(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インク室のインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータの動作により前記ノズルからインク滴を吐出させて画像を記録するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに画像データと前記駆動波形の設定データとを供給するヘッドコントローラとを具備したインクジェット記録装置において、
前記ヘッドコントローラは、前記インクジェットヘッドとシリアルデータバス及びコマンドバスで接続し、前記画像データは、前記シリアルデータバスを介して前記インクジェットヘッドに供給し、前記駆動波形の設定データは、前記コマンドバスを介して前記インクジェットヘッドに供給し、
前記インクジェットヘッドは、前記駆動波形の設定データを記憶するバッファと、前記ヘッドコントローラから供給された前記駆動波形の設定データの正否を当該設定データから求まるチェックサムにより判定し、正しい場合にこの設定データを前記バッファに上書きし、正しくない場合には上書きしない手段とを具備し、前記バッファに記憶した設定データに基づいて前記駆動波形を生成することを特徴とするインクジェット記録装置。
前記ヘッドコントローラは、前記駆動波形の設定データを複数パターン記憶する記憶部と、この記憶部から前記インクジェットヘッドの状態に適応したパターンの設定データを選択する選択部と、この選択部で選択された前記駆動波形の設定データを前記インクジェットヘッドに送信する送信部と、を具備したことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
前記ヘッドコントローラは、前記インクジェットヘッドの温度を検出する温度検出手段、をさらに備え、前記選択部は、前記インクジェットヘッドの温度に適応したパターンの設定データを選択することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
【背景技術】
【0002】
圧電部材の剪断変形を利用して、ノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘッドが知られている。このようなインクジェットヘッドは、接着固定した2枚の圧電部材に形成した複数の溝と、インク供給口を備えた天板と、ノズルプレートとから構成されている。溝と天板及びノズルプレートとで囲われる空間は、インクの吐出圧力を発生するインク室となる。隣接するインク室で共有される隔壁には電極が備えられており、この電極に駆動パルス電圧が印加されると、隔壁は、インク吐出圧力を発生させるアクチュエータとして動作する。このようなインクジェットヘッドは、いわゆるシェアードウォール型インクジェットヘッドと呼ばれ、インクジェット記録装置に用いられる。
【0003】
ところで、インクは温度変化に伴って粘性が変化する。このため、ノズルから吐出されるインク滴の滴径は、インク室内のインクの温度に影響される。例えば、インク室内のインクの温度が上昇すると、インクの粘性が低下するため、インク滴の滴径は拡大する。逆に、インク室内の温度が下降すると、インクの粘性が上昇するため、インク滴の滴径は縮小する。記録動作中にインク室内の温度が変動してインク滴の滴径が変化すると、形成される画像の品質にムラが発生する。
【0004】
インク滴の滴径変化は、駆動パルス電圧の波形を調整することで抑制できる。しかし、駆動パルス電圧の波形を調整するためには、一旦、インクジェットヘッドにリセット信号を与えて、設定をリセットしなければならない。設定がリセットされると、画像データもクリアされる。このため、画像記録中に駆動パルス波形を調整することはできない。
【0005】
そこで、従来のインクジェットヘッドは、インク室内の温度を適温に維持するための温度調整機能を備えている。この機能は、ヘッド本体を支持するベースに、ヘッド温度調整用の流体が流れる管路を配設する。そして、インク室内のインクが管路内の流体と熱交換をして、インク室内の温度を調整するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、インクジェットヘッドの設定をリセットしなくても駆動波形を調整できるインクジェット記録装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。初めに、本実施形態のインクジェットヘッドについて、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0011】
図1は、シェアードウォール型のインクジェットヘッド1を示す斜視図である。インクジェットヘッド1は、インクを吐出するノズル2を備えたヘッド本体3と、駆動信号を発生するヘッドドライバ4と、インク供給口5とインク排出口6とを備えたマニホールド7とで構成する。
【0012】
インクジェットヘッド1は、インク供給手段であるインク供給口5から供給されたインクを、ヘッドドライバ4で発生させた駆動信号に応じて、ノズル2から吐出する。また、インクジェットヘッド1は、インク供給口5から流入したインクのうち、ノズル2から吐出しなかったインクを、インク排出口6から排出する。
【0013】
図2は、ヘッド本体3の平面図である。また、
図3は、
図2に示すヘッド本体3のA−A縦断面図であり、
図4は
図3に示すヘッド本体3のB−B横断面図である。ヘッド本体3は、圧電部材14と、ベース基板15と、ノズルプレート16と、枠部材17とで構成する。
【0014】
ヘッド本体3は、ベース基板15を基礎とする。そして、このベース基板15の上に枠部材17を接合し、枠部材17の中に圧電部材14を接合する。
【0015】
ヘッド本体3は、枠部材17の上にノズルプレート16を接着する。そしてヘッド本体3は、ベース基板15と圧電部材14とノズルプレート16とで囲まれた中央部の空間を、インク供給路18とする。またヘッド本体3は、ベース基板15と圧電部材14と枠部材17とノズルプレート16とで囲まれた周辺部の空間を、インク排出路19とする。
【0016】
ベース基板15には、インク供給路18に連通する穴22と、インク排出路19に連通する穴23とがある。穴22は、マニホールド7によりインク供給口5と連通する。穴23は、マニホールド7によりインク排出口6と連通する。
【0017】
圧電部材14は、第1の圧電部材14aに、この第1の圧電部材14aとは極性が逆向きの第2の圧電部材14bを積層してなる。第1の圧電部材14aと第2の圧電部材14bとは接着される。
【0018】
圧電部材14には、インク供給路18からインク排出路19へ繋がる複数の長溝26が並列に形成される。そして、その各長溝26の内面に、それぞれ電極21が配設される。各電極21は、それぞれ配線20を介してドライバIC4と接続する。
【0019】
各長溝26と、各長溝26を覆うように第2の圧電部材14b上に接着されたノズルプレート16の裏面とで囲まれた空間が、それぞれインク室24となる。そして、各インク室24に1対1で対応して、ノズル2が連通する。
【0020】
隣り合うインク室24の間の隔壁を形成する圧電部材14は、各インク室24の電極21によって挟まれる。その結果、圧電部材14とその両側の電極21とによって、アクチュエータ25が構成される。
【0021】
アクチュエータ25は、ヘッドドライバ4にて生成された駆動信号により電界が印加されると、第1の圧電部材14aと第2の圧電部材14bとの接合部を頂部として“く”の字型に剪断変形する。このアクチュエータ25の変形によって、インク室24の容積が変化し、インク室24の内部にあるインクが加圧される。加圧されたインクは、そのインク室24に連通するノズル2から吐出する。
【0022】
ノズルプレート16は、インク室24の長手方向の中央部から3周期毎にオフセットされた位置に、ノズル2を形成する。ノズル2は、インク室24側の裏面側からインク吐出側の表面側に向けて先細りの形状になっている。
【0023】
以下の説明では、1つのアクチュエータ25と、このアクチュエータ25が一方の側壁をなすインク室24と、そのインク室24に連通するノズル2とを合わせた部分を、チャンネルと称する。
【0024】
各チャンネルは、“a”,“b”,“c”の3つのグループに分割される。具体的には、
図4において、符号に“a”,“b”,“c”を付して区別するように分割される。すなわち、あるチャンネルがグループ“b”に属すると仮定すると、このチャンネルに対して一方の側に隣り合うチャンネルがグループ“a”に属し、他方の側に隣り合うチャンネルがグループ“c”に属するように分割する。その結果、2個おきのチャンネルは、真中のチャンネルと左右に隣り合うチャンネルとの3つのチャンネルで1つの群となる。換言すれば、各チャンネルは、n個おきに(n+1)個の群に分割される。
【0025】
ヘッドドライバ4は、各チャンネルに供給する駆動信号を、Aサイクル信号,Bサイクル信号,Cサイクル信号の3つに分割する。そして、Aサイクル信号はグループ“b”に属するチャンネルからインクを吐出させ、Bサイクル信号はグループ“c”に属するチャンネルからインクを吐出させ、Cサイクル信号はグループ“a”に属するチャンネルからインクを吐出させる。このように、ヘッドドライバ4は、(n+1)個のチェンネル群毎に、個々のチャンネルを時分割で駆動する。したがって、隣り合うチャンネルが同じサイクルで給電されることはない。
【0026】
図5は、ヘッドドライバ4が中央チャンネルCnとその両側の隣接チャンネルCn-1,Cn+1とに出力する駆動波形の一例を示す。
図5において、パルス波形31は吐出パルスであり、パルス波形32はキャンセルパルスであり、パルス波形33は制御パルスである。吐出パルス31は、インク滴を吐出するための圧力振動を発生させる。キャンセルパルス32は、吐出パルス31により発生した圧力振動をインク滴の吐出後に減衰させる。制御パルス33は、インク滴を吐出させるための圧力振動を強める。
【0027】
図5の例の場合、最初のAサイクルでは、中央チャンネルCnからインク滴が2滴吐出される。次のBサイクルでは、一方の隣接チャンネルCn+1からインク滴が2滴吐出される。次のCサイクルでは、他方の隣接チャンネルCn-1からインク滴が2滴吐出される。次のAサイクルでは、中央チャンネルCnからインク滴が2滴吐出される。
【0028】
図6は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の要部構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド1と、このヘッド1を制御するヘッドコントローラ8とを具備する。
【0029】
インクジェットヘッド1は、前記ヘッド本体3とヘッドドライバ4とを含む。ヘッドドライバ4は、画像データバッファ41と、駆動波形設定データバッファ42と、駆動信号発生回路43とを備える。ヘッドコントローラ8は、リセット信号発生部81、画像メモリ82、画像データ転送部83、駆動波形設定テーブル84、温度検出回路85及び駆動波形決定部86を含む。ヘッドコントローラ8は、シリアルデータバスSBと、コマンドバスCBと、リセット信号RSTを含む種々の信号線とにより、ヘッドドライバ4と接続している。
【0030】
リセット信号発生部81は、ヘッドドライバ4に対してリセット信号RSTを出力する。リセット信号を受信したヘッドドライバ4は、画像データバッファ41と駆動波形設定データバッファ42とをクリアする。
【0031】
画像メモリ82は、プリンタコントローラ(不図示)から供給される印刷画像データをビットマップ展開して記憶する。画像データ転送部83は、画像メモリ82に記憶されたビットマップ画像データを1ラインずつ読み出す。そして、この1ラインの画像データを前記Aサイクル信号,Bサイクル信号及びCサイクル信号の3つの信号に分割し、各信号を、前記シリアルデータバスSBを介してヘッドドライバ4にシリアル転送する。ヘッドドライバ4は、ヘッドコントローラ8から3つの信号に分割されて供給される1ラインの画像データを画像データバッファ41で一時記憶する。
【0032】
駆動波形設定テーブル84は、
図7に示すように、複数段階(図では4段階)の温度範囲(下限温度dn〜上限温度dn+1:dn<dn+1)にそれぞれ対応して、駆動波形設定データDWxを記憶する(記憶部)。駆動波形設定データDWxは、前記駆動波形の吐出パルス31やキャンセルパルス32のパルス幅を指定するコマンドや、制御パルス33を出力するか否かを指定するコマンドのデータを含む。
【0033】
温度検出回路85は、インクジェットヘッド1のヘッド本体3に取り付けられたサーミスタ9の値により前記ヘッド本体3のリアルタイムな温度dを検出する(温度検出手段)。
【0034】
駆動波形決定部86は、前記温度検出回路85で検出されるヘッド本体3の温度dに基づいて、前記駆動波形設定テーブル84からいずれか1パターンの駆動波形設定データDWxを選択する。そして、選択した駆動波形設定データDWxを、前記コマンドバスCBを介してヘッドドライバ4にシリアル転送する。
【0035】
具体的には、
図8の流れ図に示すように、先ず、駆動波形決定部86は、ヘッド本体3の検出温度dを取得する(ステップP1)。次に、駆動波形決定部86は、前記駆動波形設定テーブル84を検索して、当該検出温度dが含まれる温度範囲の下限温度dn及び上限温度dn+1と駆動波形設定データDWxとを検出する(ステップP2:選択部)。
【0036】
例えば、検出温度dが下限温度d1より高く上限温度d2より低い場合には、駆動波形決定部86は、駆動波形設定データDW3を検出する。同様に、検出温度dが下限温度d2より高く上限温度d3より低い場合には、駆動波形決定部86は、駆動波形設定データDW2を検出する。
【0037】
駆動波形決定部86は、駆動波形設定テーブル84から検出した駆動波形設定データDWxを、前記コマンドバスCBを介してヘッドドライバ4にシリアル転送する(ステップP3:送信部)。
【0038】
その後、駆動波形決定部86は、温度検出回路85で検出される温度dを監視する(ステップP4)。そして駆動波形決定部86は、この検出温度dが、前記ステップP2の処理で検出した駆動波形設定データDWxに対応する温度範囲の下限温度dnを下回るか、あるいは上限温度dn+1を上回るかを判定する(ステップP5)。このとき、閾値となる下限温度dn及び上限温度dn+1には、それぞれマージンα(α>0)が設定されている。つまり、下限温度dnの閾値は“dn−α”となり、上限温度dn+1の閾値は“dn+1+α”となる。
【0039】
このように、閾値となる下限温度dn及び上限温度dn+1にそれぞれマージンαを設定することによって、検出温度dが下限温度dnを挟んで微小に下降,上昇を繰り返しても、その都度、駆動波形設定データDWxが変更されるのを防ぐことができる。なお、下限温度dnに対するマージンαと上限温度dn+1に対するマージンαとは、必ずしも一致している必要はなく、任意に設定できる。
【0040】
駆動波形決定部86は、検出温度dが下限温度dnの閾値“dn−α”を下回らないか、上限温度dn+1の閾値“dn+1+α”を上回らない間は(ステップP5の判断処理でNO)、温度dの監視を続ける。検出温度dが下限温度dnの閾値“dn−α”を下回るか、上限温度dn+1の閾値“dn+1+α”を上回ったならば(ステップP5の判断処理でYES)、駆動波形決定部86は、ステップP2の処理に進む。すなわち、駆動波形決定部86は、前記駆動波形設定テーブル84を検索して、当該検出温度dが含まれる温度範囲の下限温度dn及び上限温度dn+1と駆動波形設定データDWxとを検出する。そして、この駆動波形設定データDWxを、前記コマンドバスCBを介してヘッドドライバ4にシリアル転送する。
【0041】
ヘッドコントローラ8から駆動波形設定データDWxを受信したヘッドドライバ4は、チェックサムが正しいか否かを判定する。駆動波形設定データDWxは、例えば3×36ビットのデータであり、ヘッドドライバ4は、この3×36ビットのデータからチェックサムを求め、正否を判定する。正しい場合、ヘッドドライバ4は、駆動波形設定データDWxを駆動波形設定データバッファ42に上書きして、駆動波形設定データDWxを更新する。正しくない場合、ヘッドドライバ4は、駆動波形設定データDWxを駆動波形設定データバッファ42に上書きしない。すなわちヘッドドライバ4は、駆動波形設定データDWxを変更しない。
【0042】
駆動信号発生回路43は、画像データバッファ41に記憶された1ラインの画像データから各チャンネルに対する駆動信号を生成する。このとき、駆動信号の駆動波形パターンは、駆動波形設定データバッファ42に格納されている駆動波形設定データDWxに対応したものとなる。駆動信号発生回路43は、駆動信号をヘッド本体3の各チャンネルに出力する。この駆動信号の出力により、インクジェットヘッド1は、記録媒体に画像データの1ラインを印刷する。
【0043】
1ラインの印刷を終了すると、駆動信号発生回路43は、画像データバッファ41に記憶された次の1ラインの画像データから各チャンネルに対する駆動信号を生成する。このときも、駆動信号の駆動波形パターンは、駆動波形設定データバッファ42に格納されている駆動波形設定データDWxに対応したものとなる。したがって、1ラインの画像データを印刷している最中に、ヘッド温度が変動したために駆動波形設定データDWxが変更されると、次の1ラインの画像データを印刷する際の駆動信号は、変更後の駆動波形設定データDWxに基づく駆動波形パターンとなる。
【0044】
このように本実施形態のインクジェット記録装置においては、ヘッドコントローラ8が画像メモリ82に転送された画像データをインクジェットヘッド1の画像データバッファ41に転送している途中でインクジェットヘッド1の温度が変動すると、変動後の温度に最適な駆動波形設定データDWxをヘッドコントローラ8が選択し、インクジェットヘッドの駆動波形設定データバッファ42に設定する。
【0045】
一方、インクジェットヘッド1は、駆動波形設定データバッファ42の駆動波形設定データDWxに基づいて、画像データバッファ41の画像データを印刷するための駆動信号を生成する。そして、この駆動信号でヘッド本体3の各チャンネルを時分割駆動して、画像データを印刷する。
【0046】
したがって、画像データを印刷している途中で、インクジェットヘッド1の温度変動により駆動波形設定データDWxが変更されても、変更後の駆動波形設定データDWxに基づく駆動信号によって印刷が継続される。その結果、印刷途中でインクジェットヘッド1の温度変動によりインク滴の滴径が変化するのを、駆動信号の波形を調整することで抑制することができる。よって、インク室内の温度を適温に維持するための温度調整機能を不要にできる。このことは、インクジェットヘッド1の低コスト化及び小型化の達成に繋がる。
【0047】
また、本実施形態では、駆動波形を調整する際にインクジェットヘッド1をリセットする必要がない。したがって、駆動波形設定データDWxの変更に伴って画像データが途切れるようなことはないので、ロール紙のような連続用紙を使用する場合でも、ヘッド温度の変動に伴い印刷の品質が低下するのを防ぐことができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、ヘッドコントローラ8は、インクジェットヘッド1の温度を検出する温度検出回路85を備え、駆動波形決定部86が、そのインクジェットヘッド1の温度に適応したパターンの設定データを駆動波形設定テーブル84から選択する場合を示したが、駆動波形設定データを選択する条件は、インクジェットヘッド1の温度だけに限定されるものではない。温度以外の要素、例えば湿度を考慮して最適な駆動波形設定データを選択し、インクジェットヘッド1に設定してもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、駆動波形設定データバッファ42に設定される駆動波形設定データが変更されると、インクジェットヘッド1は、1ラインの印刷を終了した後に変更後の駆動波形設定データで駆動信号を発生したが、変更後の駆動波形設定データで駆動信号を発生するタイミングは、1ラインの印刷後に限定されるものではない。例えば2以上の所定数のラインを印刷後に、変更後の駆動波形設定データで駆動信号を発生するようにしてもよい。
【0050】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]インク室のインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータの動作により前記ノズルからインク滴を吐出させて画像を記録するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに画像データと前記駆動波形の設定データとを供給するヘッドコントローラとを具備したインクジェット記録装置において、前記ヘッドコントローラは、前記インクジェットヘッドとシリアルデータバス及びコマンドバスで接続し、前記画像データは、前記シリアルデータバスを介して前記インクジェットヘッドに供給し、前記駆動波形の設定データは、前記コマンドバスを介して前記インクジェットヘッドに供給することを特徴とするインクジェット記録装置。
[2]前記ヘッドコントローラは、前記駆動波形の設定データを複数パターン記憶する記憶部と、この記憶部から前記インクジェットヘッドの状態に適応したパターンの設定データを選択する選択部と、この選択部で選択された前記駆動波形の設定データを前記インクジェットヘッドに送信する送信部と、を具備したことを特徴とする付記[1]記載のインクジェット記録装置。
[3]前記ヘッドコントローラは、前記インクジェットヘッドの温度を検出する温度検出手段、をさらに備え、前記選択部は、前記インクジェットヘッドの温度に適応したパターンの設定データを選択することを特徴とする付記[2]記載のインクジェット記録装置。
[4]前記インクジェットヘッドは、前記ヘッドコントローラから供給される前記駆動波形の設定データを記憶するバッファを具備し、前記バッファに記憶した設定データに基づいて前記駆動波形を生成することを特徴とする付記[1]乃至[3]のうちいずれか1に記載のインクジェット記録装置。
[5]インク室のインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータの動作により前記ノズルからインク滴を吐出させて画像を記録するインクジェットヘッドに、画像データと前記駆動波形の設定データとを供給するヘッドコントローラにおいて、前記インクジェットヘッドに、シリアルデータバスとコマンドバスとで接続し、前記画像データは、前記シリアルデータバスを介して前記インクジェットヘッドに供給し、前記駆動波形の設定データは、前記コマンドバスを介して前記インクジェットヘッドに供給することを特徴とするヘッドコントローラ。
[6]駆動波形の設定データを複数パターン記憶する記憶部と、この記憶部から前記インクジェットヘッドの状態に適応したパターンの設定データを選択する選択部と、この選択部で選択された前記駆動波形の設定データを前記インクジェットヘッドに送信する送信部と、を具備したことを特徴とする付記[5]記載のヘッドコントローラ。
[7]前記インクジェットヘッドの温度を検出する温度検出手段、をさらに備え、前記選択部は、前記インクジェットヘッドの温度に適応したパターンの設定データを選択することを特徴とする付記[6]記載のヘッドコントローラ。