測定対象物16に衝突し、一方で光18の残り部分は単にそれを通り過ぎるであろう。異なる光源が、異なる光強度分布を有する光ビームを作り出してもよい。純粋に例えのつもりであるが、光源が例えば通常の(ガウス)光強度分布を有する光ビームを作り出してもよい。
【0072】
第1端部16Aからの反射光20はしたがって、例えば測定対象物16の中心点16Cからの反射光20の部分に過ぎないであろう。前記反射光の部分はこうして、第1端部16Aの実際の
Z座標に対応しない画像縦座標v
iのピークを有する光強度分布を生じるのであろう。この効果は、
軌道Oに沿って時空間画像I
mで光強度ピークを検索する場合には主な原因とはならない、よって対応する第1端部16Aとしたがって第2端部16Bの結果画像の
Z座標は、正しいものとは違うだろう。
【0073】
時空間画像I
mで光強度ピークを検索する場合、代わり
に軌跡Sが用いられるならば、第1端部16Aへ接近すると、測定対象物16に衝突する入射光18は段階的に減少し、したがって反射光20は段階的な減少をすることが捕獲される。こうし
て軌跡Sに沿った光強度分布内のピークは、端部16Aの正しい
Z座標に対応するであろう。
【0074】
実際には、軌跡Sに沿って光強度内のピークを検索するというよりも
、軌跡Sがv
i’次元に沿って延びるように、時空間画像I
mがv
i,t座標
系からv
i’,t’座標
系へ変換されるのである、
図4D参照。変換された時空間画像I
mでは次に、v
i’次元に沿って光強度内のピークを検索され、このようにして見つかったピークは、Y,Z座標内に最終画像が生じる前に、v
i,t座標
系へ変換して戻される。
【0075】
軌跡Sがv
i次元に対して角度θだけ傾いた直線と仮定されるならば、時空間画像I
mは、
図4D中に示されるように変換した時空間画像I
m’を得るために角
度θだけ回転され得る。しかしながら本発明の発明者は、時空間画像I
mがその代わりに角
度θだけ単純にずれても依然として十分正確な結果を得られることに気がついた。
【0076】
図4A〜4Dを検証する際に気づき得るように、軌跡Rの延長部を決定することは、測定対象物16の十分に正確な再現性を得るためには非常に重要である。しかし前に示したように従来技術は、軌跡Rが時空間画像I
mのv
i次元について角度θだけ傾いた直線によって近似されても良く、ここで一般的には時空間角度を意味する角度θは解析表現式から導き出されても良いと教示しているだけである。
【0077】
その代わりに本発明が提案するものは、軌跡が、測定システム10から得られる測定データを用いる軌跡延長部分決定方法によって確定され得るというものである。測定システム10は、測定画像の時空間体積V
m内における軌跡の延長部分の決定方法又は算出方法を実行するために用いられてもよい。任意に、測定対象物16の測定画像は、いずれの軌跡が最良の最終結果を生じるのかということを確定するために後処理されても良い。
【0078】
上記決定方法の様々な実施形態を以下に提案しよう。しかし全ての実施形態が共通して備えているものは、測定画像の時空間体積V
mを得るということに関して、同一の作動条件を用いることを目的としているということである。そのうえ本発明は、幾つかの場合では測定対象物16と同一であってもよいのであるが、基準対象物30が、基準画像の組IR
0-IR
nを生じるように測定システム10によって測定されることを提案するのである。軌跡の延長部分は、次に基準画像IR
0-IR
nに基づいて決定される。
【0079】
以下の実施形態では、単一の軌跡R
の延長部分の決定を紹介する。しかしながら実施形態のいずれか一つが勿論、測定画像の時空間体積V
m内における多数の軌跡Rの延長部分を決定するのに用いられ得る。例えば部分軌跡の組が測定画像の時空間体積V
mに対して決定されても良く、各部分軌跡は、測定対象物16の特定の特徴点28又は特徴範囲に相当する。各部分軌跡は、少なくとも一つのu
i又はv
i次元に沿った、限られた区間に対して有効であり、全時空間体積V
mに対する軌跡はこれら部分軌跡を組み合わせることによって生じ得る。
【0080】
測定画像の時空間体積V
m内の部分軌跡は、前記時空間体積V
m内のベクトルと見なされても良い。測定対象物16が測定システム10に対して一定の速度で動く場合には、部分軌跡はu
i,v
i面内のみのベクトル場として見なされ得る、即ち、特定のu
i,v
i座標に相当する部分軌跡の延長部分は、時間次元tに沿って変化しないだろう。
【0081】
そのような、測定対象物16が一定の相対速度で動く場合には、或るu
i,v
i座標に相当する、又はu
i及びv
i次元の両方内の或る範囲にすら相当する部分軌跡の延長部分は、第1及び第2角度θ
ST、θ
STUのローカル変数(local values)によって表されても良く、当該角度は
図2B及び
図2Cと組み合わせて述べた。前記ローカル変数が単一のu
i,v
i座標に対して決定されてこの座標が測定対象物16全体を表すものと仮定される場合には、一定のベクトル場が、即ち、実際のu
i,v
i座標とは無関係のベクトル場が得られる。このアプローチは、
図4A中におけ
る軌跡Sの一定の延長部分に相当する、即ち
、軌跡Sがv
i次元に沿った値とは無関係に同一の傾斜θを有することに相当する。言い換えると、
図4A中
の軌跡Sは、単一の部分軌跡によって構成されたとみなされ得るのである。
【0082】
しかし上記ローカル変数は、X及び/又はZ次元内において互いから距離を置いて配置された多数の点に対しても決定され得、よってu
i及び/又はv
i次元内の異なる点に相当するのである。これらローカル変数のそれぞれは次に、u
i及び/又はv
i次元内に広がる或る間隔内において有効であると仮定され得る。よって再度ではあるが
図4A内に示した二次元例を参照すると、そこに描かれた時空間画像I
mは、多数の水平に延びるストリップ(図示せず)に分割され得る。次にローカル時空間角度θがストリップのそれぞれに対して決定され得る。純粋に例示のつもりであるが、ストリップに沿った中心のv
i座標が、本発明の決定方法を用いてローカル時空間角度θを決定する際に用いられても良く、このローカル時空間角度θは次にストリップ全体に当てはまると仮定される。そのような時空間画像I
mの軌道Rはこの場合、連続する線形部分の組、又は各ストリップに対して一つの部分の、部分軌跡の組によって構築されるものとみなされ得、こうしてv
i次元に沿った区分的線形軌跡Rを形成する。
【0083】
図5A〜5Cは本発明の決定方法の第1実施形態を示している。
図5Aからわかるように、基準対象物30は第1部分32と第2部分34とを備えて構成され、第1及び第2部分32、34は異なる反射特性を有している。ここで用いられているように、「反射特性」という表現は、表面によって反射される入射光の率の測定に関連している。一般的に「反射特性」は、とりわけ反射光の方向、入射光の方向、及び入射光の波長に依存する。明らかに基準対象物30は多数の部分を含んでいても良く、各部分は隣り合う部分の反射特性とは異なる反射特性を有する(図示せず)。
【0084】
図5A中において、基準対象物30は、センサ14の視界内に実質的に平坦な表面を備えており、当該表面は、第1移動方向Yに実質的に平行な向きに延びる。これは、本発明の決定方法の第1実施形態を実行する際の、基準対象物の好ましい設計であるが、基準対象物30の他の設計も適しているかもしれない。
図5A中の基準対象物30の表面が実質的に平坦であるので、基準画像の時空間体積V
rを生じるために光学三角法を用いた基準対象物30の三次元画像も、実質的に平坦な筈である。
【0085】
しかし
図5Bから見ることができるように、基準対象物30の第1部分32及び第2部分34の異なる反射特性により、
基準対象物30の二つの部分32、34間の領域内において高さの相違を間違って表示するアーティファクト36’、36’’
が、結果として得られる三次元画像内に生じるかもしれない。これらアーティファクトは、
軌道Oが基準画像の時空間体積V
rで光強度ピークを検索するのに用いられる場合にきっと最も明らかになるだろう。
代わりに軌跡Sが用いられれば、アーティファクト36’、36’’は恐らくは減少
するだろう。しかしながら上述してきたように
、軌跡Sの延長部分の決定が、例えば幾つかの光学的現象を説明していないので、最も低い及び/又は最も小さい量のアーティファクト36’、36’’を有する基準対象物30の三次元画像を
、軌跡Sの使用が生じるかということは全く定かではない。
【0086】
よって本発明の第1実施形態に従うと、決定方法は以下の工程、即ち、
a) 基準画像の時空間体積V
r内において軌跡Rの延長部分を仮定する工程、及び、
b) 仮定した延長部分を用いる際に、アーティファクト量の程度(尺度)を決定する工程、を含んでいる。
工程a)及びb)は次に、当該程度が予め決定された閾値を下回るまで、又は最小値に到達するまで繰り返される。
【0087】
図5Cは、上記方法から得られた軌跡Rの延長部分を用いた場合に創り出された基準対象物30の三次元画像を表している。
図5B中の画像と比較して、アーティファクト36’、36’’の量が著しく減少し、よって反射特性の変化に対し十分に低い影響を有する軌跡Rの延長部分が得られたことが明らかである。このことは、上記方法と同一の作動条件において測定された測定対象物16の三次元画像も反射の変化に対して十分に影響されないことをもたらしている。
【0088】
アーティファクト36’、36’’量の程度として、基準対象物30の三次元画像内の算出された高さ形状値の差が好ましくは用いられる。そのように当該程度は、アーティファクト36’、36’’の寸法に
関する程度(尺度)になるものとしても考えられ得る。この程度は、軌跡Rの最適延長部分を選択することによって程度を最小化するようにプログラムされた最適化ルーチンにおいて好ましくは用いられても良い。
【0089】
上記で提案された本発明決定方法の第1実施形態の実施例が実質的に平坦な基準対象物30を用いているが、第1実施形態は、異なる高さを備えた部分、即ち異なる
Z座標(図示せず)を備えた基準対象物30と共に用いられてもよいということに注目すべきである。そのように測定対象物16に異なる反射特性を有する第1及び第2部分32、34が設けられている場合には、測定対象物16自身が基準対象物30として用いられてもよい。よって、上述した実施形態に係る延長部分決定方法は、次に後処理方法として用いられることが好ましい。
【0090】
図6は本発明の決定方法の第2実施形態を表している。第2実施形態は、特徴点28が、基準画像の時空間体積V
r内の軌跡Rに沿った光強度分布38を生じるという事実を用いている。
図6中の軌跡Rは直線によって近似されるが、軌跡Rの任意の延長部分は、勿論決定方法の第2実施形態を用いて決定されてもよい。
【0091】
図6の決定方法は、正確な軌跡R延長部分が得られる際に、光強度分布38が、一般的には重心である光強度分布38の中心40について完全に対称であるという見識を用いている。そのように本発明の決定方法の第2実施形態は以下の工程、即ち、
a) 軌跡Rの延長部分を仮定する工程、及び、
b) 基準時空間体積V
r内の仮定した軌跡Rの延長部分に沿って光強度分布38を解析し、当該分布の中心40と対称比SRを推定する工程を含んでいる。
工程a)及びb)は次に、対称比SRが予め決められた閾値を下回る又は最小値に到達するまで繰り返される。
【0092】
第2実施形態には幾つかの利点がある。例えば、基準対象物30において例えば反射特性等に関して特別な要求は無い。さらに第2実施形態は、測定画像の時空間体積V
mに対する後処理ルーチンの直接的実施をもたらし得る、即ち基準対象物30と測定対象物16は同一物である。
【0093】
上記において用いられたように、低い対称比SRを有する分布38は、より高い対称比SRを有する分布よりも中心40についてより対称である。そのように本発明の決定方法の第1実施形態におけるのと同様に、対称性尺度SRは、軌跡Rの最適な延長部分を選択することによって対称性尺度SRを最小化するようにプログラムされた最適化ルーチンにおいて好ましくは用いられ得る。
【0094】
対称比SRを推定する好ましい手法は、二つの軌跡点PR1、PR2内における光強度値を比較する工程を含んでいる。軌跡点PR1、PR2は、仮定した軌跡Rに沿った光強度分布38の中心40の各側方から予め決められた距離dを置いて配置される。対称比SRは次に第2実施形態の好ましい実施において、二つの軌跡点PR1、PR2内の光強度差に基づいて決定される。
【0095】
図7は本発明の決定方法の第3実施形態を表している。第3実施形態は、
図2Aと組み合わせて開示した教示を用いている、つまり、軌跡Rの延長部分は、測定システム10に対する測定対象物16の動作に依存するという教示を用いている。そのように基準対象物30の一つ又は幾つかの点の動作を完全に推定する動作推定アルゴリズムが、軌跡の延長部分を決定する際に用いられても良い。
【0096】
そのように基準対象物30の特定点での動作ベクトルが、いわゆる光学流動方程式を用いることによって好ましくは推定されても良い。これがどのようにして行われるのかを詳細により完全に説明しているのは非特許文献2である。しかしながら
、当業者に公知の
、動作ベクトルを得るため
の他の実行可能な方法が有ることに注意すべきである。
【0097】
このようにして得た動作ベクトルを用いることによって、基準対象物30の点の、見掛けの動作が決定され得る。点の見掛けの動作が一旦分かると、軌跡Rの延長部分が、軌跡Rを見かけの動作につき従わせることによって決定され得る。このようにして決定された軌跡Rの延長部分は次に、基準画像
内の全ての点に対して有効であると仮定され得る。任意選択的に、基準対象物30の好ましくは異なる
X及び/又は
Z座標を有する多数点の見かけの動作が決定される。よって多数の部分軌跡が生じ得、その延長部分は対応する点の
X及び
Z座標に、したがって時空間体積V
m内のu
i,v
i座標に依存する。これら部分軌跡は次に、一つの軌跡Rを形成するように組み合わせられる。
【0098】
上記動作推定アルゴリズムを実行するために、第1光源12が、実質的に均質な光を備え
た領域を生じるように好ましくは適用される。その上、動作推定アルゴリズムの機能を向上するために、基準対象物30は、好ましくは大きなコントラスト変化を備えた一部分を含んでいる、より好ましくは、当該部分は鏡面反射性構造体を含んでいる。
【0099】
均質な光と組み合わせて大きなコントラスト変化を備えた一部分を含んでいる基準対象物30を用いる理由を以下に記載する。詳細に立ち入ることなく、上記の光学流動方程式を解くことが、方位テンソルQに対するゼロベクトルを見つけだすこととして見なされ得る。方位テンソルは、点記述行列Mによって順番に表現される。例えば非特許文献2から、記述行列Mを解析することによって対象物の見掛けの動作を決定する場合に、記述行列Mは対象物がたった一つの単一の点を含んでいれば実際ランク1であることが知られている。したがって基準対象物30中に大きなコントラスト変化を有する部分42を生ぜしめることによって、基準対象物30は、たった一つの単一の点を含むものとして見なされ得、その部分42は大きなコントラスト変化と一致するのである。記述行列Mのランクが1に減じられるので、その解析は単純化され次には、大きなコントラスト変化を備えた部分42の、見掛けの動作の推定を単純化する。
【0100】
動作ベクトルは、問題を二次元問題に減じることによって、且つ基準対象物30の時空間画像を生じることによっても得られうる。動作ベクトルに関する情報が、次に時空間画像をいわゆる直交フィルタの組で巻き込むことによって得られうる。このアプローチは非特許文献3並びに非特許文献4中に詳細に述べられている。
【0101】
図7は、本発明の第3実施形態に係る推定方法を実行するための好ましい測定システム10をさらに表している。
図7測定システム10は二つの光源、つまり第1光源12と第2光源46とを備えている。第1光源12は、上述したような見掛けの動作方法において用いられるべき、実質的に均質な光を備えた領域を生じるように適用され、一方で第2光源46は、対象物の三次元画像を生じるのによく適した光を生じるように好ましくは適用される。さらに
図7の測定システム10のセンサ14は、少なくとも二つの連続する時刻の各々に対する二つの部分画像44’、44’’を生じるように適用され、これによって部分画像の二つの組SI
1、SI
2を生じるように用いられる。部分画像の第1の組SI
1は、測定対象物の特性を決定するための画像、特にその三次元形状を生じるために用いられてもよい。部分画像の第2の組SI
2は、上述した見掛けの動作方法に用いられてもよい。
【0102】
ここで論じた実施形態のうちの一つを用いることによって測定画像の時空間体積V
m内における軌跡Rの延長部分が一旦決定されると、当該延長部分は勿論、一組の測定画像IM
iによって生じた時空間体積V
m内の軌跡Rに沿った光強度を解析することによって、測定対象物16の特性、好ましくはその三次元形状、及び/又は反射分布、及び/又は光分散特性を決定するために用いられてもよい。当該解析は、多くの手法で実行されてもよい。例えば軌跡Rが直線と仮定され、且つ軌跡の傾斜が時空間体積V
m内の全ての点に対して有効であると仮定される場合、時空間体積V
mは、軌跡Rの傾斜と同様に回転されるかずれてもよい。任意選択的に、時空間体積V
mを変換する代わりに、軌跡Rがオリジナル時空間体積V
m内に進んでいくような検索手順が規定されてもよい。さらに、多数の軌跡Rが時空間体積V
m内に決定された場合、例えばセンサ14の異なる部分に対し異なる軌跡Rが決定された場合には、センサ14の各点に対する軌跡Rの延長部分を最初に補間し、次に光強度ピークを検索する際に補間された軌跡Rの延長部分をたどるという検索手法が生じても良い。
【0103】
上述した特性決定方法は、広い用途分野で用いられてもよい。純粋に例示のつもりであるが、当該方法は、欠陥を検出するために製品の三次元画像を生じるように用いられてもよい。欠陥検索は、例えば意図せず製品上にもたらされた亀裂又は引っかき傷であり得る。具体的な例として製品は木材であってもよいし、本発明の測定システムは、ひき割り材の品質を管理するための製材所で有利に用いられ得る。
【0104】
範囲内の本発明のさらなる改良が実行可能である。例えば、多数の部分軌跡を組み合わせることによって一つの軌跡Rを生じる概念のみが本発明の第3実施形態と関連して詳細に述べられたが、この概念は、本発明決定方法の全ての実施形態に対して実行可能である。純粋に例示のつもりであるが、
図5A中に示された基準対象物30には、多数の表面であって各々異なる反射特性を有する第1及び第2部分32、34を備えており、好ましくは
X及び/又は
Z次元において互いから距離を置いて配置される多数の表面が設けられてもよい。次に、
図5B及び5Cに関連して述べた決定方法が、前記表面の各々に対して好ましくは実施されてもよく、これによって軌跡Rに組み合わせられ得る多数の部分軌跡を生じるのである。第2実施形態に対しては、対称比SRが、時空間体積V
mのu
i及び/又はv
i次元内において多数の異なる間隔に沿って好ましくは最小化されてもよく、これによって前記間隔の各々に対して部分軌跡を生じる。そのように本発明は、ここに記載した実施形態及び図面によって制限されるものとして見なされるべきではない。むしろ、本発明の全範囲は、本記述及び図面を基準として添付の請求項によって決定されるべきである。