(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カメラユニットは、画像を撮影するカメラと、前記カメラの前記ノズルに近い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第1照明部と、前記カメラの前記ノズルから遠い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第2照明部と、前記第1照明部から照射される光の一部を遮蔽するバッフルと、で構成されるカメラモジュールと、前記ヘッド支持体に固定され前記カメラと前記第1照明部と前記第2照明部と前記バッフルとを支持するブラケットと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記吸着領域の前記電子部品収容テープにスプライシングを示す印があることを検出した場合、前記吸着領域の前記電子部品収容テープがスプライシングされた部分であると判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記電子部品収容テープが切り換ったと判定した場合、前記フィーダ部で設定した個数の格納室の分、前記電子部品収容テープを送ることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記カメラユニットで取得した前記部品供給装置の前記吸着領域の画像を解析し、前記電子部品収容テープの前記格納室に前記電子部品があるかを検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記格納室に電子部品がないと判定した場合、前記フィーダ部で1つの格納室の分、前記電子部品収容テープを送り、前記カメラユニットで取得した前記部品供給装置の前記吸着領域の画像を解析し、前記電子部品収容テープの前記格納室に前記電子部品があるかを検出することを特徴とする請求項7に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記格納室に電子部品があると判定した場合、前記ノズルで当該格納室にある前記電子部品を吸着し、前記ノズルが吸着した前記電子部品を前記基板に搭載することを特徴とする請求項7または8に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記格納室に電子部品があると判定した場合、前記カメラユニットで取得した前記部品供給装置の前記吸着領域の画像を解析し、前記格納室にある前記電子部品が表向きであるか裏向きであるかを検出することを特徴とする請求項7または8に記載の電子部品実装装置。
前記制御部は、前記格納室の前記電子部品が表向きであると判定した場合、前記ノズルで当該格納室にある前記電子部品を吸着し、前記ノズルが吸着した前記電子部品を前記基板に搭載し、
前記格納室の前記電子部品が裏向きであると判定した場合、前記ノズルで当該格納室にある前記電子部品を吸着し、前記ノズルが吸着した前記電子部品を廃棄することを特徴とする請求項10に記載の電子部品実装装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0026】
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。
【0027】
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、基板搬送部12と、部品供給装置14と、ヘッド15と、XY移動機構16と、を有する。なお、基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。
【0028】
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、基板8を電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組み合わせ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
【0029】
部品供給装置14は、基板8上に搭載する電子部品を多数保持する保持部26と、保持部26が保持する電子部品をヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で吸着可能な状態とするフィーダ部28と、を有する。なお、部品供給装置14は、テープに電子部品を貼り付けて構成される電子部品収容テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品収容テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。なお、電子部品収容テープについては後述する。保持部26は、電子部品収容テープを複数保持する。フィーダ部28は、保持部26が保持している電子部品収容テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる吸着領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を吸着領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着することができる。また、部品供給装置14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
【0030】
ヘッド15は、部品供給装置14に保持された電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に搭載する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。
【0031】
XY移動機構16は、ヘッド15を
図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給装置14のフィーダ部28と対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
【0032】
次に、
図2および
図3を用いて、ヘッド15の構成について説明する。
図2は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図であり、
図3は、
図2に示すヘッドのカメラユニットおよびノズルの概略構成を示す上面図である。なお、
図2には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給装置14のフィーダ部28の一部もあわせて示す。ヘッド15は、
図2に示すように、ヘッド本体30とカメラユニット36とレーザ認識装置38と、を有する。電子部品実装装置10は、ヘッド制御部210と、制御部212と、撮像制御部220と、部品供給制御部222と、を有する。ヘッド制御部210と、制御部212と、撮像制御部220と、部品供給制御部222とについては後述する。
【0033】
フィーダ部28は、ヘッド15と対向する面がアッパーカバー42で覆われており、アッパーカバー42に形成された開口に電子部品収容テープ100に保持、格納された電子部品44が露出している。フィーダ部28は、保持部26に保持された電子部品収容テープ100の引き出し機構46を有する。フィーダ部28は、引き出し機構46で保持部26に保持された電子部品収容テープ100を引き出し、移動させることで、電子部品収容テープ100に保持された電子部品44をアッパーカバー42の開口に移動させる。本実施形態では、アッパーカバー42の開口がヘッド15のノズルが電子部品収容テープ100に保持された電子部品を吸着する吸着領域48となる。
【0034】
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、
図3に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。
【0035】
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32およびノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、カメラユニット36およびレーザ認識装置38も支持している。
【0036】
ノズル32は、電子部品44を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品44を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、開口33が形成され電子部品44を吸着する先端部に連結されたシャフト32aを有する。シャフト32aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
【0037】
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口33で電子部品44を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板の表面に対して直交する方向となる。また、ノズル駆動部34は、電子部品の実装時等にノズル32をθ方向に回転させる。θ方向とは、すなわち、Z軸駆動部が前記第1吸着部及び前記第2吸着部を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
【0038】
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフト32aをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
【0039】
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品44を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り替える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品44を吸着させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品44を開放する、つまり開口33で電子部品44を吸着しない状態とする。
【0040】
また、ヘッド本体30は、ヘッド支持体31とともに移動し、自身と対向する位置に配置された部材である基板8との距離を検出する距離センサをさらに備えていてもよい。ヘッド本体30は、距離センサで距離を検出することで、ヘッド支持体31と基板8との相対位置や、ヘッド支持体31とフィーダ部28との相対位置を検出することができる。なお、本実施形態では、距離センサと基板8等の距離に基づいて、ヘッド支持体31と基板8等の距離を算出する演算を、ヘッド制御部210で行う。
【0041】
カメラユニット36は、吸着領域48、ノズル32で吸着した電子部品44、ノズル32で吸着する対象の電子部品44、基板8に搭載した電子部品44等を撮影して、電子部品44の状態を検出するユニットである。ここで、電子部品44の状態とは、ノズル32で電子部品44を正しい姿勢で吸着しているか、ノズル32で吸着する対象の電子部品44がフィーダ部28の所定位置に配置されているか、ノズル32で吸着した電子部品44が基板8上の所定位置に搭載されたか、等である。カメラユニット36は、ブラケット50と複数のカメラモジュール51とを有する。ブラケット50は、
図2に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8およびフィーダ部28側に連結されている。ブラケット50は、複数のカメラモジュール51を支持する。また、複数のカメラモジュール51は、それぞれのブラケット50の内部に固定され、カメラ52、第1照明部54、第2照明部56およびバッフル58で構成される。また、カメラモジュール51は、
図3に示すように、1つのノズル32に対して1つ配置されている。つまり本実施形態では、6つのノズル32に対して、6つのカメラモジュール51が配置されている。カメラモジュール51は、対応するノズル32が吸着する電子部品44を撮影する。カメラユニット36の構成については後述する。
【0042】
レーザ認識装置38は、ブラケット50によって支持されている。具体的には、レーザ認識装置38は、ブラケット50の、カメラモジュール51が配置されている領域よりも下側に内蔵されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品44に対して、レーザ光を照射することで、電子部品44の形状を検出する装置である。レーザ認識装置38は、ノズル32で吸着した電子部品44の一方向の形状を検出したら、ノズル駆動部34によりノズル32を移動または回転させて電子部品44を移動または回動させて、他の方向の形状を検出する。レーザ認識装置38は、このように、複数の方向からの形状を検出することで、電子部品44の三次元形状を正確に検出することができる。
【0043】
次に、
図2および
図3に加え、
図4から
図6を用いて、カメラユニット36の各部について説明する。
図4は、カメラユニットのブラケットの概略構成を示す模式図であり、
図5は、バッフルの形状を示す正面図であり、
図6は、ブラケットの開口を外側から見た状態を示す図である。
【0044】
カメラユニット36は、ブラケット50と、6つのカメラモジュール51と、を有する。ブラケット50は、
図2から
図4に示すように、ヘッド支持体31の下面に連結された部材である。ブラケット50は、
図4に示すように、6つのカメラモジュール51をそれぞれ支持する6つのカメラモジュール保持領域60と、6つのノズル32の通路であるノズル用開口66と、が形成されている。6つのカメラモジュール保持領域60は、X軸方向に列状に配置されており、隣接するカメラモジュール保持領域60との境界に仕切り板62が配置されている。つまり、カメラモジュール保持領域60は、仕切り板62によってそれぞれの領域に分割されている。また、カメラモジュール保持領域60は、Y軸方向に直交する2つの面のうちノズル32側の面に開口64が形成されている。つまりカメラモジュール保持領域60は、開口64が形成されることでノズル32側の面が露出している。ノズル用開口66は、ブラケット50のノズル32が通過する領域に形成された開口である。ノズル用開口66は、1つの開口であり、形成された空間に6つのノズル32が配置されている。なお、ブラケット50は、レーザ認識装置38を支持する支持体でもある。また、ブラケット50は、1つの部材で構成しても複数の部材を連結して構成してもよい。
【0045】
次にカメラモジュール51について説明する。なお、6つのカメラモジュール51は、対応して配置されたノズルが異なるのみで同様の構成である。そこで以下では、代表して1つのカメラモジュール51について説明する。カメラモジュール51は、カメラ52と第1照明部54と第2照明部56とバッフル58とを有する。カメラ52は、ノズル32で吸着した電子部品44またはノズル32で吸着する対象の電子部品44を撮影する撮像部である。なお、カメラ52は、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)や、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の受光素子を二次元配列し、各受光素子で受光信号を検出することで画像を取得する。第1照明部54と第2照明部56とは、カメラ52の撮影領域に向けて光を照射する発光素子である。なお、発光素子としてはLED(Light Emitting Diode)や、半導体レーザを用いることができる。バッフル58は、第1照明部54から照射される光の一部を遮蔽し、第1照明部54および第2照明部56から照射された後、反射してカメラ52に入射する光の一部を遮蔽する板状の部材である。
【0046】
次に、カメラモジュール51の各部の配置関係を説明する。カメラモジュール51は、
図2に示すようにYZ平面において、電子部品44が載置されている面とノズル32の移動の軌跡とを結んだ線との交点に対して、つまりノズル32の吸着対象の電子部品44を吸着、または基板8に搭載する位置(以下「吸着搭載動作位置」という。)に対して、斜め上に配置されている。なお、
図2ではカメラ52のみを示すが、第1照明部54、第2照明部56も同様に、吸着搭載動作位置に対して斜め上に配置されている。
【0047】
次に、カメラモジュール51は、
図3に示すようにXY平面において、カメラ52と第1照明部54と第2照明部56とをX軸方向に列状に配置している。つまりノズル32が配列方向と平行に配列している。また、カメラモジュール51は、カメラ52の両側面にそれぞれ第1照明部54と第2照明部56とを配置している。また、カメラモジュール51は、X軸方向における位置つまりX軸座標において、第1照明部54とノズル32とが同一位置に配置されている。したがって、第1照明部54とノズル32とを結んだ線は、Y軸方向と平行な線となる。このように、第1照明部54は、ノズル32を通り配列方向に直交する面上に配置される。次に、カメラ52は、第1照明部54のX軸方向の端部に隣接して配置されている。このため、カメラ52とノズル32とを結んだ線は、Y軸方向に対して所定角度傾斜した線となる。次に、第2照明部56は、カメラ52の第1照明部54と隣接していない側のX軸方向の端部に隣接して配置されている。このため、第2照明部56とノズル32とを結んだ線は、Y軸方向に対して所定角度傾斜した線となる。また、第2照明部56とノズル32とを結んだ線と、Y軸方向と、のなす角は、カメラ52とノズル32とを結んだ線と、Y軸方向と、のなす角よりも大きい角度となる。このように、カメラモジュール51は、XY平面において、第1照明部54がカメラ52よりもノズル32に近い位置に配置され、カメラ52が第2照明部56よりもノズル32に近い位置に配置される。
【0048】
カメラモジュール51は、
図3に示すようにXY平面において、バッフル58を、カメラ52、第1照明部54および第2照明部56よりもノズル32側に配置している。また、カメラモジュール51は、バッフル58を、カメラ52、第1照明部54および第2照明部56よりも下側に配置している。
【0049】
次に、
図3から
図5、特に
図5を用いて、バッフル58の形状について説明する。バッフル58は、カメラ52と第1照明部54と第2照明部56との配列方向(つまりX軸方向)に延在する第1面72と、第1面72の第1照明部54の端部に連結し第1面72の延在方向に直交する方向であるY軸方向かつノズル32から離れる方向に相当する
図5の中下方向に延在する第2面73とを有するL字の板形状である。バッフル58の第1面72は、ノズル32側の端部の一部に、他の面よりもノズル32側に突出した第1露出部74と、第2露出部76とが形成されている。ここで、第1露出部74は、X軸方向において、第1面72の中央部近傍に形成されている。また、第2露出部76は、X軸方向において、第1面72の第1照明部54側の端部に形成されている。また、第2露出部76は、第1露出部74と繋がっており、第1露出部74よりもノズル32側に突出している。これにより、第1面72は、ノズル32側の端部の形状が第2照明部56側から第1照明部54側に向かうに従って突出量が多くなる形状となる。また、バッフル58は、第1面72の第1照明部54側のノズル32側の端部が、第2面73の第1照明部54側の端辺77よりも第1照明部54側に突出した突出部78が形成されている。さらに、バッフル58は、
図5中右側に位置する第2面73のノズル32側の端部の近傍に第2照明部56側に向けて凹んだ凹部79が形成されている。ここで、バッフル58は、
図4に示すように、第2面73の端辺77がブラケット50の仕切り板62に突き当てられている。また、バッフル58は、凹部79が仕切り板62のノズル32側の端部と接触している。バッフル58は、端辺77を仕切り板62に突き当て、凹部79を仕切り板62のノズル32側の端部と接触させることで、カメラモジュール保持領域60の所定位置に支持される。
【0050】
カメラモジュール51は、以上のような配置関係であり、
図6に示すように、カメラ52の画像を取得する部分と第1照明部54および第2照明部56の光を照射する部分とが、ブラケット50の開口64に向けて露出して配置されている。また、カメラモジュール51は、バッフル58の第1面72のノズル32側の端部に形成された第1露出部74と、第2露出部76とが、開口64から露出している。また、
図6に示すように、第1露出部74は、カメラ52の近傍で開口64から露出する。第2露出部76は、第1照明部54の近傍で開口64から露出する。
【0051】
次に、
図7から
図9を用いて、バッフル58の機能について説明する。ここで、
図7は、カメラモジュールとノズルとフィーダ部との相対関係を示す模式図であり、
図8は、第1照明部から照射される光と反射光との関係を示す模式図であり、
図9は、バッフルを設けない場合に第1照明部から照射される光と反射光との関係を示す模式図である。
【0052】
カメラモジュール51は、上述したような位置関係であり、
図7に示すように、第1照明部54とXY平面上ではノズル32の位置にあたる吸着搭載動作位置を結ぶ直線82の経路上にバッフル58の第2露出部76が重なり、カメラ52と吸着搭載動作位置を結ぶ直線84の経路上にバッフル58の第1露出部74が重なる。また、カメラモジュール51は、第2照明部56と吸着搭載動作位置とを結ぶ直線86の経路上にバッフル58は露出しない。つまり、バッフル58は、直線86の経路の近傍の部分が開口64に露出していない。これにより、
図8に示すように、第1照明部54から照射された照射光90の鉛直方向に近い側の領域の照射光がバッフル58により遮断される。これにより、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に最も近い照射光は、矢印92の照射光となる。矢印92の照明光は、アッパーカバー42で反射され、ノズル32に向かって反射される矢印93の照明光となる。これに対して、バッフル58を設けない構成とすると第1照明部54から照射された照射光90は、鉛直方向に近い側の照射光が遮断されない。このため、
図9に示すように、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に最も近い照明光は、矢印94の位置の照射光となる。このように、バッフル58を設けることで、吸着搭載動作位置のアッパーカバー42および電子部品44のうち、カメラ52に近い側の一部に照射光90が照射されることを抑制できる。これにより、
図9に示すように矢印94の照射光がアッパーカバー42で反射され、カメラ52に入射することを抑制できる。
【0053】
カメラユニット36は、カメラモジュール51にバッフル58を設け、第2照明部56で第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に近い側の照射光90を遮蔽することで、照射光90の反射光がカメラ52に入射することを抑制し、カメラ52で撮影した画像に反射光が映りこむことを抑制できる。これにより、カメラ52で撮影した画像に白とび等が発生じることを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。このように、電子部品実装装置10は、カメラ52で高品質な画像を撮影できることで、ノズル32の先端、ノズル32で吸着した電子部品44、フィーダ部28に載置されている電子部品44、基板8に搭載された電子部品44を撮影した高品質な画像を取得することができる。したがって、電子部品実装装置10は、搬送対象の電子部品44を適切に確認することができ、効率よく高い精度で電子部品44を搭載することができる。
【0054】
また、カメラユニット36は、バッフル58の第1照明部54がカメラ52の鉛直方向に近い側の部分を遮蔽し、開口64よりも狭くすることで、第1照明部54および第2照明部56から照射された後、反射してカメラ52に入射する光の少なくとも一部、具体的にはカメラ52の鉛直方向に近い側からカメラ52に入射する光の一部を遮蔽する。このように、カメラユニット36は、撮影対象を撮影する領域以外からの反射光がカメラ52に到達することを抑制することができる。これにより、カメラ52で撮影した画像に白とび等が発生することを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。
【0055】
また、カメラユニット36は、光を遮蔽するバッフル58を、カメラ52の鉛直方向下側に配置することで、カメラ52の撮影領域よりも鉛直方向下側の部分に向けて照射される照射光90および鉛直方向下側の部分で反射される反射光を遮蔽することができる。これにより、バッフル58は、第1照明部54および第2照明部56から照射され、フィーダ部28のアッパーカバー42や基板8で反射された光のうち、カメラ52に到達しやすい光を選択的に遮蔽することができる。これにより、カメラ52で撮影した画像に白とび等が発生することを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。また、バッフル58により光を選択的に遮蔽することで、吸着搭載動作位置を好適に照明することができ、撮影画像の明るさを維持することができる。
【0056】
また、カメラユニット36は、バッフル58の第2露出部76を第1露出部74よりも露出させることで、第1照明部54から照射される照射光90をより好適に遮蔽することができ、カメラ52の撮影領域にバッフル58の一部が入ることを抑制することができる。また、電子部品実装装置10は、第2照明部56から照射される照射光90をバッフル58で遮蔽しないことで、つまり、第2照明部56から照射される照射光90の通過する領域にはバッフル58を配置しないことで、反射光がカメラ52に到達しにくい照射光90で吸着搭載動作位置を照明することができる。これにより、カメラ52で高品質な画像を撮影することができる。
【0057】
また、カメラユニット36は、バッフル58の第1面72の第1照明部54側の端部であり、かつ、第2面73のノズル32側の端部に、第2面73の端辺77よりも第1照明部54側に突出している突出部78を設けることで、バッフル58とカメラモジュール保持領域60との間に隙間ができることを抑制することができ、開口64で第2露出部76よりも第1照明部54側に光が漏れることを抑制することができる。
【0058】
また、カメラモジュール51は、YZ平面において吸着搭載動作位置に対して斜め上となりかつY軸方向に対して所定角度傾斜した位置にカメラ52を配置している。これにより、吸着搭載動作位置にある電子部品44をX軸、Y軸、Z軸のいずれの方向からも斜めから撮影することができ、電子部品44の三次元形状をより好適に判定することができ、電子部品44の垂直軸線を中心とする水平方向の回転角度および上下方向の傾き角度をより簡単に認識することができる。
【0059】
また、カメラユニット36は、カメラ52の側面のそれぞれに照明部を配置することで、撮影領域に影ができることを抑制し、高品質な画像を撮影することができる。また、電子部品実装装置10は、2つの照明部のうち、よりノズル32の吸着搭載動作位置に近い第1照明部54から照射される照射光90をバッフル58で遮蔽することで、照射光90の反射光がよりカメラ52に到達しやすい照明部の照射光90を選択的に遮蔽することができる。
【0060】
なお、カメラユニット36は、上述した各種効果を得る事ができるため、バッフル58を
図5に示す形状とすることが好ましいがこれには限定されない。例えばバッフルは、開口64に対する露出部の露出量がカメラ52に対応する領域と、第1照明部54に対応する領域とで同一となる形状としてもよい。この場合、カメラ52に入射する光の量は低減し、画像が暗くなる可能性はあるが上記と同様の効果を得ることができる。また、バッフルは、開口に対する露出部を第1照明部54に対応する領域のみに設けた形状としてもよい。この場合、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に近い側の照射光を遮蔽することで、照射光90の反射光がカメラ52に入射することを抑制することができ、高品質な画像を撮影することができる。バッフルは、開口64に対する露出部の露出量がカメラ52に対応する領域と、第1照明部54に対応する領域とで同一となる形状としてもよい。この場合、カメラ52に入射する光の量は低減し、画像が暗くなる可能性はあるが上記と同様の効果を得ることができる。バッフルは、開口64に対する露出部を第1照明部54に対応する領域のみに設けた形状としもよい。この場合、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に近い側の照射光90を遮蔽することで、照射光90の反射光がカメラ52に入射することを抑制することができ、高品質な画像を撮影することができる。バッフルは、第1照明部54の端部から第2照明部56の端部まである露出部を設け、第1照明部54、カメラ52、第2照明部56の鉛直方向側の一部の領域を塞ぐ形状となる形状としてもよい。この場合、カメラ52に入射する光の量はバッフルより低減し、画像が暗くなる可能性はあるが上記と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、バッフルの形状は、上記実施形態にも限定されず、第1照明部54およびカメラ52の少なくとも一方の鉛直方向側の領域を塞ぐ形状であればよい。例えば、バッフルは、L字形状に限定されず、第1照明部54、カメラ52および第2照明部56の配列方向が長手方向となる細長い板形状としてもよい。また、バッフルは、第1照明部54およびカメラ52の少なくとも一方の鉛直方向側の領域を塞ぐ量が第2照明部56の鉛直方向側の領域を塞ぐ量よりも大きい形状とすることが好ましい。これにより、吸着搭載動作位置に到達する光の量の低減を抑制しつつ、反射光がカメラ52に入射することを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、より好適な画像が撮影できるため、第1照明部54とノズル32と結んだ線がY軸方向と平行となる関係としたがこれには限定されない。カメラモジュール51は、第1照明部54が、カメラ52よりもノズル32に近い位置に配置されていればよい。
【0063】
また、上記実施形態では、バッフル58をカメラモジュール51毎に別々に設けたがこれに限定されない。電子部品実装装置10およびカメラユニット36は、複数のバッフルを一体で成形し、複数のカメラモジュール51に対し1つのバッフルを設けてもよい。例えば、本実施形態のバッフル58を繋げて、1つのバッフルとしてもよい。このように、複数のバッフルを一体で成形することで、部品の点数を減らすことができ、カメラモジュール間で、バッフルの相対位置のずれが生じることを抑制できる。
【0064】
また、カメラユニット36は、バッフル58を移動させる移動機構を備えることも好ましい。つまり、使用用途等に応じて、バッフル58の位置を調整し、開口64への露出量、つまりバッフル58が遮蔽する照射光90、反射光の量を調整する移動機構を備えることも好ましい。なお、バッフル58の移動機構としては、ラックアンドピニオン機構や、リニアモータにより、一方向にバッフル58を移動させる機構を用いることができる。電子部品実装装置10は、バッフル58の位置を調整可能にすることで、画像の品質が低下しない使用状況の場合、バッフル58の露出量を少なくしより多くの光で撮影対象を撮影し、白とび等が発生する恐れがある使用状況の場合、バッフル58の露出量を多くし、反射光がカメラ52に到達することを抑制して撮影対象を撮影することができる。これにより、使用状況により適した条件で画像を撮影することができ、より高品質な画像を撮影することができる。
【0065】
次に、
図2に戻り、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、
図2に示すように、制御機能として、ヘッド制御部210と、制御部212と、撮像制御部220と、部品供給制御部222と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
【0066】
ヘッド制御部210は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサおよび制御部212に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部210は、制御部212から供給される操作指示および各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着/開放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
【0067】
制御部212は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部212は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、カメラユニット36の撮影条件等を制御する。また、制御部212は、上述したようにヘッド制御部210に各種指示を送り、ヘッド制御部210による制御動作も制御する。制御部212は、撮像制御部220や部品供給制御部222による制御動作も制御する。
【0068】
制御部212は、取得した各種情報からカメラ52での撮影に必要な各種情報を取得し、カメラ52の撮影条件を決定する。なお、撮影条件とは、撮影タイミング、具体的には、撮影を行うノズル32の位置や、カメラ52の露出や倍率等の条件である。制御部212は、決定した撮影条件を撮像制御部220に送る。また、制御部212は、カメラ52で取得し撮像制御部220から送られる画像データを解析する。なお、制御部212は、第1照明部54および第2照明部56の動作も制御する。具体的には、制御部212は、第1照明部54および第2照明部56に供給する電圧値、電流値を制御し、第1照明部54および第2照明部56から照射する照射光の光量や、発光させるか否かを制御する。なお、制御部212は、カメラユニット36の動作を制御する制御部を別途設けてもよい。
【0069】
撮像制御部220は、カメラ52の撮影動作を制御し、カメラ52で撮影した画像のデータを取得する。撮像制御部220は、制御部212から送られる指示に基づいて撮影条件を決定し、決定した撮影条件でカメラ52を制御し画像を取得する。なお、撮像制御部220は、制御部212を介して、撮影対象のノズル32を駆動するノズル駆動部34のZ軸方向の駆動機構のエンコーダ信号を取得し、Z軸方向におけるノズル32の位置の情報を取得することができる。撮像制御部220は、エンコーダ信号に基づいて取得したノズル32の位置が制御部212で決定された所定位置であることを検出したら、画像の撮影および取得を行う。撮像制御部220は、撮影した画像のデータを制御部212に送る。
【0070】
部品供給制御部222は、部品供給装置14による電子部品44の供給動作を制御する。部品供給制御部222は、フィーダ部28の引き出し機構46による電子部品収容テープの引き出し動作(移動動作)を制御する。部品供給制御部222は、制御部212による指示に基づいて引き出し機構46により電子部品収容テープ100を引き出させる。部品供給制御部222は、引き出し機構46による電子部品収容テープ100の引き出し量を調整することで、電子部品収容テープ100の移動量を調整する。これにより、部品供給制御部222は、電子部品収容テープ100の任意の位置を吸着領域48に露出させることができる。
【0071】
次に、
図10および
図11を用いて電子部品収容テープ100について説明する。
図10は、電子部品収容テープの連結部分の概略構成を示す模式図である。
図11は、電子部品収容テープの連結部分を拡大して示す模式図である。なお、
図10および
図11を用いて電子部品収容テープ100は、2つの電子部品収容テープが連結されている、つまりスプライシングが行われている部分を示している。
【0072】
図10に示す電子部品収容テープ100は、前段電子部品収容テープ102と、後段電子部品収容テープ104と、で構成される。また、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とは、接続部材110で連結されており、接続部材110で接続されている領域にマーク112が形成されている。
【0073】
前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とは、所定の幅のテープであり、延在方向に一定間隔で穴106と格納室108とが形成されている。つまり、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とは、複数の穴106が延在方向に列状に形成され、複数の格納室108が延在方向に列状に形成されている。引き出し機構46は、電子部品収容テープ100に形成されている複数の穴106に稼動子を挿入し、つまり稼動子に穴106を引っ掛け当該稼動子を移動させることで電子部品収容テープ100を移動させる。
【0074】
格納室108は、所定の大きさの凹部であり、基本的に電子部品44が取り外し可能な状態で格納されている。格納室108に格納された電子部品44は、電子部品実装装置10の部品搭載動作時にノズル32により吸着され、搬送されることで、格納室108から移動される。ノズル32によって電子部品44が搬送された格納室108は、空の状態となる。また、前段電子部品収容テープ102の端部および後段電子部品収容テープ104の端部の一定個数分の格納室108は、つまり
図10中の領域120内にある格納室108は、当初から電子部品が格納されていない。
【0075】
接続部材110は、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とを繋げる部材である。接続部材110としては、接着テープや接着剤等の粘着性の化学物質で両者を繋げる部材や、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とを支持するステープラー(Stapler)によって両者に連結された部材を用いることができる。
【0076】
マーク112は、スプライシングを示す印であり、
図10及び
図11に示すように、
前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との境界を含む領域に形成されている。具体的には、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との境界を含む領域を中心として前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との延在方向に伸びた棒形状である。マーク112は、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とは異なる色で形成されている。マーク112を前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とに形成する方法には、種々の方法を用いることができる。例えば、ペン等の文房具を用いて前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とに書いてマーク112を形成しても、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104とに棒形状の部材を貼り付けてマーク112を形成してもよい。
【0077】
電子部品実装装置10は、電子部品収容テープ100に保持される電子部品44を吸着する動作を実行する前に、カメラユニット36で吸着領域48にある電子部品収容テープ100の画像を撮影する。電子部品実装装置10は、撮影した画像にマーク112が含まれているか否かを検出することで、吸着領域48にある部分が前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との境界であるか、つまりスプライシング部分であるか否かを検出することができる。電子部品実装装置10の動作については後述する。
【0078】
マーク112は、前段電子部品収容テープ102、後段電子部品収容テープ104、電子部品44やアッパーカバー等の撮影画像に含まれる他の部材と識別できる色や大きさであればよく、種々の形状、色、大きさとすることができる。
【0079】
図12および
図13は、それぞれ電子部品収容テープの連結部分の他の例の概略構成を示す模式図である。ここで、上記実施形態では、スプライシングを示す印としてマーク112を用いたがこれに限定されない。スプライシングを示す印は、カメラユニット36で撮影し、識別可能な種々の印を用いることができる。
図12に示す電子部品収容テープ130は、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との境界となる後段電子部品収容テープ104の端部に切り欠き132が形成されている。電子部品収容テープ130は、切り欠き132がスプライシングを示す印となる。このように、スプライシングを示す印には、前段電子部品収容テープ102および後段電子部品収容テープ104の少なくとも一方に形成した切り欠きを用いることもできる。
【0080】
また、スプライシングを示す印は、2つの電子部品収容テープの境界(連結部)を撮影する際に1つの画像として収まる位置に形成されていればよく、2つの電子部品収容テープの境界(連結部)を含む位置以外に形成してもよい。つまりスプライシングを示す印の2つの電子部品収容テープの境界(連結部)を含まない位置に形成してもよい。
図13に示す電子部品収容テープ140は、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との境界に接していない後段電子部品収容テープ104に切り欠き142が形成されている。電子部品収容テープ140は、切り欠き142がスプライシングを示す印となる。このように、前段電子部品収容テープ102と後段電子部品収容テープ104との境界に接していない位置に形成した切り欠きもスプライシングを示す印として用いることができる。なお、
図13の電子部品収容テープ140は、切り欠きとしたがマークの場合も同様である。
【0081】
図14は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図15および
図16は、電子部品収容テープの格納室に格納された電子部品の一例を示す模式図である。以下、
図14から
図16を用いて電子部品実装装置10の動作、具体的には、ヘッド本体30が、部品供給装置14が保持している電子部品44を吸着する際の動作について説明する。ここで、電子部品実装装置10は、ヘッド本体30を部品供給装置14の近傍に移動させ、部品供給装置14の吸着領域48に露出した格納室108から電子部品44をノズル32で吸着する動作を実行する前に実行される。また、
図14に示す処理は、制御部212が各部の動作を制御することで実行される。
【0082】
制御部212は、ヘッド本体30を部品供給装置14の近傍に移動させ、フィーダ部28のうち、吸着する対象の電子部品44を保持する電子部品収容テープ100が露出している吸着領域48を撮影可能な位置に移動させたら、ステップS12として、カメラユニット36で部品吸着前テープを撮影する。つまり、制御部212は、電子部品収容テープ100が露出している吸着領域48の画像を撮影する。
【0083】
制御部212は、ステップ12で画像を撮影したら、撮影した画像を解析開始し、ステップS14として部品があるかを判定する。具体的には、制御部212は、撮影した画像を解析して、吸着領域48にある電子部品収容テープ100の格納室108に電子部品44が格納されているかを判定する。制御部212は、ステップS14で部品がある(Yes)と判定した場合、ステップS16に進み、部品がない(No)と判定した場合、ステップS30に進む。
【0084】
制御部212は、ステップS14で部品がある(Yes)と判定した場合、ステップS16として、部品が反転しているか、つまり電子部品44が表向きか裏向きかを判定する。具体的には、制御部212は、撮影した画像を解析して、格納室108に格納されている電子部品44が
図15に示す電子部品250のように吸着面252が露出している状態であるか、
図16に示す電子部品260のように搭載時に基板8と接する接着面262が露出している状態であるかを判定する。なお、本実施形態では、
図15に示す電子部品250のように吸着面252が露出している状態、つまり正しい向きで格納室108に格納されている状態を表向き、
図16に示す電子部品260のように接着面262が露出している状態、つまり正しくない向き(正しい向きから反転している向き)で格納室108に格納されている状態を裏向きとする。なお、反転している場合以外の正しくない向きも裏向きであり反転していると判定してもよい。
【0085】
制御部212は、ステップS16で部品が反転していない(No)、つまり電子部品44が表向きであると判定した場合、ステップS18として実装処理を実行する。ここで、実装処理とは、当該電子部品44を基板8に実装する処理である。具体的には、制御部212は、格納室108に格納された電子部品44(ステップS12で撮影した電子部品44)をノズル32で吸着した後、ノズル32を上昇させる。その後、制御部212は、ヘッド本体30を移動させて、ノズル32を基板8の当該電子部品44を実装する位置と対面させ、ノズル32を降下させてノズル32から電子部品44を切り離すことで、当該電子部品44を基板8上に実装する。制御部212は、実装処理を実行したら、本処理を終了する。
【0086】
制御部212は、ステップS16で部品が反転している(Yes)、つまり電子部品44が裏向きであると判定した場合、ステップS20として部品廃棄処理を実行する。ここで、部品廃棄処理とは、格納室108で裏向きとなっている電子部品44を廃棄する処理である。制御部212は、格納室108に格納された電子部品44(ステップS12で撮影した電子部品44)をノズル32で吸着した後、ノズル32を上昇させる。その後、制御部212は、ヘッド本体30を移動させて、ノズル32を廃棄する電子部品44を回収する領域と対面させ、ノズル32から電子部品44を切り離すことで、当該電子部品44を廃棄する。制御部212は、ステップS20で部品廃棄処理を実行したら、ステップS22としてテープ送り処理を実行する。ここで、テープ送り処理とは、引き出し機構46により電子部品収容テープ100を移動させ、吸着領域48に露出している格納室108を1つ分移動させる処理である。なお、引き出し機構46は、電子部品収容テープ100を電子部品収容テープ100のうち吸着領域48を通過していない側の格納室108を吸着領域48に露出させるように移動させる。つまり、引き出し機構48は、電子部品収容テープ100を一方向に移動させ、列状に配置された格納室108を順番に吸着領域48に露出させる。制御部212は、ステップS22の処理を実行したら、ステップS12に進む。
【0087】
また、制御部212は、ステップS14でNoと判定した場合、ステップS30としてマークありかを判定する。具体的には、制御部212は、ステップS12で撮影した画像にマーク112が含まれているかを判定する。制御部212は、ステップS30でマークあり(Yes)と判定した場合、ステップS32として、ロットデータを変更する。つまり、制御部212は、2つの電子部品収容テープの接続部分(境界)に形成されたマーク112を検出した場合、電子部品収容テープが切り換り、吸着領域48を通過する電子部品収容テープが新たなロットの電子部品収容テープとなったと判定し、ステップS32で当該吸着領域48で吸着する電子部品44に対応付ける電子部品収容テープの情報を変更する。ロットデータは、電子部品収容テープのバーコードの情報を読み取ったり、オペレータによって入力された情報を検出したりすることで取得することができる。なお、制御部212は、ロットデータの変更とともに、新たなロットの電子部品収容テープが吸着領域48を通過する位置等を検出し、各動作の微調整を行ってもよい。
【0088】
制御部212は、ステップS32でロットデータを変更したら、ステップS32として設定回数分のテープ送り処理を実行する。つまり、制御部212は、電子部品収容テープ100を、ステップS22のテープ送り処理の複数回数分に相当する距離、格納室108が設定した個数分、吸着領域48を通過する距離、移動させる。ここで、設定した個数分とは、電子部品収容テープの端部の予め空室となっている格納室108の個数である。つまり、制御部212は、新たなロットの電子部品収容テープの端部にある空室の格納室108に対応する距離、電子部品収容テープを移動させ、新たなロットの電子部品収容テープの電子部品44が格納されている格納室108を吸着領域48に露出させる。制御部212は、ステップS34の処理を行ったら、ステップS12に進む。
【0089】
また、制御部212は、ステップS30でマークなし(No)と判定した場合、ステップS36として、空送り回数カウンタをカウントアップさせる。空送り回数カウンタとは、格納室108が連続して空室であった回数を計測するカウンタである。なお、空送り回数カウンタは、本処理が終了するたびにリセットされる。
【0090】
制御部212は、ステップS36でカウントアップを行ったら、ステップS38として、カウンタがN
1回以上であるかを判定する。ここで、N
1回とは、電子部品収容テープの端部の予め空室となっている格納室108の数または、それ以下の数である。制御部212は、ステップS38でカウンタがN
1回以上ではない(No)、つまりN
1未満であると判定した場合、ステップS22に進み、上述した処理を実行する。
【0091】
制御部212は、ステップS38でカウンタがN
1回以上である(Yes)と判定した場合、ステップS40としてマーク警戒モードとする。なお、マーク警戒モードとは、ステップS30の処理を実行する場合より高い精度で実行するモードである。これにより、制御部212は、空室が所定の回数連続し、マークを含む可能性が高い画像をより詳細に解析することができる。制御部212は、ステップS40でモードを設定したら、ステップS42として、カウンタがN
2回以上であるかを判定する。ここで、N
2回とは、電子部品収容テープの端部の予め空室となっている格納室108の個数よりも多い数である。制御部212は、ステップS42でカウンタがN
2回以上ではない(No)、つまりN
2未満であると判定した場合、ステップS22に進み、上述した処理を実行する。
【0092】
制御部212は、ステップS42でカウンタがN
2回以上である(Yes)と判定した場合、ステップS44としてエラー処理を実行する。ここで、ステップS44のエラー処理とは、対象の電子部品収容テープで異常が発生していることをオペレータに通知する処理である。制御部212は、ステップS44の処理を行ったら本処理を終了する。
【0093】
電子部品実装装置10は、以上のように、ヘッド本体30に一体に設けたカメラユニット36で吸着領域48に露出している部分がスプライシングされた部分であるかを判定することで、電子部品収容テープが切り換った否かを好適に検出することができる。また、電子部品実装装置10は、スプライシングされた部分であるかの判定に用いる吸着領域48の画像をヘッド本体30に一体に設けたカメラユニット36で撮影することで、近い距離で電子部品収容テープを撮影することができ、詳細な画像を取得することができる。また、他の各種用途にも用いるカメラユニット36の機能で、スプライシングされた部分であるかの検出機能を実現することができるため装置構成を簡単にすることができる。具体的には、電子部品収容テープの結合部の検出のみに使用するセンサや、制御プログラム以外の専用の装置、機構を設ける必要が無いため、部品点数の増加や装置の大型化を防ぐことができる。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品収容テープと電子部品収容テープとの結合部を適切に検出することができ、効率よく高い精度で電子部品を搭載することができるという効果を奏する。
【0094】
また、電子部品実装装置10は、格納室108に電子部品44があるかを判定し、格納室108が空室である場合、電子部品収容テープ100の送り出し指令を出してテープ送り処理を行い、再度、格納室108に電子部品44があるかを判定することを繰り返すことで、ノズル32が電子部品44を吸着せずに処理が進むことを防止できる。また、本実施形態のように、画像に基づいて電子部品44があるかを判定することで、画像の撮像、解析および電子部品収容テープの送り処理を行うだけでよく、ノズルの吸着動作を行う必要が無なくなり、ヘッド本体30の無駄な動作を省くことができる。
【0095】
また、電子部品実装装置10は、撮影した画像に基づいてスプライシングされた部分であるか否かを判定することで、例えば電源投入時、電子部品収容テープのスプライシングされた部分が吸着領域にあった場合でもスプライシングされた部分を検出することができる。
【0096】
また、電子部品実装装置10は、画像にスプライシングを示す印があるかに基づいてスプライシングされた部分であるかを判定することで、スプライシングされた部分にある目印を用いて判定を行うことができ、より高い精度でスプライシングされた部分を検出することができる。これにより、スプライシングされた部分の検出漏れを抑制することができる。なお、電子部品実装装置10は、検出精度を高くできるため、画像にスプライシングを示す印があるかに基づいてスプライシングされた部分であるかを判定することが好ましいがこれに限定されない。電子部品実装装置10は、カメラユニット36により撮影した吸着領域の画像に基づいてスプライシングされた部分であるかを判定すればよく、例えば境界の有無や、接続部材の有無等に基づいて判定してもよい。
【0097】
ここで、上述したように、電子部品収容テープの接続部である端部は、所定の個数の格納室が空室となっている。このため、基本的にスプライシングされた部分が吸着領域48に露出される前には、格納室が空室の状態が一定回数連続する。この特性を用い、電子部品実装装置10は、本実施形態のように、格納室が空室の状態が一定回数連続した場合、マーク警戒モードとし、より高い精度でマークの検出を行うことで、より高い精度でスプライシングされた部分を検出することができる。これにより、スプライシングされた部分の検出漏れを抑制することができる。また、格納室が空室の状態が一定回数連続していない場合は、マーク警戒モードとしないことで、つまり空室の検出状態によって検出の精度を切り換えることで、全体の処理量を低減することができる。
【0098】
また、電子部品実装装置10は、格納室が空室の状態が一定回数連続しかつスプライシングを示す印を検出した場合、スプライシングされた部分であると判定するようにしてもよい。格納室が空室の状態が一定回数連続することとスプライシングを示す印を検出することの2つの条件を組み合わせることで、高い精度でスプライシングされた部分を検出することができる。具体的には、スプライシングを示す印として電子部品収容テープ上に付いた傷などを検出してしまう誤検出の恐れを低減することができる。
【0099】
また、格納室が空室の状態が一定回数連続することとスプライシングを示す印を検出することの2つの条件を組み合わせる場合、電子部品実装装置10は、マーク警戒モードの場合のみ、つまり格納室が空室の状態が一定回数連続した場合のみ、スプライシングを示す印の検出処理を行うようにしてもよい。これにより、処理量を低減することができる。なお、上述したようにスプライシングされた部分は、格納室が一定回数連続して空室となる部分に隣接している。このため、電子部品実装装置10は、マーク警戒モードの場合のみ、つまり格納室が空室の状態が一定回数連続した場合のみ、スプライシングを示す印の検出処理を行うようにしても、スプライシングされた部分の検出漏れが増加することを抑制することができる。
【0100】
電子部品実装装置10は、2つの電子部品収容テープをスプライシングする際に、電子部品収容テープの後端部および先端部に設ける格納室の空室の連続個数をあらかじめ決めておけば、さらに確実に電子部品収容テープの結合部を検出することが可能である。
【0101】
また、電子部品実装装置10は、一定回数以上空室が連続した場合、エラー処理を行うことで、部品切れ等が起きていることをオペレータに通知することができる。また、電子部品実装装置10は、画像に基づいてスプライシングされた部分であるかを判定することで、一定回数以上空室が連続した場合にそれがスプライシングによるものなのか、部品切れが起きているのかを高い精度で判別することができる。
【0102】
電子部品実装装置10は、ステップS32で説明したように、スプライシングされた部分であると判定し、電子部品収容テープが切り換えられたと判定した場合、電子部品収容テープの格納室の位置を画像により解析し、電子部品の吸着時のピックポジションを自動で補正することが好ましい。一般的なスプライシング方式は手作業によるテープの繋ぎ合わせのため、後段電子部品収容テープの先端部と前段電子部品収容テープの終端部との接続部分においてピッチ誤差(格納室の間隔に誤差)を生じてしまう場合があるが、補正することで電子部品を適切に吸着することができる。
【0103】
電子部品実装装置10は、撮影した画像に基づいて電子部品が反転しているかを検出することで電子部品の状態をより適切に検出することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品が反転している(正しい姿勢ではない)と判定した場合、当該電子部品を廃棄することで、正しい姿勢ではない電子部品が基板に実装されることを抑制できる。本実施形態では、電子部品が反転していると判定した場合、当該電子部品を廃棄したが、これに限定されず、アラーム等で反転していることを通知してもよいし、搭載動作を一時停止させてもよい。電子部品実装装置10は、実装する電子部品の種類に応じて電子部品が反転しているかの判定を行うかを切り換えてもよい。例えば、チップコンデンサの場合は、両面で実装することができるため判定を行わず、チップ抵抗の場合は、表面印字の有無により、表裏反転の検出を行うようにしてもよい。
【0104】
また、電子部品実装装置10は、画像に基づいて、電子部品と良品画像(ゴールデンイメージ)との比較を行い、部品状態の識別を行うことが好ましい。また、電子部品実装装置10は、部品状態に基づいて、電子機器の向きの判定と同様の処理を行ってもよい。例えば部品状態が適正な場合はそのまま実装し、部品状態が不良な場合は廃棄するようにしてもよい。
【0105】
電子部品実装装置10は、吸着領域を撮影した画像の撮影状態に基づいて、第1照明部および第2照明部による照明の明るさを調整することが好ましい。例えば格納室108に格納されている電子部品の識別に失敗した場合、照明の明るさを調整し、再度画像を撮影し解析を行うようにしてもよい。なお、照明の明るさは、例えば7段階で調整するようにしてもよい。
【0106】
電子部品実装装置10は、電子部品収容テープの材質等、電子部品収容テープの条件に応じて第1照明部および第2照明部による照明の明るさを調整することが好ましい。なお、電子部品収容テープの条件は、オペレータの入力や電子部品収容テープに対応付けられた情報の取得、画像の解析等により検出することができる。なお、電子部品実装装置10は、スプライシングされた部分を検出し電子部品収容テープが切り換ったと判定した場合、電子部品収容テープの条件に応じて第1照明部および第2照明部による照明の明るさを調整する。電子部品収容テープの材質としては、紙テープ、エンボステープ、黒エンボステープなどがある。なお、照明の明るさは、例えば7段階で調整するようにしてもよく、電子部品収容テープの材質に応じて各段階を設定(例えば、紙テープは4段階、エンボステープは5段階、それ以外は、6段階など)してもよい。
【0107】
電子部品実装装置10は、基板8に実装した電子部品44と、当該電子部品44を保持していた電子部品収容テープ100との関係を記憶することが好ましい。なお、電子部品には、さらに、部品名、部品番号、搭載座標、部品サイズ、搭載ヘッド、搭載ノズル、フィーダ番号、搭載時刻などの搭載に関する情報も対応付けて記憶することが好ましい。
これにより、基板に実装した電子部品44がどの電子部品収容テープに格納されていたかを任意の時点で知ることができる。これにより、基板に搭載した電子部品に対するより情報の多いトレーザビリティシステムとすることができ、基板に搭載した電子部品に問題が発生した場合に原因をより正確に追跡することが可能となる。例えば、1つの基板に搭載された電子部品で問題が生じた場合、当該電子部品と同一の電子部品収容テープに保持された電子部品がどの基板に搭載されているかを検出することができ、必要に応じて検査、交換を行うことができる。また、どの基板で検査、交換が必要かを高い精度で特定することができる。
【0108】
また、電子部品実装装置10は、電子部品収容テープが切り換ったと判定した場合、基板に実装した電子部品に対応付ける電子部品収容テープの情報を更新する、つまり変更したロットデータに基づいて各種情報を更新することが好ましい。このように、電子部品収容テープの切り換えに応じて、電子部品収容テープの情報を更新することで、スプライシングを行っている場合でも、対応付ける電子部品収容テープの情報を正確に管理することができる。
【0109】
また、実装した電子部品44に対しては、カメラユニット36によって撮影した電子部品を撮影した吸着前後の画像、基板への搭載前後の画像も対応付けて記憶することが好ましい。なお、対応付ける画像はいずれか1つでも全部でもよい。また、吸着前後の画像、基板への搭載前後の画像の全てを撮影しなくてもよい。撮影した電子部品の画像を対応付けておくことで、基板に搭載した電子部品に対するより情報の多いトレーザビリティシステムとすることができ、基板に搭載した電子部品に問題が発生した場合に原因をより正確に追跡することが可能となる。
【0110】
電子部品実装装置10は、
図14に示す処理動作で、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、電子部品44があるかを判定したが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、電子部品44があるかの判定は、ノズル32による吸着動作で判定してもよい。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品44が吸着可能な位置までノズル32を移動させて、実際にノズル32で吸着動作を行い、電子部品44を吸着できたか否かで判定することもできる。なお、電子部品44を吸着できたか否かの判定は、ノズル32の吸引圧力やノズル32の空気の吸引量が変化したかで判定することができる。また、両者を組み合わせて、格納室が空室であることが検出されていない、空送りカウンタが0の場合、吸着動作で電子部品の有無を判定し、直近で格納室が空室であることが検出されている(空送りカウンタが1以上の)場合、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、電子部品44があるかを判定してもよい。
【0111】
また、電子部品実装装置10は、直近で格納室が空室であることが検出されている(空送りカウンタが1以上の)場合のみ、スプライシングされた部分であるかを判定してもよい。上述したように、電子部品収容テープは基本的に端部の一定数の格納室を空室としている。このため、直近で格納室が空室であることが検出されている(空送りカウンタが1以上の)場合のみ、スプライシングされた部分であるかを判定しても、スプライシングされた部分の検出漏れは抑制できる。また、直近で格納室が空室であることが検出されていない場合は、スプライシングされた部分であるかを判定しないことで、演算量を低減することができ、処理量を軽減することができる。また、上述したように、格納室が空室であることが検出されていない(空送りカウンタが0の)場合、吸着動作で電子部品の有無を判定し、直近で格納室が空室であることが検出されている(空送りカウンタが1以上の)場合、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、電子部品44があるかを判定することと組み合わせることで、電子部品が反転しているかの判定はできなくなるが、格納室が空室であることが検出されていない(空送りカウンタが0の)場合に画像の撮影および解析を行わなくても同様の処理動作が実行できる。これにより、処理量を低減することができる。
【0112】
電子部品実装装置10は、
図14に示す処理動作で、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、電子部品44があるか、電子部品44が正しい向きか、スプライシングされた部分であるかを判定したがこれに限定されない。電子部品実装装置10は、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、スプライシングされた部分であるかの判定のみを行うようにしてもよい。電子部品実装装置10は、スプライシングされた部分であるかの判定を行うことで、電子部品収容テープが切り換わったことを適切に検出することができる。また、電子部品実装装置10は、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、電子部品が正しい向きかのみを判定してもよい。
【0113】
図17は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。以下、カメラユニット36で撮影した吸着領域の画像を解析し、電子部品が正しい向きかのみを判定する処理動作について説明する。なお、
図17に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了またはエラーにより終了するまでの動作である。また、
図17に示す処理動作は、制御部212が各部の動作を制御することで実行される。
【0114】
制御部212は、ステップS102として、基板を搬入する。具体的には、制御部212は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部212は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として吸着移動を行う。ここで、吸着移動とは、ノズル32が部品供給装置14の吸着領域48にある電子部品44と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
【0115】
制御部212は、ステップS104で吸着移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部212は、電子部品44を吸着できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部212は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として撮像、つまり、カメラユニット36により吸着領域48を撮影し、ステップS110として、撮影した吸着領域48の画像の解析を開始する。なお、ステップS106の処理動作は、ステップS108およびステップS110の処理動作の後に実行してもよい。
【0116】
制御部212は、ステップS110で解析を開始したら、ステップS112として、ノズル32で部品を吸着し、ステップS114として、ノズル32を上昇させ、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板の搭載位置に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載、つまりノズル32から電子部品44を開放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部212は、ステップS112からステップS120の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
【0117】
制御部212は、ステップS122でノズルを上昇させたら、ステップS124として、部品は表向きであるかを判定する。つまり制御部212は、ステップS110で開始して画像の解析結果に基づいて、撮影した画像の電子部品が表向き(正しい向き)であったかを判定する。
【0118】
制御部212は、ステップS124で表向きである(Yes)と判定した場合、ステップS132に進む。また、制御部212は、ステップS124で表向きではない(No)つまり裏向きであると判定した場合、ステップS126としてマウンタ(電子部品実装装置)停止設定であるかを判定する。つまり、裏向きの電子部品を基板に搭載した場合、電子部品実装装置10による電子部品の搭載動作(実装処理を含む各種動作)を停止する設定であるかを判定する。なお、マウンタ停止設定がONであるかOFFであるかは、オペレータの操作で設定できる。
【0119】
制御部212は、ステップS126でマウンタ停止設定ではない(No)、つまりマウンタ停止設定がOFFであり、電子部品実装装置10の搭載動作を停止する設定ではないと判定した場合、ステップS128として、異常フラグをONにして、ステップS132に進む。なお、異常フラグとは、適切ではない処理が行われたことを示す情報である。また、制御部212は、ステップS126でマウンタ停止設定である(Yes)、つまりマウンタ停止設定がONであり、電子部品実装装置10の搭載動作を停止する設定であると判定した場合、ステップS130として、マウンタ(電子部品実装装置)を一時停止し、ステップS136に進む。
【0120】
また、制御部212は、ステップS124でYesと判定した場合またはステップS128の処理動作を行った場合、ステップS132として全部品の搭載が完了したか、つまり基板に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部212は、ステップS132で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板に搭載する処理動作を実行する。このように制御部212は、基板に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。
【0121】
制御部212は、ステップS132で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、ステップS134として、正常終了かを判定する。なお、制御部212は、異常フラグがONであるかに基づいて正常終了であるかを判定することができる、制御部212は、ステップS134で正常終了である(Yes)、つまり異常フラグがONではないと判定した場合、本処理を終了する。正常終了と判定され処理が終了した基板は、全電子部品が適切に搭載されている。また、制御部212は、ステップS134で正常終了ではない(No)、つまり異常フラグがONであると判定した場合、ステップS136に進む。制御部212は、ステップS130の処理動作を実行した場合またはステップS134でNoと判定した場合、ステップS136としてエラーメッセージ(電子部品が適切では無い状態で搭載されていることを示す情報やステップS130の処理動作を実行している場合マウンタを停止していることを示す情報)をモニタ等に表示させ、本処理を終了する。
【0122】
電子部品実装装置10は、
図17に示す処理動作を実行することで、電子部品の搭載状態を適切に判定することができる。また、ヘッド本体と一体で設けたカメラユニットを用いることで、上述したように1つのカメラユニットで種々の位置の吸着領域、電子部品収容テープの状態を検出することができる。これにより装置の部品点数を低減することができる。
【0123】
電子部品実装装置10は、
図17に示す処理動作を実行することで、電子部品の実装処理を行っている間に画像の解析を行うことができる。これにより、画像の解析と実装処理とを並列で処理することができ、処理待ちの時間を低減し、処理を高速化することができる。また、電子部品実装装置10は、マウンタ(電子部品実装装置)停止設定をOFFにすることで、次の電子部品の搭載動作を継続しつつ、電子部品の実装状態の情報を蓄積することができる。また、電子部品実装装置10は、撮影した画像を記憶しておくことで、裏向きの電子部品の画像を後工程において確認することができる。
【0124】
なお、電子部品実装装置10は、
図17に示す処理動作においてもステップS108で撮影した画像に基づいて、スプライシングされた部分であるかの判定を行うようにしてもよい。これにより、電子部品収容テープが切り換わったことを適切に検出することができる。また、撮影した画像を有効活用することができる。なお、基板に実装した電子部品と当該電子部品を保持していた電子部品収容テープとの関係を記憶する場合、実装した後に処理しても同様の対応関係の情報を記憶することができる。これにより、基板に実装した電子部品の情報を後から追跡することもできる。
【0125】
また、カメラユニットは、上記各種効果が得ることが出来るため、1つのカメラに対して2つの照明部とバッフルを設けた構成とすることが好ましいが、これに限定されない。カメラユニットは、ヘッド本体に一体に設け、部品供給装置14の吸着領域である吸着対象の電子部品が格納されている格納室を含む領域の電子部品収容テープを撮影することができればよい。カメラユニットは、例えばバッフルを設けない構成としてもよいし、照明部を1つとしてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、ヘッド15を1つ有する構成としたが、本発明はこれに限定されず、ヘッドを複数設けてもよい。例えば、ヘッド15を2つ設け、1つの基板に対して、交互に電子部品44を搭載するようにしてもよい。このように、2つのヘッド15で交互に電子部品44を搭載することで、一方のヘッドが電子部品44を基板に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品44を吸着することができる。これにより、基板に電子部品44が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品44を搭載することができる。